表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/1341

190

「練気法!」


 すぐに呪文を選択して実行。

 オレが相手をするのは?

 左にいる吽形だ。

 右にいる阿形は召喚モンスター達に任せた。


 目の前の龍燈鬼将に視線を移す。

 火属性持ちか。

 それに溶属性もあるって。

 どうなるのかね?


 腕を組んでいた龍燈鬼将。

 腕を、解く。

 首の周囲に巻かれていた蛇が鎌首をもたげるのだが。

 本当に、蛇か?

 竜に見えるんですけど?


 オレがやる事は変わらない。

 狙いは黒縄を使って拘束だ。

 左手のトンファーで攻撃を凌げるだけ凌ぎたい所である。


 そんなオレにいきなりブレスが。

 あの蛇、いや竜かね?

 ドラゴンパピーでブレスは慣れているのが良かった。

 吐かれたブレスは広範囲に及ばない。

 余裕はそうないが、避ける事が出来たのは僥倖であっただろう。

 一気にスライディングで距離を詰めていた。



「レジスト・ファイア!」


 体勢がアレなままナイアスに向けて呪文を掛けておく。

 次の呪文を選択。

 忙しいな、こりゃ。


 龍燈鬼将を見上げる所にまで迫っていた。

 そのまま足を狙う。

 足関節。

 トンファーは左手に持ったまま龍燈鬼将の右足首を脇に抱える。

 そのままアキレス腱固め。

 股間を蹴り上げながら体勢を変える。

 龍燈鬼将の左膝裏を殴りつけ、次の攻撃は左足首を払った。

 一気に体勢が入れ替わる。

 倒れ込む龍燈鬼将。

 その左足は既に黒縄が巻き付かせてある。

 では、次だ。


 両足で挟み込まれる前にアキレス腱固めを解いてパスガード。

 竜が噛み付いてきたがトンファーで殴って、ついでに縄で縛ってやった。

 そのまま袈裟固めに。

 無論、押さえ込むのが目的ではない。

 縛り上げるのだ!

 首元と左腕を数箇所、縛り上げていく。

 龍燈鬼将は左手でオレの背中を殴り付けてくるが気にしない。

 さっさと、無力化するに限る。


「エンチャンテッド・アクア!」


 護鬼も強化。

 だが戦況を確認する時間はない。

 龍燈鬼将が先だ。


 黒縄から炎が吹き上げていく。

 だがダメージは少ない。

 龍燈鬼将のHPバーはたっぷりと9割以上、残っているな。

 では次だ。

 左腕を縄で封じたら次は右腕を狙う。

 袈裟固めの体勢から上四方固めへ。

 途中で龍燈鬼将の右足が飛んできたが、ついでに受け止めてそのまま縄で縛り上げた。

 右拳がオレの横っ面に迫る。

 どうにか避けた。

 いや、掠ってるか?

 だがそれだけに好機。


 肘を支点にしてアームロックを極める。

 龍燈鬼将もあとはこの右腕を封じたら、終わりだろう。

 いや。

 オレの右太腿に激痛が走っていた。


 痛い。

 痛いって!

 こいつ、噛み付きやがった!


 独鈷杵をベルトから引き抜く。

 龍燈鬼将の右腕を回り込むように体勢を入れ替えた。

 独鈷杵を龍燈鬼将の右目に押し当てて。

 刃身を展開。

 氷の刃が龍燈鬼将の頭部を一気に貫いた。

 HPバーが一気に減っていく。

 それでも残り半分もある。


 刃身を収納して逆手に独鈷杵を持ちかえる。

 今度は、耳だ。

 再び独鈷杵から氷の刃身が展開される。

 今度こそ、龍燈鬼将のHPバーは無くなったようだ。

 仕留めたか?

 独鈷杵の刃身を収納する。

 間違いなく、仕留めたようだ。


 で、天燈鬼将は?

 まだ奮闘してやがる。

 召喚モンスターは全員、無傷ではないようだ。

 回復役はナインテイルか。

 そして他の面子でフルボッコの構図である。


「ガッ!」


 天燈鬼将が叫ぶ。

 いや、まるでブレスのような息を吐いた。

 召喚モンスター達にダメージが。

 致命的ではない。

 黒曜は避けているしな。

 でもこれは見過ごせないな。

 ナイアスのHPバーは半分近くにまで減っているではないか!


