1249
「ッ!」
呼吸が思ったように出来ていない。
胸元と脇腹に喰らったダメージが抜けていないからだ。
横隔膜を、動かせ!
窒息する寸前にまで追い込まれているぞ?
『ケェェェェーーーーーッ!』
オレも声を出したい所だが、出来なかった。
顔面に迫るのは膝蹴り?
頭を振って大きく避けたつもりだが、掠っている!
それだけでクラクラする!
これが中々、気持ち良かったりするから業が深い。
意識を手放したら、死ぬ。
間違いなく、死ぬ!
理想の安楽死をしたいなら、こうやって死ねたらい。
そうも思うけど、これってゲームだ!
死に戻って後悔するだけだろう。
『キースさん!』
『本当に支援しなくていいんですか?』
「か、構うな! 周囲の掃討を続けてくれ!」
駿河と野々村の申し出は有り難いがね!
学習して欲しいものだ。
須佐之男命との格闘戦が始まって以降、同じやり取りを繰り返しているぞ?
横合いから襲って来るガルム、だがその全身は網に絡め取られてその姿を消す。
上空から駿河と野々村が支援し続けているのだろう。
いや、オレが勝手にやっている地上戦にそこまで付き合わなくていいから!
『小さき者よ、来たぞ!』
『邪魔者を掃討せよ!』
「お、お構いなく!」
有り難い事に水晶竜とブロンズドラゴンが来た!
いや、この場合は窮地になるかも?
須佐之男命との格闘戦に介入されたら全てが台無しだ!
『シャッ!』
「ッ!」
それでも須佐之男命は変わらずオレを狙って来る!
突き出された手刀は胸元を狙っていた。
右足を前へ、半身になりつつ背中を反らす。
その腕に向けて跳躍、腕拉十字固めを狙う!
だが、極めきれない?
オレの体躯を片腕で支えたまま、地面に叩き付けようとしているのが分かっていた。
折れる確信があれば極めたまま、技を解かなかっただろう。
僅かな差で断念、肘関節の破壊には至らなかったか?
それにしても須佐之男命め、最高だ!
味方から孤立している事など、まるで気にしていない。
オレとしては感謝するしかないのだが。
周囲に展開するドラゴン達に向けて、祈るとしよう。
介入するなよ?
するんじゃないぞ?
『キースの周囲を固めよ! ここを起点に敵を排除する!』
『『『『『『ハッ!』』』』』』
水晶竜の指揮に従っているドラゴン達が地上に戦列を組んでくれているようだ。
だが視線を転じて確認は出来ない。
集中だ、集中!
目の前にはオレが屠るべき相手がいる。
それが神であろうが関係無い!
「フーーーーーーーーーーーッ!」
どうにか大きく息が出来るようになったか?
足を止めた所を見逃してくれるような相手じゃない。
目の前に鬼神のような有様の須佐之男命だ!
「キィャァァァァァァァァァァァッーーーーーーーーー!」
『ガァァァァァァァァァァァァッーーーーーーーーー!』
お互いに獣のような声を出しつつ激突する!
全く、困った奴だ。
このままずっと、戦っていたくなるではないか!
でもこれってイベントなんだよね?
楽しい時間にも必ず終わりがある。
仕方ないけど、出来るだけ長引いてくれる事を祈るとしようか!
《只今の戦闘勝利で【ポールウェポン】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【打撃】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【蹴り】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【関節技】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【投げ技】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【回避】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【受け】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【召喚魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【時空魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【封印術】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【光魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【火魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【雷魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【塵魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【溶魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【禁呪】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【識別】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【看破】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【掴み】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【馬術】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【跳躍】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【軽業】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【投擲】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【ダッシュ】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【追跡】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【気配察知】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【気配遮断】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【暗殺術】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【身体強化】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【精神強化】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【高速詠唱】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【無音詠唱】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【詠唱破棄】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【武技強化】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【耐麻痺】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【耐気絶】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【限界突破】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【獣魔化】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で職業レベルがアップしました!》
《只今の戦闘勝利で種族レベルがアップしました!任意のステータス値2つに1ポイントを加算して下さい》
言葉が出ない。
インフォがスキルのレベアップを告げている。
勝っているのは間違いないけど、信じられるか?
