15
ミオが昼飯の仕込みにとりかかり、レイナも工房に戻ってしまったので、オレも師匠を迎えに冒険者ギルドに向かう。
それにしても短い時間で実に多くの出来事があった。
なんか色々と知らないことが多くて困る。
知らないって事は罪なんだろうか。
雨はやや強くなってきていた。
町の中を往来する人々も減っていて町そのものが寂しく暗いイメージが強くなっていく。
雨を避けるためにコートやローブで顔を覆う人も多い。
プレイヤーの緑のマーカーも見かける機会がさらに少なくなっていた。
冒険者ギルドの前では師匠がバトルホースの手綱を引いていた。
荷物となる《アイテム・ボックス》はギルド職員さんが持っている。
急いで駆け寄り、師匠のバトルホースに載せるのを手伝った。
「すみません、遅れました」
「丁度用件が終わった所じゃし気にせんでいい。今日は雨じゃし急ぐぞ」
「はい」
町を出る。
雨はより強く降り出して周囲の風景を煙らせていく。
馬での移動も所々でぬかるみがあって残月の馬体を容赦なく汚していった。
手綱を操るのがあまりに不安になるから、フィジカルエンチャント・アクアで器用値は底上げしておく。
それでも乗馬は辛い状況だった。
落馬しなかったのは偶然なんだろう。
町の姿が雨の中に消え、周囲に人がいないのを確認した所で師匠はバトルホースを帰還させた。
続いてロック鳥を召喚する。
オレも残月を帰還させてヴォルフを召喚する。
いつものようにロック鳥の背中によじ乗って傷塞草の採集に向かった。
雲海の上は当然ながら青空が広がっている。
そして寒い。
雨に濡れているのだから寒いのは当然だろう。
師匠は何で平気なのかは未だに謎だ。
ヴォルフに抱きつきながら移動時間を運営インフォを見る事に充てる。
フィーナさんが言っていたプレイヤーの動向についての統計のようだ。
最初にプレイヤー別に行毎の生データが載ったシート。
プレイヤー名は伏せてあり、個人特定を避けるためなのか幾つかの列のデータはマスクされていた。
行数の最後を見ると、プレイヤー数は3,600人を少し超えているようだ。
次のシートは基本的な項目を選択するだけで対象となる人数やら分布を集計するものとなっている。
例えば種族別分布。
人間が過半数を大きく超えており、ドワーフは全体の約10%、エルフは3%もいないようだ。
他にも職業別、スキル別で集計できるようで、それぞれ条件を指定したり、条件別に分布をグラフ化できるみたいだ。
色々と弄って見た。
サモナー職を選択したプレイヤーを調べてみる。
1人しかいない。
オレですよね。
選択したプレイヤー数が少ない順番で職業を並べてみる。
驚くべきなのか、サモナー以外にも1人しかいない職業があったりする。
ソートしたら一番上がサモナーではなかった。
並べてみるとこんな感じだ。
グラスワーカー(ガラス職人)
サモナー(召喚術師)
ストーンカッター(石工)
ラピダリー(宝飾職人)
ランバージャック(樵)
まあオレ以外は生産職な訳か。
以下、レアな選択をした職業を並べて眺めてみる。
フィッシャーマン(漁民) 2人
ブリュワー(醸造家) 2人
セラミックワーカー(陶芸職人) 2人
アルケミスト(錬金術師) 3人
バード(吟遊詩人) 4人
ファーマー(農民) 5人
少し気になるのは吟遊詩人か。
ヘルプで検索して情報を呼び出してみると、魔法職に分類されているようだ。
母数が約3,600人に対して4人というのは少ないよね。
ちょっとだけだが親近感が湧く。
ファーマーから先になるといきなり50人を超えてきた。
マーチャント(商人) 51人
ファブリックファーマー(織物職人) 55名
ファーマシスト(薬師)58名
フィーナさんがプレイしているマーチャントもこう見るとそんなに多くないようだ。
全体の2%を切っている。
ちょっと面白くなってきた。
スキル取得状況からも適当に絞り込んで見てみるか。
魔法とかはどうだ?
魔法スキルを1種以上習得しているプレイヤーを抽出して、魔法技能の取得数別で絞り込んでみる。
一番多く取得してるのは5種類で全体でも1人しかいない。
多すぎるだろ。
オレだって光風水土の4種類で多いけどな・・・いや待て。
召喚魔法も対象、だった。
これもオレかよ!
