212
ヘリックスを先行で飛ばして観察してみた。
魔物はまだいる。
だが包囲の輪は完全に崩れていた。
残存しているケンタウロスの群れはW3マップ方面に移動しつつある。
パンツァーライノも同様だ。
魔人もまだいる。
つか増えているのか?
どうも、退却ではないようだ。
距離を置いてこちらの様子を窺っているのか?
マイナーグリフォンが近寄ってきていたのでヘリックスは戻しました。
あれは厄介だ。
どうも、この村にいるプレイヤーをまだ狙う構えのようだ。
サモナーだけで襲えなくはない。
だが各々の消耗は結構激しいのが痛い。
ここは自重すべきだろう。
『村の領域に入ったら各自解散!』
『霧の泉への進軍は明日の朝から行う予定です。是非参加して下さい!』
『詳細がまとまり次第、配布します!』
インフォが飛び交う中、ユニオンを切って村に入った。
さすがにこの数が一気に中へ入ると色々と困るようだ。
休耕地にテントを設営してログアウトしていく。
だが。
オレのいる一角はまだ賑やかだ。
サモナー軍団が集結しているのであった。
先刻の戦闘で色々とレベルアップしていたみたいです。
中にはクラスチェンジを果たした召喚モンスターすらいる。
そして召喚魔法のレベルが上がっているのか、新たな召喚モンスターを追加する者もいる。
かなり実入りが良かったのかな?
「キースさんはこの後どうしますか?」
「狩りに、と言いたいがさすがに消耗しているしなあ」
「まだ余裕ありそう!」
「私だけでどうにか出来る数じゃないからな。ここは村でゆっくりするか」
「すみません、お願いがあるんですが」
「新しい子達を見たいんです!」
此花に春菜か。
まあその位ならいいのか?
ヴォルフとヘザーを残してナイアス、獅子吼、幻月を召喚していく。
まだ昼間だしテロメアはスルーで。
周囲は実に賑やかだ。
例えば。
ナイアスの傍にはいつの間にかマーメイドがいる。
駿河と野々村、そして此花の召喚モンスターだ。
人気あるな、おい。
他にもインプの幻月とフェアリー達がヘザーの周囲を飛び回っていたり。
グレイウルフ、ホワイトウルフ、ブラックウルフはその毛並みを愛でられ続けていたり。
獅子吼はさすがに怖いようだが、アデルは撫でまくってたり。
まあ、それぞれだな。
その宴は夕飯時まで続いた。
テロメアが見たい、というリクエストは当然あった。
でも1つ、条件を付ける事に。
夜の狩りに付き合うなら、いいですよ?
時刻は午後6時30分。
少し変則だがログアウトしました。
再びログインした時刻は午前1時ちょうどです。
宣言してあった時刻だったんだが、殆どのサモナーが揃っているようです。
どんだけテロメアが見たいんだ?
「だって、これが目当てですから!」
「イベントはその次で!」
駿河と野々村の発言は何かがおかしい。
まあ、いいか。
その代わりと言ってはアレだが、夜の狩りに付き合って貰いましょう。
夜の狩りの目標は?
魔人だ。
ケンタウロスもいる事だろう。
パンツァーライノは夜も活動するかどうかは分からない。
もしかすると他の戦力もいるかもしれないが。
では。
召喚していこうか。
ヴォルフ、戦鬼、ナインテイル、獅子吼、テロメアです。
周囲の様相が一気に引き締まる。
確かにテロメアは美人だろう。
だが近寄り難い迫力もある。
髪の毛で顔が半ば隠れていても、なのだ。
顔付きが良く見えるよう、髪の毛を纏めて後ろで結ばせたのですが。
半端ないな!
優しげな印象の美人である事に変わりはない。
それなのに危険な雰囲気もある。
怖さも、ある。
周囲のサモナーにも伝わっているようだ。
「凄い」
「スクリーンショットじゃこれは分からないわー」
「これは狙って成長させないと!」
周囲の反響はそんな所だ。
うん。
目指すプレイヤーは多くなるだろう。
実際、周囲のサモナー達が召喚するモンスターの中にスケルトンとミストの姿は少ない。
増えて欲しいものです。
「夜の狩りだが、時刻は朝の5時までとしよう。霧の泉にも行く事になりそうだしな」
「了解!」
「いいのか?無理に付き合う必要はないんだが」
「世の中、連休が始まってますし」
「平気です!」
ああ、そういう時期だったか。
ならば。
行きましょうかね?
夜の平原はずっと静かであった。
ケンタウロスを中心にした魔物達の位置も把握している。
その多くはパッシブだ。
寝ている奴までいる。
パンツァーライノは全て眠り込んでいるようだ。
奇襲で行くか?
