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『では、出発!』


『先行します!』


 全員が戻った所で出発だ。

 既に昼食は携帯食で済ませてある。

 オレの布陣は?

 ナインテイル、パンタナール、サンダーチーフ、アードバーク、パティオになっている。

 フィーナさん達はアードバークの背中の上で移動する形だ。

 オレ自身は?

 アードバークの背中の上から投槍で対応する事になる。

 場合によってはパティオの背中も足場にする事になるだろう。

 得物はグングニルだ。

 オレだけであれば趣味で虚無竜の投槍を選択する所なんだけどね。

 手抜きは出来ない。



『オーティスとテルマが以前に言っていた事なんだけど』


『ガヴィ? 何?』


『私達をあの町にいたら都合の悪い事があったから、という可能性はあるかしら?』


『嘘だったって事?』


『嘘も使いようだわ。彼等には彼等の事情もあるでしょうし』


 隣にいるガヴィとリディアの会話を聞きつつ思う。

 情報を全て鵜呑みにする事は、危険だな。

 ここで起きた事の意味は?

 オーティスとテルマはどんな形で関わっていたのか?

 分からない。

 分からないけど、再び会えたら聞いてみるしかないだろう。


 再び会う事はない、と言われてもいるけどね。

 それも本当かどうか、疑問だ。

 何にしても、今はオレだけではない。

 違う展開の何かが起きるのかも?

 そんな期待があるのでした。






《只今の戦闘勝利で【投槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【時空魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【闇魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【投擲】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【獣魔化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ナインテイル』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



『そろそろマップ中央だ!』


「場所はこの雲海の下です。私が先行して降下します!」


『えっと』


「迎撃設備は昨日のうちに潰してありますが念の為です」


 近未来兵器の対空砲火は油断出来ない。

 直撃したスローンやメルカバーの様子も見ているから尚更だ。



 ナインテイルのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。



 ナインテイル 白狐Lv85→Lv86(↑1)

 器用値  44

 敏捷値 108(↑1)

 知力値  93

 筋力値  43

 生命力  44(↑1)

 精神力  93


 スキル

 噛付き 回避 天駆 空中機動 天啓 霊能

 霊撃 隠蔽 夜目 MP回復増加[極大] 魔法抵抗[大]

 物理抵抗[中] 自己回復[中] 時空属性 光属性

 闇属性 風属性 水属性 土属性 氷属性

 雷属性 木属性 耐即死 耐混乱 耐魅了

 陽炎




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『パティオ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 アードバークの背中から跳び降りる。

 そのままフリーフォール、高度は大した事はない。

 こうするのが手っ取り早いからな。

 墜落防止は途中でレビテーションなりフライなりを使えばいいのだ。



『キースさん!』


「続け! 但し降下速度はゆっくりとだ!」


 ゼータくんに指示を出しておく。

 アードバークはフィーナさん達を乗せたまま、ゆっくりと降りて来ている。

 オレはと言えば、ディメンション・ウォールを準備していた。



(センス・マジック!)

(クレヤボヤンス!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 視界も確保。

 眼下には例の摩天楼が見えた。

 今の所、対空砲火は無い。

 半ば以上、廃墟になっているのも変化は無いようだ。



 パティオのステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。

 もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。



 パティオ ゴールドシープLv85→Lv86(↑1)

 器用値 40

 敏捷値 90

 知力値 90

 筋力値 40

 生命力 73(↑1)

 精神力 73(↑1)


 スキル

 頭突き 体当たり 受け 回避 疾駆 ダッシュ

 夜目 飛翔 空中機動 危険察知 魔力察知

 霊能 霊撃 騎乗者回復[小] 物理抵抗[小]

 魔法抵抗[極大] 魔力相殺[中] MP回復増加[中]

 弾性強化[大] 解体 祝福 時空属性 光属性

 闇属性 黄道変 白道変 混乱 睡眠 耐混乱

 耐睡眠



(レビテーション!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 レビテーションを使うと急制動、廃墟の中への落下速度は一気に落ちる。

 そのまま周囲を警戒だ。

 そんなオレの背後をナインテイルとパンタナールがカバーしてくれていた。



『話には聞いていたけど、確かにビル群ね』


『かなり近代的?』


『デザイン的には未来っぽい?』


『それにしてもこの惨状って。ほぼ廃墟じゃないですか!』


 その主犯は無人の近未来兵器群だ。

 オレは確かにマイクロ・ブラックホールを始め色々と使っているけどな!

