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211

 時刻は午前11時を過ぎた。

 そろそろかな?

 先行していたアデルが前方から戻ってくるのが見えていた。

 ちゃんと迎撃体制は出来ているかな?



『フィーナさんとの連絡終了!このまま南へ!』


『後続も変わらず付いてきてます』


「よし、アデルが先導で。イリーナも続け」


『キースさん?』


「最後尾は任せろ」


 群れ先頭の槍の間合いギリギリに位置して呵責の捕物棒で突きを放ち続ける。

 オレの目にもプレイヤーの戦列が見えてきた。

 様々な盾がズラリと並んでいる。

 その真ん中が開くとアデルとイリーナが通り抜ける。

 オレもあそこに行かないと、な。


 一気に残月の速度を上げる。

 逃がすまいと追い掛けてくるケンタウロス達。

 食い付いた。

 後はフィーナさん達次第か?



 オレ達が戦列の中へ飛び込むのと同時に。

 鳴り響いて聞こえていた呪文詠唱が途絶えた。

 一拍か二拍かの溜め。

 次の瞬間、いくつもの呪文が一気に炸裂した。


 ピットフォール。

 場所を少しずつズラして重ねているのか?

 ケンタウロスの群れの先頭が一気に姿を消してしまった。



『キースさん!ユニオン申請受理を!』


「了解」


 仮想ウィンドウに点滅する申請画面を拡大、ユニオンを組む。

 フィーナさん達の指揮する声が響いてきた。


『次!矢の一斉射撃カウント3!』


『両翼前進!半包囲へ!』


『槍は穴の中の連中の止めを刺せ!』


『ピットフォールがそろそろ解除になるぞ!前衛構え!』


『突撃は任意だが個人で突出するなよ?手近な者と組め!』


 うわお。

 戦争だ。

 まさしく、戦争の様相を見せていたのでした。



 戦列の最後衛に抜けたら回りこむように移動しながら戦況を見る。

 オレ達はどうすべきか?

 決まっている。

 討ち漏らすのは良くない。

 ケンタウロスの群れの後続から逃げ出す奴がいるようなら追撃でもしようかね?



『精霊が前線に出るぞ!前衛盾は一旦突撃停止!』


『回復を!』


『弓矢の一斉射撃準備!カウント3!』


『槍持ちの突入準備よし!』



 ケンタウロスの群れは先頭から急速に数を減らしていく。

 これは凄い。

 全体攻撃呪文があちこちで炸裂している。

 じっくりと観戦したいです。

 実に、派手だ。



『キースさん、このまま包囲に加わりますか?』


「群れの逃げ道を遮断する位置へ。逃げる奴がいるだろうからな」


『敗残兵狩りですね!』


「そうだな。獲物としては物足りないかもしれないがいいか?」


『問題ないです』



 戦列はケンタウロスの群れを徐々に押し包むように形を変えつつある。

 さすがにケンタウロスも状況を察して逃げ出す奴がいるだろう。

 フィーナさん達でケンタウロスを追撃するには機動力の差が大きすぎる。

 そこはオレ達がやりましょうかね?




 結局、ケンタウロスのうちの何頭かは散り散りになって逃がしてしまいました。

 でもまあ戦績は良かったんじゃないかな?

 結局、この戦闘で魔人の姿は見る事はなかった。

 もしかして、取り逃がしたのか?

 そうであれば残念であるが。



《只今の戦闘勝利で【両手槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【塵魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【平衡】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『黒曜』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 まあ色々と上がってくれないと困るよね?


