表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
590/1341

590

 朝食も摂り終えた。

 この後は?

 これからの行き先を決めていませんでした。


 候補は何があるだろう?

 天空マップの探索をそのまま継続するのもいい。

 それに戦力の底上げを継続する事、ですね。

 キレートはクラスチェンジさせて以降、経験値稼ぎをしていません。

 リグもレベル8で目標となるレベル10に到達していない。

 極夜はレベル33だがクラスチェンジを経ていないから目標はレベル37だな。

 やはり戦力底上げの対象になるだろう。

 水中対応だとリグ、アプネア、アウターリーフ、ロジット、ハイアムス。

 リグ、ロジットは地上でも大丈夫であるし、ハイアムスも対応可能だろう。

 後はアイソトープにメジアンだ。


 かなり減った。

 海でよりいい狩り場を探したい気持ちは強い。

 当然、天空にある海が気になる。

 だが他にも気になる事があった。


 地下へ行け、と示唆されている事だ。

 W6マップの西端にある洞窟に心当たりがある。

 カロン爺様がいた場所。

 その配下であろうケルベロスが守る洞窟。

 その先に新たな世界があるように思えるのだ。


 行ってみますか?

 あの場所は洞窟内の中継ポータルでもあった筈だ。

 テレポートで跳べば面倒が無い。


 そうだな。

 様子を見るだけでもいいのだろう。



 では、布陣を変更だ。

 リグ、極夜、ロジット、キレートを召喚しましょう。

 本音を言えばアイソトープを加えたい所なんだが。

 さすがに無理がある。

 今の戦鬼が戦闘を行うとしても、十分な規模がある洞窟だったと記憶している。

 でもアイソトープの特性を考えたら不利だ。

 相手は格下になってしまっているだろうけど、油断は出来ない。


 最後の枠はヴォルフにしました。

 確認しましょう。

 ヴォルフ、リグ、極夜、ロジット、キレートの布陣となる。

 洞窟内部で地の利があるのは間違いなくリグって事になるだろう。

 ま、戦闘になるとは限らないですけどね。




 テレポートでW6マップの西端にある洞窟内部の中継ポータルに跳ぶ。

 ここは名前が無い。

 まあ利用出来れば問題はない。


 中継ポータルの様子は?

 プレイヤーの姿が何名もいる。

 パーティの数として見たら、10を超えるだろう。

 それにテントも20を超える数がある。

 結構、賑っているように見えます。


 だが、注目すべき存在は別にある。

 ケルベロスだ。

 その傍らにあのカロン爺様がいる。


 ああ、なつかしいな。

 ケルベロスに気に入られるような食事を与える試練だ。

 あのケルベロスが伏せの姿勢のまま、料理が出来上がるのを待っている。

 その視線を受けながら3名のプレイヤーが料理を作っているようです。


 カロン爺様は?

 のんびりとした様子だ。

 センス・マジックで見ると、とんでもない魔力量であるのは変わらない。

 間違いなく神様級。

 でもどことなく、気安く声を掛けてしまいそうになる。


 ああ、そうそう。

 この爺様は守銭奴なのでした。

 何か会話を成立させようと思ったら小銭が要る。

 ディネ硬貨はあるよね?

 昨今は魔水晶単位以上の取引が多くて出番は無かったけど、ちゃんとあった。

 袋の中に結構な量になっている。

 しまったな、見てしまいました。

 これも整理しておきたくなったよ!





「ども」


『何じゃ。お前さんか』


「覚えているので?」


『忘却の川の力を借りねばワシは忘れる事が出来んのじゃ』


 何故だろう。

 急に悲しげな表情を浮かべている。


 だが次の瞬間、思い出したかのように右手を差し出す。

 その表情は欲にまみれている。


 ああ、金を取らずに質問に答えたからか。

 相変わらず強欲な事で。


 その手に1ディネを乗せる。

 すかさず6枚のディネ硬貨を乗せた。

 何故6枚であるのか?