分布を見ると、1種類取得が過半数をやや上回り、2種類取得と合わせると全体の9割を超えていた。
やはり成長の効率を考えたら、なるべく取得する魔法は絞る方が良いとの判断なのだろう。
オレの場合は成り行きで次々と取得していて後先をほぼ考えていなかった。
その結果がこの様です。
でも反省はしていない。
ふむ。
それはまあ別にいいとして。
プレイヤーの傾向を知るには色々と活用できそうなデータだと思う。
どう使えるかはどうでもいいけど、こういった資料そのものに興味が湧いていた。
数字の羅列の中に数多くのプレイヤーの意思を汲み取る事ができそうな気がする。
それだけなのだが。
スキル別で何か適当にデータ抽出しようかと思ったが、採集場所に到着してしまったので中断することに。
これは後回しだ、時間が余って手空きになったら弄ってみよう。
降りた場所は果たしてどこなのか。
昨日一昨日と来た山中だとは思うんだが、天候が悪くて視界が効かない。
ロック鳥はそんな事はさほど気にならないようで、オレ達が降りると何処かへと飛んでいった。
またとんでもない魔物でも狩るんだろう。
オレはやや緊張しながら師匠の動向を観察し続ける。
昨日のような事がある、油断できない。
「そう構えるな。先に話もあるしの」
師匠がオートマトンを2体召喚すると麻袋を渡していく。
あれ?
今日は《アイテム・ボックス》から出てくる麻袋の数が多いな。
「キース、お前さんの戦い振りは見てて面白い。じゃが難点もある」
「はい」
ここは素直に頷いておく。
なんとなく、分かってはいるし。
「猿のような人間に近い姿形をしておる相手には有効じゃろう。だが魔物はああいった猿ばかりではない」
「・・・」
ですよね。
知ってました。
自分で【関節技】を取得した後に思いました。
でも【打撃】【蹴り】と取得したらとっちゃいますから。
それが漢という格闘生物です。
「そこで今日は別の魔物にしておこうか」
師匠。
そこは違うと思うのです。
少しは手加減というものを加えた上でお願いしたい所なんですけど。
「ま、装備も新調したようでもあるし、全く戦えないような相手は用意せんわい。準備しとけ」
ありがたいお言葉ですが師匠。
目が笑ってます。
一体何を期待しているんですか!
そんなオレに構う事なくオートマトン達は傷塞草の採集に向かった。
ヴォルフとヘリックスは見学だ。
いいよな、君達は見物だけで済むし。
師匠がコール・モンスターで呼び寄せた魔物の姿はまるでシカのようだった。
いや、シカじゃないな。角の形状が違う。ヤギか。
頭に生えた2本の角は小さめで太く、僅かに反っている。
角は前面に向いてないが、ヤギが頭を下げて突進してきたらあの角がどういった役目を果たすのか。
想像するだけで痛みが。
例によって【識別】を行いスクショも撮っておく。
ブリッツ Lv.3
魔物 討伐対象 アクティブ・誘導
なにこいつ。
イヤな予感がする。
事前に開いておいたエンチャント系呪文リストからフィジカルエンチャント・ウィンドを選択する。
呪文詠唱が終わる前に魔物に変化が起きた。
一瞬、角と角の間に電撃が走っていた。
そうですか。
ブリッツと言えば思い当たる単語がありました。
電撃戦をドイツ語でブリッツクリークって言うよね。
名前の由来は速さか。
文字通り雷撃なのか。
ヤギの最初の突進は避けた。
ギリギリ回避した、と思ったが体が一瞬にして重く感じる。
指先に痛みと痺れが残っている。
かつて病院で神経伝導速度検査を受けたのと似た感覚だ。
雷撃を食らっていたのか。
感覚がおかしいので実感できないが、HPバーは3割ほども削られている。
いきなりヤバい。
フィジカルエンチャント・ウィンドの呪文は完成前にファンブルとなったようだ。これは痛い。
呪文リストからメンタルエンチャント・ライトを選択して実行。
ロッドの端近くを持ってヤギに対峙した。
剣道で言う所の平正眼。
そのロッドの先を下げていき、足元を牽制する構えに移行する。
「メンタルエンチャント・ライト!」
雷撃に対する防御策はこれしか考え付かなかった。
どこまで効いてくれるかは神のみぞ知る、だな。
再度頭を下げて突っ込んでくる。
ロッドの先を跳ね上げようとしたその瞬間。
ヤギが飛んだ。
いや、跳んだのだ。
オレの攻撃はスカされてヤギの位置はすぐさま把握する事ができていない。
上を見るな。
人間の目が左右にある以上、上下への視線の移動は大きな隙を生むのだ。
どうせ魔物は背後を衝いてくる。
確かに魔物は背後にいた。
そしてオレは2撃目の雷撃を受けていたのに気がついた。
また体に痺れがある。
HPバーも減っている。
が、一撃目ほど減ってはいないようだ。
メンタルエンチャント・ライトを使った甲斐はあったらしい。
それでも既に4割近くまでHPバーが削られている。
ヤバいな。
あっという間に余裕がなくなった。
フィジカルエンチャント・ウィンドを選択して実行。
その合間にヤギを観察する。
不思議なことにヤギはオレから距離を置いた。
嬲る気なのか。
いや。
なにかが、おかしい。
体が痺れている箇所を確認がてら体を動かしてみる。
まだいけるか。
ヤギを観察し続ける。
違和感の正体は何か、それは追撃がこなかった事だ。
今、間を置いているのは?
