180
「リターン・ホーム!」
ここ2日、ログアウトはインスタント・ポータルを利用してきた。
ちゃんと風霊の村に跳べる筈だ。
風霊の村が眼前に見える。
ほんの数日の筈なのに様子がまるで違う。
そりゃそうだ。
小麦畑は豊穣な実りがある事を主張している。
何名かのファーマーが刈り入れ作業をしているようだ。
まあ半分はNPCのようだが。
村の中心の広場では対戦も行われているが、プレイヤーの姿は少ない。
外で狩りに出ているのだろう。
そしていつもの建屋の前に荷馬車と幌馬車。
見慣れた生産職のメンバーもいる。
フィーナさんと話し込んでいるマルグリッドさんもオレに気がついたようだ。
「速ッ!」
「文字通り飛んで来ました」
リターン・ホームはいい。
それにインスタント・ポータルも。
遠征にいいな、これ。
場所を変えて依頼品の受け取りをする事に。
テーブルに着席。
差し向かいでマルグリッドさん、斜め向かいにフィーナさん。
ヴォルフはオレの座る椅子の横でお座り。
ヘザーはヴォルフの頭の上である。
で、ティグリスとレーヴェは何故かマルグリッドさんの両脇で伏せの状態に。
お前達。
ご主人様はオレだって分かってるよな?
「じゃあ早速、これが依頼の品になるわね」
静かに机上に置かれた2つの宝石。
大きさはどちらかと言えば小さい方だが。
輝きが違う。
ツァボライトとはまた違った緑色?
多面体カットなのだろう。
手に持って様々な角度から見ると輝きが微妙に異なってくるが、違った美しさがある。
それに台座も宝石にも負けない輝きがある。
その紋様は角度によって見える模様が変わっていくようだ。
凄いな、これ。
「カットはまだいいのよ。台座は師匠なしじゃ加工できなかったわね」
「難しかったんですか?」
「指導なしじゃ無理。【鑑定】してみたら驚くわよ?」
宝石を手にして【鑑定】する。
【素材アイテム】アレキサンドライト 品質A- レア度6 重量0+
クリソベリルの変種。太陽光下では青緑、蝋燭光下では鮮紅に変色する。
希少な宝石で、大きい石は更に少ない。
魔法発動には色相変化が鮮やかな石である事が大きさよりも優先される。
[カスタム]
台座に呪符紋様『風紋』が刻まれている。
え?
何この品質?
もう1個も同じである。
つか宝石の大きさも揃っているな。
「凄いですね。宝石でこの品質は見たことがないです」
「それにこの宝石だけど特性を2つ持ってるのよね」
「2つ?」
「MP消費減少、それに他の宝石の効果そのものを強化するみたいよ?」
なんですか、それは?
「簡単に言えばツァボライトの上位互換。まあ首飾りを出してみて」
「あ、はい」
首飾りを外してマルグリッドさんに渡す。
あっという間に組み替えてしまう。
いや、ツァボライト2つは外したままだ。
「ま、予想通りかしらね?」
そう言って渡された首飾りだが。
今までツァボライトのあった位置にアレキサンドライト2つがセットしてある。
当然【鑑定】してみる訳で。
こりゃ凄いな!
【装飾アイテム:首飾り】白銀の首飾り+ 品質C+ レア度3
M・AP+20 重量1 耐久値120
銀の玉鎖で作られた首飾り。銀製の鎖としてはかなり丈夫。
魔法発動用に強化されている。
[カスタム]
アクアマリンを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。
アレキサンドライトを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。
ブルースピネルを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。
アイオライトを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。
※回復呪文効果が増、呪文のMP消費が減、宝石の特殊効果を強化
状態異常抵抗の判定が小上昇、呪文射程が微増
「白銀の首飾りの強化としたら現時点で最高レベルだと思うけど?」
「凄いですね、これ」
「余ったツァボライト、どうする?」
「1つはこの子に使いますよ」
ヘザーを呼んでベルトのようにして装備する腕飾りを外した。
レッドジャスパーを外してツァボライトを嵌め込む。
【装飾アイテム:ベルト】白銀の腕飾り+ 品質C+ レア度2
M・AP+7 重量0+ 耐久値60
銀の網鎖で作られた腕飾り。
網鎖にすることで非常に軽いが、その分、耐久性は低い。
魔法発動用にも使える。
[カスタム]
ツァボライトを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。
※呪文のMP消費が微減
うん。
ヘザーにはいい装備ですな。
「もう1つも別の子に使います」
そしてナインテイルを召喚する。
フィーナさんもマルグリッドさんも少し驚いた顔だった。
クラスチェンジした姿を見るのは初めてか?