戦闘終了と同時に武技の効果が途切れ、体中の力が一気に抜けてしまっている。
ついでにあれだけオレの中で荒れ狂っていた狂気も消えてしまっていた。
何故だろう、それが悲しい。
充実した時間を過ごせていた筈なのに、おかしいよね?
基礎ステータス
器用値 94(↑1)(-85)
敏捷値 94(↑1)(-85)
知力値 140(-126)
筋力値 93(-84)
生命力 93(-84)
精神力 140(-126)
《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で23ポイントになりました》
立ち上がる事は出来なかった。
体の各所に重たい感覚が残されている!
どうやら武技の後遺症によるステータス異常だけじゃないようだ。
須佐之男命を裸絞めでロックした腕には痺れがある。
装備の上から何度も噛まれていたからかな?
それに組んだ両脚も交差したまま、動かせない。
いや、須佐之男命の死体を後ろから抱え込んだまま、動けない!
須佐之男命ってこんなに重かったのか?
そうでなければオレのパワーが大幅に低下しているって事になるだろう。
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ビアンカ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
抱えていた須佐之男命の死体が消え、少しだけ動き易くなったか?
それはいいんだが、須佐之男命の死に顔を見る事が出来なかった。
ちょっと残念。
どんな表情で死んだのか、確認しておきたかったんだが。
苦悶していただろうか?
裸絞めを喰らっていても尚、憤怒の表情であったのか?
いや死んでも尚、どれ程の狂気に駆られていたのかを知りたかった!
オレの視界に飛び込んで来たのは?
ドラゴン達だ。
転生煙晶竜、エルダードラゴンの長老様、水晶竜、金紅竜、それに紫晶竜?
何故か黄晶竜までいる!
転生煙晶竜もエルダードラゴンの長老様も、元の姿になってしまっていた。
ところで皆さん、寝転んだオレを囲んで覗き込んでいるようだが。
何か面白い光景が見えてますか?
各々、どうも笑っているように見えるんですけど?
ビアンカのステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。
もう1点のステータスアップは敏捷値を指定しましょう。
ビアンカ アークエンジェルLv90→Lv91(↑1)
器用値 42
敏捷値 102(↑1)
知力値 101
筋力値 42
生命力 42
精神力 102(↑1)
スキル
杖 弓 飛翔 浮揚 変化 神霊 神撃
祝福 遠視 広域探査 空中機動 魔力察知
魔力遮断 連携 精密操作 自己回復[小]
物理抵抗[小] 魔法抵抗[極大] MP回復増加[大]
時空属性 光属性 闇属性 風属性 土属性
水属性 木属性 雷属性 氷属性 賛美歌
呪曲
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ヘイフリック』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
『随分とまあ、無茶な奴じゃのう。誰の手も借りようとせん所は特に無茶が過ぎる!』
『人の身で神殺しともなれば普通ではいられんのじゃろ』
『神殺しのドラゴンがそれを言うか?』
『儂は元々、普通のドラゴンじゃったぞ? 普通でなくなったのは誰のせいかのう』
転生煙晶竜とエルダードラゴンの長老様がオレの目の前で言い合いを始めたぞ?
だが、待て。
長老様が普通のドラゴンだった?
果たして信じていいのだろうか?
いや、その後に長老様が漏らした言葉が問題だ。
普通でなくなったのは誰のせい?
今の会話の流れから判断するなら、それは転生前の煙晶竜の差し金って事にならないだろうか?
ヘイフリックのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。
もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。
ヘイフリック バンパイアデュークLv90→Lv91(↑1)
器用値 70(↑1)
敏捷値 69
知力値 69
筋力値 69(↑1)
生命力 68
精神力 69
スキル
杖 剣 刺突剣 刀 小盾 受け 回避 飛翔
空中機動 心眼 変化 連携 二刀流 気配遮断
魔力遮断 宮中儀礼 暗殺術 物理抵抗[大]
魔法抵抗[大] 自己修復[大] MP吸収[中]
MP回復増加[大] 奇襲 吸血 時空属性 光属性
闇属性 火属性 風属性 水属性 氷属性
致死毒 魅了 死霊生成 真祖化
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『アリョーシャ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
『長老様?』
『む?』
『今の言葉、聞き捨てなりませんぞ!』
『確かに。だが金紅竜よ、今は待て。まだ終わっておらぬようだ』
金紅竜も紫晶竜も長老様の言葉に鋭く反応していた。
だが、紫晶竜には他に気になる事があるらしい。
それはオレの目にも見えていた。
地面に寝転がっているオレの視界の中央には何が見える?
