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244

増量ちう

 呪文の強化は考え得る限りしてはある。

 それでも完璧は望めない。

 どんな相手になるのか、分からないというのは怖いな。

 ネコの時のような即死も有り得る。

 フィジカルエンチャント系4種、メンタルエンチャント系2種。

 グラビティ・メイルにサイコ・ポッド。

 だが。

 それ程の強化であっても単純な暴力って奴は怖い。


 最初の相手はそういう相手だったのだ。



 クレイゴーレム Lv.6

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 土属性



 イリーナの召喚モンスターにもいる奴だ。

 改めて思う。

 堅い、というのは数が多かろうが少なかろうが関係がない。

 こっち側の被害は全くないのだ。

 それなのに背中が寒くなる。

 集中攻撃を受けながらも平然と動き続けるゴーレムは恐怖に値した。

 これで後衛がいたら?

 そう考えると、恐ろしい。


 一方的に積み上げられるダメージに耐えられず、クレイゴーレムは沈んだ。

 だが。

 ディフェンス・フォールの呪文がレジストされる事3回。

 珪化木の杖で土属性を破壊したのは何分後だっただろうか?

 結局、倒しきるのに10分以上、掛かっていたように思う。



【素材アイテム】珪石 原料 品質C+ レア度2 重量5

 主に石英からなる鉱石。無色透明なものが水晶。

 ガラス素材。



 アイテムも剥げているが、レア度的には微妙だ。

 鉱山じゃなくてもアイテムが得られる以上の意味がないように思う。



《これまでの行動経験で【解体】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【鑑定】がレベルアップしました!》



 おい。

 【解体】は本当に仕事しているのかな?

 いやいや。

 疑心暗鬼になってはいけない。

 実際、剥げている時、オレは【解体】の事は気にもしていないのだから。



 コール・モンスターで周囲を確認してみる。

 いるな。

 クレイゴーレムがいます。

 ほぼ動いてないけど。

 元々、鈍い魔物であるのだし、襲われても逃げ切れるだろう。



「この魔物は出来るだけ回避して移動を優先するか」


『それが無難ですね』


 ですよね。

 それにすぐそこに危険が迫っている。

 ヘリックスが警告の鳴き声を発していた。

 新たな魔物が迫ってきているのだ。

 今度は空からか?



 ガーゴイル Lv.4

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:空中、地上 土属性



 立て続けにこれか!

 この魔物の名前は知っている。

 西洋建築で魔除けとして、門や屋根の装飾になってたりする奴だ。

 鬼瓦みたいなものか?

 それが4匹。

 なんとか出来そう?





 不思議だ。

 岩みたいに、堅い。

 いや、岩なんだけどね。

 それでいて何で空を飛ぶのかと。

 その姿は少し太った幻月みたいだが。

 戦い方はまるで違う。

 体当たり、そして手足の鉤爪、噛み付きと肉体派なのでした。


 オレはまだ攻撃を喰らってないが、残月が喰らっている。

 結構手痛い。

 それに猛禽類部隊の攻撃が通りにくいのが何よりも痛い。

 残月達がいてくれて機動力が高かった分、攻撃機会が少ないのは幸いであった。



「サンダー・シャワーもダメか」


『ファイア・ボールが余り効かない!』


『ウォーター・ニードルはまるで駄目?』


『ウィンド・カッターはまあまあ効いてます!』


『グラビティ・バレットもいい感じ?』


『フリーズ・バレットも効果が薄いようです』


 うむ。

 各自、色々と試してみたんだが。

 オレの場合はこれが一番、効くようです。

 グラビティ・プリズン。

 そして珪化木の杖だ。

 重力で地面に縫い付けて、殴る。

 シンプルです。

 この手順で全部仕留めちゃいました。

 それにしてもこの魔物、HPバーがなくなったらバラバラになるようだ。

 そして4匹中1匹の瓦礫の中からは煙水晶が残されていた。


 そこそこ、いいのかな?

 十分でしょう。



「こいつも出来るだけ無視でいいかな?」


『いいと思います!』


 これも満場一致でした。

 相手するのが大変だ。

 攻撃呪文も結構消費するだろうし。




 それでもガーゴイルの襲撃は3度続いた。

 煙水晶こそ得られるものの、やはり面倒だ。

 空担当がこいつとは。

 タフなマップのようです。




 時刻は午後6時10分。

 そろそろ馬での移動も止めたほうがいいかな?

 そんなタイミングで新たな魔物に遭遇したんですがね。

 こんな奴に。



 カトブレパス Lv.2

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 光属性 土属性



 外見は闘牛にも似ている。

 いや、水牛か?

 頭がデカいし。

 動きはやや緩慢だ。



『目をみたらダメです!』


 警告の声はヒョードルくんであった。

 何だ?


『定番の魔物です!即死か石化を持ってる可能性があります!』


 定番の魔物?

 そう言えば聞いた事があるような、ないような。


 即死、それに石化ね。

 サイコ・ポッドは?

 掛けてはある。

 だが完全に信用してはいけないのも承知だが。

 逃げてばかりでは面白くない。

 夕飯前に片付けておこう。



「センス・マジック!」


 最初に使ったのは魔力を感知する呪文。

 魔力の増減を見極めるためだ。

 特性を把握しておきたい相手だったのでね。


 だがこいつ、意外に特殊能力を発揮するタイミングが分かり易いぞ?

 両目で目標を直視する事が必要なようです。

 そして瞬きをする事。

 すると、とんでもない魔力が両目から発しているのが見えた。

 簡単に防げないだろうって?


