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久々のレギアスの村に到着です。
そしていきなり声を掛けられましたよ?
「やあキースさん!ここです、ここ!」
これも久しぶりなのかな?
ハンネスだ。
ファーマーな彼がこんな所に?
村そのものの様子はそう変わらないように見えたが、中はそこそこ変わっているように見えた。
村の外にいるプレイヤーが多いからだろう。
何をしているのか?
対戦だ。
何だってこんなに盛況なんだよ!
なるべく目立たないように移動する。
いくつかサモナーパーティもいるようだし、目立たないと思いたい。
だが見つかるんですよね。
ハンネスに連れられてきたのは?
広場の近く、木陰の下です。
初見の料理人プレイヤーがやっている屋台裏だ。
机に椅子もあるし、少人数であればゆっくりと食事が出来るだろう。
広場の様子は?
酷いものだ。
同時進行で3箇所、対戦が行われていた。
大混乱だな。
それにしても、ここにいる面子が気になる。
与作、東雲がいる。
他にも明らかに剣呑な様子にも見えるプレイヤーが数名。
ああ、何名かは西方面のイベントで見たような顔だな。
何だろう?
「キースさんがいましたんで連れて来ました」
「ども」
「お久しぶりです。ここまで対戦はしてました?」
「してませんね。そっちは?」
「いや、もう闘技大会の出場枠は決まっているんだけどね」
ほう。
与作はもう出場枠を取っているのか?
さすがだ。
オレが腰掛けた対面にハンネスと与作。
オレの隣には東雲。
他のプレイヤーは周囲を見回す様子を見せている。
「高いレベルのプレイヤー同士で集まっているのは言わば保険でね」
「対戦の申し込みを断るのも大変でね」
ハンネスも与作も苦笑するような感じがする。
東雲など顔を顰めたままの表情だ。
不愉快そうな雰囲気を隠そうともしない。
「失礼を承知で聞くけど、キースさんの種族レベルは?」
「28、かな」
「やっぱりね」
ハンネスが何やら計算をしているようだが。
何だろう?
「種族レベルの高さでどの程度のポイントを稼げそうか、暫定で計算しているんだけどね」
「例えば、ボクも与作も東雲も種族レベルは18なんだよね」
「差は10もあるのか?」
「ポイントを稼ぐ相手で種族レベルの差が10、というのはギリギリだね」
「勝利しても1ポイントだけ、か」
ほう。
そんな計算が予測できる程なのか。
「つまり、キースさんの場合、種族レベル18の相手100人と対戦して勝利してもようやく初級エントリー権か」
「事実上、無理だな」
「1人相手に連戦して稼げるものじゃないですしね」
「まあ出場する気はないですけどね」
「ならいいんですが」
えっと。
まだ問題があるの?
「レベル8辺りのプレイヤーだとキースさん相手に戦って敗北しても初級エントリー権が得られそうですね」
「そりゃあ大人気間違いなしだな!」
「オレ等の比じゃなさそうだな」
「ま、大なり小なり、ここにいる全員が標的になってますけど、キースさんはそれ以上なのは確実です」
ああ、そういう事か。
風霊の村でも感じたあの視線。
ここではもっと強烈なようだ。
しかし、いいのかね?
ここから村の外まで、無事に出られるんだろうか?
「インビジブル・ブラインド、頼めるかな?」
ハンネスが魔法使いであろうプレイヤーに声を掛ける。
インビジブル・ブラインド?
ああ、光魔法の呪文か。
成程。
確かにあれを使えば確かに気付かれないのかも?
「あ、その呪文なら使える。自前で大丈夫」
「やっぱりね」
ハンネスは目である場所を示している。
裏口、というか抜け道だな。
「ところで闘技大会の出場はないにしても、観戦はするのかな?」
「多分、見ることになると思うけど」
「ならレムトで会う事もあるかな?」
「ですね」
この場は逃げた方がいいのかな?
そうしましょう。
目礼だけ残して裏口へ向かう。
裏道の途中でインビジブル・ブラインドを使うと村の外を目指す。
村を出たら?
