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ちょっと増量ちう

《フレンド登録者からメッセージが2件あります》


 ログインした所で早速メッセージです。

 1件目はラムダくん、2件目はイリーナからだ。



『無事、復讐は果たせました。但し例の疑念は払拭できていませんのですが。色々とお世話になりました』


 このメッセージには画像の添付ファイルがあった。

 ラムダくんが裸絞めで仕留めている所のようだが。

 頚動脈を絞めるのではなく、喉仏を潰す方の絞め方になっているな。

 そして頭が奇妙な方向に曲がってしまっている。

 おお、これで生きていたら人間じゃないな。

 お見事。


『例の半ソロバードは後続のアヴェンジャーがマーク出来ると思いますが、お気をつけて下さい』


 メッセージはそこで終わっていた。

 まあオレにしてみたら、PK職に関しては襲ってくるなら受けて立つ、としか言えない。

 PKK職の獲物でもあるのだろうし、邪魔しないようにしないとね?


 それにしても、ラムダくんは再作成でどんなキャラクターになるんでしょう?

 ま、今度は気楽にゲームを楽しめたらいい。


 で、イリーナのメッセージは?

 開く事はなかった。

 だって目の前にいるし!

 アデルもいるのですが、それだけではない。

 サキさん、マルグリッドさん、レイナ、ミオ、リック、それにハンネスもいる。


 何事?



「お早うございます」


「ああ、おはようさん。何です?」


「もうちょっと早くログインして欲しかったわね」


「もう幾つか、魔人狩り部隊が出発しちゃってね。中々、盛況だったよ」


「へえ」


 確かにログインした時間はいつになく遅れた、のか?

 時刻は午前7時10分。

 そう極端にログインが遅れた訳じゃないんだが。



 そう言えば昨日は騒がしかったエリアポータルなんだが、今は比較的静かである。

 つかオレの周囲だけ、人口密度が高いよ!






「という事で、魔人狩り組はインスタント・ポータルを使う事で罠を仕掛ける形で編成している」


「基本、4つのパーティのユニオンですね」


 オレは食事を摂りながら話を聞く事に専念する。

 魔人の襲来に対するプレイヤー側の動きは?

 早い。

 オレの感覚ではそうだ。

 確たる組織化は行われていないそうですが、生産職プレイヤーズギルドが自然と後方支援体制を固めているようだ。

 サモナー系のプレイヤー達もログイン時間が合致する者同士でユニオンを組み、絶賛行動中らしい。


 他にも様々なチームが組まれているようだ。

 サモナー系以外でも機動力を活かした騎馬部隊が編成されているとか。

 魔物の群れの動向調査を行うハンター系トレジャーハンター系のパーティとか。

 生産職も後方支援、まずは補給線の維持を24時間体制で維持しているそうな。


 ここで疑問。

 どうやって、誰が調整管理してるんだ?

 聞けば既に数千人のプレイヤーが参加しており、最終的には万単位になりかねない勢いなのだそうですが。



「ま、基本は自己責任だしね」


 ハンネスの答えはそれだけだが。

 少なくとも、生産職の支援があれば、後は機会を少し与えるだけで自然とプレイヤーが動く、という事らしいが。

 全く問題がない訳ではないようですけど。

 そういった所の調整は最低限だけ行っているそうな。

 おっかないお姉様には逆らえないらしい。


 うん。

 誰の事なのかは敢えて聞きません。

 聞きませんから!




「で、あまり良くない情報もあるのよね」


 マルグリッドさんの解説によると、魔物の先陣がW5マップに侵入してきたようだ。

 隷獣・外法蛇亀のうちの1匹。

 これに従う魔物は?

 レッサーグリフォンと魔人は既報の通りだが、地上戦力は3種、いるそうです。

 1種は【識別】で判明。

 2種は未だに不明。

 確かに芳しくない。


 判明している1種は大型の魔物だ。

 オブシディアンビースト。

 黒曜石の獣、らしく、あのロックビーストの上位種と推測されているのだとか。

 あれか。

 ロックビーストが頑丈だった事は覚えている。

 あれの上位ともなると、更に硬さが向上していそうだ。



「肝心のあの巨大な魔物をどうするか、方針は?」


 食事を摂り終えると質問を放つ。

 ここにいる全員がその明確な答えを持っていないようだが?


