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505

 N8マップのエリアポータル、相克の城に到着。

 その様子は若干だが変化しているように見えた。

 荒れた様子が消えつつある。

 いい傾向だ。

 でも中には入りません。

 ここには狩りに来ているのだから。


 そして天候は曇り。

 陰鬱な雰囲気がある。

 まあ雪が降っていないだけマシだが。

 空中戦をするのに大きな問題はないだろう。


 では短い時間になるけど空中戦だ。

 布陣を変更しよう。

 船岡、テフラ、岩鉄は帰還だ。

 蒼月、ノワール、ビアンカを召喚しました。

 布陣を確認しましょう。

 蒼月、ノワール、アイソトープ、ビアンカ、メジアンだ。


 戦力に不足があるとは思わない。

 最も大きな問題があるとすれば一点に集約される。

 寒さだ。

 それなのにここで狩りをする理由は何か。

 アイソトープとメジアンのブレス攻撃だ。

 相性は良い筈。

 熱いからね!

 ここの魔物は氷属性が多い。

 偏っているのであれば対策もまた容易だ。


 うん。

 既に寒いな。

 しかも空中戦なのだ。

 移動するだけで体温が奪われるような状況になるのは経験済みだ。


 防寒具は使おう。

 そして召喚モンスター達は全員、平気なようだ。

 オレも鍛え方が足りないな。

 寒稽古なんて定番であるというのに。



 まあ、いいさ。

 狙う魔物は?

 まずはコール・モンスターで確認しましょう。

 魔物は?

 いる。

 結構、いや、かなりいる。


 フロストウルフの群れ、それにフロストジャイアントがいる。

 空中ではレッサードラゴン・スノウ、アイスワイバーンやスノーワイバーンの群れ。

 フェアリープリンセスにスプライトもいるけど、途切れ途切れにしか捕捉出来ない。

 こいつ等は精霊も引き連れている筈だ。


 当面は?

 空中から地上にいる奴を片っ端から狩ろう。

 気楽に、狩ろう。

 いや、気楽に狩れそうにないのもいますけどね。


 何、空中から襲って無理そうであれば逃げたらいいのだ。

 でもね。

 無理、とは思わない。

 無茶ではあるまい。

 無謀とは程遠い。


 より高い難易度の魔物を見ていますからね。

 強敵の基準がまたおかしくなっているか?

 多分、そうです。

 スタッグドラゴンや禍神が基準的に適正と感じるようになっている。

 強敵、というのとは違ってきてます。


 おかしい。

 いつの間にこうなった?


 そろそろ9マス先に行くべきなのかもしれませんけど。

 今は2匹のレッサードラゴンの育成に夢中です。

 それに魔人もまだいるしな。

 今度はどんな嫌がらせをしようか?

 これも見逃せない。



 おっと。

 今は、狩りだ。

 呪文の強化は必須で。

 レジスト・アイスは追加だ。

 センス・マジックも、ですな。


 では、地上戦力を襲いに行こう。

 フェアリープリンセスにスプリガン、それに精霊達は?

 面倒だ、フォース・ブラスト8連装で対処しよう。

 それに【呪文融合】にブリザード8連装もファイア・エクスプロージョン8連装にしておこう。

 文字通り火力重視で。


 オレの得物は普段通り、双角猛蛇神の騎士槍だ。

 フロストジャイアントは大きい。

 突撃のし甲斐がある。


 それでは始めよう。

 夕方までにフロストジャイアントは狩り尽くせたらいいかな?

 いや、それはさすがに無理か。






《只今の戦闘勝利で【召喚魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【闇魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【溶魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【耐寒】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【暗殺術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で職業レベルがアップしました!》

《只今の戦闘勝利で種族レベルがアップしました!任意のステータス値2つに1ポイントを加算して下さい》



 ああ、焦った。

 フェアリープリンセスにスプライトだ。

 可能性はある、と思っていたけど本当にいたよ。

 何が?

 スプリガン・センチネルがだ。


 ま、いいか。

 アイテムさえ剥げたら満足です。

 ここまで、結構いいペースだったのです。

 特に雪竜石(劣)とか。

 ふむ。

 魔素融合で上位のアイテムを狙えるか?