師匠の家に行こう。
色々と補充、出来そうだしな。
村の外に出るとレムトへの街道を通らずに森の中へ突入する。
フォレスト・ウォークを残月に使えばそう移動に苦労はしない。
方向はマグネティック・コンパスで確認。
出来るだけ他のプレイヤーを避けて移動するんだが、結構多いな!
獲物も暴れギンケイ(メス)もいたんだが、パッシブは全部スルーで。
つかこの森の魔物ってこんなに少なかったかな?
いや、プレイヤーが多いのか?
まあどっちでもいいんだけど。
重要なのは移動が楽になっているって事だ。
師匠の家の前に到着。
変わっていない?
いや、何かが変わっているように見える。
門扉?
いや、扉は変わっていないが、門そのものの威容が違う。
大きくなっている。
何だろう?
黒曜がオレの肩から飛び立つと、師匠の家に向かうようだ。
そうそう。
中に入って見ないと、な?
家そのものも変化はない。
師匠のマギフクロウもだ。
だが。
フクロウの数が、おかしい。
1匹、追加されてますけど?
【識別】してみるか?
マギフクロウ Lv.14
召喚モンスター 警戒中
戦闘位置:空中 ???
おお!
師匠のマギフクロウだが色々と見えてきているかな?
ミネルヴァオウル ???
召喚モンスター 警戒中
??? ???
もう1匹はこんな奴でした。
確かに黒曜や師匠のマギフクロウに比べて大きさが違うようだ。
格も、である。
静かに佇んでいる姿は厳格そうなイメージがある。
いや。
家の上で3羽のフクロウが追いかけっこを始めている。
あれえ?
さっきまで感じていた威厳が吹き飛んだ。
子供か?
黒曜がオレの左肩に飛んでくる。
続いて師匠のマギフクロウが右肩に。
ミネルヴァオウルが、来る。
どこに、来る?
オレの頭の上だ。
いや、止まり木にされるのは別にいいけどさ。
翼をバタバタしないで!
《アイテム・ボックス》から昼飯で使った闘牛肉の余りを取り出す。
黒曜に渡す。
早速、師匠の家に飛び移る。
再び追い掛けっこだ。
まあ、遊んでいなさい。
オレは家の中に用事がある。
召喚モンスター達はどうする?
残月を帰還させて文楽を召喚しよう。
ヴォルフ、文楽、逢魔、啓明を連れて家に入りました。
「あら、お久しぶり!」
「あれ?」
作業場に降りてみたらジュナさんがいた。
意外です。
それに作業台の上にはポーション瓶、それにマナポーションもあるようだが。
またポーション作成、やっていたんだろうか?
「こちらこそお久しぶりです。師匠は?」
「傷塞草と窒息草の採取よお」
「もしかして、これ全部ジュナさんが?」
「酷いのよオレニューったら。私も一緒に行きたかったのに!」
もしかしてこの匂いは。
酒か?
酔ってるの?
作業台の上にはボーション瓶とはまるで形状の異なる瓶がある。
酒、なんだろうな。
「酒、入ってますよね?」
「いいじゃない。もう空瓶もないんだし」
ありゃ。
しかし悪い酒だな。
最初の犠牲者はヴォルフだ。
首元を抱えられると頬ずりされまくり。
酒臭いんだろうな。
「なかなか、頑張ってるみたいじゃない?暫くはこっちにいるの?闘技大会は?」
「ジュナさん、落ち着いて」
次の犠牲者はオレでした。
絡み酒か、この人。
難癖を付けてくるような感じではないが。
いつの間にかオレはヘッドロックされていた。
やっぱり絡み酒だ。
つかオレの頬に柔らかいものが当たってますけど?
「あーもー誰か私の遊び相手をしなさいよー!」
「もがが」
オレはこう思うのです。
召喚モンスターを相手に遊んでたらよくね?
一通り暴れたら今度は甘えてきた。
これはこれで始末に悪いな!
