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ログインした。
時刻は午前11時ちょうどである。
もう、昼じゃないですか!
多分、昨日は連続ログイン最長だったのでは?
日付は今日になっちゃうけど。
《フレンド登録者からメッセージが3件あります》
ほう。
ラムダくん、アデル、イリーナからでした。
ふむ。
文楽を召喚して料理をさせておいて、と。
ゆっくりメッセージを確認しましょうかね?
まずはラムダくんのからだ。
『お元気ですか?復讐の方は情報集めで苦戦中ですが、ボチボチ進めてます』
ほほう。
まあ順調すぎてもアレだけどな。
『サモナーでPK職をやっているプレイヤーを【看破】しました。データは添付しておきます』
え?
サモナーで、PK職?
まあいてもおかしくはないんだろうが。
添付データを一旦保存してから仮想ウィンドウで見てみる。
職業、ブラックサモナー。
種族レベルは9ですか。
本名はレオノーラ。
女性じゃないか!
確認できている召喚モンスターはウルフ、フクロウ、タイガーだけか。
外見も送って貰っているけど【変装】されていたら見抜けるかどうか、自信はない。
つか最近、PK職の連中に遭遇していないのだ。
もしかして、避けられているのか?
うん。
優しく対応してあげるのに。
PK職の誰でもいいから襲ってくれないかなあ?
おっと、次だ。
アデルのメッセージは?
『召喚魔法がレベルアップして新しい仲間が増えました!赤狐でふぉーちゃんです!』
ほほう。
赤狐2匹目か。
金と銀、両方を揃える気だな?
読めていたさ!
添付されたスクリーンショットは赤狐2匹と戯れるアデルだ。
つかどんだけ獣好きなのかとツッコミたい。
それはイリーナに任せておこう。
で、そのイリーナですがね。
うん、予想はしてました、
『召喚魔法がレベルアップしたので追加です。フェアリーのシャーリーです』
お前もか。
まあクラスチェンジ先を2つとも持っておきたい気持ちは分かる。
痛いほど、分かるんだがね。
添付されているスクリーンショットを見たらもうね。
2人とも満喫しているようで結構ですな。
文楽の作ってくれた食事はパンにスープ。
簡単なメニューだが量は多い。
朝昼兼用の食事だし、多くてもいいのだろうが、あっという間に食い尽くした自分に驚いた。
早飯は良くないと思うのですがね。
美味い飯がいけないのだよ!
では出立しよう。
本日最初のメニューは?
不動明王に従う立像は8体。
そのいずれにも挑む事ができる訳だが。
一通り、戦ってみよう。
で、陣容をどうするか?
戦闘を展開するには狭い場所だ。
黒曜やジーンでも飛び回るのに向かないのは明らかだな。
むしろ機動性の高い召喚モンスターも向かないかな?
底上げを図るのもいいが、最初から戦力を下げるのも好ましくない。
うん。
実に悩ましいな。
前衛はジェリコ、護鬼、レーヴェで。
支援で瑞雲、ヘザー。
これで行こう。
不動明王の坐像の左隣から行って見ようか?
矜羯羅童子、その右目に浮かぶ文字は『智』である。
最初に戦う相手には?
勿論、全力で。
呪文での強化は忘れずにしておきましょう。
では、像に触ってみよう。
《矜羯羅童子に挑みますか?》
《Yes》《No》
ここは当然、《Yes》を選択する。
《制多迦童子が追加で参戦します。矜羯羅童子に挑みますか?》
《Yes》《No》
うぉい!
増えるのかよ!
しばし、止まってしまった。
だが悩む事でもない。
金剛力士や牛頭と馬頭とだって戦っているんだし。
ここは《Yes》で。
さあ。
来なさい!
矜羯羅童子 Lv.7
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 風属性
制多迦童子 Lv.7
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 火属性
護法?
それにかつて護鬼のクラスチェンジ先に護法ってあったよな?
それはさておき。
1対の童子を見比べてみる。
矜羯羅童子は合掌した手に独鈷杵を持っていた。
肌は白く、若い子供のような容姿。
軽装だ。
制多迦童子は右手に杖、左手に持つのは三鈷杵のようだ。
肌は赤く、その表情は怒りに満ちている。
髪は完全に逆立っているんですが。
うん。
深夜にバイクで走り回っているんじゃなかろうね?
