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ちょっとだけ増量ちう

 アクロバットスターとジャグラーの痕跡をヴォルフが追う。

 そういえばヴォルフには追跡ってスキルがありました。

 それに目印もある。

 糸だ。

 デニールの糸が魔人に引っ掛かったまま、繋がっているのでした。

 ヴォルフは匂いを追うだけでなく、糸の伸びる先を追いかけてもいるのです。


 保険、だな。


 オレには時々しか見えないが、かなり伸びのある糸のようだ。

 かなり細い。

 その気になって見ないと気が付かないだろう。


 そんな糸の存在をヴォルフは的確に見分けているようだ。

 匂いもハッキリと追っている。

 確実な追跡になっている様子です。



 地面の方ではテイラーが相変わらず泥の中を移動している。

 気に入ったらしい。

 まあ蔦と枝で出来上がっている通路を移動している魔人も気が付かないだろう。

 任せておいていい。


 そしてクーチュリエも。

 その複眼でどんな風景を見ている事やら。

 探索、というよりも監視役と言う方がふさわしいだろう。


 そのクーチュリエがオレの肩に飛んできた。

 羽を短く震わせる。

 どうやら追いついたらしい。


 ここからはゆっくりと、出来るだけ音を立てずに進もうかね?




 魔人の数は?

 変わらず2人だ。

 いや。

 すぐに1人に減った。


 何だ?



 今度は増えた?



 先刻のアクロバットスターとジャグラー?

 共にHPバーが減ったままだ。

 そこにパントマイマー、火吹き男が加わっている。


 おい。

 何処から出てきた?



 むむ?

 影の中から何かが現れてくるようだが。

 そいつの姿には見覚えがある。

 ブラックサンタ。


 あの影のある場所、何か仕掛けがあるのか?



「センス・マジック!」


 これで魔力の在り処を見抜けると思うのだが。

 影のある場所におかしな点はない。


 いや。

 いきなり魔力が溢れ出るように感じられる。

 何だ?


 またしても新たな魔人が出現している。

 今度はビーストテイマーだ。

 その傍らにはキラーエイプ。


 ブラックサンタは単独行動をするらしい。

 そのまま北東に向けて去っていく。

 他の魔人達は北方向へと消えて行く。



 ふむ。

 思うに、インスタント・ポータルのようなものが拠点に使われているのかな?

 時間を掛けて監視できないかね?


 いいな、それ。

 確かめて見たい。

 だがどうやって?



 そう。

 インスタント・ポータルを利用したらいい。




 周囲の木々の中で一番立派な樹木を選んでその幹を登っていく。

 枝別れをしている箇所でインスタント・ポータルを使う。

 あの魔人達が現れた場所はこっちからは丸見えだ。

 ここで、いい。


 監視要員は?

 現在の布陣のままだ。

 インスタント・ポータルの範囲は広い。

 それぞれが自分の居場所を決めて、影のある場所を包囲するかのように見ている。


 ヴォルフとティグリスは蔦と枝の通路の上から。

 テイラーは地面の沼の中から。

 クーチュリエはインスタント・ポータルの外縁部を飛び回っている。

 デニールはオレがいる樹上とはまた別の樹木の上にいる。


 まあこれでいいかね?


 では。

 監視は召喚モンスター達に任せておくとして、だ。

 暇潰しに新たに得た古代石柱の発掘でも進めておこう。

 現在の時刻は午後1時10分。

 まあゆっくりと過ごしてみましょう。






 1時間が経過。

 動きはない。

 古代石柱の発掘は順調そのものだ。

 一気に角を落としてそこから徐々に掘り進めている。

 今度は厚みのある板のような物が埋まっているようなのだが。

 何が埋まっているのやら。


 手を止めて水を飲む。

 召喚モンスター達にも交代で蟻人の蜜を舐めさせてあげました。

 テイラーとデニールは要らないようでしたけど。

 まあこれ位はいいよね?







 午後3時を少し過ぎた頃、動きがあった。

 ブラックサンタだ。

 先刻の奴かな?