 そういう意味では多少の責任はオレにもあるかもだが。

 そもそも防御施設だけを狙って破壊し続けるにしても無理があったのだ。

 これは不幸な事故なのです。



『確かにマップではS1W15マップの中央。あの人影が無かった町、よね?』


『ええ、間違ってないでしょう』


『新たなゲーム世界が出現したって事なんでしょうか?』


『少し、調べて見ましょう。キース?』


「ええ。案内します」


『キースさん! コール・モンスターに反応です!』


「む?」


『まだ遠いですが、デモンズアポストルが確認出来ます』


 全員が着地、オレは全周警戒を続ける。

 敵影は見えないのだが、どうやら危険な存在が皆無ではないようだ。

 確かに。

 ゼータくんが使っているコール・モンスターの表示ではあの悪魔達が群れている。

 数そのものはそう多くない。

 やはりエリアポータルとしての機能は喪失している影響は出ているようだな。

 摩天楼内を案内しつつ、説明するにしても警戒は必要だろう。



『ここだと面倒そうな相手かしら?』


「いえ。大丈夫でしょう。隠れる場所は幾らでもありますから」


 今のうちに布陣を変更しておこう。

 全員、帰還だ。

 シリウス、ジンバル、タペタム、風花、十六夜を召喚する。

 全部、モフモフになったのは偶然だ。

 単に戦力の底上げ狙いでもあるのだが、地上で迎撃するには向く布陣でもある。

 機動力もそんなに損なわれていない。


 ゼータくんも周囲の地形、そしてオレの布陣を見て得心したようだ。

 やはり全員を帰還させる。

 メデューサ、ミネルヴァオウル、アラクネクイーン、ホーライ、ラーヴァキメラを召喚した。

 スタンダードに都市戦向けと言えるだろう。



「まずはここからですね。高いビルがあるのは分かりますか?」


『ええ』


「実はもう3つ、同じビルがあって屋上に発着場がありました。私が最初に降りた場所になります」


 結論、それに概略は既にここに来るまでの間に話をしてあった。

 残るのは時系列で何があったのか、話す事である。

 質問に答える形で説明をする事になるだろう。






《只今の戦闘勝利で【両手剣】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【重棍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【手斧】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【刺突剣】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【蹴り】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【風魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【水魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【精密操作】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【二刀流】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【隠蔽】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『シリウス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 デモンズアポストル?

 確かに最初はデモンズアポストルの姿をしていたけど、目前で変貌しやがった!

 何に?

 サタンの影を筆頭にした、様々な悪魔の化身達だ!

 バエルの化身、ラウムの化身、サブナックの化身、ベリアルの化身。

 マルコシアスの化身、モラクスの化身、フラウロスの化身、バルバトスの化身。

 アマイモンの化身、オリエンスの化身、パイモンの化身、アリトンの化身。

 そうそう、シトリーの化身もいましたっけ?

 顔を潰してから仕留めたのは言うまでもありません。


 オレの戦い振りを見てもゼータくんやフィーナさんはそう驚きはしなかった。

 それでもシトリーの化身に対する仕打ちには顔を顰めていたのが分かる。

 他の面々に至っては恐怖を感じる向きもあったようです。


 でもね、仕方ないのだ。

 美男子、滅ぶべし。

 こればかりは譲れないのです。



 シリウスのステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 シリウス ホワイトファングLv84→Lv85(↑1)

 器用値  60(↑1)

 敏捷値 105

 知力値  59

 筋力値  73

 生命力  73

 精神力  60(↑1)


 スキル

 噛付き 疾駆 跳躍 回避 威嚇 聞耳 隠蔽

 強襲 平衡 匂い感知 危険察知 追跡 夜目

 掘削 気配遮断 捕食吸収 自己回復[中]

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] MP回復増加[中]

 時空属性 光属性 闇属性 氷属性 耐即死

 耐魅了 耐暗闇 ブレス 即死




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ジンバル』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 一応、思い出せる範囲で一通りの説明は出来たと思う。

 但しオレなりにだ。

 しかも説明の途中で襲撃があるから面倒です!


