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ログインした時刻は午前5時40分。
水平線が輝きを放っている。
朝焼けだ。
こういうのもいいな。
で、本日のメニューは何か?
砂浜の先にある岬。
そこにあるのが神殿跡だ。
ここからでも見える森の中に神殿跡となる遺跡があるらしい。
そこから下へと伸びる洞窟があるそうだが。
それ以上のネタバレ情報は敢えて伏せて行ってみよう。
ちょっとだけ楽しみです。
文楽を召喚して食事を作らせている間、本日のメンバーを召喚していく。
ナイアスは確定。
剛亀は壁役で入れたい所だが、これは後でいいか。
黒曜、ティグリス、レーヴェと召喚しておいた。
昨日までに消費したポーションとマナポーションも補充しておこう。
鍋は料理で使っているから水を溜めるのは力水が入っていた桶であるが。
錬金術の短縮再現で補充、と。
他にも保留している課題もある。
少し考えておきたいのだが。
雪獣石。
それに雪獣人の骨を1つだけ残したのも理由がある。
組み合わせたら武器に出来そう、だよね?
何が出来る?
そのまま柄の先に石を付けたら棍棒にできそうです。
石器だけど。
何の捻りもないな!
却下で。
文楽の作った食事を摂りながら砂浜の様子も見たりして。
既に水平線は朝焼けの風景ではなくなっているが、それでも美しい。
これと比較すると砂浜の風景は酷い。
フナムシを狩るプレイヤーの様子はお世辞にも美しいものではない。
うん。
魔物が魔物なだけに叫喚の坩堝ですな。
いや、フナムシを狩るプレイヤーの様子も凄いんですけどね。
目が血走ってます。
夜の狩りではフナムシに集られる危険があるそうだが。
昼間になってもその勢いのまま戦闘を継続していたのかもしれない。
邪魔しちゃいけない、な。
文楽は帰還させる。
神殿跡に向かいましょう。
波打際を移動しました。
ナイアスは人間に変化した姿のまま波と戯れている。
その足元でティグリスとレーヴェが追いかけっこをしてます。
黒曜はおとなしくオレの肩にいる。
まあ、なんだろう。
仮想デート?
一通り堪能した。
妄想するだけならタダですね!
神殿跡、というのは森の中にあった。
途中でワイルドドックとステップホークを見掛けた
アクティブになって襲って来る奴がいなかったが。
面倒がなくていい。
むしろ面倒なのはこの状況かな?
神殿跡の前に順番待ちかギャラリーと思われるプレイヤーがいます。
パーティ2組分?
そして戦闘も繰り広げられていた。
あれが門番か。
オークリーダー Lv.1
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上
見た目で分かる。
オークリーダー、ですな。
得物は持ってないし、早々に詰むと思える。
実際、戦闘そのものはプレイヤー側の優勢に見えた。
つかプレイヤー側はレベル5なんだが大丈夫?
いや、大丈夫ではないな。
よく見たら前衛はなんとかギリギリで凌いでいる。
なかなかの奮闘ぶりである。
後衛も前衛を支えるのに必死だ。
1人でも欠けたら危ないように見える。
うん。
頑張れ!
おっと。
こっちも陣容を見直しておこうか。
念のためナイアスには外れて貰おう。
支援メンバーでヘザー。
壁役でジェリコ。
前衛のティグリスとレーヴェは残しておく。
黒曜も牽制と遊撃を任せたい。
門番を倒せたらナイアスと剛亀は戻そうかね。
オークリーダーはなんとか倒しきったようです。
見事な連携を見せて貰った。
チームプレイとはかくありたい。
次のパーティは5名しかいないようだ。
そして相手はコボルトファイター。
次の6名パーティは?
ちょっと今までに見なかった魔物でした。
グレムリンキャット Lv.1
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:空中
グレムリンに近い魔物なのは確実なようだ。
顔が猫に近い。
つか普通のコウモリのようにも見えてしまうんですが。
ここまで門番相手に苦戦はあっても敗戦はない。
順番待ちのパーティも1つ待たせるのも悪いしな。
サクッと勝って先に進みたいものだ。
で、どんな奴が相手になるんだ?
神殿跡に足を踏み入れたら例の人魂が出現した。
さっきまで見えなかったのだが。
最初だけはイベント扱いなのかね?
《ここは我等の安らぎの場所》
《そして迷える魂もまたここへ集う》
《安息を与えよ》
《安息を邪魔する事なかれ》
インフォが終わる。
目の前が霧のような煙が沸き立つ。
その中から何かが現れた。
ノーブルオーク Lv.4
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上
誰だよ!
