表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
321/1335

321

《これまでの行動経験で【耐寒】がレベルアップしました!》



 寒さに耐え忍ぶ事、どれ程であったのか?

 レベルアップしちゃいましたよ?

 それでもロック鳥は高度を下げようとしない。


 ブロンズドラゴンが出現しないかと冷や汗ものです。



 時刻は?

 午後3時30分。

 ようやく高度を下げ始めた。

 どこかと思ったらE4マップだよ!

 場所的にはマップ中央からやや南西側に寄っている。

 眼下は、海。

 そして島々。


 師匠のロック鳥が降り立ったのは小さな島の海岸だ。

 何の変哲もない、普通の島に見える。

 周囲に魔物の気配は?

 いる。

 海岸にいるんですが。



 カルキノス Lv.8

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:水中、地上 水属性 土耐性



 グレーターカルキノス Lv.1

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:水中、地上 水属性 土耐性 風耐性



 これがもうね。

 大量発生?

 どう見ても100匹以上、いるよね?

 でも師匠のロック鳥はまるで気にしない。

 海岸へ降り立つ。

 大型のカニの魔物である筈のカルキノスとグレーターカルキノスなのだが、まるで小物だ。

 あっという間に魔物はパッシブに変わってしまい、海へと逃げ込んでしまった。

 凄い。


 師匠もジュナさんもロック鳥から降りてオレを手招きしている。

 ふむ。

 改めて思う。

 この2人、いったいどれ程の力量であるのか?

 予想も出来ない。

 大体、師匠の職業は【識別】してもサモナーのままだ。

 明らかに、おかしい。

 おかしいよね?




「中々、いい景色の島じゃと思わんか?」


「そうですね」


「魔物もおるがの。まあ問題にはならん。食材の確保はちと面倒ではあるが」


「はあ」


 それ、おかしいよね?

 絶対、おかしいよね?

 あの数の魔物が問題なし?

 オレが相手だったらアレは絶対に戦闘になってますから!





「ここからは少し楽をしたいのでな」


「楽、なんですか?」


「楽なのよねー」


 意味は不明だ。

 師匠はロック鳥を帰還させてしまっている。

 オレも召喚モンスター達を帰還させようとしたんだが、帰還無用と言われました。

 やはり意味が分からない。

 説明はなかった。


 師匠を先頭に島の奥へ。

 上空から見た感じ、島は砂浜を除けば樹木で覆われていた。

 つか幾つも見えていた島々のどれもが同様ですが。

 何かがある、のか?




 それは何か?

 無造作に並んだ巨岩だ。

 全部で6つある。

 形状は様々だ。


 単純に並んだ岩の表面は苔が貼り付いているかのようにも見える、

 だが。

 荘厳、というべき雰囲気を纏っている。

 空気も違う。

 何だ?



「これよりワシ等の本国の近くに跳ぶ」


「本国、ですか?」


「うむ」


「戻って来いってしつこいのがいるのよー」


「まあ魔人襲来の後始末みたいなものじゃな」


「私も同行していいので?」


「うむ。見て、感じて、その上で今後の糧にするがいい」


 何だろう?

 師匠の表情には何の感情も浮かんでいないように見える。

 ジュナさんは意味深な表情のまま、詳しくは語ろうとしない。



 師匠が最も大きな岩に手をかざした。

 センス・マジックを使わなくても分かる。

 目の錯覚ではなく、岩そのものが二重に見えた。


 次の瞬間。

 風景が反転した。

 これは、リターン・ホーム?

 エフェクトは同じだ。

 その風景の歪みが戻った次の瞬間。

 オレの目の前にある風景は崖と崖に挟まれた谷のような場所であった。

 微妙に寒い。

 いや。

 結構寒いよ!


 ここはどこだ?

 広域マップで確認してみる。

 N2E12、になっていた。

 えっと。

 やたら遠くになってますけど?



「ここからは少し歩くぞ」


「はい」


 師匠の先導に従って谷の中へ。

 あれ?

 そっちなんですか?

 何だってより暗い谷の奥に行くのだろうか?



