表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/1335

173

 ログインしたのは午前5時30分頃だ。

 テントの外に出ると迷企羅の立像も見える。

 拍手を打って合掌。

 お早うございます。


 早速、文楽を召喚して朝食の用意を進めさせる。

 その間に外部リンクから検索、と。

 検索ワードは迷企羅。

 色々と興味深いです。


 十二神将、ね。

 つか仏様の世界は色々と複雑に絡まっているように見えます。

 迷企羅の他にもいるのかね?

 いや、そうであって欲しい。

 あの四天王の一角、毘沙門天の他にだって3柱の天将がいるといいな。

 つかこのゲームって色々と混ざってて実にカオスだ。


 朝食を済ませたら編成だ。

 今日はどう組む?

 文楽はそのまま連れて行こう。

 早期警戒は黒曜にして、と。

 前衛は?

 護鬼とクリープで組んでみよう。

 後衛にナインテイルで。


 さて。

 迷企羅にはいつでも挑戦できる。

 探索を優先だ。

 


 マグネティック・コンパスの呪文も使い方角も確認。

 ではどっちに進むか?

 北寄りの方向に続く支道を進むか?

 南寄りの方向に続く支道を進むか?


 ま、どっちでもいいか。

 北へ行こうかね?

 次は何がいるのか。




 支道では魔物が出てこない。

 それがなんとなく不気味であった。

 で、広間に出たのですが。

 その真ん中に立像がいますよ?

 迂闊に近寄ったらイベントが進んじゃうから遠目で見ておく。


 なんとなく、金剛力士の阿形に近い姿形だが、甲冑を着込んでいるのが大きく異なる。

 右手に持っているのは剣。


 召喚モンスター達を呪文で強化していく。

 オレ自身の得物は独鈷杵とトンファーの二刀流で。

 おおそうだ。

 【解体】もセットしておかないと、な。


 さて。

 やるか。




《封印を為した者共に仏罰を与えよ!》


《封印を解きし者達に慈悲を与えよ!》


《仏敵を調伏せん!》


《封印を解きし者に告ぐ!》


《汝らの力を示せ!》



 それ、昨日も聞いたような感じがします。

 半分以上を聞き流して仏像が動き出すのを待つ。

 そして地面に描かれる魔方陣。

 但し1つだけのようだが。

 何が出てくるのか?



 伐折羅 Lv.2

 天将 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 溶属性



 ヘルハウンド Lv.6

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 火属性 闇属性



 事前に検索していて良かった。

 伐折羅、と書いて「バサラ」と読むそうだが。

 検索先の情報によると、金剛力士と同一視する向きもあるらしい。

 因みに昨日の迷企羅は「メキラ」と読むそうだ。

 キメラ、と読んでしまいそうで困る。


 そしてヘルハウンドか。

 大きな黒犬ですね。




 分かっているね?君達。

 ヘルハウンドはあげよう。

 伐折羅って奴はオレの獲物だからね?


 伐折羅の眼が周囲を睥睨していく。

 目から火が噴出しそうな眼光。

 手にした剣を眼前で捧げ持つと構えた。

 おお。

 何かカッコイイぞ?


 オレもこれに応えましょう。

 独鈷杵から水の奔流が迸って刃身を形成する。

 同じく、眼前に捧げ持ってから構えなおした。


 さあ、行こうか。




 で、この伐折羅なんだが、剣であるが故に間合いはオレと噛み合う。

 楽か、と言えばそうでもない。

 こいつ、見掛け通りのパワーファイターなのも間違いないが、テクニカルでもある。

 隙が少ない。

 オレの攻撃も体を捌いて避けられたりもしてる。


 まだ練気法は使ってないがどうする?

