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「では、キース様も明日はここに?」


「ええ。何が起きるか分かりませんので」


 正面に並ぶサビーネ女王と女教皇シュザンヌに挨拶も済ませたし、辞去したいのだが。

 視界の端にアンリエット王女とルイーズ王女の姿がある。

 どう声を掛けてやればいいいんだ?

 怯えつつも上気した表情、そして彫像のように固まっている。

 彼女達を護る形でゲルタ婆様が立っていた。

 あの、もしかしてオレが襲うとでも思ってます?



「師匠の事、お願いしますね」


「それはええがの。キース、お主も少しは師匠の面倒を見た方がよいぞ?」


「手助けになれたらいいんですが」


 ゲルタ婆様を正面に見て挨拶をしておく。

 当然、両王女も正面から見据える事になる訳だが。

 視線が合うともうダメだ。

 体に震えが出てますよ?

 それなのに顔が上気しているのはどういう意味だろう?



「では、これで」


「うむ。明日は頼むぞ」


 まるで肉食獣に睨まれた草食獣の気分を味わいながら辞去する。

 ゲルタ婆様を見ながら後退、距離を置く。

 回れ右。

 オレの背後で安堵の息吹が聞こえていた。

 それが誰のものなのかは分かっている。

 そこまで怖いの?

 オレは極力、痛みを与えない形で丁重に扱っていたと思うんですけど。

 解せぬ。

 やっぱり、解せぬ。





『おお、小さき者か! 息災で何よりじゃ!』


 エルダードラゴンの長老様の洗礼を浴びておいて、と。

 今日の長老様の傍には黄晶竜の姿は無い。

 転生煙晶竜とメジアンが控えている。

 各々がエルダードラゴンであるだけに違和感が全く無い。

 馴染んでいる、と言ってもいいだろう。

 但しホワイトファングのシリウス、シュバルツレーヴェのジンバルがいる。

 そこだけが違和感になってます。



「ども。お元気そうですね」


『おうとも!』


 いやはや、ドラゴンって老いて尚、元気過ぎませんかね?

 転生煙晶竜も転生前は相当やんちゃなお爺ちゃんだったのだろう。




 待て。

 ちょっと、待て!

 自然だったものだからスルーする所だったぞ?

 長老様、挨拶の反応が早くなってませんか?

 いや、普通と言えば普通なんだけどさ!


 長老様を真正面から見据える。

 いや、見上げる。

 眠そうな目は見開かれていた。

 そして普段から転生煙晶竜の様子を見ていたから分かる。

 笑っていた!



『キースよ、汝はいずれ世界の真の姿を見る事になるやもしれぬな』


「え?」


『だが心せよ。それが正しいとは限らぬ。幸福とも限らぬ。知識欲を満たすとも限らぬ』


「え? え?」


『煙晶竜を頼む。昔からどうも危なっかしくてのう』


『それはこっちの台詞のような気がするがのう』


『ほれ、こうも迂闊に喋るとは! 本当に心配じゃ』


『何を言うか。そっちも素が出ておるぞ?』


 エルダードラゴンの長老様がジト目で転生煙晶竜を見る。

 転生煙晶竜もジト目で見返す。

 互いに牙を僅かに剥いて、そして視線を外した。


 知り合いだったのか。

 いや、その可能性は高いと思ってたけどさ!

 しかもその口振りは同格のドラゴンのやり取りに見えた。


 目の前にいる長老様を改めて観察してみる。

 当然のように【識別】してみても、エルダードラゴンとしか分からない。

 これって【偽装】しているんじゃないだろうな?

 そう疑った上で見てもおかしいと思える点は見当たらない。

 年老いたエルダードラゴンだ。

 年齢を経ているからなのか、隣にいるメジアンと比べるとその体躯は明らかに大きい。

 ちょっと太めでもある。

 より細かく言えば体表の色合いが違うけど、それはどのエルダードラゴンにもある事だ。

 総合的に見て、おかしく思える点は無い。


 上空をNPCドラゴンの編隊が通過する。

 目の前の両者はどちらも会話するつもりは無いらしい。

 少なくとも、ここではだけど。


 では、移動だな。

 転生煙晶竜を問い詰めてやろう!