 では。

 黒曜のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。

 もう1点のステータスアップは精神力を指定する。



 黒曜 ミスティックアイLv5→Lv6(↑1)

 器用値 14

 敏捷値 23(↑1)

 知力値 22

 筋力値 14

 生命力 14

 精神力 22(↑1)


 スキル

 嘴撃 無音飛翔 遠視 夜目 奇襲 危険察知 天耳

 水属性



 まあこんな所だな。

 アデルとイリーナも色々とレベルアップしているようだが。



『ここで一旦休止、昼食とします。ユニオン状態のままインスタント・ポータルを使用して下さい!』


『各パーティでステータスペナと死に戻りの被害報告はハンネス宛で連絡願います!』


『各員ログアウト推奨、パーティメンバーのログイン確認はリーダーがそれぞれ管理願います』


『パーティメンバー欠員は再編成を行います!フィーナまで連絡を!』


『出発予定は午後0時30分とします。連絡は以上!』



 ほう。

 ここで区切りますか。


「私もインスタント・ポータルを使うがいいのかな?」


『ユニオン状態でなら相互に共有出来るので問題ありません』


『結構、便利ですよねー』


 そう言うとアデルもイリーナも呪文詠唱を始める。

 え?

 彼女達もインスタント・ポータルを使えるようになっていたのか?


『キースさんもどうぞ』


『気にせず使っちゃっていいと思いますよ?』


 ふむ。

 そうさせて貰おうか。


 インスタント・ポータルの範囲は実に広いものになっているようだ。

 全員を収納してもかなり余る。

 ユニオンの効果も中々のものになっているようです。






「あら、お疲れ様」


「まだ終わってないですよね?」


「ええ。ここからが本番でしょうね」


 何やらフィーナさんは忙しそうだ。

 食事も携帯食で済ませているようだし。

 レイナ曰く、再編成をしているそうです。

 うん。

 邪魔しちゃいけないな。



 それにしても。

 アデルとイリーナの召喚モンスターが変化しているようなんだが。

 アデルの傍にいる黒い狼は初見だな。

 それにイリーナの肩に止まる鷹は明らかに大きくなっている。


 クラスチェンジしたみたいだ。


「くろちゃんは予定通りにブラックウルフになりました!」


「スカイアイはバトルホークにしました」


 ほう。

 で、その顔は何だろう?

 ああ。

 融合識別ですか?




 まだ融合識別をしていない個体もいるので試してみたんですが。

 いきなり謎な存在に当たりましたよ?



《融合対象となる召喚モンスターです。もう1体同一の召喚モンスターが必要です》

《融合対象となる召喚モンスターです。もう1体召喚モンスターが必要です》



 それはブラックウルフのくろちゃんなのでした。


「ブラックウルフは2通り融合が出来そうなのかな?」


「それにもう1体、しかも同一の相手が必要なんですか?」


「おーちゃんを育てなきゃ!」


 うーむ。

 なんとなくだが想像出来てしまう。

 アレ、じゃないかな?

 もう片方は分からないが。

 まあそれはいずれ判明するだろう。

 次に行こう。



《融合対象となる召喚モンスターではありません。クラスチェンジが必要です》



 バトルホースのローテカイザー、バトルホークのスカイアイが引っ掛かった。

 後は残月と同様、ホワイトホースのまーちゃんも引っ掛かっている。

 うむ。

 鷹はファイティングファルコンもバトルホークもクラスチェンジ先で融合対象になるようだ。

 これ、確認するのって大変じゃないかね?



《融合対象となる召喚モンスターではありません》



 ピクシーは融合対象に非ず、か。

 フェアリーで融合出来るのと対照的だ。




「確認、ありがとうございます!」


「先にログアウトしてきますね」


「おお、行ってらっしゃい」


 そうそう。

 ここからが本番か?

 準備万端で臨みたいものだ。

 で、オレはどうする?

 ポーションとマナポーションの補充でもしておこうかね。





「戻りました!」


「おお、お帰り」


「早速、新しい召喚モンスターを追加しますよー!」


 おお。

 そう言えば召喚魔法がレベルアップしてたんだっけ?



「フェアリーのふぇーちゃんでーす!」


「インプ狙いか?」


「勿論!」


 実に分かり易いですな。

 で、イリーナもいつの間にかログインしてきましたよ?