だが問題は他にある。
スケルトンラプターだ。
群れている。
ケンタウロスとは全く別方向にいるのが救いだな、
規模はそんなに大きくないが、それでも100匹を超えているだろう。
その群れの中心に厄介な奴がいるのだ。
スケルトンマンモス。
何でここにいるのよ?
アレはあまり相手をしたくないな。
ユニオンを組んで出撃したパーティは40程の規模になっていた。
サモナー以外で有志のパーティが加わっている。
経験値的には公平ではないが、それでもいいらしい。
その中には見知った顔も多い。
例えば。
与作、東雲、フェイ、ハンネス、マルグリッドさん、レイナがパーティを組んでいた。
うん。
テロメアに獅子吼がいても勝てる気がしない。
そして紅蓮くんのパーティが来てます。
どうやら北方面から参加したそうだが、暴れ足りないらしい。
で、リディアとガヴィのいるパーティもいるんですが。
なんと彼女達のパーティは全員がクラスチェンジを果たしていた。
リディアはエレメンタル・ソーサラー『光』になっている。
ガヴィはルーインダイバーか。
他のメンバーもそれぞれ強力になっているみたいで結構な事だ。
『目標の群れを発見!』
『フクロウ部隊で奇襲でも仕掛けますか?』
「もう少し接敵してからだ」
『数が多すぎる気がしますけど?』
『でも油断してる今の内?』
イリーナの心配も分かる。
アデルの意見もその通りだ。
まあ、普通に奇襲でいいんじゃないかな?
コウモリだけにやらせても打撃力に欠ける。
やるのであれば全力でやろう。
ケンタウロスはまだ気が付かない。
いいぞ。
では襲ってみるか。
オレ達の頭上をコウモリの群れが舞う。
そしてフクロウの群れも加わっていった。
その中心にテロメアがいる。
周囲を更なる闇で包み込んでいって、コウモリやフクロウの影すらも覆い隠していく。
おいおいおい、そんな事ができるのかよ!
まあいい。
任せておこう。
最初の一撃は、彼女の一撃になる。
そしてそれが合図になっていた。
テロメアが繰り出した爆炎攻撃が炸裂する。
同時に地上にいる皆が一斉に駆け出す。
先頭を駆ける狼の群れが、空を翔るコウモリとフクロウが一気に攻撃を加えていく。
奇襲の第一段階は成功だったろう。
後はもう乱戦模様になった。
上空から撃ち込まれるテロメアの炎は周囲を明るく照らすようだ。
ノクトビジョン要らずです。
オレは?
片手に独鈷杵、もう片手に呵責のトンファーのいつものスタイルだ。
独鈷杵から伸びるのは雷の刃。
夜間だから目立つ。
だがそれがいい。
魔物が勝手に寄ってきてくれる事だろう。
戦闘は少数対多数であり、普通は少数の方が不利だ。
だが全体攻撃呪文はその不利を感じさせない。
もうね。
むしろやりたい放題です。
パンツァーライノは与作のパーティが中心となって次々と屠っているようです。
相変わらずおっかないな!
逃げ惑うケンタウロスもいたが、あちこちに出現する壁呪文に邪魔されてしまう。
集まったら集まったでピットフォールに落とされる。
うん。
いい連携だ。
獅子吼も1回だけブレスを使ったようですが、その後は凄まじい勢いでサイを相手に奮戦してます。
つか、食ってる。
恐ろしい事をするものだ。
その隣で戦鬼がサイの首を捕らえて、首の骨を砕いているようです。
これも凄い。
オレには絶対、真似できそうにないな。
ナインテイルはオレの肩に乗っかって周囲への支援を続けている。
いい連携だ。
ケンタウロスフェンサーに騎乗するビーストテイマーをテロメアが襲っている。
テロメアのMPバーは殆ど枯渇寸前だった筈だが。
一気に回復してます。
魔人の分では足りなかったのか、ケンタウロスフェンサーにも噛み付いてますよ?
そしてMPバーはほぼ全快です。
さすがだ。
地面に転がり落ちた魔人もプレイヤーに止めを刺されてしまう。
ケンタウロスフェンサーもテロメアに槌で殴り殺されてます。
あっけないものだ。
『魔人の首、獲ったぞぉぉ!』
『こっちも魔人を仕留めた!』
『魔物が逃げる!』
なんと!
ケンタウロスの群れが、逃げる?