 日本では地獄の川の渡し賃は6文であるからだ。



『何のつもりじゃな?』


「地下に行く方法なんですが」


『分かっておらぬな。人の身で行かせてはならぬ場所故にワシとアレが守っておるんじゃが』


「そこを何とか」


 爺様の手には既にディネ硬貨が合計7枚。

 困った顔で硬貨を見ているけど、返すつもりはないらしい。

 受け取ったからには何か返答をしないといけないのでしょうか?




『確かに、以前と比べたら格段に強くなっておるの』


「では」


『慌てるでない。試練を受けて貰わねばならぬでな』


 爺様の視線の先にケルベロス。

 料理を待つ様子を見ると、梃子を使っても動くとは思えない。

 3つの頭の口から涎が!

 その尻尾の蛇も揺れていて、料理への期待感が現れているかのようだ。



『本来であればアレと戦って貰う所なんじゃがの』


「ケルベロスと、ですか」


『これでは手が離せぬ。故に別の試練とせねばなるまい』


 思案顔のカロン爺様だが。

 いいぞ。

 出来れば強敵と戦う展開を希望します。

 以前のように料理が課題だったら盛大に泣きますよ?



『この洞窟が穿たれておる山々の上に巨人が繋がれておる』


「プロメテウス、ですね」


『ほう、知っておったか』


 カロン爺様は難しそうな顔をしている。

 でもね。

 威厳はあっても額面通りに受け取ってませんから!

 どうやって小銭を得るのか、企んでいるに違いないのだ。

 騙されてはいけない。



『その巨人を苦しめておる巨大な鳥を仕留めて来るがいい』


「仕留めるだけでいいので?」


『うむ。仕留めた証は翼で良い。忘れてはならんぞ?』


 そして爺様は右手を差し出す。

 何だ。

 やっぱり小銭が欲しいのね?



 ディネ硬貨を1枚、掌の上に載せる。

 小さな舌打ちが聞こえたけど、気にしない。

 きっと気のせいだ。





 プレイヤー達の好機の視線はあったけど、話し掛けて来るプレイヤーはいなかった。

 視線そのものが意味ありげで多少は気になったけど、無視。

 今は先を急ごう。


 洞窟を東方向へと急ぐ。

 西へ抜けるルートであれば戦闘はあったと思うが、東には無かったと思う。

 確か出口には滝があった筈。

 でも自信は無い。

 だってここに来たのって何日前でしたっけ?

 覚えていません。






 洞窟を抜けたらそこは滝でした。

 オレの記憶も大したものだ。

 間違っていなかったみたいです。


 そしてこの風景と繋がって思い出される記憶。

 あの敗北感。

 試練が料理と知って撤退した、あの時の気持ちも反芻してしまった。

 アデルとイリーナに頼み込んでお題をクリアしたものです。

 だって、料理なんですよ?

 オレに勝ち目なんて無かった。

 今でも挑みたくない。

 やっぱり勝ち目は無いからだ。


 だが。

 狩って来い、となれば話は別だ。

 そういうのって大好きなのです。



 では。

 山登りだな。

 この山の傾斜はそう酷くは無い。

 但し、空中を移動して越える事は出来なかった筈。

 今、オレの布陣に空中位置の召喚モンスターはいない。

 行ける。

 大丈夫だ。

 軽く山登りをしましょう。


 それに以前、ここを登った時には魔物と遭遇しなかった。

 大丈夫だ。

 その筈だ。


 懸念すべきであるのは別の事になる。

 あの巨人、プロメテウスを苦しめていた光。

 以前は逃げ切れたけど、死に戻りしかけた記憶がある。

 あんなので焼かれたらどうなる事か。

 危険である事は間違いない。


 ま、今ならテレポートの呪文で逃げ切れるかも?

 そう思っておくか。

 何にしても、先へ進まないと話にならないのだ。

 一応、保険だけは掛けておこう。

 光魔法の呪文、インビジブル・ブラインドだ。


 インビジブル、と言えばインビジブルストーカーのキレートであるのだが。

 その姿は半透明になって行く。

 そして遂に見えなくなった。

 さすがに移動していると風景が歪んで見えるから位置が分かる。


 それに緑のマーカーが見えてるから把握し易い。

 マーカー無しだと厳しいだろう。


 そのマーカーが、消えた。

 何とオレの影の中に沈んで行くようです。

 これが影棲、なのか?