「じゃあ私も」


「何にするのかな?」


「分かり易いと思います」


 そして召喚されてきたのはミストです。

 確かに分かり易い存在だ。

 だが今は昼間です。

 すぐに帰還させるようです。



「名前は妙幻にしました」


「ふむ。そうなると次はスケルトンになるのかな?」


「先にコウモリにするかもしれませんけど、いずれ間違いなく召喚する予定です」


 成程ね。

 アデルもイリーナも狙っているようだ。

 キメラにインプ。

 そしてイリーナはバンパイアも狙うのだろう。

 頑張れ!

 先は長いけどな!





 召喚モンスターの融合組み合わせの予想で話題が盛り上がってしまった。

 いかんな。

 これからが本番だというのに。


 だが時間は待ってくれない。

 出撃の時が迫っていた。





 改めてユニオンを組み直す。

 仮想ウィンドウで共有化された情報が流れていく。

 簡単な戦闘報告だ。

 読み合わせをしながら戦闘方針が説明されていった。

 あのパンツァーライノやマイナーグリフォンの情報もあった。

 それに魔人もだ。



『村の戦力も糾合済み、こちらの到着と併せて戦場に投入されます』


『今度はこちらから戦闘を仕掛ける形です。最優先で狙うのは、魔人です』


『推測ですが、この魔物襲来イベントのクリア条件と思われます』


 ふむ。

 まあ分かり易い記号になってたしなあ。


「あ、ここまでの情報提供は私達がやっておきました!」


「すみません。でも必要だと思いましたので」


「いいさ。私だと気が回らないからなあ」




 再びプレイヤーの集団が動き出す。

 つか完全に軍勢です。

 今度は迎撃ではなく攻勢に出る訳だ。

 なんだか肉食獣の群れのようにも見えます。

 実際、ケンタウロスの群れ以上の戦力の筈である。


 オレ、そしてアデルとイリーナは引き続き騎乗戦になる。

 つまりは別働隊になる訳だ。

 遊撃?

 まあそうなのだが、それで終わらせるつもりはない。

 牽制しながらも隙あらば魔人の首を獲る。

 大将首は狙ってみたい。



「では、狩るか」


「無茶はしませんよね?」


「キースさんの場合は基準が違い過ぎ!」


「無理も無茶も無駄も好きじゃないぞ?」


「えっ」


「えっ」


 待て待て。

 その反応はどういう意味だ?


「今までもそんなに難しい事を強要したつもりはないんだが」


「えっ」


「えっ」


 はい。

 これ以上は止めておこう。

 うん、そうしましょう。

 地雷な気がします。



 陣容を確定するとユニオンを組んで出発する。

 一旦、村の周囲を一周するつもりだ。

 北側からも30ほどのパーティが村へと進撃する予定もある。

 場合によっては支援をする事になるかもしれない。



 ケンタウロスの群れは?

 さすがに数を減らしているようだ。

 包囲の輪もやや緩く見える。


 それでも群れに突っ込むのは躊躇するような規模だ。

 まあ自重しないと、な?


 魔物達に気付かれない様に村の周囲を回っていく。

 コール・モンスターで確認すると、ラプターがまるでいない。

 フロートアイも極僅かだ。

 アンガークレインも非常に少ない。

 嵐の前の静けさかね?






『いました!北から向かっているパーティの集団です!』


『事前連絡の通りみたいね』


 村の北側で目標となる集団が見付かった様だ。

 予定通り、か。

 だがそれだけじゃなかったようです。



『アデルちゃん!掲示板組も来たみたいよ?』


『あれ?早くない?』


「何だ?」


『援軍ですよー!』


『サモナー限定ですけど』



 それはいつか見た事のある風景。


 サモナー達による騎馬軍団だ。




 馬首を揃えて並んでいく。

 騎乗している馬の数だけでも30頭以上。

 鷹と梟もそれぞれ20羽以上。

 狼も20頭近くいる。



 アデルとイリーナに寄り添うように2人のサモナーが並ぶ。

 此花、それに春菜だ。

 ユニオン申請も来ている分は纏めて認証しておく。

 つか何で来ているんだ?



