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 サモナーの人数が増えだした。

 無論、召喚モンスター達も増えだした訳だが。

 もうね。

 名前とか覚え切れませんが?

 まあ無礼講なんだしいいか。

 でも皆さん、オレの事は良く知っているらしい。


 あと気になる事もある。

 サモナーさんってオレの事?



「ヘイ!皆の衆!メシが出来たぞ!」


 春菜の号令の元、食事を摂りながら歓談が始まった。

 酒はない。

 だが酒の肴は十分にあった。

 召喚モンスター達だ。

 自然と輪になったサモナー達の中で召喚モンスター達がゆっくりと回っていく。


 まるで競馬のパドックですな。

 ま、それはいいんですが。



 最初に注目を集めたのはカニ2匹だ。 

 カニか。

 生もいいが焼いてもいいんだよな。

 つかカニといいエビといい、どう料理しても旨いよね。


 おっと。

 食材じゃないって。


 無論【識別】もしてある。



 ビッグクラブ/道楽 Lv.4

 召喚モンスター 移動中

 戦闘位置:地上、水中



 ビッグクラブ/蟹江 Lv.2

 召喚モンスター 移動中

 戦闘位置:地上、水中



 うむ。

 ネーミングはちょっとどうかと思うよ?


 次に注目を浴びたのがフェアリーだ。

 まあオレのヘザーとイリーナのミュレな訳だが。

 人気は高いようです。

 特に女子に、だが。

 黄色い声があちこちで上がってます。


 無論、クラスチェンジ組も人気が高い。

 トグロにみーちゃんだな。

 ヘリックスと黒曜は残月の鞍に止まったまま一周させている。

 クラスチェンジ組の召喚モンスターは、オレ、アデル、イリーナ以外にも所有するサモナーはいるそうだが。

 ここにはオレ達しかいない。

 自然、色々と質問も飛んでくるが。


 かわいい、と触ってくる筋が一番多いってどうなの?

 質問じゃないし。


 ライオンのらーちゃんも人気があるようだ。

 まあこれだけサモナーが集まっていて1匹だけだしな。



 夜が迫ってきている。

 あちこちでフラッシュ・ライトの明かりが点灯していた。

 オレも召喚モンスター達を全部帰還させて、陣容を一新する。

 ジーン、ジェリコ、戦鬼、リグ、護鬼だ。

 全てクラスチェンジ組だな。


 注目なのは目立つ存在のジェリコと戦鬼だ。

 その肩に乗っかっているリグも戦鬼の体を這い回っている。


「レッサーオーガ?」


「つまり、この先成長したらオーガは確定、という事か」


 ビーストエイプは何匹かいる。

 だがその数は多くない。

 前衛に向くと思うのだが、明らかに少ないよな?


 話を聞いてみたら、N1W1のスノーエイプを【識別】するのではダメらしい。

 S2とS3の間にある森にいるキラーエイプを【識別】する事で召喚できるようになるそうだ。



「鬼なら東にいますよ」


 そういう話題も提供されていた。

 東のある孤島を鬼が拠点にしているらしい。


「なにそれ!」


「鬼ヶ島?」


 だよなあ。

 その島はあの漁師兄弟に発見されたらしい。

 中継ポータルとなっている島と地続きであるそうだが。

 狩場スポットとしてはかなり難易度が高いようだ。


「地上はいいんですが、洞窟内部はかなり強いみたいです。漁師兄弟も死に戻ってるほどで」


 ほう。

 それは興味深い。

 つか東側は海なんだよな。

 行動するには船が必須か。



 スライムは、と言えば各地で見かける事ができるようだ。

 オレの場合はゴブリンシャーマンに召喚されていたのだが、ちゃんと単体で出現する所もあるらしい。

 但し、召喚モンスターとしては数はまだ少ない。

 オレ以外に3匹しかいない。

 アデルとイリーナの召喚候補にスライムはいると思うんだけどな。

 地味だけど便利だぞ?



 かなり時間をかけてジェリコ達が一周してきた所でまたも陣容を一新する。

 ヴォルフ、文楽、無明、クリープ、瑞雲だ。


 ウッドパペットはオレの文楽以外に2体いた。

 ゲルタ婆様の所でもメタルスキンがいるらしく、召喚可能なサモナーは多いようだが。

 でも戦闘向きじゃないからな。

 


 面白いのはスキル構成だ。

 2体とも料理を付けているそうである。

 その召喚主は2人とも男性だ。

 うむ。

 同志を見つけたぞ!



 それにしても、だ。

 スケルトン、ミストのようなアンデッドは人気がないようだ。

 各々、1匹しかいなかった。

 まあ夜間専用のような所があるしな。


 その一方で多いのは、馬、フクロウ、狼、鷹といった所だ。

 イリーナ曰く、オレの影響って事らしい。

 オレ、何かしたっけ?