 そうなると一気に数が足りなく感じる不思議。

 もっとだ。

 もっと、アイテムを寄越せ!



 基礎ステータス

 器用値 32

 敏捷値 32

 知力値 52

 筋力値 32(↑1)

 生命力 32(↑1)

 精神力 52


《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で65ポイントになりました》



 そして当然のようにインフォに続きがある。

 誰かな?



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『蒼月』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 いいタイミングでレベルアップになったか?

 時刻は午後6時10分だ。

 もうすぐ日が暮れる。

 夜になったら魔人の軍勢に迫ってみたいからな。

 少し気分も区切っておきたい。


 蒼月のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。



 蒼月 ペガサスLv21→Lv22(↑1)

 器用値 24

 敏捷値 54(↑1)

 知力値 32

 筋力値 35

 生命力 35

 精神力 24(↑1)


 スキル

 頭突き 踏み付け 体当たり 疾駆 耐久走 奔馬 蹂躙

 飛翔 蹴り上げ 遠視 広域探査 強襲 危険察知 空中機動

 衝角生成 翼生成 騎乗者回復[中] 物理抵抗[微] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[微] 光属性 風属性 土属性 水属性 雷属性




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ノワール』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 ところで、周辺の魔物は狩り尽くしたか?

 いや、把握しきれない魔物がいる。

 フロストウルフだ。

 こいつ等はコール・モンスターでも突如として反応が消失する事がある。

 結果として本日は数頭しか狩れていない。


 隠れている。

 きっとどこかに隠れている筈。

 探すのが面倒だからしないだけだ。

 運が良かったな!

 今日はこの辺で勘弁してやろう。


 うん。

 実はちょっとだけ悔しかったりします。


 ノワールのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。

 もう1点のステータスアップは知力値を指定しましょう。



 ノワール カーバンクルLv12→Lv13(↑1)

 器用値 18(↑1)

 敏捷値 55

 知力値 44(↑1)

 筋力値 16

 生命力 16

 精神力 44


 スキル

 噛付き 飛翔 浮揚 掘削 夜目 魔法抵抗[大] MP回復増加[大]

 時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 氷属性 雷属性 溶属性 木属性




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ビアンカ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 ビアンカも中々の活躍です。

 その呪歌はナイアスとはまた違った趣がある。

 そうだ、ロジットも加えて合唱させようかな?


 いかん。

 それでは駿河や野々村になってしまう!



 ビアンカのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 ビアンカ エンジェルLv12→Lv13(↑1)

 器用値 20(↑1)

 敏捷値 47(↑1)

 知力値 49

 筋力値 14

 生命力 14

 精神力 49


 スキル

 杖 弓 飛翔 浮揚 神霊 空中機動 物理抵抗[微]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 時空属性 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 木属性 雷属性 呪歌



 ふむ。

 これで終わり?

 アイソトープとメジアンのレベルアップはどうした?


 解せぬ。

 心置きなく魔人の軍勢に挑みたかったんだが。

 こればかりは仕方ないか。

 残念ではあるが経験値稼ぎは後日にしよう。


 それでは移動だ。

 行き先は召魔の森。

 そろそろポータルガードの面々も見直すべきだろう。

 新たなアイテムも増えているかもしれない。

 古代石柱も地味にあるから置いておかないといけませんし。 


 では、跳ぼうか。



 召魔の森に到着。

 だが。

 天気は小雨模様?

 まあそういう事もあるのだろう。


 周囲にはポータルガードの面々。

 ステータス異常はいない。

 だがMPバーがそれなりに消耗している?

 ほう。

 結構、苦戦を続けていると判断すべきなのだろう。

 いい傾向だ。

 ではスーラジには夕食を頼んでおこう。

 その間にポータルガードの面々を見直そうかね?





 さて、今から夜襲に行く訳だが。

 その間に少しでも経験値稼ぎをして欲しい面々がいる。

 ここに残そう。

 誰を?