 そうなのだろう。


 しかしこれ、戦闘ではどうなるんでしょうね?

 ぶっつけ本番になるけど、ハードに鍛えると決めてあるのだ。

 ここは頑張って頂こう。












 プロメテウスは?

 いた。

 ボロボロの状態で力無く、鎖に繋がれたままだ。

 そして巨人の姿だけではなかった。

 小さな影が巨人の前にいる。




 クラトスの化身 ???

 英霊 討伐対象 戦闘中

 ??? ???



 ビアの化身 ???

 英霊 討伐対象 戦闘中

 ??? ???



 ゼロスの化身 ???

 英霊 討伐対象 戦闘中

 ??? ???



 あれ?

 こんなの、以前にいましたっけ?

 しかも戦闘中?


 彼等は英霊か。

 マーカーは赤であるし、討伐対象で間違いなさそうだ。

 全員、同じ意匠の革鎧を身に着けている。

 ビアの化身は女性。

 クラトスの化身、ゼロスの化身は男性だ。

 3名とも、ギリシャ彫刻であるかのように超然とした印象がある。

 人間の姿なのに人間に見えない。

 英霊だし、それで問題はないのだろうけどね。




 アクイラの分身 ???

 英霊 討伐対象 戦闘中

 ??? ???


 アクイラの影 ???

 英霊 討伐対象 戦闘中

 ??? ???



 アクイラの影は3羽。

 分身は1羽か。

 アクイラの分身、というのは未見だろう。

 どれも高い魔力が感じられる。

 そして1点、突っ込みたい。


 戦闘中?

 拷問中、の間違いじゃないのかな?

 アクイラの分身とアクイラの影はその鋭い嘴で巨人の体の各所を突きまくっている。

 3名の化身は何か攻撃呪文を放っているように見えるのだが。


 無抵抗の相手に酷いな!

 オレみたいに説得しろって!



 だが。

 彼等はこっちを気にする様子がない。

 無抵抗の巨人を痛めつけるのに夢中のようだ。


 そうか。

 そんなに拷問、好きなの?


 拷問するのは好きでも拷問されるのは好きとは思わないけどね。

 拷問するならば、復讐で拷問される事も覚悟すべきだと思うのです。

 因果応報って言葉もある。

 酷い事をしちゃいけないと思うのだが。



 さて。

 お題は巨人を苦しめている巨大な鳥を仕留めて来る事。

 その筈だ。

 逃がしてはいけない。

 ついでに3名の化身も仕留めていいよね?






 戦闘でしょうか?

 いいえ、暗殺行為です。


 最初にオレが狙ったのはゼロスの化身。

 その首に風天羂索を掛けて絞め上げ、まずは動きを封じた。

 鎖骨の窪みに左手に持つ金剛杵を押し当てて、刃を展開。

 セットしてあったのは灼魔法。

 それでHPバーが全て砕け散らなかったのが凄い!

 今度は耳に金剛杵を押し当てて刃を展開。

 それで沈んでくれました。


 武技も呪文も使ってません。

 どこまでも、静かに戦力を減らす。

 それを徹底しただけだ。


 ビアの化身は?

 ロジットの触腕が巻き付き、動けなくなっている。

 槍に突かれまくっているし、そのうちに沈むだろう。

 触手プレイだ。

 スクショスクショ!


 クラトスの化身にはリグだ。

 全身を完全に覆っている。

 時々、雷撃が走っている様子が見えた。



 そして地面に転がる4つの棺桶。

 それぞれにアクイラの影と分身が閉じ込めてある。

 アイアン・メイデン。

 その中で様々な呪文が効力を発揮している事だろう。

 だが油断は出来ない。

 最も大きな棺桶を前にヴォルフと極夜が警戒の構えを解いていなかった。


 その棺桶が吹き飛んだ。

 アクイラの分身。

 その様子はボロボロ。

 まだ体の一部でヘルズ・フレイムの炎がダメージを耐え続けている。



(クラックスマッシュ!)


