174
増量中?
呪文の効果があるうちに次の立像を目指しました。
広間の間隔は同一だろう。
即ち、大体どの程度走ればいいのかも把握できる訳で。
次も無手の相手ならいいな、と思ってました。
でも残念。
明らかに斧を持ってますね。
それに今度の仏像は肌が白い。
真っ白だ。
摩虎羅 Lv.3
天将 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 水属性
カーリーラビット Lv.6
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上
摩虎羅、か。
マゴラ、と読むらしい。
それにしてもお供がウサギですか。
ウサギならば可愛くていいと思うのですけど。
目が細く釣り上がっていて凶悪な表情に見えます。
それに鈍く光る角もある。
1匹だけだし、他のお供と同等の力量があると見るべきだ。
でもね。
今までと何も変えない。
ウサギは召喚モンスター達の獲物だ。
オレは摩虎羅の相手をしよう。
で、斧使いの摩虎羅なんですが。
斧のくせに大振りしないのですよ。
隙が少ない。
そこが厄介だ。
突破口はやはり斧を持つ右手だ。
斧そのものは片手斧だと思うのだが、両手でも扱う時がある。
両手で持たせるように誘導したい。
脇から腹にかけて隙が出来るからね。
独鈷杵から伸びるのは黒曜石の如き刃身。
土属性の刃なのだが、傍目では地味なんだが。
使ってみるとこれが一瞬だけ煌くのですよ。
摩虎羅の篭手に攻撃を撃ち込む度に弾ける僅かな火花。
それが何倍にも増幅するように反射するのだ。
美しい、な。
だがこの摩虎羅、結構しぶとい。
結局、斧を落とす事はなかった。
最後まで着実にオレを攻撃してきたあたり、実にしぶとかった。
地味に積み重なったダメージは4割にもなっていたし。
侮っていてはいけませんな。
ウサギはどうか?
首をクリープに噛まれて胴体まで巻かれてました。
これは酷い。
護鬼達も戦闘に介入できません。
毒を受けていたようで、仕留めるのに時間は掛からなかったけどな。
どれ程の強さだったのか、結局分かりませんでした。
護鬼もクリープもそこそこダメージがあったし、強敵だったとは思うのだが。
回復呪文とポーションでHPバーを全快にしていく。
まだまだオレのMPバーには余裕はあるが、気にしておいた方がいい。
思わぬ消費を強いられる可能性もあるだろう。
次の広間に到着。
でもすぐに立像に近寄る事はしない。
今度の仏像の得物は弓矢だったからだ。
弓矢、か。
オレと1対1でまともに勝負してくれるかな?
自信はない。
腰に短剣らしきものも身に着けているし、弓矢を奪えたらなんとかなりそうなんですが。
そしてこの立像なのだが顔が真っ赤だ。
まるで赤鬼ですな。
どうしよう。
むしろ召喚モンスター達に集らせて数で攻めたほうがいいかもしれない。
恐らくはお供も出てくる。
そっちはオレが相手をしたらいいだろう。
さっさとお供を片付けたらオレも参加したらいいのだし。
何にせよ弓矢持ち相手は噛み合いそうにない。
そうだ、そうしよう。
呪文で強化し終えたら近寄っていく。
何者だろうね。
波夷羅 Lv.3
天将 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 木属性
ドラゴンパピー Lv.1
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 ???
え?
ドラゴン?
思考が。
停止。
した。
こら。
固まってる場合じゃない!
外見は?
うん。
ドラゴンと言われなければちょっと大き目のラプターのようにも見えるが。
いや、よく見たら背中に小さいながらも翼がある。
その脚は太く、2足歩行の形でラプターと同様だ。
そして腕も太い。
鉤爪も太い。
目もヤバい。
ヤバそうな気配が満載です。
「練気法!」
武技も追加だ。
そして呪文を選択して実行。
右手に持つ独鈷杵から雷撃の刃身が伸びる。
僅かでいい。
麻痺してくれませんかね?