「ねー?空瓶はキースちゃんが作ってくれない?さっさと終わらせて遊ぼう?ね?」
「もががが」
今度は頭がベアハグされてます。
まさに夢のぱふぱふなのだが。
い、息が。
どうにかエスケープしたのだが、腕をたぐられた。
おお?
これは、かなり慣れた動き?
両腕を組んで肘を張る。
腰を落として回り込もうとしたのだが。
直接、首を狙われた。
裸絞めに、だ。
無論、後ろに回り込まれてしまっている。
腕を差し込んで極まるのを防ぎながら腰を落として首を抜く。
差し込んだ腕で手首を掴んで関節を極めに向かうのだが。
防がれた。
むしろ手首を狙われている?
ヤバい。
この人、こっちの動きに対応している?
無論、本気で関節を極めるつもりもなかったんだが。
こっちが甘い手を打つと逆手を取られかねない。
「これはこれで面白いかも?」
「あ、あの、ジュナさん?」
「問答無用!あーそーぼー!」
何でジュナさんを相手にこんな事を?
よく分りません。
「何をしておるんじゃ、キースよ」
「あ、お久しぶりです」
援軍が来た。
師匠です。
師匠のメタルスキンもいます。
オレは?
腕拉十字固めを防御するのに精一杯です。
どうしてこうなった。
師匠の夜叉が召喚されて、ジュナさんを引き剥がす。
ジュナさんは?
おとなしいものだ。
つか明らかに寝たフリしてますよね?
先刻まで明らかにガチでオレの腕を狙ってましたよね?
恐ろしい人だ。
「師匠も戯れは止して下され」
返事はない。
寝たふりのままだ。
「で、お主は?闘技大会には出るのかの?」
「いえ、参加はナシです。観戦、それに人と会う約束がありますので」
「約束か。ならば仕方がないのう」
「人と会う約束は明後日ですので。今日と明日は時間がありますが」
「そうか。後で一通り、召喚モンスターを見たいものじゃが」
「はい」
「だが仕事を優先させたい。手伝って欲しいんじゃが。空瓶の作成をまた頼めるかの?」
「大丈夫です」
「私とも遊んでー」
ジュナさんが呟く。
やっぱり起きているじゃないの。
師匠は、無視だ。
あの。
オレに投げられても困るんですが。
「まあ空瓶じゃがギルドからもそこそこの数は持たされてきておる。そう根を詰めんでもええ」
「はい」
「で、何して遊ぶ?」
「師匠、せめて夕方まではポーション作成をして貰いませんと」
「じゃあその後で遊ぼう!」
ダメだこりゃ。
酔っ払いには勝てない。
オレはお久しぶりの瓶作成だ。
切迫してなかったから、この所はやっていない作業であるが。
短縮再現で次々と作っていく。
特に遅滞はない。
品質もそこそこだ。
品質Cで揃っているし、中には品質C+も混じる。
いい感じだ。
師匠もジュナさんもマナポーションから作成を始める。
ところで。
ジュナさんは、酔っ払っているのでは?
確かに、酔っ払っているのだが。
ブツブツと文句を言いながらも手伝っている。
師匠のメタルスキンも手伝っているからそう見えるのかもしれないが、作業速度は落ちてない。
本当に、酔っていたのかな?
いや、やたらと酒臭いのは間違いないんだが。
《これまでの行動経験で【ガラス工】がレベルアップしました!》
時刻は午後5時20分。
作業の途中でレベルアップしてきましたよ?
単純作業の中、こういった楽しみもあるのはいい事だな。
瓶の作成も久しぶりだ。
モノが出来上がっていく様はそれだけで面白い。
飽きそうで、飽きなかったりする。
更にペースを上げて作成を続けていこう。
ここからマナポーションの瓶から通常のポーション瓶に切り替えた。
かなりの数を作っていい、と聞くが。
まあ余分に作ってもいいらしい。
《アイテム・ボックス》に入れていけばいいだけだ。
つかどんだけ不足してるのよ?