 もう少し、粘ってみよう。

 力押しで倒すのは趣味じゃない。


 徐々に間合いを詰めながら懐に迫る。

 こっちも前に出るのだが、伐折羅もまた前に出る。

 鍔迫り合いの距離に何度もなった。

 いかんな。

 剣戟だけでは突破口が見当たらない。

 搦め手で行こう。


 伐折羅の剣を持つ手をトンファーで受けて右手は独鈷杵を手放した。

 右手で肘を押さえる。

 伐折羅の右腕をたぐって肘関節を極めてから折りに行く。

 折れません。

 今度は逆回転に体を反転して伐折羅の腕を担いだ。

 そのまま、投げる。

 変形だが一本背負いだ。

 梃子の原理で肘を折りにいった。


 綺麗に投げる事はできなかったが、結果は十分。

 肘は折れた。

 剣も手放してしまっている。


 残った左腕を振り回してくるが、その腕に飛びつくと左肘を伸ばしに行った。

 飛び付きの腕挫十字固めだが。

 凄いよ。

 オレの体は浮いたままだ。

 腕だけでオレの体重を支えるとか、体格に見合わない剛力。

 素晴らしい。

 実に戦い甲斐のある相手だ。

 普通じゃ考えられないのがまたいい。


 そのまま地面に叩きつけられそうだったが、その前に技を解く。

 腕返しに行く。

 だが投げられない。

 痛めた腕で、しかもパワーで凌がれた。


 今度は背中側へ左腕を担いで背負い投げた。

 肘も折る。

 今度は綺麗に投げきった。

 いや、綺麗と言うのは適切ではないか。

 頭から地面に投げ落としたのだから。



 両腕を封じてその上で首に足を絡めて絞めた。

 そのまま絞め続け仕留める。

 練気法に頼らず仕留めた事には大満足だ。


 ヘルハウンドは?

 クリープが顎に巻きついてますけど。

 黒犬の体には何本も矢が突き刺さっている。

 地面を転がりながら前脚でクリープを剥がそうと暴れてるが効果は薄い。

 クリープの受けていたダメージはナインテイルが癒していた。


 黒犬に護鬼が斧を叩き込み、黒曜が眉間を嘴で突いた。

 それでヘルハウンドは沈んだ。

 まさに数の暴力。

 気の毒に。



 だが気の毒な存在はここにいる。

 オレです。

 伐折羅もヘルハウンドもアイテムを残さなかったのでした。


 無残。



《封印を解きし者に告ぐ!》


《我らを封印せし仏敵を討つべし!》


《仏敵を調伏せん!》


《汝らの力を更に示すのだ!》



 また聞いたようなインフォだ。

 聞き流しながら状況確認、と。

 問題はない。

 では次だ。

 この広間にも支道への入り口がある。

 その先に別の仏像がいるであろう事は容易に想像できた。


 呪文の効果があるうちに次の広間で待つ仏像に挑みたい。

 急げ、急げ!






《汝らの力を示せ!》


 インフォなんて聞いてなかった。

 どうせ一緒だ。

 聞き流してますが何か?



 宮毘羅 Lv.2

 天将 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 灼属性



 マッスルボア Lv.5

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 土属性



 宮毘羅、か。

 クビラ、と読むらしいが。

 コンピラ様、と言われたら聞いた事があったんですけどね。

 伐折羅とはまた違った姿で怒りの形相。

 得物はまたしても剣だ。

 今度のお供は猪。

 結構、デカい。

 だがこれも今まで通りで。

 オレが宮毘羅の相手をする。

 召喚モンスター達でお供の相手をして貰おうか。


 呪文の効果はまだ余裕がある。

 さっさと狩っておこうかね。




 うん、

 始末は出来たんだけどね。

 宮毘羅を腕拉十字固めに極めた所で意外な反撃を喰らっちゃいました。

 足を噛まれたのだ。

 しかも結構なダメージになりましたよ?

 いや、本当になんでもあり、反則なしであれば噛む事だって有効だろう。

 甘いのはオレの方なのだ。


 マッスルボアも奮戦したらしい。

 どうやったものか、黒曜が結構なダメージを喰らっていたんですが。

 ナインテイルが回復させていたし平気だけどね。

 猪の最後はある意味悲惨でした。

 毒のダメージでHPバーが消えてしまう。

 気の毒に。




《汝らの力を更に示すのだ!》


 また聞いたようなインフォで以下略。

 それにしても、まあ何だ。

 何もアイテムを残さないのがデフォなんでしょうか?

