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《フレンド登録者からメッセージが2件あります》
ログインしたらメッセージが来てました。
時刻は午前6時10分。
暫し待ってくれ。
食事の用意はさせてくれ。
文楽を召喚して食事の用意を進めさせておく。
暴食竜の肉はまだまだ大丈夫だ。
いや、早いうちに食い尽くしてしまいそうな気がする。
そうだな。
食いしん坊なら色々と心当たりがあるしな。
だが当面はオレの胃袋を優先で。
『闘技大会に併せてまた交流会を予定してます。是非ともご参加下さい!』
イリーナからだった。
ほほう。
ま、そうなるかもな?
特に闘技大会に参加する意思はないけど、行く用事はあるからな。
ついでに観戦するのも楽しいし。
で、もう1件は?
『了解しました。当日、こちらからまた改めて連絡致します』
ラムダくんから返信の返信、か。
了解っと。
用件を簡潔に伝えてますな。
一応、イリーナのメッセージには返信しておこう。
そうそう、ついでに召喚モンスターの近況も伝えておこうかね?
オルトロスの極夜、アラクネのモジュラス、鵺の雷文。
それにシルバーウルフになったヴォルフだ。
そうそう、サキュバスとヴェノムパイソンの組み合わせも怪しい旨、付記しておいた。
アデルとイリーナは東の海なのかな?
まあ彼女達であれば移動するのに苦労しないだろう。
跳べばいいのだから。
さて。
食事を摂り終えるとちょっとだけ悩む。
今日の布陣は、どうする?
いや、その前に行き先だ。
マップの境界にあった怪しい場所もある。
ここからはそう遠くはない。
戻って確認しておくのもいい。
恐らく、高い確率で中継ポータルだろう。
まあ基本は移動用の布陣でいいだろう。
文楽の枠は残月で。
そしてヴォルフ、ヘリックス、逢魔、極夜と召喚していく。
さあ。
暴食竜の肉を喰うがいい!
ヘリックスは控え目でした。
ヴォルフも逢魔も、まあいいだろう。
極夜よ、お前な!
喰い過ぎだ!
獅子吼や雷文もいるんだぞ?
いかんな。
このペースだと、逆に足りなくないか?
それより行き先だ。
どうする?
一旦戻るか?
先に進むか?
その前にコール・モンスターだ。
レッサーデーモン、いるのかな?
いる。
いるよ!
昨夜と違って1体で行動しているようだが、いるな。
あちこちを飛び回っている。
しかも、結構多いのか?
だが、1体単位だ。
遭遇しても勝算は十分にあるだろう。
レッサーデーモン Lv.3
悪魔 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:空中、地上
闇属性 風属性 土属性 水属性 雷属性 氷属性
やっぱり逃げ切れる筈もなく遭遇するんですがね。
おかしい。
同じレッサーデーモン、だよな?
その姿は人間にかなり近い。
大きさもだ。
手にする得物は鞭。
挑発的な肢体。
切れ長の目。
唇は濡れて光っているかのようだ。
細く捩れた2本の角が悪魔である事を強く主張している。
ぶっちゃけ、どこの踊り子さんですかね?
いや、女王様?
そう。
このレッサーデーモン、女性の姿なのであった。
呪文で強化はしてあった。
それでもなお、上空を飛び回って多彩な攻撃を加えるこの悪魔には骨が折れた。
雷撃。
そして吹雪。
いくつもの風の刃が放たれ、土塊が撒き散らされていく。
どうにかグラビティ・プリズンで地面に縫い付けた時にはかなりダメージを喰らってしまっていた。
先制され過ぎ!
いや、この悪魔は素早い。
ヘリックスを相手に互角の空中戦までやってました。
鞭による攻撃もオレの背中に何発か直撃している。
結構、来るものがある。
全く、妙な性癖に目覚めたらどうしてくれる!
その一方で地面に落としてからはあっという間に詰みましたけどね。
極端だ。
昨夜のレッサーデーモンと違ってそんなにタフじゃなかったようだ。
ヴォルフと極夜に散々噛み付かれてしまっている。
いや。
逢魔がちょっと、おかしい。
状態異常を喰らっていた。
気絶でした。
何で?
ああ!
そういえば鞭の攻撃を喰らっていたような。
得物そのものに状態異常を発生させる効果があるのか?
何それ欲しい。
だが鞭は消えてしまっていた。
惜しい。
仕様なのだろうけどさ。
代わりに、と言ってはアレだが、邪神の雫はちゃんと剥げている。
ま、いいか?