おっと。
そんな場合じゃなかった。
矜羯羅童子の独鈷杵から風の刃が伸びる。
制多迦童子の三鈷杵からも炎の刃が伸びていた。
おお!
金剛力士を思い出す。
さあ、金剛力士とどっちが強いのか?
「練気法!」
オレは矜羯羅童子の相手をしよう。
うむ。
結構美男子ですな。
でも手加減はナシで。
その剣先は?
鋭い。
上段から振り下ろして、薙ぐ。
そして突く。
どうにか間一髪で避けてはいる。
攻撃は正確だ。
正確であるが故に読み易い。
後の先が簡単に取れます。
まあ呪文で強化してある効果もあるのだろう。
呵責のトンファーが面白いように当たる。
しかもカウンターでだ。
なかなかの美男子なのがいけない。
思いっきり側頭部に、後頭部に、叩きつける。
遠慮?
そんなものは、ないのであった。
結論。
十二神将よりも弱いみたいです。
無論、金剛仁王には及ばない。
パワーよりもスピードに勝るタイプらしいが、正直物足りないのです。
様子を見ながらだったので秒殺とは行かなかった。
でも制多迦童子は秒殺です。
無残。
そして何もアイテムは残らないという罠。
無残。
では次だ。
呪文の効果時間は半分も減っていない。
どんどん行け!
《阿耨達童子に挑みますか?》
《Yes》《No》
うん。
またペアですかね?
《恵光童子と清浄比丘童子が追加で参戦します。阿耨達童子に挑みますか?》
《Yes》《No》
増えた!
今度はトリオが相手なのか?
阿耨達童子 Lv.7
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 風属性
恵光童子 Lv.7
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 水属性
清浄比丘童子 Lv.7
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 土属性
阿耨達童子は独鈷杵を持っている。
だが視線はそこに行かない。
派手だ。
肌は金色、そしてまるで蛇のような奴に騎乗している。
いや、龍かな?
これは警戒すべきだ。
恵光童子は右手に三鈷杵を持つようだ。
肌色、そして表情はキリリと引き締まっている。
ちょっとお怒りの様子ですかね?
清浄比丘童子はお坊さんです。
右手に持つのは五鈷杵かな?
口から尖った牙が見えるんですけど。
人間じゃないならそれもアリかな?
では。
戦いましょう!
増えた分、手強くなったか?
確かに。
増えたから手強くはなりましたよ?
それについて否はない。
阿耨達童子の乗る龍も攻撃を加えてくるのですがね。
龍は黒縄で縛り上げたら簡単に無力化しちゃいました。
え?
こんなに簡単でいいの?
恵光童子はもっと酷い。
いや、酷いのはレーヴェですけど。
レーヴェは右足首に噛み付いたまま恵光童子を引き摺り回してます。
その手には武器はない。
楽しそうだな、オイ!
清浄比丘童子はどうだったのかは未確認です。
気がつけば仕留められていたんですもの。
分かりませんでしたよ。
恵光童子も最後はジェリコに踏み潰されて終了である。
無残。
そして何もアイテムを残さないのも同様か。
こうなったら8童子を全て戦ってやろうじゃないの!
だって呪文の効果時間がまだ余っているのですよ。
恵喜童子・護将 Lv.3
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 水属性
烏倶婆伽童子・護将 Lv.3
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 火属性
指徳童子・護将 Lv.3
護法 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 土属性
うん?
少し強くなりましたか?
恵喜童子・護将は右手に銛を持つようだ。
いや、三叉戟と言うべきかな?
肌は赤く、その表情は優しげである。
烏倶婆伽童子・護将は右手に独鈷杵を持つ。
肌は黄金、そして表情は憤怒そのものである。
おっかない。
その分、期待はあります。
そこそこに強くあって欲しいものです。
指徳童子・護将も右手に三叉戟を持つ。
恵喜童子・護将と被ってるよ!
だがこいつは鎧兜を装備している。
完全装備ですな。
こいつはオレの獲物にしよう。
そうしましょう。
では。
戦ってみよう。
どうもクラスチェンジしたっぽいので慎重にいきたい。
慎重に?
そんな暇なかったです。
ちゃんと強くなれるではないか!
見直した!
でも何もレベルアップしなかったので出直しで!