 魔物の気配はない。

 先導している師匠も、最後尾にいるジュナさんもまるで気にする様子はなかった。

 だがら、その光景には虚を衝かれたとも言える。

 いや。

 異変は全ての召喚モンスター達に見られる。

 反応には差があった。

 だが共通する事もある。

 怯え、だな。

 そうとしか言い様がない。


 谷を抜け、かなり広い場所に出たんですが。

 目の前にいる、ある存在がその怯えを生んでいる。

 間違いない。




 金紅竜 ルチルドラゴン ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 凄く、派手です。

 全身が一様な色相ではない。

 基本は黄褐色?

 だが緑や青、赤の色彩も見える。

 僅かに動くだけでその色調が変わっていく。

 実に美しい。

 だが。

 その鱗の質感は異常。

 両腕の鉤爪は太く、それだけで戦鬼を捕まえて握り潰せそうな逞しさ。

 両脚は腕以上に逞しい。

 翼は折り畳まれていて様子は知れなかった。

 そして、頭。

 後方に短く伸びる3つの角。

 その牙。

 圧倒的な力を秘めている目。


 大きさ、その威容、どれもがあのブロンズドラゴンよりも格上?

 恐らくはそうだ。



「おひさしぶり!」


 ジュナさんが無造作に近寄ると、ドラゴンが頭を寄せてきた。

 うわ。

 至近距離で鼻面を撫でてますけど?

 何なの?

 何なのよ?



「王家は護国竜と喧伝するがの。固有名は金紅竜。ルチルドラゴンとも言う」


「ジュナさんは大丈夫なんですか?」


「古い友人でな。我等には友好的なドラゴンじゃから安心せい」


 我等、ですか?

 その中にオレって入ってますか?

 凄く、気になります。




 その金紅竜に気を取られ気がつかなかったが、ここには他にもドラゴンがいた。

 これもまた酷い。



 クラウドドラゴン ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 これもまた凄まじい威容だ。

 全身がやや紫がかった黒に見えるドラゴン。

 しかも2匹いる。

 あのブロンズドラゴンと同格って所だろう。

 こっちはやや攻撃的な様子をオレに見せたが、金紅竜の視線だけでおとなしくなった。

 何?

 何なんだ、ここ?



「ここはまだいい。谷の最深部にはエルダードラゴンがおるが、そいつは中々の暴れ者でな」


「大丈夫なんですか?」


「何、そう簡単に動かないしの。繁殖場におるドラゴンパピーやレッサードラゴンを守っておるだけじゃよ」


「はあ」


「たまにドラゴンの卵を狙う不届き者もおるでな。その位でええんじゃよ」


 ジュナさんを見る。

 鱗を撫で撫でしてその感触を楽しんでいるように見えるんですが。

 恐ろしい。

 あのドラゴンを至近距離で撫でるだなんて。

 一体、どんなスキルが?

 いや、友人って言ってましたっけ?



「いかに上位のサモナーとなろうともドラゴンを召喚するのは容易ではない。分かるかな?」


「人智の及ぶ存在ではなさそうですね」


「然り。だがそれは見え方の1つでしかないがの」


 師匠はジュナさんを見る。



「少なくとも、友人にはなれる。建国王、それに従った竜騎士達、中興の賢政王もそうであった」


「はあ」


「だが今の王家にその度量を持つ者が果たして何名おるやら」


「そうなんですか?」


「嘆かわしい事じゃがな」


 師匠がジュナさんの襟首を引っ張って、金紅竜の脇を抜けていく。

 オレもその後に従って通り抜ける訳だが。


 緊張、する。

 体に自然と力が入ってしまうのだ。

 畏怖。

 全身に汗が。

 そんな感じでした。

 召喚モンスター達も同様です。

 無理もない。

 オレもずっと、体のどこかに震えがありましたし。





 そこは山腹なのか?

 肌寒い。

 眼下に雲海を見るような高さだ。

 そりゃあ寒いよね?


 それなりにゴツゴツとしているが、平坦な場所であるようだ。

 ヘリポート?

 多分、そんな感じがする。

 かなり広いですけどね。



「ドラゴン達はここから飛び立つ。そして巣に帰る為にここに降りる。そういう場所じゃ」


「なるほど」


「ここからならば王城に行くにも近いのでな」


 師匠がロック鳥を召喚する。

 だが。

 先刻のドラゴン達の後だとどうしても比較してしまう。

 クラウドドラゴンにも迫る大きさ。

 それに迫力も十分にある。

 オレ配下の召喚モンスターのどれとも破格の威容なのだ。


 恐ろしい。

 上には上がいる。

 そういう事なのだろう。







 スノーワイバーン Lv.4

 魔物 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:空中 火属性 風属性 水属性 氷属性 ブレス



 うわお。

 何なの?