 残念ながら、イントタント・ポータルの中からだと【識別】は効かない。

 センス・マジックも効果は無い。


 だがそのブラックサンタ、影の中に入ると5分と経過しないうちに出て行った。

 忘れ物でもしましたか?

 まあこれもスルーで。






 午後3時40分。

 別の編成の魔人共が来た。

 火吹き男、インセクトテイマー、見たことの無いカマキリのような魔物。

 それにパントマイマーとソードダンサー、アクロバットスターだな。

 これも影の中に消えていく。

 そして5分と経過しないうちに再び出て行った。



 拠点があそこにあるのは間違いないな。

 問題はどれ程の数の魔人がいるのか。

 見極めておきたい所です。











 午後6時20分。

 文楽の料理を食べたかったが、ここは携帯食で我慢してます。

 ヴォルフ、ティグリス、クーチュリエには蟻人の蜜を舐めさせておいた。

 ここまで、2組の魔人のパーティ、そして3人のブラックサンタがいる事が分かっている。

 3人のブラックサンタも顔付きがそれぞれ独特な爺様で、識別は容易い。

 ダーククラウンは化粧がそれぞれ違っていて判別は可能だ。

 他の魔人も識別は容易なのですが。


 困るのはパントマイマーだ。

 同じ仮面をしてやがる。

 まあパーティ編成を変えているとは思えないので、いるのは2人だと思うが。



 ここはエリアポータルの深き森から見て西側となる。

 隣のS4W1マップとの境界も比較的近い。

 つまりプレイヤーに発見される可能性も少ないのだろう。

 プレイヤーを狩るための拠点で間違いあるまい。


 支配下に置いている魔物込みで2組の魔人のパーティ。

 それにブラックサンタ3名。

 ここを使っているのはこれで全部かな?


 拠点を使えなくする手はあるか?

 もしくは戻ってくる所を待ち伏せするとか?

 まあ、この状況を上手に利用できればいいのだが。




 古代石柱の発掘はかなり進みました。

 オレのMPバーもかなり温存できている。

 何しろずっと発掘でエンチャンテッド・ウェポンしか使ってない。

 少し惜しいが作業はここまでにして、と。



 では。

 やってみましょう。

 おっと、その前に。

 もう夜なので、クーチュリエはここで帰還させよう。

 テロメアを召喚する。

 これでいいかな?




 あの影があった場所に近寄ってみる。

 センス・マジックを使ってあるのだが、やはり何もおかしな所はない。

 だがここが拠点で間違いは無いのだ。


 試してみるのは?

 ディスペル・マジックである。

 さあ、何が起きるのか?



「ディスペル・マジック!」


 効果は?

 だが確かめる暇はなかった。

 ヴォルフが一気に駆けていく。

 テロメアも宙を舞った。

 何だ?



 ダーククラウン Lv.1

 魔人 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 時空属性 光属性 闇属性



 ほう。

 いたんだ?

 いや、こいつがインスタント・ポータルを維持していたのかも?

 警戒していたのか、臨戦態勢でした。


 ダーククラウンが動くよりも先にテロメアの獄卒の錫杖の効果の方が速かったようだ。

 魔人の表情が驚きに歪む。

 何か特殊能力を使おうとしたのだろう。

 テロメアの持つ獄卒の錫杖の効果でキャンセルされたのだと分かる。


 つか魔人さん。

 次の手を打たないと、すぐに詰むぞ?

 お願いだから間に合ってくれ!



 だが。

 魔人はあっという間に沈んだ。

 ヴォルフもティグリスも容赦ないな!

 まあ速攻で片付けるのは大歓迎なんですけど。


 オレの出番は?


 もしかしなくても、何もなし?






 まあ、文句は言うまい。

 次だ。


 この場所を基点として待ち伏せしてみよう。



 待ち伏せ、か。

 いい響きだ。

 何故か楽しくなってくる。

 暗い愉悦を感じてしまいそうだ。



 あれ?

 これって以前、PK職の奴が言っていた事、そのものじゃないかな?