ナインテイルの装備する首飾りには元々ツァボライトが1つ使われている。
首飾りを外して宝石を組み換えよう・
中央にレッドジャスパーを嵌め込む。
その両脇にツァボライト。
これでどうだ?
【装飾アイテム:首飾り】白銀の首飾り+ 品質C+ レア度3
M・AP+10 重量0+ 耐久値90
銀の捻り鎖で作られた首飾り。軽量で丈夫。
魔法発動用に強化されている。
[カスタム]
レッドジャスパーを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。
ツァボライトを嵌め込んだ台座を連結して強化してある。
※回避判定+1、呪文のMP消費が減
いいじゃん。
ナインテイルに装備させて上げよう。
つか何で装備させて即、マルグリッドさんの膝の上に移動するのか。
媚を売るな!
つかその場所を代わって!
「じゃあ精算する?」
フィーナさんがそう言うと腰を上げたのですが。
いや、こっちにもまだ用件があるのですよ。
「あ、追加で買い足したい物が色々ありまして」
「何かしら?」
「新しい召喚モンスターに装備を買い与えたいんですが」
「順調に増やしているのね。サキを呼ぶ?」
「革装備じゃない方がいいような気がしますが」
「え?」
「見て貰った方が早いみたいですね」
うん。
そうしましょう。
相談するにしても実際に見て貰った方が理解はされ易いだろう。
ヘザーを帰還させてナイアスを召喚する。
人型で召喚されたナイアスを隣の椅子に座らせた。
「この子なんですが」
なんだろう?
複雑な視線を感じます。
少し時間を置いて口を開いたのはマルグリッドさんでした。
「キース、貴方の手持ち装備に真珠はあったわよね?」
「ええ、ありますが」
「この子に装備させてあげて。話はそれからにしましょう」
マルグリッドさんが立ち上がるとナイアスに寄り添うように座る場所を変えてきた。
えっと?
「真珠装備でステータスペナルティを緩和できるの。早くしてあげてね?」
ええ?
そんな事が?
ナインテイルを帰還させると黒曜を召喚する。
その首元にある首飾りを外すとマルグリッドさんが奪うように手に取った。
長さを調整するとナイアスの胸元に装備させる。
なんという早業。
ナイアスの胸元の首飾りを改めて【鑑定】してみる。
フィーナさん。
邪な目的じゃないですよ?
必要だから【鑑定】してるんです!
【装飾アイテム:首飾り】ミスリル銀の首飾り+ 品質C+ レア度5
M・AP+12 重量1 耐久値150
ミスリル銀の鎖で作られた首飾り。
魔法発動用に強化されている。
[カスタム]
複数の真珠を首飾りの全てに嵌め込んで強化してある。
※水魔法強化[中]
うん。
何が効いているのか?
今度はナイアスのステータスを見てみる。
ナイアス マーメイドLv1
器用値 15(-1)
敏捷値 14(-1)
知力値 17(-2)
筋力値 4
生命力 6
精神力 15(-1)
スキル
両手槍 水棲 変化 夜目 呪歌 水属性
おやあ?
確かにペナルティが緩和されているな。
でもどうしてマルグリッドさんが知っているのか?
「これで平気の筈。どう?」
「ペナルティはかなり緩和されてますね」
聞けば此花というマーメイドを召喚したサモナーの依頼で真珠装備を作った経験があったんだとか。
ああ、あの交流会にいましたね。
「で、この子なんだけど。装備一式でいいのよね?」
「ええ」
「とりあえず恥ずかしくない格好にしないと話も出来ないわ。この子、借りるわよ?」
「お願いします」
「予算は十分にありそう?」
「ええ、まあ」
「じゃあ任せといて」
マルグリッドさんがナイアスを連れて何処かに行ってしまった。
既にマーメイドの装備を整えた事があるなら任せた方がいいか。
だが。
オレの目の前にはフィーナさんが。
笑顔だ。
だけど怖いな。
「弁明の機会はあげるわ。変な事はしてないでしょうね?」
いかん。
誰か弁護士を呼んでくれ!