「魔物の群れの数を減らし続けて消耗を強いる。問題はどこで大規模戦を仕掛けるかなんだが」


「確かに巨大な魔物だけど、クリア出来ない課題を仕掛けるとは思えないしね」


「敵を知る。そこからだね」


 ハンネスとマルグリッドさんの口調には緊張はない。

 まあどこまでいってもゲームだし。

 気楽に挑んでもいいのだろう。



「では私の役回りは?」


「放流で。いい感じで経験値稼ぎをしてくれていいのよ?」


 放流って。

 まあ好きにやっていいなら、そうするだけですけど?

 他のプレイヤーとの連携は取らなくていいのかな?



「まあ放流というのは半分は本当。で、残り半分は商売」


「依頼はやや勉強した形で請けますよって事だね」


 リックはぶっちゃけ過ぎだろ?

 そう思います。




 そんな訳で。

 アデルとイリーナとユニオンを組んでいた際の戦果は山分けだ。

 主な獲物と言えばルビーとサファイアの原石になる訳ですが。

 後は白象の牙、少しだけ相克石、数は少ないが重量級の双角蜥蜴の肉、紅水晶、それに金鉱石。

 肉はアデルとイリーナに全部渡すとして。

 3名でルビー1個、サファイア2個ずつを山分け、余ったルビー1個はオレが貰う事に。

 後は等分で山分けになった。

 まあ宝石類はそのまま、マルグリッドさんの手元に渡って加工依頼になるのですがね。

 さすがにこのイベント中に間に合うかどうかは怪しそうだ。


 他のアイテムはやや悩ましい。

 金鉱石はいい。

 自前で処理して、精錬に近い事は出来るし。

 白象の牙、それに相克石だ。

 牙はそこそこの数があるけど、どうする?

 パッと見た所、槍か何かに出来そうなんだよな。

 ミオは白象の牙に注目している。

 ま、槍にする、というのは間違いなく出来そうだよな?

 投槍にするのもいいかな?

 そうしよう。

 白象の牙は5本を残して、過半数を売っておく。

 それでも宝石の加工費には大きく届かないそうですが、そこはそれ。

 後払いにして貰ってもいいそうです。

 この辺は今までの取引実績が効いている。

 そう思っておこう。



「アデル、イリーナは今日はどうする?」


「さすがにログイン時間がキースさんと合わないんですが」


「途中までなら、行ける!」


「では一緒に行くか」


 そうだな。

 多少の無理が効くのは間違いないのだ。

 昨日の実績もある。

 というかオレが面倒にしている部分の殆どをこの2人はカバーしてくれていたりするのだ。

 お互いに補強し合えるのであれば否はあるまい。


 おっと。

 忘れてはいけない。

 清姫を召喚する。




 次の瞬間。

 周囲の音が、消えた、だと?









「前もって情報として伝えとかないとダメでしょ?余計な騒ぎになるんだし」


「何で」


「僕達もなの?」


「ま、キースに巻き込まれたのが不運よねー」


 何故だろう。

 リックとハンネスと並んでオレは立っている。

 オレ達の背中に投げかけられるサキさんの声。

 どうやら彼女達からするとアウト、という判定らしい。

 でもS5南端の中継ポータルの地下で戦ったラミアも似たような連中でしたけど?

 そこだけが解せぬ。



「サイズ調整、ギリギリ?」


「ギリギリ」


「寄せて上げたら正に危険物だわ。サラシで巻く方が良くない?」 


「これ、欲しい!」


「欲しいのは特定箇所、しかもリアルでなのよねー」


「ありもしない物を欲しがるのって良くない!」


「あーあーもう、普通の首飾りだと谷間に挟まっちゃうわね」


 誰が一体何を話しているのやら。

 妄想を刺激する会話が為されています。

 いかんな。

 横目になろうと瞳が動くのを制御する事が出来ない。


 だが。

 そんな僅かな変化を見逃してくれない。



「はい、もうちょっと待っててねー」


 うぉい!

 ほんのちょっとでこれだよ!