 オレも戦い方が雑になりそうだった。

 得物はオリハルコン球とレーヴァテイン、変則的だがこれで通してしまっている。

 何しろ戦場がビルの廃墟、身を隠す場所に困らないのはいいんだが。

 デモンズアポストルが何に変化するのかが分からないのです。

 レーヴァテインの形状を次々と切り換える事になってしまった。

 逆に言えばレーヴァテインの汎用性の高さが存分に活かされたという事にもなるだろう。


 一番、楽なのはデモンズアポストルが変化する前に仕留める事だった。

 実際、オレ以外の面々はそうする事を狙っていたように思う。

 オレですか?

 変化するのを待ってから、仕留めてます。

 既に変化済みの奴を相手にしつつ、デモンズアポストルを仕留める機会を意図的にスルー。

 多分、フィーナさん達にも気付かれていないだろう。

 だって仕方ないのだ。

 デモンズアポストルでは凡戦にしかならないのです!



 ジンバルのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。

 もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。



 ジンバル シュバルツレーヴェLv84→Lv85(↑1)

 器用値  75(↑1)

 敏捷値 113

 知力値  36

 筋力値  83

 生命力  83

 精神力  37(↑1)


 スキル

 噛付き 引裂き 激高 回避 疾駆 耐久走

 忍び足 跳躍 危険察知 夜目 遠目 隠蔽

 追跡 監視 気配遮断 暗殺術 物理抵抗[中]

 自己回復[中] 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 強襲 掘削 闇属性 火属性 土属性 溶属性

 暗闇 麻痺 猛毒 耐暗闇 毒無効



『ステ操作、終わりました!』


『こっちもです!』


『了解。キース、話を戻していい?』


「ええ」


『パンパイアデュークのスキル、死霊生成なんだけど素材が必要なのは確実?』


「そうです」


『それが魔物である可能性は?』


「否定出来ません。いたかもしれませんし、いなかったのかも?」


『そうなると相手が無人でない可能性もあるようね』


 そうなのだ。

 各種防御施設を改めて調べて見ると分かる。

 人が入れるような場所は無いが、そこに至るまでの通路は相応に広い。

 そもそもビル群はいずれも人間サイズに最適な設計に見える。

 その点で意見の相違は無かった。


 無人と思い込んでいたけど、人が搭乗していた可能性はあるのか?

 多分だけど、ある。

 かと言ってあの戦況で全てを把握出来ていたとは思わない。

 そんな事をしていたら戦闘が終わらないだろうし、そもそも死に戻っていただろう。



『そして、ここを撤収した訳ね』


「ええ」


『それにしても随分と壊したのね。そこが納得出来ないんだけど』


「攻撃されたんで、つい」


 実は話していない事がある。

 主目的は海魔の島周辺を保全する為だ。

 これこそが、ここを破壊しに来た大きな理由なのだが。

 海魔の島に関してはまだ話していないからつい、話そびれている。


 でもオレ自身が攻撃されているから破壊した、というのも理由の1つではある。

 嘘は言っていない。

 言っていない、よね?



『もう少し探索してみますか?』


『でもここって結構、広いわ。手分けするのも厳しいでしょうし』


『ちょっと待って。戦闘が終わったばかりよ、回復と周囲の警戒を優先して!』


『済みません、パーティの見直しを先にさせて下さい』


「あ、こっちもです」


 レベルアップしたのはシリウスとジンバルだ。

 今のうちに帰還させておこう。

 召喚したのはビアンカ、それにバイヨネットです。


 ゼータくんの布陣は?