 つか今オレ達がやろうとしている事だって、相手が魔人であるだけだ。

 行動そのものにPK職と大差がないような。




 デニールが周囲のあちこちに色々と仕掛けているのを確認しながら思う。

 こういった罠が引っ掛かる様子を眺めてると楽しい訳だ。

 確かに。

 だが結果として楽に狩れるが故に楽しいと思うのか。

 思い通りに事が進んだ事が楽しいのか。

 罠に引っ掛かって狼狽する様子が単に楽しいのか。


 そこには差があると思うのだ。



 オレの場合は?

 敢えて言うのであれば、思い通りに事が進めば楽しいかな?

 でも単にこれが有効だと思うだけなのですけど。



 さて。

 隠れて待ってみましょう。









 時刻は午後8時ちょうど。

 最初の獲物が、来た。

 ブラックサンタです。

 ノクトビジョンが効いていて、その動作も明確に見えている。



 ブラックサンタ Lv.6

 魔人 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上 闇属性 光耐性



 HPバーは半分ほどに減っているようだ。

 戦闘を終えて帰ってきたのであろう。

 こっちに近寄ってくる。


 地面に並んで伏せているオレとヴォルフに気が付く様子は無い。

 樹木の影に潜んでいるティグリス、デニール、テロメアにも、だ。

 無論、沼地の泥の中で待機するテイラーにも気が付く様子は無い。



 目の前に、ブラックサンタの足。

 オレの手が伸びて魔人の左足首を掴んで引っ張った。

 右足首はヴォルフが噛み付くと茂みに引っ張り込む。

 不意を衝かれた魔人は簡単に倒れてしまう。

 それでも袋の中から何かを取り出そうと動き続けていた。


 でもね。

 テロメアが槌を振り下ろしてその手首を砕いていた。

 残念。

 そして声も出せない。

 喉元をティグリスが噛み付いている。

 ティグリスの牙がジリジリと食い込んでいって。

 砕けた?


 魔人のHPバーも砕けて散った。



 ここまで、大した音も立てずに仕留めきったのは上々だろう。

 だがまだ魔人はいるのだ。

 この1回だけの成功で嬉しがっている場合ではない。



 元の位置に戻って待機で。

 確認できている魔人は全て、狩り尽くしてやろう。






 時刻は午後8時30分。

 統計データを眺めて時間潰しをしてたら次の獲物が来た。

 またしてもブラックサンタだ。

 レベル2と低めである。


 これは先刻と同じ手順でさっさと仕留めた。

 ふむ。

 2回目であるが、連携は更に良くなった気がする。

 だがまだまだ。

 魔人で組まれたパーティがまだ2組いるのだ。

 ブラックサンタも1名、残っているし。

 デニールの仕掛けた罠の出番はまだない。

 テイラーの出番もまだない。

 本番はこれからだろう。







 時刻は午後9時30分。

 来た。

 アクロバットスター、ジャグラー、パントマイマー、火吹き男、ビーストテイマーだ。

 そしてキラーエイプもいる。

 各々、程度の差はあるが、HPバーもMPバーも減っているようだ。


 ほほう。

 この数だ、デニールの仕掛けた罠が有効に働いてくれる事を祈ろう。



 息を潜めて茂みの中で待機。

 オレの目の前に。

 ビーストテイマーの足だ。


 手順は変わらない。

 オレは手を伸ばして足首を掴むと引っ張った。



 デニールの仕掛けた罠の幾つかが同時に作動する。

 どの魔人か分からないが、3人ほど宙吊りになったかな?

 そしてティグリスの体当たりを喰らった奴が沼地に落ちた。


 オレが茂みから出て立ち上がった時、まともに動ける奴は2人だけ。

 アクロバットスターとジャグラーだ。

 ビーストテイマーは既に喉元をヴォルフに噛み付かれている。



 アクロバットスターの後ろにテロメアの影。

 槌がフルスイングでアクロバットスターの側頭部に叩き込まれて行く。

 文字通り、魔人は沈んでしまった。


 ジャグラーが腰にある得物を手にしようと動く。

 だがさせない。

 手首を捕まえるとそのまま捻って背中に押し当てる。

 そして首に腕を回す。

 左手だけで絞め上げながら右手も動く。

 右手に握り込まれたのは、斑雪豹の隠し爪。


 首筋に突き刺すと横に引っ掻いた。

 手応えはある。

 そのまま後方に抱えながら投げた。

 地面へ。

 いや、沼地へと落とす。

 止めはテイラーにお任せしよう。



 デニールの罠に引っ掛かった奴は?