 おっかなそうな魔物がいるじゃないの!

 その数は3匹。

 でもね。

 ドラゴンを見た後だとどうしても、ねえ?



 師匠を見る。

 指差しでいるんですが。

 その意味は?


 やってみろ。

 そういう事であるようだ。

 パッシブの魔物相手に襲えって事か。

 うむ。

 師匠の指示では仕方ない。

 やってみますか?


 こっちは魔物達の上に位置している。

 アドバンテージはこっちにあった。

 そして魔物はこっちに気がついていない。

 呪文の強化を進めていく。

 


「人馬一体!」


 さあ。

 武技も使っておきます。

 最初に狙うのは真ん中の奴だ!



 急降下して胴体を狙いに行く。

 黒曜、スパッタ、イグニスも続いて来る。

 折威はオレの背中で突撃の衝撃に備えているようだが。

 仕事、してね?


 魔物の姿が近くなってくる。

 さあ。

 どんな強さなのかな?




 最初の魔物は比較的簡単に仕留めたと思う。

 その死体は師匠のロック鳥が捕らえているのが見えていた。

 そう。

 空中で死体と化し、落下するのを器用に回収してくれてました。

 だが、その様子に気を回す余裕があるのも蒼月のおかげですね。


 機動力では確実に魔物を上回っている。

 スノーワイバーンはどんな魔物であるのか?

 スフィンクスやスピンクスよりもちょっとだけ小さい。

 だがその姿は小型のドラゴンと言って差し支えなさそうな気がする。

 レッサードラゴンの腕が小さくなって、角がない。

 そんな感じだ。


 だが違っている事もある。

 ブレスだ。

 冷たい。

 直撃こそないのだが、近くを通過するだけで分かる。

 一瞬で氷結されかねない。

 体の芯から凍えそうなのだ。


 レジスト・アイスで対抗しながら空中戦を楽しんでいたが、ドラゴンにはない攻撃を喰らってしまった。

 尻尾の先だ。

 針。

 いや、針というには太いですけどね。

 掠っただけで大したダメージではなかったが、ある状態異常を喰らっていた。

 毒、そして敏捷値の低下だ。


 おのれ。

 やってくれたな!


 どうも近寄ったら視界の外を回り込んで来るかのように尻尾が襲ってくるようなのだ。

 近寄って攻撃したいのだが、ちょっと厄介?

 いや。

 ここはリスクを抱えるとしよう。

 蒼月を駆って突撃を敢行する。

 何、攻撃を喰らう前に仕留めてしまえばいいのだ!








【素材アイテム】亜氷飛竜の針 品質B- レア度6 重量2+

 スノーワイバーンの尻尾にある針。毒があり非常に危険。取り扱い注意。



【素材アイテム】亜氷飛竜の爪 原料 品質C+ レア度5 重量2+

 スノーワイバーンの脚爪。太くて頑丈。



 山腹まで師匠のロック鳥がスノーワイバーンの死体を3つ、運んでくれました。

 その3つの死体からは針を2つ、爪を1つ得ているのですが。

 上々?

 爪はさておき、針は使えそうです。

 特に馬上槍や刺突剣に出来そうだ。

 獅子賢者の針よりも長いから加工は難しいかもしれないな。



「相変わらず奇妙な男じゃな」


「はあ」


「槍なんぞ持っておるから概ね予想はしとったがの。それにしても酷い」


「酷い、ですか?」


「明日は王城に行くのじゃがな。到着したら武器の類は仕舞っておく事じゃ」


「了解です」


「特に槍はいかん。ペガサスに騎乗して槍を持っておる所など見られては騒ぎになるのでな」


「そうなんですか?」


「竜騎士は少なくなっているが、おる。だが建国王に従っていた天馬騎士は今はおらぬのでな」


「はあ」


「サモナーであればペガサスを従えていても不思議ではあるまいがな。ま、王城で武器を持つなら杖までじゃな」


 そんなものなんですかね?