『間に合った?』


『なんとか、ね』


『召喚モンスターを愛でるいい機会だしねえ』


 なんだ、それ?

 春菜がオレの方を向くと目礼して問いかける。


『イベント参加希望の有志って事で』


『その実、新しい召喚モンスター見たさに来ている、というのが多いんですけど』


『それで?私達の役目は何になりますか?』


 ああ、もう。

 誰が何を喋っているんだか、分からなくなりそうだ。



「機動力を活かして狩りだな。そう変わった事をする訳じゃないな」


『了解です』


『では』


『付いていきます!』



 増えちゃった。

 サモナー軍団が出来ちゃった。

 30パーティを少し超える規模ですけどね。


 まあ、どうにかなるだろうさ。

 数が増えた分、やれる事も大きくなった訳だしな。

 前向きで行こう。


『遊撃、ですよね?』


「ああ、遊撃で変わらないよ?」


『ですよねー』


 そう。

 遊撃、ですから。

 ある程度、自由にやらせて貰いますよ?





 村を一周、戦力を見極めた所で魔物の群れに動きがあった。

 南側へと移動している。

 そしてその先に何が?


 それは2つの大群の激突だった。

 1つはフィーナさん指揮下のプレイヤーの軍勢。

 もう1つはケンタウロスを中心にした魔物の群れだ。

 頭数では魔物が圧倒している。

 その上、魔物にはまだ後続の戦力がいる。

 個々で見たらプレイヤー側の戦闘力の方が上なのは明らかではあるのだが。

 機動力だけで言えばケンタウロスの方が上だ。


 さあ。

 どうする?

 まあ最初から決まっているんですけどね。



『キースさん、どうします?』


「どうすると思う?」


『なんとなくわかっちゃうのが不思議!』


 狙いは?

 ケンタウロスの機動力を封じる事が出来れば最高だ。

 いや、分断するだけでもいいかな?

 一瞬、足を止めるだけでもいい。

 混乱さえしてくれたら自然と足は止まるだろうな。


 相手の長所を潰す。

 短所をしつこつ衝く。

 嫌がらせって奴は実に楽しいな!



「魔物の群れの側面へ突撃。そのまま突破だな」


『無茶に聞こえないのが不思議!』


 アデルは楽しそうでいいな。

 所詮はゲームなのだ。

 楽しめた者の勝ちって奴かね?



「では、行くか」


『はい!』


『後続、遅れないでね!』


 援軍に来ているサモナーを指揮するのは此花と春菜に任せておくとして。

 獲物を見定めよう。

 では。

 突撃、開始だ。




 突撃目標は群れの中段辺り。

 騎馬の群れを先導するように狼達が突撃を敢行していく。

 続いて上空から猛禽類の群れが襲来。

 左右に向けて様々な呪文が飛び交っていく。

 虚を衝かれたのか、反撃らしい反撃はない。


 混乱した群れの一部へ楔を撃ち込む。

 そして。

 一気に群れの帯を分断していった。

 その跡には混乱する魔物が残されていく。


 襲う立場から襲われる立場へ。

 今度はケンタウロスの群れから追い掛けてくる勇者がいる。

 壁呪文がいくつも展開されて迎撃。

 あっという間に仕留められている。



「反転!」


『了解!』


『もしかしなくても、再突撃?』


「当たりだ」


 魔物の群れの一部に混乱が生じた。

 先鋒はフィーナさんの戦力と激突中だ。

 魔物の後続は足を止めてしまい、援軍になっていない。

 うん。

 それで、いい。

 実際、オレ達が仕留めたケンタウロスの数は大したものではない。

 結果的に各個に撃破出来れば十分なのだ。



「大体、感じは掴めたかな?」


『ツッコミは戦闘後にでも!』


「じゃあ早速、第二波と行こう」


『ええー!!』


 鷹とフクロウの群れが左右に拡がる。

 低空飛行でケンタウロスの群れに突っ込んでいく。

 矢も幾つか飛んでいるが、混乱しているのか狙いが定まっていないようだ。

 ヘリックスは風の刃も使っている。

 黒曜も水の針を撒き散らしていた。

 いいぞ。

 もっとやってやれ!


