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《フレンド登録者からメッセージがあります》
ログインしたのは午前5時50分。
場所は静かなる竹林です。
全然、静かじゃないですけどね。
プレイヤーの動きが慌しいか?
それは間違いないようだ。
で、メッセージは誰からだ?
イリーナでした。
『レイナさんの所にいます。何やら色々と進捗があったみたいですよ?』
進捗、ね。
それはプレイヤーにとってなのか?
魔物にとってなのか?
まあ今日だってやる事は変わらないと思うのですがね。
「お久しぶりです」
「おはようございます!」
「色々とご活躍でしたね」
レイナが作り上げたという竹で編んだ小屋の隣は開けた場所となっている。
ぶっちゃけ、オレが伐採した竹林だったりするんですが。
そこにアデルもイリーナもいるようだ。
いい匂いが漂っている。
キャンプ場みたいになっているな?
そしてアデルとイリーナが朝食を振舞っている一角。
そこはサモナー系プレイヤーの溜り場と化していた。
春菜、此花、ヒョードルくん、ヘラクレイオスくんが机を囲んでいる。
恐ろしい視線が飛び交っているのも分かる。
あのサモナー交流会でヒョードルくんをロックオンしてたお姉様達だ。
召喚モンスター達の壁がなければヒョードルくんは拉致されていておかしくない。
何気に交流会で見た顔が多いな。
一部では複数のマーメイドを侍らせているサモナーまでいるんだが。
つかこれはもう臨時のサモナー交流会じゃね?
初見の召喚モンスターもいる。
護法だ。
鬼のクラスチェンジ先になる訳だが、その雰囲気は十二神将に通じるものがある。
やだなにこれ。
かっこいいじゃないの。
装備はキッチリと素材を揃えた革鎧だな。
得物は剣だ。
いかん。
疼く。
疼いてしまう。
ブロンズゴーレムもいる。
うーむ。
これもなかなか。
カーズドバイパーもいる。
そしてスライムのクラスチェンジ先となる召喚モンスターが集まっていたりもするし。
5色の色違いの飴玉か?
レッドプリン、ブルーゼラチン、グリーンウーズ、ホワイトムース、ブラックグミだな。
原色見本みたいになってますな。
机の上にはアデルの金毛狐と銀毛狐が鎮座している。
その卓上ではもはや誰の召喚モンスターなのか分からないような有様で妖精が乱舞していた。
フェアリー、インプ、ピクシーといった所だな。
10匹以上、いるな。
「はい!これはキースさんの分!」
「何か騒がしくなってますけど、こういうノリになってしまいまして」
ヒョードルくんの隣に座ると、すぐさまアデルとイリーナが朝食を運んで来ました。
一瞬だがサモナーのお姉様達の視線が飛んでくる。
背中に、汗が。
ほんの僅かではあるのだが、剣呑な気配を感じた。
悪寒。
これは一体、何であるのか?
意味が分からない。
あのお姉ちゃん達に睨まれる様な事ってしたかね?
出来るだけ気にしないように努めながら食事を摂る。
大まかな進捗はイリーナが説明してくれた。
夜半過ぎからW5マップに侵入してきた魔物の群れに異変が起きたようです。
あのスヴァジルファリ・スレイブに騎乗する魔人がガルムを引き連れて出没するようになったらしい。
先遣部隊って所か?
その一方でW4マップからW1マップにかけて出没する魔人の様子はそう変わらない。
大きな変化があるとしたら、インスタント・ポータルが潰された、という報告は減っているようだ。
例の手段で魔人を減らしている効果?
いや、まだまだレッサーグリフォンはたっぷりといると思うが。
そう思いたい。
変わった。
オレの評価は、変わった。
レッサーグリフォンと魔人に罠を仕掛けて狩るのって面白い!
いや、襲うのが面白いだけですけど。
狩人って感じがする。
最初のうち、ククリ刀を投げ付けてからダツ顎の投槍を使ってたんですがね。
白象の投槍を作り上げてからは順番が変わっている。
最初に白象の投槍を投げ付けてからククリ刀を投げるようになってます。
戦い方にも日々進化がないと、ね?
もっと工夫が加えられるかもしれない。
生産職の方でも様々な工夫をする者が出始めているようだ。
例えば竹。
臨時で持ち運べる柵として利用する計画が進行中なのだそうで。
昔から防柵で使う事がありますけどね。
だが問題もある。
昨夜、W5の西端にあった塔がキムクイ・スレイブに壊されてしまったらしい。
あの中継ポータルはもう使えないのか?