パピーって事は赤ちゃん?
そこに活路を見出すしかない。
でも【識別】で確認できない項目があるのだ。
不安はある。
格上、だよな?
そう判断すべきだ。
ならば悩む事はない。
ここは全力で行け!
距離を、詰める。
勿論怖いですよ?
でも剣の間合いで戦わなければ勝機はないだろう。
オレと視線が合う。
大きく溜めを作って。
口を開けた。
目の前が灼熱の炎に覆われていた。
ブレス攻撃か?
「ディメンション・ミラー!」
攻撃は何が来るのか分からない。
ならば最初の攻撃は跳ね返す。
正解でしたか?
でもドラゴンパピーに大したダメージがない。
火耐性か、火属性がある?
多分、あるのだろう。
接近は出来た。
だが近寄ったら近寄ったで恐るべき相手であるのが実感できる。
独鈷杵の剣を表皮に何度か撃ち込んでみたんですが。
ダメージ、少な!
無論、麻痺もしないし。
むしろ呵責のトンファーで与えるダメージの方がまだマシだ。
ダメージは少ないが、与える衝撃で体勢を崩せる。
時間を掛けないとダメか。
それもあのブレス攻撃に対処しながら?
自信なんてない。
だがやるしかあるまい。
ブレス攻撃は何度も連続で繰り出せないらしい。
次のブレス攻撃は足元に滑り込む事でなんとか回避した。
危なかった。
直撃したらどうなっていた事か!
代わりに脚の鉤爪に引っ掛けられた。
地味に痛いダメージを喰らう。
「ディフェンス・フォール!」
何にせよ攻撃でダメージを積み重ねないと話にならない。
剣とトンファーで攻撃を続ける。
さっきよりもダメージは通るようになったが、それでもまだ微々たるものに見える。
次の呪文でなんとか出来るのか?
自信はない。
だがやるしかない。
「パルスレーザー・バースト!」
至近距離から呪文を撃ち込む。
どうだ?
だが同時にオレも攻撃を喰らっていた。
今のは?
尻尾だ。
互いに大きなダメージ。
だが収支はオレの赤字だろう。
距離が出来た所で悠然とオレに近寄ってくるドラゴンパピー。
次に何をしてくるのかは分かっていた。
ブレスが、来るだろう。
来た。
瞬間前に飛び込んでから横へとステップを踏む。
肩が熱い。
だが痛みはすぐに止む。
選択して実行してあった呪文もキャンセルされてしまっていた。
諦めてなるか。
次の呪文を選択して実行。
足元に剣とトンファーを撃ち込んでいく。
動きを止めないと。
その一念であった。
また、尻尾だ。
宙に跳んで避ける。
足元を凄い勢いで尻尾が通過する。
せっかく背後を見せてくれたのに反撃は出来ない。
着地した後も攻撃を後脚に集中させる。
動きは多少鈍ったか?
相変わらず麻痺する様子もない。
強い。
強いな。
べらぼうに、強いな!
さすがは、ドラゴン、とんでもないな!
再度、振り回される尻尾を跳躍して避けて呪文を使う。
「リジェネレート!」
長期戦の覚悟は完了した。
いや、準備は完了した。
とことん、付き合おうか?
独鈷杵を雷魔法から氷魔法に切り替えた。
麻痺しないのでは、ね。
攻撃を続行するのだが、氷の刃身でも効果が薄いのか?
動きが鈍る様子はない。
ブレスに目がいってしまうが、恐るべきなのは攻撃ではない。
この防御力も恐るべき代物だ。
状態異常にまるで引っ掛かってくれないとか。
どうしろと?
いや。
まだ手段は残っている。
独鈷杵の刃身を収納すると腰ベルトに差し込む。
やや苦労したが《アイテム・ボックス》から目的の物を取り出した。
獄卒の黒縄。
こいつが通用するか?
試してみない事には分からない。
タイミングは?
尻尾か?
ブレスか?