当然、再度雷撃による攻撃でオレを仕留めたいからだが。
さてはこいつ、雷撃はそうそう連発できないのか?
今度はこっちから仕掛けてみる。
ロッドの中ほどを右手に持つ。
左足を前に一歩踏み出して半身に構えた。
ヤギからはロッドは見えない位置になる。
「フィジカルエンチャント・ウィンド!」
ダッシュするタイミングを、合わせる事で、更に加速する。
ヤギの見込みを外してより接近することが出来た。
縮めた距離、恐らくはほんの一歩分。
それで十分。
ヤギはこっちを攻撃する様子を見せない。
距離をとるように後ろへと下がる動きを見せた。
半身の構えを反転する。
左手でロッドの先端を掴まえて右手で放つ『逆手回し』の威力を高めるためだ。
もちろん『逆手回し』なんて武技はない。
純粋に動きだけで再現している技だ。
同時に次の呪文を選択して実行をしておく。
ロッドはヤギの顔を真横から直撃して一瞬だがヤギを驚かせたようだ。
その顎に向けて右爪先で蹴り上げる。
成果を確認せずに追撃。
逆手のままロッドを突き入れてやる。
ヤギの眉間にヒット。
丁度いい間合いが出来ていた。チャンス到来。
体を大きく左回転して裏拳を撃ち込んだ。
左手甲はヤギの横っ面を直撃した。さっきロッドで直撃した箇所だ。
ヤギのHPバーはどうなってるのか。
見てみたら2割ほど減っている。
結構削ってると思うのだが、決め手には欠けるか。
「フォース・バレット!」
ロッドから放たれた呪文を至近距離で放つ。
直撃!
だがヤギは呪文直撃に構わず逆にオレに頭を下げて突進してきた。
ギリギリで回避するとヤギの背中に跨った。
ロッドを手放して首に抱きつく。
左手で喉元を抱え込みヤギの右側の角を掴んでロックした。
右手でももう片方の角を掴んで喉元を締め上げる。
ついでに首を捻ってやった。
ヤギの胴体に跨いでいたのを右側に降りてヤギの首に体重をかける。
同時にヤギの首を上に向けるようにして喉元を更に圧迫してやった。
ヤギは当然ながら大暴れだ。
願ったり叶ったりです。
両手をロックしているだけでHPバーが勝手に減ってくれるからだ。
暴れてくれた方が楽でいい。
注意しなければいけないのはヤギの電撃だ。
途中で暴れるのを止める気配がするのだが、どうやら電撃を使うには暴れていると都合が悪いようだ。
動きを緩めたら力を込めて、ゆっくりと、じっくりと、しっかりと絞める位置を深くしていく。
そうするとヤギは暴れ出す。
いい感じのループにできるな、これ。
HPバーが減ってはいくものの、ヤギが足をバタバタさせていると、その幾つかが足に当たって痛い。
ちょっとこれには頭に来た。
ヤギの頭を両手に抱え込んで右膝を喉元に叩き込んだ。
ムエタイで言う所のティーカウ、組んだ状態からの膝蹴りだ。
但しオレの場合は総合的な動きを前提に動いているからベタ足だし体全体を躍動するような膝蹴りではないが。
肘打ちも膝蹴りも多くの格闘技では禁止としている。
単純に危ないからこそ反則技なのだ。
それだけに実戦で反則技というのはどれも有効な攻撃手段になる。
現実では悲惨な結果しかもたらさないけどね!