 大神、ミネルヴァオウル、妖狐、白狐、狒々面鵺にしたか。

 都市戦が前提、探索能力を重視しつつ火力を上げる形の布陣だ。

 ここならば隠れる場所が多い。

 中々いい選択だろう。

 だが。

 何だって妖狐と白狐はオレの両肩にいるんだ?

 懐いているのはいいけど、蜂蜜はあげないよ!



「ッ!」


 十六夜がその姿を狼形態へと変身、その姿勢を低くしている。

 探索能力を最大限に発揮する場合、この形態を採る傾向が強い。

 そして十六夜と同様、ゼータくん配下の大神とミネルヴァオウルも警戒を顕にしている。

 いや、召喚モンスター全員が臨戦態勢になっていた!


 何かが、来る。

 それは果たして、何だ?



 ??? ???

 運営アバター ??? ???

 ??? ???



『何だ?』


『迂闊に攻撃はしないで!』


 フィーナさんに言われるまでもない。

 近寄って来るのは表情の無い黒い人形、それは以前にも見た連中だった。

 今度はどんな姿に変じるのか?



『アナザーリンク・サーガ・オンラインのプレイヤーと認識しました』


『接続処理を行います』


『接続コード受理、起動します』


『未接続アバターはそのまま待機モードを継続します』


『警告! 隔離措置は現時点で時間が限られます』


『管理者間合意に基づきオブザーバーの参加を認証』


『各プレイヤーに通告します。そのままお待ち下さい』


 まるでインフォのように声が聞こえる。

 そして運営アバターの左端の2体が姿を変えて行く。

 両方、見た顔だ。

 老紳士、そして研究者の姿。

 オレに海魔の島を移動しろと迫った連中だ。


 右端の3体も姿を変える。

 オーティスとテルマ。

 そして何と、久住だ!


 真ん中辺りの1体も姿が変わる。

 いや、変わったのは色合いだけだ。

 黄金色に輝き始めた。

 どこかオリハルコンドールに似ているけど、迫力は段違いだ!



 ??? ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 まるで【識別】が効いてくれない。

 一体これって何者なんだ?



《何か申し開きはあるかね?》


『結果が伴っていないのは認めます。ですが我等は為すべき事を為している!』


《汝の言い分は、分かる。だがそれもまた事象の一端に過ぎぬ》


『お待ちを!』


《もう結果は出ている。我の結論もまた然りだ》


 謎の黄金人形は片手を掲げた。

 言い訳をしていた老紳士に向ける。

 それだけで老紳士の姿は消えた。

 いや、元の黒い人形に戻ってしまう。



《汝はどうだ?》


『どうもこうもありませんな。好きになさるがいい』


《それだけかね?》


『彼の正体に興味がありますがね。もう少し探ってみたかった、というのが心残りですな』


 研究者の視線はオレに向いている。

 興味だって?

 オレの方には無いぞ?

 いや、この研究者が一体何者であるのかは少しだけ興味はある。

 消えてしまっているけど老紳士もです。

 運営とはまた別の存在であろう事だけは確信しているけどね。



《興味とは?》


『彼は異様だ。それだけでも興味の対象となるのでね』


《理解し難いな》


『理解して貰わずとも結構』


《汝の処断は保留とする。そのまま待つがよい》


『そりゃどうも』


 研究者の表情は一貫して不敵な笑みのままだ。

 老紳士が狼狽していたのとは対照的だな。


 今度は黄金人形は体毎、オーティスとテルマに向く。

 顔が無いから視線も何も無いのだが、彼等を凝視しているように感じられるのが不思議だ。



《汝等が彼等に示唆した事は不問とする。だがこの結果に対する責任は不問に出来ぬ》


『しかし!』


『テルマ、止せ!』


《一線を越えるのもまた人としての在りようの一端。それは良しとする》


『いい機会だわ! 貴方は一体、こんな事をどれだけ続けていたの?』 


『止せ!』


『そしてこれからも続けるつもり?』


《感情を抑える事も出来ぬか。それではオブザーバーに相応しくなかろう》


『待ってくれ!』


《控えよ。そして今は我の前から消えるが良い》


 黄金人形が手を掲げるとオーティスとテルマの姿は黒い人形と化す。

 困ったな。

 彼等をちょっと問い詰めたい気分だったんだが、その機会も無かったぞ?