 同感だ。


 だったらサイコ・ポッドが有効なうちに速攻で沈めてしまおう。

 残月で突っ込み、珪化木の杖を散々撃ち込んであげました。

 ナイアス達の歌が響く中、召喚モンスター達の猛攻が続く。


 途中、魔物の片目を潰してしまってからは特殊攻撃も飛んでこなくなった。

 そうか。

 目を潰せばいいのね?

 次からは早速、狙わせて貰おう。



《只今の戦闘勝利で【風魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ナイアス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 まあなんとか夕食前までに召喚モンスターがレベルアップしてくれたか。

 感覚的には久しぶりな気もする。

 アデル達の召喚モンスターの成長が早いだけにそう思ってしまうのかも?


 ナイアスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だった。

 もう1ポイント分のステータスアップは筋力値を指定しておく。



 ナイアス メロウLv4→Lv5(↑1)

 器用値 19

 敏捷値 19(↑1)

 知力値 25

 筋力値  9(↑1)

 生命力  9

 精神力 18


 スキル

 両手槍 水棲 変化 夜目 呪歌 呪曲 水属性



 まあいい感じですか?

 いい感じです。


 アイテムが剥げなかったけど。

 いや、剥ぎ取り担当はイリーナだったからオレのせいじゃないよね?




 インスタント・ポータルを展開。

 夕食休憩にしました。

 慌しかったのは確かだ。

 ここは区切って体制を立て直しましょう。

 何故ならば。

 エリアポータルが近い。

 それにもうすぐ山の領域になるだろう。

 エリアポータルで何が出る?

 強敵になるんだろうな。

 まだ解放されていないと思いたい。



 料理は?

 文楽が作ってます。

 残月を帰還させて召喚してあるのですが。

 机上のパスタマシーンで作業をしている。

 別に文楽が悪い訳じゃないんですが。

 ゴム練りじゃないよね?

 違うよね?

 連想してしまった。



 アデル達がログアウトしている間、文楽の料理を待つだけではない。

 色々と作業すべき事がある。

 オレが今やっている作業も僅かながらも戦力向上に繋がると思いたい。

 何をしていたか、と言うと?

 矢の作成をしました。




 加硫ゴムと一緒だ。

 比較対象がないと、ね?

 矢尻素材は同じにしておき、羽を変えてみよう。

 果たしてどうなるか?




【武器アイテム:矢】闇蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP14 破壊力1 重量0+ 耐久値40 射程+15%

 継続ダメージ[小]

 闇蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に草原鷹の翼を使用、射程が延びている。



 これを基準とした。

 矢尻はルーディバットから得た闇蝙蝠の牙。

 木材は端材から流用。

 矢羽は草原鷹の翼にした。

 差が分かり易いだろうし。



【武器アイテム:矢】黒蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP12 破壊力1 重量0+ 耐久値40 射程+25%

 継続ダメージ[小]

 黒蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に草原鷹の翼を使用、射程が延びている。



 もう1点、基準点としておこう。

 闇蝙蝠の牙だってそう多くはない。

 ブラックバットから得た黒蝙蝠の牙も基準にしておくか。


 では。

 矢羽を変えてみよう。

 その素材は?

 軍艦鳥の翼、戦鷹の翼、荒白鳥の翼だ。

 無論、期待しているのは軍艦鳥の翼です。



「矢の作成、ですか?」


「ああ、そうだ」


 早くもログインして戻ってきていたのは春菜と此花でした。

 矢に興味を示したが食い入るような様子はない。

 まあそうだよな。

 彼女達の装備は杖メインで弓矢は使っていないし。


 ああ、そうだ。

 ユニオンを組んでいた間、得ていたアイテムの整理をして貰おう。

 いずれ分配するものだが、ちょっと溜まってきているので。


「2人とも、アイテムの整理をしておいて欲しいんだが」


「仮で精算までしておきますか?」


「任せるよ」


 任せておきましょう。






【武器アイテム:矢】闇蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP14 破壊力1 重量0+ 耐久値40 射程+27%

 継続ダメージ[小]

 闇蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に軍艦鳥の翼を使用、射程が延びている。



【武器アイテム:矢】黒蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP12 破壊力1 重量0+ 耐久値40 射程+40%

 継続ダメージ[小]

 黒蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に軍艦鳥の翼を使用、射程が延びている。



 2水準で同時に比較するとはっきりと分かる。

 軍艦鳥の翼に変更しても攻撃力は変化がない。

 だが、射程が大きく延びている。

 これはなかなかいいんじゃないか?



【武器アイテム:矢】闇蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP15 破壊力1+ 重量0+ 耐久値40 射程+20%

 継続ダメージ[小]

 闇蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に戦鷹の翼を使用、射程が延びている。



【武器アイテム:矢】黒蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP13 破壊力1+ 重量0+ 耐久値40 射程+33%

 継続ダメージ[小]

 黒蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に戦鷹の翼を使用、射程が延びている。



 戦鷹の翼を使うとこうです。

 攻撃力と破壊力、それに射程もバランス良く向上している。

 好みの問題とは思うが、軍艦鳥の翼より戦鷹の翼の方が良さそうに見える。

 では、最後は荒白鳥の翼だが。



【武器アイテム:矢】闇蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP14 破壊力1 重量0+ 耐久値60 射程+15%

 継続ダメージ[小]

 闇蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に荒白鳥の翼を使用、射程が延びている。



【武器アイテム:矢】黒蝙蝠の矢+ 品質C+ レア度4

 AP12 破壊力1 重量0+ 耐久値60 射程+25%

 継続ダメージ[小]

 黒蝙蝠の牙を矢尻に利用した矢。

 毒の効果で傷口が塞がり難くなっている。

 [カスタム]

 矢羽に荒白鳥の翼を使用、射程が延びている。



 一瞬、基準の物と比較して変化がないかと思った。

 耐久値が伸びているだけです。

 いや、意外に重要かも知れない。

 矢はどれも半ば消耗品だ。

 回収出来ない事もあるので、性能の高い矢は使い捨てのようにしたくはないものだが。

 状況によっては回収も出来る。

 切り札として使うって手もあるんだよな?