浮き島だ!
1つだけだが、残っていたのか!
アリョーシャのステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。
もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。
アリョーシャ グリフォンロードLv91→Lv92(↑1)
器用値 48
敏捷値 105
知力値 47
筋力値 83(↑1)
生命力 83(↑1)
精神力 48
スキル
嘴撃 爪撃 体当たり 飛翔 回避 追跡
掘削 空中機動 遠視 広域探査 夜目
威嚇 強襲 捕食吸収 隠蔽 危険察知
気配遮断 騎乗者回復[小] 自己回復[中]
物理抵抗[中] 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]
ブレス 時空属性 光属性 闇属性 火属性
土属性 風属性 毒耐性 耐麻痺 耐気絶
耐即死
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『バイヨネット』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
これだけのドラゴン達がオレの周囲で円陣を組んでいたのは相応の理由があった訳か。
最後に残った、あの浮き島だ!
オレの頭上に落下する事に備えてくれていたのだと思う。
有り難い。
そして浮き島が残っているという事は何を意味するのか?
紫晶竜の言う通り、まだ終わっていないのだ!
ビアンカとバイヨネットに両手を抱え込まれ、どうにか体を起こす。
情けないが、自力でソーマ酒を服用する事すら出来そうにないぞ?
だが、まだだ。
まだオレは戦える。
でもそれにはソーマ酒の助けが必要だ!
バイヨネットのステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。
もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。
バイヨネット エンジェルナイトLv90→Lv91(↑1)
器用値 76
敏捷値 76
知力値 88
筋力値 51(↑1)
生命力 51(↑1)
精神力 88
スキル
剣 両手槍 杖 弓 小盾 重盾 重鎧 飛翔
浮揚 神霊 神撃 遠視 夜目 連携 空中機動
突撃 吶喊 自己回復[大] 物理抵抗[中]
魔法抵抗[大] MP回復増加[大] 時空属性
光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性
水属性 木属性 灼属性 賛美歌
《イベント『破滅の女神』をクリアしました!》
《ボーナスポイントに10点、エクストラ評価で15点が加点され、ボーナスポイントは合計48点になりました!》
こんなインフォも追加です。
これは一区切りって事でいいのかね?
時刻は?
午前11時10分か。
意外にも戦闘時間は短かったようだ。
武技のリミッターカットの後遺症があったとしてもそんなに大きくない筈。
今のオレの有様は須佐之男命から受けたダメージによるものという訳だ。
しかしよく勝てたな!
どうやって裸絞めに出来たんだっけ?
覚えていない。
誰か、戦闘の様子を動画にしてくれていないかな?
「自力で立てるか? いや、自力でこれを飲めるかの?」
「ちょっと無理ですね」
起き上がってみたら重鎮が勢揃いだ!
目の前にはゲルタ婆様がいる。
その横には師匠もいる。
少し離れてサビーネ女王、護衛役の竜騎士達にジュナさんもだ!
何故か法騎士達を従えた女教皇シュザンヌまでいるぞ?
あの、上空は見えてますか?
浮き島が落下したら大変なんですけど?
それはそれとしてゲルタ婆様が何かを飲ませてくれる。
ステータス異常が一気に解消しているぞ?
ソーマ酒か。
まあこの人なら持っていて不思議じゃないな。
「ここ、逃げた方が良くないですか?」
「そう焦るな。それに戦いはここだけで行われているのではないぞ?」
師匠の顔付きは厳しい。
その言葉の意味は?
ここ以外でも別の戦いが続いているって事だよな?
『紫晶竜殿、我等が巣の幾つかで戦闘がまだ続いております!』
『防御の手が足りぬか?』
『上空の浮き島と同じです! 結界があり容易に突破出来ぬ模様!』
「成程ね、ゴーレム達を操る魔人が引き篭もっているんじゃない?」
ああ、そうか。
ジュナさんが指摘する通り、ダークサモナーが結界の中にいるとなれば厄介だ。
各種オリハルコンゴーレムの戦力そのものはこれまでの中でもかなり高いだろう。
だが、ここにいるドラゴン達にとってはそう大きな脅威ではあるまい。
但し、完全に仕留める事が出来ればの話だ。
各所にあるドラゴンの巣にはドラゴンパピーやレッサードラゴンがいる。
その戦闘力で対抗するのは無理があるぞ!