 アイソトープにメジアンのレッサードラゴンペア。

 ダメだ。

 肉を際限なく喰いそうで怖い。


 ノワールとビアンカがいい。

 それに雷文も残そう。

 交代で連れ出すのは獅子吼、逢魔、極夜だ。


 よし。

 これでいいや。

 適当だけど。


 この召魔の森も経験値稼ぎをするのにいい場所になりつつあると思える。

 最近、ポータルガードの面々のレベルアップがインフォで良く来ますし。

 ノワールとビアンカも短期間のうちにいい感じで鍛えられる事だろう。

 期待したい。




 完全に作業場の様相となっている建屋に入る。

 あった。

 《アイテム・ボックス》だ。

 中に古代石柱を次々と放り込む。

 そしてチェック。


 愚者の石版がまた増えてる。

 そして塔の石版も2つ増えてました。

 うん。

 愚者の石版は1つ使ったばかりだしな。

 持って行こう。

 では塔の石版は?

 当然、使っておこう。

 拠点の強化に躊躇はない。

 ないったらない。

 使えるものは使ってしまえばあら不思議。

 スッキリなのです。





 塔の石版を設置し終えると双角猛蛇神の角を1つ、魔素融合で作ってみました。

 短縮再現で。

 だがダメだな。

 品質が低過ぎます。

 出来上がった双角猛蛇神の角は品質Cとか、不満だ。

 これは槍にせず保留にしよう。

 ま、確認が出来ただけ良しとするか。



 一仕事を終えてスーラジの元に戻ると既に夕食が出来上がっていた。

 作って貰ったのは玄米を炊いたものだ。

 結構柔らかい。

 びっくり炊きかな?

 固めの茹で玉子に野菜炒め。

 いいぞ。

 夜食みたいだけど。


 さて、本日のメニューは?

 魔人の軍勢だ。

 その根幹は5匹のキムクイ・スレイブに1匹のキムクイガード・スレイブ。

 普通なら削れなくはない戦力だが魔人が張り付いていると厄介に過ぎる。

 名前持ちの2匹のドラゴンは当然、最大の脅威だ。

 その他の戦力もとんでもない規模で追従している。


 一気に全滅とか、無理。

 無茶にも程がある。


 今日も戦力の一端を見ただけで大変な目に遭ってるし。

 いや、結構楽しい空中戦であったけどね。


 問題は偵察したのはいいが、全容の把握に至っていない事だ。

 特にダークサモナー。

 あれは先に片付けておきたい奴だ。

 呪禁導師もだな。

 あれがいるとキムクイ・スレイブとキムクイガード・スレイブの戦力強化が半端ないのだ。

 他の魔人も厄介なのが多い。


 サンタコス?

 あれはいいや。

 見付けたら殺意が爆発するかもだが、どうにかするしかない。

 パントマイマー系?

 あれは避けよう。

 関わっていたら精神的に病んでしまいそうだ。



 それでは、出発だ。

 布陣は?

 テロメア、フローリン、逢魔、パナール、ジンバルだ。

 概ね魔人の軍勢がどの辺りにいるのかは把握している。

 N2W5マップにそろそろ到達している事だろう。

 うん。

 さすがにそこまで、進んでいるよね?

 亀の歩みだけどさ。


 テレポートで跳ぶ先はN2W5マップのエリアポータル、笹峰寺だ。

 そこから地上を行く事になる。

 但し、戦闘は出来るだけ避けよう。

 派手な攻撃も禁止で。

 飽くまでも移動を優先だ。

 移動だ。

 襲われたらその限りではないけどね。







《只今の戦闘勝利で【ポールウェポン】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『フローリン』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 いや、だからさ。

 飛天、大自在天達、十二神将とか、今日は多くないか?

 派手な戦闘は避けたいというのに。

 避け切れてない。

 まあ真正面から叩き潰しました。

 逃げる?

 ああ、そういう選択肢もありましたっけ。


 周囲にユニオンを組んでいるプレイヤーもいるのは見えていた。

 それでいて遭遇する数は多く感じる。

 法則って奴?