 パントマイマーとキラーエイプだ。

 手足を動かしてどうにか罠から逃れようとしているようだが。

 キラーエイプが大きく吼える前に息の根を止めねば。


 だがテロメアの仕事は速いな!

 空中で槌を振り回して勢いを付けるとキラーエイプの後頭部を思いっきり殴りつけた。

 昏倒するキラーエイプ。

 死んだ方が幸せだったろうに。

 南無。


 デニールはパントマイマーに糸を追加で吐きかけてその動きを封じていた。

 だがその作業も中断です。

 テロメアの次の獲物はパントマイマーであった。

 槌を顔面の真ん中に喰らったパントマイマー。

 無残。

 だが死んだ方が幸せじゃないかな?


 テロメアが昏倒したままのキラーエイプに熱い視線を注いでいるのが、分かる。

 ああ、もう好きにしなさい!

 好きなだけ血を啜るといい。



 ティグリスが沼地に落としたのは火吹き男だったようだ。

 これもまた同情したくなるような状況だ。

 羽交い絞め?

 いいえ、背後から両脇を爪に挟まれたまま、沼に顔を押し付けられてます。

 拷問か?

 拷問なのか?

 まあ効果的なのは認めよう。

 オレには真似出来ない。

 そしてテイラーには最初から慈悲など無かった。


 嬲り殺しだな。

 まあ静かに事態は進行しているようだし、任せておくか。


 ジャグラーは?

 沼地に落ちた時点で事切れていたようです。

 まあHPバーも結構減っていたみたいだし。

 墜落死だったのかもしれないな。



 ビーストテイマーがヴォルフとティグリスに噛み殺され、残るのはキラーエイプだけだ。

 このキラーエイプが一番不幸だった。

 テロメアが血を吸っている。

 空気の中に血の匂いが篭もっていく。

 気付かれかねない程に濃厚だ。

 残っていたHPバーが余っていた分、長く苦しむ羽目になっている。

 これも無残。



「エアカレント・コントロール!」


 血の匂いは散らしておこう。

 まだまだ。

 獲物がまだ残っている。


 デニールが再び罠を追加する中、ようやくキラーエイプも事切れたようだ。

 テロメアも満足だろう。

 HPバーもMPバーも全快だ。

 そして素晴らしい笑顔を見せてくれた。

 血!

 口元の血!

 それさえなければ惚れてしまいかねない笑顔です。







 時刻は午後10時ちょうどって所か?

 ブラックサンタさん1名、ご案内!

 これは簡単に済みました。

 後はもう1組か。



《これまでの行動経験で取得が可能な補助スキルに【追跡】【罠】【気配遮断】が追加されます》


 ほう。

 こんなのまで取得可能になったか。

 そういえば他にも色々とPK職向けみたいな補助スキルが取得可能なんだっけ?

 【隠蔽】とか【気配察知】とか。


 まあヴォルフ達がいるし、全てを取得する意味は薄いんだよな。

 でも待ち伏せを実際にしてみると分かる。

 【隠蔽】と【気配遮断】はあった方がいいな。

 今回、待ち伏せなんて事をしてみて実感できた。


 PK職、PKK職でゲームをプレイしている皆さん。

 貴方達を尊敬する。


 楽しいか楽しくないかは別にして、だ。

 これは通常の狩りとは別の意味で高度な技術が必要だ。

 何よりも根気、忍耐といったものが必要だろう。

 これを毎日?

 オレには真似出来そうにないし、召喚モンスター達の助けなしでは無理だ。

 軽く見ていた事は否めない。

 何事も経験しなければ分からないものだ。



 さて。

 【隠蔽】を取得するのに必要なボーナスポイントは3、【気配遮断】は6か。

 取得して有効化しておこう。








 時刻は午後10時20分。

 6名様、ご案内です。

 いや、5名様と護衛代わりのペット1匹といった所か?