今のレベルであれば呪文の支援はなくてもどうにか出来そうではある。
ジェリコは液状化を使ったようでダメージは無かった。
護鬼、レーヴェはそこそこダメージを喰らっているようである。
もう少し上だと苦戦し始めそうだ。
そしてイベントは?
ない。
その代わりにアイテムが残っているようですが。
変性岩塩(聖)でした。
あれえ?
思ってたのと、違う!
気を取り直して、と。
呪文の効果が切れそうです。
もう一周。
そう、もう一周、戦ってみよう。
もっと違う物が残るかもしれないし。
もう一周してみました。
やはり3連戦、そして8名の童子を倒すとアイテムが拾えるようになるようだ。
属性はランダム、レベルも一定しないようです。
で、拾ったのは?
魔石です。
あれえ?
劣化、したよな?
オレの感覚では劣化である。
うむ。
納得いかないな!
オレは懲りない男なのかもしれない。
もう一回。
そう、次こそは大当たりかもしれないじゃないか!
一周してみました。
概ね、傾向は掴めてきたかな?
この8体の童子とはどう選択しても3連戦になる。
8名の童子を全部倒しきらないとアイテムは残さない。
1体を連続で選択できない。
ランダムで選ばれた1体を相手したくとも、連続で挑むのは無理。
属性はランダム、レベルも一定しない、これも確実だ。
むう。
どうにかならないか?
最後に戦った童子は清浄比丘童子と制多迦童子でした。
レベルは2である。
拾ったのは魔石です。
どうも3連戦の最後で戦った童子のレベルが低いのがいけないのかもしれない。
検証しよう。
いや、レアアイテムがないか、知りたいというのもありますけどね!
4周目です。
結果は?
魔石です。
これはダメかもしれない。
呪文で支援したのがマズかったか、と思いナシでトライしてみたのですが。
ダメージを余計に喰らっている分、失望感が半端ない。
移動しよう。
そもそも、東方面に来た理由は?
あの水魔草に再挑戦するためではなかったか?
よし。
思い出したぞ!
いや、忘れ去っていた訳ではないんですがね。
港町に戻ろう。
称号を得ているから他のマップの海岸線にも行ける。
そこにどんな奴がいるのか、雑談の中で情報は仕入れてあった。
海には何がいる?
カニがいる。
ウミヘビもいるが、食材を落とす魔物もいるそうだし。
後は真珠も持っている魔物もいるそうだが【潜水】を鍛えていないと無理らしいが。
ま、何であれ原点に戻ろう。
【水泳】と【潜水】を鍛えるのだ。
その前に。
召喚モンスター達は全て帰還させる。
水路を通り抜ける所だけはナイアスに随伴して貰い、通過する。
そして陣容を全面的に見直した。
探索優先で行こう。
ヴォルフ、ジーン、クリープ、レーヴェ、ナイアスで。
中継ポータルまでの間に五色の鬼との対戦ポイントは1箇所だけだが残っている。
油断は禁物だ。
とは言え。
赤鬼と青鬼のペア、しかもパッシブでは先制攻撃が決まった時点で勝利が確定なんですが。
慣れって怖い。
その慣れに死に戻りの要因があるんだが、何事も完璧といかないのが世の中だ。
出来るだけ、死に戻りの確率を減らしていく。
ゼロに出来ないまでも、近付ける努力はすべきであろう。
中継ポータルを過ぎ、洞窟を出た時刻は午後4時を少し過ぎたあたりだ。
船着場には何艘か、船が停泊している。
譲二達の船はまだあるようだ。
便乗は無理か。
広域マップで現在地を見てみる。
この通称鬼ヶ島、E2マップでもE1にかなり近い位置にあるようだ。
今のタイミングでリターン・ホームを使うのも遠回りに過ぎる。
だが悩む事はない。
不定期であるが、NPC漁師の漁船が行き来していると聞いている。
見れば幾つかのパーティが乗り込んでいる大き目の船が見えた。
渡し賃は?