 悲しいです。






《汝らの力を示せ!》


 今回は最初から最後までちゃんと聞いてました。

 呪文の掛け忘れがないか、確認はしてましたけど。



 毘羯羅 Lv.2

 天将 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 土属性



 ヒッピングラット Lv.4

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 風耐性 土耐性

 


 毘羯羅、か。

 ビカラ、と読むらしい。

 今までの仏像とは違って肌が赤い。

 そして得物は三鈷杵。

 独鈷杵とは形状が異なっているな。


 

 で、ネズミが3匹、魔方陣から出現してます。

 意外だったが、こいつ等には苦戦しませんでした。


 三鈷杵は独鈷杵と同様の武器だった。

 黒曜石にも似た刃身。

 でもオレは最初からまともに相手しなかった。

 一気に密着する程、懐深くまで接近する。

 足元から崩して草刈りで倒して寝技に持ち込んだ。


 三鈷杵を持っていた腕をアームロックで極めて壊してから決着まではすぐでしたね。

 そして反省。

 今までの連中もまともに戦うんじゃなかったか。


 ヒッピングラット3匹は動きが素早い分、仕留めるのに苦戦したようである。

 素早いとは言ってもこっちは数で勝っていた。

 1匹が仕留められたら後は早かった。

 数の暴力って怖いな。

 最後の1匹はナインテイルに混乱させられた挙句に嬲り殺されてました。


 可哀想に。



《汝らの力を更に示すのだ!》


 インフォは一応聞きますが以下略。



「キュ?」


 ナインテイルが得意気に鳴く。

 うむ。

 文楽とクリープは大人しいしな。

 護鬼もクラスチェンジ後はややおとなしくなっている。

 黒曜は普段から余計な声は出さないし。


 すぐ次に行くけどな。

 あまり大きな声を出すなよ?





 次の広間に到着。

 インフォは一応全て聞いたのですが。

 仏像が気になる。

 何か良さそうな得物を持ってるじゃないですか!



 招杜羅 Lv.3

 天将 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 光属性



 闘牛 Lv.3

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上



 まだ呪文の効果はある。

 本当は途切れる前に戦いたいのではあるが。

 足を止めて観察したくなるな。



 招杜羅、ね。

 ショウトラ、と読むそうだが。

 怒りの表情はまあいい。

 青い肌。

 大きな違和感がある。

 そして得物が太刀だ。

 太刀なのだ。


 抜いた刃身には美しい刃紋が浮かんでいる。

 重花丁子かな?

 銘が何なのか気になるが、倒したら消えちゃうのだ。

 気にしても仕方ない。


 それにお供が闘牛ですよ?

 肉、残してくれるんだろうか?


 おっと。

 時間が勿体無い。

 さっさと戦いますか。


 レベルが地味に高かったが問題ない。

 太刀を大振りしてくる分、隙を突くのがむしろ簡単でした。

 背後をとって片羽絞めに。


 そのまま闘牛と召喚モンスター達の戦いぶりを観察する。

 どうなんだろう。

 明確な前衛がもう1枚、あった方がいいのだろうか?


 護鬼も以前よりも装備もいいしクラスチェンジだってしている。

 闘牛の突進をギリギリで凌げているのだが、負担が集中している印象は拭えない。

 後衛に位置する文楽かナインテイルのどちらかを交代すべき?

 まあもう少し様子を見よう。


 ここでもクリープがナイスアシスト。

 毒を与えては牽制攻撃。

 護鬼の攻撃も所々で効果的に命中している。

 クリープが気になるのか、闘牛は目標を定めて攻撃ができなくなっている。

 闘牛が1頭で良かった。

 2頭だと苦戦してたような気がする。


 黒曜が後方から闘牛の後頭部に襲い掛かる。

 連続で突かれて闘牛が沈んだ。

 お見事。



 そんな風に観察してたらいつの間にか招杜羅は仕留めきってました。

 なんとまあ。

 床に転がっている太刀も消えていく。

 勿体無い。

 ほぼ活躍してなかったよね?