 当然、オレも参戦する。

 オレが駆け寄るタイミングでティグリスが足を止める。


「グァァァッ!」


 天燈鬼将が足を止めた。

 召喚モンスター達の攻撃が一気に集中する、

 そしてオレの攻撃も。


 天燈鬼将の背後に回るとトンファーを持ったまま裸絞めに。

 耳に独鈷杵を押し当てる。

 氷の刃身が展開。

 天燈鬼将のHPバーが大きく減っていった。

 すぐに刃身を収納して天燈鬼将から離れる。

 ナイアスが槍を構えているのが見えていたのだ。


 ナイアスの繰り出した槍が天燈鬼将の胸板を貫く。

 それが留めになったようです。



《隠れ棲むは悪意》


《隠れ棲むは欲望》


《魔を避けたくば照らすより他になし》


《魔を除きたくば調伏すべし》


《さもなくば滅すべし》



 終わった?

 終わったようです。

 それにしても、アレだ。

 身体能力では金剛力士の方がパワフルなんだが。

 色々と吐かれるとか、どっちかと言えばウェンディゴやサスカッチに近い厄介な相手だな!

 前もって呪文で強化できていたのも大きかったとは思う。



《只今の戦闘勝利で【剣】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【捕縄術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【回避】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【受け】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【ロープワーク】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【軽業】がレベルアップしました!》



 それに色々とレベルアップも果たしたようだし。

 収穫は十分だ。

 ナイアスのHPバーを大きく減らした分の罪は償って貰ったかね?



「お見事!」


「つか今の奴って格上?クラスチェンジしたのか!」


「その武器が噂の独鈷杵?」


「その縄って一体」


 譲二と二郎以外は何やら興奮気味です。

 どう答えていいものやら。


「落ち着け!まだ中継ポータルにも入ってないんだぞ!」


 二郎の一喝で鎮まったようです。

 ナイスです。


「まだ少し早い時間だが昼飯にしよう」


 譲二の申し出には皆が頷いた。

 時刻は午前11時20分か。

 確かにいい時間です。



 中継ポータルは広かった。

 金剛力士が門番をしていた中継ポータルに匹敵するだろう。

 幾つかのテントも存在する。

 ここを拠点にしているプレイヤーがいる証だ。

 ただその数はやや少ないようにも見える。


 中継ポータルに入ると早速ダメージの回復をする。

 基本はポーションだけで賄いたかった所だが、ティグリスとナイアスには回復呪文も必要であった。

 おのれ、鬼め。

 やってくれたものだ。



「キースさんの分も昼飯は用意しますから」


「いいの?」


「まあこっちが頼んでる事ですから。20分ほど時間はかかります」


「了解だ」


 どうやら宗雄と二郎が交代しながら料理を作り、その合間にログアウトしていくようだ。

 ふむ。

 オレはオレですべき事をしよう。



 ナイアスにはオレが作ったばかりの槍を渡しておく。

 旗魚の槍だ。

 但し、柄は地獄の閂ですけど。

 もっと早く渡しておくべきでした。

 反省。


 ナイアスから槍を受け取ると柄を交換しよう。

 外してみたら柄はカヤ製、固定具は黒曜石を変形させたものであった。

 うむ。

 カヤの柄は矢に転用しましょう。


 地獄の閂も既に半分を使っている。

 大事に使いたい所だ。

 つかもう少しストックが欲しくなってきましたよ?



【武器アイテム:槍】旗魚の槍+ 品質C+ レア度4

 AP+15 M・AP+0 破壊力3 重量2 耐久値190

 攻撃命中確率上昇[微]

 突撃カジキの角を穂先とした突く事に特化した槍。

 刃がなく斬る事はできない。

 柄が呵責の捕物棒であり、魔法発動にはほぼ寄与しない。

 短槍サイズでかなり軽くて扱いやすい。

 僅かな確率だが命中率が向上する。



 よし。

 同じ出来になるかと思ったが、少し耐久値が低いようだ。

 まあいい。

 修復はどこかで頼むようにしたい。

 今使っている武器に防具も闘技大会で修復してくれていたから余り気にしなかったが。

 大事に使わないといけないよな?