時刻は?
午後6時10分。
師匠のメタルスキンが料理を用意しているのだろう、いい匂いがしてきている。
《これまでの行動経験で【錬金術】がレベルアップしました!》
いいタイミングでレベルアップしてくれました。
食事までに間に合ったか?
「では食事じゃな。色々と土産話も聞かせてもらおうかの」
「はい」
「その後は遊べる?」
「師匠は今夜、一緒にレムトに行く用事が」
「つまらない約束をしたもんだわ」
ジュナさんの態度が豹変する。
舌打ちも聞こえますが。
「ゲルタはまだしも、ルグランの奴が倒れてしまいますぞ?」
「えー」
食事は会話を交えてゆっくりとしたものになった。
師匠達は今夜中にレムトへ行かねばいけないそうだ。
慌しい再会になってしまったか。
まあ会話を交えての食事も悪くはない。
「ドラゴン、じゃと?」
「ええ」
「よう無事でおったのう」
遭遇したのがブロンズドラゴン、と聞いて納得したようだ。
彼等はそんなに攻撃的ではないそうです。
そう。
彼等、だ。
ブロンズドラゴンは複数いるそうです。
「ま、あまり空高くまで飛ばん事じゃな」
「師匠はどう対処しているんですか?」
「逃げとるぞ?」
「はあ」
ジュナさんはニヤニヤしているだけだ。
さすがにアルコールは抜けてますよね?
「ま、久しぶりにお主の召喚モンスターを見せて貰おうかの」
「はい」
「どんな子が増えてるかなー?」
どう考えてもジュナさんの雰囲気は違うと思う。
誰かに、似ている。
アデルだ。
召喚モンスターにハグしている風景が予想出来た。
師匠の家の庭はそこそこに広い。
そこに幾つかのフラッシュ・ライトが照らしている。
オレの召喚モンスター達も揃っていた。
ヴォルフ、残月、黒曜、逢魔、文楽だ。
ジュナさんは真っ先にヴォルフにロックオン。
早速、首を抱え込んで頬ずりしてますけど。
予感的中。
すまんな、ヴォルフよ。
オレもその人に逆らえそうにないんですよ。
後で闘牛肉をやろう。
残り4つの枠を使って次々と召喚モンスターを交代して披露してゆく。
師匠はといえば、頷くだけの様子だったが、途中で何度か考え込む事があった。
共通するのは?
フューズ・モンスターズで生まれた召喚モンスターだ。
獅子吼やテロメア、極夜、モジュラス、雷文は細かく確認するかのようである。
そう言えば逢魔もそうだったような。
「順番が逆になったようじゃが、これを与えるにはいい機会かも知れんな」
「はい?」
「これじゃ。お主、魔晶石は1つ、出せるかの?」
「大丈夫ですが」
「うむ」
《アイテム・ボックス》から魔晶石を1個、取り出しておく。
師匠はと言えばその手にあるのは1枚の厚手の布だ。
絨毯のようにも見える。
いや、絨毯だろう。
結構な大きさがあった。
「これは?」
「錬金術の修復を行う為の呪布じゃ。まあこれから作る事になるんじゃがな」
「お!オレニューちゃん優しい!」
「師匠、ちゃんではなく」
ジュナさんが混ぜっ返すのを視線で制する師匠。
だがその効果はまるでなさそうだ。
「ま、さすがに修復だけは自前で魔法円や魔方陣をいちいち作るのは手間よねー」
「これだけは必要じゃと思ったまでですぞ?」
地面に絨毯を敷くと魔晶石を中央に置く。
そのまま手をかざした。
「キースよ、ワシの手の両脇に手を置いて押さえておけ」
「はい。これでいいですか?」
「うむ」
すると。
師匠は目を閉じる。
同時にオレ達の周囲に魔法円と魔方陣。
何が何やら。
魔法円と魔方陣は徐々に小さくなって行き、布の表面に焼き付いた。
へえ。
綺麗なものだ。
「これで良い。使い方は簡単じゃ。この布の中央に対象物を置いて錬金術の修復を掛けるだけでいい」
「はあ」
錬金術のメイキング技能を見てみる。
あった。
融合識別の下に修復の項目がある。
いや、魔力付与、魔力吸収、体力回復、魔力回復といった項目も追加されてますが。
「そのまま使えばお主の魔力を消費する事になる」
「え?」
「手に魔石か魔晶石などを握っておればそちらが優先となって魔力を消費する」
「了解です」
「事前にこの布に魔力を溜め込んでおく事も出来る。その場合は魔力吸収を使うといい」
「なるほど」
「魔力付与はこの呪布からマジックアイテムを生み出す事が出来る」
「マジックアイテム、ですか?」
「うむ。だが触媒と依代となるアイテムが要る。その組み合わせは自分で色々と試すといいじゃろ」
「はい?」
「オレニューちゃんったら厳しいのねえ?」
師匠はムッとした表情でジュナさんを見る。
ジュナさんは?