 つかこういう所では男性陣は弱いんだな。

 オレも配慮が足りないのは確かなんですが。



「キースさん、この子は武器スキルってあります?」


「ないな」


「イヤリングか指輪にする方がいいわ。首飾りだと外に露出する短めのじゃないとダメだわ」


「お任せしたい所ですが」


「こればっかりは貴方に決めて欲しいわね」


 3択ですか。

 指輪とイヤリングで比較すると?

 魔法技能への修正値では指輪の方に軍配が上がる。

 だが2つ1組として見たらイヤリングの方が有利。

 攻撃を受けた場合、イヤリングだと外れてしまう可能性が高い。

 イヤリングでは両耳で同じ宝石を付ける事を推奨。

 指輪では複数の宝石を使う場合、追加で嵌める事も出来るが、首輪のように相互補完効果は望めない。


 首飾りではどうか?

 短いものであれば邪魔にならないそうです。

 何にって?

 胸だよ胸!

 防具の中に仕舞えないから目立つ形になるみたいです。

 宝石による強化は5個まで。

 ま、そこは妥協できるんですが。


 ぶっちゃけ、どれも決定打にならない。

 オレが装備する白銀の首飾りは宝石を台座毎、組み換えが簡単に出来る。

 召喚モンスター達の装備も組み換えが出来るので、便利なんですがね?



「宝石の台座を共有化出来ますか?」


「首飾りだけよ。でもこの子だとかなり目立つわ」


「妥協します」


 手持ちにある台座に組んである宝石は?

 トパーズ2個、オパール2個、中央にはツァボライトにした。



【装飾アイテム:首飾り】白銀の首飾り+ 品質C+ レア度3

 M・AP+19 重量1 耐久値100

 銀の網鎖で作られた首飾り。

 網鎖にすることで非常に軽いが、その分、耐久性は低い。

 魔法発動用に強化されている。

 [カスタム]

 ツァボライトを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。

 オパールを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。

 トパーズを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。

 ※呪文のMP消費が減、宝石の特殊効果を強化、技能補正強化



 【鑑定】もしておいた。

 魔法技能補正はやや高めかな?

 耐久値は低めだけど。

 まあ壊れないうちに修復しなきゃいけない事に変わりはない。



 そして装備を終えた清姫の様子は?

 上半身は幻影馬の皮で作られた革ジャケットのようだが。

 強引に胸を収納したようにも見えるが気のせい。

 頭部の防具は額当てだけだ。

 両手には既製品の牛馬の腕カバー。

 まあこんな所で十分か?

 普通に見ていられそうです。


 代金は?

 魔晶石1個で。

 無論、過剰ではあるんだが。

 宝石の加工費の前払い分も十分に賄えるようだから、いいのだ!



 少し手間をかけてしまったが、狩りに出発しようか?

 清姫は帰還させておいて、と。

 ヴォルフ、残月、ヘリックス、極夜、言祝の布陣です。

 言祝は昨夜、落ち着きのない行動が目立ったものであるが。

 今日は一転、おとなしい。

 こいつ。

 二面性でもあるのか?

 まあ今日は移動の合間に戦闘もあるだろうし、レベルアップが望めるだろう。

 頑張って頂きたい。



 アデルの布陣は?

 ホワイトホース、ホワイトウルフ、金毛狐、ファイティングファルコン、赤狐。

 キツネ2匹を両肩に乗せてご機嫌ですな。

 赤狐のふぉーちゃんはレベル7になっている。

 クラスチェンジ間近なのか。

 何にするのかは読めている。

 完全に、読める。

 銀毛狐にするのだろう。

 間違いない!



 イリーナの布陣は?

 バトルホーク、バトルホース、ブラックウルフ、オルトロス、インプ。

 インプのレベルは6か。

 狙ってるよね?

 間違いなくフューズ・モンスターズを狙っているだろう。

 イリーナ配下のインプ、ナイトウィングは何になる可能性があるかな?

 既にブラックウルフがいるから、ウェアウルフにするか?

 バイパーを育ててラミア狙い、ビッグスパイダーを育ててアラクネを狙うかも?

 まあ一番近いのはウェアウルフになるんだろうが。

 中々、悩ましい選択肢になっているようだ。





 静かなる竹林を出発した時刻は午前7時50分。

 ちょっと出遅れた!