 どう妥協するかは難しい。


 護鬼や文楽に渡している矢は自然と消耗している。

 もう少し作っておくか。


 木工作業を進めていたらヒョードルくんも矢の作成に加わってます。

 彼も【木工】を持っているし、主に使っている武器は弓矢だ。

 新しく得たアイテムには興味があるだろう。

 此花から取り分の軍艦鳥の翼を受け取って、オレの隣で作業してました。

 で、その出来を見せて貰ったのがこれです。



【武器アイテム:矢】黒曜石の矢+ 品質C+ レア度2

 AP1 破壊力2 重量0+ 耐久値30 射程+15%

 削った黒曜石を矢尻に利用した矢。

 重みがある分、その衝撃力でダメージを与える事が出来るが射程は短くなる。

 [カスタム]

 矢羽に軍艦鳥の翼を使用、射程が延びている。



「攻撃力、低くないか?」


「いえ、破壊力がある方がいい事もあったりしますので」


「いい事?」


「そうです。武技のスナイプ・シュートと組み合わせて弱点を狙うんです」


 納得した。

 黒曜石の矢の破壊力2というのはそれほどに魅力的なのだそうで。

 コストパフォーマンスも、いい。

 成程。

 見え方が違うと価値観も異なるようだ。

 恐るべし、黒曜石。

 ここの所、ダウジング使ってないよね?

 たまには使ってみよう。

 ケンタウロス共から得た黒曜石のストックはまだあるが、もっとあっていいかもしれない。



 アデルとイリーナがログインした所で作業は中止、文楽の作った料理を楽しんだ。

 パスタだ。

 生パスタなのでした。

 しかも2種類。


 ワインはないけどボンゴレ・ビアンコ風味。

 太さはやや細めでフェデリーニか?

 シンプルでも実に美味い。


 そしてラタトゥイユ風味のソースが掛かっているのもある。

 パスタがまるできしめんのように幅広だった。

 これはこれでいける。

 ソースの味は濃いようだし、よく合っていた。


 アデルとイリーナが文楽を見ていた。


「ボーノ!」


 いや、多分通じているとは思うが、心に響いているのかどうか。

 こういった所は良く分かりません。

 そして質問が飛んでくる。

 パスタマシンはそんなに高くないよ?




 後片付けを済ませ、春菜と此花が仕分けたアイテムを整理しておく。

 一応、全部一時的にオレが預かる事になった。

 出発準備はいいかな?

 では夜の行軍と行こう。

 広域マップの感じでは、2時間弱でエリアポータルに辿り着けそうである。

 今日の最終目標はエリアポータルをクリア、かな?


 では。

 布陣は大幅に変更しておこう。

 ヴォルフはそのまま残し、文楽、ヘリックス、リグ、ナイアスは帰還させた。

 黒曜、戦鬼、獅子吼、テロメアを召喚する。

 初めてのマップで夜の狩りともなると、どうなるか分からない所もあるからな。

 戦力は落とせない。


 アデル達も次々と召喚モンスターを呼んでいる。

 こうして見ると戦力の向上は明らかだ。


 アデルは、オルトロス、ホワイトウルフ、金毛狐、ミスティックアイ、レッサーオーガ。

 本気の布陣だ。

 レッサーオーガのえーちゃんが加わっているとか、蹂躙する気でいるな?

 ただこのレッサーオーガ、装備はビーストエイプ時代の物をそのまま流用していてやや窮屈に見える

 新装備はどこかで調達すべきですな。


 イリーナは、鵺、クレイゴーレム、ブラックウルフ、オオフクロウ、ピクシー。

 こっちも本気の布陣だ。

 相変わらずだが隙が少ないと思う。

 特にクレイゴーレムには壁役として期待が大きい。


 ヒョードルくんは、ホワイトウルフ、フクロウ、ヴェノムパイソン、ライオン、インプ。

 彼の現状では最善と思われる。

 クラスチェンジしている召喚モンスターがそもそもまだ少ないのだから仕方ないんだが。

 注目はライオンです。

 クラスチェンジ出来たら、キメラが誕生するだろう。

 期待したい。


 春菜は、鵺、ミスティックアイ、マッドゴーレム、メロウ、インプ。

 どちらかと言えば支援向けの編成に見える。

 それにしても合流当初から比較したら恐るべき陣容になったものだ。


 此花は、キメラ、グレイウルフ、オオフクロウ、ローレライ、インプ。

 やはり支援厚めかな?

 凄まじい成長を思わせる布陣だ。



 サモナー6名、召喚モンスター30匹の小集団ではある。

 それでも相応の戦力はあると思う。

 勝率は高い、と思いたい。

 いや、これで負けるようでは堪ったものではないな。

 油断は出来ない。

 呪文で強化をしてインスタント・ポータルを出て南を目指す。

 さあ、来なさい!