その可能性は高い。
それと無関係ではない事情もある。
どこであの大群を迎撃するのか?
ここ、静かなる竹林に魔物の大群が到達すると、エリアポータルそのものが使えなくなる。
そういう予測は既定路線となっているようだ。
夕闇城まで、魔物の群れに犠牲を強いる方針で決まりそう?
だがこれには異論もあるようだ。
もっと早い段階で集団戦闘を仕掛けるべき、という意見も根強い。
まあ、分かるけどな。
こればっかりは数多くのプレイヤーの協力が不可欠だ。
以前の魔人襲来とは少し事情も違う。
身近に困った出来事が発生しないと団結しないのもまた人間だしな。
まだ遠い距離の出来事だからだろう。
「サモナーにお願いするのは機動力を活かして魔物狩り。特に魔人を撃ち減らして欲しいって事ですね」
「つまり、昨日と変更なし!」
「ま、そうなるか」
つまり好きにして良し、という事なのか。
美味しいです。
既にこのW5マップに侵入してきている魔物は、各プレイヤーがユニオンを組んで狩りを始めているようだ。
ならばオレはどうする?
W6に行くか?
後続にいるキムクイ・スレイブが従える魔物を撃ち減らすのは、いいな。
もしくは昨日、レッサーグリフォンを全滅させた隷獣・外法蛇亀の従える魔物の群れはどうだ?
トレイン後、幾らかは地上戦力の魔物を撃ち減らしてもいる。
更に犠牲を強いるのもいい。
直接、隷獣・外法蛇亀に迫って戦闘を仕掛ける機会はあるだろうか?
まあ護衛の魔物を全て引き剥がしてからでもいいな。
移動速度は、鈍い。
巨大な魔物であり、直接戦うにはどうしてもリスクのある相手だが。
リスクを出来るだけ低くするのはアリだ。
そうだな。
昨夜の戦果、その影響を確認してからにするか。
つまりは今日も移動からって事だ!
「精算だけでいいのかな?」
「ええ。お願いします」
リックの元で昨夜の戦果の精算を済ませる事に。
イリーナには白象の長槍を組んでいる。
その分を勘案しての精算は少し時間を掛けたが、どうにか済ませました。
ま、獲物そのものはそう多くないからな。
持ち出しで魔石を放出したが惜しくはない。
如意宝珠で魔石は地道に得てきているからだ。
木材も少し欲しかったのだが、生産活動で使っているらしく在庫は枯渇していた。
ま、それは仕方ないか。
ここは対魔人の最前線に近い。
物流事情も良くないのは仕方がないよね?
サモナー達は4パーティ以上でユニオンを組み、魔物を排除しながら魔人狩りを狙うようです。
各個撃破、だな。
他のプレイヤー達も同様に狩りを進める事で変更はない。
ヒョードルくんとヘラクレイオスくんも春菜と此花と組むそうです。
サモナーのお姉様達の視線が痛い。
春菜も此花もどこ吹く風ですけどね。
まあ拉致防止にはいいのだろう。
「では、行くか」
「W6マップに行くんですね?」
「その前に偵察もしたいけどね」
では。
移動用の布陣を組もう。
ヴォルフ、残月、ヘリックス、クーチュリエ、極夜だ。
定番ですね。
アデルは?
ホワイトホース、ホワイトウルフ、ファイティングファルコン、銀毛狐、オルトロスになっている。
銀毛狐になったふぉーちゃんがお気に入りなのかな?
頭の上に乗せてご機嫌である。
イリーナは?
バトルホーク、バトルホース、スライム、マーメイド、ウェアウルフだ。
昨日、フューズ・モンスターズで誕生したウェアウルフの名前は安生。
その装備は既に整っているようだ。
装備の方向性はオレ配下のウェアウルフ、逢魔と同様に革ジャケット。
人間型の姿は巻き毛で色黒の精悍な男性なんだが。
夏のビーチでライフセーバーしているのが似合いそうだ。
実にワイルド。
でも移動に向けて狼形態になっていくんですけどね。
サモナー以外のプレイヤーも動き出す。
周囲でも幾つものパーティがユニオンを組んで出発していた。
中には全員が騎馬に騎乗する部隊編成まであったりする。
しかも1つに留まらない。
ふむ。
やはり工夫って大事だな。
「では行くか」
『まずは北西、ですね』
『大物に会いに行くよー!』
まあアデルのようなノリでいいのだろう。
沈鬱なノリでやるようでは楽しめない。
そうそう。
あのデカブツだって難敵として見るからいけない。
あれは経験値の塊なのだ。
いかにして美味しく頂くか?