馬耳東風とはこの事だろう。
「もう少し、ゆっくり話を聞きたかったが次の機会にせねばならんの」
「もう出掛けるので?」
「あらあら、行ってらっしゃい」
「ジュナ師匠、同行して貰わないと困るんですがの」
ジュナさんが師匠に見えないように舌打ちするかのような表情を見せていた。
全く、この人ったら。
オレの師匠の師匠、の筈なのだが、容姿が若いだけに錯覚に陥りそうな気がする。
食事の間に聞いた話によると、こないだとはまた異なる来訪者が来ているそうだ。
ギルド長はその応対に苦慮しているらしいですが。
本当はジュナさんがメインで応対すべき来訪者なのだそうで。
そりゃいけませんよね?
職務放棄ですから。
「じゃ、移動は任せて!」
ジュナさんが短く呪文を詠唱する。
現れたのは?
スレイプニル。
8本脚の巨大な馬だ。
そしてあのバンパイアデューク。
ジュナさんはスレイプニルに跨ると、その後ろに師匠も同乗するようだ。
師匠もその肩に妖狐、そしてパイロキメラも同行するようです。
護衛、なんだろうな。
バンパイアデュークだけでも十分な気がします。
現在、オレが召喚しているのは?
ヴォルフ、テロメア、奈落、逢魔、啓明なんだが。
バンパイアデュークは明らかに格上のようだ。
ヴォルフ、テロメア、逢魔の様子は、おかしい。
明らかに怯えているのだ。
バンパイアデュークは?
まるで執事のように、ジュナさんに付き従うだけだ。
オレ達に、いや、オレに向かって軽く一礼すると、背中にコウモリの翼を展開した。
いや、そのまま巨大なコウモリに変化する。
「じゃあ、レムトで会いましょ?」
「ここの設備と物資は好きに使ってええぞ?」
そう言うと、付け加えるようにこうも言って来た。
「おおそうじゃ、出来れば空瓶をもう少し作っておいてくれたら助かるかの」
それ。
お願いじゃなくて指示って事でいいんですかね?
働かざる者食うべからず。
まあいいけど。
今夜、それに明日はずっと、予定はない。
作っておきますとも。
師匠が呆れるような数を作れると思うのだ。
さて。
師匠達がいなくなった。
何をしますか?
早速、空瓶を作ってやれ!
場所は?
ここでいいや。
材料さえ手元にあれば短縮再現で作れるし。
それに、対戦をここで出来る。
召喚モンスター同士の対戦をしながら、オレは空瓶作成。
文楽には古代石柱の発掘をやって貰おう。
オレ自身の助手は師匠のメタルスキンが務めてくれる。
では。
対戦の組み合わせは?
ヴォルフ対逢魔。
護鬼対奈落で。
フラッシュ・ライトで庭を照らすと作業を開始した。
時刻は午後8時ちょうどか。
オレのMPバーも全快に近い。
張り切って行こう!