ドラゴンパピーが溜めの動作をとる。
ブレスが、来る。
来た。
足元へスライディングして回避した。
そして後脚に黒縄を回し掛ける。
縄に輪を作りその中に縄を通す。
片足だけだが拘束できた。
その脚が跳ね上がる。
直撃はしなかったが結構なダメージがあった。
クソッ。
もう片方の脚にも黒縄を同様に回し掛ける。
そして縄をより短く引き絞ってやった。
どうだ?
クリープほど上手にいかなかったが、どうにか両脚を拘束した。
こっちを振り向いて襲い掛かろうとするドラゴンパピーだが。
その両脚から炎が吹き上がっていた。
与えたダメージそのものは小さい。
だが転がす事には成功した。
ここだ。
逃してなるか。
今度は両腕を封じに行く。
黒縄を右腕に引っ掛けて引っ張る。
首にも縄を回し掛けて左腕にも引っ掛けて固定してやった。
途中で噛まれそうになったが、既に縄が首にも絡みついていた。
行動の自由が効かない。
それを理解はしているようだ。
なんとか絡んだ縄を切ろうと首を動かすのだが上手くはいかないようだ。
体中が炎に巻き込まれていく。
縄に手を掛けて首に取り付く。
狙うのは。
目だ。
トンファーの先端を目に突き込む。
呵責のトンファーの取っ手に縄を掛けて、縄を引っ張っていく。
徐々にトンファーがドラゴンパピーの頭部に食い込んでいった。
「ッ!」
急激にドラゴンパピーのHPバーが減り始めた。
よし。
更にもう一押し。
「パルスレーザー・バースト!」
後頭部に直撃。
更に暴れまくるドラゴンパピー。
縄で縛られた状態で暴れた結果、トンファーが更に深く頭の中に突き込まれてしまったようだ。
ドラゴンパピーのHPバーが消滅する。
やったのか?
やった、みたいだな。
うん。
仕留めたらしい。
まだだ。
まだ波夷羅が残っている。
どうなっている?
まだ召喚モンスター達と戦闘中でした。
波夷羅の手には既に弓矢はない。
短剣で護鬼とやりあってます。
ナインテイルが護鬼を癒して支援。
クリープは波夷羅の足元を狙っているのだが、中々上手くいっていないようだ。
こいつ、結構素早いぞ?
だがこれまでに積み重なっていたダメージは大きかったようである。
後方からの黒曜の奇襲をまともに喰らって沈んでしまった。
うむ。
ようやく、片付いたか?
《只今の戦闘勝利で【打撃】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【回避】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【受け】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【ロープワーク】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『黒曜』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
これだけ苦戦しておいて何もレベルアップしてなかったら泣いてますよ。
いや、真面目な話です。
痛いし熱いしもうね。
おっと。
黒曜のステータス画面に集中せねば。
ステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だ。
もう1点のステータスアップは生命力を指定する。
黒曜 ミスティックアイLv3→Lv4(↑1)
器用値 13
敏捷値 22(↑1)
知力値 21
筋力値 14
生命力 14(↑1)
精神力 21
スキル
嘴撃 無音飛翔 遠視 夜目 奇襲 危険察知 天耳 水属性
よし。
ここは急ぐのは止そう。
次の広間にはゆっくりと移動したいです。
《汝らの力を更に示すのだ!》
インフォは以下略で。
脱力しててまともに聞くだけの気力がありませんから!
そしてアイテムは何も得られないのもこれまでと一緒だ。
これはもう何かの罰ゲームに違いない。
ああ、そうだ。
これってゲームでした。
ダメージはポーションで癒しながら先を進む。
出来るだけ、ゆっくりとだ。
冷静になれる時間が欲しかった。
それにここまで進んでみてようやく気が付いた。
マグネティック・コンパスで進んでいる方角はいつの間にか南西になっていた。
あれ?
そう、方角がおかしい。
どうやらこの支道、円を描くようになっているようだ。
つまり、いずれは最初の地点に着くのか?