 昼間に出てきた魔物であれば、迎撃に自信はある。


 だが。

 コール・モンスターで状況を確認すると近くに魔物が少ないと言う事実。

 一番近い魔物はクレイゴーレムだ。

 微妙。

 足が鈍い魔物だし、こっちから襲いに行くのも面倒だ。

 ここは真っ直ぐ、南を目指そう。






 岩弁慶(雄株) Lv.5

 花精 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 木属性



 岩弁慶(雌株) Lv.5

 花精 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 木属性



 こんな奴等に遭遇しました。

 召喚モンスター達が事前に察知出来たので、心構えは出来てましたけどね。

 この数はどうなのよ?

 どう見てもこっちの数の3倍ほどいるかな?

 真っ赤だ。

 マーカーで目の前が真っ赤だ。


 岩弁慶、というがお坊さんみたいな格好をしている。

 いや、まるで僧兵みたいだ。

 白い頭巾。

 作務衣のような着衣。

 草履まで履いてますよ?

 その得物は薙刀だ。

 例外なく、薙刀。

 徹底している。



「総掛かりだ、気を抜くな!」


 返事は待たずにオレは前衛に出る。

 手にする得物は雪獣のメイス。

 そして呵責のトンファーだ。

 獲物は数多くいる。

 いいかね、皆の衆?

 迂闊にオレの近くに寄ってはいけませんよ?

 危ない代物を振り回しますからね。




 戦闘は最初から乱戦模様になった。

 だがそれでいい。

 いや、それがいい。

 それに数多くいる花精だが、ボスらしき存在はいないようだ。

 誰かに召喚されたかのような存在ではないみたいで、それが残念なだけです。


 雄株は黄色い腰帯、雌株は赤い腰帯なんですけどね。

 名前が示すとおり、雄株は男性で雌株は女性の姿だ。

 心が痛む。

 特に雌株は清楚な未亡人を彷彿とさせる尼さんのような佇まいなのだ。

 顔面にメイスを思いっきり叩き込んでるが、実に心が痛む。

 いや、本当に。


 目を引いたのは獅子吼だ。

 肩から山羊の頭を生やした異形の姿は乱戦の中でも目立つ。

 その獅子吼ですけど、周囲に炎の球や光の球を撒き散らしてました。

 これまでにない攻撃手段を得た、と言う事か?

 更に恐ろしい存在になるな!



 そんな狂乱の戦場もそう時間が掛からず沈静化していった。

 獲物がもう少ない。

 最後の花精はテロメアに血を吸われている。

 いや、テロメアは頭巾を剥がして首元に噛み付いたのだが、すぐに離してしまった。

 どうも血が吸える相手じゃない様子。

 代わりに槌を後頭部に叩き込んで戦闘を終えたようだ。

 実に豪快です。


 オレ自身の戦闘はどうだっただろうか?

 薙刀の汎用性は確かに厄介であったが、力押しで戦えたから楽ではある。

 だがまだまだ。

 確かに考えなしにメイスを振り回すのは気持ちいい。

 それに何よりも楽だ。

 それだけに粗さが目立っていたように思う。

 撲殺された花精には悪いけどね。



《只今の戦闘勝利で【棍棒】がレベルアップしました!》



 オレの方の戦果はこれだけだ。

 まあいい。

 十分です。

 地味にヒョードルくんのインプがレベルアップしているし。

 エリアポータル前のいい練習だと思えばいいのだ。


 花精はこれまでと同様、何も残さずに消えて行く。

 薙刀の1つでも残せばいいのに。

 解せぬ。





 移動を優先、先を急いだ。

 襲ってくるのはガーゴイルのみ。

 まあこれは仕方ない。


 それよりも気になるのは地形だ。

 進むに従い、山の様相が急峻になってくるように見えたのですが。

 今や谷の中だ。

 両脇を崖に挟まれてしまっている。

 戦場が狭い、というのはやや困る。

 だがガーゴイル相手に迎撃するのは逆に楽になったと言えた。



 そして谷をある程度進むと、開けた場所に到着した。

 何もない平地に見える。

 急峻な崖に囲まれ、まるで十字路のように4つの谷に通じていた。


 センス・マジックの呪文で魔力の変化に備える。

 周囲にプレイヤーのいる痕跡はない。

 広域マップでもここが中央付近である事を示している。


 間違いない。

 ここがエリアポータルなのだろう。

 呪文の強化の追加もしておいて、と。

 では、挑もうか?





《全てはここに集まる》


《そして全てがここから放たれる》


《虚無の中からも塵は集うように》


《砂塵が周囲に拡がるように》


《迷いの十字路の先に希望はある》


《汝等の力を示せ》


《我等の希望を満たせ》


《終末の先に到る道はこの先にもある》



 インフォが終わる。

 目の前にある人魂の周囲に変化はないようだ。

 何も現れるように見えない。


 魔物、いないの?



 いや。

 地面が揺れている。

 地震?



 周囲の崖に反響する重低音。

 音源は何処だ?


 崖?




 ストーンゴーレム・スレイブ Lv.4

 イベントモンスター 魔物

 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 その姿は師匠の家の門番で見た奴に匹敵する大きさだった。

 意匠がやや違っているようにも見える。

 その肩には別の存在がいる。



 石妖 Lv.7

 イベントモンスター 妖怪

 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 妖怪?

 その姿はまるで花魁の様に派手な格好の和風美人だ。

 笑っている。

 いや、嗤ってやがる。

 高い位置から見下ろしているのだ。

 侮蔑の視線と受け取った!



