214
朝が来た。
続々とプレイヤーがログインしてくる。
アデルとイリーナは片っ端から朝食を振舞っていた。
オレは?
既に腹は十分に満たしていたので、古代石柱の発掘をしてました。
おっと。
昼間の陣容にしておこうかね?
ヴォルフは残して、と。
残月、ヘリックス、リグ、ナイアスを召喚しました。
移動を意識した陣容だ。
同時にナイアスの支援効果にも期待である。
特に呪歌だ。
敵である魔物には魔人がいる限り、効きそうにない。
だが味方を鼓舞する歌は十分に効果があるだろう。
ユニオンを組んだ状態でも効果があるのは間違いない。
バードでは効果がある事は知れているからだ。
サモナー部隊は攻撃開始と同時に後方撹乱、そのまま遊撃を行う予定だ。
うん。
予定は予定である。
基本、機動力を活かした戦い方でいい。
リック達は再編成、フィーナさん達とタイミングを合わせて出撃する予定だ。
魔物の数は風霊の村よりも少ないように見える。
だが闘牛はケンタウロスよりも機動性で劣るが遥かにタフである。
それにパンツァーライノにマイナーグリフォンもいるのだ。
油断ならない。
その一方である推測がプレイヤー側にはある。
魔人だ。
先に魔人を全て片付けたら?
そこに活路を見出す事が出来るかもしれない。
でもね。
オレとしては1匹残らず、殲滅させるのが理想だ。
全部美味しく頂きたい。
最近、逃げる魔物が経験値に見えます。
気のせい?
うむ。
気のせい、気のせい。
「ではキースさん、お任せします」
「お互い頑張りましょう」
リックと挨拶を交わすとサモナー軍団の戦列にオレも加わる。
聞く所によると、ここ最近の戦闘でクラスチェンジした召喚モンスターが増えてきているそうで。
例えば。
グレイウルフは2頭、ホワイトウルフとブラックウルフは1頭ずつ増えている。
戦力が上がっているのは助かりますな。
『キースさん、今日の獲物は?』
「フィーナさん達の支援。それにマイナーグリフォンはこっちで狙うべきだな」
『魔人狙いは?』
「魔物を狩り続けていたら自然と討ち取れるだろう」
逃げるな。
魔物は、逃げずに討ち取りたい。
でも勝ちたいっていうのが第一なのです。
ここは自重すべき、なんだろうな。
オレ1人だけの戦いではないのだから。
リック達の戦列が霧の泉の外縁に並んでいる。
パーティの数は40を少し超える程度か?
正直、少ないように思える。
だが挟撃にできれば十分に戦果を上げる事ができるだろう。
フィーナさん達は斜行陣で進行している。
ならばサモナー集団でやるべき事は?
オレは支援としか聞いていない。
出来れば戦端を開く先頭集団の援護をしたい所だが。
ここは逆を行こう。
偽装攻撃、である。
これは別に引っ掛からなくても構わない。
そのまま包囲戦にするだけだ。
こっちの機動力は総合的に見て魔物達より上だ。
マイナーグリフォンと一部のケンタウロスは要注意ではあるのだが。
数は少ない。
むしろマイナーグリフォン相手なら早い段階で仕留めておきたいほどなのだ。
まあオレ達は主力ではない。
気楽に行こう、気楽に、な?
『メッセージで連絡!魔物の群れと視認距離になったそうです!』
『総員、出撃!』
リックのウィスパーが響く。
少なくはあるが、戦列が前進を始める。
「では、続けッ!」
『応ッ!』
『ヤァ!』
サモナー軍団も続く。
いや、すぐに追い抜いた。
目指す戦場は?
土煙が上がる地点を斜めに見ながら疾駆させていく。
狙いは、魔物の群れを一時的にでも分断すること。
成功するかどうかは分からない。
まあやってみるまでだ。
魔物の群れに迫っていく。
ナイアスの歌声が後ろから聞こえていた。
皆を鼓舞する歌声は凛々しく心躍るものだ。
実に耳に心地よい。
体中の血が熱くなるように感じられる。
オレが手にしているのは敢えてメイスにしている。
一撃に賭けてみたい。
では。
後は突撃あるのみだ!