 多分、そうだ。

 そうでなければ運営の悪意だろう。


 フローリンのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点のステータスアップには器用値を指定しましょう。



 フローリン クレイジーバットLv15→Lv16(↑1)

 器用値 40(↑1)

 敏捷値 58(↑1)

 知力値 20

 筋力値 29

 生命力 29

 精神力 20


 スキル

 噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 隠蔽 追跡 監視 吸血

 毒 暗闇 混乱 麻痺 忘却 高周波 毒耐性 耐即死




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『パナール』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 パナールは目立ってない筈。

 そう。

 確かに目立っていない。

 元々暗い体表に装備も真っ黒だ。

 目立つ筈も無い。


 オレも攻撃呪文は目立たないようにしてます。

 エフェクトで言えばディストーション・ジャベリンは効果が高い割りに目立たない。

 いや、本気で目立たないようにするにはダーク・プリズンが一番手っ取り早いだろう。

 それは手間を掛ける事を意味する。


 いかんな。

 時間を費やし過ぎている。

 少し急ぎたいのですが。

 いや、もうすぐ魔人の軍勢を捕捉出来ると思うのです。


 もう少しだ。

 これも試練。

 見付からない事を優先でいい。


 パナールのステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 パナール スヴァジルファリLv18→Lv19(↑1)

 器用値 35

 敏捷値 48

 知力値 15

 筋力値 48(↑1)

 生命力 52(↑1)

 精神力 15


 スキル

 噛付き 踏み付け 体当たり 回避 疾駆 夜目 耐久走

 奔馬 蹂躙 蹴り上げ 重装 騎乗者回復[微] 自己回復[小]

 魔法抵抗[中] 光属性 闇属性




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ジンバル』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 連戦もレベルアップが伴えば気にはならないんだが。

 今日は経験値稼ぎが目的ではないのだ。

 苦悩。

 ああ、格闘戦がしたくなってくる。

 ある意味で禁断症状だ。


 称号のバトルシンドロームが笑えない。

 笑えないな、こりゃ。


 ジンバルのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値ですか。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しました。



 ジンバル ヤクトレーヴェLv15→Lv16(↑1)

 器用値 29(↑1)

 敏捷値 59(↑1)

 知力値 18

 筋力値 44

 生命力 44

 精神力 18


 スキル

 噛付き 引裂き 威嚇 回避 疾駆 危険察知 夜目 遠目

 隠蔽 追跡 監視 気配遮断 物理抵抗[微] 自己回復[微]

 強襲 闇属性 土属性 毒耐性



 さて。

 そろそろ気にしておこう。

 あの魔人の軍勢だ。

 見えて来てもおかしくはないと思うのだが。


 広域マップではもうすぐN3W5マップだ。

 まさか。

 マップを超えていないのか?




 その影を見付けたのはフローリンだ。

 大変結構。

 運良く隠れるだけの余裕が出来た。

 横を通り過ぎるのは魔人だ。

 スヴァジルファリ・スレイブに騎乗している。

 その数、2騎。

 魔人はメンター級だ。


 そろそろ危険な雰囲気?

 ここから、どうする?

 インビジブル・ブラインドを使って接近する事も可能だが。

 魔人の指輪だ。

 使ってみよう。


 魔物に襲われるリスクを考えたら召喚モンスターを帰還させるのは好ましくないが。

 ここは妥協しよう。


 召喚モンスターを帰還させる。

 そして怒炎蛇竜のコートを身に付け、右手の篭手を外した。

 魔人の指輪を右手の中指に嵌める。

 適当に選んだらドットーレになっていた。

 まあ、いいや。

 何であっても大きな差はあるまい。

 ここからは徒歩で接近してみよう。

 魔人に遭遇しても問題はない筈だ。





 魔物、というか仏様シリーズに接近しても戦闘にならない。

 何ですかこれ?

 面倒はないけどさ。

 ちょっと面白くない。

 まるで無視されているように感じる。


 だがここは急げ。

 プレイヤーに見付かったら狩られてしまうかもしれない。

 その危険は高いだろう。

 怖い。

 きっと攻略組のトップクラスとかがいるに違いない。

 怖過ぎる。


 少し走るか。

 いや、少し待て。

 魔人を見付けた。

 ソリを牽くトナカイさん達。

 御しているのはダークサンタだ。

 低い高度を飛んでます。


 殺意。

 だがここは便乗だ。

 右手を掲げる。

 夜だし見付かりやすいよう、フラッシュ・ライトを使う。


 ヘイ、タクシー!