 護鬼の剣も確認してみたが、結構手入れが必要な感じでした。

 リキッド・ウォーターで水を溜め、砥石で磨いておく。

 刃には数箇所、欠けが散見されます。

 こりゃ真剣にアルケミストの元で修復を頼まないと、な?

 つか錬金術はオレだって持っている。

 闘技大会で見た、あの魔道具らしき絨毯。

 あれがあったらオレにだって出来そうな感じがするんですけど。

 師匠にでも聞いてみようか?

 もしくはゲルタ婆様?

 ちょっと聞くのが怖いな、それ。


 アルケミストならフィーナさんの所のギルドにもいた筈だ。

 ヘルガだったかな?

 機会があれば聞いてみるのもいいかもしれない。


 護鬼の剣に限らず、装備にも気を配らないとな。

 召喚していないモンスターの装備にまで気付かない事は多い。

 つか勢いでゲームを進めてるようなものだしな。



 ところで。

 鍋の様子を確認している二郎の隣にナインテイルがいます。

 お前って奴は。

 クラスチェンジしても行動が変わってないな!



 全員が再ログインした所で昼飯になりました。

 メニューは?

 漁師メシです。

 鍋です。

 洋風なのに気分は和風でしたね。

 美味い、としか言い様がないですな。


 無論、雑談しながらの食事になった。

 そりゃあ色々と聞かれちゃいましたよ?

 まあ答えられる範囲で答えるしかない訳ですが。


 こっちも色々と情報を仕入れましたけどね。

 中継ポータルの奥には2つの支道があり、先刻の邪鬼以外の鬼が出現するらしい。

 瘴鬼。

 これはミストと同類の鬼らしい。

 物理攻撃は効かず、呪文が必要なのだとか。

 餓鬼。

 こいつらは噛み付き攻撃に特化した鬼だ。

 雑魚らしいが、とにかくしつこいそうです。

 五色の鬼。

 どうもこいつ等がこの洞窟の牛頭と馬頭のポジションっぽい。

 復活して出現するスピードは早ければ10分、遅くとも1時間といった所らしいが。


 出現場所は決まっており、五色のうちの二色が出る。

 赤鬼、青鬼、黄鬼、緑鬼、黒鬼。

 ただ正確な名前は違うそうですけどね。

 貪欲鬼、憤怒鬼、我執鬼、怠惰鬼、愚弄鬼。

 分かり難いですよね?

 色で識別するのが正解のようだ。

 白鬼もいる、という報告もあるそうだが未確認らしい。


 中にはデフォルメされたような鬼もいるそうです。

 画像を見せて貰いましたが、これは酷い。

 マンガだ。

 全然、怖くないのだ。

 牛の角に虎皮の腰巻姿で正しく鬼の格好なのだが、愛嬌がある。

 討伐対象ではなく、魔石を渡すとMPを全快にして貰えるのだとか。

 優しい?

 でも交換条件として見たら微妙かも?


 だが何よりも恐ろしいのは百鬼夜行だ。

 文字通り、様々な鬼が交じった行軍であり、1匹だけを見てもレベルが高めらしい。

 未だに討伐しきったパーティはいないらしいが。


「壁をすり抜けていきなり出現してくるんだよなあ」


「出現時刻が丑寅、午前1時から3時の間を避けたらいいんだけどね」


「それに北東側から現れて南西側に通り抜けていくんだ。鬼門から裏鬼門だな」


「ほう」


 パターンは決まっているのか。

 それでいて討伐出来ていないとは。

 譲二と二郎は別編成のパーティで討伐を試みて死に戻っているそうな。

 強敵であるのは間違いないのだろう。




「ではそろそろ行こうか」


「ここからはノクトビジョンで進みたいが大丈夫かな?」


「ああ、行ける」


 この先にあるという洞窟の様子も聞き終えた所で出発になった。

 時刻は午後0時30分。

 中継ポータル内にはオレ達以外にもいくつかのパーティがいる。

 中には対戦もしているようだが、観戦している暇はない。

 ノクトビジョンを全員に掛けて先へと進む。

 何が待ち受けてるかね?