レギアスの村の西にある森の迷宮のようなものなのだろうか?
それに立像のお供の順番だ。
さっきはドラゴンパピー。
その前がカーリーラビット。
その前はシュトルムティーガー。
その前が闘牛。
その前がヒッピングラット。
さすがに気が付きましたよ?
干支だ。
子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥で十二支。
暴れ闘鶏が酉。
ヘルハウンドが戌。
マッスルボアが亥。
うん。
そういう事か。
では次は巳になるからヘビが出てくるかね?
次の広間に到着した。
今度の立像も赤鬼のように見える。
その得物は槍?
いや、その形状から察するに戟かな?
ゆっくりと考え事をしながら移動していたから呪文の効力は全て途切れている。
改めて全員を呪文で強化していく。
そして近寄ったら例のインフォです。
だがそこに気を回す余裕はない。
【識別】が先だ。
さあ、今度はどんな奴かね?
因達羅 Lv.3
天将 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 雷属性
カーズドバイパー Lv.3
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 闇属性
ビンゴ。
ちゃんとヘビが出現しましたよ?
そして因達羅、ね。
インダラと読む訳だが、これは帝釈天に通じる、らしい。
この辺、関連性が良く分からないな。
ま、いずれにしても雷を司るって事らしいが。
さて。
因達羅の相手はオレがやろう。
ヘビの方は召喚モンスター達に任せた。
先刻のドラゴンパピーより強かったら?
まあそこはそれ、戦ってみたら分かる事だな。
再び右手に独鈷杵、左手にトンファーの二刀流スタイルで因達羅に正対する。
得物として考えたら戟はどうか?
槍は突きに特化した武器だ。
戟はこれに殴打する事を前提にした武器とも言える。
洋風に言えば、ポールウェポンが近いか?
要するに、だ。
先端は槍よりもかなりの重量級である、という点が問題なのだ。
当たれば洒落にならない。
その反面、槍のように素早い突きは飛んで来ない。
筈なのですが。
はえーよ。
因達羅さん、どんだけパワーあるんだよ!
よくもまあこんな突きを繰り出せるものだ。
でもオレの選択はこれまでと変わらない。
懐に深く、進入して、関節を狙う。
突っ込んだ勢いそのままに前蹴りを喰らわせて体勢を崩すと追撃。
独鈷杵から伸びる氷の刃身を、呵責のトンファーを、連続で篭手に撃ち込む。
そして足払いへ。
完全に間合いはオレの距離。
一方的になる筈なんだが、強引に戟を振り回してくる。
強引にも程があるぞ!
結局、独鈷杵は引っ込めて肘関節を極めてから腕返しを仕掛けて投げた訳ですが。
片手で、しかも転んでからも戟を振り回そうとか、しつこい。
三角絞めに極めて仕留めました。
付き合いきれんわ!
カーズドバイパーも何とかなった模様。
護鬼が奮戦、斧で頭部を真っ二つにしちゃってました。
いい音が重低音で響いてたからな。
轟音の鉈はクリティカル発生が分かり易い。
そしてそんな鉈を振り回す護鬼ってばおっかないです。
《只今の戦闘勝利で【蹴り】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【関節技】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【投げ技】がレベルアップしました!》
《汝らの力を更に示すのだ!》
インフォは省略出来ないのか?
まあどうせ聞いちゃいないんだが。
そしてアイテムもなし、と。
これもどうにかして欲しいです。
急いで次の広間へ向かう。
早めに因達羅が片付いたのだし、呪文の効果があるうちに次も片付けておきたい。
次は、午か。
馬の魔物になる筈です。
どんなお供が出てくるのか?
そこにも注目なのですが。
立像の得物ですが、またしても戟だ。
しかも法螺貝も持っているようなんですけど。
肌の色は青い。
で、こいつの正体とお供は何かね?