 恐らくはここを拠点にする最後の魔人達になる筈だが。



 火吹き男 Lv.6

 魔人 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上 火属性



 パントマイマー Lv.7

 魔人 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上 水属性



 ソードダンサー Lv.6

 魔人 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上 火属性



 アクロバットスター Lv.4

 魔人 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上 水属性



 インセクトテイマー Lv.7

 魔人 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上 火耐性 風耐性 土耐性 水耐性



 キラーマンティス Lv.2

 魔物 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上、樹上 闇属性 木属性 土耐性 水耐性



 何だろう、最後のカマキリさんが一番厄介そうな件。

 まあ、あれだ。

 カマキリには罠に掛かって欲しいものだ。

 つか最優先で罠に掛けておきたい。

 他の魔人は罠に引っ掛からなくてもいいから。



 キラーマンティスが静かに動く。

 足元に仕掛けられたクモの巣の上に。

 枯葉で偽装されているから気が付いた様子はない。


 デニールよ。

 テロメアよ。

 行け!



「真練気法!」


 罠が一斉に動き出す。

 オレとヴォルフだが、魔人との距離が少しあった。

 だが構わない。

 キラーマンティスとパントマイマーが罠に掛かって宙に浮く様子が見えていた。


 テロメアが闇の帯を次々と魔人達に撃ち込んでいく。

 派手だ。

 そうそう。

 もう隠れる必要もないからな。

 オレも独鈷杵を使う。

 氷の刃を展開し、一番近くにいたインセクトテイマーの腹を突く。

 肩で体勢を崩してやる。

 ついでに前蹴りで蔦の通路から地面に落としてやった。

 後はテイラーに任せておこう。

 どうせもう瀕死だ。


 ヴォルフは既に別の魔人に襲い掛かっている。

 その相手はソードダンサーだ。

 得物も手に出来ていない。

 喉元を何度も噛み付かれて、そのまま食い破られてしまいそうだ。

 惨い。

 だがそれどころではないな。

 まだ残っている。



「グラビティ・バレット!」


 迫ってくる魔人に呪文を叩き付ける。

 同時に独鈷杵を振るう。

 ところで、こいつは誰だ?

 HPバーが途切れた所で気が付いた。

 火吹き男であったらしい。



 蔦の通路の転がるのは3人の魔人の死体だ。

 頭上ではキラーマンティスの姿がある。

 いや。

 デニールの糸が全身を覆い尽くす勢いで尚も追加されていくようだが。

 まるで繭です。


 パントマイマーは?

 テロメアの餌食になってました。

 宙吊りのまま、生きながら血を吸われている。

 一時的に減っていた筈のテロメアのMPバーが全快になっていく。

 全快になった次の瞬間。

 テロメアの手にあった槌が頭部に一閃。

 反撃の機会を一切与えられず、魔人のHPバーは砕け散った。


 地面では?

 落ちていたインセクトテイマーはもう事切れていた。

 HPバーは残っていない。

 テイラーが始末してくれたようです。



 さて、と。

 残るのはキラーマンティスだけなんだが。

 デニールに繭と化した糸の中に封じ込んだ魔物を降ろして貰った。

 魔物は 激しく暴れようとしているようだが。

 動けない。

 最大の武器である筈の両手も動かせないようだ。

 状況的には詰んでいる。

 HPバーはまるで減ってないけどな。


 独鈷杵の設定を氷魔法から火魔法に切り替えた。

 繭の隙間へ炎の刃を突き込む。

 燃やしてしまおう。

 テロメアも繭の隙間に炎の塊を撃ち込んだ。


 繭の中で炎が踊るように揺らいでいた。

 魔物は暴れる事も許されないまま焼かれて行く。

 成仏してくれよ?



《只今の戦闘勝利で【隠蔽】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【気配遮断】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『デニール』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 今日の魔人狩りで最も貢献したのは?