 残月を先頭に騎馬の群れが再び突撃を敢行する。

 それを先導するのは狼の群れだ。


「ガァァァァァァッ!」


「ヴォォッ!」


「グラァッ!」


 狼達の吠える声が鳴り響く。

 足を止めるケンタウロスが続出した。

 もうね。

 狙い目ですな。


 全体攻撃呪文を中心に使いまくりです。

 七面鳥撃ち?

 ちょっと、違うな。



 そんな突撃を更に3回、繰り返しただろうか?

 一旦、停止。

 サモナーの死に戻りはなし。

 召喚モンスターにも死に戻りはないようだ。

 召喚モンスターもステータスペナルティを喰らっているのが数匹いたが。

 交代で召喚モンスターを加えるのを待って、と。


 魔物の先鋒部隊は既に全滅しているようだ。

 後続のケンタウロスは未だに混乱したまま。

 だがそこに整然と現れた魔物がいる。


 パンツァーライノだ。

 50頭以上、いるだろうな。



『あれってどうすれば?』


「手はあるさ」


 それにパンツァーライノの群れの中に魔人もいるようです。

 ケンタウロスに騎乗している奴だ。

 ついでに踏み潰してやろうか?



 で、フィーナさん達の様子はどうか?

 混乱するケンタウロスに槍持ちが並んで突進。

 盾を並べて前進するのを待って再突撃を繰り返しているようだ。

 後衛から弓矢が一斉に浴びせられている。

 何匹も盾の列を突破しようと試みるが、呪文に阻まれてしまい死屍累々である。

 着実ですな。

 たまに攻撃特化の戦士が盾の隙間から飛び出して、魔物を薙ぎ倒しているんですが。

 斧の一発でケンタウロスが沈んでたりするんですけど。


 戦鬼が斧を持って戦ってるような幻影を見た。

 気のせいだ、気のせい。



「サイの群れを狙う。仕留める事は考えなくていい」


『え?』


「ソーン・フェンスを使う。ピットフォールもアレには有効だ」


『は、はい!』


「呪文による攻撃は状態異常を伴うものを中心に。全体攻撃呪文じゃなくてもいい」


『了解!』


「恐れるな!馬の方が足は圧倒的に速い!時間さえ掛けたらちゃんと沈められる!」


『ヤァ!』


『ラジャー!』


『了解!』


「矢はまだあるな?ケンタウロスに乗った魔人がいる。優先して狙え!」


 何だろう、ノリが良くなってきたかな?

 余裕が全くないよりかはいい雰囲気だ。



『準備完了!整列済みです!』


『いつでも行けます!』


「よし、恐れるな!腹の底から声を出せ!」


『応ッ!』


「では、続けっ!」


 再び残月を駆って突撃を敢行する。

 今度はサイが相手だ。



 ヘザーが広角に雷撃を浴びせ、そこにヴォルフ達が突っ込んで行った。

 無論、足を止めて攻防に付き合う必要はない。

 統制を乱せばそれでいいのだ。


「ソーン・フェンス!」


 茨の壁がサイの突進を阻む。

 脚が宙に浮いてしまうとその突進は止む。

 ここまでは簡単だ。

 ワールウィンドとエネミー・バーンを重ねて叩き込んで、ようやく瀕死になってくれました。

 オレは?