『一部のケンタウロスが逃げていきます!』
何という凶報であるのか。
経験値が。
経験値が、逃げていく。
泣きたい。
でも勝利に近づいているのだ、と前向きに考えるようにしよう。
精神的にその方がいい。
ケンタウロスに騎乗する魔人を仕留めたのは駿河であった。
革兜に隠れた表情は見えない。
もうちょっと後で良かったのに。
おっと、いけね。
前向きに行こう、な?
『マイナーグリフォンを仕留めました!』
『騎乗していた魔人もです!』
『マイナーグリフォンが1羽、逃げ始めました!』
なんという事でしょう。
思わぬ戦果が。
早いよ。
早いって!
まだ戦闘開始から10分と経過していない筈だ。
クソッ!
オレの獲物は何処だよ!
先刻から逃げ惑うケンタウロスばかりで張り合いがないんですけど?
いつの間にか魔物の群れを分断していたようだ。
後方には脚を止めている闘牛の群れがいる。
その中に指揮官であろう、ケンタウロスに跨る魔人の姿が見えた。
よし。
あれはオレの獲物にしてやろう。
仕留めに、行くぞ!
「右に旋回、再度群れに突入するぞ!」
『了解!』
では。
楽しませて貰おうか!
『魔人を狼達が撃破!闘牛が統制を失ったようです!』
『闘牛の半ばは激高状態で突っ込んできます!』
「壁呪文で迎撃し続けよう、勝手に突っ込んでくるぞ!」
『ヤァ!』
指示を出しながらも願う。
もっと。
もっとだ。
魔物よ、残っていてくれ、と。
だがその願いは空しかった。
何重にも重なった壁に阻まれて闘牛達は次々と死んでいく。
おい。
闘牛はタフな筈なのに。
止めも刺せないのか?
では他に期待するしかない。
本隊だ。
戦況はどうなっている?
遠目に見てみると、フィーナさんの本隊へと向かう魔物の群れは絶えつつあるようだ。
赤いマーカーの数は目に見えて減っている。
増える様子もない。
いかん。
獲物が、オレが倒すべき獲物が、いなくなってしまう!
「本隊の支援に回るぞ、急げ!」
『はい!』
『分かりました!』
間に合え。
間に合ってくれ!
心の中で何度も願うオレがいた。
不謹慎なのは承知している。
どうせ勝つのであれば、徹底的に勝つべきだ。
その上で経験値を稼げるのであれば言う事はないのだ。
オレの願いを討ち砕く光景がそこにはあった。
もうパンツァーライノしか残っていない。
その数少ない魔物を蹂躙する与作と東雲の勇姿と言ったら!
もうね。
思わず止せって言いかけましたよ?
つか、あの重量級の魔物が実にアッサリと仕留められていくものだ。
恐ろしい。
斧の一撃でサイの首は両断され、槌の一撃で昏倒していく。
オレの目の前で最後のサイがフィーナさんの手で仕留められた。
まさか。
これで、終わり?
本当に?
おやあ?
心底、ガッカリしているオレがいます。
《只今の戦闘勝利で【掴み】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【馬術】がレベルアップしました!》
《イベント『草原の襲来者達』をクリアしました!》
《ボーナスポイントに5点、エクストラ評価で3点が加点され、ボーナスポイントは合計14点になりました!》
ああ、やっぱり。
イベントだったのね?
そして終了した事もまた確定って事か?
ああ。
なんという事だ。
暴れ足りない。
『おお!ボーナスポイント増えた!』
『やっぱりイベントだったか』
『ステータスに振るぞ!』
『レベルアップおいしいです』
まあ色んな喜びの声が聞こえてくる。
うん。
喜んでいいんだろうな。
でもね。
やっぱり暴れ足りないのですよ。
時刻は午前8時50分か。
うむ。
時間が余りまくり!
まあアイテム剥ぎで時間潰しになったのは良かった。
だがさすがに時間制限があるらしい。
魔物の死体は1時間ほどで消えるそうな。
急げ、急げ!
結局、アイテムは剥ぎ放題となったが、どうせ商人が買い取る事になるのだ。
肉はどちらかと言えば遠慮しよう。
オレは真っ先にマイナーグリフォンに剥ぎ取りナイフを突き立てたのだが、得るものはなかった。
次にパンツァーライノ。
角は2本確保。
周囲を見回すが、もう闘牛しか残っていないようである。
前言撤回。
遠慮なく闘牛から肉と皮を剥ぎましょう!