珊底羅 Lv.3
天将 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 火属性
シフカ Lv.2
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 光属性
お供は馬の魔物のようだ。
芦毛、だな。
綺麗な灰色だが、光の加減で白に近い毛並みに見える。
そして珊底羅、ね。
サンテラ、と読むようですが。
こいつもまた先刻の因達羅と同じ手順でいけるかね?
そうはいかなかったです。
法螺貝が問題でした。
珊底羅が法螺貝を吹く。
広間の空気を振るわせたその音には威圧する効果があったようなのだ。
オレを含めて、動きが鈍る。
その隙を馬が襲いに来るのだ。
広間とはいえ、狭い場所を器用に駆けてくる。
その重量級の馬体だけでも脅威だ。
そんな中、淡々と馬に攻撃を加える文楽。
まるで動じていない。
素晴らしいぞ!
でも先に珊底羅を狙って欲しいぞ!
どうにか法螺貝の音が止んだ。
珊底羅に矢が何本も命中している。
馬の突撃はオレに向かっていたのは幸運と言って良かったのか?
独鈷杵から伸びる水の刃身で脚を払って転んだ所を召喚モンスター達が集って仕留めてしまっていた。
残るのは珊底羅のみ。
ここは全員で仕留めに行こう。
戟を持つ珊底羅はその得物の間合いの長さを活かしてこっちを近寄らせない構えだったのだが。
文楽の放つ矢までは捌き切れない。
そして黒曜の牽制。
隙が出来た所でオレと護鬼、クリープが同時に突っ込んで行く。
そこから先はもう数の暴力で決着が付いた。
珊底羅は戟をまともに使う事が出来なくなってしまい、沈んだ。
まあこっちも無傷では済まなかったが。
《示すのだ!》
インフォはオレの方で省略しておいた。
そしてアイテムも当然なし、と。
十二神将、十二支を当てはめているのであれば、あと残りは2つか。
時刻は午前8時40分。
昼飯の時間を気にして確認してみたんだがとんでもない!
まだこんな時間なのかよ!
濃密な時間過ぎ!
まあそれもいい。
どうやら昼飯の前に十二神将全員と戦えそうだ。
おっと。
11体目に勝てると決めてかかるのはどうなんだ?
自重しろって、オレ。
それに一連の立像がずっと同じインフォで通してきているが、最後の一体には何かあるかもしれない。
12体目は最初から最後まで、聞いておこうかね?
では。
11体目、行ってみよう。
次の広間もまた立像がある。
そしてお供には未、つまり羊が出てくると思われるのだが。
近寄らずに像を観察する。
またしても、戟だ。
そして真っ赤な肌に怒りの表情。
問題はその戟なんだが、長柄のようだ。
長柄か。
今までの戟と同じ感覚で戦うのは危険だな。
間合いを掴んでしまうと怖いのが思い込みだ。
特に成功体験を繰り返してしまうと、疑義の目を向けなくなってしまう事が多い。
ここは慎重に行け。
呪文で強化して近寄るとまたしても同じインフォ。
だがそれよりもオレの意識は出現してくるお供に向けられていた。
摩尼羅 Lv.3
天将 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 塵属性
レッドシープ Lv.6
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 火耐性
摩尼羅、とは?
マニラ、と呼ぶようです。
どこの都市ですかね?
そしてレッドシープ。
名前の通り、真っ赤です。
赤鬼のようなお顔の仏像にお供も真っ赤と来たか。
では。
摩尼羅はオレの獲物だ。
《示すのだ!》
はいはい省略省略。
戟の扱いはなかなか見応えはあった。
でも振り回すだけってのは芸がないと思うよ?
隙が大きくなるだけなんだし。
独鈷杵は使わなかった。
最初から接近して関節狙いだったし。
懐に飛び込む際に多少のダメージはあったが、収支は十分だと思う。
つかポーションで賄える範囲でした。
レッドシープは?
こいつは中々タフだったようです。
つか羊毛がフワフワで攻撃が通じ難いようなのです。
特に黒曜が攻撃し難い様子でした。
最後はクリープが脚に絡み付いて転がし、護鬼が腹に剣を押し込んで始末した。
それも相当、力技に見えたが。
この羊毛って凄いな!