 挽回は当然なんだが。



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『言祝』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 いきなりラクチャンゴの群れに遭遇。

 出発して10分後にはもうレベルアップかよ!

 相変わらず早いな!


 言祝のステータス値で既に上昇しているのは精神力です。

 もう1点は生命力を指定しておこう。



 言祝 インプLv1→Lv2(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 21

 知力値 21

 筋力値  2

 生命力  3(↑1)

 精神力 22(↑1)


 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 光属性 闇属性



 ふむ。

 何故だろう?

 まだ言祝がおとなしい。

 猫かぶり?

 どういうつもりなんだか。

 戦闘は積極的に参加してるし、支援もキッチリしてくれているんですがね。




『エリアポータル近辺はプレイヤーも多いみたいですね』


『あちこちで戦闘してる!』


 そう。

 狩場としては、いつでもエリアポータルに逃げ込めるからね。

 それだけに着実に経験値も稼げるのだが。

 飽くまでもオレの狙いは魔人だ。

 昨夜の続きをしておきたいのです。


 魔物の群れの一部でも削ってやれたらいい。

 隷獣・外法蛇亀までいけるか?

 出来ればそうしたいが、あれを沈めるには集団戦じゃないと厳しいよね?



「西へ行くか。一番端にいた群れに従軍する魔人を出来るだけ減らしておこう」


『昨夜、キースさんはあの続きをしてたんですか?』


「してたんだよね」


『減ったままだといいなー』


 そうなのだ。

 せっかく討ち減らした連中が復活していない事を祈りたい。

 まあそれはそれで経験値にしてやるだけだが。


 うむ。

 どうせやる事は一緒ですよね!






《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『言祝』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 またこれかよ!

 ラクチャンゴの群れに加えて魔人が騎乗したアイラーヴァタがいました。

 やや時間は掛かったけど戦果は大きい。

 言祝だけでなく、イリーナ配下のインプ、ナイトウィングもレベルアップしているようだし。


 おっと、ステータス操作をしておこう。

 言祝のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値です。

 もう1点は筋力値を指定しておこう。



 言祝 インプLv2→Lv3(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 22(↑1)

 知力値 21

 筋力値  3(↑1)

 生命力  3

 精神力 22


 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 光属性 闇属性



 ところでこの言祝、どう成長させよう?

 フューズ・モンスターズで別の組み合わせがあるのかもしれないが、通常進化だってアリだ。

 ま、当面の目標はクラスチェンジでいいよね?

 どっちにするか、今から悩んでも仕方ない。

 後は流れでお願いします。




 昨日と少し違う事。

 それはプレイヤーの数だけではない。

 レッサーグリフォン3頭の集団を良く見る事だ。

 そのうちの幾つかはプレイヤーにより例の手で戦闘に持ち込まれている。

 インスタント・ポータルを利用した伏兵。

 どれも中々の激戦を繰り広げている。

 先制で奇襲しているとはいえ、相手はレッサーグリフォンに魔人だ。

 簡単に狩れる相手ではないだろうが、未見の相手を狩る訳ではない。

 十分に勝算が見込める戦力を揃えているのも間違いないようだ。

 助っ人が必要と思えるような劣勢はない。

 さすがだ。



 だがこれはマズいぞ?

 オレ達の分が、狩り尽くされたら、困る!

 困るのだ。

 さっさと狩場を確定しておかないと!










《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『言祝』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 ようやくW5マップの西端になろうとしている。

 魔人が騎乗したアイラーヴァタが率いるラクチャンゴの群れは多いのか?

 今日はよく遭遇する。

 呪禁道師がいないと気分は楽だ。

 あの呪禁道師とクラウン、バード系が厄介に思う。

 まあ今の火吹き男は相手をし易かった。


 言祝のステータス値で既に上昇しているのは精神力だ。

 もう1点は生命力を指定する。



 言祝 インプLv3→Lv4(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 22

 知力値 21

 筋力値  3

 生命力  4(↑1)

 精神力 23(↑1)


 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 光属性 闇属性



 言祝のレベルアップもいいんだが。

 アデルが満面の笑みですが何があった?