 場所は?

 海魔の島がいいな。

 あそこなら安心だ。





「エルダードラゴンの長老様とは知り合いでしたか」


『うむ』


「何でそれを隠してました?」


『隠してはおらん。聞かれてもおらんのではの』


 このロジックはオレも良く使う手だ。

 特に脳内で、言い訳のようにですけどね!



「長老様もまた、正体を隠しているんじゃありませんか?」


『それを儂に聞くか? 答えは直接、あ奴に聞くのが筋じゃろうの』


「貴方との関係は?」


『腐れ縁じゃ』


「何だって普段、あんな様子を見せているので?」


『さて。どういうつもりであるのかは儂も分からんのう』


 嘘だ。

 勘でしかないけど、この答えは嘘だな。

 普段の転生煙晶竜の様子を知っているから、かなり自信があるぞ!

 でもそこを問い詰めるのは止めておこうか。



《フレンド登録者からテレパスです!会話が可能となります》


 このタイミングで連絡が来たか。

 例の摩天楼に行くのであれば、ここ海魔の島から出発するのが最も近い。

 合流はどうしようか?

 海魔の島はまだ誰にも明かしていない拠点になるのだ。




『私が別件を片付けてからでいい?』


「大丈夫です。20分ですね?」


『ええ。全員でそちらに行けると思うわ』


「了解。お待ちしてます」


 テレパスを切る。

 一応、S1W15マップの中央へ行くのはかなり危険だ、とだけ説明はしてある。

 でも全員、行くのね?

 しかもフィーナさんが言うには全員、だそうだが。

 デッカーもいる訳か。

 中の人はまだ残っているのね?

 心配すべきはそこじゃないんだけどね。


 現実でも何かが起きている。

 そこも気になる所だ。



「こっちにも用件が出来ました」


『む? 儂は除け者かな?』


「いえ。例の場所に行ってます。美味しい相手はいませんよ?」


『じゃがな、キースよ。汝がスッキリ出来るような戦いが出来そうではないか!』


 いや、そういう基準で判断するんですか?

 まさに戦闘狂、困った方だ。

 ここにいて欲しい時に限ってこんな駄々を捏ねる!

 だが、今回はダメだ。

 ダメなのだ。

 フィーナさん達とプレイヤーという立場で会話をするになるだろう。

 転生煙晶竜が同行していると話し難い事も大いに有り得る。


 砂浜からポータルガードの面々が戻って来ているのが見えていた。

 どうやら地獄の潮干狩りを一旦、区切ったようだ。



「召喚モンスター達を頼みます。貴方しか頼れる方がいないのですよ」


『む?』


「浅瀬で鍛えてやって頂けますか?」


『むむっ? う、うむ。そうか。それならば仕方ないのう』


 転生煙晶竜は簡単にオレの思惑に乗ってしまう。

 海鮮素材の食べ放題の魅力に勝てなかったみたいです。

 何て単純なんだ!


 エルニドと出水がオレの傍に飛んで来ている。

 出水はそうMPバーの消耗は無いが、エルニドは半分程か。

 スラー酒、それにマナポーションを与えておくべきだろう。

 出水にもマナポーションを与えておくか。

 ロジットや船岡は?

 船岡はマナポーションを与えるとして、ロジットのMPバーは何故か満タンだ。

 何でだろうね?

 大いに魔物の肉を喰って来たに違いない。



『早速じゃが、行ってみるかの?』


「お任せします」


 転生煙晶竜の様子はもう実に分かり易い。

 目の前にご馳走がある。

 今すぐに腹一杯、喰ってやりたいのだ!

 戦闘で勝利する事は当然前提になるんだが、その点は心配無用だろう。


 さて、フィーナさん達とどう合流するかな?

 海魔の島から移動が最も便利だったんだが仕方ない。

 S2W15マップのエリアポータル、希望の灯火にしよう。





「お待たせ。ところでここは?」


「うおっ! S2W15マップ?」


「希望の灯台かー」


「キースさん、エリアポータル解放戦はあったので?」


「うん。ここには洞窟もあってその奥でだけどね」


 テレポートで飛んで来た面々は?