『キースさん、目の前の奴だけじゃないみたいです!』


 イリーナの言葉の通りでした。

 同じく、肩に石妖を載せたストーンゴーレム・スレイブが3体いる。

 合計で4つのペア。

 しかもこっちは包囲されている形だ。

 ヤバい。



「動きを止めるな!壁役を活かして生き残りを優先しろ!」


 指示すべき事はそれだけだ。

 アデル達は、強い。

 任せておける。

 そう信じるしかあるまい。


「真練気法!」「ブレス!」「メディテート!」


 武技を使うとメイスとトンファーを手にして手近な魔物に迫る。

 大きな相手だ。

 師匠の家で何回か見た、あのゴーレムに匹敵する相手?

 強いんだろうな。

 強いに決まっている!




 戦い始めてすぐに判明した恐るべき事実。

 ピットフォールが全く通じない!

 不発?

 いや、呪文詠唱失敗であるとは思えない。

 それにおかしな出来事が起きている。

 誰がその呪文を使ったのかは見ていない。

 魔物の動きを邪魔するように使ったストーン・ウォールなのだが。


 まるで飴のようにストーンゴーレム・スレイブが突破していたのだ!

 壁の後ろにいたイリーナ達が無事に逃げられたのは完全に運だっただろう。

 こんな事、有り得ない!



『キースさん、おかしいです!』


「分かってる!」


 選択して実行し、溜めてあった呪文を使う。



「ディフェンス・フォール!」


 選択したのは3体のストーンゴーレム・スレイブだ。

 2体の赤いマーカーに小さなマーカーが重なる。

 うん?

 呪文が通じない訳ではないようだが。



「ピットフォール!」


 同じく、溜めてあった呪文を使った。

 だが。

 失敗。

 いや、本当に失敗か?

 魔物の大きな拳を回避してメイスで足首を殴りつける。

 ダメージは、通っている。

 僅かなものだが。



「こいつ等に土属性の呪文は使うな!多分、全部通用しない!」


『はい!』


 これは飽くまでも仮説だ。

 だが確信がある。

 恐らく、通じない。


 黒曜、そしてテロメアに視線を転じる。

 オレの意図は通じたと思う。

 先に倒すべきなのは?

 肩にいる石妖だ。



 だが。

 上空を見上げるとそこに恐るべき光景があった。

 ガーゴイルだ。

 恐らくは10匹以上。

 クソッ!

 逃げ場なしかよ!




「インビジブル・ブラインド!」


 アデル達が集まった所でこの呪文を使った。

 魔物がアデル達を見失ったようだ。

 多少は時間稼ぎになるだろう。



「1匹づつ、確実に仕留めに行く!生き残り優先で召喚モンスターの支援を優先しろ!」


『す、すいません』


『は、はい!』


 上空ではガーゴイルを相手に黒曜達が奮戦している。

 テロメアは石妖を狙い撃ちにしていた。

 もう少し。

 もう少し、時間が稼げたらいいんだが。



「五行封印!」


 石妖に向けて呪文を使う。

 メイスを振り回しながらだから対象にしたのは手近にいた奴だ。

 石妖の頭上の赤いマーカーは、どうだ。

 効いたか?


 効いた。

 これは嬉しい。

 戦闘の刹那、僅かに笑みを浮かべていたかもしれない。

 僅かな突破点になるかも知れない。





「リジェネレート!」


 乱戦はまだ続いている。

 擦過傷とはいえ、何度もダメージは喰らっている。

 回復にも配慮はしておこう。



 状況は?

 どうにか石妖2匹はテロメアが仕留め、2匹はもう特殊能力を封じられたままだ。

 あれならいずれ、詰む。


 空中を舞うガーゴイルの数は半減していた。

 生き残っているガーゴイルには全てディフェンス・フォールが掛かっている。

 ようやく一息つけるか?

 そんな事はない。

 ストーンゴーレム・スレイブのタフネスぶりは相変わらずだ。

 鵺の雷撃もそんなに効かない。

 キメラとオルトロスのブレスも効きが良くない。

 そんな中、どうにか1体を仕留めきった。

 ヒョードルくんの召喚した精霊、ズームの支援があったのは大きい。

 そう長い時間ではなかったと思うが、オレの壁となって攻撃を跳ね返し続けてくれていた。

 無論、その間は攻撃に専念できた訳です。

 いい支援だった。


 その1体の足首と膝はオレが完全に破壊した。

 どうにか転がすと、召喚モンスター達の集中攻撃に任せておいた。

 確かにディフェンス・フォールで防御力が下がっている。

 だが岩の塊のような魔物が崩れる様子は見ていても信じ難い光景である。

 足元はガーゴイルとストーンゴーレム・スレイブの体を構成していた岩が瓦礫となって散乱していた。

 上空のガーゴイルは?

 もういない。

 残るのはストーンゴーレム・スレイブが3体。

 そして既に包囲の輪は崩れていた。




「ストーン・ウォール!」


 試してみよう。

 土の壁がストーンゴーレム・スレイブの前を塞ぐように出現した。

 やはり、な。

 どんな特殊能力であったのかは不明だ。

 あの石妖が土属性魔法を阻害していた事は間違いない。

 もうピットフォールを使ってもいいのだが。

 それでは、困る。

 直接殴る相手が穴の底では都合が悪いのだ。



『アース・ヒール!』


『ファイア・ヒール!』


『ウィンド・シールド!』


『グラビティ・バレット!』


『ウィンド・カッター!』


 アデル達も各々の判断で呪文を次々と使ってきている。

 もう包囲されている訳ではない。

 壁役のクレイゴーレムとマッドゴーレムが1体のストーンゴーレム・スレイブの前に立ち塞がっている。

 さすがに1対1であれば不利だが、数でどうにか拮抗しているようだ。


 別のストーンゴーレム・スレイブは、召喚モンスター達に集られている。

 うむ。

 あれは任せておこう。

 オレは目の前にいる奴の相手をしないと、な。


 右手に握られているのは既に雪獣のメイスではなくなっている。

 独鈷杵だ。

 その塵魔法の刃身は僅かなものであるが、魔物のHPバーを削っている。

 雪獣のメイスは?