 気を付けておきましょう。









《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『折威』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 スノーワイバーン狩りが続いています。

 どうしてこうなった。


「もうちょっとキースちゃんの戦い振りが見たい!」


 そうジュナさんが仰ったので。

 師匠も苦笑いでしたが、継続する事になったみたいです。


 まあ、いいか。

 感覚的にはスフィンクスやスピンクスと同レベルの難易度である。

 そこそこに苦戦するから面白いし。


 おっと、いかん。

 折威のステータス値で既に上昇しているのは知力値でした。

 もう1点のステータスアップは生命力を指定しておこうか。



 折威 サキュバスLv1→Lv2(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 24

 知力値 24(↑1)

 筋力値  6

 生命力  7(↑1)

 精神力 25


 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[中]

 変化 時空属性 光属性 闇属性 火属性 土属性



 そしてインフォは自重しない。

 続きがあった。



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『イグニス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 うむ。

 やはりそこそこにスノーワイバーンは美味しいようだ。

 苦戦もしてるし、そうでないと困るけどね。


 イグニスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しよう。



 イグニス ファイティングファルコンLv1→Lv2(↑1)

 器用値 12(↑1)

 敏捷値 27(↑1)

 知力値 23

 筋力値 12

 生命力 12

 精神力 13


 スキル

 嘴撃 飛翔 遠視 広域探査 奇襲 危険察知 空中機動

 風属性



 それに数度の狩りで新たなアイテムも得ている。

 こんなのですけど。



【素材アイテム】亜氷飛竜の皮 原料 品質C レア度4 重量6+

 スノーワイバーンの皮。表面は細かな鱗で覆われていて加工は難しい。

 鱗に欠損の少ない物ほど高価になる。



 ほう。

 明らかに防具になりますよね?

 つかこのスノーワイバーン、傷塞草の採集時に師匠のロック鳥が死体を持ち帰っていませんでした?

 ここだけじゃない。

 多分、先々でスノーワイバーンがいるのだ。

 恐らくは土霊の祠のあるN1W1マップの北?

 北西かも?

 いずれにしても、北側のどこかにいそうだな。










《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『スパッタ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 西の方位を確認する。

 太陽がかなり傾いているんですが。

 移動じゃなくて、もう完全に狩りですけど!


 スパッタのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値です。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 スパッタ ファイティングファルコンLv3→Lv4(↑1)

 器用値 13(↑1)

 敏捷値 28(↑1)

 知力値 22

 筋力値 13

 生命力 13

 精神力 14


 スキル

 嘴撃 飛翔 遠視 広域探査 奇襲 危険察知 空中機動

 風属性



 だがここでその狩りも終わりのようだ。

 下に見える地形は平地へと変わりつつある。

 半分以上は森かな?

 所々に大き目の屋敷もあるようなのだが。

 師匠のロック鳥は徐々に高度を下げて行く。

 オレも蒼月を駆り、その後を追い掛けていった。





 そこはかなりの敷地を持つ古い屋敷であるようだ。

 屋敷そのものは古いのだが、豪奢な雰囲気がある。

 平屋で横に長い。



「ここが私の家って事になってるのよねー」


「え?」


 アイテムを剥ぎ終えたらジュナさんがそう語りだした。

 ここが?

 ジュナさんの家?



「というか、枢密院から押し付けられたようなもの?」


「師匠の家には変わらんでしょう」


「ま、自前で作った塔を引き払って来るような価値はないわねー」


 何か恐ろしい台詞が飛んでますけど。

 そう言えばジュナさん、枢密顧問なんて肩書きがあるんですよね?

 結構なお偉いさんなのか。





 さすがに召喚モンスター達は全て帰還させました。

 そして屋敷の中へ。

 入り口の扉はジュナさんが手を触れただけで開いていく。

 中には人がいないのに。


 そして内部は?

 清掃は行き届いているように見える。

 師匠の家のようにパペット系の召喚モンスターがいるんだろうか?

 多分、いると思われるのだが。



 いや、いるようだ。

 出迎えてくれたのは?

 2名。

 いや、2体か。



 ドールアイ Lv.10

 召喚モンスター 待機中

 戦闘位置:地上



 ドールアイ Lv.9

 召喚モンスター 待機中

 戦闘位置:地上



 その姿は人形とは思えない。

 人間と同様の姿?