 フィーナさんの視線がオレに向いている。

 その意味は?

 分かってますって。

 動くなって事ですよね?

 今度は黄金人形が久住に向いていた。



『随分とまあ、温情がある事で』


《温情とは?》


『ああ、分からなくて結構。それに彼等へ告げる事の方が重要じゃないのかな?』


《汝の言行は各所から問題視されていた。不問とする事は決定であったのだが》


『排除してくれても別に構わない。元々、この世界に興味は無いんでね』


《庇護されている身である事はどうなのか?》


『関係無いね。人間、いつかは死ぬ。どんな形であってもそこから逃れる訳にはいかない』


《それが汝の真理であるか》


『ああ。そっちの申し出は十分以上に魅力的だがね』


《了解だ。汝の果たした役割は大きく評価出来よう。好きにするがいい》


『そりゃどうも』


《だが汝が所属する世界が切り離されても良いのかな?》


『仕方ないさ。それをどうこう出来る立場じゃないって、もう知っているしねえ』


 久住の態度は相変わらずだな。

 遠慮の無い口調、その表情は飄々としている。

 いや、ニヤニヤと笑っているような風情だ。

 オレには話の内容が半分も分からないけど、久住がいつになく真面目に感じ取れる。

 それだけは分かった。



『帰っていいかい?』


《帰ったら、どうするね?》


『足掻くだけさ。そっちだって困ってるでしょ?』


《困りはしない。結論が先に出る。それだけの事だ》


『おとぼけ、だねえ』


《汝の意見は傾聴に値するであろうが、今は聞かぬでおこうか》


 黄金人形は手を掲げる。

 その前に久住はオレに向けて手を振っていやがった!

 お調子者め。

 いや、無性に殴りたくなっているんだけど!


 それでも動く事はしなかった。

 やはり黄金人形に興味が向く。



《汝等に告げる。汝等の世界はこことの接続を保ったまま、当面は存続を認めよう》


『存続?』


《切り離せば、それまでだ。汝等の世界は平衡を失い滅ぶのみだ》


『何だってそんな事を?』


《我よりも彼の解釈を聞いた方が良いやも知れぬな》


 黄金人形は研究者の方を指差す。

 そこにいた全員の視線が集中する中、研究者の目はオレを見ていた。

 何だろう。

 背中が痒くなるような感覚になっている!



『何だって私が?』


《我の言葉では重い。汝もまた彼等と同じであったのだから話もし易いであろう》


『確かに』


 研究者は頭を掻きつつ、ここにいる全員を見据えて行く。

 いきなりだが、真面目な表情だ。



『飽くまでも私の解釈。それでいいかね?』


『ええ、いいわ』


『ああ、その前に。私の名はアルメイダでいい。君がこの面々の代表でいいのかね?』


『アルメイダさんね。私はフィーナで』


 全員、無言のうちに交渉の窓口をフィーナさんへ一任する事に同意していた。

 まあ、そうなるか。

 無難な選択だと思う。

 オレだったら途中で腕力に訴える可能性すらある。


 今だって釘を刺されていなければショート・ジャンプを使って黄金人形の背後に跳んでいるぞ?

 まあここで事を荒立てていいとも思えないからそうしないだけだ。





『つまり、私達は観察対象な訳?』


『ああ。そして私もまた観察されていた訳だ』


 アルメイダの視線が黄金人形に向く。

 だが何も反応は無い。


 それにしても難解な話が続いていて頭の中が沸騰しそうだ!

 意味が、意味が分からない。

 いや、まだ理解出来る所もあるのだが。

 どうしても納得は来ないのだ。



『ゲームそのものがサンプリングの道具だなんて。ちょっと偏るんじゃないかしら?』


『さて、その辺りの見解は別れる所だな。サンプリングもまた条件が同じでなければ比較出来ん』


『他にも方法があるでしょうに』


『同感だ。だが、既に積み重ねられたデータを前提にするならば継続する他にない』


『でも、いつから?』


『そこは私にも分からんがね』


 オレが理解出来る範囲は?