「それにしても」


「カニ?」


 スケルトンである無明の場合、その装備でも注目を浴びてましたね。

 まあ分かります。

 派手だし。



 ヴォルフは戻ってくるのにかなり時間が掛かってしまっていた。

 理由は明らかだ。

 あちこちで撫でられまくってました。

 うん。

 まあいいけど。



 一種独特の、そして狂乱の宴は川辺に移動してから最高潮に達した。

 水棲の召喚モンスターのお披露目があったのだ。





 シースネーク/葛篭 Lv.2

 召喚モンスター 待機中

 戦闘位置:水中、地上




 マーメイド/ダナ Lv.2

 召喚モンスター 待機中

 戦闘位置:水中、(地上)

 


 シースネイクはまあさて置いて。

 男性陣の歓声は、まあ分かる。

 オレだって男だ、美人は大好物なのだが。


 まあ、その、何だ。

 胸元のラインがががががが。


 召喚主のプレイヤーは此花という女性サモナーだ。

 彼女の発言で男性サモナー陣の様子が知れるというものだ。

 オレも含めて。



「このケダモノ共めが!」



 失敬な。

 ブラでいいから装備させておいて欲しいものですが。

 いや、ちゃんと用意はしてあったようだ。

 マーメイドのダナは渡された布切れを胸に巻いている。


 ああ、そうか。

 【召喚魔法】がレベル12にならないと、装備させたまま召喚と帰還が出来ないのか。

 納得だ。


 だが待って欲しい。

 胸を隠してあってもエロいんですけど!

 恥ずかしげな様子がなんともいえん。

 俯いたまま頬が僅かに赤らめているとか。


 唾を飲み込む音が鳴り響いた気がする。

 これはいかん。

 【召喚魔法】がレベルアップしたら嫁代わりに召喚する奴が続出するかもしれないな。

 あ。

 オレも新しくもう1匹、召喚できるんだっけ。



「真面目な質問があるんだが」


「何でしょう?」


「【識別】で見ると戦闘位置に括弧付で地上、とあるんだが?」


「ああ、それって条件付ですね」


 このマーメイド、ステータス的にはやや低めになるらしい。

 それと引き換えのように幾つか面白い特殊能力がある。

 まずは呪歌。

 バードと同じスキルだな。

 そして変化。

 完全に人間形態になれるそうである。

 但し、戦闘能力的に旨みはないらしい。


 基本、マーメイドは後衛的な立ち位置と考えるべきなのだろう。

 もしくは嫁ポジションか。

 ゴクリ。



 食事の後片付けが終わったら雑談タイムに。

 オレの周囲での話題はやはり闘技大会が多かった。


 ここにいるメンバーで大会に参加したのは8チームいた。

 その内、一回戦を突破したのは4チーム。

 まあ順当、と言えなくもないが。



「やっぱり先にサモナーが狙われちゃうとキツかったッス」


「同時に自分の召喚モンスターも戦闘除外ですからね。当然ですけど一気に形勢が悪化しました」


 初戦敗退したサモナーの弁である。

 彼等はサモナー2名に狼、虎、蛇、ウッドゴーレムの召喚モンスター4匹で組んでたらしい。

 相手は遊撃で1名、トレジャーハンターがいたらしいが、そのプレイヤーに後衛を突かれたそうな。


「目標が分散して指示が混乱したのも敗因でしたね」


 戦闘ログを見返しながらそう呟く様子は本当に悔しそうに見えた。

 なるほど。

 方針がブレると大変だよな。

 戦闘中ともなると状況がすぐに変化しちゃうし。



 互いに戦闘ログや動画を見ながら大会談義が盛り上がって参りました。

 つかアデルはオレの対戦を録画してあったようだ。


「相変わらずですよねー」


 まあね。

 特に変えたつもりはないし。


「でもやっぱり怖いですよね。最初に狙われそうですし」


「その時はその時だろうなあ」


「一気に形勢逆転を狙ってくると思いますが」


「そうだろうねえ」


 アデルとイリーナの心配も分かるが。

 うん。

 そこも普段通りで。

 普通に行こう。

 普通に。



 さて。

 文楽とクリープを帰還させる。

 ティグリスを召喚して、と。


 17匹目。

 何にしようか?


「さて、17匹目は何にするかね?」


「キースさん?」


「イリーナちゃん!私達も追加できるの忘れてる!」


 召喚リストを眺めながら悩んでみる。

 まだ未召喚のものに絞って、と。



 ライオン

 大亀

 ギガントビー

 ビッグスパイダー

 ビッグクラブ

 シースネーク

 マーメイド



 うむ。

 マーメイドはその容姿だけでも魅力だが。

 今、召喚するのってどうなんだろう?

 このスケベと思われそうな気もするが。

 今まで説明を見てない分も含めて見ておこうかね。



 【ビッグスパイダー】召喚モンスター 戦闘位置:地上、壁面

 大型の蜘蛛。主な攻撃手段は噛み付き。

 糸を駆使して罠を張る事も出来る。

 天性のハンター。



 【ビッグクラブ】召喚モンスター 戦闘位置:地上、水中

 大型の蟹。主な攻撃手段は両腕の爪。

 動きが鈍いが、非常にタフで前衛での戦闘に向く。



 【シースネーク】召喚モンスター 戦闘位置:水中、地上

 水蛇。主な攻撃手段は噛み付きと毒。

 水中行動に適応している。



 【マーメイド】召喚モンスター 戦闘位置:水中、(地上)

 人魚。主な攻撃手段は歌による特殊能力。

 水中行動に適応している。変化する事で地上で普通に行動可能。



「ライオンもいいが、亀、蜂、蜘蛛も召喚できるんだよな」


「私もです」


「またモフモフなのがいいなー」


「アデルちゃん、他の召喚モンスターも充実させて置いた方がいいんじゃない?」


「そうなんだよねー」



 まあ悩む事もないかな?