行き来中の魔物の死体、らしい。
戦闘は当然、強制参加になる。
「港町レジアに行くかな?」
「行くよ。すぐ出発だがどうするよ?」
否はない。
ぶっきらぼうなNPCのようだが乗せてくれるらしい。
空きがあって良かったと言うべきかもだが。
まあ冒険者なんだし、臨時の用心棒程度にしか見ていないのだろう。
それはある意味、正鵠を射ている。
レジアへ戻る船旅も結構大変でした。
ヴォルフ、ジーン、クリープ、レーヴェは帰還。
ヘリックス、黒曜、ヘザー、護鬼を召喚したんですがね。
ジャンピングフィンは大した事はなかったんだが、アホウドリには難儀しました。
1枚の帆が2箇所ほど、裂かれてしまっている。
NPC漁師の怒号が耳に響く。
港町に到着するのが遅れそうな予感。
それは外れようのない予感でした。
港町レジアに到着したのは午後7時を大きく過ぎてましたよ?
ともあれ、漁船上に積み上げられた魔物の死体の剥ぎ取り作業をしなくていいのは助かる。
思考は前向きにしよう。
前向きで。
ここは時間が惜しい。
短い時間でいいから海で狩りをやっておきたい。
おっと。
ヘリックスにはもう遅い時間だ。
帰還させて、と。
ジーンを召喚しよう。
河を渡ってソルトロックの港町に移動。
食事は適当に屋台で買い込んで歩き食いだ。
行儀が悪い?
うん。
そうなんだ。
開き直って認めましょう。
ヘザーがオレが食べているサンドイッチに興味があるようです。
挟んであるのは魚の切り身を焼いたものに細かく刻んだ野菜類にソース。
だがソースは辛い。
案の定、ソースの罠に引っ掛かったようだ。
仕方ない、蜜を舐める権利をやろう。
ナイアスはまた別の機会にあげますからね!
ソルトロックの港町を出て少し歩くとやはり砂浜だ。
ここもフナムシ狩りのプレイヤーが散見される。
浅瀬ではダツ狩りだ。
そうだな。
移動目標はN1E1のマップだ。
そこは海岸線がメイン、平原は殆どないような地域になるらしい。
だがそこにいる魔物は格上と聞く。
まあ急がなくていい。
浅瀬でダツ狩りでもしながら移動しましょう。
陣容は再び変更しよう。
ナイアスは当然、残すとして。
ジーンも残しておこう。
黒曜、ヘザー、護鬼は帰還。
剛亀、テイラー、リグを召喚しておこう。
浅瀬を北へ。
ダツの顎も補充できるだろう。
オレのMPバーはまだ半分以上残っている。
ダツ対策でフィジカルエンチャント・アースはリグ以外に使っておこうか?
つか使える強化呪文は使っておこう。
MPバーは減るが、どうせ数時間後にはログアウトするのだ。
ダツは相変わらずだ。
まあ壁に突っ込ませて狩る分にはいい相手だが、油断ならん。
空中を舞って突撃する時はかなりの脅威なのだが、水中ではそうでもないらしい。
ナイアスの槍に数匹のダツが貫かれていたりする。
つか海中ではナイアス無双過ぎる。
ここにいる魔物が既に格下になりつつあるのだろう。
テイラーは呪文で強化してあってもダツ相手にダメージを喰らうようだ。
だが大したダメージではない。
その点、剛亀は呪文で強化したらダメージがもっと少なくなる。
クリティカルを喰らう事はあるが、それだって連続でなければ問題にならない。
剛亀が水中でもたつくのは気になるが。
でも浅瀬ではオレの方が剛亀よりも遅いのです。
し、仕方ないよな?
鎧兜が水中では使えないからリグを常に抱えて移動しているんだし。
まあいいさ。
いい事だってある。
《只今の戦闘勝利で【両手槍】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【水泳】がレベルアップしました!》
時刻は午後10時30分。
広域マップではそろそろだ。
隣のN1E1マップが迫っている。
恐らくはこれが境界線になっているのだろう。
いや、関所と言うべきか?
流砂だ。
目に見えて動いている。
足を踏み入れてみると?
砂の流れは止まるようだ。
恐らくではあるが、海の中も似たような仕掛けがあるのだろう。
称号の効果で通れそうだ。
まあ事前に情報は仕入れてあった訳だが、実際に目で見て確認しないと実感がないのですよ。
こんな感じなのね。
流砂のある砂浜はゆっくり歩いて10分とせずに途切れた。
普通にさっきまでの砂浜である。
いくつかのパーティが波打ち際で戦闘をしているのも見えた。
さすがに数が少なくなっている。
問題は戦っている相手だ。
フナムシじゃない。
でっかい二枚貝だ。
しかも直立しとるし。
水吹きアサリ Lv.3
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:水中、砂中、地上、水底 水属性
アサリか。
おいしいよね、アサリ。
それに事前情報によれば昼夜を問わず、このアサリ以外に浅瀬にカニがいるそうです。
じゅる。
カニか。
カニ、いいよね?