各所で闘牛からアイテムを剥ぐ作業が続いた。
だがイベント絡みのせいか、アイテム取得率はかなり下がっていたようである。
運営め。
肉、寄越せよ!
それでも十分な量の肉は確保できた。
オレ1人が食べるには困らない程度に、ではあるが。
サーロインを1個だけだが確保している。
上出来?
まあそういう事にしておこう。
《これまでの行動経験で【鑑定】がレベルアップしました!》
《これまでの行動経験で【解体】がレベルアップしました!》
作業のついでにレベルアップした技能もあった。
十分な収穫だろう。
霧の泉周辺は大変な賑わいになっていた。
本音を言えばフィーナさんの所でアイテムの買取をお願いしたかったんだが。
この混雑ではそれも望めそうにない。
つかどこにいるのかすらハッキリしないんですけど。
傍にはサモナー軍団がまだ形成されている。
自然と集まってしまっていた。
まあ馬に騎乗していて目立つしな。
習い性になっている面もあるのだろう。
日本人的性格はこういった所にも現れてしまうようだ。
「この後、どうしますか?」
「うむ。一旦ログアウトしてすぐに戻る。そして隣のマップを探索、かな?」
「同行していいですか?」
「え?」
「久しぶりに同行して面白かった!」
うむ。
確認したい事があります。
アデルとイリーナは今更なんですけど。
まさか、ここにいるサモナー全員じゃないだろうね?
「一緒に行く人、手を上げて!」
アデルの号令が飛ぶ。
皆、片手を上げて応じてますけど。
「ここのマップよりも出てくる魔物は強力になるんだが、いいのか?」
「だから、じゃないですか?」
「危険なマップ、皆で攻略、怖くない!」
どこの標語なんだ、それ?
まあ、いいか。
どうせ時間は余っているんだし。
「では午前9時20分まで休憩だな。場所はここで」
「了解!」
「ではまた」
「じゃあトイレタイムで」
ふむ。
ではオレもログアウトしておこう。
死に戻ってもここに戻れば生産職の面々が誰かいるだろうし。
とはいえ。
すぐに戻ってきちゃうんですけどね。
ログインしました。
で、何処へ行こうかね?
ここはW3マップ。
西のW4マップは既に行っている。
南のS1W3マップも既に様子を見ている。
北だ。
北のN1W3マップはまだ足を踏み入れていない。
よし、北に行くとしよう。
N1W3マップはどういった地形なのか、詳細は不明だ。
でもW3マップの移動はいつもの布陣で問題はないだろう。
では。
ヴォルフ、残月、ヘリックス、ナインテイル、クーチュリエを召喚する。
戦力の底上げもしておきたいので。
まあ敏捷値の高いクーチュリエであればそう簡単にダメージを喰らう事もあるまい。
実際、W3マップの魔物はどれも相性がいいように思える。
ケンタウロス、ステップライオン、闘牛、死肉喰らい。
どれもクーチュリエに比べたら遅い魔物ばかりだ。
どうせ隣のマップで出会う魔物は何になるのか、事前情報が何もないのだ。
心配なら隣のマップに実際に足を踏み入れてからでいい。
時間前までに全員が揃ってしまいました。
召喚モンスターの陣容も移動に適した陣容になっている。
こう言ってはアレだが、傍目から見たら完全に魔物の群れです。
人間よりも数が多いから当たり前ですけどね。
一応、タイムスケジュールも定めておいた。
正午までにW3マップの境界まで到達が目標だ。
では。
サモナー軍団、再度出撃である。
魔物の様子はどうか?
コール・モンスターで確認してみる。
ケンタウロスと闘牛の姿は相当減っています。
ステップライオンは変わらずいるのだが、結構近寄ってもアクティブにならない。
この辺は変わっていないようだ。
その代わりと言ってはアレだが、死肉喰らいはそこそこの数がいた。
でもね。
鷹とフクロウの群れの前には無力だ。
しかもこいつは何も残さないような魔物なのだ。
さっさと倒したらさっさと通り過ぎるに限る。
つまり、こういう事になる。
午前11時40分には隣のN1W3マップに到達してしまっていたのだ。
ここでインスタント・ポータルを展開して昼飯にした。
再び肉祭りである。
いや、モツ煮込み祭りだ。
朝の料理がまだ余っていたようです。
文句なしだ。
トロ味のある、旨みが凝縮した汁にパンを浸して頂く。
上品ではない。
だが旨いのです。
たまらんな、これ。
では。
食事を終え、ログアウトしていったサモナー達が戻るのを待つ間は古代石柱の発掘を進めた。
大して進まなかったけど。
全員が戻ってきた所で探索再開である。
目標は?