養育係であると同時に護衛役になるエルダードラゴンもいるけどね。
そのエルダードラゴンもオレの拠点の警戒に参加している程なのだ!
リスクは高い。
そしてここにいる戦力を遊ばせておく事もあるまい。
「手分けして迎撃すべき、よね?」
『その通りだが、上にある浮き島はどうする?』
「今は監視に留めておくべきね。私達もサニアの町へ行くわ。再度、襲撃を受けているようだし」
「じゃあ私も」
「ダメ! キースちゃんはここでアレを監視してて頂戴!」
「は?」
ジュナさん、それはないでしょう?
戦いはお預けですか?
「師匠?」
「お前さんはもう十分に戦っておる。少しは休め!」
肩を軽く叩かれて労ってくれているようなんだけど、オレには逆効果だ。
ここで、監視?
そんな、バカな役目ってあるか!
『では、各所の巣へ分散するか?』
『そうするしかあるまい』
『儂等も連れて行け。結界を破る助けにはなろうしの』
転生煙晶竜も行くのか?
それはズルい。
正直、ズルいぞ!
オレも、オレも戦闘に参加したい!
今になって思う。
狩りや漁に転生煙晶竜が参加出来なかった時、こんな思いをしたんだろうか?
「私も、戦えます!」
「いいから、ここで監視を続けなさい!」
ジュナさんの言葉は厳しい。
だが、どういう事だ?
その目が笑っている。
それだけじゃない。
何で、ウィンク?
分からない。
本当に、分からない事ばかりだ!
「では、出発!」
サビーネ女王の号令に従い、竜騎士達が空へと飛び立つ。
ジュナさんは女王陛下自らが駆る騎乗竜に同乗、他のNPCは?
師匠の召喚したロック鳥はその全てを背中に乗せてしまっている!
その姿が消えて行くのを見送る事になってしまった。
これでここも寂しくなるかと言えばそうではない。
プレイヤーの一部がまだ残っているからだ。
その中には多くの知り合いも含まれている。
召魔の森に来ているいつもの面々は全員、揃っているのではないかな?
状況が状況なのだし、各所の戦闘に参加しておかしくないのに。
ミオと優香、それにアデルとイリーナなどは悠長に料理まで作っている!
何を作っているのかはもう匂いだけで明らかだ。
カレーだな?
当然だけど、出来上がったら堪能する事にしよう。
気分はキャンプか何かみたいになっているけど、いいのか?
いいのです!
いや、戦闘に参加出来ない事は別だぞ!
遠目には一応、浮き島が見えていた。
但し、インスタント・ポータルの中からだ。
距離も相応にあるから、落下したとしても被害はそう心配しなくていいだろう。
律儀にこのまま監視を続けるか?
今のオレの脳裏にそんな考えは無かった。
プランなら、ある。
結界を突破する手段なら、ある。
問題はその後でそどうするかを考えていた。
最後に残った浮き島、その意味は?
オレがあの島の直下にいた際、落ちていてもおかしくなかった筈。
分からない。
世の中、分からない事が多過ぎる!
いや、このゲームの意味が分からない。
そもそも平行世界だか異世界だかの話はどうなっているんだ?
久住め!
八つ当たりかもだが、問い詰めてやろう。
その前に顔面を殴って、あの軽薄な笑みを消してやろう!
「なあ、キース」
「何だ?」
「気付いてるか? 結構、凶悪な顔をしてるぞ?」
いつの間にか隣に与作が来ていた。
凶悪だって?
いかん、いかんぞ!
どうやらオレは久住を殴る事に思いを馳せ過ぎて、妄想していたみたいだ。
そしてきっと、笑っていたに違いない。
今、考えるべき事はこれじゃない。
あの浮き島に侵入、その後でどうするかの方も大事ですよ?
