408
《フレンド登録者からメッセージが2件あります》
《ポータルガードにより配備の召喚モンスター『ポーセリン』がレベルアップしました!》
《『ポーセリン』のステータスを確認して下さい》
ログインした時刻は午前6時10分。
ちょっと普段の時刻からはやや遅くなったか?
まあここから多少でも挽回しましょう。
文楽を召喚しておいて、と。
朝食の用意をして貰う間に昨夜出来なかった事をやっておこう。
装備の修復だ。
そうそう、護鬼も召喚しておかないとな。
修復があるし。
文楽の矢もかなり回収はしているのだが、修復不能の物もある。
矢尻で再使用できそうな奴は矢にしないといけない。
で、メッセージは何でしょう?
『依頼のあったベルトが出来上がりました。本日、事情があって静かなる竹林にいます』
サキさんだ。
幻夢馬のコードバン製の腰ベルトに肩ベルト、か。
どんな出来なんだろう?
添付ファイルはない。
期待させる戦略かな?
『キムクイ戦の精算分が可能になりました!午前9時までなら例の中継ポータルにいます』
ふむ。
添付ファイルによると魔晶石で5つ分でした。
結構、大きいな。
行かないといけない場所は2箇所だけど、今のオレには問題がない。
テレポートがあるからな。
おっと、ポーセリンのステータスも確認しておこう。
ポーセリン オートマトンLv3→Lv4(↑1)
器用値 33(↑1)
敏捷値 10
知力値 20
筋力値 15
生命力 13
精神力 11(↑1)
スキル
手斧 造林 農作 魔法抵抗[小] 自己修復[微]
順調?
近松もそうだが、外に連れ出して戦闘を経験させた方がいいのかな?
対戦で鍛えるのもいいんだが。
召魔の森だが、管理者としてパペット系の誰かがいないと困る。
石工屋として文楽を残すのもいいんですが。
古代石柱を自前で発掘させるとか?
城壁の石を組ませる、というのも出来るのかも?
当然だが手伝いは必要だけど。
まあ文楽が居なくなると困るのはオレなんだよね。
オレにとっては貴重な料理番なのだ。
当然ですね。
文楽を召魔の森に残す場合、料理スキルを持つパペット系の召喚モンスターが絶対に要る。
困った事だが。
新しくウッドパペットを召喚するのも検討すべきかな?
悩ましい。
その実、融合組を除けば2度のクラスチェンジをしていないのは近松とポーセリンだけだ。
これは不公平かな?
いや、戦力の底上げを考えたら成長はちゃんとさせるべきだ。
後輩のパナールだって2回のクラスチェンジをしているのだし。
なんとかしないと。
用件を片付けたら検討しておこう。
文楽の作った朝食は?
卵料理にパンとスープです。
スクランブル・エッグか。
ケチャップが欲しくなる。
欲望って本当に果てしないんですね。
色々と追加で欲しくなってしまう。
ケチャップってどう作るんですかね?
オレには間違いなく、作るのは無理だ。
食事は摂り終えた。
この洞窟での狩りは今後も継続したいな。
魔人は気になりますけど。
では、移動するか。
いや、跳ぶか。
布陣はどうしよう?
ヴォルフ、護鬼、文楽、ナイアス、言祝としましょう。
テレポートによる移動だけだが、布陣は充実させておきたい。
PK職だっていますからね。
「キースさん、オッス!」
「ああ、おはようさん」
いきなりのミオだ。
屋台で作っているのはどう見ても焼きそば。
うん。
どこかのイベント会場みたいになってるぞ?
この中継ポータルの固有名は?
鶴亀砦、になってますが。
こんな名前を付けたのは誰だっ!
いや、フィーナさんじゃないかと思えるんだが。
聞けるか?