天然のクッションだね!
でもアイテムとしては残らないのであった。
無念である。
次は12体目。
全部倒したら何かが起きる?
《封印を為した者共に仏罰を与えよ!》
《封印を解きし者達に慈悲を与えよ!》
《仏敵を調伏せん!》
《封印を解きし者に告ぐ!》
《汝らの力を示せ!》
今回は最初から真面目に聞いてみた。
でも文言は変わっていない、よね?
うーむ。
目論見通りとは行かないか?
立像はこれまでの連中とそう変わらないか?
得物はメイスかね?
いや、槌だな。
殴打武器を得物にしている立像は初めてだ。
それにしても顔色が緑色ってどうなの?
まあ今までも顔色がいい立像はいなかった訳ですが。
安底羅 Lv.3
天将 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 時空属性
キラーエイプ Lv.7
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上
安底羅、か。
アンテラ、と読むらしい。
そしてお供にキラーエイプか。
レベル高いな!
それにこいつの名前には覚えがある気がするが。
どこで聞いたんだっけ?
まあそれは後にして。
今は戦闘が先だ。
この安底羅なんですが。
なんだろう、槌の攻撃は全て避けてはいます。
だが一番危険な音がしてたりする。
ブォォォン!
これだよ。
風切り音にしてはかなり珍妙な音がしている。
直撃したらどうなるんですかね?
試すだけの度胸なんてないよ!
独鈷杵は風の刃身を使いました。
これが一番、間合いを長くとれそうなので。
小心者かって?
前衛で真っ先に突っ込んでるのに?
そんなオレでも危険を感じる事だってあるのですよ。
ここは無理せず、独鈷杵でダメージを重ねていった。
傍で見たら戦いは一方的に見えたかも?
でも一瞬だって気が抜けない時間が続いた。
あの槌は、ヤバい。
根拠はないけどね。
安底羅を倒しきるのにはかなり時間をかけてしまった。
召喚モンスター達は既にキラーエイプを倒して観戦モードでした。
《封印を解きし者に告ぐ!》
《我らを封印せし仏敵を討つべし!》
《仏敵を調伏せん!》
《次が最後だ!》
《汝らの力を更に示すのだ!》
また聞いたようなインフォだ。
あれ?
次が、最後だって?
実は12体じゃないとか?
うん。
何にせよオレの目論見は外れた訳だ。
仕方ないな。
次に行こう。
次の広間に出た。
だが進むべき支道が2つ見える。
そして広間の中央の立像には見覚えがる。
迷企羅だ。
一周して戻ってきたのは間違いなさそうなんだが。
近寄ってみても立像が動く様子はない。
像に触れてみた。
《迷企羅に挑みますか?》
《Yes》《No》
《十二神将への連続戦闘継続中です。強制戦闘に入ります》
え?
連続戦闘継続中?
《封印を為した者共に仏罰を与えよ!》
《封印を解きし者達に慈悲を与えよ!》
《仏敵を調伏せん!》
《封印を解きし者に告ぐ!》
《これが最後だ!》
《汝らの力を示せ!》
いかん。
考えるのは後だ。
呪文の効果はまだある。
だが残り時間は心許ない。
ここは、使え!
「練気法!」
立像が動き出す。
そして魔方陣から現れる2羽のニワトリ。
迷企羅 Lv.3
天将 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 風属性
暴れ闘鶏 Lv.6
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上、空中 風属性
ここは速攻で行こう。
長引かせて良さそうな気配はなさそうだ。
槍をトンファーで凌ぎながら懐に入り込む隙を窺う。
昨日、最初に戦った時はレベル2、だったよな?
たったそれだけだが、明らかに強くなっている。
リスクなしで中に入り込めそうにない。
ならば、呪文だ。
「エネミー・バーン!」
迷企羅の全身が炎に覆われる。
それでも構えを解かないとか、凄いな!