無論、エリアポータルだ。
で、N1W3マップはどんな様子なのか?
変わらず平原のようにも見えるのだが。
不毛の地、だな。
植生は変化している。
大木らしい大木はない。
せいぜい潅木といった程度だろう。
気温そのものは涼しいようである。
魔物はどうだろう?
そこが肝心だ。
「少し移動速度を下げよう」
『魔物の動向は気になりますね』
『まだ何も引っ掛からないみたい!』
「探索も慎重に頼む」
ヴォルフ達の様子に乱れはない。
魔物の気配はないのだろうか?
いや。
魔物は、いたようだ。
ヴォルフがいきなり吠えて警告を発する。
魔物の姿は見えない。
だが。
それは地面からまるで生えるように出現してきていた。
しかも1つではない。
何だ?
マッドゴーレム Lv.4
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上
おい。
ヤバいぞ!
いきなり奇襲を喰らっていたら危ない所だった。
魔物の数も少ないのも幸いであっただろう。
それでも5匹いるんですが。
だがこっち側にはどれほどの人数がいるか、といえば比較にならない程多いのだ。
問題、ないのか?
そんな事はない。
液状化した所に突っ込んだら簡単に捕まってしまうだろう。
ここは慎重に。
呪文で強化してから挑むべきだ。
「距離をとれ!」
『了解!』
マッドゴーレムの動きは鈍い。
だが逃げ回っていてもつまらん。
呪文を当てればダメージも多少あるが。
時間が掛かり過ぎる。
全く、敵にしてみて分かる、この強さ。
というよりも何と厄介な奴なんだ、ジェリコって。
いや、ジェリコじゃなくてマッドゴーレムが、なんだけど。
ピットフォールはどうだ?
試してみた。
だが液状化されてしまうと効果が薄い。
穴の底に泥水を注ぐような感じだ。
あれはどうだ?
封印術は?
液状化って武技封印の対象になるのか?
結果は、対象でした。
でも結構、レジストされましたけど。
1匹目は1回目で封印出来たようなんだが、2匹目は3回目でようやく封印。
3匹目は2回目で封印。
4匹目、5匹目はいずれも3回目でようやく封印出来たものです。
レジストされ過ぎ!
いや、そういう魔物なんだろう。
確かジェリコにも魔法抵抗が付いてたような。
ようやく安心して攻撃に転じたオレ達だが、そこはそれ、さすがはマッドゴーレムだ。
タフだ。
いや、堅いな!
オレの場合はメイスで散々殴ってやったんだが、もうね。
クリティカルだと面白いようにダメージは通るのだが。
通常の攻撃だとダメージが地味に積み重なるだけなのです。
根気がいるな。
数の暴力でなければ詰むのは難しかったかも?
まあなんとかなったんですが、アイテムは何も残さないようです。
うん。
まあ泥だし。
そこは諦めよう。
《只今の戦闘勝利で【棍棒】がレベルアップしました!》
うむ。
まあ、それはいいのだが。
魔物の難易度、やたらと上がってる気がします。
与し易い、と言えばそうなんだが。
なんと言ってもタフなのだ。
侮れるような相手ではない。
実際、ダメージなしで勝てていないのだ。
ステータスにペナルティを喰らう所にまで至ってないのが幸いであったが。
『召喚モンスター、それもクラスチェンジした奴が?』
「S1W3でも召喚モンスターが出てくるぞ?しかもクラスチェンジした奴だ」
『えっ』
「キメラも出たな、そう言えば」
『ええっ?』
「こっちも油断ならないな」
だがこんな程度では終わらないようである。
次が、来た。
今度は分かりやすい形で出現したので助かる。
群れだ。
地上を疾駆する一群をヘリックスの眼が捉えている。
一直線に、こっちに向かっている。
何だろうか?