止めておこう。
何か、地雷のような気がするし。
フィーナさんは食事中だったようだ。
同席していたのはマルグリッドさんだけか。
食事中ですけど、ちょっと失礼。
「ども」
「あら、いらっしゃい」
「おお?クラスチェンジ組?ちょっとこっちおいでー」
マルグリッドさんの手招きにアッサリと陥落するヴォルフ。
うん。
本当にどうなっているんですかね?
顔全体をワシワシと豪快に撫でられているんだが、気持ち良さそうに目を細めている。
うん。
幸せそうだし、いいかな?
「で、これがキースの分」
「随分と分配では手間だったんじゃないですか?」
「後々になって揉める手間を考えたらどうって事ないわよ?」
「はあ」
「揉め事の果てにPK職が増えても困るのよねー」
マルグリッドさんが何か怖い事を。
いや、実際にいるそうですけど。
当面はキムクイ狩りは難しいようだ。
参加希望者が多くなる反面、アイテムの分配に精算がやたらと大変みたいです。
何よりもオレ抜きで連戦が出来ないのがネックなのだそうで。
ありゃ。
連戦していいのに。
まあ無茶はしないでおこう。
現状、新たな狩り場で経験値稼ぎが出来ているしな。
もう少し、フィーナさんの所の資産が増えてからでもいいじゃないか。
キムクイは逃げはしないのだ。
そう思う事にしましょう。
「随分と急いでいるみたいだけど?」
「サキさんの所にも回らないといけないので」
「そうね。それがいいかもね」
「テレポート、か。取得出来るのってかなり先になりそうだわー」
「では、ここで」
フィーナさんとマルグリッドさんの所を辞去すると、鶴亀砦を出ました。
そして、テレポートを使う。
次は?
静かなる竹林だ。
「ども。サキさんはいますか?」
「ああ、ちょっと待ってて。ちょっと別の場所にいるから案内するよ」
生産職はリックだけではない。
与作、東雲、ハンネスもなにやら忙しそうに物資の積み替えを行っていた。
何でしょう?
中には召喚モンスターのクレイゴーレムや護法までいる。
「鶴亀砦の拠点化の物資でね。あちこちから集めているよ」
「へえ」
「今はまだ規模が小さいし、中継ポータルにしては貧弱だけどね。いずれはもっと大きくしたいなあ」
あそこは生産職だけでなく、全てのプレイヤーにとっていい拠点になるだろうな。
狩り場が近いし。
オレにしてみても経由地になる。
亀を狩りに行きたい場合、手間が大いに省けるだろう。
リックに案内された場所は新しい建屋だった。
竹編の仮小屋ではあるが、周囲の竹林がまるで間引きされていない。
わざと、なんだろうか?
出入り口の前ではNPCが数名。
プレイヤーも混じっているようだな。
竹を割って何やら作っている様子です。
リックはそれに気にする様子も見せず、建屋の中へと案内してくれた。
中は意外に広い。
倉庫と作業場を兼ねているように見える。
それ程に広い建屋の中にプレイヤーの数は数名といった所だ。
メンバーは?
サキさん、レン=レン、篠原、不動、それにレイナ。
つかレイナは身辺は大丈夫なんだろうか?
他にもいる。
武藤、桜、河野。
南方面でゴム製品作成を目指していた生産職のメンバーですな。
「ども、お久し振りです」
3名揃って深々とお辞儀せんでいい!
何か、どこかがくすぐったく感じるんですが。
「彼等には新しい定番商品の開発で手伝って貰ったのよ」
「そう、こんな感じですね」
視線でサキさんに問い掛けたら革鎧を見せてくれました。
以前にも見た試作品。
ヘザーが一時期、装備していたっけ。
【防具アイテム:革鎧】亜氷飛竜の革鎧+ 品質B+ レア度5
Def+18 重量8+ 耐久値320 破壊力低減-1 ブレス耐性[中]
亜氷飛竜の皮製の革鎧。表皮を一旦剥いで別々の加工をしている。
ブレス攻撃に対する耐性を備える。
[カスタム]
内張りにゴムシートを用いている、衝撃吸収用。
ほう。
破壊力低減が付いた?