まあフィーナさんなりにからかっただけのようでしたが。
でも時々、怖い視線が飛んできた気がします。
油断ならんな。
「まあ運営が何もしていないみたいだし。これでも信じてるのよ?」
オレの心境を察した言葉なのだろう。
恐縮するしかありませんがな。
そんな所で黄色い声が聞こえてきた。
マルグリッドさんがナイアスを連れて戻ってくるのは、いい。
サキさん、レイナ、ミオ、レン=レン、ヘルガ、優香と女性陣が一気に増えてますが?
「このスケベ」
ミオからは肘鉄を食らってますが痛くない。
ナイアスは以前とまるで異なる表情でそこに立っていた。
微かな笑顔。
それでいて僅かに恥じらいの表情。
もうたまらん。
「コーディネイトにもっと幅が必要?」
レン=レンは不満顔でそう言い放つ。
どうやらナイアスに装備させているローブに納得していないようだ。
「これでいいのよ。水中活動も考慮したらこれで限界なんだから」
マルグリッドさんの反論には根拠がある。
だが女性陣の話は続く。
口を差し挟む事は不可能だ。
オシャレ談義とかオレにはハードルが高すぎる。
「じゃあ説明だけしておくわ」
ミオとレン=レンが髪型について熱く語っているのを横目にマルグリッドさんの説明を受けた。
ナイアスの装備について、だ。
基本、水中で活動する事も前提にしているので、軽装だ。
胸元には水着兼用でトップス。
腰には巻きスカート。
これにレインコートと服を兼用でポンチョ。
そしてサンダル。
まともな防具は手甲だけだ。
武器は当然、槍になる。
【鑑定】もしておこう。
【武器アイテム:槍】旗魚の槍 品質C+ レア度4
AP+12 M・AP+4 破壊力2 重量2 耐久値140
攻撃命中確率上昇[微] 水属性
突撃カジキの角を穂先とした突く事に特化した槍。
刃がなく斬る事はできない。僅かだが魔法発動の助けにもなる。
短槍サイズでかなり軽くて扱いやすい。
水属性を備えており、僅かな確率だが命中率が向上する。
【防具アイテム:腕カバー】闘魚鱗の腕カバー 品質C+ レア度3
Def+3 重量0+ 耐久値100
バトルフィッシュの鱗を繋ぎ合わせた腕カバー。
非常に軽く出来ている。
「此花の話だとこの格好でも普通に戦闘は出来るみたいよ?」
「そうなんですか」
「でも忘れないでね。かなりの軽装だから。飽くまでもソーサラーのポジションと考えた方がいいわ」
「勿論です」
「水中戦闘に移行する場合は巻きスカートにポンチョは脱ぎ捨てる形になるから。気をつけてね?」
「了解」
ミオとレン=レンの議論はまだ続いている。
脱線していた。
ガールズトークの深遠を見た思いがする。
何の話なのか理解し難い。
アンダーだのトップだの、ゴルフですか?
「じゃあお昼の用意をしますね」
ミオはそのままに優香が食事の用意に席を立つ。
「あ!私もやる!」
ミオも優香の後を追う。
それでもガールズトークは終わらない。
なんてこったい。
「で、精算もあるんですがこれもお願い出来ますか?」
取り出したのは宝石だ。
ツァボライト。
それにオパールになる。
「磨くのが怖いのが来たわねえ」
そう言うとマルグリッドさんは【鑑定】しながらブツブツと呟き始めた。
何か自分の考えを纏めるようだが。
「オパールの台座の素材、奢ってもいい?」
「え?」
「これもかなりいい出来になると思うの」
示された金額は手持ちから払えるが、かなり目減りするのも間違いない。
だがここは出し惜しみなしだ。
「お任せします」
「了解。暫くはここにいるのかしら?」
「いえ。遠出になるとは思いますが、いつでもここに跳んでこれるようにします」
「分かったわ。出来上がったら連絡するわね」
「お願いします」
「じゃあ精算でいい?」
フィーナさんはずっと計算をしていたようだ。
その金額は恐るべきものであったが問題ない。
琥珀は全部、それに変性岩塩(聖)も少しだけ残して売り払ったので余裕は出来た。
宜しい。
準備は出来たか?