どう料理しても美味しいのがまたいい。
なんとまあ。
食欲をそそる魔物が出てくるじゃないですか!
これは楽しそうだ。
時刻はもう遅い。
午後11時を既に過ぎていた。
だが目の前に食材が待っている。
違った。
獲物だ。
ん?
大して違わないのかな?
まあどっちでもいい。
待っていなさい海鮮鍋!
水吹きアサリ Lv.4
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:水中、砂中、地上、水底 水属性
他のパーティが狩場にしている場所から少し離れて戦って見ましょう。
数は4匹。
大きさは直立しているとオレの肩のあたりまであった。
軟体部分の足というか、尻尾みたいに地面に広げて直立しているようだ。
二枚の殻は左右に開く形になる。
2つの口がその隙間から覗いていますよ?
うん。
何か卑猥だな。
公衆の面前でなんと猥褻な奴なんだ!
すぐに片付けて差し上げよう。
うん。
甘かった。
こいつ、堅いよ!
いや、分かり易い弱点ならあるんだけどさ。
二枚ある貝殻の隙間だ。
当たり前ですがね。
ナイアスは結構器用に隙間を縫うように槍を突きこんでいく。
だが攻撃が当たったからと言って、それで終わりではない。
槍をそのまま挟み込もうとするのだ。
武器を奪われてはいけない。
すかさず槍を引くナイアス。
武器を奪う事に失敗したアサリは口を完全に閉じ、地面に転がってしまう。
なんか間抜けな感じがするぞ?
で、アサリの繰り出す攻撃はどうか。
2つの管を殻の合間から突き出し、そこから水の弾を飛ばす。
それだけ、と思うなかれ。
中に砂が混じってるよ!
砂抜きしてないのかよ、このアサリは!
殻の上からでもいいから構う事はない。
呵責のトンファーを撃ち込んでみる。
うん。
堅いな。
蹴りを撃ち込んでみる。
うん。
足は痛いよ!
1匹目は黒縄で縛り上げてあげました。
二枚の殻を開くこともできず、そのまま炎で炙られるがいい。
そのままアサリの浜焼きが仕上がるのを待ってたら、別のアサリが。
じゅる。
背中のダツ顎の槍を掴んで片手に構える。
こいつには突きが有効。
それはナイアスが証明している。
武器を奪われないように気をつけなければいけないが。
それに縄を手放す訳にも行かない。
まだ足元のアサリ料理が仕上がってないのだ。
「ストーン・バレット!」
水を吹く動作に入っていたアサリの身に直撃。
続いて槍を突き入れる。
HPバーが一気に2割ほどになった。
ジーンが闇の帯を撃ち込んで、あっという間に仕留めた。
うむ。
殻は厄介だが、極端にタフって訳ではないようだな。
残りは2匹。
1匹に剛亀が取り付いた。
水弾を物ともせず、接近すると?
噛んだ。
いや、殻を、ですけど。
身の危険を感じたのか、アサリは殻の口を閉じて地面に転がった。
まさに堅守。
だが剛亀はゆっくりとアサリの殻を小突く。
半回転するアサリ。
蝶番の部分を、噛んだ。
まさか。
その、まさかだ。
解体するつもりらしい。
殻を強引に分解されたアサリは簡単に詰んでしまった。
もう1つの相手はテイラーとナイアスがしていた。
嫌がらせのようにテイラーが殻を小突いて、殻が開いた所でナイアスが槍を突く。
無論、アサリの攻撃はテイラーが受け持っている。
ダメージはあるが大した事はなさそうだ。
これもすぐに決着する。
あ。
黒縄で焼かれていたアサリのHPバーが消えた。
浜焼きになりましたかね?