内側にゴムシートを張り合わせているからなのだろう。
うん。
これ、いいな!
今のオレに、ではない。
文楽を見る。
近松もポーセリンも同じサイズだ。
つかウッドパペットの頃からサイズ変わらないんだよな。
後衛で弓使いではあるが、防具はよりいい物であるに越したことはない。
「定番のサイズで在庫はあるのかな?」
「そこそこあります」
「盾はいらない。腕カバーやブーツ、鎧兜まで一揃いで3組。いや、4組貰えるかな?」
「えっと、キースさんがいなかったら出来なかった装備ですし」
桜の目がリックを見る。
リックもそれだけで承知したみたいだ。
「値引きはしておくよ」
「お願いします」
「ああ、リック。精算はちょっと待ってね?本来の用件もあるんだし」
サキさんが取り出したのは?
肩ベルトに腰ベルトだ。
【防具アイテム:ベルト】幻夢馬のベルト+ 品質B+ レア度7
Def+12 重量2+ 耐久値320 ブレス耐性[中]
幻夢馬のコードバンで作られたベルト。表面は鏡面のような美しい光沢がある。
[カスタム]
全面に亜氷飛竜の皮を使用し、ブレスに対して強化されている。
※《アイテム・ボックス》拡充+3判定、懸架装備重量判定上昇[中]
「いい出来ですね」
「でしょ?素材がいいから私のレベルもいい感じで上がったのよ?」
「キースさんの持ち込み以外で2つ、作成してるんだっけ?」
「そう。さすがに緊張するわね」
おっと、そうだ。
戦争馬のベルトはどうしようか?
売りましょう。
後は建屋の中に積まれた物に目が行く。
矢だ。
束で買え束で!
それに矢筒も追加で1つ貰っておくか。
他にも食材やら道具や、も買い足しておこう。
リックはちょっとビックリした顔だったが。
当然、リックに精算して貰ったら持ち出しは多くなってしまいました。
でもフィーナさんの所で魔晶石を5つ得ているのだ。
魔晶石4つの持ち出しでも痛くない。
で、亜氷飛竜の革鎧なんだが。
文楽に装備させてみました。
革鎧にしてはそこそこに軽く、それでいて破壊力低減にブレス抵抗もある。
後衛に装備させて安心だろう。
無論、近松とポーセリンにも装備させる予定だ。
近松は弓使いだし、後衛になるのだが、ポーセリンは手斧使いだ。
より重要な装備になるだろう。
1揃い分、余るのは?
もう1体、ウッドパペット系を追加する気になってます。
無論、貴重な後衛にしたいのです。
「ああ、レイナにも作成依頼があるんですが」
「何?」
「弓、ですけど」
「待った!キースは木工持ってるじゃない!」
「え?」
「いや、木工があるなら自前で作れるよ?」
「木工で、いいんですか?」
そういえば。
弓ってどの生産技能が関係するんでしたっけ?
キムクイの爪って木材じゃないよね?
かと言って金属でもないし。
「一緒に作る?今も作業中だし」
しばし考える。
洞窟に戻って経験値稼ぎをしたかったんですが。
いや、これは無駄になるまい。
「お願いします」
「うむ、今後はレイナ師匠と呼ぶように!」
「レイナの方が遥かに格下でしょ?」
「木工に関しては先輩ですもの!」
サキさんの突っ込みにも即座に切り返すレイナ。
うん。
その通りだな。
「では宜しくご指導の程を、レイナ師匠」
「おっけー!」
「軽っ!」
そして臨時の弓作成講座です。
いいんだろうか、こんな軽いノリで。
素材はPK職が狙ってる素材ですよね?