いや、黒曜の装備がなくなってしまったな。
予備で取ってあった白銀の首飾りを取り出してみる。
だがいずれもヴォルフ、ティグリスといった猛獣用サイズだ。
長すぎるな。
「これ、このフクロウ用のサイズに出来ますか?」
「うん?ここで出来るわよ。サービスでやってあげるわ」
目の前でマルグリッドさんに調整して貰い、あっという間に黒曜のサイズに代わっていく。
外されたパーツも渡された。
「宝石は要る?」
「いえ、依頼した物で賄いたいですね」
「ああ、そりゃそうよね」
そうだな。
暫くは黒曜も格落ちの装備になる訳だ。
心しておこうか。
「ヘイ!皆の衆!メシが出来たぞ!」
ミオの号令が響き渡る。
荷物の搬入をしていた男衆も加わって一緒に昼飯を摂る事になった。
会食ですな。
ナイアスはオレの隣で静かに座っていたのだが、食事を終えたレイナとヘルガに捕まっていた。
髪を結ってあげる、という事らしい。
つかナイアスに教え込むつもりのようだ。
ま、いいか。
ナイアスも楽しそうだし。
喋る事はしないが、意思の疎通はなんとなく出来ているのも面白いな。
オレはオレでリック達と色々と話し込んでいた。
互いに情報収集である。
魔人は各所で現れているようだ。
オレが狩場にしていた十二神将と似たような場所が他にもあるらしい。
南には黄道十二宮をモチーフにしたかのような迷宮。
北には北欧神話をモチーフにしたかのような迷宮。
まだ未確定だが東にある鬼の島にも新たな洞窟が出来上がっているようだ。
そして既に十二神将の情報もリック達は掴んでました。
掲示板情報だけだったが。
これに補足する形でオレも実体験を話しておいた。
「ドラゴンか」
「キースで苦戦するレベルじゃ当面は厳しい?」
「しかも連戦となると、クラスチェンジは必須?」
「選抜チームでも派遣してみる?」
「いいえ、ここは攻略チームに任せておきましょう」
話のネタには互い事欠かない。
フィーナさん達にもレムトから運んできた大量の荷物を搬入する作業が残っているのだ。
会話が一区切りついた所で辞去する事にした。
樹木にグロウ・プラントを掛けに行ってみたらハンネスもいた。
呪文をいつも通りに掛けておく。
それを確認すると、梅、栗、桃の実と野菜類とキノコと併せて分けてくれました。
もうすぐ柿も収穫出来そう、とはいい知らせだ。
村の畑の方は収穫時期なのでグロウ・プラントの必要はないらしい。
しかしアレだ。
こうして見ているとハンネスが闘技大会本選に出場している強者にまるで見えない。
失礼は承知だ。
若手の農家にしか見えない。
いや、ファーマーだから間違ってないんだが。
ハンネスの所も辞去する。
さて。
ナイアスを加えて狩りをしますか?
無論、やりましょう。
村の外に出ると陣容を変更する。
黒曜、ティグリス、レーヴェは帰還させる。
残月、ヘリックス、リグを召喚した。
これにヴォルフとナイアスの布陣となる。
残月にオレとナイアスが騎乗、リグにはナイアスの防御を任せる狙いだ。
とりあえず村の周辺でラプターやフロートアイ、アンガークレインを相手にしてみよう。
後ろにナイアスが同乗しているので。オレ自身は長柄の得物を振り回すのは控えた。
ナイアスにはオレの代わりに攻撃を担当して貰おう。
無論、最初はフィジカルエンチャント・ファイアで筋力値を底上げしておいた。
ナイアスは非力だ。
そうでもしないと戦えないだろう。
でもさほど戦闘に支障はないようだ。
これは残月に拠る所が大きい。
ナイアスが軽く突くだけの攻撃でもその打撃力はかなり向上しているようだ。
ラプターも問題にならない。
それにナイアスは槍で攻撃するだけに留まらない。
水の針を繰り出して攻撃も出来る。
むしろこの攻撃がメインにするべきなのだろう。
アンガークレインが一発で瀕死になる程度の威力はあった。
だが最も恐るべき能力はこれでもない。
歌だ。
その声はオレにしてみたら非常に心地よい音律である。
歌詞はない。
いくつかの音階をゆったりと渡り歩きながらの母音のみで構成される歌だ。
音域はアルトかな?