オレの作り上げる空瓶が幾つも地表に並べられていく。
ある程度、纏まった数になると師匠のメタルスキンがまとめて回収して行く。
《アイテム・ボックス》にだ。
無論、師匠のですけど。
原料も師匠のメタルスキンが持ってきてくれるから楽でいい。
オレは空瓶を作るだけ。
いや、他にする事はあるんですけどね。
文楽はオレの隣で古代石柱の発掘作業だ。
無論、道具にエンチャンテッド・ウェポンを掛けてある。
そして文楽自身にフィジカルエンチャント・アクアを掛けてあるんですがね。
明らかに、オレよりも速い。
それでいて丁寧に見える。
いかん。
オレの立場が危うい?
いやそんな事はない。
そう思いたいのでした。
ヴォルフ対逢魔の様子は?
五分五分?
いや、ややヴォルフが優勢の様である。
長期戦の展開だと逢魔が優勢だが、短期決戦になるとヴォルフの勝ちである事が多い。
両者共、自己回復があるだけに、時間切れ引き分けになりそう?
そんな事はない。
半分以上は短時間で対戦が終わっている。
如何に急所に噛み付けるのか。
その勝負だな。
少し手を休めて見ていると、その戦い振りは凄まじい。
どっちもオレが相手をするには不向きなのは明らかです。
動きが速過ぎます。
護鬼対奈落はどうか?
明らかに護鬼の方が格上なのだが。
それでも奈落が勝利を拾える対戦は多い。
まあ奈落の勝率は2割もないだろうけどね。
奈落が勝利を収めるパターンは決まって時間切れ判定の場合だ。
長期戦になると、自己回復が大きく寄与する。
つまり、そういう事だ。
互いに盾を持って木剣で戦っているのであるから、条件としては護鬼に不利だ。
それでも8割勝っている護鬼が凄いとも言えるが。
問題は?
一応は、ある。
木剣が壊れるのだ。
まあそれは仕方がないか。
短縮再現で幾らでも作れるし、壊すのはまあいいさ。
それに加えて盾が地道にダメージを重ねてしまう。
そう。
そこで、修復ですよ!
早速、使ってみました。
風霊の村で盾は既に修復済であったので、大したダメージ量ではなかったようです。
盾2つの修復に魔石1個で賄えた。
しまった。
オレ自身のMPバーには余裕があるのだ。
魔石に頼らずにオレのMPを使えば良かった。
ま、これで心置きなく対戦も出来そうだ。
師匠にこの呪布を貰えた意味は相当に大きいだろう。
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『奈落』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
時刻は午後10時20分。
対戦回数は?
覚えていません。
奈落のステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。
もう1点のステータスアップは敏捷値を指定しておく。
奈落 スケルトンファイターLv3→Lv4(↑1)
器用値 18
敏捷値 18(↑1)
知力値 13
筋力値 14
生命力 14
精神力 13(↑1)
スキル
剣 棍棒 小盾 受け 回避 物理抵抗[小]
自己修復[中] 闇属性
まあ、何だ。
木剣を幾つ潰してもいいんですがね。
奈落の戦い方は護鬼ともまた異なる。
地味に、耐えながら、ダメージを与えると防御に徹する。
そんな感じだ。
面白みがない?
だが実際に見てみると合理的ではある。
それだけ、アンデッドというのはある意味で厄介な相手なのだ。
実感出来ます。
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ヴォルフ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
ヴォルフも一緒にいる時間が長かった。
ここに来てようやくレベルアップか。
さすがに成長が遅くなってきている気がする。
ヴォルフのステータス値で既に上昇しているのは筋力値だった。
もう1点のステータスアップは器用値を指定しておく。
ヴォルフ シルバーウルフLv1→Lv2(↑1)
器用値 15(↑1)
敏捷値 36
知力値 15
筋力値 24(↑1)
生命力 26
精神力 15
スキル
噛付き 疾駆 裂帛 霊能 隠蔽 追跡
夜目 気配遮断 自己回復[微] 魔法抵抗[微]
ま、このまま続けていいか?