【武器アイテム:弓】金縁亀の短弓+ 品質C+ レア度8
AP+7 M・AP+7 破壊力+0 重量0+ 耐久値450 射程50+
魔力付与品 器用値判定上昇[中]
金縁亀の爪を削りだして作られた短弓。
聖なる力を宿しており魔を穿つとされる。
サイズは小さく、狭い場所での取り回しも可能。
[カスタム]
半蛇姫の皮で強化されている。装備者に精神力判定+2が付与。
《これまでの行動経験で【木工】がレベルアップしました!》
ふむ。
中々の出来?
しかし面白いな、これ。
キムクイの爪だが、表皮とその内側とで弾性が大きく異なる。
表皮の削り具合が多いとより柔らかくしなる。
削り具合が少ないと硬めとなるのだが。
そうなると腕力がないと扱えない強弓となってしまう。
何も削らないと、弦を張るのも困難な弓になってしまうらしい。
弦は何か?
削った金縁亀の爪の表皮がそのまま、弦になってくれる。
滑り止めは皮がいいそうですが、半蛇姫の皮でなくてもいいようです。
分厚いのはダメみたいですけど。
「私の、見る?」
「はい」
【武器アイテム:弓】金縁亀の短弓+ 品質B レア度8
AP+9 M・AP+9 破壊力+0 重量0+ 耐久値480 射程55+
魔力付与品 器用値判定上昇[中]
金縁亀の爪を削りだして作られた短弓。
聖なる力を宿しており魔を穿つとされる。
サイズは小さく、狭い場所での取り回しも可能。
[カスタム]
半蛇姫の皮で強化されている。装備者に精神力判定+2が付与。
むう。
完全に品質で負けている。
フィジカルエンチャント・アクアは使ってあったんだが。
なんとなく、悔しいのです。
「最初でこれなら十分だって!」
「いや。もう少し品質を上げたいんですが」
「数をこなせばどうにかなるって!」
「ですよね」
こうなったら手持ちの金縁亀の爪は全部、弓にしてしまえ!
いや、丸々残っている金縁亀の爪はそのまま残そう。
作成依頼で返して貰った分だけでも十分な数になる。
余った分で金縁亀の弓はあと3張、長弓は2張、短弓は1張、作れる計算だ。
十分です。
目標は?
目指せ、品質Bですな。
《これまでの行動経験で【木工】がレベルアップしました!》
《これまでの行動経験で【精密操作】がレベルアップしました!》
最後に作成した長弓だけが品質Bでした。
つか作成途中で何度も【木工】レベルが上がってるよ!
どんだけの素材なんだよ、これ。
でもね。
その隣でレイナは品質B+を作っていたという。
さすがです、師匠!
「今ので【木工】レベル、上がったでしょ?」
「ええ。朝まではレベル15だったのが今はレベル19ですよ」
「そうなると思う!これ扱ってると大変だけどレベルアップも半端ないよ!」
それにしても凄いな。
金縁亀の弓シリーズが、である。
1張は近松に使わせるとして、だ。
こんなに弓が多くても困りますな。
売ろう。
売るのは金縁亀の弓が1張、長弓が2張、短弓が2張になるな。
「本当に売るのかい?」
「ええ」
「支払いが大変だよ。魔水晶でもいいかな?」
「十分です」
これは凄い。
お金のやり取りが貨幣ではなく魔水晶や魔晶石が中心になり始めている。
まあ貨幣を大量にジャラジャラと持っているのも変だけど。
それに金縁亀の爪だ。
丸々と残っている。
弓に加工して売る方が高値になるのは明らかだしな。
暇な時に作って、売ろう。
「ところでここ、大丈夫なのかな?」
やはり心配になる。
扱っている代物が代物だ。
PK職が寄って来るんじゃないの?
リックの視線が飛んでくる。
そしてユニオン申請。
ウィスパー機能を使いたいのかな?
無論、受諾するんですがね。
『この建屋の表でNPCと作業していたプレイヤーですけど。全部、PKK職ですよ』
「本当に?」
『ええ。フィーナさんもかなり本気でカウンターを考えているようです』
「げえ」
世の中には本当に馬鹿な奴がいるな。
オレの中では一番敵に回しちゃいけないプレイヤーだと思うんですが。
リックの表情も苦笑、といった所です。
カウンター、ね。
どんな復讐劇になるんでしょうか?