あら不思議、楽しくなって来ます。
まずは軽くアイラーヴァタ2頭。
続いて小規模ながらラクチャンゴの群れ。
そこまでは普段通りに狩りきった。
だが次は奴等だ。
ガルムの群れ。
それを指揮するのは魔人だ。
呪禁道師にジャグラーの2名。
それぞれがスヴァジルファリ・スレイブに騎乗している。
これは本気の騎乗戦闘になる予感!
本気?
無論、本気ですとも!
それでいて中々の苦戦。
むしろ足を止めて迎撃した方が楽に思える、そういう相手だ。
何と言ってもスヴァジルファリ・スレイブが速いって!
ソーン・フェンスの足止めを避ける避ける!
先日、引っ掛かってくれたのは何だったんだ?
森の中だから、というのは分かる。
腹が立つのはオレの呪文を仕掛けるタイミングのマズさの方だ。
グラビティ・プリズンと組み合わせてどうにか2頭の動きを止めたのは、いい。
それも長い時間、効きはしない。
ガルムもまた半端ねえよ!
ソーン・フェンスを喰い破って救出してきやがる!
そのガルムだが。
極端な魔物だ。
その速さは凄まじい。
呪文で強化してあるヴォルフとオルトロス勢にやや及ばないが、それでも速い事に変わりはない。
攻撃力も高いようだ。
結構頻繁に回復手段を講じないといけない。
その一方でタフではないようだ。
そこだけが救いか?
数は多いがどうにかなりそうである。
ところで、魔人は?
クーチュリエが嫌がらせのように襲ってますが何か?
とっくに落馬して地上を転がっている様子は気の毒なので、残月に踏ませました。
いや、もうね。
酷い有様です、はい。
ガルムの数が減った所でスヴァジルファリ・スレイブとは併せ馬の状態で戦闘を続ける。
でもその背中に魔人はいない。
その分、楽かと言えばそうでもないのです。
やたらとタフな奴だ。
体当たりしかしてこないのは助かるが。
その体当たりも馬上槍のカウンターで凌げる。
手応えがあるのにやたらとタフな理由はその回復力もあるだろう。
HPバーは目が見えるような速さで回復している。
まあそれも長くは続かない。
続けさせない。
急所を狙っては突き、体当たりを仕掛けてきてはカウンターで突き、攻撃呪文も使いました。
それでどうにか1頭、
もう1頭は酷い有様だ。
全身に矢が生えている。
血達磨になりながらも戦うのを止めようとしない。
まさに暴れ馬。
いっそ見事だ。
賞賛するに値する。
ガルムを全て片付けた召喚モンスター達に集られてそのスヴァジルファリ・スレイブも詰んだ。
ふむ。
昨日のように極端な大群でなければこんなものなのかな?
もうちょっと、数が多くてもいい。
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『クーチュリエ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
素早い魔物が相手でも空中を飛ぶ召喚モンスターは助かりますな。
どれも敏捷値以上に速いのがいい。
このまま継続して活躍して貰いましょう。
クーチュリエのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値です。
そうでしょうとも!
もう1点は精神力を指定しておきましょう。
クーチュリエ ギガントクイーンLv2→Lv3(↑1)
器用値 20
敏捷値 32(↑1)
知力値 12
筋力値 9
生命力 10
精神力 9(↑1)
スキル
針撃 噛付き 飛翔 回避 奇襲 誘引 毒
「大丈夫か?」
『少し待って下さい!』
『回復しなきゃ!』
戦闘そのものは単調とも言える。
ダメージは喰らうが、殲滅するのは難しくはないと思う。
しかし、これだけは納得いかない事がある。
アイテムだ。
魔石だけかよ!
ないよりはマシだが、気分的な収支は明らかにマイナスだ。
スヴァジルファリ・スレイブからは何も剥げない。
魔人も当然だが何も残さない。
全く。
口直しでラクチャンゴの群れ、アイラーヴァタ、マイナーグリフォンの群れを呼び寄せて狩った。
済まないね。
まるで八つ当たりだし。
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『極夜』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
相変わらず極夜は魔物の肉を喰らい続けている。
まだ獅子吼のように、捕食融合が働くような気配はないのだが。
ちょっと、怖いのも確かだ。
今回はどうだろう?