 もはや聞き飽きたインフォだが、その後に聞き逃せないインフォが来てました。



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ナインテイル』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 そしてナインテイルがクラスチェンジ目前に。

 うむ。

 これは交代し難いな。


 ナインテイルのステータス値で既に上昇しているのは知力値だ。

 もう1点は精神力を指定した。



 ナインテイル 赤狐Lv6→Lv7(↑1)

 器用値 10

 敏捷値 20

 知力値 21(↑1)

 筋力値 10

 生命力 10

 精神力 21(↑1)


 スキル

 噛付き 回避 疾駆 危険予知 MP回復増加[微] 光属性



 数字の並びが崩れたが仕方ないな。

 先々で調整するしかないか。


 それにしても、だ。

 闘牛、何も残さなかったな。

 無論、招杜羅も何も残さない。


 無残。




 今更ですが。

 お供に出てくる魔物って何?

 

 なんとなく、その並びに覚えがあるんだが。

 何だったかな?

 思い出しそうで思い出せない。

 このモヤモヤ感って何だ?




 次の立像は今までとちょっとだけ印象が異なる。

 金剛力士の吽形に近い。

 口を閉じての怒りの表情。

 だが今までの仏像と最も違う点があるのだ。


 得物を何も持ってない。


 これは格闘戦の予感。

 いいぞ。

 これはオレの獲物だからな!


 呪文で一通り強化して仏像に近寄っていく。

 インフォは一応全て聞いたのですが。

 馬耳東風とはこの事か?

 特に気になる事は言ってないよね?



 真達羅 Lv.3

 天将 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 時空属性



 シュトルムティーガー Lv.3

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 風属性



 真達羅、ね。

 シンダラ、と読むそうですが。

 そのまま口にすると非常に無礼な表現になりますね?


 そして今度のお供は虎ですか。

 だがレベルは極端に高くはない。

 それに1頭だけか。

 護鬼達に任せよう。


 期待は大きい。

 どんな戦いになりますかね?



 最初から得物なしで挑みましたが何か?

 それに素手で挑んで正解でした。


 完全に格闘家です。

 本当にありがとうございました。


 打撃良し。

 蹴り良し。

 投げも良し。

 関節技までも良し。


 完璧。


 しかもこいつ、どう考えてもオレよりもパワーはあるのだ。

 だからこそ戦い甲斐がある。

 体格はオレよりやや大きい程度か?

 ここまで戦った立像もそうだが。

 金剛力士や馬頭のようなサイズはない。


 それでも、強い。

 同じかそれ以上の脅威だ。

 何といってもオレの繰り出す攻撃を防御している。

 ディフェンスの次にオフェンス。

 決してエスケイプではない。


 攻防は長かったようにも思えたが短かったかもしれない。

 四つに組んで内股で投げられそうになった所で内股すかしで切り返した。

 そこまでは長かったように思うが。

 アームロックを仕掛けに行く。

 防御しに来た所でマウントに移行。

 後は殴るだけで詰んだ。


 虎は?

 こっちも詰んでいる。

 後脚をクリープに絡められて身動きがとれなくなってました。

 護鬼が多少、ダメージを喰らってはいたが大した事はないようだ。

 腹に矢が何本も突き刺さっていて、なんとも壮絶な様相になっていた。

 奮戦、したのだな。


 護鬼の剣が首元に叩き込まれてシュトルムティーガーも沈んだ。

 うむ。

 いいファイトだったな!


 でもアイテムは何も貰えないのですよ。

 困った事だ。


 おっと。

 呪文の効果が続いている間に次の広間へ行かねば。

 勿体無い。

 ああ、勿体無い。

ナインテイル 赤狐Lv6→Lv7(↑1)

 器用値 10

 敏捷値 20

 知力値 21(↑1)

 筋力値 10

 生命力 10

 精神力 21(↑1)

 スキル

 噛付き 回避 疾駆 危険予知 MP回復増加[微] 光属性

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
初見の十二神将を躊躇せず次々葬るサモナーさん容赦ねぇw
[良い点] 一話から読み返してます。 そろそろ一週間たちそうですが面白いです。 主人公は開始組としてトップを走りそうな頃合いで、他のプレイヤーとの掛け合いを楽しみにしてます。 [一言] 〉マッスルボア…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