ヤギは少しだけだが暴れる力が落ちた。効いてるか?
もう一撃、膝蹴りを更に勢いよく叩き込むと明らかに暴れる力が落ちたのが分かる。
好機。
両手でロックし抱えたままだった首を捻る。
なにかが折れるような音と振動を感じながら、捻った勢いを利用して地面に向けて倒れ込んだ。
倒れ込んだ勢いと体全体を使ってヤギの脚を払って地面に投げた。
そのまま倒したヤギの上に跨って、更に追撃を、と思っていたのだが。
ヤギは既に事切れていたようだ。
《只今の戦闘勝利で種族レベルがアップしました!任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
もはやお馴染みとなったステータス画面が現れる。ステータス値は筋力値を上げることにした。
基礎ステータス
器用値 15
敏捷値 15
知力値 18
筋力値 15(↑1)
生命力 15
精神力 19
うん。
数字の並びが美しいな。
次は知力値を上げる事に決定だ。
《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で11ポイントになりました》
《只今の戦闘勝利で【回避】レベルがアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【関節技】レベルがアップしました!》
「のうキース、その戦い方は一体何じゃ?」
「いや、見たままなんですが」
「スノーエイプと戦い方が変わっておらんではないか」
「はあ」
だってしょうがないじゃないですか。
ロッドでも魔法でも大きくHPを削れる技がないのですよ。
自分でも驚きです。
スノーエイプと比べても短時間で仕留めていたと思う。
まあ装備も違っているし、単純な比較はできませんけど。
「アドバイスの仕様もないわい」
師匠の愚痴を聞きながらアース・ヒールでHPを回復して貰う。
そう、魔物の始末もしておかないとね。
ヤギの死体は綺麗なものだった。
まるで流血していない。口から泡を吹いて舌が飛び出しているだけだ。
剥ぎ取りナイフをヤギに突き立てると残されたのは肉塊2つと骨のように細長いものだ。
【素材アイテム】雷山羊の腿肉 原料 品質C+ レア度2 重量1
ブリッツの腿肉。筋肉質で脂肪分が少なく美しいピンク色をしている。
【素材アイテム】雷山羊の腱 原料 品質B レア度5 重量0+
ブリッツの腱。一旦乾燥させたものは料理用として珍重される。
味は基本的にしない。
またレア度が高めなアイテムですか。
どちらも料理にして食えって事か。
「これまた珍しい代物じゃな」
オレが拾い上げた腱を一目見ると師匠の目には驚きの色が宿っていた。
さすがにレア度がここまで高いと師匠でも注目するようだ。
「これはお前さんが昼飯に食った方がええじゃろ。料理はさせておこうか」
師匠は新しくシルバースキンを召喚すると、さっさと料理の用意を始めさせてしまった。
まだ正午には早い。
シルバースキンは師匠の《アイテム・ボックス》から調理器具を取り出し用意を進めてしまっている。
他にも食材を取り出しているし。
師匠の目の前で雷山羊の腿肉2つを《アイテム・ボックス》にしまい込んでおくが何も言われなかった。
そんなオレに師匠は麻袋を1つ渡してきた。
「では傷塞草の採集じゃ。頼むぞ」
一応、目標を自ら定めておいた。
ただ採集するだけではつまらないし。
師匠が召喚した2体のオートマトンだ。
確かに彼らは疲れを知らない優秀な人形であるのかもしれない。
だが負けてなるものか。
こっちもちょっとだけこの作業に慣れてきているのだ。
勝てぬのだとしてもその差は絶対に詰めてやる。
気合だ、気合。
その結果はどうなったかと言えば。
惨敗でした。
差を詰められたかどうかも怪しい。
しかもこっちは疲労困憊だし。
昼飯前までかなり時間の余裕を持たせて麻袋1つ分を採集し終えたので良しとしようか。
「終わったかな」
「はい」
結局、オレが1袋でオートマトンが3袋ずつで7袋分の傷塞草が採集されていた。
苦悶草も麻袋に半分ほどの量がとれている。
なんか今日は苦悶草が多いような気がする。
場所が違うせいもあるのだろう。
昼飯はパンとスープだけだ。
とはいえスープの中にはコラーゲンの塊のような大きな物体が浮いている。
これ、全部食えってか。
師匠は昨日も食べていた狩人熊の掌の清湯蒸し煮のようだ。
【食料アイテム】雷山羊の腱のスープ煮込み 満腹度+30% 品質B+ レア度6 重量2
※効果シークレット
ブリッツの腱をスープで煮込みハーブで味を調えた料理。
腱はプリプリでスープの風味と相まって非常に味わい深いものになっている。
シルバースキンは料理の腕もいいのかね。
レア度6とか何なのよ。
効果シークレットとか怖いんですが。
師匠がなんか凄い勢いで食べ始めている。
オレも負けてられない。
師匠の量の三倍に相当しそうな量のスープに挑む。
うん、旨いな。
腱はプルプル食感、スープを吸い込んでいるのもあって舌で味わうと心地よい旨味も楽しめる。
ハーブの風味は僅かなものなのだが後味に残る爽快感がまたいい。
ミントっぽい?