 呵責の捕物棒で数発突いていくだけだ。

 是非などない。



 後続のサモナー達が次々と攻撃呪文を周囲に撒いて行く。

 激怒するサイだが、当然ながら追いつくような速度は出ない。

 手近にいるプレイヤーを襲おうとするが、逃げる事を前提としているのだ。

 回避するのは難しくはない。

 オレは殿に位置した。

 ソーン・フェンスを駆使して何頭かのサイは仕留めている。

 だがオレの視線の先にサイはいない。


 魔人だ。

 矢が何本も突き刺さっているのが分かる。

 HPバーが半分を割り込んでいるんだが。

 まだまだ意気軒昂といった所だろう。

 サイと速度を合わせて最後尾にいるオレに襲い掛かってこようとしている。

 その意気や良し。


 でもね。

 真正面からぶつかる選択は当然ない。


「ピットフォール!」


 サイの群れの先頭は落とし穴に次々と嵌まってくれる。

 そして後続も急には止まれない。

 ついでに魔人も騎乗しているケンタウロスごと穴に落ちていく。

 なんとまあ。

 単純に嵌まり過ぎ!


 穴の向こうでは迂回して迫っているサモナーの群れが見えた。

 加えてフィーナさんの指揮する戦列も迫っている。

 盾の隙間から何十名ものプレイヤーが飛び出してサイに襲い掛かっていた。

 完全に挟撃されたサイは見る見るうちにその数を減らしていく。


 穴の中はどうするか?

 槍持ちのプレイヤーが蠢くサイに向けて突きまくりです。

 おっと。

 オレも突っ立ってないでサイを狩りに行こう。

 穴の中の連中は任せた!



 で。

 あっけなく魔物の群れは全滅した。

 南側に来た連中だけ、であるが。



《只今の戦闘勝利で【精神強化】がレベルアップしました!》



 うむ。

 レベルアップがあっただけ良しとすべきなのか?



『魔物はまだ村の周囲にいます!気を抜かずに!』


『村の周囲から魔物を排除します!このまま前進!』



 フィーナさんの号令が聞こえる。

 うむ。

 ここまで、成功と言っていいのだろう。

 プレイヤーの戦列はそのまま北へとゆっくり移動していく。


 時刻はまだ午後2時20分といった所だ。

 まだまだ先がある。

 サモナー達もまた北へと進軍するのであった。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv22

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv8

ボーナスポイント残 6


セットスキル

剣Lv8 両手槍Lv8(↑1)棍棒Lv7 刀Lv7 捕縄術Lv7

杖Lv17 打撃Lv14 蹴りLv14 関節技Lv14

投げ技Lv14 回避Lv14 受けLv14

召喚魔法Lv22 時空魔法Lv12 封印術Lv6

光魔法Lv13 風魔法Lv13 土魔法Lv13 水魔法Lv13

火魔法Lv13 闇魔法Lv13 氷魔法Lv11 雷魔法Lv11

木魔法Lv11 塵魔法Lv11(↑1)溶魔法Lv11 灼魔法Lv11

錬金術Lv10 薬師Lv8 ガラス工Lv6 木工Lv9

連携Lv16 鑑定Lv15 識別Lv15 看破Lv4 耐寒Lv8

掴みLv12 馬術Lv12 精密操作Lv15 ロープワークLv7

跳躍Lv7 軽業Lv7 耐暑Lv8 登攀Lv8 平衡Lv8(↑1)

二刀流Lv13 解体Lv11 水泳Lv6 潜水Lv5

ダッシュLv4 耐久走Lv4

身体強化Lv12 精神強化Lv13(↑1)高速詠唱Lv13

魔法効果拡大Lv12 魔法範囲拡大Lv12


召喚モンスター

黒曜 ミスティックアイLv5→Lv6(↑1)

 器用値 14

 敏捷値 23(↑1)

 知力値 22

 筋力値 14

 生命力 14

 精神力 22(↑1)

 スキル

 嘴撃 無音飛翔 遠視 夜目 奇襲 危険察知 天耳

 水属性

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― 新着の感想 ―
ここでサモナー軍団の結成。 そしてどんどん常識を焼かれてヤバい集団になっていくんだよね。
武勇に長け的確な指示が出せるサモナーさんは優秀な現場指揮官ですね。 胆力もあり戦場勘もある…戦国時代に生まれていたら良い将になったでしょう
[良い点] 完全に傭兵団とかそういうたぐいの軍隊じゃん
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