 飛び立とうとする前に牽制。

 地面が割れて両側の地面がアクイラの化身を襲う。

 まあ一発で動きを封じられるとは思っていない。

 実際、挟まれないように翼を使って耐えている。


 ヴォルフと極夜がアクイラの化身を襲う。

 狙っているのは翼だ。

 そうそう、毟って差し上げなさい。

 毛が少ないと書いて、毟る。


 酷い。

 酷過ぎ。



((((ピットフォール!))))

((((ラーヴァ・フロー!))))

((((ボールダー・トス!))))


 蓋付き溶岩風呂に落とす。

 ちょっと暖まっていなさい。

 アクイラの影も鉄の棺桶が限界だ。


 基本は空に飛ばさない。

 それだけで戦闘時の脅威は半減以下なのだ。


 アクイラの影は3羽。

 同時に鉄の棺桶を突破したようだが、2羽は状態異常に陥っているようだ。

 マーカーが見えている。

 ついでにHPバーは瀕死である事を示していた。


 オレの呪文の支援よりも前にヴォルフと極夜が襲っている。

 飛び立つ前に仕留めてしまいそうだ、

 いや、極夜は喰ってる。

 アクイラの影が生きながら喰われている。

 程々にしてくれよ?


 ところでキレートはどこ?

 その姿は見えない。


 だが。

 気にしている暇が無い。

 溶岩風呂の効果が切れたようだ。

 出現するアクイラの分身。

 残りHPバーは2割と無い。

 いい湯加減であったようだ。


 右手に断鋼鳥のククリ刀を抜く。

 飛ばせませんよ?



「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」


((((八部封印!))))

((((九曜封印!))))

((((イビル・アイ!))))


 アクイラの分身だが外見だけで言えばアルゲンタヴィスが近い。

 その大きさはアルゲンタヴィスの倍近くかな?

 確かに空を飛んでいなくてもまともに戦えそうにない相手。

 でもロック鳥程の大きさは無い。

 魔力の大きさもそう高く思えないのだ。

 戦える。

 そうであって欲しい。


 ククリ刀を投げ付ける。

 胸元に直撃。

 だが、異変?

 その刀が横に動く。

 刀が意思を持っているかのように、だ。


 何だ?

 いや、誰だ?

 思い付くのはヴォルフの念動だけど、そのヴォルフはアクイラの影を相手に戦っている。

 分身も出していない。


 では誰が?

 キレートなのだろう。

 どうやってなのかは謎だ。


 まあいい。

 悩む暇があったら、斬り込め!


 もう1振りある断鋼鳥のククリ刀を手にして前へ。

 金剛杵の刃を展開しながら前へ。

 ただ、前へ。

 これまでと一緒だな。




《只今の戦闘勝利で【捕縄術】がレベルアップしました!》

《【捕縄術】武技の縄打ちを取得しました!》

《技能リンクにより武技の投げ縄を取得しました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『キレート』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 キレートがレベルアップ?

 それは即ち、ヴォルフ、リグ、極夜、ロジットのレベルアップは無い事を意味する。

 うん。

 ある意味で納得するしかない。

 苦戦した気がしないからです。

 きっと経験値も相応に少なかったとしか思えない。



 キレートのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。

 もう1ポイント分のステータスアップは生命力を指定しましょう。



 キレート インビジブルストーカーLv1→Lv2(↑1)

 器用値 31(↑1)

 敏捷値 56

 知力値 53

 筋力値 23

 生命力 24(↑1)

 精神力 53


 スキル

 武芸百般 夜目 気配遮断 魔力遮断 反響定位 精密操作

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] MP回収[小]

 同調 透明化 影棲 時空属性 光属性 闇属性 火属性

 風属性 土属性 水属性 塵属性 氷属性 溶属性 木属性

 全耐性



 で、ステータス操作はいいんだが、キレートのマーカーは?