 見ていない景色がそこにある事は確かだが。




 中継ポータルの先へと進む洞窟は1つだけ。

 進むとすぐに分かれ道だ。

 ここは左へ。

 右へ進むとかなり長い洞窟があるそうで、迷宮と言って差し支えない代物らしい。


「こっち側は単純だが長いだけの構造の洞窟だったんだが」


「現れた魔人共を倒しきった直後に新しい洞窟が出現しちゃいましてね」


 台詞だけなら愚痴にも聞こえるが、新たな展開に興味津々のご様子。

 それ、分かる。


 先行していたスズランが片手を挙げた。


「おっと」


「もう出現地点か」


 遠目だが確かに鬼がいるようだ。

 牛頭と馬頭に迫る巨躯。

 片方は赤いようだ。

 もう片方は青い。

 顔付きは分からないが、体付きは凄いと分かる。

 一言、強そう。


「今回は先行するがいいかな?」


「どうぞ」


 まずは観戦させて貰いましょう。

 この鬼、どんな奴なんでしょうね?





「ぬん!」


「うりゃあ!」 


「それっ!」


 フィッシャーマン組の掛け声は、まあアレだが。

 戦い方そのものは非常に合理的でシンプルなものだ。

 闘技大会の様子の再現?

 そこまで余裕はないようですけどね。

 投網で動きを封じる方針は変わらない。

 脅威は、減る。

 だが脅威が去る所までは行かない。

 暴れっぷりが凄いな!

 確かに牛頭と馬頭も投網だけで止まってくれそうもないよね?


 因みに【識別】してみたらこんな感じです。



 貪欲鬼 Lv.4

 妖怪 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上


 憤怒鬼 Lv.4

 妖怪 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 得物は短めであるが随分と太い杖を持っていた。

 もはや杖じゃなくて棍棒ですな。


 譲二と二郎が前衛で2匹を相手しながら1匹ずつ仕留めに行く布陣のようです。

 戦闘は最初のうちだけ拮抗していたが、投網で動きが鈍ると徐々に優勢に傾いていく。

 2対6の構図が1対6になってからは早かった。

 あっという間に決着です。

 消えて行く鬼達は何も残さない。

 だが驚きはないようです。


「まあこんな感じだな」


「問題の場所までに出現ポイントがあと1箇所ある」


「なるほど」


「さっきの分かれ道の先にも、ある。全部で10箇所以上あるかな?」


「あっち側に14箇所、ありますね」


 宗雄も何やら仮想ウィンドウを見ながら答えているようだ。

 全部で16箇所、ね。

 牛頭と馬頭のペアと匹敵する数だな。


「次は戦ってみたいがいいかな?」


「勿論」


 だがその前に。

 他の鬼も襲って来ましたよ?

 瘴鬼だ。



 瘴鬼 Lv.2

 妖怪 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:空中



 だが数が多い。

 どう見ても20匹以上。

 ホーンテッドミストと比べたら仕留めるのは比較的簡単?

 攻撃が当たれば、そうだ。

 当たったら一発で沈む。

 護鬼はエンチャンテッド・ウェポンが必要だったし、面倒な相手なのは変わりないのだが。

 速い。

 そこが大きく異なっている。


「エンチャンテッド・ウェポン!」


 ミハイロフが後方から前衛を支援していく。

 そんな後衛にも攻撃が来る。

 何故ならばこの瘴鬼、壁や天井をすり抜けながら迫ってくるのだ。

 なんと厄介な。


 ナイアスの声が響く。

 どこか和む曲調。

 瘴鬼の反応は?

 動きが明らかに鈍っているようである。


 赤のマーカーは次々と減っていく。

 先刻までの状況はあっという間に解消してしまっていた。

 全体攻撃呪文を選択しようか、と思ってたのだが不要だな。



「何だ!今の数!」


「今までは多くとも5匹程度でしたよね?」


「ユニオンを組んでいるから?」


「それにしては難易度が上がりすぎてるような」


「油断ならないな」


 瘴鬼は何も残さなかった。

 聞けばレアではあるが、魔石を残すらしい。


 それにしても。

 皆さん、なんか焦っているようです。

 どうやらああいった数で襲ってくるような魔物ではないようだが。

 オレには目の前がマーカーで真っ赤になった事が何度かある。

 慣れてしまいましたよ?