 どこかに吹き飛ばされてしまっている。

 後で拾っておかないとね。


 左手に握られているのも既に呵責のトンファーではない。

 これは単純に戦闘の途中で砕けて散ってしまったのであった。

 今、左手に持っているのも独鈷杵だ。

 その溶魔法の刃身は魔物のHPバーを削るだけではない。

 防御力も地道に下げてくれている。


 独鈷杵による二刀流、か。

 楽しい。

 窮地に陥りそうになる場面は何度もあったと思う。

 だが、楽しいのだ。

 楽しくなっているのは仕方がない。



 召喚モンスター達が集っていたストーンゴーレム・スレイブが沈んだ。

 それを傍目で眺めながらオレは焦っていた。


 マズい。

 こいつを早く倒さないと。

 もう1匹、仕留めたい所なんだが。


 優勢になるとこれだよ!

 オレってば現金。




 結局、オレが相手をしていたストーンゴーレム・スレイブが最後の1匹になってしまった。

 仕留めた瞬間、アデル達も、召喚モンスター達も、観客となってましたけど?


 ま、いいか。

 これで勝ったみたいだしな。




《怨念もまたここに集まる》


《浄化するのもまた我等なり》


《魂の還る場所は何処に?》


《肉体の朽ちる先は何処に?》


《精神の宿るのは何処か?》


《汝等が進む先に世界の始まりの姿があらん事を》



 インフォは終わった、よな?

 勝った。

 よし、勝った!



《S4E1のエリアポータルを開放しました!》

《ボーナスポイント6点が加算されます。合計で38ポイントになりました》

《只今の戦闘勝利で【剣】がレベルアップしました!》

《【剣】武技の獣断剣を取得しました!》

《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【塵魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【溶魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【二刀流】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『戦鬼』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 苦戦の割りにボーナスポイントは少ないか?

 つか大して使ってないから貯まる一方なんですけど。

 レベルアップしている技能も多いし、文句無しですけどね。


 おっと。

 戦鬼のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定する。



 戦鬼 レッサーオーガLv7→Lv8(↑1)

 器用値 14(↑1)

 敏捷値 23(↑1)

 知力値  6

 筋力値 31

 生命力 31

 精神力  6


 スキル

 打撃 蹴り 投擲 受け 回避 登攀 投げ技

 関節技 自己回復[微]



 よし。

 これでいいよな?



 ところで、戦果はオレだけではない。

 当然、アデル達にもあるようです。

 召喚モンスター達を回復させていきながらその様子を眺める。

 実に微笑ましいですな。


 分かり易いのはヒョードルくんだろう。

 職業レベルが上がってるし。

 多分だが種族レベル、召喚魔法のレベルも上がっていておかしくない。



 まあ落ち着くまで放っておこうかね?

 アデル、此花、ヒョードルくんのMPバーはもう枯渇寸前だ。

 イリーナと春菜もMPバーは2割もない。

 オレですか?

 4割を切ってました。

 いつの間に減ったんだろうか?

 戦闘に熱中してたから自分のMPバーとか把握してなかったし。


 時刻は?

 午後8時30分か。



 あれ?

 どんだけ長い時間、戦闘をしてたんだろう?

 少なくとも1時間以上?


 これまでにない激戦でしたね。

 間違いない。





 当然だが先に進むのは中止だ。

 色々と操作をしている一同を急かし、雪獣のメイスを拾うとエリアポータルを出る。

 そしてインスタント・ポータルを展開。

 さあ、思う存分、ゆっくりするがいい!



「死に戻りはなかったんだな?」


『不思議な事に』


「ステータスにペナルティを受けているのはいるか?」


『明日の朝には復帰出来るし、問題なし!』


 それは上々。

 オレの召喚モンスターの面々はどうか?

 問題なしです。

 ただ今日は珍しくテロメアのMPバーが激しく減っていた。

 無理もない。

 血は吸えなかったようだしな。

 さすがにストーンゴーレム・スレイブ相手にMPを吸収する事は出来ないだろうな。

 出来たら怖いわ!


 


「お先に失礼します」


「お疲れ様ー!」


「本当に、本当にお疲れ様でした」


 イリーナの言いたい事もまあ分かる。

 ヒョードルくんは疲労困憊の様相だった。

 新たなキメラを誕生させると、召喚モンスターの枠を埋める余裕もなくログアウトして行く。


 それにアデルもイリーナも、春菜も此花も、次々とログアウトしていく。

 彼女達もそう余裕はない。

 当然だろうな。

 そしてインスタント・ポータルの中はオレだけになる。


 では。

 召喚モンスター同士で対戦をさせましょう。

 オレは2個目の古代石柱の発掘を終わらせようと思います。



 黒曜と獅子吼を帰還させて、ロムルスとレムスの狼ペアを召喚する。

 その相手は?

 無論、ヴォルフです。

 ハンディキャップ・マッチとしては妥当と思う。

 では。

 対戦、やっておいてね?