どうも何かの獣のようなんだが。
その魔物の姿がオレの目でも視認出来る距離になったようだが。
シフカ Lv.4
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 光属性
馬だ。
十二神将のお供にいた奴だな。
これなら比較的、楽なのか?
全然、楽じゃなかった。
やはり狭い場所で戦うのと訳が違った。
こいつは幻影を駆使するんだが。
開けた場所では面倒な事、この上ないって!
こっちの数が多かったから攻撃が当たってくれているようなものだ。
動きも速い。
呪文もスカされたりするから腹が立つ。
スペル・バイブレイトも使ってみたが、その効果は限定的だ。
数秒後には新たな幻影が作られてしまう。
20頭程度の群れだったと思うが、意外な程に苦戦しちゃいました。
ダメージも相応に喰らっている。
主に騎馬への体当たりが地味に効いていた。
残月も喰らってるし。
おのれ。
嫌がらせか?
嫌がらせなのか?
嫌がらせをするのは、いい。
嫌がらせをされるのは頭に来る。
まあ普通に当たり前ではるな。
『キースさん、結構いい代物が剥げたみたいですよ?』
「ほう」
こいつはちゃんとアイテムを残していたようだ。
何でしょね?
【素材アイテム】幻影馬の皮 原料 品質C レア度4 重量5
シフカの尻部分の皮。
芦毛であり馬の皮にしてはやや薄目で非常にしなやか。
一枚物で大きいものほど価値は高い。
【素材アイテム】幻影馬の肉 原料 品質C レア度4 重量2
シフカの肉。肉としてはかなり硬く脂は非常に少ない。
生のままで放置しても腐敗しない不思議な肉として知られる。
皮は7つ、肉は5つ、剥げたようですな。
うむ。
分配するには中途半端な数だな。
「公平に分配するには数が足りないな」
『えっ』
『コール・モンスターを使うんですか?』
「勿論」
『やっぱり』
『相変わらず厳しいのでした!』
まあね。
どうせなら稼ぎたいのはお互い様だ。
それに手強い相手ではあるが、人数がこれだけ多いと稼ぐにしても魔物の数が必要だろう。
慣れてきたら狩りの効率も上がるだろうし。
「スペル・バイブレイトを効果的に使えないかな?」
『広域をカバーして一斉に使うのはどうでしょう?』
「試してみるのがいいな。幻影が消えたら召喚モンスターに襲わせる方向で」
『了解です』
『合図はキースさんの号令でいいですかね?』
そういう事になりました。
で、戦果は?
皮も肉も30を超えるまで狩ってみました。
いや、正確じゃないな。
コール・モンスターで可能な限り、呼び寄せてみました。
当然、全滅させてます。
肉も皮も1名で1つ、配給しました。
それでも少し余りましたけど。
まあこれは後でフィーナさんの所ででも精算してみた方がいいのだろう。
結局、余った分はオレが一時的に預かる事にしました。
空中位置の魔物はいるのか?
ちゃんといましたけど。
とんでもないのが、いたのです。
火吹鳥 Lv.3
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:空中
火属性
1匹だけ、というのが慰めにならないよ!
何という罠。
『散れ!』
その指示は正しかった、のか?
自信はない。
単に馬の機動力を活かしたい、と思っただけだ。
確かに馬の機動性があったが故に被害は最小限で済んだと思う。
死に戻りはいなかったのだから。
1匹だけだったのも助かった。
この魔物が繰り出した全体攻撃は強烈だった。
特に火魔法のファイア・ストームに相当する攻撃はヤバい。
もう1匹いたら間違いなく死に戻りが出ていただろう。
そんな強力な魔物も翼を召喚モンスター達に散々に切り裂かれてしまってはもういけない。
地面に落ちてしまっては、ね。
それにこの魔物、地面に落ちてもしつこい。
地上に在ってもそれなりに強力な相手だった。
オレはと言えば呵責の捕物棒で突きまくって差し上げましたけど。
なかなか抵抗してくれている。
中々、オレ好みのしぶとさだ。
全体攻撃は地上に落ちてからは1回しか使ってこなかった。
まあ火炎攻撃はストーン・ウォールで防いで凌げたので問題はない。
上空からの攻撃に比べたら実に楽なものだ。
【素材アイテム】火吹鳥の翼 原料 品質C+ レア度4 重量1+
火吹鳥の翼。羽根を擦ると発火する特性があり取り扱いに注意。
で、定番の翼も取れた。
これも矢羽根素材かね?