剥ぎ取りナイフを突き立ててみたらこんな物が取れたんですけど。
【素材アイテム】食用アサリ 原料 品質C レア度1 重量0+
食用のアサリ。魔物も大好物。
おお。
他の魔物からもアサリは取れた。
これで3つか。
満腹になれる量には程遠いな。
とりあえず、コール・モンスターを使って数を稼いでおこうかね?
波打ち際から浅瀬に場所を変えて狩りを継続する。
アサリは?
周囲に結構、います。
でも足が遅いようで、寄って来るのを待つのが面倒だ。
こっちから距離を詰めて行こう。
ナイアスは人魚形態になっての戦闘だ。
まさに水を得た魚。
むしろオレの動きの鈍さが際立ってしまう。
悠然と移動する剛亀とテイラーが羨ましいです。
時刻は午後11時を過ぎた。
アサリも結構な量を稼いだし、もうログアウトしてもいいんだが。
水中で見慣れない奴がいます。
ビッグシザース Lv.5
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:水中、地上、水底
カニだ。
紛れもなく、カニだ。
鍋だ。
だが半端なかった。
こいつとテイラーのカニ同士の絡み合いとか。
もう見てらんない。
まあテイラーが優勢だったんでいいんですがね。
堅い魔物のようだが与し易いようだ。
オレはあんなのと組んで戦うのは願い下げですけどね。
天然の装甲。
そして両腕の爪。
捕まったら危険なのはテイラーを見てて理解できる。
まともに組み合うつもりない。
全身、重装備が必要です。
間違いない。
今の陣容ではテイラー以外にも平気で近寄れる奴がいる。
剛毅だ。
いや、剛亀だ。
カニ爪が振り下ろされてくるが関係ない。
接近して、体を支える後脚に噛み付く。
結構簡単にカニ脚が剥がせるみたいだ。
淡々とやってるんですが。
オレには真似できそうにない。
浅瀬とはいえ、胸元まで水位はある。
波もある。
水中での戦闘になるのだが、オレの放つ槍の攻撃も手数が増えない。
まるでダメだ。
だがダツ顎の槍は通じる。
つか貫通してくれる。
さすがにいいな、ダツ顎の槍。
直後、穂先が折れました。
ダメじゃん!
でもちゃんと勝てたし、いいか。
【素材アイテム】食用ガザミ 原料 品質C レア度2 重量0+
食用のワタリガニ。旨味が凝縮しており様々な料理で使われる。
うむ。
なんで魔物が普通の食材を落とすのか、深く考えるのは止めよう。
もう遅い時間だ。
今日は普段の時間にログアウトする事にしましょう。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv20
職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv5
ボーナスポイント残 16
セットスキル
剣Lv6 両手槍Lv5(↑1)捕縄術Lv5 杖Lv15 打撃Lv13
蹴りLv13 関節技Lv13 投げ技Lv13
回避Lv13 受けLv13
召喚魔法Lv20 時空魔法Lv11
光魔法Lv12 風魔法Lv12 土魔法Lv12 水魔法Lv12
火魔法Lv12 闇魔法Lv12 氷魔法Lv9 雷魔法Lv9
木魔法Lv9 塵魔法Lv9 溶魔法Lv9 灼魔法Lv9
錬金術Lv9 薬師Lv7 ガラス工Lv6 木工Lv8
連携Lv14 鑑定Lv14 識別Lv14 看破Lv4 耐寒Lv7
掴みLv11 馬術Lv10 精密操作Lv13 ロープワークLv6
跳躍Lv7 軽業Lv6 耐暑Lv8 登攀Lv7 平衡Lv5
二刀流Lv12 解体Lv10 水泳Lv5(↑1)潜水Lv4
身体強化Lv10 精神強化Lv11 高速詠唱Lv13
魔法効果拡大Lv10 魔法範囲拡大Lv10
装備
独鈷杵×2 呵責の杖×2 呵責のトンファー×2
呵責の捕物棒×1 ダツ顎の槍+×1 旗魚の槍+×1
怒りのツルハシ+×2 白銀の首飾り+×1
雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×1 雪豹のバグナグ×1
草原獅子のバグナグ×1 闘牛の革鎧+ほか
呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 獄卒の黒縄×1
暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2
所持アイテム
剥ぎ取りナイフ 木工道具一式
称号
老召喚術師の高弟 森守の紋章 中庸を知る者
海魔討伐者 瑠璃光の守護者 呪文辞書 格闘師範