 乗車拒否したら殺す。

 絶対に、殺す。

 殺しちゃうよ?




 本当に目の前にソリがある。

 タクシーを捕まえました。

 いや、タクシーにしてはレトロであるしメーターはない。

 そしてダークサンタは無言のままだ。

 こいつもかよ。

 ま、いいけどね。


 ダークサンタの隣に強引に割り込む勢いで乗り込む。 


「琥珀竜の元へ行け」


 不遜に。

 どこまでも不遜に命じてみた。

 さあ、どうなる?


 サンタさんはソリを出発させた。

 そして北北西へと向かうようだが。

 おお、これはいいタクシー。

 許す。

 殺そうかと思ったけど、いい友達になれそうだ。





 魔物にも魔人にもスルーされて辿り着いたのは?

 N3W5マップの南端、やや東に寄っている。

 そして見付けました。

 上空から見えるのは6つの小山のような影。

 周囲の篝火に浮かんでいるのはキムクイ・スレイブだ。

 その位置関係は正五角形だな。

 中央にキムクイガード・スレイブ。

 そして琥珀竜と雲母竜もいる。


 そしてダークサンタはオレのリクエストの通り、琥珀竜の目の前に降りて行く。

 おいおい。

 凄い光景だな!




 琥珀竜 モスドラゴン Lv.35

 イベントモンスター 魔物 睡眠中

 戦闘位置:地上、空中、水中 ???



 雲母竜 スカラブドラゴン Lv.31

 イベントモンスター 魔物 睡眠中

 戦闘位置:地上、空中、水中 ???



 寝てるの?

 馬鹿なの?

 死ぬの?

 いっそ死んでしまえよお前ら!

 まあキムクイガード・スレイブは起きているみたいだけどさ。



 キムクイガード・スレイブ Lv.42

 イベントモンスター 魔物 待機中

 戦闘位置:地上 ???



 周囲のキムクイ・スレイブも3匹が起きていて、2匹は寝ている。

 こうして見ると太平楽だな。


 魔人は?

 魔物が多過ぎて何が何やら。

 良く分からないな。

 半分は休んでいる感じだが、騒いでいるのもいる。

 オレなら眠れないね!




「よし、いいぞ」


 ダークサンタの肩を叩く。

 ありがとうダークサンタ。

 再び君を殺すような機会が無い事を祈ろう。

 因みにタクシー代は無い。

 ダークサンタは文句も言わずに飛び去って行く。

 無賃乗車なのに申し訳無い気分だ。



 さて。

 このカオスな状況でどうする?

 目立つ行動は良くない。

 寝ている琥珀竜の翼の影でインビジブル・ブラインドを使う。

 次は?

 フライの呪文だ。

 空中をゆっくりと移動したら見付かる可能性は少ないだろう。

 大軍であるが故に警戒は厳しくない。

 行けると思える。


 最初に狙うのは寝ているキムクイ・スレイブの頭上にいる魔人。

 可能な限り、仕留めて行こう。

 静かに。

 飽くまでも静かに。

 どこまでバレずに仕留めていけるか?

 これはこれで挑戦する価値がありそうだ。




 でもね。

 暗殺者の気分だ。

 いつの間にか慣れてしまいそうになるのが怖い。

 オレはサモナー系のプレイヤーである筈。

 なのにやっているのは潜入しての暗殺稼業だ。

 どうしてこうなった。









《これまでの行動経験で【小剣】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【ロープワーク】がレベルアップしました!》


 寝ている2匹のキムクイ・スレイブの頭上にいる魔人は仕留め終えた。

 ダークサモナーは1名、混じっていたようだが。

 まあまあ?


 今回は従魔蠍の隠し爪も活躍してます。

 即死が1名。

 その1名がダークサモナーなのだから分からないものだ。


 ま、ここまではまだいい。

 寝ているキムクイ・スレイブは鈍感なようで、頭上に気が付いている様子は無かった。

 そして周囲で魔人が消えている事に気が付いている様子も無い。


 なんなのこれ。

 チョロ過ぎませんか?