だがその歌声に対し、フロートアイの群れは次々と地面に落ちていってしまっていた。
状態異常だ。
マーカーに目を凝らすと眠っている事が分かる。
子守唄か。
ナイアス、恐ろしい子!
眠った所で馬上から槍で止めを刺すだけの簡単なお仕事です。
無論、ヴォルフやヘリックスも眠ったフロートアイなど一撃で仕留めてしまう。
残月も踏み潰してしまえばそれで終了となってしまう。
強烈な支援効果ですな!
その反面、MPバーの消費も大きいようだ。
まだレベルが低いし、そこは仕方がないが。
でも残月に騎乗していたら回復にも有利だ。
問題あるまい。
大丈夫か?
大丈夫、だよな?
宜しい。
もう少し、魔物の難易度を上げようか。
西へ向かおう。
今度は闘牛も相手に狩りをしてみようか。
ラプターを蹴散らしながら西へ向かう。
それにしても、リグの奴め。
オレの背中に胸が密着するのを阻止してやがる。
役得があるかと思ったのに!
つかリグに役得なのか?
スライムなのにおかしいだろ?
まあリグから伝わるぷよぷよ感はそれなりに感じ入る所があるんですが。
むしろ密着する事でナイアスが馬上から落ち難くなっているようである。
うん。
分かる。
ちゃんと目的があって間に挟まっているんだよね?
でも期待はしていたこの気持ちはどうしたらいい?
八つ当たりするしかないではないか!
広域マップでW3に突入したのを確認。
さて。
闘牛狩りだ!
理不尽なオレの怒りを知るがいい!
とはいえトレインは止そう。
周囲に少なくはあるが、プレイヤーもいるようだし。
コール・モンスターも駆使してプレイヤーのいない場所に誘導しながら戦いましょう。
マグネティック・コンパスも使って方位を確認。
最初のうちは少ない数を相手にするかね?
コール・モンスターを使う。
今日はケンタウロスの姿が見えない。
なんだろう?
狩りの目的じゃないから都合はいいんだが、
まあ、いい。
さっさと闘牛を呼ぼう。
久々に肉の群れだ。
違った。
闘牛の群れだ、
十二神将のお供にもいた闘牛ですが、やはり群れがいい。
突っ込んでくる所を壁呪文で削ってやれば、後は止めを刺すだけ。
ナイアスにも出来る簡単なお仕事?
そうでもない。
たまにタフな奴が混じっているから困る。
そういう相手はオレが呪文でどうにかするんですがね。
順調です。
死肉喰らいの襲撃もまるで障害にならない。
まあナイアスのレベル上げに来ているんだし、あまり強い相手でも困るんだが。
やっぱり、いかんな。
もう少し、強い相手が、いい。
隣のW4マップに行くか?
まだ行った事がないN1W3かS1W3マップに行くか?
そうなるとリスクが高いんだよな。
それに移動しているうちに夕刻になってしまうだろうし。
悩ましい。
悩まし過ぎる。
霧の泉に到着したのは午後6時ちょうどだった。
いくつかのテントがあり、拠点として活用されているみたいだが。
驚くべき事に小さいながらも畑があった。
それに梅の木もある。
簡単なログハウスらしき建物まであるじゃないの。
開発の手がもうここまで来ているのか。
時間は早いが食事にするか。
残月を帰還させて文楽を召喚する。
剥ぎ取ったばかりの腿肉と野菜類を渡して夕食を作らせよう。
場所は当然、泉の近くだ。
そこに川が流れ込んでいるのですが、その川の流れにナイアスが足を入れて遊んでいる。
実に嬉しそうな顔でオレを見てきますが?
ふむ。
和むな。
新婚旅行?