 平行世界は枝葉が分かれるように、可能性毎に多岐に渡るという事。

 そして隣り合う枝葉は相似する関係にある事。

 その中で好ましい枝葉が選ばれており、剪定されてしまう世界があるという事。

 平行世界にも幹にも根にも相当する存在があり、平行世界の全てを支えている事。

 全ての枝葉を支えるには幹にも根にも限界がある、という事であるらしい。

 理解出来るのはそこまでだ。


 納得出来ない理由は?

 そうする必要性が本当にあるのか、疑問なのです!

 大体、どうやってこんな話を確認しろと?

 一方的に押し付けられては堪ったものではない!



「彼は、何者だ?」


『世界を統べる神かな?』


「そうなのか?」


《我は汝等の世界の枠を超越して存在する事は確かだ。神の定義の事は知らぬ》


 いけね。

 つい、口を出してしまった。

 フィーナさんを見る。

 特に怒っているようにも見えない。

 続けていいのかね?



「剪定された世界は滅ぶしかないのか?」


『剪定されずとも滅ぶ存在はあるよ。病もあるだろうし虫食いもあるのと一緒でね』


「そんな世界を、見たのか?」


『無論だよ。それも私自身の世界も含めて見ている』


「何?」


『先刻の者達もそうだ。滅んだ世界の住人もいる。そしていずれは私のような役割も担うだろうね』


「まさか、あんたは現実で運営の手助けをしていた?」


『運営、か。そういう見方もあるだろうね。そうとも言えるが正確ではないな』


 何だ?

 意味深な答えに思える。



『アレは言ってみれば神が遣わした観察装置だよ』


「アレ?」


『そうとしか表現出来ない、オーパーツ的な存在だ』


「それが全ての世界に?」


『その筈だ。ゲームの運営、というのは本質の一端に過ぎない』


 アルメイダの視線が再び黄金人形に向く。

 だがやはり、何も反応は無い。



『明確に間違えているようであれば訂正、そうでなければ補足してくれないかね?』


《我にはその権限は無い。世界へ意図的に介入すれば観察する上で不都合になる》


『そうかね? アナザーリンク・サーガ・オンラインに関してはその不都合が起きているが』


《然りだ。だが、これもまた人間の在りようを知る上で有効であろう》


『だから当面、存続を認める訳か。他にも理由がありそうだけど、答えてくれないかね?』


《必要だと判断したが故に存続を認める。それ以外に理由は無い》


「では不要と判断したらさっさと剪定するって事かい?」


『キース!』


 フィーナさんの声で我に返る。

 いかんいかん!

 好戦的になっていたらしい。



「ところで魔神なんだが」


『アレはゲームを動かす道標であり、多分だが指標でもあるだろうな』


「では、辺獄は?」


『世界の枠の外とでも考えておけば当たらずとも遠からず、だね』


 アルメイダはオレと黄金人形を見比べる。

 何故だ?

 何故、笑っていられる?



『私にも質問の機会はあるかな?』


《我は答えはせぬ》


『貴方じゃないって。彼にだよ』


 アルメイダはオレに近付くと爪先から頭の上まで、ゆっくりと視線を這わせて行った。

 興味深げに。

 同時に冷徹さも感じる。



『君は、誰だ?』


「いや、プレイヤーなんですけど」


『プレイヤー? 本当に? 君が、かね?』


「本当だ」


『魔神達の反応。そしてフィールド回収をも阻止する手際。単純なプレイヤーとも思えないが』


 どういう意味だよ!

 これ以上ないって程に、プレイヤーなんですけど?



『最後に確認したい。このマップはどうするね?』


《我に何かを決定する理由は無い》


『ヘヴィーアーマーズ・オンラインは強制的に接続されたままだ。リソース不足なんだけど?』


《我の与り知る所では無い》


『仕方ない。アナザーリンク・サーガ・オンラインにも大きな負担になっている。暫定で隔離だな』


 アルメイダは黄金人形に向けて嘆息してみせる。

 演技だ。

 半分は嫌味のつもりなのが分かる。



『ヘヴィーアーマーズ・オンラインって?』


『ここでやっていたゲーム世界でね。まあベータテスト段階だったんだが』


 フィーナさんの質問にアルメイダはニヤニヤしながら答えている。

 そしてオレを見た。

 何だ?