 古代石柱の発掘作業を開始するための道具を取り出した時点で対戦が終了してました。

 ロムルスとレムスの狼ペアが判定負けに。

 ダメじゃん!

 敏捷値が高いからって決着が付くのも早いのはどうにかして欲しいものだ。


 やはり相手はテロメアの方がいいのだろうか?

 HPバーを回復させて対戦をやり直そう。

 今度はテロメアが相手だ。

 無論、テロメアには悪いが特殊能力は封印で。

 そのテロメア、最初から盾を片手にして待ち構えている。

 メインの得物は錫杖らしい。

 では。

 対戦、やっておいてね?




 今度は少し長く掛かったようです。

 古代石柱も発掘を終えたしね。

 何が発掘出来たのか?

 こんな代物でした。



【アイテム】愚者の石版 品質A レア度7 重量10+

 効果:永続 中継ポータル設置

 道に迷う愚者が描かれているという石版。

 旅人の道標になると言われている。



 えっと。

 何でしょう、これ?




《只今の戦闘で召喚モンスター『レムス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 おっと、こっちもか。

 対戦結果はテロメアの判定勝ちです。

 まあ予想通りなんですけどね。


 レムスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定する。



 レムス ウルフLv1→Lv2(↑1)

 器用値 11(↑1)

 敏捷値 27(↑1)

 知力値 11

 筋力値 11

 生命力 12

 精神力 12


 スキル

 噛付き 疾駆 威嚇 聞耳



 ちょっと考える時間を下さい。

 いや、嬉しいんだけどね。

 ロムルスとレムスを回復すると再度対戦を続けましょう。


 オレは何をするか?

 矢の作成を進めておこう。

 古代石柱もあるんだが、これはユニオンを組んで得た物だし発掘は保留で。

 だが困ったな。

 木材は、ある。

 矢羽の素材は分配済みアイテムで十分だろう。

 だが矢尻の素材が少ない。

 短縮再現を使ったらあっという間になくなりそうなんだが。





 実際、なくなりました。

 いや、黒曜石はあるから無理して作れなくはない。

 でもね。

 どうにも黒曜石を使う気にならない。

 召喚モンスターに使わせるにしても、ねえ?

 スナイプ・シュートの武技があればこそ、使い物になると思うのです。

 黒曜石は他の武器に使いたいです。

 何か、いいアイデアはないかな?



 対戦を眺めながら手にした黒曜石を見る。

 何か、ないかな?

 対戦も何度目かの判定になる度に回復させながらアイデアを捻る。

 やはり天然素材で何か作ろうか?

 強引にでっち上げるのもアリ?



《只今の戦闘で召喚モンスター『レムス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 悩んでいた間にもうレベルアップだよ!

 ここまで対戦結果はテロメアの判定勝ちが続いている。

 ハードだ。

 いや、ここ数日のヒョードルくんよりもマシだと思うが。


 レムスのステータス値で既に上昇しているのは生命力だ。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定する。



 レムス ウルフLv2→Lv3(↑1)

 器用値 11

 敏捷値 27

 知力値 11

 筋力値 12(↑1)

 生命力 13(↑1)

 精神力 12


 スキル

 噛付き 疾駆 威嚇 聞耳



 時刻は午後10時ちょうどか。

 まだまだ。

 今日はレベルアップしても交代なしで続けさせてみよう。

 ハードだ。

 だがなんとか付いて来て欲しいのです。

 オルトロスを配下に加えたいというオレの欲望の犠牲者と言えなくもないな、こりゃ。




 観戦するのもいいが、さすがに何か作業をしたい。

 そう思って呵責のトンファーでも追加しようかとも思ったんですが。

 獅子賢者の針が、あるよな?

 以前に作成した獅子賢者の騎士槍と同じ物にするには珪化木が足りない。

 黒曜石で代替するか?

 それも面白くない。

 劣化互換になるのは目に見えている。


 他の用途はどうだろう?

 形状から別の武器を、となると思いつく武器がこれしかなかったのです。


 頭の中でプランを立てる。

 うむ。

 取り敢えず作ってみようかね?




《只今の戦闘で召喚モンスター『ロムルス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 だあっ!

 やる気になった所でこれだよ!

 まあ文句を言える筋合いではないんだが。



 ロムルスのステータス値で既に上昇しているのは筋力値だ。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定する。



 ロムルス ウルフLv4→Lv5(↑1)

 器用値 12(↑1)

 敏捷値 27

 知力値 11

 筋力値 12(↑1)

 生命力 15

 精神力 11


 スキル

 噛付き 疾駆 威嚇 聞耳 危険察知(New!)



 危険察知がスキルに加わったか。

 順調、なんだろうな。




 でっち上げるのは何か?

 レイピアだ。

 いや、正式に言えば何になるんだ?

 針だから刃がないし。

 まあいいか。

 作ったら分かる事だしな。



 素材は?

 獅子賢者の針、黒曜石、適当に木の端材である。

 そして強引に作り上げたら何故かこうなりました。



【武器アイテム:刺突剣】獅子賢者のフルーレ 品質C レア度6

 AP+26 M・AP+3 破壊力1+ 重量1+ 耐久値220

 麻痺異常発生[小] 毒異常発生[小]

 獅子賢者の針を用いたフルーレ。刃がなく斬る事はできない。

 フルーレとしては重めである。

 ダメージだけでなく麻痺毒を与える事がある。



 うーん。

 魔力付与品ではないのか。

 だが攻撃力そのものは僅かに獅子賢者の騎士槍よりも上だ。

 重量も軽いし、片手で扱うにも手頃だろう。

 問題は?