 こいつにしよう。


「サモン・モンスター!」


 そして17匹目の召喚モンスターが出現した。



 レーヴェ ライオンLv1(New!)

 器用値  7

 敏捷値 14

 知力値 11

 筋力値 17

 生命力 20

 精神力 13


 スキル

 噛付き 威嚇 危険察知 夜目



 名前の意味もそのままライオンです。

 レオンでも良かったんですがね。

 外見は若いオスのようだ。

 ヴォルフとティグリスが寄ってきている。

 うおっと。

 仲良くしろよ?


「グルゥ?」


「ガルゥ!」


「ガァ!」


 意味は分からないが、互いの存在を確認するかのように匂いを嗅ぎあったりしてますな。

 大丈夫みたいだ。



「サモン・モンスター!」


 イリーナが召喚したのはなんと亀である。

 ほう。

 渋い選択だな。



 大亀/墨家 Lv.1

 召喚モンスター 待機中

 戦闘位置:地上



「サモン・モンスター!」


 アデルが召喚したのはビーストエイプのようだ。

 なんとまあ。

 モフモフ、というには微妙だと思うのだが。



 ビーストエイプ/えーちゃん Lv.1

 召喚モンスター 待機中

 戦闘位置:地上



 亀は【識別】していないメンバーが多かったようだ。

 注目の的になってるな。


 ところでレーヴェはどうした?

 アデルに捕まってますけど。

 いや、ヴォルフとティグリスも一緒だ。

 それだけではない。

 他の召喚モンスターも次々と集結しつつある。


「天国よね」


「これ、やってみたかった!」


 春菜とアデルが毛皮に囲まれて同じ顔をしている。

 中毒者か?

 他にも数名、毛皮の感触に魅入られたサモナーがいる。


 ヤバい。

 こういう事態を想定すべきだったか?

 オレの召喚モンスターがどれがどれだか、判別が難しい状況に。


 アデル達が堪能し尽くすのに暫く時間がかかりそうであった。




「ログアウトの時間が迫ってるメンバーはそろそろレムトに戻るよー!」


 春菜の号令でメンバーは減った。

 だが宴は終わらない。

 そろそろログアウト、考えておいた方がいいんじゃないのか?

 半分ほどまだ残ってるし。

 時刻はそろそろ午後9時。

 レムトへの移動時間を考えると、そう長くお喋りするのもどうか?


 仕方ないな。

 インスタント・ポータルを使おう。

 残っているメンバーは30名もいない。

 十分に収まると思うし。



「アデル、イリーナ」


「はい!」


「どうしました?」


「宴は一旦中止、だな。インスタント・ポータルを使おう」


「ここで、ですか?」


「大丈夫だ。多分」


 周囲を飛び回って警戒していたコウモリが何匹もいる。

 既に周囲の魔物は狩り尽くしていたに違いない。

 インスタント・ポータルは問題なく展開できた。

 ユニオン申請をアデルとイリーナに出しておいて中に招き入れていく。



『先にアデルからだ。入ってきていいぞ』


『了解!』


 続いてアデルと共に外にいたサモナー達を次々とインスタント・ポータル内に呼び入れていく。

 召喚モンスターも一緒だ。

 最後にイリーナになった。



「これで全員、ですね」


「インスタント・ポータルって便利!」


 周囲をサモナー達がもの珍しそうに眺めている。

 まあ初めてなのが多いのだろうが。


「これでプレイヤーは各自の判断でいつでもログアウトできるな」


「助かります」


「もっとおしゃべりできるね!」


 まあそうなんだがな。

 早めに寝た方がいいと思うぞ?

 それに聞いた所では、この集会は明日もやるそうだ。

 元気だな、君達。



 インスタント・ポータル内でも対戦モードは使えるようであった。

 試合場は狭く設定しなければならないようだが。


 ログアウト前に対戦を日常としているプレイヤーはそこそこいるようだ。

 それを観戦したり、チーム戦の総評だったり、各方面の攻略情報であったり。

 雑談も結構、盛り上がっている。


 時刻は午後10時。

 お開きとなった。

 オレももう少し起きていてもいいのだが、敢えてログアウトした。


 明日は予選2日目。

 第二回戦になるのか。


 普通に戦うとしよう。

 普通に。


レーヴェ ライオンLv1(New!)

 器用値  7

 敏捷値 14

 知力値 11

 筋力値 17

 生命力 20

 精神力 13

 スキル

 噛付き 威嚇 危険察知 夜目


同行者 アデル&イリーナ&サモナー軍団

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召喚嫁…w
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