確かに。
逃げ始めているようです。
まだ十分な数はいると思うのだが。
『ダメだ!散り散りになって逃げてる!』
『追撃はなしだ!迎撃体制を保持しながら退くんだ!』
事前の取り決め通り、魔物は追わずに一旦、村へと退却する。
コール・モンスターで周囲を警戒しながら村の方向へと移動していくのだが。
ケンタウロスの動きはバラバラだ。
追う事は不可能だろう。
それに気になるのはスケルトンラプターの群れだ。
動いている。
こっちを襲うような気配なんだが。
村の中に退くか?
このまま迎撃するか?
どうも退却は間に合いそうもない。
「スケルトンラプターの群れが来ている。分かってるな?」
『あれならなんとかなりそう?』
『迎撃で余裕でしょ?』
ああ、そうか。
スケルトンマンモスを認識できるのはオレだけ?
「スケルトンマンモスが1匹混じっている。あれは洒落にならない相手だ」
『!?』
『えっ?』
「迎撃しよう。スケルトンマンモスの足止めは私がやろう」
オレの隣に与作が並ぶ。
そして東雲も。
後方にマルグリッドさん達も来ていた。
そして紅蓮くん達も来てます。
『左翼につく』
『思う存分、戦えそうだしな』
『もうちょっと稼げそうかな?』
うん。
そうそう。
経験値と思えばスケルトンマンモスだって魅力のある対象に。
普通はなりませんけどね。
まあこの数がいるのだ。
足を止めたらなんとかなる、かな?
スケルトンラプターの群れの最後尾に奴がいた。
スケルトンマンモス。
デカい、
相変わらず、デカいな!
スケルトンマンモス Lv.2
魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ・誘導支配
戦闘位置:地上 闇属性 氷属性
「サンシティフィ・アンデッド!」
「ピットフォール!」
魔物は足を挫くと転んでしまう。
再び起き上がろうとする所へ襲い掛かる与作達。
『ウラァー!』
『どっせい!』
『グラビティ・バレット!』
『ブランチ・アロー』
何か色んな掛け声も聞こえますが。
オレ達も参加しよう。
「属性封印!」
厄介な属性は封印して、と。
メイスを片手に戦闘に参加だ。
さあ、殴るぞぉ!
《只今の戦闘勝利で【識別】がレベルアップしました!》
ようやく、戦闘終了か。
スケルトンラプターは全滅。
スケルトンマンモスはどうにか仕留めた。
力技、ですけどね。
スケルトンマンモスは何も残さなかったようです。
まあそれは後回しでいい。
コール・モンスターで周囲を確認する。
魔物の姿は殆どない。
フロートアイは少数いるようだが。
『魔人はこっちで仕留めました!』
『やっぱり魔人が鍵?』
ほう。
魔人はアデルが仕留めた、のか?
そしてイリーナの指摘。
尤もな意見だ。
ケンタウロスの群れも統率をしていたのは魔人だった。
魔人がいなくなった直後から行動が変化したように見えた。
『ところで、属性封印って何ですか?』
「はい?」
紅蓮くん。
あれ?
オレってば、何も話していないんだっけか?
「封印術って話していなかったかな?」
『封印術?間違いなく聞いてないですよ?』
『まあまあ、朝まで時間もある事だし、村に戻ってからゆっくりお喋りしましょ?』
『その棍棒といいどうなってるんだか』
そこはツッコミなしでお願いしたい。
武器を使いたいから技能取得したとか、何か恥ずかしいじゃないの!
朝の5時まで、村の外れで宴は続いた。
封印術は、まあいいそうです。
問題は称号の方らしい。
ウェポンエキスパート。
そしてバトルホリック。
マルグリッドさんなどは爆笑してましたけど?
戦闘狂じゃないですから!
朝になるまで、召喚モンスター同士の対戦モードに応じながら時間を潰した。
無論、お喋りしながらなんですが。
どうも与作と東雲あたりの挙動が怪しい。
戦いたがってる、そんな気がする。
ところで。
マルグリッドさんのクッションと化している獅子吼とヴォルフなんですが。
お前等。
ご主人様の名前を言ってみ?
時刻は午前6時。
戦鬼を対戦モードから戻した時点で食事の時間となりました。
朝食はアデルとイリーナが提供してくれたものである。
そしてテロメアは帰還させる。
その瞬間、サモナー達の間から拍手が。
手を振って応えるテロメア。
うむ。
まあいいお披露目になったかな?