というか恐ろしい光景が見えている。
文楽だ。
古代石柱の発掘が終わりそうです。
その形状は珪化木っぽい?
では。
そろそろ、オレの手持ちの空瓶の分、ポーションとマナポーションを充填しておこうか?
原料はたっぷりとあったし。
そうだな、ポーションは保険でいいとして、マナポーションは多目に持っていていい。
《アイテム・ボックス》には余裕があるのだ。
上位アイテムのモーズグズの涙もあるし、そう多くを上乗せしないでもいいか?
いや、やはりそこそこあった方がいい。
先のマップに進む際には支援を受けられない事態は考え得るのだ。
今までの倍はあってもいいだろう。
《これまでの行動経験で【薬師】がレベルアップしました!》
短縮再現は使わずにポーションとマナポーションは作っておいた。
品質は?
なんと最高で品質B+もあった。
一番品質が低くて品質C+である。
平均したら品質B-といった所か?
ま、クーリングタイムはそう気にせず使っているからなあ。
今後も気にせず使う事になりそうだが。
時刻は11時40分である。
そろそろ、ログアウトしようか?
問題は師匠の家の2階でログアウトするかどうか、だ。
別口でインスタント・ポータルを展開してログアウトしてもいい。
うん。
リターン・ホームで戻る場所を考えたらインスタント・ポータルにすべきか?
そうすべき、だな。
師匠の家の庭でインスタント・ポータルを展開。
出来ませんでした。
中継ポータル扱いか?
まあそれなら門の外に出て使えばいいのだろう。
では。
明日は師匠の言い付けに従って空瓶を作ろうかね?
ラムダくんとの約束日時は明後日だ。
ゆっくり過ごせそうです。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv28
職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv14
ボーナスポイント残 21
セットスキル
剣Lv12 両手槍Lv11 馬上槍Lv9 棍棒Lv11 刀Lv11
刺突剣Lv9 捕縄術Lv10 杖Lv21 打撃Lv18 蹴りLv18
関節技Lv18 投げ技Lv18 回避Lv18 受けLv18
召喚魔法Lv28 時空魔法Lv17 封印術Lv11
光魔法Lv17 風魔法Lv17 土魔法Lv17 水魔法Lv17
火魔法Lv17 闇魔法Lv17 氷魔法Lv16 雷魔法Lv16
木魔法Lv16 塵魔法Lv16 溶魔法Lv16 灼魔法Lv16
錬金術Lv12(↑1)薬師Lv9(↑1)ガラス工Lv7(↑1)木工Lv11
連携Lv20 鑑定Lv20 識別Lv20 看破Lv5 耐寒Lv9
掴みLv16 馬術Lv17 精密操作Lv19 ロープワークLv10
跳躍Lv9 軽業Lv9 耐暑Lv12 登攀Lv9 平衡Lv10
二刀流Lv17 解体Lv16 水泳Lv6 潜水Lv6 投擲Lv3
ダッシュLv9 耐久走Lv9 隠蔽Lv3 気配遮断Lv3
身体強化Lv17 精神強化Lv18 高速詠唱Lv18
魔法効果拡大Lv17 魔法範囲拡大Lv17
耐石化Lv6 耐睡眠Lv5 耐麻痺Lv6
耐混乱Lv4 耐暗闇Lv4 耐気絶Lv5
耐魅了Lv1
召喚モンスター
ヴォルフ シルバーウルフLv1→Lv2(↑1)
器用値 15(↑1)
敏捷値 36
知力値 15
筋力値 24(↑1)
生命力 26
精神力 15
スキル
噛付き 疾駆 裂帛 霊能 隠蔽 追跡
夜目 気配遮断 自己回復[微] 魔法抵抗[微]
奈落 スケルトンファイターLv3→Lv4(↑1)
器用値 18
敏捷値 18(↑1)
知力値 13
筋力値 14
生命力 14
精神力 13(↑1)
スキル
剣 棍棒 小盾 受け 回避 物理抵抗[小]
自己修復[中] 闇属性