「あの島に殴り込み、するんだろ?」
「ああ。分かるか?」
「良かった。今回は予測の範囲内だったか」
「おい、まさかここにいる連中って」
「参加するさ。何、危険そうだってのは全員が理解出来てる」
おいおい!
本気か?
各所で襲撃があるみたいだし、そっちに回ってくれてもいいと思うのだが。
ここにいる人数はどう見ても百名を下らない。
プレイヤー全体の数と比較したらかなり少ないが、それでも油断ならない。
闘技大会無差別級で見ている面々が多くないか?
「あの島に行くんでしょ?」
「ええ。ですがこの人数、いいんですか?」
「いいのよ。NPCと私達は違う。自分で考え、判断し、そしてここにいるだけよ」
「はあ」
フィーナさんも来た。
いや、言っている意味は分かるんですけど。
この人数で殴り込みって、ただの戦争じゃないか!
「しかし、いいんですか? 何が起きるか分からないんですが」
「それ、もう慣れたわ」
「はあ」
しかし困ったな。
こうなるとプランを変更せねばならないぞ?
オレの目論見は単純、魔人の指輪だ。
そうでなければ魔神の指輪だ!
結界を抜けられると思うのだが、どうなんでしょう?
確実と言い切るには弱い。
実際にやってみないと分からない所もあるのです!
要するにだ。
そもそも前提から予測というか希望的観測が含まれている。
行動するのがオレと配下の召喚モンスター達だけであれば気が楽だ。
どんな結果であってもオレだけの責任で済む。
「いいんですかねえ」
「いいんじゃないかしら?」
「いいと思うけどな? 何、皆もお祭りに参加するようなもんだろうさ!」
お祭りに例えるのはどうかと思うけどな。
戦いの連続になって、殺伐とした雰囲気になっておかしくない。
「結界はあるけど、侵入出来そう?」
「魔人の指輪を使います。多分、通過出来るかと」
「じゃあ私達が同行するとして、例の手が使えそうね」
「【闇魔法】の呪文、シャドウ・ゲートですね」
「ええ。与作、我慢して待機出来そう?」
「ああ、それが問題ですかねえ」
インスタント・ポータルの中はもうカレーの匂いで充満している。
そして揚げ物をしているようだが。
メニューはカツカレーかな?
何名かは必死の形相で玉子の殻を剥いている。
ゆで卵もありそうだ。
料理をしている一角もあれば有意義に対戦で過ごす者達もいる。
しかも3面もだ!
そのうちの1つでは何と格闘戦が展開されていた。
片方は駿河だ。
その相手は?
何と戦隊チームの桃色、各務か!
見事なテンカウを喰らって駿河が吹き飛んでいる!
おいおい。
駿河は生きてるか?
確かこの両名、現実では姉弟だと聞いたが。
容赦無しで追撃の蹴りが放たれている!
だが駿河も素早く間合いを切っていた。
しかも防御姿勢も様になっている。
もしかして、格闘戦の素養があるのではないだろうか?
単に姉弟喧嘩をし慣れているだけかもだが。
「肩慣らしが要るな。そうは思わないか?」
「ああ、要るな。でも、ウォーミングアップに留まるかどうかが問題だ」
「確かに」
「貴方達、対戦はいいけど装備をボロボロにして台無しにしないでね? サキが泣くわよ?」
「「えー?」」
いや、その心配はありませんって!
装備は修復出来る。
格闘戦で破壊に至るようなダメージはそう簡単に与えられないからだ。
与作が体を揺する様子を見ながら思う。
今日は、いい日だ!
ここまで充実した格闘戦が続けられるなんて!
あの浮き島の中でも格闘戦向けの相手はいるかな?
是非、いて欲しいものです!
《只今の戦闘で【打撃】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【蹴り】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【関節技】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【投げ技】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【掴み】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【跳躍】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【軽業】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【耐久走】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【追跡】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【耐気絶】がレベルアップしました!》
クソッ!
いきなり負けてるよ!
敗因は何だ?
お互いに武技も呪文も無しなのは理由にならない。
与作は普段以上に基本に徹していたように思える。
それも柔道の基本にだ!
与作がゲーム開始当初、柔道のルールの枠から外れる攻防に苦慮していたのは知っている。
対応する為に他の格闘技の要素を取り入れていたのも知っていた。
だが、今日の与作は違う。
終始、柔道だ。
しかも綺麗な柔道?