 まあ、いいか。

 次だ。

 今度は起きているキムクイ・スレイブの頭の上にいる奴だ。

 どこまでバレずに済むかな?

 周囲の魔物が騒いでいるのが多少の救いになっているように思う。








 そろそろ、潮時か?

 異常に気が付いた魔人がいやがる。

 見回っているのはアクロバットメンターにパントマイムメンター。

 まだ2名か。

 急いだ方がいいな。


 残るのは?

 キムクイ・スレイブ1匹の頭の上。

 それにキムクイガード・スレイブの頭の上にいる連中だ。

 周囲の魔物の中にも魔人はいるだろう。

 集まって来られたら厄介だ。


 空中から眼下を見る。

 まだ襲っていないキムクイ・ガードの頭上にいる魔人は4名。

 起きていた奴は先刻、異常に気付いた連中なのかね?

 少ない。

 そして4名は全員が寝ている。


 いかん。

 声に出して笑ってはいけない。

 これは美味しい。

 遠慮なく、仕留めに行こう。





《これまでの行動経験で【風魔法】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【隠蔽】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【気配遮断】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【暗殺術】がレベルアップしました!》


 ふむ。

 アクロバットメンターにパントマイムメンターはまだオレの姿を把握していないようだ。

 死体が残ればまだいいんだろうけどね。

 残っていない。

 消えているように見える事だろう。


 ここまで、ダークサモナーは2名。

 多いんだか少ないんだか。

 周囲にいる魔物達の中にも魔人はいる。

 でも魔物が多過ぎるし、ダークサモナーだけを選り分けて【識別】するのは困難な有様だ。

 後回しだ。


 アクロバットメンターにパントマイムメンターはどうする?

 あの2名も後回しだ。

 優先して狙うべき相手はほかにいる。

 キムクイガード・スレイブの頭上にいる連中だ。

 当然だがリスクは大きい。

 何といってもキムクイガード・スレイブは起きた状態なのだ。

 無用な刺激を与えず、頭上の魔人を屠れるだろうか?

 少し怖いかもな。





 プルチネッラ Lv.65

 イベントモンスター 魔人 待機中

 戦闘位置:地上



 夜なのに目立つ奴だ。

 白い衣服に黒の仮面かな?

 簡素に見えてそうではないだけの気品を感じる。

 戦場とは思えない違和感だ。


 ようやく名前持ちの魔人がいたか。

 レベルも高い。

 だが危機感は足りないようである。



「様子がおかしい、確かめよ!」


 起きていたマッドクラウンとナイフジャグラーに指示する。

 それはまあ許せる。

 でも周囲で寝ている魔人を起こして歩哨を増やすべきなんじゃないの?


 上司が無能だと困るな

 いや、レベルが高い名前持ちの魔人であるだけに残念だ。

 オレにしてみたら好機であるんですがね。



 では、これまでと同様の手順で。

 基本は六芒封印4連装と七星封印4連装で組んだ【呪文融合】だ。

 ここまで、魔人共を封印しているんだが気付かれていない。

 魔人の指輪の効果もあるのだろう。


 ありゃ。

 キムクイガード・スレイブまで封印してしまっている。

 ま、それは無視で。

 どうせ仕留めるのは無理だ。


 プルチネッラの背後へと慎重に降りる。

 レビテーションの呪文を掛けて、フアイの呪文をキャンセルだ。

 これだとかなり着地の音を抑えられる。

 ここまで、起きているキムクイ・スレイブにも悟られていない。


 目の前にプルチネッラの後姿。

 オレの左手には呪魔蛇の小剣。

 右腕でプルチネッラの首を抱えて引き寄せる。

 片手だが裸絞めだ。

 正確に入っていないが、これで十分。

 左手の小剣がプルチネッラの左胸に吸い込まれて行く。

 マーカーを、見る。

 プルチネッラのHPバーが一気に減って行く。

 おお?

 HPバーが砕け散ったように消えてしまった。


 即死、なんだろうな。

 いいタイミングだ。



《これまでの行動経験で【小剣】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【関節技】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【暗殺術】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【呪文融合】がレベルアップしました!》


 レベルアップ?