恐ろしくて聞きたくもない。
傍目には唯の作業場兼倉庫を辞去しました。
建屋の前では変わらず竹を加工するNPCとプレイヤー達。
ダメだ。
オレにはまるで【看破】出来ません。
本当にPKK職なのかな?
まるで自信が持てません。
時刻は?
午前10時30分か。
一旦、召魔の森にでも行こうかな?
そうすべきだ。
新しくウッドパペットも召喚したい。
おかしな連中がいる。
静かなる竹林の中をゆっくりと歩いていたら、気が付きました。
【看破】が効いているようです。
それはサモナー系と思われるプレイヤー3名だ。
外見だけであれば、サモナー系3名のユニオンに見える。
ここで見掛けるのはそう珍しくないだろう。
だが。
2名は完全に真っ黒です。
変装していたが、分かる。
サブリナ 種族Lv.24 人間 女性
ブラックサモナー/セージLv.10
待機中 反撃許可あり エリアポータル内につき注意!
戦闘位置:地上
菅生 種族Lv.23 人間 男性
ブラックサモナー/ネクロマンサーLv.9
待機中 反撃許可あり エリアポータル内につき注意!
戦闘位置:地上
サブリナと菅生だ。
付き従う召喚モンスターは誰のものかは分からない。
全部で、15匹いる。
グレイウルフ、オオフクロウ、といった探索能力に秀でた召喚モンスターは多い。
キメラ、鵺、レッサーオーガ、シルバーバックといった剣呑な連中もいるようですが。
まだ【看破】出来ないが、もう1名も変装しているブラックサモナーなんだろうか?
若い女性のようだが。
うん?
どこかで見たような。
あれだ。
ラムダくんが送ってくれたブラックサモナーの姿そのものだ。
名前は何でしたっけ?
レオノーラ 種族Lv.25 人間 女性
ブラックサモナー/グランドサモナーLv.11
待機中 反撃許可あり エリアポータル内につき注意!
戦闘位置:地上
《これまでの行動経験で【看破】がレベルアップしました!》
そうそう。
確かそんな名前でした。
で、どうしようか?
まだここはエリアポータルの中なんですが。
余り騒ぎにしたくはないんですけど。
ま、いいか。
知らない仲ではないのだ。
フレンドリーに話し掛けても問題ないよね?
3名とも、こっちに気が付く様子はない。
でも召喚モンスター達は既に気が付いたようだな。
グレイウルフが明らかに警戒する様子を見せていた。
ままよ。
ここで荒事になるならなるで、構わないさ。
「やあ、久し振りだね」
「え?」
「誰?」
菅生は何も反応出来なかったようだ。
顔面蒼白。
まあまあ、ここは穏便に笑ってみましょう。
「ど、どうして」
「ヒッ」
「まさか」
身構えるレオノーラ。
真っ先に動こうとしていた様子のグレイウルフをヴォルフが押さえ込んでいた。
甘えるように、グレイウルフの首元の匂いを嗅いでいるようです。
うん。
実に微笑ましい光景だね!
「まあまあ、ここは騒がないで。そちらはお友達かな?」
だんまりか。
まあ、そうかもしれないが。
逃げる気配はない。
ねえ?
ゆっくりとお喋りしませんか?
「レオノーラさん、かな?」
「どうして」
「まあここは穏便に。このお二方とは知らない仲じゃないんでね」
知り合いなのは嘘じゃない。
友人ではないだけだ。
彼らの召喚モンスター達も剣呑な雰囲気になりつつある。
でもね。
上空には言祝がいますよ?