 いや、見れば分かるんだけどね。


 両肩に乗せているのは2匹のキツネ。

 以前からいる金毛狐のきーちゃん。

 もう1匹はナインテイルと同様、銀毛狐となったふぉーちゃん。


 ご機嫌だな、アデル。

 そんなアデルの上半身で器用に追い駆けっこをする2匹。

 アデルが2匹の尻尾の感触を確かめている所など、危険だ。

 あれは近寄ってはいけない。

 オレの中で何かがそう語りかけてきます。



『次は待ち伏せ?』


「だな」


『ではここで召喚モンスターの布陣は変更、ですね?』


「うむ。だが待ち伏せするポイントを決めておかないとな」


 そう。

 隷獣・外法蛇亀の姿が見えない。

 まだW5に越境してない?



「隷獣・外法蛇亀が1匹、W5に来ていると聞いたが?」


『最新情報がありますね。現在は進攻停止中みたいです』


『まさにカメの歩み!』


『探索チームが【識別】を試みているようですが、容易に近寄れないみたいですね』


「周囲の魔物の群れが邪魔か」


『どこかで大規模戦を仕掛けるべきなんでしょうけど』


『レッサーグリフォンが一番邪魔!』


「だな」


 そう。

 大型の魔物を狩るのは確かに大変だと思うが。

 上空から奇襲されながらでは苦戦は必至だ。

 それに呪文の効果を無力化してくる呪禁道師は邪魔以外の何者でもない。

 クラウン系は仕留めるのが面倒だ。

 バード系の支援効果は侮れない。

 でも呪禁道師よりはマシだ。

 かなり、マシだ。


 他の魔人?

 パントマイム系の変態度合いはどうにかして欲しいが、問題は少ない。

 大型の魔物相手に呪文の強化なしで戦うなど、あり得ない!

 だからこそ、インスタント・ポータルを用いての魔人狩りには意味がある。

 では。

 オレ達も狩り場を定めておこうかね?





 いた。

 隷獣・外法蛇亀だ。

 足元にいるであろう魔物の群れは樹木が邪魔で全容が見えない。

 当然だが【識別】も効かない。

 重要なのは上空を旋回する魔物の数だ。

 レッサーグリフォン。

 まだその数は多いか?

 だが昨日に比べたら半減以下だろう。



『50匹、いませんね』


『あ、数え損ねた!』


「いや、正確に数える事はないぞ?」


 焦る事はない。

 何しろ昨夜の位置からまるで進んでいないのだ。

 どんだけ足が遅いのか。



「ここで網を張ろう」


『布陣変更、ですね?』


『最初のインスタント・ポータルは私がやるね!』


 手際よく迎撃準備が進められていく。

 いや、奇襲準備だな。


 オレの布陣は?

 変更しないのは言祝だけだ。

 護鬼、クーチュリエ、モジュラス、清姫、言祝となっている。

 要するに1パーティでレッサーグリフォンと魔人の1組を倒せればいいのだ。

 壁役が必要なら護鬼でも出来る。

 十分ですよ!



 アデルはどうか?

 ミスティックアイ、レッサーオーガ、銀毛狐、インプ、ビッグスパイダー。

 昨日に引き続きクモを使って動きを止めるのは基本だ。

 ちゃんと分かってます。



 そしてイリーナは?

 オオフクロウ、クレイゴーレム、インプ、鬼、ビッグスパイダー。

 目的とする所はアデルと同様だ。

 クモを活用。

 それでいて明確に壁役を加えているのもイリーナらしい。



 ところで。

 インプが、3匹になります。

 それでいて3匹の様子は一様ではない。

 言祝が急に騒がしくなった。

 周囲を飛び回り始める。

 そんな言祝を相手に追い掛けるのはイリーナのインプ、ナイトウィングだが。

 アデルのインプ、いーちゃんはアデルの頭の上で足を組んで休んでいる。

 怠惰、だな!

 まあ少し元気がある方が健康的でいいか。

 言祝の場合はもう少し、その二面性を直して欲しいものだが。




 待ち伏せの罠で魔人共を迎撃する事、数戦。

 大体、清姫の特性が見えてきた。


 恐ろしい奴。

 清姫に巻付かれてしまえば、レッサーグリフォンには空へと飛ぶ事が出来なくなる。

 翼が拘束されずとも、思うように操作出来ないようでもあるのだが。

 何といっても、重たいようですし。


 女性に向けて、禁句?