『君が散々、やってくれたものだからテストになりゃしない。中止するしかないねえ』


「まさか、プレイヤーがいたのか!」


『まさか、気付いていなかったのか!』


 いや、知ってたら行動が違ってますって。

 無人機がいたのは確かだ。

 いや、確かめた範囲で全部が無人機だったのだ!

 あの数を全部、有人かどうか確かめるなんて無理ですって!



『まあ、いいんじゃないかな? ベータテストにも猶予期間は出来る訳だし』


「で、ここのマップはどうなる?」


『アナザーリンク・サーガ・オンラインの管理下に置くさ。仕方ない』


 うむ。

 それは朗報、かな?

 多分、そうなのだろう。



《最後に警告だ。余計な行動は汝等にとっての不幸を招くであろう》


『それは余計な警告だね。彼等も理解はしていると思うよ?』


 アルメイダはオレ達全員を見回す。

 その表情から、笑いが消えた。



『この後の行動全てが観察されている訳だ。場合によっては君等の世界が滅ぶと思うよ?』


《隔離措置はここまでだ》


 黄金人形がアルメイダに向け手を掲げた。

 アルメイダの姿は黒い人形に戻る。

 そして黄金人形もまた黒色に変じてしまう。

 運営アバターが10体、物言わぬ人形として佇む形になってしまった。

 だが、その姿も陽炎のように揺らぐと一瞬にして消えてしまう。

 まるで今の出来事が、夢か幻であったかのように。


 残されたのは?

 何も無い海岸線だ。

 そう、摩天楼も消えていた。

 益々、今の出来事が夢か幻であったかのように思えてしまうな!

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv247

職業 サモンメンターLv136(召喚魔法導師)

ボーナスポイント残 58


セットスキル

小剣Lv200 剣Lv200 両手剣Lv199(↑1)両手槍Lv203

馬上槍Lv206 棍棒Lv199 重棍Lv199(↑1)小刀Lv199

刀Lv199 大刀Lv198 手斧Lv199(↑1)両手斧Lv199

刺突剣Lv200(↑1)捕縄術Lv201 投槍Lv203(↑1)

ポールウェポンLv205

杖Lv219 打撃Lv229 蹴りLv230(↑1)関節技Lv229

投げ技Lv229 回避Lv241 受けLv241

召喚魔法Lv247 時空魔法Lv238(↑1)封印術Lv237

光魔法Lv236 風魔法Lv237(↑1)土魔法Lv236

水魔法Lv237(↑1)火魔法Lv236 闇魔法Lv237(↑1)

氷魔法Lv236 雷魔法Lv237 木魔法Lv236

塵魔法Lv236 溶魔法Lv236 灼魔法Lv236

英霊召喚Lv7 禁呪Lv237

錬金術Lv201 薬師Lv53 ガラス工Lv50

木工Lv94 連携Lv211 鑑定Lv161 識別Lv221

看破Lv210 保護Lv78 耐寒Lv215

掴みLv213 馬術Lv214 精密操作Lv214(↑1)

ロープワークLv199 跳躍Lv215 軽業Lv218

耐暑Lv211 登攀Lv199 平衡Lv213

二刀流Lv210(↑1)解体Lv160 水泳Lv208

潜水Lv208 投擲Lv214(↑1)

ダッシュLv212 耐久走Lv211 追跡Lv211

隠蔽Lv209(↑1)気配察知Lv211 気配遮断Lv211

魔力察知Lv211 魔力遮断Lv211 暗殺術Lv210

身体強化Lv211 精神強化Lv211 高速詠唱Lv222

無音詠唱Lv222 詠唱破棄Lv226 武技強化Lv220

魔法効果拡大Lv214(↑1)魔法範囲拡大Lv214(↑1)

呪文融合Lv214(↑1)