それにしても眼福であった。
次に遭遇した時に踏んで貰って。
いや、そんな趣味はオレにはない。
逢魔を回復させて移動を続ける。
周囲にレッサーデーモンの数は多いが、少し距離があると襲って来ない。
助かる。
でも完全に回避も出来ない。
2回、単独行動のレッサーデーモンに襲われた。
無論、迎撃の上で仕留めたんですがね。
こいつ等、厄介な点がいくつかある。
属性を複数持っているのはまあいい。
バラバラなのだ。
個体によって繰り出す攻撃がまるで異なる。
レジスト系は画一に出来ない、というのは非常に困るな。
連戦では役に立たなくなる可能性が高いからだ。
そして得物だ。
どうも状態異常を与える武器であるらしい。
現在、オレが持っている獅子賢者の騎士槍と同様である。
レッサーデーモン自身が状態異常持ちの奴もいたしな。
このS3W3マップも耐性には気をつけておかないといけないようだ。
サイコ・ポッドは必須ですな。
戻るのは昨夜見た遺跡が中継ポータルである可能性が高いと思っているからだが。
今は確信している。
S5南端と同じだ。
中継ポータルだろう。
そして間違いなく、連戦が挑める仕掛けがあるものと思われる。
レッサーバジリスクと同様、レッサーデーモンの多様な状態異常も厄介な代物だ。
何か仕掛けがある。
そう考えれば納得出来るのであった。
遺跡?
昨夜は遺跡に見えていた。
廃墟に近い事は間違いない。
神殿のようにも見えるし、城であるようにも見える。
壁を抜けると中はかなり広い。
あ、これはヤバいな。
S5南端の中継ポータルと似た雰囲気だ。
センス・マジックを使って周囲を見ていく。
やはり、あった。
封印された存在。
それは巨石であった。
似たような巨石は幾つもある。
広場のような場所の周囲にゴロゴロと転がっているのだ。
だが、その魔力で封じられた石だけは表面が違っている。
彫刻が刻まれている。
門だ。
さあ、これをどうする?
無論、封印を解いてみよう。
S5南端の中継ポータルと同程度の難易度であればいい。
リスクもあるのだろうが、勝算だってある。
「アンロック!」
呪文は成功した筈だ。
岩の表面に刻まれた門は色相が一気に変化している。
いや、普通に大きな木製の門に変化した?
それにインフォが来ている。
やはり戦闘は不可避か。
《我等は真理》
《或いは虚無》
《これより先に進むならば自らを問え》
《汝等の頭上に祝福を》
《だがその前に汝等には死を》
後方に魔力の高まり。
何だ?
何が出現する?
マルコシアスガード Lv.2
イベントモンスター 使徒
討伐対象 アクティブ
??? ???
マルコシアススレイブ Lv.2
イベントモンスター 使徒
討伐対象 アクティブ
??? ???
一見すると狼の群れだ。
全部、ブラックウルフに見える。
だが大きさがまるで違う。
マルコシアススレイブは確かに大きいが、極夜ほどではないようだ。
問題はマルコシアスガードだ。
極夜よりも大きいよな?
マルコシアスガードは1匹、マルコシアススレイブは5匹。
数では互角。
問題はこいつ等の手の内を知らない事だ。
難易度で言えば、スフィンクスとスピンクスのペアに匹敵するものと思わないといけない。
見た目ほど簡単な相手ではないだろう。
さあ、戦ってみようかね?
「人馬一体!」
武技を追加。
だがすぐには駆け出さない。
無論、保険はあった訳だが。
逢魔です。
ディメンション・ミラーと同様の防御手段を持っている。
だから観察出来る余裕はあった。
だが。
こいつ等もまた、すぐに襲ってこなかった。
逢魔と同様の変化をしている?
いや、この場合は獅子吼の捕食融合が発動した場面に近い。
マルコシアススレイブは各々が奇妙な変化を見せている。
巨大な鳥の翼が生えていたり。
尻尾が蛇になってたり。
半獣半人になってたり。
実に気色悪い。
いや、逢魔の事じゃないよ?
「グラビティ・プリズン!」
呪文が間に合った。
最初から変化しておけば良かったんじゃね?
使徒達にツッコミを入れたくなりました。
マルコシアスガードはそれら全ての変化が同時に、起きた。
そして最初に放たれた攻撃は?
ブレスだ。
だがその強烈なブレスは逢魔の前で跳ね返される。
マルコシアススレイブはブレスを喰らってしまい、HPバーがあっという間に半分近くにまで減ってしまう。
おい!
かなり強烈?