ナイアスは変わらすニコニコとしているが、手に竪琴を持っている。
いつでも美しい音律を奏でる事だろう。
護鬼はただ、周囲を見回すのみ。
体格で勝るレッサーオーガとシルバーバックが気圧されている。
キメラ、鵺は声を上げる事もしていない。
ヴォルフが視線を巡らせただけだというのに。
「何の用?」
「いや、見知った顔を見たから声を掛けた。そういう事でいいんじゃないかな?」
サブリナはどうにか平静を取り戻した様子だ。
そして言葉には険がある。
いやだなあ。
可愛いのに、台無しですよ?
菅生の様子は変わらず、か。
そんなに怖がる事、ないのに。
レオノーラは唖然って所か。
「大丈夫。ここで騒ぎを起こすつもりはないよ」
「じゃあ何?」
「さっき言った通りだよ。見知った顔を見たから声を掛けた。それだけだよ」
柔らかく笑ったつもりなんだが。
何故、ここで引くんだ?
「外で会わなくて良かったよ。3つものパーティ相手じゃ大変だよね?」
「外だったらどうしてたの?」
「君等を襲う役目はPKK職に譲るよ。襲われたら反撃は当然だけどね」
うん。
目障りだったらどうなるかは分からないけどね。
「次に会う時は場所を選びたいね」
そうれだけ言い残してその場所を去りました。
別に警告した訳じゃない。
彼等の狙いがレイナであるにしても、あのガードを突破するのはどうだろう?
あの場所、何か仕掛けがあっておかしくない。
恐らく、いや、間違いなく罠の匂いがするんですけど。
PKK職の獲物になるかどうかって所ではないかな?
襲うも良し、襲わないも良し。
お互い様だろう。
無論、オレだって襲われたら否はない。
予定を狂わされたら、当然怒りますよ?
でもねえ。
前回、召魔の森に来てた連中では物足りない。
もう少し、こう、手応えがないと満足できないのだ。
実に微妙な要望なのは分かっている。
どうにかならないものか。
静かなる竹林の外に出ました。
彼らが襲ってくる気配はない。
何だ。
襲ってくれていいのに。
ちょっとだけ、期待してたオレがいる。
仕方ないな。
このまま召魔の森に跳ぼう。
召魔の森の様子は?
結構、変わっているように見えます。
何と言っても苗木を植えた一角が凄い。
ポーセリンの仕事なのだろう。
かなりの広さです。
そろそろ、いいかも。
グロウ・プラントを掛けておこうかな?
見えている範囲は樹木だけの筈だ。
蔦植物を植えている場所は後方にあるし。
《対象を217日分、これに魔法効果拡大で更に231日分を成長促進します》
《Yes》《No》
「グロウ・プラント!」
一気に幹が太くなるのもある一方で、そう外見が変わらないのもある。
巻き込まれて成長している雑草もあるが、そう多くないようだ。
ふむ。
久し振りに使ったんで加減がまるで効いていないな。
後はポーセリンに任せるべき?
仕事を増やしたのはオレです。
ちょっと反省しましょう。
ポータルガードの召喚モンスターの面々は無事息災のようです。
では、始めようか。
まずは装備の更新からだな。
近松の持つ宿曜弓は金縁亀の弓に交換だ。
次は近松とポーセリンに亜氷飛竜の革鎧とその一式を装備させてみよう。
うん。
似合ってるぞ?
では、次だ。
気になっている事が色々とあった。
手持ちに魔水晶が増えている。
ここ、召魔の森の強化は当面考えなくていいと思うが。
他にも使い道があるアイテムを思い出したのです。
隠者の石版。
森の迷宮設置、というアイテムなんですけど。
どう使えばいいんでしょう?
使うなら召魔の森の傍がいい。
召魔の森の周囲全部でもいいんだが。
出来るかどうかすら分からない。
ま、使ってみよう。
結構な重量物で、ずっと持ち歩いていた代物だ。
使わずにいるのも勿体無い。
どうせ使うならここの傍でいいじゃないの。
使え!
使ってしまえ!
では。
石版、使うよ!