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv220 耐気絶Lv177 耐魅了Lv80e

耐毒Lv80e 耐沈黙Lv202 耐即死Lv80e 全耐性Lv152

限界突破Lv107 獣魔化Lv121(↑1)


召喚モンスター

ナインテイル 白狐Lv85→Lv86(↑1)

 器用値  44

 敏捷値 108(↑1)

 知力値  93

 筋力値  43

 生命力  44(↑1)

 精神力  93

 スキル

 噛付き 回避 天駆 空中機動 天啓 霊能

 霊撃 隠蔽 夜目 MP回復増加[極大] 魔法抵抗[大]

 物理抵抗[中] 自己回復[中] 時空属性 光属性

 闇属性 風属性 水属性 土属性 氷属性

 雷属性 木属性 耐即死 耐混乱 耐魅了

 陽炎


シリウス ホワイトファングLv84→Lv85(↑1)

 器用値  60(↑1)

 敏捷値 105

 知力値  59

 筋力値  73

 生命力  73

 精神力  60(↑1)

 スキル

 噛付き 疾駆 跳躍 回避 威嚇 聞耳 隠蔽

 強襲 平衡 匂い感知 危険察知 追跡 夜目

 掘削 気配遮断 捕食吸収 自己回復[中]

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] MP回復増加[中]

 時空属性 光属性 闇属性 氷属性 耐即死

 耐魅了 耐暗闇 ブレス 即死


ジンバル シュバルツレーヴェLv84→Lv85(↑1)

 器用値  75(↑1)

 敏捷値 113

 知力値  36

 筋力値  83

 生命力  83

 精神力  37(↑1)

 スキル

 噛付き 引裂き 激高 回避 疾駆 耐久走

 忍び足 跳躍 危険察知 夜目 遠目 隠蔽

 追跡 監視 気配遮断 暗殺術 物理抵抗[中]

 自己回復[中] 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 強襲 掘削 闇属性 火属性 土属性 溶属性

 暗闇 麻痺 猛毒 耐暗闇 毒無効


パティオ ゴールドシープLv85→Lv86(↑1)

 器用値 40

 敏捷値 90

 知力値 90

 筋力値 40

 生命力 73(↑1)

 精神力 73(↑1)

 スキル

 頭突き 体当たり 受け 回避 疾駆 ダッシュ

 夜目 飛翔 空中機動 危険察知 魔力察知

 霊能 霊撃 騎乗者回復[小] 物理抵抗[小]

 魔法抵抗[極大] 魔力相殺[中] MP回復増加[中]

 弾性強化[大] 解体 祝福 時空属性 光属性

 闇属性 黄道変 白道変 混乱 睡眠 耐混乱

 耐睡眠


ビーコン エルダードラゴンLv5

 器用値 62

 敏捷値 63

 知力値 80

 筋力値 62

 生命力 62

 精神力 80

 スキル

 噛付き 引裂き 体当たり 飛翔 受け 回避

 跳躍 疾駆 夜目 水棲 水中機動 連携

 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[中] 捕食吸収 ブレス 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性

 水属性 氷属性 溶属性 毒耐性 耐即死

 耐魅了 加護


召魔の森 ポータルガード

黒曜、ジェリコ、リグ、クーチュリエ、逢魔

モジュラス、清姫、守屋、スーラジ、久重

テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代、スパーク

クラック、オーロ、プラータ、酒船、コールサック

シュカブラ、シルフラ、葛切、スコヴィル

デミタス、白磁、マラカイト、貴船、エジリオ


海魔の島 ポータルガード

テイラー、ストランド、ペプチド、バンドル、ロジット

船岡、出水、エルニド、ロッソ、雪白、濡羽、アチザリット

クォーク、アモルファス、オリアナ


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― 新着の感想 ―
この世界の因果律のモデルは樹木なんですね。次々と枝が増え実がなり世界を象作っていく そしてキーワード「桜折る馬鹿、梅折らぬ馬鹿」。 実が成りすぎると枝が折れ、枝が折れると樹が枯れる…黄金の人形?は因果…
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