極夜のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値である。
もうこうなったら徹底的に成長するがいい!
もう1点は器用値にしておく。
極夜 オルトロスLv2→Lv3(↑1)
器用値 14(↑1)
敏捷値 35(↑1)
知力値 15
筋力値 19
生命力 19
精神力 15
スキル
噛付き 疾駆 威嚇 夜目 聞耳 危険察知
追跡 捕食融合 ブレス 火属性 闇属性
少しだけ、身構えた。
何か変化は?
ないようです。
残念。
いや、本当に。
獅子吼みたいな変化が本当にあるんだろうか?
気になります。
そしてイリーナ配下のスライムも変化した。
クラスチェンジしたようです。
イリーナの選択は水属性のようだ。
即ち、ブルーゼラチンへとクラスチェンジしている。
リグとは色違いの半透明だが。
いや、本当に真っ青だな!
ところで。
このブルーゼラチン、名前はキャンディーなんですけどね。
青いキャンディーか。
ブルーハワイ?
いや、それじゃかき氷だよ!
いた。
見つけたぞ!
隷獣・外法蛇亀だ。
その上空にレッサーグリフォンの姿はない。
おお。
それは悲報だ。
いや、違うか。
護衛となっている魔物の数が減っているのだ。
あの巨大な魔物に迫るには周囲の魔物が減ってくれた方が助かる。
そう思う事にしよう。
問題は?
従っている魔物の数なんだが。
増えているんだか、減っているんだか、分からん!
だってまだW6マップなのです。
足元の森が邪魔で魔物の群れの全容はまだ見えない。
どんだけ、鈍足なの?
これは想定を超えて足が遅い!
遅過ぎる!
『どうします?』
「周囲にいる魔物を減らせたらいいんだがな」
『昨日みたいな目に逢うのは、や!』
アデルは拒否か。
まあそうかもな。
だが昨日、痛い目に逢った体験は活かせばいいのだ。
成功体験から何かを得るのは難しい。
だが失敗体験から何かを得るのは容易だ。
どこかに工夫する余地があるだろう。
でもね。
W5マップになってから仕掛けたほうがまだいいだろう。
未だに全容の見えない魔物の、しかも大規模な群れに仕掛けるとか、無茶にも程がある。
こいつ等はスルーしておくか。
「最後尾を移動している魔物の群れの戦力を削ぎに行こう」
『ではもうちょっと先ですね』
『良かったー』
アデルは森の中を逃げ回るのはお気に召さないようです。
まあ分かるけどな。
逃げる相手を追い詰めて仕留めるのが好みか?
もしそうなら実に加虐的だな!
オレも逃げ回る相手に止めを刺すのが大好きです。
魔人絡みの魔物の襲来は急激に減った。
でもね。
普通にこのマップにいる魔物は襲ってくる。
グレートモール、ツインホーンリザード、そしてレッサーグリフォン魔人抜き。
淡々と狩り続けた。
敢えてインビジブル・ブラインドは使わない。
理由は単純。
狩りたい。
いや、違うな。
アイテム剥ぎたい。
獲物が欲しいのですよ?
特にアデルとイリーナも異存はなかった。
ツインホーンリザードからは肉が剥げる。
イリーナの私見によると、双角蜥蜴の肉は携帯食にするには都合がいいらしい。
アデルの意見では、味は今ひとつ物足りないのだとか。
まあ量はあるし、2人が暇な時間で携帯食の作成をしていたのは知っている。
渡りに船だ。
出来るだけ狩っておこう。
無論、レッサーグリフォンは確率が低くはあるものの、金鉱石が得られる。
そして主目的はグレートモールが持っている宝石だ。
これは美味しい。
手強いけど、美味しい。
やはりアイテムが剥げる事が分かっていると狩りもまた楽しいのである!
『では一旦、ログアウトしてきます』
『出来るだけ早く戻りますから!』
「ま、ゆっくりしてきてもいいぞ」
時刻は?
午前11時10分。
調子の乗りすぎて魔人狩りが遅れそうなのはご愛嬌。
既に早めの昼食は済ませてある。
布陣も魔人狩りを意識したものへと変更済みだ。
護鬼、ティグリス、モジュラス、清姫です。
文楽はインスタント・ポータルを展開した中で最初から古代石柱の発掘をしている。
ではオレは何をしていたのか?