 表情が乏しいが、外見だけであれば完全に見分けがつかない。

 若い男女の執事とメイドの格好だ。

 ジュナさんの趣味なんだろう。



「先にお茶!それと食事の用意もお願い!」


 ジュナさんの指示に恭しく一礼を残して辞去するのだが。

 その所作もかなり洗練されているように見える。







 食事は豪奢な部屋で食べるにはちょっと似合わないような田舎料理だった。

 だが美味い。

 師匠もジュナさんもマナーを気にするような素振りもないので、気兼ねなく食事のみ楽しめた訳だが。

 ジュナさんが食事中に中座した際、師匠が胸の内を吐露するかのようにオレに耳打ちした。


「頼みがあるんじゃがな」


「え?」


「ワシの師匠じゃがな。ああ見えて取っ組み合いも得意じゃったりする」


 はあ。

 それ、知ってます。



「この所、色々と溜まっておるのでな。王城で抑え込むような事が起きたら協力してくれんか?」


「ジュナさんを、ですか?」


「こういうのはゲルタの領分なんじゃがの」


 無理!

 それ、無理!

 ドラゴンと友達付き合い出来るような人を一体どうやって?



「出来るんですか?それ」


「まあ形だけでもええわい。自重してくれる事を祈ってくれ」


 ここに来て恐るべき難易度の課題じゃないの!




 食事の後、ジュナさんと師匠にはお酒が入りました。

 いかん。

 オレはと言えば夜の狩りでもしたいと遠慮したんですが。


「この周辺で、狩り?」


「ダメですか?」


「いや、物足りないんじゃない?」


「少し歩いて行けば魔物もおったかな」


「あー、確かにいるけど。つまらない相手になっちゃったからねー」


「今のキースでは物足りないかもしれんのう」


 そうですか?

 いや、戦い甲斐がある方が有難いのですが。




「この周辺には魔物はそうそう出んからな。少し北へ行けば魔物はおる筈じゃ」


「明日の朝までには帰ってきてね!あ、門と屋敷の出入りはちゃんと出来る様にしておくわね」


「はあ」


 半分は酒を遠慮する口実だったんですが。

 送り出されてしまいました。







 そこは深夜の森の中。

 但し、昼間に上空から見たら幾つかの屋敷があったりするような場所だ。

 コール・モンスターで確認しても魔物はいない。

 というか、ここでエリアポータルのメニューが使えるんですけど?

 もしかして。


 広域マップで確認する。

 エリアポータルの名前は白壁城。

 もしかしてこのエリアポータルってかなり広いのか?

 そんな予感がする。


 ま、いいか。

 夜の狩りを兼ねて移動の布陣を組みましょう。

 ヴォルフ、黒曜、フローリン、逢魔、極夜だ。

 移動を優先で。

 つか一番足が遅いのはオレなんですが。


 師匠曰く、ここの魔物は物足りない可能性がありそうなんだが。

 基準が師匠やジュナさんではどこまで信じていいものか、良く分かりません。

 ま、戦ってみて弱いようなら組み替えてもいい。





 北に広がるのは森。

 どうかって?

 確かにあの人達には物足りないのは確実だろう。

 でもそう簡単ではない。


 コボルトさん、お久しぶり!




 そう。

 ここにはコボルトがいました。

 物足りないか?

 いや、結構強い。

 【識別】してみたらこんな感じです。



 コボルトガード Lv.7

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 闇属性


 コボルトナイト Lv.7

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 コボルトファイター Lv.10

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 コボルトアーチャー Lv.10

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 コボルトフェンサー Lv.9

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 コボルトレンジャー Lv.9

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 コボルトシャーマン Lv.7

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 闇属性 火属性



 コボルトアサシン Lv.9

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 闇属性



 レベルも高いし、何か強そうなのも混じっている。

 そしていきなり20頭の群れ。

 悪くない。

 悪くないんですよ?


 でもやはり師匠の言う通りだったのでした。

 どこか物足りない。

 そんな気がする。



【素材アイテム】稲穂 原料 品質C+ レア度2 重量0+

 稲穂。品種は不明。



【素材アイテム】蜜柑 原料 品質C レア度2 重量0+

 やや小さめの蜜柑。品種は不明。


 だが。

 ここでは剥げた物が違ってくるようだ。

 梅の実や桃の実も剥げてるけど、それはもうどうでもいい。


 稲穂だ。

 米だ。

 米なのである!


 相手が物足りない?