 あった。

 アクイラの分身の死体の上でククリ刀を手にして佇んでいます。

 いつの間に?


 後衛に位置したままであれば確認がし易いのだろうけどね。

 前衛で戦っていると目の前が魔物の体で埋まるのです。

 確認するのは困難だ。

 そして後衛に位置するつもりはない。


 まあいいさ。

 任せてみましょう。




【素材アイテム】神威鳥の翼 原料 品質B+ レア度8 重量7+

 英霊鳥アクイラの権威を示す翼。


 ふむ。

 大きいな!

 でもその大きさに比較したら軽い。

 断鋼鳥の翼の方が小さいけど重さは文字通り桁違いだ。

 他のアイテムと異なり、小さなマーカーが見えている。

 区別のため、なのだろうな。

 《アイテム・ボックス》に放り込む。

 これを確保したらお題はクリアであるのだろう。

 楽だったな。

 比較的、ですけどね。




 急に、影がオレの頭上に。

 召喚モンスター達が一気に緊張したのが分かる。

 いや、リグとキレートは分からないけど。


 見上げたらそこにいたのは巨人だ。

 マーカーが見えない!

 でも確認の必要は無いかもしれない。

 見覚えがあった。

 あのドゥルガーや思兼神と一緒にいた巨人だったと思う。

 名前は、えっと。

 何でしたっけ?

 手にしているのは、巨大な槌。

 岩鉄でも持つのは無理だろうな。


 あ、思い出した。

 エピメテウス、でしたっけ。




『兄上、今のうちに!』


 プロメテウスはその声に応えない。

 気絶でもしているのか?

 いや、瞼が開いた。

 意識はあるようだな。


 次の瞬間、周囲に地震が起きるかのような感覚が襲う。

 エピメテウスが手にする巨大な槌を撃ち込んでいるのだ!

 数撃で右手枷の根元の鎖が吹き飛んだ。


 そして左側も。

 あっという間だ。



『短慮な。唯では済まぬぞ?』


『考えるのは苦手なのですよ』


 足枷もまたあっという間に吹き飛んだ。

 何という早業。

 エピメテウスさんを怒らせるのは止めましょう。

 勝てそうな雰囲気は皆無だ。



『兄上!太陽がここを焼く前に逃げませんと!』


『待て。礼を失してはなるまい』


 プロメテウスは全身に力が入らないようだ。

 エピメテウスが回復呪文でも使ったのか、HPバーが一気に回復している。

 でも頭上の黄色いマーカーにはステータス異常を示すマーカーが重なっていた。



『お主ではアクイラを屠る事は誓約故に出来ぬ。この機会を狙っておったのであろう?』


『確かにそうですが』


『その責は我が負う。今更であるしな。それにこの小さき者の分もだ』


 意味は分からない。

 ただ、どうもいい状況に無い事は確かだろう。


 プロメテウスが自らを戒めていた鎖を手にすると、僅かに引っ張ったように見えた。

 岩壁に巨人を拘束していた鎖は見る間に巨人の手元に引き寄せられている。

 だがプロメテウスの手に鎖があるように見えない。


 鎖が、消えた。

 プロメテウスが握った掌を開くと、その掌の上に何かがある。

 小さ過ぎて見えない。



『我は何も持たぬ身である故、これで礼としたい。良いだろうか?』


「いや。礼も何も、こうなったのは偶然でして」


『侘びでもあるのだ。我には忌々しい存在であるが、汝には助けになるやも知れぬ』


 掌から何かを地面に落とした。

 何だ?




【武器アイテム:捕縛縄】グレイプニル 品質X レア度-

 AP? 破壊力? 重量- 耐久値?

 魔力付与品 属性?

 組紐状に編みこまれた鎖にして縄。素材は不明。

 太さと長さ、重さすらも使用者に応じて変化する。

 捕縛した対象の活力を奪う能力があるという。

 事実上この鎖で捕縛されたら自力で脱出は不可能。



 品質Xの武器だって?

 待て待て待て待て!