 でも事実だ。


 特殊能力も多彩だ。

 時空、光、闇、火、土と属性を揃えている。

 それぞれ、魔人にもレッサーグリフォンにも使いまくりだ。

 MPバーが心配になる程なのですがね。

 レッサーグリフォンの首元に噛み付いて血を吸ってやがる。

 MPバーも回復しつつあるんだが。

 夜のテロメアもおっかないが、清姫もまたおっかないな!

 口元!

 血で汚れているよ!

 口の周りの血を舐め取る舌は長い。

 舌先は二股に分かれているし。

 ヘビだ。

 確かに、ヘビだ。


 これは前衛とは言えない。

 かと言って後衛とも言えない。

 搦め手が効く戦闘スタイルである事は確かだ。

 森の中では地の利もある。

 強い。

 いや、実に個性的だな。


 モジュラスと並んで立つと変な気分になる。

 怖い。

 女性って怖い。

 これにテロメアが加わったらその怖さも倍増だろう。

 捕まったら逃げられそうにないしな。








《只今の戦闘勝利で【氷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『言祝』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 順調に狩りは進む。

 それだけにレベルアップが早い。

 実に結構。

 空きスキルもあるから埋めておかないとね?


 言祝のステータス値で既に上昇しているのは知力値です。

 もう1点は筋力値を指定しよう。



 言祝 インプLv4→Lv5(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 22

 知力値 22(↑1)

 筋力値  4(↑1)

 生命力  4

 精神力 23


 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 光属性 闇属性 風属性(New!)



 言祝の空きスキルに埋めたのは風属性だ。

 順調すぎて怖い。

 アデルのインプ、いーちゃんもいつの間にかレベル7になってた。

 イリーナのビッグスパイダー、織姫はレベル6になっている。

 アデルのビッグスパイダー、もーちゃんもいつの間にかレベル5なってたし。


 アデルはステータス操作を決めるのが早いのかな?

 いつの間にか変わってたりしている。

 まるで気がつかなかったよ!


 イリーナ配下の鬼、双炎も地味に見えるがレベル7になっている。

 戦力の底上げは順調のようですな!





 無論、インスタント・ポータル内で待つ時間は無駄にはしない。

 今日は対戦で時間を潰すのではなく、木工作業ですけど。

 最初に作成したのは黒檀の木刀。

 今、作っているのは?

 槍だ。



【武器アイテム:両手槍】白象の長槍+ 品質C+ レア度6

 AP+22 M・AP+8 破壊力4+ 重量6+ 耐久値530

 攻撃命中確率上昇[小] 気絶異常発生確率上昇[微]

 白象の牙を穂先とした突く事に特化した槍。

 刃がなく斬る事はできない。

 長槍サイズで間合いは長く突く攻撃に於いて扱いやすい武器。

 僅かな確率だが命中率が向上し、相手を気絶に陥らせる事も多くなる。

 [カスタム]

 柄を黒檀として重量バランスを取っており、耐久性も高い。



 白象の牙で投槍にするにはある問題が存在する。

 重たいのだ。

 白象の牙だけで重量3+なんですよ。


 ダツ顎の投槍は重量1+である。

 白象の牙に短い柄を付けたら重量4相当になっちゃうじゃないですか!


 この白象の長槍はある意味で練習用で作ったんですがね。

 強力な武器なのは間違いないのだ。

 でもオレには虚空蔵槍がある。

 予備で旗魚の槍もあるが、この白象の長槍も捨て難い。

 使い易いか?

 突くだけならこれ、いいな。

 足元を払うような攻撃には向かない。



『それ、私にも組んで頂けますか?』


「うん?」


 白象の長槍に食いついたのはイリーナでした。

 イリーナが、槍だと?

 だが。

 イリーナが使う訳ではないそうです。

 そりゃそうだ。

 驚いちゃったよ!