だがこいつは1つだけだ。
周囲をコール・モンスターで確認してみたが、数羽しかいないようだ。
精算するしかないか?
いや、これは相談すべきかね?
矢にでもして皆で分配するのもいいだろうし。
最悪、羽根に分解してから分配でもいいのかな?
まあ現時点では保留だな。
更に先に進んでみる。
周囲に魔物は少なかったので移動を優先だ。
広域マップではそろそろ、なのだが。
センス・マジックは早めに使っておいた。
そろそろの筈だ。
エリアポータルは近い。
『あれ、なのかな?』
『怪しい、ですね』
「ああ。あからさまに怪しいな」
時刻はそろそろ午後3時。
広域マップでもN1W3の中央辺りになる。
そして目の前には綺麗な半円形の塚だろうか?
怪しい。
怪しいなんてもんじゃない。
センス・マジックはまだ有効なんだが。
魔力は確かに、ある。
だがそう強いものではない。
周囲は?
邪魔になりそうな物はない。
サモナー達全員、そして召喚モンスター達全てが戦うのに不都合はないのだが。
魔物は何が出てくるのか、慎重にならざるを得ない。
まだ近付くのは避けねば。
事前準備も必要だ。
「MPバーに余裕のある者は召喚モンスターの布陣を変更!」
周囲に呪文詠唱の声が騒々しく鳴り響き始める。
オレも召喚モンスターの切り替えを急いだ。
ヴォルフとヘリックスはそのまま。
残月、ナインテイル、クーチュリエは帰還させる。
戦鬼、獅子吼、ナイアスを召喚した。
オレの周囲でもサモナー達が陣容を変えつつある。
騎乗したままのメンバーもいるが、それはそれで構わない。
機動力が必要になるかもしれないしな。
馬が減った分、トラやヘビが増えた。
数は少ないものの、カニ、亀、鬼も加わっている。
勿論マーメイドもいる。
誰のかは分かっているぞ!
「では次だ。呪文で強化!」
『了解』
『おっけー!』
「出来るだけ、他のメンバーも相互に補完するように強化をしておいてくれ」
『分かりました!』
『うわ、エリアポータル開放戦?初めてだよ』
呪文詠唱は続く。
数分ほど経過して一通り終了したか?
強化した効果は全員、10分以上は保つであろう。
出来れば短期決戦で終わらせたいものだ。
『ではこれから対象を包囲の上で同時に接近する。隣同士に気を配って連携を絶やすな!』
『応ッ!』
『ラジャー!』
包囲の輪を形成する。
合図を送ると同時に近寄っていく。
さあ、どうなる?
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv22
職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv8
ボーナスポイント残 14
セットスキル
剣Lv8 両手槍Lv8 棍棒Lv8(↑1)刀Lv7 捕縄術Lv7
杖Lv17 打撃Lv14 蹴りLv14 関節技Lv14
投げ技Lv14 回避Lv14 受けLv14
召喚魔法Lv22 時空魔法Lv13 封印術Lv6
光魔法Lv13 風魔法Lv13 土魔法Lv13 水魔法Lv13
火魔法Lv13 闇魔法Lv13 氷魔法Lv11 雷魔法Lv11
木魔法Lv11 塵魔法Lv11 溶魔法Lv11 灼魔法Lv11
錬金術Lv10 薬師Lv8 ガラス工Lv6 木工Lv9
連携Lv16 鑑定Lv16(↑1)識別Lv16 看破Lv4 耐寒Lv8
掴みLv13(↑1)馬術Lv13(↑1)精密操作Lv15 ロープワークLv7
跳躍Lv7 軽業Lv7 耐暑Lv8 登攀Lv8 平衡Lv8
二刀流Lv14 解体Lv12(↑1)水泳Lv6 潜水Lv5
ダッシュLv5 耐久走Lv5
身体強化Lv12 精神強化Lv13 高速詠唱Lv13
魔法効果拡大Lv12 魔法範囲拡大Lv12