それに門番役はこいつだけじゃない。
オークリーダーが2匹、両方ともレベル5だ。
リーダーがノーブルオークに付き従う形になる。
つまりノーブルオークがオークリーダーよりも格上って事?
ノーブルオークは普通のオークよりも痩身だ。
こう言っては語弊があるかもしれないが。
美男子?
うん。
奇妙だよね、オークなのに美男子って。
でもそう表現するしかないのが困る。
それはまあ置いておこう。
初見の相手には全力で。
「練気法!」
呪文を選択して実行。
そして前へ。
槍は《アイテム・ボックス》の中であり、装備は普段のものだ。
いつもの戦い方で行こう。
呵責のトンファーを左手に持つ。
狙いは獄卒の黒縄で縛り上げて独鈷杵で止めを刺す事だ。
どんな感じ?
右にいたオークリーダーはジェリコ相手にあっという間に詰んでました。
攻撃を液状化で凌いですぐに実体化。
そのまま胴体を締め上げてます。
地味だ。
地味だけど効果的だ。
鯖折り?
ジェリコはこの技を好んで使う傾向があるようだ。
パワーがあるから効果的ではある。
左にいたオークリーダーは他の召喚モンスター達が翻弄している。
パワーファイターであるが故に苦戦している訳ではない。
黒曜が頭に向けて効果的に攻撃を仕掛け続けている。
ティグリスもレーヴェも楽に攻撃を加えてますな。
ヘザーの支援もいい。
ところで。
何で観戦できているのか、といえば。
ノーブルオークは脇固めに極めていたのでした。
動きは黒縄で拘束済みです。
戦況は確認しておかないとね!
独鈷杵を使うまでもなかった。
既に首には腕を回してある。
魔物の体に篭る力も抜けてきているようだ。
そろそろいいかな?
首を捻って、折る。
魔物のHPバーが一瞬に消え去った。
黒縄のおかげではあるが、それにしてもあっけなかったな。
《安息はいずれ訪れる》
《汝等にも訪れるであろう》
《そして我等にも》
インフォはそこで終わったようだ。
そして何もアイテムを落とさなかった。
では改めて。
神殿跡の奥へ行ってみよう。
神殿内部は酷い有様だ。
中継ポータルではないが、魔物が出てこない。
先刻、オレ達よりも先に門番戦をクリアしたパーティが何組か、準備を整えているようだ。
そして一番奥に下へと伸びる階段がある。
そこへ降りていくパーティも見掛けた。
さて、オレ達もどうしようかね?
階段を下りたら陣容を変更しよう。
門番はアレだったが、下に行けば何とかなるだろう。
降りてみたら右奥に海が見える。
左奥は暗い。
洞窟、だよな?
海食洞って奴かな?
先行しているパーティの姿は暗がりの中に消えていく。
うむ。
オレ達も追いかけないと、な?
陣容は?
探索役はジーンにしましょう。
前衛はティグリスとレーヴェで。
支援役は瑞雲。
そしてナイアス。
出現する魔物次第では瑞雲は剛亀と交代を考えよう。
まずは一戦してみたい。
フラッシュ・ライトで視界を確保して、と。
行ってみましょうかね?
まずは一戦。
相手はグレムリンだ。
その数、4匹。
空中位置のジーンがいてくれて良かったです。
手間要らずでサクッと仕留めて先に進む。
足元は所々に海水が残っているようだが、問題なく進む事ができている。
で、次に遭遇したのが初見の魔物だ。
ゾンビ Lv.1
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 闇属性
来た。
定番の魔物、来たぞ!
3匹、という数も初見であれば無理のない数だろう。
これはどんな奴だ?
まあ定番なんだろうけどな。
傷付けた相手までゾンビ化しなければ問題にならないだろう。
そんな相手であればもっと大騒ぎになっている筈。
まずは戦ってみましょうか?
結論。
さすがゾンビだ、タフですな!
動きは鈍い。
こう言ってはアレだが剛亀よりも鈍い。
攻撃力もさほど高いように思えない。
つか当たらない。
わざとトンファーで受けてみたが、腕を振り回して殴ってくるだけのようです。
威力もそんなにないようだ。
問題はタフである事だ。
HPバーも目に見える速度で回復しているのが分かる。
それにHPバーがなくなったのと同時に動かなくはなるのだが。
そこからもHPバーが回復しやがりますよ?