無論、この好機を逃す訳にもいかないだろう。
ヴォルフ、ヘリックス、極夜がマルコシアススレイブに襲い掛かっている。
オレは?
勿論、マルコシアスガードを狙う。
こいつは、オレの獲物だ!
この使徒達は、速い。
オレ達は全員、呪文で強化してある。
それでいて、同格。
油断はならない。
グラビティ・プリズンが効いていてもなお、速い。
速いが故に突撃を当てるのは困難だ。
普通に馬上槍を突き入れるのが無難だろう。
マルコシアススレイブも残月にブレスを吐いてきて、ビックリさせられた。
まあ掠った程度でダメージは大した事はないが。
マルコシアスガードに比べたら迫力がなかった。
どうも格がまるで違うようだ。
それにブレス攻撃は読み易い。
足を止めるからだ。
それはマルコシアスガードも同様だ。
「ディメンション・ミラー!」
ブレスを吐く挙動を見せた所に呪文が間に合ったのは幸いであった。
それに足を止めたマルコシアスガードはいい的だ。
残月を駆って突撃を敢行する。
武技じゃないが、その一撃はかなりのダメージを与えた筈だ。
手応えはあった。
だが。
2割も減ってない?
わお。
スフィンクスとスピンクスと同格どころか、エルダー格なのかな?
いや、やや下って所かな?
動きが速い分、厄介なのは確かだ。
グラビティ・プリズンは効いている。
効いていてなお、マルコシアスガードは空を飛びやがった。
再度の突撃は完全に空振りである。
これは中々、長期戦になるのか?
いや、翼を焼けばどうにかなる。
諦めてなるか!
結局、マルコシアススレイブを全て倒した召喚モンスター達の助力を得ました。
だってマルコシアスガードは速いし。
翼をボロボロにしたヘリックスの攻撃も効いていたしな。
地上で囲まれたらマルコシアスガードも詰むしかなかったようだ。
まあこっちのダメージも無視は出来ないが、許容範囲です。
なんとかなったか?
いや、残月が少し、おかしい。
状態異常だ。
敏捷度の低下が起きていた。
こいつ等もレッサーデーモンみたいに状態異常持ちなのか?
イヤな奴等だな!
《我等は真理》
《或いは虚無》
《これより先に進むならば自らを律するべし》
《汝等の頭上に祝福を》
《この場は汝等へ明け渡そう》
インフォがあるって事は勝利したのだろう。
勝利確認。
しかし喜びはない。
予測はしてあったが、アイテムは何も残ってないのです。
そして何もレベルアップがない。
喜べません。
ここは本当に中継ポータルか?
そうらしい。
広域マップで確認すると名前は表示されないが、確かに拠点がある事を示している。
それにセンス・マジックの掛かっている目には、周囲の岩のいくつかに反応があった。
表面に紋様。
いや、魔法円と魔方陣が組み合わされたものかな?
全部で、8つ。
あれかな?
触れば何かに挑める、と考えるべきなのだろう。
試しに一番近い場所の奴に触ってみようか?
《ハーゲンティガードに戦いを挑みますか?》
《Yes》《No》
やっぱりか。
それに巨岩に残された門扉の先は何だ?
恐らくは洞窟だろう。
開けて覗いてみたらあら不思議。
階段しか見えない。
周囲の様子はまるで白黒の砂嵐のような有様だ。
階段の先は?
見えない。
約束の時間もある。
かといってここを探索してみたい、という欲求もあるのだ。
妥協しよう。
ここの中継ポータルで一旦ログアウトしておくか?
召喚モンスターを全て帰還させよう。
ログアウトしました。
まあすぐに戻ってくるんですけどね。
時刻はまだ午前7時40分。
S3W3マップのエリアポータルには午前中に辿り着いておきたい。
そこからは北に転進しよう。
夕刻にはS2W3マップに突入出来れば上々だろう。
ヴォルフ、残月、ヘリックス、逢魔、極夜を再び召喚する。
呪文の強化を一通り終えると西を目指して駆け出す。
レッサーデーモン以外に何かいるのは間違いないだろう。
何がいますか?
フォラスガード Lv.3
使徒 討伐対象 アクティブ
??? ???
フォラススレイブ Lv.4
使徒 討伐対象 アクティブ
??? ???
またこの編成か!
こいつ等なんですがね。
あの金剛力士に共通する、ある特徴がある。
肉体派だ。
その鍛え上げられた肉体を惜しみなく晒している。
身に着けているのは腰帯に腰布しかない。
ぶっちゃけ、どこのボディビルダーだよ!