打撃と蹴りの要素が皆無であったから、恐らくはそう言っていいだろう。
密着していたから分かり難いけど、そこだけは確かだ。
変わった点は単純、組んだ際の崩しにあると思う。
以前は力任せな所があったけど、こっちの動きに合わせて力を逸らしているような?
それでもオレの放った打撃と蹴りは何度もいいのが入っている。
関節技に投げ技も絡めて連続で攻撃し続けていたのだが。
背負い投げのカウンターで裏投げを喰らい、ダメージで逆転されてしまっていた。
勝敗は判定で決着、僅かに届かなかったか。
反省点は?
柔道家に柔道の技を仕掛けるなんて、無茶でした!
でもね、それでこそ意味も大きい。
カウンターを使わせる隙すらない、そんな投げを磨くべきであるのだ!
そこを再確認出来ただけでも収穫と思う事にしよう。
しかし凄いのは敗北していながらスキルにレベルアップがあったりする事だな。
それは与作には悪いが、他の思い当たる要素がある。
須佐之男命、恐るべし。
ツィツィミトルは一発でアッサリと沈んでしまった分を補って余りある強敵だったのだ!
経験値の持ち込みがあったに違いない。
「もしかして、次は東雲か?」
「ああ、そうだ。因みに順番待ちが出来てるぞ?」
「そうか。昼食前までに終わりそうかな?」
「判定勝負になるとどうかな? 長引くと飯が食えんかもな」
「そりゃあ困った」
ギブアップを狙うべき?
多分だけどそうすべきだ。
問題は目の前にいる東雲にそれが可能かどうかだろう。
背は低く重量があり、当然だが重心は低い。
関節技も投げ技も掛かり難いし、タフだから打撃も蹴りもダメージを重ねないといけない。
速度差があるから攻撃そのものは入るけどね。
捕まったら技も何も、パワーだけでどうなるか分からない。
パワー面の怖さは与作にもあるけど、東雲の場合は更に難儀なのだ!
別物と言っていい。
それだけに対戦をする意義は大きいだろう。
オレの脳内にはあのドワーフの魔神の姿がある。
おっと。
殺意は不要だ。
それに狂気もだな!
対戦は飽くまでも対戦、殺し合いではない事を忘れちゃいけません!
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv266(↑1)
職業 サモンメンターLv155(召喚魔法導師)(↑1)
ボーナスポイント残 48
セットスキル
小剣Lv213 剣Lv214 両手剣Lv211 両手槍Lv216
馬上槍Lv216 棍棒LvLv212 重棍Lv213 小刀Lv212
刀Lv210 大刀Lv209 手斧Lv210 両手斧Lv212
刺突剣Lv209 捕縄術Lv220 投槍Lv218
ポールウェポンLv218(↑1)
杖Lv240 打撃Lv250(↑2)蹴りLv250(↑2)
関節技Lv250(↑2)投げ技Lv250(↑2)
回避Lv260(↑1)受けLv260(↑1)
召喚魔法Lv266(↑1)時空魔法Lv263(↑1)封印術Lv260(↑1)
光魔法Lv257(↑1)風魔法Lv257 土魔法Lv257(↑1)
水魔法Lv257 火魔法Lv257(↑1)闇魔法Lv257
氷魔法Lv257 雷魔法Lv258(↑1)木魔法Lv257
塵魔法Lv257(↑1)溶魔法Lv257(↑1)灼魔法Lv257
英霊召喚Lv7 禁呪Lv261(↑1)
錬金術Lv219 薬師Lv59 ガラス工Lv55
木工Lv113 連携Lv221 鑑定Lv170 識別Lv237(↑1)
看破Lv220(↑1)保護Lv90 耐寒Lv230
掴みLv229(↑2)馬術Lv230(↑1)精密操作Lv231
ロープワークLv220 跳躍Lv233(↑2)軽業Lv239(↑2)
耐暑Lv221 登攀Lv218 平衡Lv228
二刀流Lv222 解体Lv167 水泳Lv220
潜水Lv220 投擲Lv230(↑1)
ダッシュLv227(↑1)耐久走Lv227(↑1)追跡Lv227(↑2)
隠蔽Lv225 気配察知Lv228(↑1)気配遮断Lv228(↑1)
魔力察知Lv227 魔力遮断Lv227 暗殺術Lv229(↑1)