《隠者の石版を使用します!森の迷宮設置となりますが、本当に使用しますか?》
《Yes》《No》
当然だがYesを選択する。
《中継ポータル外縁に設置になりますと魔水晶が必要となります!》
《Yes》《No》
うむ。
これは仕方ないな。
Yesを選択しよう。
《森の迷宮設置を行います!設置プレイヤーは『キース』さんとなります》
《中継ポータルと位置が重なっています!》
《設置範囲は中継ポータル外縁のみの選択となります!》
《基礎設定を行って下さい》
あれ?
ここの周囲に森の迷宮を設置出来るのか?
面倒がなくていいと思えば、いいか。
さて。
ここから先は未知の領域だ。
どうなりますか?
最初に森の迷宮の有効範囲確認だ。
中継ポータルの外縁から先、幅で200メートルとなっている。
形状はドーナツ状、だな。
愚者の石版と同様、右に拡張機能の項目があった。
魔晶石を1個消費する事で半径を20メートル拡大出来るようだ。
可能なのは最大で10個まで。
半径400メートルになる訳か。
結構な広さになる。
利用者設定はない。
設置した本人であろうとも、迷宮内の魔物は襲って来るらしい。
いいぞ。
そうでなくては困る。
まあオレは召魔の森に直接跳んで来ればいいだろうし。
余計な連中が近寄らなくなって済むかもしれない。
そして面白いのは次の項目です。
デフォルトであれば、周囲の魔物をそのまま取り込んで迷宮に配置されるようだが。
更に強力な魔物を配置出来るようになるようだ。
ほう。
この周辺の魔物で最も強力なのはS2W3マップのリザードマンだろうか?
だがもっと強力な魔物が常時いるというのであれば否はない。
魔水晶1個を追加だと?
妥当である。
更にもう一段階、強力に出来るようだが、様子見としよう。
魔水晶2個を消費する、というのもあるが。
ポータルガードの相手になるのは森の迷宮から這い出てくる魔物になりそうなのだ。
あまり難易度が高くなり過ぎるのも困る。
ここは自重で。
追加出来るようだから今はスルーでいい。
ま、今日の所はこれでいいかな?
魔物が迷宮に定着するにはやや時間が掛かるようだ。
いずれ、オレ自身も挑んでみたい。
どんな魔物が定着するのか、楽しみです。
では、次だ。
文楽には食事の用意を進めて貰おう。
ポータルガードの交代も考えないといけないな。
その前に。
ナイアスを帰還させましょう。
新たな召喚モンスターを追加だ!
福助 ウッドパペットLv1(New!)
器用値 25
敏捷値 9
知力値 15
筋力値 12
生命力 11
精神力 8
スキル
弓 料理 魔法抵抗[微] 自己修復[微]
縁起物ですね、はい。
そして装備を与えます。
金縁亀の弓、それに矢筒に矢の数々。
亜氷飛竜の革鎧とその一式。
召喚したてだが装備は文楽達と同じなのだ。
スタートから恵まれてます。
そしてポータルガードの見直しも要る。
配置出来る召喚モンスターの数が8匹に増えているのでした。
やべえ。
黒曜とスコーチを交代させるのは確定なんだが。
ま、一時的に入れ替えはしておこう。
確認しましょう。
ポータルガードは?
黒曜、獅子吼、逢魔、極夜、雷文、スコーチ、ロジット、船岡です。
まあ暫定ですけどね。
現時点のオレの布陣は?
護鬼、文楽、近松、ポーセリン、福助になってます。
文楽は料理中です。
他のメンバーで、何をするか?
決まってる。
対戦です。
福助は外に連れ出すにしてもクラスチェンジ済みでないとお話にならないだろう。
促成栽培?