 悪い方向に作用しそうで怖いです。



「それにしても」


「マーメイドの歌の支援は強力ですねえ」


「いてくれて助かったな」


「はあ」


 ナイアスはしゃべれない。

 軽く微笑むだけだ。


「他にも厄介な状況になるかも知れないな。より慎重に進んでくれ」


「了解」


 そう答えるスズラン。

 これまで通りに先行するが、その速度は明らかに落ちたようだ。



 徐々に洞窟が広くなってきている。

 瘴鬼はあれから2度、襲ってきた。

 いずれも3匹のみ。

 やはり20匹規模の群れは珍しいケースだったのかもしれないな。



 そして新たな鬼が。

 見た目、鬼というよりもゾンビみたいですけどね。



 餓鬼 Lv.2

 妖怪 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 これがまた酷かった。

 いや、弱いんですけどね。



「チッ!」


「これでもまだ小さな群れだが気は抜くな!全員で掛かれ!」


 群れの規模は30匹ほど。

 これで群れとしては小さいとか、何なの?

 それにこいつら、1つだけだが恐るべき能力を有していた。

 呪文が、効かない。

 いや、非常に効き難い、というべきか。

 レジストしちゃうので、全体攻撃呪文の効果もあまり期待できない。

 実際、試して見たのだが、1割ちょっと程度は削れるのですよ?

 でも呵責のトンファーなら3発ほど殴れば沈む。

 動きがやや速いが、そう苦戦するほどでもないしな。


 呪文、勿体無かったです。

 殴る方が似合ってるし。


 ナイアスでも1対1であれば問題はないのだが、2匹相手では厳しい。

 護鬼が盾を使ってガードしているし、ナインテイルも常にナイアスの肩にいる。

 心配はあるまい。


 一方でティグリスは楽しそうでいいよね?

 オレが4匹仕留める間に11匹仕留めてましたけど。

 餓鬼との相性はいいようで結構な事だ。


 それに、だ。

 ミハイロフ達、後衛役が弓矢を使うのも分かる気がする。

 こいつ等を相手に杖で戦うには少し手間がかかるだろうな。



「こいつ等は大抵、石ころしか残さないんだ」


「へえ」


「でもレアで宝石を残す場合がある。一応、全部剥ぎ取ってみる方がいい」


 だが30匹を超える餓鬼は石ころしか残さなかった。

 無残である。




 瘴鬼の群れを1つ、餓鬼の群れを2つ、立て続けに排除しながら先を進んだ。

 するとなんとなく、イヤな感じの風景が。

 洞窟が、水没しているのであった。

 構図はあの場所と一緒。

 イヤな予感しかしない。


「ここを通らなきゃいけないんだが」


「潜水して通れるのか?」


「ああ。1分程度で通り抜けられる」


 早速、鎧兜を脱いで潜水の準備をする面々。

 唯一の女性プレイヤーのスズランも手慣れたものだ。


「魔物はいるのか?」


「いる。シースターマインだけだがね」


「底の方に行かなければ問題は全くないですね」


 うむ。

 でもやはり躊躇しちゃいそうだよね?

 ナイアスを残して召喚モンスターを帰還させよう。


「キースは後から付いてきてくれ。スズラン、最後を頼む」


「ああ、分かった」


「了解!」


 さて。

 心配するばかりでもいけないな。

 行ってみようかね?