既に槍の間合いに踏み込んでいる。
後退?
それこそ愚策。
ここまで来たら、踏み込め!
槍の穂先が腕を掠めた。
トンファーで受け流しきれなかったのだ。
だが構わない。
やや間合いは遠い。
だが、行け!
独鈷杵から伸びる炎の刃身が迷企羅の腹に直撃した。
一気に迷企羅のHPバーが減る。
それにも構わず槍を振り上げる迷企羅。
独鈷杵の刃身を収納。
半身に転じて避けながらトンファーで腹を打つ。
再び独鈷杵の刃身を展開。
喉元に剣を突き込んだ。
一気に迷企羅のHPバーが吹き飛んだ。
クリティカルだったか?
多分、そうなのだろう。
暴れ闘鶏は1羽に減っていた。
その1羽も矢を2本受けていて動きは鈍い。
残りHPバーも3割って所だ。
獲物を横取りせず、戦闘を見守っておこう。
《封印を解きし者に告ぐ!》
《我らを封印せし仏敵を討つべし!》
《仏敵を調伏せん!》
《汝らの力は示された!》
《仏敵を祓い調伏せよ!》
うん。
戦闘を終えてみたらインフォの内容が違ってました。
何が悪かったのかは分からない。
連続で、というのが条件?
だが今更検証できないしな。
アイテムが残らないのも同様だ。
何かが変わっているように思えないのですが。
《十二神将の試練をクリアしました!》
あれ?
インフォはあったがそれだけだ。
呪文の効果はもうすぐ途切れるだろう。
オレのMPバーも半分を割り込んだが、ここは安全策で。
継ぎ足しをしておいて、と。
もう一度、迷企羅に触れてみようか。
《薬師如来の間に転移可能です。転移しますか?》
《Yes》《No》
おお。
ここはYesで。
何が始まるんですかね?
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv18
職業 グランドサモナー(召喚魔法師)Lv4
ボーナスポイント残 31
セットスキル
剣Lv3 杖Lv14 打撃Lv12(↑1)蹴りLv12(↑1)関節技Lv12(↑1)
投げ技Lv12(↑1)回避Lv12(↑1)受けLv12(↑1)
召喚魔法Lv18 時空魔法Lv10
光魔法Lv10 風魔法Lv10 土魔法Lv10 水魔法Lv10
火魔法Lv10 闇魔法Lv10 氷魔法Lv8 雷魔法Lv8
木魔法Lv8 塵魔法Lv8 溶魔法Lv8 灼魔法Lv8
錬金術Lv8 薬師Lv7 ガラス工Lv6 木工Lv6
連携Lv13 鑑定Lv13 識別Lv13 看破Lv4 耐寒Lv6
掴みLv10 馬術Lv10 精密操作Lv12 ロープワークLv3(↑1)
跳躍Lv6 軽業Lv4 耐暑Lv8 登攀Lv6 平衡Lv3
二刀流Lv11 解体Lv8
身体強化Lv9 精神強化Lv10 高速詠唱Lv12
魔法効果拡大Lv9 魔法範囲拡大Lv9
装備 独鈷杵×1 呵責の杖×1 呵責のトンファー×2
呵責の捕物棒×1 怒りのツルハシ+×2 白銀の首飾り+
雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×2 雪豹のバグナグ×1
草原獅子のバグナグ×1 闘牛の革鎧+ほか
呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 獄卒の黒縄×1
暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2
所持アイテム 剥ぎ取りナイフ 木工道具一式
称号 老召喚術師の高弟 森守の紋章 中庸を知る者
呪文辞書 格闘師範
召喚モンスター
黒曜 ミスティックアイLv3→Lv4(↑1)
器用値 13
敏捷値 22(↑1)
知力値 21
筋力値 14
生命力 14(↑1)
精神力 21
スキル
嘴撃 無音飛翔 遠視 夜目 奇襲 危険察知 天耳
水属性