 そんな考えは吹き飛んだ。

 仲間も呼んでくれるし、有難いです。


 狩ってやる。

 特に稲穂だ。

 このゲーム内で米の飯が食える。

 その可能性が出てきたのだ。


 これは事件です。




 無論、コール・モンスターも駆使してたんだが、途中で別の魔物も混じってくる。

 こいつ等だ。



 ホーリーレイス Lv.8

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 光属性 闇属性 時空属性 火属性



 その数は3匹。

 どうも夜の空中担当であるようだ。

 W2マップでは1匹で相手をしていた奴か。

 それが3匹でレベル高め。

 多少は手強いが、そう強敵といった感じではなくなっている。

 五行封印が良く効くのが有難い。



 ノーブルオーク Lv.10

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 こいつもどこで戦ったかな?

 思い出せ。

 従っているオークリーダーも4匹、レベル高めだ。

 オークもいるけど有象無象だし以下略。


 そしてこのノーブルオークなんだが、何も残さなかった!

 オークリーダーもです。

 オークは?

 以下略だ以下略。



 ふむ。

 どうもここの魔物の傾向は掴めたか?

 警戒すべきなのは?

 やはりコボルトアサシン、かな?

 コール・モンスターでも引っ掛からないし。

 そうなると警戒に残すべきはフローリンである。

 現在の布陣、ヴォルフ、黒曜、フローリン、逢魔、極夜だと楽勝過ぎる!

 オレも途中から素手で相手をしても余裕なのだ。

 そうだな。

 布陣は変更しよう。

 テイラー、フローリン、ペプチド、雪輪、鞍馬としました。

 前衛にカニにサソリを押し立てて壁としましょう。

 その中心で鞍馬が位置する形であれば安定する筈だ。

 オレは?

 一番厄介そうな奴を先に狙います。


 オレもまだ低いスキルを鍛えるのにいいかもしれない。

 得物は獅子賢者のフルーレにしておこうか。

 珪化木のトンファーとの変則二刀流、それに念のために黒縄も使うとしよう。

 投槍とククリ刀は当然、使うようにしておこうか。

 では。

 コボルト共よ、来なさい。

 いや、来るがいい!

 違うな。

 お願いですから、米を食わせて!










《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『テイラー』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 うむ。

 引き続き、壁役を頼もうかな?

 テイラーの場合、MPバーの減りとかは気にならない。

 使うような事がない。

 いや、回復でオレがダーク・ヒールを使うからないと困るけどね。


 テイラーのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 おや、珍しい。

 もう1ポイント分のステータスアップは器用値にしよう。



 テイラー カルキノスLv3→Lv4(↑1)

 器用値 11(↑1)

 敏捷値 11(↑1)

 知力値  6

 筋力値 36

 生命力 30

 精神力  6


 スキル

 鋏撃 水棲 水属性 土耐性



 シンプルで結構。

 それだけに地味でもあるんだが。

 まあそのうちに活躍はあるだろう。

 海だ。

 イルカのアプネアを鍛える際は活躍を期待したい。








《只今の戦闘勝利で【刺突剣】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『鞍馬』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 時刻は午後9時40分。

 まだまだ。

 鞍馬はレベルアップしても交代無しですよ?


 鞍馬のステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。

 もう1点のステータスアップには筋力値を指定しよう。



 鞍馬 護法Lv1→Lv2(↑1)

 器用値 21

 敏捷値 18

 知力値 10

 筋力値 22(↑1)

 生命力 22(↑1)

 精神力 10


 スキル

 剣 刀 両手槍 小盾 受け 回避 隠蔽 夜目



 それにしても鞍馬、両側にテイラーとペプチドがいるせいか、盾をまったく使っていない。

 剣と刀で二刀流だ。

 結構、様になっている。

 むむ?

 オレも負けていられませんよ?










《只今の戦闘勝利で【捕縄術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【跳躍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【軽業】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ペプチド』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 ここ最近、獅子賢者のフルーレは使ってこなかった。

 たまに使うと新鮮。

 そしてすぐに慣れてしまう。

 トンファーも持っているので、インテリジェンス・アタックも併用したりして遊んでました。

 有効?

 多分、有効なのだろう。

 つかコボルト相手だと良く分かりません!


 ペプチドのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。

 もう1ポイント分のステータスアップは敏捷値を指定する。



 ペプチド デザートスコルピオンLv3→Lv4(↑1)

 器用値 22(↑1)

 敏捷値 18(↑1)

 知力値  7

 筋力値 21

 生命力 21

 精神力  7


 スキル

 鋏撃 針撃 回避 気配遮断 隠蔽 奇襲

 猛毒 火耐性



 ペプチドの猛毒は強度が高い。

 その分、凶悪なのは承知しているが、コボルトが仲間を呼ぶのを途切れさせてしまっていたりする。

 ま、いいか。

 強くなるのは悪くはない。



 だが。

 夜の狩りはここで区切っておこう。

 時刻は午後10時50分。

 ジュナさんの邸宅に戻ろう。

 ここでインスタント・ポータルを使ってログアウトするのも手であるのだが。

 ちょっと、怖い。

 ここはジュナさんの邸宅でお世話になっておくべきだな。

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv33

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv19

ボーナスポイント残 24


セットスキル

剣Lv13 両手槍Lv13 馬上槍Lv14 棍棒Lv14 刀Lv14

刺突剣Lv12(↑1)捕縄術Lv12(↑1)投槍Lv11 ポールウェポンLv11

杖Lv24 打撃Lv21 蹴りLv21 関節技Lv21 投げ技Lv21

回避Lv21 受けLv21

召喚魔法Lv33 時空魔法Lv21 封印術Lv16

光魔法Lv20 風魔法Lv20 土魔法Lv20 水魔法Lv20

火魔法Lv20 闇魔法Lv20 氷魔法Lv19 雷魔法Lv19

木魔法Lv19 塵魔法Lv19 溶魔法Lv19 灼魔法Lv19

英霊召喚Lv1

錬金術Lv16 薬師Lv11 ガラス工Lv9 木工Lv13

連携Lv23 鑑定Lv23 識別Lv23 看破Lv7 耐寒Lv11(↑1)

掴みLv20 馬術Lv21 精密操作Lv23 ロープワークLv11

跳躍Lv13(↑1)軽業Lv13(↑1)耐暑Lv14 登攀Lv12 平衡Lv14

二刀流Lv19 解体Lv19 水泳Lv6 潜水Lv6 投擲Lv13

ダッシュLv13 耐久走Lv13 隠蔽Lv7 気配遮断Lv7

身体強化Lv21 精神強化Lv21 高速詠唱Lv22

魔法効果拡大Lv21 魔法範囲拡大Lv21

耐石化Lv6 耐睡眠Lv6 耐麻痺Lv9

耐混乱Lv7 耐暗闇Lv6 耐気絶Lv9

耐魅了Lv2 耐毒Lv3 耐沈黙Lv5 耐即死Lv3


召喚モンスター

テイラー カルキノスLv3→Lv4(↑1)

 器用値 11(↑1)

 敏捷値 11(↑1)

 知力値  6

 筋力値 36

 生命力 30

 精神力  6

 スキル

 鋏撃 水棲 水属性 土耐性


ペプチド デザートスコルピオンLv3→Lv4(↑1)

 器用値 22(↑1)

 敏捷値 18(↑1)

 知力値  7

 筋力値 21

 生命力 21

 精神力  7

 スキル

 鋏撃 針撃 回避 気配遮断 隠蔽 奇襲

 猛毒 火耐性


鞍馬 護法Lv1→Lv2(↑1)

 器用値 21

 敏捷値 18

 知力値 10

 筋力値 22(↑1)

 生命力 22(↑1)

 精神力 10

 スキル

 剣 刀 両手槍 小盾 受け 回避 隠蔽 夜目


スパッタ ファイティングファルコンLv3→Lv4(↑1)

 器用値 13(↑1)

 敏捷値 28(↑1)

 知力値 22

 筋力値 13

 生命力 13

 精神力 14

 スキル

 嘴撃 飛翔 遠視 広域探査 奇襲 危険察知 空中機動

 風属性


折威 サキュバスLv1→Lv2(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 24

 知力値 24(↑1)

 筋力値  6

 生命力  7(↑1)

 精神力 25

 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[中]

 変化 時空属性 光属性 闇属性 火属性 土属性


イグニス ファイティングファルコンLv1→Lv2(↑1)

 器用値 12(↑1)

 敏捷値 27(↑1)

 知力値 23

 筋力値 12

 生命力 12

 精神力 13

 スキル

 嘴撃 飛翔 遠視 広域探査 奇襲 危険察知 空中機動

 風属性

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
コボルトがなぜか米を持っている…… もしかしてコボルト·ファーマーとかいたりして(笑)
米とうとう来ましたね 最大級の爆弾だw
米!!!!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