 間違いなくデニールだろう。

 罠、いいな。

 忍耐も必要だが、嵌まるとその効果は絶大だ。


 さて、と。

 デニールのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点は精神力を指定する。



 デニール ビッグスパイダーLv5→Lv6(↑1)

 器用値 21

 敏捷値 21(↑1)

 知力値 15

 筋力値  9

 生命力  9

 精神力  9(↑1)


 スキル

 噛付き 振動感知 気配遮断 出糸 罠作成 毒



 では。

 ここを拠点にした魔人は始末したと思えばいいのかな?

 オレのMPバーは余裕です。

 8割どころか9割近くあります。


 このまま夜の狩りを続けましょう。



 デニールはここで帰還させよう。

 フローリンを召喚する。

 呪文による強化を一通りしておいて。

 コール・モンスターで生首を呼ぼう。


 生首狩り、再開である。




 MPバーに余裕があると戦い方が雑になるんだろうか?

 そんな事はない。

 ただ単純に使う呪文が派手になっているだけだ。


 無論、壁呪文は使う。

 その上でレベル10の攻撃呪文も出し惜しみなしで使いました。

 生首ことフロートヘッドは風、土、雷と3つの属性を持っている。

 自然と他の属性の攻撃呪文を多用する事になるのですが。

 夜です。

 そのエフェクトは一層派手な様相になってしまう。

 生首も雷撃を派手に使ってくるからもうね。


 それにテロメアだっているのだ。

 炎を豪快に撃ち込んでいる。

 派手にならない訳がない。



 先刻までの待ち伏せが嘘であったかのように暴れまくる。

 気が付けば、日付を跨いでいました。

 いくつの生首を狩ったのか?

 知った事ではない。

 覚えているのは剥いだ宝石の数だけだ。

 トパーズ1個にツァボライト1個。

 まあまあ?



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『テロメア』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 おお!

 もう少し時間が掛かるかと思っていたのだが、もうレベルアップ?

 生首、美味しいです。


 テロメアのステータス値で既に上昇しているのは精神力だ。

 もう1点は筋力値を指定する。



 テロメア バンパイアLv3→Lv4(↑1)

 器用値 17

 敏捷値 24

 知力値 29

 筋力値 16(↑1)

 生命力 15

 精神力 27(↑1)


 スキル

 杖 槌 小盾 受け 回避 飛翔 変化 気配遮断

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[小] 自己修復[中] MP吸収[小]

 奇襲 吸血 闇属性 火属性 風属性



 最近は槌や錫杖で殴る機会が多いしな。

 それにステータス値を揃えに行ってみようかね?


 テロメアはこのまま交代させずに連戦で。

 実に調子がいいのでした。







《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『フローリン』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 まあ目論見通りなんですけどね。

 やはり生首、美味しい相手だ。

 調子が良過ぎて怖い。


 フローリンのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1ポイントは筋力値にしておく。



 フローリン バットLv5→Lv6(↑1)

 器用値 17

 敏捷値 21(↑1)

 知力値 11

 筋力値 10(↑1)

 生命力 10

 精神力 10


 スキル

 噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 吸血



 時刻は午前1時10分。

 もうログアウトしてもいい時刻だが、オレのMPバーに余裕があり過ぎる。

 ここはもう少し粘ってもいいだろう。


 だが。

 フローリンはここで帰還させよう。

 奈落を召喚する。

 出来ればログアウト前にレベルアップして欲しい所だ。






《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『テイラー』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 さあ、来た。

 クラスチェンジ、だよな?

 奈落のレベルアップの前に来ちゃいましたよ。


 テイラーのステータス値で既に上昇しているのは筋力値だ。

 もう1点は生命力を指定する。



 テイラー ビッグクラブLv7→Lv8(↑1)

 器用値 10

 敏捷値 10

 知力値  6

 筋力値 30(↑1)

 生命力 24(↑1)

 精神力  6


 スキル

 鋏撃 水棲 土耐性 水耐性



《召喚モンスター『テイラー』がクラスチェンジ条件をクリアしました!》

《クラスチェンジは別途、モンスターのステータス画面から行って下さい》



 来た。

 ここで、区切ろう。

 テイラーが脱いだ殻が消えて行くのを眺めながら、インスタント・ポータルを展開する。

 ログアウト前にお楽しみが出来ましたよ?