 それはいい知らせだが気にしてる暇は無い。

 プルチネッラの死体は消え、新たな魔人の指輪が追加となった。

 いかんな。

 他に名前持ちの魔人を探したくなる誘惑に駆られている。

 ここは抑えろ。


 寝転がっている魔人は全てメンター級、しかもダークサモナー2名を含んでいた。

 全部で6名、いる。

 これは美味しい。

 喉笛に小剣で突き通し、そのまま切り裂いて行く。

 最優先はダークサモナーだ。

 6名いるうち、最後の魔人は即死であったようです。

 仕留めるまでの時間にはそう大きな差はないのだが、地味に嬉しい。


 キムクイガード・スレイブの様子は?

 異常無し。

 アクティブではなく、パッシブでもない。

 待機中の表示のままだ。



 視界の端で何かが動いている。

 雲母竜だ。

 どうやら起きたようです。

 そして琥珀竜も。

 全身に宿る魔力が徐々に高まっていくようだ。


 マズい。

 ここは撤退だ。


 フライの呪文を選択して実行。

 まだオレの手には魔人の指輪が嵌ってはいる。

 見付かってもどうにか切り抜けられるかもだが、確証など無い。



 夜空に向けて少しずつ速度を上げながら高度を取る。

 周囲はかなり騒がしくなっているようだ。



 では、確認だ。

 魔人の指輪も外そう。

 検証するには邪魔だ。

 動画の記録も開始。

 選択して実行したのは?

 【呪文融合】によるファイア・エクスプロージョン8連装だ。


 狙うのは?

 キムクイ・スレイブ5匹にキムクイガード・スレイブ。

 そして琥珀竜に雲母竜だ。

 ちょうど大きな的が8つある。


 呪文はすぐに発射せず、溜めを作ってテレポートの呪文を選択して実行。

 攻撃呪文を叩き込んだらすぐに逃げる為だ。



「「「「「「「「ファイア・エクスプロージョン!」」」」」」」」 


 8つの攻撃呪文が炸裂する。

 上空から見てたから壮観だ。

 8つの火球が着弾すると豪快に爆発する。

 さて。

 攻撃呪文が通っているかどうか、確認は動画任せだ。

 今は、逃げよう。



「テレポート!」


 そして逃走。

 これ以上は、無理!

 名前持ちの魔人を仕留めただけでも上出来と思っておこう。




 薄明の里に到着。

 到着して安心してしまうと後悔が始まった。

 惜しい。

 つくづく、惜しい。

 殺し損ねている魔人がまだまだたくさんいた筈。

 途中で気付かれたのは痛かった。



 それに不満もある。

 単独行動で結構な戦果だと思うのだが、オレの種族レベルのアップは?

 今日、レベルアップしたばかりであるし、望みが高過ぎなのかもしれないけどね。

 戦闘、というか派手なのは最後のファイア・エクスプロージョン8連装だけだった。

 格闘戦の成分も不足している。


 時刻は?

 もう午後11時20分だ。

 しまった。

 もうそんな時間?


 ここに跳んだのも禍神との格闘戦を楽しみにしてたんですが。

 つくづく、惜しい。

 夕方以降の移動中の戦闘が余計だったか。


 動画の確認はどうしよう?

 明日でいいか。

 召魔の森に跳ぼう。

 装備の修復を終えたらログアウトだ。

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv65(↑1)

職業 サモンマスターLv3(召喚魔法修師)(↑1)

ボーナスポイント残 65


セットスキル

小剣Lv29(↑2)剣Lv32 両手剣Lv28 両手槍Lv34 馬上槍Lv46

棍棒Lv31 重棍Lv28 小刀Lv28 刀Lv32 大刀Lv28

刺突剣Lv31 捕縄術Lv34 投槍Lv31 ポールウェポンLv29(↑1)

杖Lv56 打撃Lv56 蹴りLv57 関節技Lv57(↑1)投げ技Lv56

回避Lv59 受けLv58

召喚魔法Lv65(↑1)時空魔法Lv52 封印術Lv48

光魔法Lv46 風魔法Lv47(↑1)土魔法Lv46 水魔法Lv46

火魔法Lv46 闇魔法Lv47(↑1)氷魔法Lv46 雷魔法Lv46

木魔法Lv46 塵魔法Lv46 溶魔法Lv47(↑1)灼魔法Lv46

英霊召喚Lv4

錬金術Lv38 薬師Lv13 ガラス工Lv13 木工Lv32

連携Lv46 鑑定Lv42 識別Lv47 看破Lv16 耐寒Lv31(↑1)