 外観は渋い色合いの濃い灰色の紐にしか見えない。

 風天羂索よりも細いだろう。

 持ってみたら感触は金属に近いかな?

 でも重たくないのです。

 不気味だ。




『小さき者よ、急ぐがいい』


『太陽が、来る!』


 頭上が不自然に明るくなっている気がします。

 いい傾向じゃない。


 巨人達の姿が霞のように消えていく。

 おっと。

 オレも退避すべき?

 急ぐとしましょう。

 行き先は?

 カロン爺様のいる中継ポータルに跳ぼう。

 ここは、危険だ。

 周囲の風景が真っ白になって行くのが見えていた。

 眩しい!

 目を開けていられない!



(テレポート!)


 目を開けたら洞窟の中。

 中継ポータルだ。

 薄暗い中でもプレイヤーが明かりを使っている筈だが、見えない。

 視界が白かった。

 先刻の太陽光の後遺症かね?



 カロン爺様は?

 いた。

 ケルベロスの傍です。

 マーカーに頼っているからこそ分かる。

 黄色のマーカーは2つ。

 それだけはかろうじて確認出来ていた。



 徐々に洞窟の暗さに目が慣れて来たかな?

 カロン爺様の所に行こう。





 ケルベロスは食事を堪能している所だった。

 やはり近くで見てると極夜と違う。

 魔力の高さが特にそうだ。

 行動規範は食欲第一のようで大差は無いけどな!


 カロン爺様は?

 つまみ食いしようとしたパンケーキをケルベロスの尻尾の蛇に奪われてました。

 主従関係ってどうなっているんだ?



 周囲のプレイヤーが互いにヒソヒソ話をしている。

 気にしても仕方ない。

 ここはカロン爺様のお題クリアが優先であるのだ。




『なんと。もう持ってきおったのか!』


「はあ」


 目の前にあるのは神威鳥の翼。

 ケルベロスが興味を示しているようです。

 カロン爺様も本気で阻止している様子だ。

 魔力がこれまでになく、高い。

 空気が震えそうだ。

 それでも喰いたがる様子を隠そうともしないケルベロス。

 食欲、凄いな!


 オレにしても他人事ではなかった。

 極夜だ。

 明らかに狙っているだろう?

 3つの頭部は口を閉じたまま、おとなしくしている様子に見える。

 でも閉じた口から涎が溢れて外に出てますよ?

 それに目が真剣だ。

 視線が神威鳥の翼に固定されたまま、動いていない。


 同じ狼系の召喚モンスターであるヴォルフはどうか?

 平静だ。

 スキルに捕食融合や捕食吸収は無い。

 きっと平静だ。

 尻尾が揺れているけど、きっと平静だ。

 心配だ。



『数日は稼げるかと思ったんじゃがの』


「はあ」


 きっと運が良かったのだろう。

 目に見えないけど【解体】師匠の殊勲であるかもしれません。



『まあ、良いか。門を通過する事は許そう』


《称号【冥界門の通行証】を得ました!》



 おお!

 称号が増えた。

 だがこれ、どこを進めば良いのか?

 カロン爺様が船で渡ってきたまるで湖のような川であるのか。

 ケルベロスが守っていた洞窟の先であるのか。



『ワシは忙しいのでな。洞窟を進むがいい』


「そうします」


『だが心せよ。突破するのは並大抵の事では叶わぬものと知るじゃろう』


「はあ」


 ふむ。

 カロン爺様の言葉を信じるなら、かなりの強敵を期待していいのか?

 期待したいが、何しろカロン爺様の事だ。

 信じていいものか、不安が残る。

 オレと会話しながら、つまみ食いを狙っているのが分かるのだ。

 本当に神様なんでしょうかね?




 一応、神様であるのだろうし、礼を述べて丁寧に辞去したんだが。

 その会話にすらディネ貨幣を消費したのです。

 心の中で因業ジジイと叫びましたが何か?

 バレなければ正義だ。


 では、中継ポータルを出ましょう。

 時刻は午前10時20分。

 戦果は大いにあったと言えるが、戦闘が1回だけであるとも言えるのです。

 補充しに行こう。


 布陣はこのままで。

 何が相手になるのかな?