 では。

 何にクラスチェンジ出来るのか、確かめておこう。

 無論、融合識別も忘れずに使っておく。




 クラスチェンジ候補

 カルキノス



 おお。

 なんという事でしょう。

 選択肢がないとは。




 テイラー ビッグクラブLv8→カルキノスLv1(New!)

 器用値 10

 敏捷値 10

 知力値  6

 筋力値 34(↑4)

 生命力 28(↑4)

 精神力  6


 スキル

 鋏撃 水棲 水属性(New!)土耐性



 【カルキノス】召喚モンスター 戦闘位置:地上、水中

 大型の化け蟹。主な攻撃手段は両腕の爪。

 動きが鈍いが、非常にタフで前衛での戦闘に向く。



《融合対象となる召喚モンスターではありません》



 むう。

 ステータスの向上具合は素晴らしい。

 だがスキルが寂しいのでした。

 選択肢がないから悩む必要もない。

 カルキノスへとクラスチェンジしたのですが。


 デカい!

 明らかにデカいよ!

 いや、蟹座の神殿で対戦していたし、分かってはいたけど。

 改めて近くで見るとデカいよ!


 これは、いいな。

 完全に壁役だ。

 その戦う様子は次の機会の楽しみとしておこう。



 時刻は午前2時が迫っている。

 さっさとログアウトしておくとするかね?

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv24

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv10

ボーナスポイント残 12


セットスキル

剣Lv9 両手槍Lv8 棍棒Lv8 刀Lv8 捕縄術Lv8

杖Lv18 打撃Lv15 蹴りLv15 関節技Lv15

投げ技Lv15 回避Lv15 受けLv15

召喚魔法Lv24 時空魔法Lv14 封印術Lv6

光魔法Lv14 風魔法Lv14 土魔法Lv14 水魔法Lv14

火魔法Lv14 闇魔法Lv14 氷魔法Lv12 雷魔法Lv12

木魔法Lv12 塵魔法Lv12 溶魔法Lv12 灼魔法Lv12

錬金術Lv10 薬師Lv8 ガラス工Lv6 木工Lv9

連携Lv17 鑑定Lv16 識別Lv17 看破Lv5 耐寒Lv8

掴みLv13 馬術Lv13 精密操作Lv16 ロープワークLv8

跳躍Lv8 軽業Lv8 耐暑Lv9 登攀Lv9 平衡Lv8

二刀流Lv14 解体Lv12 水泳Lv6 潜水Lv6

ダッシュLv6 耐久走Lv6

隠蔽Lv2(New!)(↑1)気配遮断Lv2(New!)(↑1)

身体強化Lv14 精神強化Lv14 高速詠唱Lv14

魔法効果拡大Lv13 魔法範囲拡大Lv13


召喚モンスター

テイラー ビッグクラブLv8→カルキノスLv1(New!)

 器用値 10

 敏捷値 10

 知力値  6

 筋力値 34(↑4)

 生命力 28(↑4)

 精神力  6

 スキル

 鋏撃 水棲 水属性(New!)土耐性


デニール ビッグスパイダーLv5→Lv6(↑1)

 器用値 21

 敏捷値 21(↑1)

 知力値 15

 筋力値  9

 生命力  9

 精神力  9(↑1)

 スキル

 噛付き 振動感知 気配遮断 出糸 罠作成 毒


テロメア バンパイアLv3→Lv4(↑1)

 器用値 17

 敏捷値 24

 知力値 29

 筋力値 16(↑1)

 生命力 15

 精神力 27(↑1)

 スキル

 杖 槌 小盾 受け 回避 飛翔 変化 気配遮断

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[小] 自己修復[中] MP吸収[小]

 奇襲 吸血 闇属性 火属性 風属性


フローリン バットLv5→Lv6(↑1)

 器用値 17

 敏捷値 21(↑1)

 知力値 11

 筋力値 10(↑1)

 生命力 10

 精神力 10

 スキル

 噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 吸血

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最近人魚でない…嫁はまだ?
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