 ヒョードルくんみたいに前衛に出るのかと連想してしまった。


 無論、使うのはイリーナ配下の鬼、双炎だ。

 どうせこれは予備だ。

 先に渡しておく。

 少し使わせて見るイリーナ。

 白象の長槍は結構重たい装備だが、両手で使うにはこの程度重くても大丈夫なようだ。

 さすがにマーメイド辺りに持たせるには重たいそうですが。


 そうだな。

 オレの予備としている旗魚の槍、ナイアスの予備とするのが無難だな。



 しかし重たい事は悪いとは思わない。

 挑戦しよう。

 白象の牙で投槍を作るのだ。

 射程が短くなりそうな予感がする。

 いや、間違いなくそうなる。

 それでも作る。

 だって【投槍】技能を取得して有効化しているんです。

 無駄に遊ばせる事はない。


 幾らで売るか?

 そこは後でリック辺りに精算して貰おう。

 お金や魔石で、ではなく、レッサーグリフォンから剥いだ金鉱石でもいいしな。


 そうだ。

 金鉱石からもリファインの呪文で精錬もどきの作業をしておきたいんだよな。

 いやはや、本当にやりたい事が多いというのに。


 また、魔人とレッサーグリフォンだ!

 生産活動の邪魔するな、と言うのは容易い。

 でもね。

 ここに来た主目的はこいつ等の駆除なんですよ。

 酷い主客逆転になりかけた。

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv30

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv16

ボーナスポイント残 9


セットスキル

剣Lv12 両手槍Lv12 馬上槍Lv10 棍棒Lv12 刀Lv12

刺突剣Lv10 捕縄術Lv11 投槍Lv5 ポールウェポンLv4

杖Lv22 打撃Lv19 蹴りLv19

関節技Lv19 投げ技Lv19 回避Lv19 受けLv19

召喚魔法Lv30 時空魔法Lv18 封印術Lv12

光魔法Lv18 風魔法Lv18 土魔法Lv18 水魔法Lv18

火魔法Lv18 闇魔法Lv18 氷魔法Lv17(↑1)雷魔法Lv17

木魔法Lv17 塵魔法Lv17 溶魔法Lv16 灼魔法Lv17

錬金術Lv14 薬師Lv9 ガラス工Lv8 木工Lv11

連携Lv21 鑑定Lv21 識別Lv21 看破Lv7 耐寒Lv9

掴みLv17 馬術Lv18 精密操作Lv20 ロープワークLv11

跳躍Lv10 軽業Lv10 耐暑Lv12 登攀Lv10 平衡Lv11

二刀流Lv18 解体Lv17 水泳Lv6 潜水Lv6 投擲Lv8

ダッシュLv10 耐久走Lv10 隠蔽Lv5 気配遮断Lv5

身体強化Lv18 精神強化Lv19 高速詠唱Lv19

魔法効果拡大Lv18 魔法範囲拡大Lv18

耐石化Lv6 耐睡眠Lv6 耐麻痺Lv6

耐混乱Lv4 耐暗闇Lv4 耐気絶Lv7

耐魅了Lv1 耐毒Lv3


装備

独鈷杵×2 三鈷杵×2 摩尼宝剣×2 玻璃光刀×2

虚空蔵槍×2

呵責の杖×2 珪化木の杖+×2 呵責のトンファー×2

呵責の捕物棒×1 ダツ顎の槍+×1 旗魚の槍+×2

白象の長槍+×1(New!)

鍛鉄の騎士槍×1 獅子賢者の騎士槍+×2 太刀魚の刀×1

雪獣のメイス×1 獅子賢者のフルーレ+×2

獅子賢者のククリ刀+×2 ダツ顎の投槍×1

守護宝鎚×1 宿曜弓×1 金剛戟×1

怒りのツルハシ+×2 白銀の首飾り+×1

斑雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×1

殺人蠍の隠し爪×1 雪豹のバグナグ×2

草原獅子のバグナグ×1 牛馬の革鎧+ほか

エインヘリャルの腕カバー×2 天斑馬のミサンガ×2

呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 獄卒の黒縄×1

暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2


召喚モンスター

言祝 インプLv4→Lv5(↑1)

 器用値  7

 敏捷値 22

 知力値 22(↑1)

 筋力値  4(↑1)

 生命力  4

 精神力 23

 スキル

 飛翔 浮揚 反響定位 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 光属性 闇属性 風属性(New!)


同行者

アデル&イリーナ

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テロメアモジュラスに清姫…逃げられそうにないホラーなメンツw
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