アデルとイリーナからの依頼で槍を作ってました。
マーメイド用の槍ですけど。
要求特性は短槍であり、どうにか非力なマーメイドでも扱える武器である事だ。
無論、素材はアデルとイリーナの提供になる。
作成依頼料は後で精算してもいいのだが。白象の牙1本で請けました。
十分です。
ついでにナイアスの分も作っておこう。
【武器アイテム:槍】白象の槍 品質C+ レア度5
AP+20 M・AP+7 破壊力3+ 重量4+ 耐久値480
攻撃命中確率上昇[微] 気絶異常発生確率上昇[微]
白象の牙を穂先とした槍。短槍サイズで扱い易い。
僅かな確率だが命中率が向上し、相手を気絶に陥らせる事も多くなる。
旗魚の槍に比べたらかなりの重量級なのは間違いない。
でもね。
旗魚の槍の方が例外的に軽過ぎると思うのだ。
これで十分じゃないのかね?
では。
後2本、作っておくか。
この作業が済むまでは対戦も後回しだな。
イリーナが先に戻ってきて、少し遅れてアデルも続く。
魔人の襲来はなかった。
目標となるキムクイ・スレイブからはかなりの距離を置いているのだ。
特に異変もなかった。
いや、ある事はあったけどね。
至近距離でツインホーンリザードが通り過ぎました。
インスタント・ポータルの中と分かっていても緊張しましたよ?
何しろ、デカい。
そりゃあ怖いですとも。
「じゃあ移動するか」
「早速、召喚しないと!急げ、急げ!」
「焦るのもダメよ?アデルちゃん」
まあ2人が召喚を進めるのを傍目にオレも文楽を帰還させる。
交代で召喚するのは言祝だ。
護鬼、ティグリス、モジュラス、清姫に加えて言祝。
うむ。
搦め手、大好きです。
アデルの布陣は?
ミスティックアイ、レッサーオーガ、マーメイド、シースネーク、ビッグスパイダーだ。
これも搦め手が仕込まれている。
ではイリーナの布陣は?
クレイゴーレム、マーメイド、鬼、ビッグスパイダー、ウェアウルフだ。
やはり搦め手が入ってますね。
いい傾向だ。
インスタント・ポータルを出る前に1本目の白象の槍はイリーナに渡しておいた。
2本目は仕上げにもう少し時間が要る。
まあそう時間は掛からないだろう。
では。
キムクイ・スレイブに近寄ってみるか。
まだまだ、魔物の姿が濃い。
もっと削って差し上げましょう。
《只今の戦闘勝利で【ポールウェポン】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【跳躍】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【軽業】がレベルアップしました!》
狩りの進捗は順調そのものだ。
糸使いの召喚モンスター3匹に加えて蛇系2匹。
そしてマーメイドの支援もある。
かなり隙のない戦い振りになった。
クラスチェンジ組が加わり、戦力の底上げが図られているのだが、打撃力が落ちているとは思えない。
レッサーオーガとクレイゴーレムがいるからいい感じでカバー出来ている。
地の利はこっちにあり、奇襲による先制もあるのだ。
インスタント・ポータルを襲われているというのに、こちら側に主導権があるという矛盾。
実に面白い!
そしてイリーナの布陣にはある変化が起きていた。
鬼の双炎がクラスチェンジしたのだ。
クラスチェンジ先は羅刹ではない。
護法だ。
うむ。
朝も思ったが、十二神将に通じる風格。
いや、威厳かな?
なにこれ、やっぱりカッコイイぞ?
羅刹の静かでありながら殺伐とした雰囲気も捨て難いのだが、こっちもいいな。
いかん。
配下に欲しくなってる。
次に召喚するのはドルフィンと決めてある。
ではその次は鬼だな。
得物は何にしよう?
おいおい。
そんな先の事を夢想するのも大概にしないとな?