掴みLv46 馬術Lv45 精密操作Lv46 ロープワークLv34(↑1)

跳躍Lv39 軽業Lv39 耐暑Lv37 登攀Lv17 平衡Lv37

二刀流Lv38 解体Lv42 水泳Lv18 潜水Lv19

投擲Lv33

ダッシュLv39 耐久走Lv39 隠蔽Lv24(↑1)気配遮断Lv24(↑1)

暗殺術Lv20(↑3)

身体強化Lv44 精神強化Lv44 高速詠唱Lv45

魔法効果拡大Lv44 魔法範囲拡大Lv44

呪文融合Lv32(↑1)

耐石化Lv20 耐睡眠Lv21 耐麻痺Lv26 耐混乱Lv24

耐暗闇Lv22 耐気絶Lv31 耐魅了Lv20 耐毒Lv36

耐沈黙Lv23 耐即死Lv23


基礎ステータス

 器用値 32

 敏捷値 32

 知力値 52

 筋力値 32(↑1)

 生命力 32(↑1)

 精神力 52


召喚モンスター

フローリン クレイジーバットLv15→Lv16(↑1)

 器用値 40(↑1)

 敏捷値 58(↑1)

 知力値 20

 筋力値 29

 生命力 29

 精神力 20

 スキル

 噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 隠蔽 追跡 監視 吸血

 毒 暗闇 混乱 麻痺 忘却 高周波 毒耐性 耐即死


蒼月 ペガサスLv21→Lv22(↑1)

 器用値 24

 敏捷値 54(↑1)

 知力値 32

 筋力値 35

 生命力 35

 精神力 24(↑1)

 スキル

 頭突き 踏み付け 体当たり 疾駆 耐久走 奔馬 蹂躙

 飛翔 蹴り上げ 遠視 広域探査 強襲 危険察知 空中機動

 衝角生成 翼生成 騎乗者回復[中] 物理抵抗[微] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[微] 光属性 風属性 土属性 水属性 雷属性


パナール スヴァジルファリLv18→Lv19(↑1)

 器用値 35

 敏捷値 48

 知力値 15

 筋力値 48(↑1)

 生命力 52(↑1)

 精神力 15

 スキル

 噛付き 踏み付け 体当たり 回避 疾駆 夜目 耐久走

 奔馬 蹂躙 蹴り上げ 重装 騎乗者回復[微] 自己回復[小]

 魔法抵抗[中] 光属性 闇属性


ジンバル ヤクトレーヴェLv15→Lv16(↑1)

 器用値 29(↑1)

 敏捷値 59(↑1)

 知力値 18

 筋力値 44

 生命力 44

 精神力 18

 スキル

 噛付き 引裂き 威嚇 回避 疾駆 危険察知 夜目 遠目

 隠蔽 追跡 監視 気配遮断 物理抵抗[微] 自己回復[微]

 強襲 闇属性 土属性 毒耐性


ノワール カーバンクルLv12→Lv13(↑1)

 器用値 18(↑1)

 敏捷値 55

 知力値 44(↑1)

 筋力値 16

 生命力 16

 精神力 44

 スキル

 噛付き 飛翔 浮揚 掘削 夜目 魔法抵抗[大] MP回復増加[大]

 時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 氷属性 雷属性 溶属性 木属性


ビアンカ エンジェルLv12→Lv13(↑1)

 器用値 20(↑1)

 敏捷値 47(↑1)

 知力値 49

 筋力値 14

 生命力 14

 精神力 49

 スキル

 杖 弓 飛翔 浮揚 神霊 空中機動 物理抵抗[微]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 時空属性 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 木属性 雷属性 呪歌


召魔の森 ポータルガード

黒曜、テイラー、クーチュリエ、ペプチド、雷文、守屋

スーラジ、久重、ノワール、ビアンカ


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