 オレってば、こういった武器を扱った経験はないって事だ。

 刺突剣か。

 技能取得にかかるボーナスポイントは8でややお高め。

 取得するか?

 ここは保留しとこうか?


 馬上戦闘以外でも麻痺異常発生、毒異常発生を期待できる武器なのも確かだ。

 そういう意味で確かに魅力はあるんだが。




 対戦を繰り返しやらせながら悩み続けた。

 正直に言おう。

 この武器に関しては使いこなす自信がないのです。

 スキルに完全に依存しかねない。

 悩んでいる原因はそこにある。


 どうする。

 どうする、オレ?





《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『レムス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 またしてもか。

 悩んでいたらもうレベルアップだよ!

 もう判定でどっちが勝利したかは興味の外である。

 つか一夜にしていくつレベルが上がるんだよ!

 テロメアは平然としたものだが、レムスにはハードに過ぎた経験だったかもしれないな。

 蟻人の蜜を舐める権利をやろう。


 その前に。

 レムスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定する。



 レムス ウルフLv3→Lv4(↑1)

 器用値 11

 敏捷値 28(↑1)

 知力値 11

 筋力値 13(↑1)

 生命力 13

 精神力 12


 スキル

 噛付き 疾駆 威嚇 聞耳



 いつの間にか時刻は午後11時20分になっていた。

 悩みすぎだろ、オレって。

 ここは普段のオレらしく決めよう。


 取得しました。

 有効化しました。

 もう戻れません。


 戻れないのでは仕方ないな!

 諦めも付いた。

 どこかでスッキリとした感じがする。



 結局、蟻人の蜜はレムスだけでなく、ヴォルフとロムルスにも与える羽目になった。

 おねだりが上手なんだよ、お前達。

 それに重要な事がある。

 蟻人の蜜がもう残り1つにまで減っているのだ。


 これは危機なのかな?

 召喚モンスター達へのご褒美どうするか、考えておくべきなのかもしれない。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv26

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv12

ボーナスポイント残 30


セットスキル

剣Lv11(↑1)両手槍Lv10 馬上槍Lv4 棍棒Lv10(↑1)刀Lv9

刺突剣Lv1(New!)捕縄術Lv8 杖Lv20 打撃Lv16 蹴りLv16

関節技Lv16 投げ技Lv16 回避Lv16 受けLv16

召喚魔法Lv26 時空魔法Lv15 封印術Lv8

光魔法Lv15 風魔法Lv16(↑1)土魔法Lv16(↑1)水魔法Lv15

火魔法Lv15 闇魔法Lv15 氷魔法Lv13 雷魔法Lv13

木魔法Lv13 塵魔法Lv14(↑1)溶魔法Lv14(↑1)灼魔法Lv13

錬金術Lv11 薬師Lv8 ガラス工Lv6 木工Lv10

連携Lv18 鑑定Lv18(↑1)識別Lv18 看破Lv5 耐寒Lv8

掴みLv15 馬術Lv15 精密操作Lv17 ロープワークLv8

跳躍Lv8 軽業Lv8 耐暑Lv10 登攀Lv9 平衡Lv9

二刀流Lv16(↑1)解体Lv14(↑1)水泳Lv6 潜水Lv6

ダッシュLv7 耐久走Lv7

隠蔽Lv2 気配遮断Lv2

身体強化Lv15 精神強化Lv15 高速詠唱Lv16

魔法効果拡大Lv15(↑1)魔法範囲拡大Lv15(↑1)


装備

独鈷杵×3 玻璃光刀×1

呵責の杖×2 珪化木の杖+×1 呵責のトンファー×2(↓1)

呵責の捕物棒×1 ダツ顎の槍+×1 旗魚の槍+×1

鍛鉄の騎士槍×1 獅子賢者の騎士槍+×1 太刀魚の刀×1

雪獣のメイス×1 獅子賢者のフルーレ×1(New!)

怒りのツルハシ+×2 白銀の首飾り+×1

斑雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×1

殺人蠍の隠し爪×1 雪豹のバグナグ×2

草原獅子のバグナグ×1 闘牛の革鎧+ほか

エインヘリャルの腕カバー×2

呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 獄卒の黒縄×1

暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2


召喚モンスター

戦鬼 レッサーオーガLv7→Lv8(↑1)

 器用値 14(↑1)

 敏捷値 23(↑1)

 知力値  6

 筋力値 31

 生命力 31

 精神力  6

 スキル

 打撃 蹴り 投擲 受け 回避 登攀 投げ技

 関節技 自己回復[微]


ナイアス メロウLv4→Lv5(↑1)

 器用値 19

 敏捷値 19(↑1)

 知力値 25

 筋力値  9(↑1)

 生命力  9

 精神力 18

 スキル

 両手槍 水棲 変化 夜目 呪歌 呪曲

 水属性


ロムルス ウルフLv4→Lv5(↑1)

 器用値 12(↑1)

 敏捷値 27

 知力値 11

 筋力値 12(↑1)

 生命力 15

 精神力 11

 スキル

 噛付き 疾駆 威嚇 聞耳 危険察知(New!)


レムス ウルフLv3→Lv4(↑1)

 器用値 11

 敏捷値 28(↑1)

 知力値 11

 筋力値 13(↑1)

 生命力 13

 精神力 12

 スキル

 噛付き 疾駆 威嚇 聞耳


同行者

アデル&イリーナ&春菜&此花&ヒョードル

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― 新着の感想 ―
愚者の石版来ましたね 使用される時が楽しみです
また武器スキルが増えたwサモナーなのに…
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