魔人襲来までの間にアデルのマーメイド用に作っていた白象の槍は仕上がっている。
2匹のマーメイドなんですが、歌の支援も最初だけだ。
途中から糸が絡んで身動きのとれない魔人やレッサーグリフォンを槍で突きまくりです。
マーメイドは非力だ。
その筈だ。
でもその得物となる白象の槍は攻撃力がそこそこに高い上に破壊力もある。
地味であるが、積み上げられているダメージは洒落では済まないだろう。
しかし、何だな。
槍の間合いであるとはいえ、マーメイドが前衛で戦うとは。
誰に似たんだか。
きっと双炎の戦いに感化されたに違いない。
《只今の戦闘勝利で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ティグリス』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
ティグリスの戦い方は一種独特だ。
何しろその体の大きさの割りに身軽に動ける。
オレに続いて樹上から奇襲を仕掛ける事が多い。
全く、誰に似てきているんだか。
ティグリスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値です。
もう1点は生命力を指定しよう。
ティグリス シュトルムティーガーLv7→Lv8(↑1)
器用値 11
敏捷値 26(↑1)
知力値 11
筋力値 26
生命力 26(↑1)
精神力 11
スキル
噛付き 裂帛 危険察知 夜目 気配遮断 風属性
ふむ。
再び数字が揃ったか。
この調子で今後もお願いしたい所だ。
時刻は午後3時10分だ。
うん?
ところで2人共、時間は大丈夫なのかな?
「アデル、イリーナ。時間は?」
『今日は夕食後まで、付き合えます』
『目指せ!アラクネちゃんなのです!』
ほう。
明確な目標があると意気込みが違いますな。
では、オレはどうする?
戦力の底上げを続けましょう。
ティグリスを帰還させて剛亀を召喚する。
亀でも奇襲は出来ます。
それを証明してやるがいい!
そう言えば、イリーナの陣容にもある変化が起きている。
ビッグスパイダーの織姫がルームスパイダーになってます。
そして護法は帰還させてバイパーを召喚したようだ。
「イリーナは何を狙うのかな?」
『アラクネもいいんですが、ラミアもいいんですよね』
『そのうちラミアも狙いますよー』
まあそうだよな。
近くで見てしまうと狙いたくなる物なのです。
コレクター的な意識がどうしても刺激されてしまうのだ。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv30
職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv16
ボーナスポイント残 9
セットスキル
剣Lv12 両手槍Lv12 馬上槍Lv10 棍棒Lv12 刀Lv12
刺突剣Lv10 捕縄術Lv11 投槍Lv6 ポールウェポンLv6(↑1)
杖Lv22 打撃Lv19 蹴りLv19
関節技Lv19 投げ技Lv19 回避Lv19 受けLv19
召喚魔法Lv30 時空魔法Lv18 封印術Lv12
光魔法Lv18 風魔法Lv18 土魔法Lv18 水魔法Lv18
火魔法Lv18 闇魔法Lv18 氷魔法Lv17 雷魔法Lv17
木魔法Lv17 塵魔法Lv17 溶魔法Lv17 灼魔法Lv17
錬金術Lv14 薬師Lv9 ガラス工Lv8 木工Lv12
連携Lv21 鑑定Lv21 識別Lv21 看破Lv7 耐寒Lv9
掴みLv17 馬術Lv18 精密操作Lv20 ロープワークLv11
跳躍Lv11(↑1)軽業Lv11(↑1)耐暑Lv12 登攀Lv10 平衡Lv11
二刀流Lv18 解体Lv17 水泳Lv6 潜水Lv6 投擲Lv9
ダッシュLv10 耐久走Lv10 隠蔽Lv5 気配遮断Lv5
身体強化Lv19 精神強化Lv19 高速詠唱Lv19
魔法効果拡大Lv19(↑1)魔法範囲拡大Lv19(↑1)
耐石化Lv6 耐睡眠Lv6 耐麻痺Lv6
耐混乱Lv4 耐暗闇Lv4 耐気絶Lv7
耐魅了Lv1 耐毒Lv3
召喚モンスター
ティグリス シュトルムティーガーLv7→Lv8(↑1)
器用値 11
敏捷値 26(↑1)
知力値 11
筋力値 26
生命力 26(↑1)
精神力 11
スキル
噛付き 裂帛 危険察知 夜目 気配遮断 風属性
クーチュリエ ギガントクイーンLv2→Lv3(↑1)
器用値 20
敏捷値 32(↑1)
知力値 12
筋力値 9
生命力 10
精神力 9(↑1)
スキル
針撃 噛付き 飛翔 回避 奇襲 誘引 毒
極夜 オルトロスLv2→Lv3(↑1)
器用値 14(↑1)
敏捷値 35(↑1)
知力値 15
筋力値 19
生命力 19
精神力 15
スキル
噛付き 疾駆 威嚇 夜目 聞耳 危険察知
追跡 捕食融合 ブレス 火属性 闇属性
同行者
アデル&イリーナ