身体強化Lv228(↑1)精神強化Lv228(↑1)高速詠唱Lv246(↑1)
無音詠唱Lv245(↑1)詠唱破棄Lv249(↑1)武技強化Lv240(↑1)
魔法効果拡大Lv230(↑1)魔法範囲拡大Lv230(↑1)
呪文融合Lv230
耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv171(↑1)
耐混乱Lv80e 耐暗闇Lv234 耐気絶Lv229(↑2)
耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e 耐沈黙Lv225
耐即死Lv136 全耐性Lv168
限界突破Lv129(↑1)獣魔化Lv135(↑1)
基礎ステータス
器用値 94(↑1)
敏捷値 94(↑1)
知力値 140
筋力値 93
生命力 93
精神力 140
召喚モンスター
ビアンカ アークエンジェルLv90→Lv91(↑1)
器用値 42
敏捷値 102(↑1)
知力値 101
筋力値 42
生命力 42
精神力 102(↑1)
スキル
杖 弓 飛翔 浮揚 変化 神霊 神撃
祝福 遠視 広域探査 空中機動 魔力察知
魔力遮断 連携 精密操作 自己回復[小]
物理抵抗[小] 魔法抵抗[極大] MP回復増加[大]
時空属性 光属性 闇属性 風属性 土属性
水属性 木属性 雷属性 氷属性 賛美歌
呪曲
ヘイフリック バンパイアデュークLv90→Lv91(↑1)
器用値 70(↑1)
敏捷値 69
知力値 69
筋力値 69(↑1)
生命力 68
精神力 69
スキル
杖 剣 刺突剣 刀 小盾 受け 回避 飛翔
空中機動 心眼 変化 連携 二刀流 気配遮断
魔力遮断 宮中儀礼 暗殺術 物理抵抗[大]
魔法抵抗[大] 自己修復[大] MP吸収[中]
MP回復増加[大] 奇襲 吸血 時空属性 光属性
闇属性 火属性 風属性 水属性 氷属性
致死毒 魅了 死霊生成 真祖化
アリョーシャ グリフォンロードLv91→Lv92(↑1)
器用値 48
敏捷値 105
知力値 47
筋力値 83(↑1)
生命力 83(↑1)
精神力 48
スキル
嘴撃 爪撃 体当たり 飛翔 回避 追跡
掘削 空中機動 遠視 広域探査 夜目
威嚇 強襲 捕食吸収 隠蔽 危険察知
気配遮断 騎乗者回復[小] 自己回復[中]
物理抵抗[中] 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]
ブレス 時空属性 光属性 闇属性 火属性
土属性 風属性 毒耐性 耐麻痺 耐気絶
耐即死
バイヨネット エンジェルナイトLv90→Lv91(↑1)
器用値 76
敏捷値 76
知力値 88
筋力値 51(↑1)
生命力 51(↑1)
精神力 88
スキル
剣 両手槍 杖 弓 小盾 重盾 重鎧 飛翔
浮揚 神霊 神撃 遠視 夜目 連携 空中機動
突撃 吶喊 自己回復[大] 物理抵抗[中]
魔法抵抗[大] MP回復増加[大] 時空属性
光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性
水属性 木属性 灼属性 賛美歌
召魔の森 ポータルガード
ジェリコ、リグ、テイラー、クーチュリエ、ペプチド
守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸
網代、スパーク、クラック、オーロ、プラータ、ムレータ
酒船、コールサック、シュカブラ、シルフラ、葛切
スコヴィル、デミタス、白磁、マラカイト、十六夜
貴船、エジリオ、パイリン、エルミタージュ、ナーダム
海魔の島 ポータルガード
ナイアス、アプネア、アウターリーフ、バンドル
ロジット、プリプレグ、出水、エルニド、アチザリット
アモルファス、魂振、セノーテ、呼子、明石
ヴェルツァスカ、プリトヴィッチェ
召魔の森に駐留
翠玉竜、エルダードラゴン、他ドラゴン2編隊分
海魔の島に駐留
蒼玉竜、エルダードラゴン、他ドラゴン2編隊分