ツッコミを入れたくなりますよ、そりゃ。
頭は全員が禿げ上がっているし。
それにまあ、あれだ。
いい笑顔をしていやがる。
特にポージングしてないが、いつ始まってもおかしくない。
それに困った事がある。
疼くのです。
接近戦、特に打撃戦にいい相手なんじゃないの?
うう。
残月を降りて挑んでみたくなる。
我慢しろ。
移動を優先するんだ。
さっさとこいつらは片付けて先を急ごう。
状態異常は何かあるのか?
そんな雰囲気はしない。
フォラスガードは1名、フォラススレイブは4名。
得物はないように見えてそうではなかった。
拳にメリケンサック?
完全に打撃重視の戦闘スタイルのようだ。
だが。
こいつらの動きときたらもうね。
完全に格闘戦スタイルです。
ヴォルフ、逢魔、極夜に対してすら打撃や蹴り、挙句の果てには投げ飛ばそうとするのだ。
動きそのものも速い。
澱みもない。
疼く。
疼いてしまう。
用事が済んだらここで連戦したい。
楽しみが増えた。
それに加えてわかる事。
やたらとタフだった。
何しろこいつ等、お互いに回復させていたのだ。
なんという仲間思いな。
それだけに残月による騎乗戦闘は相性が良かったのだと思う。
毒や麻痺も低確率ながらあったようだし。
時間は掛かりそうだけどね。
こっちのダメージもあった事はあったが、なんとか許容範囲だ。
いいね!
やはり楽しみが増えた、と思っておこう。
用件が済んだら、絶対に戻ってくるからな!
今回は何もアイテムが剥げなかったけど、それを考慮しても戦ってみたい。
無論、今度は格闘戦で、だ。
フルカスガード Lv.2
使徒 討伐対象 アクティブ
??? ???
フルカススレイブ Lv.3
使徒 討伐対象 アクティブ
??? ???
フルカスホース Lv.2
使徒 討伐対象 アクティブ
??? ???
今度は騎兵だ。
いや、騎士かな?
奇妙な色相の不気味で大型の馬が4頭。
それに騎乗するのは?
フルカスガード1名はフル装備の騎士、といった所か?
フルカススレイブ3名は随伴する騎兵って所だろうか?
全員、槍を持っている。
ああ、これはちょっと厄介かもな。
その予感は外れなかった。
日中の移動を前提とした布陣では打撃力において弱い。
その代わりに機動力、それに探索力で優れている訳ですが。
こいつ等、その機動力で互角以上か?
やり難い。
フォラスガード相手には疼くものがあったが、こいつ等にはない。
それだけにオレも冷徹な手段がとれたのだと思う。
グラビティ・プリズンは?
いい感じで効く。
マグネティック・フォースは?
面白い事に効いた。
ではマグネティック・フィールドは?
かなり効いたが範囲を外れたら効かなくなった。
そりゃそうだ。
迂闊過ぎる。
ディフェンス・フォールにオフェンス・フォール。
ディレイ。
色々と効くのだが、それでも機動力はそんなに落ちない。
かなり馬が厄介だった。
その攻撃は?
騎上から槍で突いて来る。
それだけだ。
それだけなんだが。
これがやたらと面倒なのだ。
騎乗戦を仕掛けてくる魔物との戦闘はこれまでにも何度か経験があるんだが。
こいつらは、ただ単純に攻撃に専念してきやがる。
不気味だ。
捨て身の相手って嫌なものです。
ピットフォールはタイミングが難しくなってしまい、使う機会はなかった。
波状攻撃かのように接敵してくるんで、まとめて嵌めるタイミングがない。
その代わりに壁呪文を駆使する。
主にファイア・ウォールだ。
結構大きなダメージを加える事が出来たし、止めは召喚モンスターに任せておける。
こいつ等は間違いなくオレと残月を狙って来ていた。
まあ好都合ですけどね。
ヘリックスが上空から牽制し続けてくれている。
一方的な展開は回避できていた。
1騎を仕留め終えたらかなり楽になった。
もう1騎を仕留め終えた所でかなり余裕が出来た。
勝てそうです。
次々と仕留めて回り、最後に残ったのはやはりフルカスガードでした。
こうなったら確信出来る。
オレの突撃を喰らい、地面に倒れてしまった所で召喚モンスター達に集られてしまう。
だが問題は残りました。
死体があちこちに散らばってしまっていて剥ぐのが大変な事に!
手間をかけて全員から剥いでみた。
何もアイテムは得られなかったのでした。
時間を返せ!
まあ魔物に襲われなかっただけ良しとするしかないか?