どうすれば仕留められるのか。
スケルトンの場合は骨の中に人魂のような存在が2箇所あって、それを散らしたら済むが。
こいつの場合は頭蓋骨を砕いたらいいようだ。
時間はかかるが、ナイアスでも相手が出来る。
1対1で、という条件がつくけどね。
だが手間はかかるのも間違いない。
いい方法ならある。
サンシティフィ・アンデッドを使ってみた。
これがもう効くのですよ!
HPバーの回復速度が目に見えて遅くなった。
それに動きが更に鈍くなる。
サンシティフィ・アンデッドで消費するMPバーもそう痛くない。
これは楽でいいね!
更に先へと進む。
ゾンビに再び遭遇する。
今度は定番の弱点を確認してみよう。
火魔法の攻撃呪文はそう効かない。
残念。
全身がずぶ濡れのようにも見えるし、これは仕方ないのかね?
闇魔法の攻撃呪文はまるで効かない。
その代わりに光魔法の攻撃呪文は良く効いている。
つか良く分からないな。
効き過ぎて一発で沈んでしまうし。
他の攻撃呪文の効き具合も確かめた。
単体の攻撃呪文一撃でも沈まないとは、中々タフである事も間違いないようだ。
そしてここまで、ゾンビは何も落としてこない。
宜しい。
ここからはサクサクと進めていこう。
そう思った所で広間に出た。
かなり広いようだ。
それに支道が5つもある。
どれもそこそこ大きい。
いくつかのパーティもいるようだ。
互いの行き先を見ながら先に進む支道を決めているようだが。
オレはどうするか?
一番左から行こうかね?
ここからなんですが。
ゾンビのタフさ加減が強化されてきましたよ?
レベル4あたりが多い。
光魔法のコンフューズ・ブラスト一撃では沈まなくなりました。
まあどうせ頭蓋骨を砕かないと止めを刺した事にならないしいいんですけどね。
サンシティフィ・アンデッドを仕掛けてから光魔法のライト・エクスプロージョンを使うとどうなるか?
全滅です。
でもすぐに起き上がってきます。
なんじゃこれ。
でも止めを刺すだけになるし、ゾンビを見付けたらこのコンボが非常にいいのだ。
ナイアスも楽が出来るし。
困るのは瑞雲だ。
まあゾンビの攻撃はまるで効かないんですが。
MPが、吸えない。
スケルトン系相手と同様に、である。
そうなるとグレムリンを相手にMPを吸うしかなくなる。
でもグレムリンの機動力には到底敵わない。
待ち伏せした所を透過するグレムリンに貼り付いてMPを吸い上げてはいる。
オレもソーン・フェンスで茨の壁を築き、グレムリンからMPを吸い上げ易くはしているんだが。
グレムリンでは不足?
いや、総合的に見てここの魔物との相性が悪いのだろう。
得られるアイテムがグレムリンから剥げる石ころしかないのはまだいいんですがねえ。
だからこれはいい機会になった。
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『瑞雲』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
瑞雲だがここで交代にしておこう。
ここまで攻撃呪文の支援はオレだけでも十分賄える感じだし。
おっと。
ステータス値で既に上昇しているのは精神力だった。
もう1点は生命力を指定する。
瑞雲 ミストLv5→Lv6(↑1)
器用値 3
敏捷値 3
知力値 20
筋力値 1
生命力 6(↑1)
精神力 19(↑1)
スキル
飛翔 形状変化 物理攻撃透過 MP吸収[微] 闇属性 火属性
うむ。
十分にここまで頑張った!
でも相性が悪すぎたな、ゴメン。
瑞雲はここで帰還させよう。
召喚するのは無明だ。
アンデッドにはアンデッドで。
ゾンビには相性がいいだろう。
グレムリンにも特殊能力で対応は可能だ。
本当は剛亀を召喚したいんですが。
探索が一通り終わるまでは止そう。
足場も悪いしな。
またしても広間に出た。
足元が砂浜状になっていて、天井も高い。
周囲にはいくつかのテントも見える。
テント?
ここって中継ポイントなのか?
試しにテントを設営してみたが確かにログアウト可能のようだ。
《召喚モンスターも同時に帰還させますが宜しいですか?》
《Yes》《No》
警告もありました。
ここは勿論、《No》を選択する。
まだログアウトするような場合じゃないし。
さて。
紅蓮の報告書のネタバレ部分を読みたくなってくるが、ここは我慢しよう。
この先には何があるんですかね?
支道は4つある。ここでも一番左を進んでみよう。
時刻は午前11時ちょうど。
行けども行けども洞窟は続く。
魔物も変わらない。
壁を左手に付けてずっと進んでいたのだが、行き止まりは既に3つもあった。
そこはいずれもゾンビの群れがお出迎えである。
当然、殲滅。
ノー・マーシー。
戦闘そのものはいいのだが、何がクリア条件なのかが分からない。
何が鍵になっているのだろうか?