スープでつけパンもいい。
量の多さが気にならなかった。一気に食べ進めた。
そして全部を食べ終えた所にインフォが来た。
《補助スキル【跳躍】を獲得しました!有効化しますか?》
スキルがまた増えました。
強制取得とか何それ。
不満があるのであれば有効化せずに塩漬けにする事も選択肢にあるんだが。
有効化はしておく。儲けたと思ってるに決まってるじゃないですか!
それにしても不思議なものだ。こんな形でスキル取得がアリとはね。
シルバースキンさんの腕前でそうなっているのか、レア食材を料理したからそうなっているのか。
仕組みはどうなっているのだろうかね。
ゲームシステムの解析とか面白そうではあるんだけど空気は読んでおかないと。
食事が終わると少し深呼吸しておく。
昨日は第二回戦があったからな。
体調をチェックしておく。HPバーは全快、MPバーも全快にもう少しって所まで自然回復している。
師匠は料理の余韻に浸っているように見えるが油断ならん。
だがその機会はこなかった。
「良いかな?下がっておることじゃ。危ないと思ったら森へ逃げるようにな」
師匠の表情は厳しい。
シルバースキンとオートマトンを帰還させると、別のモンスターを召喚するようだ。
同時に3つの魔方陣が地面に生じていた。
そして空だ。
ヘリックスが最初に気が付いていた。
ロック鳥が何かを両脚に掴んでこっちに向かってくる。
それはロック鳥の大きさには及ばないものの、かなりの大物なのは確実だ。
そして討伐対象を示す赤のマーカーも見えた。
目を凝らして【識別】してみる。
カニバリウス・テイパー Lv.???
魔物 討伐対象 アクティブ
それは巨大な象のように見えた。
でも毛深いし色も白黒だし明らかに象ではない。
カニバリウス・テイパー?意味は何だ。
カニバリウスは肉食って意味あたりなのが分かるけどテイパーが分からん。
そこはそれとして。
驚くべき事は他にある。
その魔物もロック鳥もHPバーは減ってるのだが、明らかにロック鳥の方が大きく削られている。
こいつ、間違いなく強敵だ。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv4(↑1)
職業 サモナー(召喚術師)Lv2
ボーナスポイント残11
セットスキル
杖Lv2 打撃Lv2 蹴りLv2 関節技Lv2(↑1)
回避Lv2(↑1) 受けLv2 召喚魔法Lv3
光魔法Lv2 風魔法Lv2 土魔法Lv2 水魔法Lv2
錬金術Lv2 薬師Lv2
連携Lv3 鑑定Lv3 識別Lv3 耐寒Lv2 掴みLv2
馬術Lv1 精密操作Lv1 跳躍Lv1(New!)
装備 初心者のロッド 野兎の胸当て+シリーズ 雪猿の腕カバー
布の靴 背負袋 アイテムボックス×2
所持アイテム 剥ぎ取りナイフ
ステータス
器用値 15
敏捷値 15
知力値 18
筋力値 15(↑1)
生命力 15
精神力 19
召喚モンスター
ヴォルフ ウルフLv3 お休み
残月 ホースLv2
ヘリックス ホークLv2