その後もフォラスガード、フルカスガード共の襲撃は少ない数だがあった。
アイテムは?
何も剥げていない。
レッサーデーモンはいい感じで剥げるんですがね。
但し、品質Xの邪神の瞳はまだ貰えていない。
邪神の瞳も品質C近辺の奴しか剥げてなかった。
昨夜のは何だったんだろう?
気にしても仕方ないかね?
時刻は午前9時30分。
エリアポータルと思われる怪しい場所に到着した。
平原の中に岩場。
まあどうにか残月で騎乗しながら戦闘は出来そうだ。
それはいいとして、と。
プレイヤーの姿はない。
広域マップで見てもエリアポータルの名前は表示されていない。
まだ解放されていないのだろう。
このまま騎乗してていいのだろうか?
それは判断し難い。
岩場なのは少々気になるが、想定される戦場は申し分なく広い。
何が相手になるのか、分からないというのは実に悩ましいな!
このままで挑もう。
悩んでみても始まらない。
死に戻ってもどんな相手だったのか、情報を得る機会を得たと思えばいいのだ。
ここは前向きで行こう。
ところで、例の人魂は?
岩場の中央にいました。
念のため、センス・マジックも使っておこう。
では。
近寄ってみるか。
《生贄を捧げよ!》
《さもなくば汝等の命を捧げよ!》
《魂は我等が貨幣》
《汝等の魂の価値はいかばかりか?》
ありゃ。
不穏、とういうより挑発的なインフォだな!
殺すぞ、という宣言?
ならばこっちも容赦なしで行くだけだ。
いや、最初からないんだけどさ。
ラウムガーディアン Lv.1
イベントモンスター 使徒
討伐対象 アクティブ
??? ???
ラウムガード Lv.2
イベントモンスター 使徒
討伐対象 アクティブ
??? ???
ラウムスレイブ Lv.3
イベントモンスター 使徒
討伐対象 アクティブ
??? ???
ヤバい。
何が?
その容姿はまるでカラス。
それでいながら半ば人間のようにも見える。
得物は弓。
問題は?
間合いが、遠い。
それに数だ。
ガーディアンが1体、ガードは2体、スレイブがたくさん。
少なくとも20はいるよな?
そして、岩場の上空で挑発してやがる。
声はない。
だが分かる。
嗤っているのだ。
間合いを詰める事が出来るのは?
ヘリックスだけだ。
だが行かせたら袋叩きにされるだけだ。
そのリスクは犯せない。
上空から地上へ矢の雨。
どうにか機動力を発揮して回避し続けてはいるのだが。
これは酷い。
いずれは攻撃を受けてしまうだろう。
追加で爆炎が降り注いでくる。
これは逢魔が跳ね返した。
だが連中にまでは炎は届かない。
これでは一方的か?
「グラビティ・プリズン!」
スレイブがまとめて半分程、地面に縫い付けられたようだ。
ガーディアンとガードは?
変わらず上空にいる。
イヤな奴等だ。
「ストーム・ウェーブ!」
効いたか?
効いている。
そう大したダメージはない。
だが明らかに高度が落ちた。
バランスを崩せるなら、いい。
ヘリックスを上空に行かせよう。
それに援軍も用意してやろう。
「チェンジ・モンスター!」
ヴォルフの位置にクーチュリエが現れる。
すぐにヘリックスの後を追うように飛んで行く。
倒さなくて、いい。
地面近くに誘導するだけでもいいのだ。
グラビティ・プリズン、ストーム・ウェーブの射程にさえ入れば勝算はまだある!
空中を飛ぶ連中を全て地面に叩き落して全滅させたのは、いい。
だがこっちの喰らったダメージも半端なかった。
それだけにオレのMPバーも消耗している。
死に戻りは、ない。
ステータス異常も、ない。
それでいてこの敗北感。
考え直してみたら、もっと上手い策があったように思えるのだ。
不利であってもフライの呪文は使っておくべきであった。
そう思います。
《この先を進むのか?》
《ならば汝等の血を捧げよ!》
《血もまた我等が貨幣》
《汝等の血で我等が地を染め上げるがいい》
うむ。
インフォも負け惜しみに聞こえます。
《S3W3のエリアポータルを開放しました!》
《ボーナスポイント7点が加算されます。合計で31ポイントになりました》
それに今回の戦闘では何もレベルアップがなかった。
まあエリアポータルの解放で満足すべきなのだろう。
あまりパッとしない戦闘だった。
それなのに終わってみたら、結構苦戦していたという事実。
弓矢って怖いな。
しかも上空からだとその脅威は計り知れない。
甘く見てました。