 期待は半分で進んでみよう。






《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『キレート』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 最初に遭遇したのは遥か昔に見たような、懐かしい英霊達だ。

 キグナスガーディアン・デネブ以下、総勢6名の英霊達。

 この洞窟には英霊様がいましたっけ。

 ここを通過してW7マップに抜けて以降、ここで経験値稼ぎはしていない。

 新鮮だ。


 まあ美人さんに迫られるのは悪い気がしません。

 でもね。

 やはり物足りない。

 【呪文融合】で全体封印呪文12連装を喰らわせたのが惜しくなる。

 フォース・ブラスト12連装でも対応出来てしまえそうだ。


 そうだな。

 フォース・ブラスト12連装は組んでおいていい。

 汎用性は高いしな。

 【呪文融合】も少し見直しだ。



 キレートのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1ポイント分のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 キレート インビジブルストーカーLv2→Lv3(↑1)

 器用値 31

 敏捷値 57(↑1)

 知力値 53

 筋力値 24(↑1)

 生命力 24

 精神力 53


 スキル

 武芸百般 夜目 気配遮断 魔力遮断 反響定位 精密操作

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] MP回収[小]

 同調 透明化 影棲 時空属性 光属性 闇属性 火属性

 風属性 土属性 水属性 塵属性 氷属性 溶属性 木属性

 全耐性



 レベルアップしたのは経験値の持越しがあったからだろう。

 あまりにも呆気ない。


 まあ目の保養にはなったからいい。

 リグの合法エロだ。

 密着したらどんな感触であるのか、確かめるのは垢BAN案件だろうからしないけどね。


 そう言えばリグとの戦闘は海中で行う事が多くなっていたな。

 本来はこういった洞窟や森の中でこそ、活きるのだと思う。


 うん。

 ここ数日、森林戦でまるで使ってなかったな。

 チェンジ・モンスターの手順にしても船岡の出番と被っていたりするし。

 大体、目標のレベル10に達していないのです。

 少し気にしておこう。





 分かれ道に到達。

 右側の洞窟はやや上に洞窟が続いている。

 抜けてしまえばW7マップになっていた筈だ。

 左側の洞窟はやや下にへと洞窟が続いている。

 ケルベロスが道を塞いでいた場所だ。

 今、そのケルベロスの姿は無い。

 地獄の門番が不在でいいんでしょうか?

 良くない。

 半分以上、職務放棄じゃないですかね?


 それにそろそろ強敵が欲しい。

 ここまで、出現したのは懐かしい英霊の皆さんだった。

 ウルサマヨールガーディアン・ミザールを筆頭にした英霊達。

 そしてキグナスガーディアン・デネブを筆頭とした英霊達だ。

 正直、眼中に無い。

 フォース・ブラスト12連装で先制、後は蹂躙で戦闘が終わってしまうからだ。

 ダメだ、ダメだ!

 これではいけない。


 だが。

 ケルベロスが通せんぼをしていた場所の先こそが本題だ。

 何がいるのか。

 期待?

 当然、あります。


 では、行こう。

 呪文の強化を継ぎ足して、と。

 強敵がいなかったらどうする?

 カロン爺様にクレームを入れよう。

 そうだな、そうするのがいい。


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv85

職業 サモンマスターLv23(召喚魔法修師)

ボーナスポイント残 52


セットスキル

小剣Lv50 剣Lv52 両手剣Lv45 両手槍Lv44 馬上槍Lv62

棍棒Lv53 重棍Lv51 小刀Lv48 刀Lv57 大刀Lv63

刺突剣Lv54 捕縄術Lv47(↑1)投槍Lv52 ポールウェポンLv61

杖Lv71 打撃Lv77 蹴りLv78 関節技Lv78

投げ技Lv78 回避Lv83 受けLv82

召喚魔法Lv85 時空魔法Lv72 封印術Lv70

光魔法Lv65 風魔法Lv65 土魔法Lv65 水魔法Lv65

火魔法Lv65 闇魔法Lv65 氷魔法Lv65 雷魔法Lv65

木魔法Lv65 塵魔法Lv65 溶魔法Lv65 灼魔法Lv65

英霊召喚Lv5 禁呪Lv64

錬金術Lv56 薬師Lv16 ガラス工Lv23 木工Lv41

連携Lv61 鑑定Lv55 識別Lv61 看破Lv28 耐寒Lv56

掴みLv62 馬術Lv63 精密操作Lv62 ロープワークLv47(↑1)

跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv57 登攀Lv49

平衡Lv62

二刀流Lv55 解体Lv57 水泳Lv24 潜水Lv37

投擲Lv50e

ダッシュLv55 耐久走Lv55 隠蔽Lv53

気配遮断Lv53 暗殺術Lv57

身体強化Lv57 精神強化Lv57 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv54 詠唱破棄Lv54

魔法効果拡大Lv57 魔法範囲拡大Lv57

呪文融合Lv53

耐石化Lv40 耐睡眠Lv45 耐麻痺Lv53 耐混乱Lv48

耐暗闇Lv51 耐気絶Lv58 耐魅了Lv46 耐毒Lv61

耐沈黙Lv45 耐即死Lv45


装備

金剛杵×9 降魔秘剣×3 金剛秘剣×3

倶利伽羅剣×4 迦楼羅剣×2 布都御魂×7

胎蔵秘刀×1 修羅刀×4

護霊樹の杖×1 珪化木の杖+×2 雪劣竜の杖+×2

裁きの杖×1 如意輪錫杖×2

珪化木のトンファー+×2 氷雪竜のトンファー+×2

双角猛蛇神の投槍+×1 双角猛蛇神の長槍+×1

亜氷飛竜の騎士槍+×1 双角猛蛇神の騎士槍+×1

亜氷飛竜のパイク+×1 天沼矛×4

腐竜王のメイス+×1

転生獅子のレイピア+×1 亜氷飛竜のエストック+×1

断鋼鳥の小刀+×1 断鋼鳥の刀+×1

断鋼鳥の斬馬刀+×1 断鋼鳥のコラ+×1

断鋼鳥のククリ刀+×2 断鋼鳥のデスサイズ+×1

呪魔蛇の小剣+×1 腐竜王の双杵+×1

妙見秘鎚×3 腐竜王の戟+×1 星天弓×3

怒りのツルハシ+×2 ミスリル銀の首飾り+×1

従魔蠍の隠し爪×2 雪豹のバグナグ×2

大氷雪竜の革鎧ほか

呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 風天羂索×3

グレイプニル×1(New!)

槌頭水竜のベルト 背負袋 アイテムボックス


称号 

老召喚術師の後継者 老死霊術師の祝福

森守の紋章 中庸を呼ぶ者

海魔討伐者 鍾乳洞踏破の証 墓守の紋章

魔人討伐者 氷雪竜討伐者 巨人王の謎掛け

金紅竜の誓約 翡翠竜の誓約 柘榴竜の誓約

蒼玉竜の誓約 白金竜の祝福 黒曜竜の祝福

翠玉竜の祝福

瑠璃光の守護者 除蓋障院への通行証

冥界門の通行証(New!)

呪文理外の証 拳聖 ウェポンデポ

ジェノサイダー


召喚モンスター

キレート インビジブルストーカーLv2→Lv3(↑1)

 器用値 31

 敏捷値 57(↑1)

 知力値 53

 筋力値 24(↑1)

 生命力 24

 精神力 53

 スキル

 武芸百般 夜目 気配遮断 魔力遮断 反響定位 精密操作

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] MP回収[小]

 同調 透明化 影棲 時空属性 光属性 闇属性 火属性

 風属性 土属性 水属性 塵属性 氷属性 溶属性 木属性

 全耐性


召魔の森 ポータルガード

黒曜、ジェリコ、クーチュリエ、獅子吼、モジュラス、清姫、バンドル

スコーチ、守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、虎斑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