 海水の中へ突入する。

 鎧兜なしの軽装、そして得物はなし。

 足は途中から着かない深さだ。

 思い切って二郎の後を追いかけるように潜って行った。


 先刻までの心配事がウソのように霧散する。

 僅かに光が入っているらしく、海底まで見通せる。

 透明度が高い。

 実に見応えのある美しさなのだ。


 シースターマインさえいなければ、であるが。


 海底はシースターマインで埋め尽くされているようである。

 まあそこまで潜っていく事はないのですけどね。

 相手をする暇はない。


 隣に何かが迫ってきている。

 ナイアスだ。

 ゆっくりと、ナイアスに先導されながら潜水して進む。

 海中で見るナイアスの泳ぐ様子も綺麗だ。


 いつの間にか見惚れる景色が変わってしまってました。



 無事に潜水を終え、海水に浸かっていた洞窟部分を踏破した。

 いや、泳ぎきったぞ!

 息はギリギリ、間に合った感じだったけどな!




 だが。

 事件は起きた。

 海水から上がって装備を整えていく。

 ナイアスの装備も《アイテム・ボックス》から取り出してたのですが。

 なんだろう。

 空気が重い?


 剣呑な空気を生む存在は明らか。

 スズランだ。

 彼女の視線を避けるパーティメンバーの面々。

 一体、何があった。


「こら、男共。そこへ並べ」


「?」


「あ、キースさんは大丈夫ですから。うちの連中だけで結構です」


「何かありました?」


「ええ。とてもではありませんけど見逃せない重大事がありましたので」


 なんだろう。

 オレに向ける笑顔と仲間に向ける笑顔が似ているようで違う。

 いかん。

 関わりたくない。

 聞いてはいけない。

 だがどうしても聞こえるのだ。


 装備を整えた譲二、二郎、宗雄、久能、そしてミハイロフ。

 但し兜は着けていない。

 壁際に整列させられて直立不動だ。


「マーメイドを見て、私を見て、ため息をついたのはどういう意味か?説明しろこのドスケベ共」


「スズラン、それは誤解だ!」


「ほう、誤解ね」


 彼女の手が譲二の顎を捉えた。


「比べただろう?確かに見比べたよね?」


「ご、誤解だ!」


「以前、女性サモナーのマーメイドに色目使っていた件、私が知らないとでも?」


 空気が一気に重たくなった。

 沈黙が答えになっているようです。

 ああ。

 そういう事なのね。

 ナイアスの容姿はそりゃあ魅力的でしょうとも。

 しかも胸をトップスで隠しただけで、海から上がってきた所とか、実に魅惑的だ。

 でもね、スズランさん。

 男の本能ってそういうものですから!


「弁解があれば聞こうか?」


 その後に起きた事は思い出したくない。

 とにかく、逆らってはいけない領域がある事を再確認しました。

 

 体育会系のノリで説教があった、とだけ認識しておこう。




 召喚モンスターの陣容は元に戻す。

 黒曜、護鬼、ティグリス、ナインテイル、ナイアスの布陣だ。

 説教を区切りとして雰囲気は戻ったようだ。

 先に進みましょう。



「あれですね」


「だな」


 獲物はスズランと黒曜が先に見付けていた。

 五色の鬼のうちの、二色。

 赤鬼と緑鬼のようだ。

 レベルはまだ【識別】が効く距離じゃないから見えない。


「赤鬼は単純なパワーファイター、青鬼はテクニカル、緑鬼は?」


「得物がないんです。殴る蹴る、それに組んできます」


「ほう」


 スズランから簡単にレクチャーを受けました。

 色違いで戦闘スタイルが違うようだ。

 ついでに聞いてみた。

 黄鬼はランダムで属性持ちになり、特殊能力も使うようになる。

 黒鬼は闇属性を固定で持っていて、短時間だが姿を消すらしい。



「では、行ってくる」


「気をつけて」


 ところで、オレはどっちを相手にするか?

 オレ向きの相手がいるじゃないですか!

 緑鬼に決まってます。



 貪欲鬼 Lv.5

 妖怪 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上


 怠惰鬼 Lv.5

 妖怪 討伐対象 パッシブ

 戦闘位置:地上



 おっと。

 呪文で強化するのも忘れてはならない。

 初見の相手にはとりあえず全力で行ってみよう。



「グルゥゥゥッ!」


 ティグリスが唸りながら赤鬼の腹を食い破ろうとしてます。

 なんと恐ろしい光景だろうか?