うん。
この場合は仕方ない。
仕方ないのだ。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv47
職業 アークサモナーLv14(大召喚魔法師)
ボーナスポイント残 3
セットスキル
小剣Lv14 剣Lv23 両手剣Lv15 両手槍Lv20 馬上槍Lv27
棍棒Lv20 重棍Lv15 小刀Lv15 刀Lv22 大刀Lv15
刺突剣Lv17 捕縄術Lv25 投槍Lv20 ポールウェポンLv20
杖Lv39 打撃Lv39 蹴りLv39 関節技Lv37 投げ技Lv37
回避Lv39 受けLv39
召喚魔法Lv47 時空魔法Lv37 封印術Lv32
光魔法Lv32 風魔法Lv32 土魔法Lv32 水魔法Lv32
火魔法Lv32 闇魔法Lv33 氷魔法Lv31 雷魔法Lv31
木魔法Lv31 塵魔法Lv31 溶魔法Lv32 灼魔法Lv31
英霊召喚Lv4
錬金術Lv25 薬師Lv12 ガラス工Lv10 木工Lv19(↑4)
連携Lv34 鑑定Lv31 識別Lv33 看破Lv12(↑1)耐寒Lv19
掴みLv34 馬術Lv32 精密操作Lv35(↑1)ロープワークLv23
跳躍Lv25 軽業Lv25 耐暑Lv22 登攀Lv14 平衡Lv22
二刀流Lv27 解体Lv29 水泳Lv14 潜水Lv15 投擲Lv21
ダッシュLv25 耐久走Lv25 隠蔽Lv15 気配遮断Lv15
身体強化Lv33 精神強化Lv33 高速詠唱Lv33
魔法効果拡大Lv33 魔法範囲拡大Lv33
呪文融合Lv13
耐石化Lv11 耐睡眠Lv12 耐麻痺Lv16 耐混乱Lv14
耐暗闇Lv13 耐気絶Lv17 耐魅了Lv9 耐毒Lv19
耐沈黙Lv11 耐即死Lv10
装備
三鈷杵×1 五鈷杵×4 摩尼宝剣×3 降魔宝剣×3
金剛秘剣×3 倶利伽羅剣×1 胎蔵秘刀×2
玻璃光刀×2 瑠璃光刀×2 虚空蔵槍×2
護霊樹の杖×1 呵責の杖×2 珪化木の杖+×2
雪劣竜の杖+×2 裁きの杖×1 呵責のトンファー×2
珪化木のトンファー+×2 雪劣竜のトンファー+×2
呵責の捕物棒×1 ダツ顎の槍+×1
白象の長槍+×1 白象の投槍×2 獅子賢者の騎士槍+×1
亜氷飛竜の騎士槍+×1 雪劣竜のメイス×1
獅子賢者のフルーレ+×1
亜氷飛竜のエストック+×1 亜氷飛竜のパイク+×1
獅子賢者のククリ刀+×2 劣剣竜の小刀+×2
ダツ顎の投槍×1
守護宝鎚×2 双珠竪杵×2 宿曜弓×3 金縁亀の強弓+×1
三叉戟×3 劣竜戟+×1
怒りのツルハシ+×2 白銀の首飾り+×1
斑雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×1
殺人蠍の隠し爪×1 雪豹のバグナグ×2
草原獅子のバグナグ×1 幻跳夢馬の革鎧+ほか
呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 風天羂索×4
幻夢馬のベルト+(New!)背負袋 アイテムボックス×1
所持アイテム
剥ぎ取りナイフ 木工道具一式 縫製道具一式
如意宝珠×1
召喚モンスター
ポーセリン オートマトンLv3→Lv4(↑1)
器用値 33(↑1)
敏捷値 10
知力値 20
筋力値 15
生命力 13
精神力 11(↑1)
スキル
手斧 造林 農作 魔法抵抗[小] 自己修復[微]
福助 ウッドパペットLv1(New!)
器用値 25
敏捷値 9
知力値 15
筋力値 12
生命力 11
精神力 8
スキル
弓 料理 魔法抵抗[微] 自己修復[微]
召魔の森 ポータルガード
黒曜、獅子吼、逢魔、極夜、雷文、スコーチ、ロジット、船岡