今後、スケルトン、ミストといった召喚モンスターが増えてくれる事に期待したいですな。
ミーティングを終えるとサキさんに声を掛けられた。
「出来上がったわよ?」
「そうですか。でもテロメアは帰還させちゃってしまっていて」
「では先に渡しておくけど。中々、いい装備になると思うわ」
机の上に並んだ革装備。
それはオレが装備してあるものよりもやや小さいようだ。
但し、革鎧の形状は女性用独特の形状を保っている。
「革鎧に額当て、ブーツだけになるけど、前衛でも十分な装備になると思うわ」
「はい」
うむ。
前衛、ですか。
確かに前衛でも戦えそうなのが怖い。
戦闘スタイルとしては後衛だと思うのですが。
盾も持っているのだし、気にしなくていいのか?
【防具アイテム:革鎧】狂野兎の革鎧+ 品質C+ レア度4
Def+10 重量5 耐久値220 破壊力低減-1
狂野兎の皮製の鎧。やや厚手でありながら非常に軽い。
破壊力の低減効果がある。
[カスタム]
全面に邪蟻の甲を用いており、防御点と耐久性の向上を得た。
【防具アイテム:ブーツ】狂野兎のブーツ 品質C+ レア度4
Def+3 重量1 耐久値130 破壊力低減-1
狂野兎の皮製のブーツ。非常に軽く出来ている。
【防具アイテム:額当て】沈黙獺の額当て+ 品質B- レア度3
Def+3 重量0+ 耐久値100 沈黙回避[小]
沈黙獺の皮で作られた額当て。
沈黙の状態異常を回避する効果が付与されている。
[カスタム]
額部分に邪蟻の甲を用いており、防御点と耐久性の向上を得た。
いいんじゃないか?
特に額当ての沈黙に対する抵抗力が向上するのはいいな!
リックに精算して貰いながら雑談してたんですが。
どうも今日の遠征にはかなりの人数が参加するようだ。
パーティの数で200を超える見通しなのだとか。
まあね。
数は多いほど、いいし文句はない。
魔物の群れの規模にもよるが、数が多いのはいい事だ。
霧の泉の戦力も加えるならば、連携次第でもっと有利になるだろう。
「貴方も行くんでしょ?」
「まあお祭りみたいなものですから。参加しないと損ですねえ」
「そうね。実は私も行くのよ?」
「えっ」
「お祭りには参加したくなる性質なのよねえ」
なんとまあ。
参加するパーティはもっと増えそうな予感がする。
サモナー達が集まる一角では既に戦闘準備が進んでいた。
無論、移動を重視した布陣となる。
オレも切り替えていこう。
ヴォルフ、残月、ヘリックス、リグ、ヘザーとした。
どうしてリグが、と言えば後ろにリックを乗せるからなんですけどね。
「馬上で二人乗り?」
「そうか、スライムがいたら安定するのか」
「これは盲点」
「是非とも見習わないといけないな」
「マーメイドと一緒に馬でも旅が出来る!」
駿河と野々村は何やら呟いてますが。
2人とも。
後ろだ、後ろ!
此花と春菜が凄い目付きで睨んでますよ?
「フィーナさん達は今日が移動日で、私達は偵察と補給、ですね」
「霧の泉の開放戦は明日になるだろうな」
「まずは補給からだね!」
イリーナもアデルもやる気満々だな!
そう。
今日、本隊は移動だけになる予定だ。
そしてサモナーで編成された別働隊にはある任務がある。
霧の泉に留まっているプレイヤーへの補給だ。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv22
職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv8
ボーナスポイント残 6
セットスキル
剣Lv8 両手槍Lv8 棍棒Lv7 刀Lv7 捕縄術Lv7
杖Lv17 打撃Lv14 蹴りLv14 関節技Lv14
投げ技Lv14 回避Lv14 受けLv14
召喚魔法Lv22 時空魔法Lv12 封印術Lv6
光魔法Lv13 風魔法Lv13 土魔法Lv13 水魔法Lv13
火魔法Lv13 闇魔法Lv13 氷魔法Lv11 雷魔法Lv11
木魔法Lv11 塵魔法Lv11 溶魔法Lv11 灼魔法Lv11
錬金術Lv10 薬師Lv8 ガラス工Lv6 木工Lv9
連携Lv16 鑑定Lv15 識別Lv16(↑1)看破Lv4 耐寒Lv8
掴みLv12 馬術Lv12 精密操作Lv15 ロープワークLv7
跳躍Lv7 軽業Lv7 耐暑Lv8 登攀Lv8 平衡Lv8
二刀流Lv13 解体Lv11 水泳Lv6 潜水Lv5
ダッシュLv4 耐久走Lv4
身体強化Lv12 精神強化Lv13 高速詠唱Lv13
魔法効果拡大Lv12 魔法範囲拡大Lv12