 地面に倒れた赤鬼に勝機はもうないだろう。

 右手はナイアスの槍で串刺しにされ、地面に縫い付けられている。

 左手は既に護鬼に破壊されてしまっていた。

 赤鬼は集られながらも奮戦してはいる。

 でも詰んでますよ? 

 安心して見ていられます。


 おっと。

 オレも緑鬼を仕留めに行こう。


 緑鬼は正しく格闘スタイルだった。

 だがオレには少し物足りなかった、というのが正直な所です。

 練気法まで使っていたのがいけなかったのかも?

 完全に素手で相手をしたのですが、簡単にカウンターが取れるのです。

 立ったままでも勝てそうだったのだが、投げ技の内股を仕掛けたのでした。

 内股透かしで逆に地面に投げ飛ばすと、そのまま寝技に。

 背後から裸絞めに極めて観戦してました。


 確かにパワーは感じる。

 でも馬頭レベルかな?

 馬頭鬼や馬頭大将、ウェンディゴ辺りとは比べようがない。


 首を一気に捻る。

 HPバーを確認。

 まだ仕留め切れないか?

 更に頭部を傾けて挫く。

 それでようやく仕留めきったようです。


 仕留められた鬼達の体が消えていく。

 アイテムは?

 何も残さない。

 【解体】はちゃんとセットしてあるんだが。



「どうでした?」


「いや、確かに他の鬼とは格が違うようですね」


 うん。

 それも間違ってはいない。

 邪鬼や餓鬼に比べたら遥かに強いですよ?



「では先に進もう。問題の場所はもうすぐそこだ」


「了解」


 確かにすぐなのだろう。

 大きな洞窟、その両側の壁に通り道が2つ。

 その間は大きく抉れており、海水が入り込んでいた。


 2つの通り道の先に立像はあるそうだが。

 風神像、そして雷神像だ。

 譲二達は左のルートを進む。

 オレ達は右のルートを進む事になっている。

 その間、相互の連絡はユニオン状態を維持したままウィスパー機能を使う事になっている。

 像のある場所は共にそこそこ広い場所であり、距離は相応に離れていて行き来はできない。

 空中を移動できる黒曜ならば別だが。


 恐らく、いや、間違いなく、オレ達の相手は風神になるだろう。

 どんな相手になるのかね?

--------------------------------------------------------------------

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv20

職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv5

ボーナスポイント残 11


セットスキル

剣Lv6(↑1)両手槍Lv3 捕縄術Lv5(↑1)杖Lv15 打撃Lv12

蹴りLv12 関節技Lv12 投げ技Lv12 回避Lv13(↑1)受けLv13(↑1)

召喚魔法Lv20 時空魔法Lv11

光魔法Lv11 風魔法Lv11 土魔法Lv11 水魔法Lv11

火魔法Lv11 闇魔法Lv11 氷魔法Lv9 雷魔法Lv9

木魔法Lv9 塵魔法Lv9 溶魔法Lv8 灼魔法Lv9

錬金術Lv8 薬師Lv7 ガラス工Lv6 木工Lv8

連携Lv14 鑑定Lv14 識別Lv14 看破Lv4 耐寒Lv7

掴みLv11 馬術Lv10 精密操作Lv13 ロープワークLv6(↑1)

跳躍Lv7 軽業Lv6(↑1)耐暑Lv8 登攀Lv7 平衡Lv5

二刀流Lv12 解体Lv9 水泳Lv4 潜水Lv3

身体強化Lv10 精神強化Lv11 高速詠唱Lv12

魔法効果拡大Lv10 魔法範囲拡大Lv10


装備

独鈷杵×2 呵責の杖×2 呵責のトンファー×2

呵責の捕物棒×1 ダツ顎の槍+×1 旗魚の槍+×1

怒りのツルハシ+×2 白銀の首飾り+×1

雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×1 雪豹のバグナグ×1

草原獅子のバグナグ×1 闘牛の革鎧+ほか

呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 獄卒の黒縄×1

暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2


所持アイテム

剥ぎ取りナイフ 木工道具一式


称号 

老召喚術師の高弟 森守の紋章 中庸を知る者

海魔討伐者 瑠璃光の守護者 呪文辞書 格闘師範

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
スズラン仕方無いんだよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