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ナイアス』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
4つ目の行き止まりのゾンビの群れを片付けたらナイアスがレベルアップしてました。
順調ですな。
どの召喚モンスターもレベル4までは順調に育つような気がする。
気のせいかもしれないが。
この戦闘ではダツ顎の槍で戦ってみたのだが、最後の方で顎がぶっ壊れてしまっている。
ダツの顎の耐久力って。
貫通力は高いのだが、これが困る。
ナイアスのステータス値で既に上昇しているのは知力値だ。
もう1ポイント分のステータスアップは敏捷値を指定しておく。
ナイアス マーメイドLv3→Lv4(↑1)
器用値 15
敏捷値 15(↑1)
知力値 19(↑1)
筋力値 6
生命力 6
精神力 16
スキル
両手槍 水棲 変化 夜目 呪歌 水属性
うむ。
彼女には引き続き探索行に付き合って貰いましょう。
時間もいいので行き止まりの場所でインスタント・ポータルを使う。
昼飯にしよう。
一旦、無明を帰還させ、文楽を召喚する。
ダツ顎の槍の補修を終えた所で周囲に奇妙な光景が。
ゾンビがまた行き止まりであるこの場所に集まりつつある。
これは。
インスタント・ポータルを出た瞬間に戦闘になりそうです。
ゾンビがすぐ傍で蠢いているのを見ながら食事する気分は?
正直、いい気分ではありませんでした。
文楽の作った料理が不味い筈はないんだが。
楽しめないです。
ここはさっさと先に進むべきだな。
食事は早食いで済ませ、文楽を帰還させる。
無明を再び召喚した。
さて。
集まってきているゾンビは20匹近くいるようだ。
では殲滅させるとしようか。
サンシティフィ・アンデッドを選択して実行。
インスタント・ポータルを出ると、すぐに使っておく。
「サンシティフィ・アンデッド!」
同時に襲い掛かる召喚モンスター達。
数は多い。
弱体化したゾンビが相手だ。
次々と倒して頭蓋骨を割っていった。
ティグリスとレーヴェは噛み砕く。
黒曜は嘴で頭蓋骨を突く。
ナイアスも槍で顔面を貫いて破壊する。
無明も獄卒の錫丈で頭蓋骨を叩き割っています。
殴打武器になってるな。
まあ間違ってはいないが、何となく釈然としない。
オレは出来るだけ槍で相手をする事にした。
突きで攻撃。
出来るだけ眼窩を貫く事を意識する。
そして突く動作の正確さも重要だが、戻す動作も重要だろう。
ダツの顎が折れ易いのはオレの腕が未熟なせいだ。
うむ。
順調に壊れずに使えてるかな?
だが順調なばかりではない。
後方から脅威が迫っていた。
新たなゾンビの群れ。
どう見ても10匹以上、いるな。
いかん。
一番後ろにいるのはナイアスだ。
ナイアスも後方から迫るゾンビに気がついたようだ。
そして洞窟の中に響き渡る声。
いや、歌だ。
母音だけの、単純な音程からなる、音の連続。
やすらぎを感じる。
後方から迫っているゾンビの赤いマーカーの全てに状態異常を示すマーカーが重なっていく。
おお。
凄いな!
マーカーは弱体化を示している。
サンシティフィ・アンデッドと効果は一緒か。
だが急いだ方がいい。
ナイアスのMPバーだが一気に3割ほど減ってますよ?
「ライト・エクスプロージョン!」
少し時間を置いて全体攻撃呪文を放つ。
全滅です。
ナイアスの歌と併用したら効率良さそうです。
MPバーの減りもあるし、そう何度も使える手段ではないか。
うむ。
もっと強力なアンデッド相手には頼りにさせて貰いたい。
でもゾンビ程度ならオレのサンシティフィ・アンデッドで行こう。
ナイアスは無理しちゃダメだからね!
召喚モンスター
瑞雲 ミストLv5→Lv6(↑1)
器用値 3
敏捷値 3
知力値 20
筋力値 1
生命力 6(↑1)
精神力 19(↑1)
スキル
飛翔 形状変化 物理攻撃透過 MP吸収[微] 闇属性
火属性
ナイアス マーメイドLv3→Lv4(↑1)
器用値 15
敏捷値 15(↑1)
知力値 19(↑1)
筋力値 6
生命力 6
精神力 16
スキル
両手槍 水棲 変化 夜目 呪歌 水属性