いやいやいやいや。
気分だけならタダです。
これ位ならセーフ。
絶対に、セーフ。
そうに違いない。
食事は楽しかったです。
オレは文楽の作った煮込みとパン。
ナイアスには蟻人の蜜を舐めさせて上げました。
口移しで。
嘘です。
オレの人差し指に少量取ってナイアスに舐めさせてあげた。
だってそれが手っ取り早いのですよ。
恥ずかしそうな顔を見せながらオレの人差し指を舐めあげるナイアス。
セーフ。
なんとか、セーフ。
偉いぞオレの自制心。
垢BANの危機は去った。
ややゆっくりし過ぎたかな?
ヴォルフにも蜜を舐めさせていたらもうすぐ午後7時か。
うん。
ナイアスもそうだが、剛亀もレベルアップを図っておきたい。
移動速度の遅そうな剛亀の相手は何がいいか?
十二神将がいいんじゃないかな?
平原では機動性が求められるし。
金剛力士や牛頭と馬頭のペアにしても相性がいいとは言い難い。
十二神将のお供相手であれば他の召喚モンスターの助けもあれば勝ち抜けられるだろう。
但し、ドラゴンパピーは除く。
闘鶏、カーリーラビット、ヒッピングラット、レッドシープ。
条件付だがキラーエイプでもいいかもしれない。
十二神将の相手は当然だがオレがやればいい。
うん。
一旦、風霊の村にリターン・ホームで跳んで、南の洞窟に移動しよう。
十二神将に挑戦するのは明日からでもいい。
そうしよう。
夕闇は更に深くなってきている。
陣容を変更しておこう。
ヘリックス、文楽、リグは帰還させよう。
召喚するのは無明、瑞雲、ティグリスにした。
瑞雲にはナイアスの護衛役をやって貰おうかね?
エリアポータルである霧の泉の領域を出るとリターン・ホームで風霊の村へと転移した。
到着。
村には今の所は用件はない。
このまま南へ向かおう。
但し、徒歩になるが。
まあ今日のうちに洞窟入り口近くにまで行けたらいいのだ。
インスタント・ポータルもあるのだし、辿り着けなくたって大きな問題になるまい。
気楽なものだ。
ゆっくり移動のついでにホーンテッドミストをメインに狩りをする予定だ。
スケルトンラプターもウェルカムである。
無明には獄卒の錫杖を渡しておく。
ホーンテッドミストが相手だと使い勝手は分かり難いだろう。
でもスケルトンラプターが相手なら分かると思う。
後はフロートアイだな。
まあ、数が多くなければ呵責の杖だけでどうにか出来る。
久しぶりにゆっくりとした移動になりそうなので、ダウジングも使った。
手持ちの黒曜石はもう殆ど残っていない。
拾えたらラッキー、といった所でいいだろう。
マグネティック・コンパスを使って方位を確認して、と。
では。
行こうかね?
単純に移動速度で一番遅いのは瑞雲だ。
瑞雲は誰かに纏わりついて移動するのが常である。
移動には問題は起きない。
そうなると一番足が遅いのはナイアスになる訳だ。
だがこの程度で歩くのが困難となれば、地上での探索行動には完全に不向きであろう。
今の所、苦しそうな素振りはない。
ステータスにも変化はないようだ。
むしろエンチャント系は全て使ってあげたいのではあるが。
限界があるのかどうか、見極めておきたいのであった。
イジメじゃないよ?
ホーンテッドミストやフロートアイを適当に狩りながら進む。
スケルトンラプターは2匹しか襲ってこなかった。
ナイアスは距離を置いて戦っていたのでダメージはない。
むしろ槍だといい感じで距離を保てるのがいいな。
前衛と後衛の中間を埋めるポジションにもなれそうだ。
時刻は午後11時を過ぎた。
まだ洞窟まで少し距離があるか?
だが粘った甲斐はあったかな。
洞窟の手前にある川沿いに到達できた。
ここまで来れたら上々だろう。
ナイアスも大丈夫のようだ。
その一方で黒曜石は中々見付からなかった。
オレがここまでで確保したのはほんの2つ。
途中からヴォルフにもダウジングを掛けて移動してたら7つも見付ける始末である。
い、いいんだ!
く、悔しくなんかないぞ!
川原の手前でインスタント・ポータルを使う。
テントを設営すると召喚モンスター達を帰還させてログアウトした。