 最初にS1W15マップまで探索を進めた時のメンバーだ。

 パーティの数にして2つになる。

 サモンルーラーのゼータくん。

 その布陣はオーディンガード、モノペガサス、ロック鳥、グレータードラゴンが2体か。

 もう1つのパーティはフィーナさん、紅蓮くん、九重、リディア、ガヴィ、そしてデッカーだ。

 デッカーの所作だけで中の人が誰なのかは分からない。

 一見すると冷静に見える。



「S1W15マップへ北上します。説明をするより実際に見て頂いた方がいいでしょう」


「そもそもあの場所では何も起きない。そう言ってませんでした?」


「オーティスとテルマ、だったな」


「S1W15マップの事でしょ? 何が起きたの?」


 全員の視線がオレに集中する。

 だが説明するのは、苦手だ。

 どうしても、苦手なのだ。



「移動しながら話しましょう。それに上手く説明出来るかどうか」


「キース?」


「正直、何が起きているんだか訳が分からない状態でして」


 フィーナさんは首を傾げる。

 まあアレだ。

 オレの説明では理解出来たとしても半分って所だろうか?

 こうなったら移動を急いだ方がいい。


 布陣は変更だな。

 メジアンを残し、シリウス、ジンバル、待宵、キレートは帰還だ。

 蒼月、スパッタ、イグニス、パイリンを召喚しよう。

 既にユニオン申請も来ている。

 無論、即座に受諾した。


 上空を見上げると曇り空だ。

 いい傾向じゃない。

 ここはどんなマップでしたっけ?

 雲海の中から思いもしない存在が襲って来る、そんな空域だ。

 かろうじて覚えてますよ?



「先導は私がします」


『了解。ところでこのマップでは何が相手になるの?』


「色々います。巨神級も出ますから要注意ですね」


『え?』


『はい?』


『キース、そんなマップを単独でクリアしたの?』


「えっと」


 皆の視線はまたアレだ。

 ジト目です。

 確かに単独で強敵相手に散々楽しんでいたけどさ。

 べ、別に獲物を独占したくて話さなかった訳じゃないから!






『キースさん、【英霊召喚】は?』


「大丈夫、これなら使わずに勝てるって!」


『大丈夫に見えないわよ!』


「お任せを! 先制します!」


(((((((ミーティア・ストリーム!)))))))

(((((((フラッシュオーバー!)))))))

(((((((プロミネンス!)))))))

((((((ダークマター!))))))

((((((ソーラー・ウィンド!))))))

((((((タイフーン!))))))

(ミラーリング!)


 どうもいけない。

 オレの感覚なんだが、大苦戦の基準がまた書き換えられてしまっているらしい。

 あの各種テスカトリポカになっている。

 そうでなければサタンの写身だ!

 眼下から迫るのは?

 巨神級の皆さんだ!

 ガイアの影、プルシャの影、ダイダラボッチの影、ユミルの影です。

 どうもこれはセットなのかな?

 その前は淤母陀流神之影、阿夜訶志古泥之影、天之常立神之影。

 更にその前は意富斗能地神之影、大斗乃辧神之影、宇摩志阿斯訶備比古遅神之影だった。

 既に見知った相手で驚きは無い。

 フィーナさん達にしても戦っている筈なのだが。


 いや、オレにしてみた所で油断しちゃいけない相手ですけどね。

 どこか物足りなく思えるのも、事実だ。

 実際、切り札を使う気にはなれない。


 より警戒が必要なのは追従戦力の方かもしれない。

 正直、カオスだ。

 通り一辺倒の対策ではいけません!



「ゼータ、コール・モンスターで把握している情報は無意味だ! 無視しろ!」


『もしかして全部、偽情報なんですか?』


「ああ、そうだ! 警戒は目視のみ、高度を上げる事を意識しろ!」


『りょ、了解!』


「支援を頼む、直接攻撃は私に任せろ!」


『ちょっと、本当に大丈夫なんでしょうね?』


「ええ、普段もこうなんで」


 いや、ここS2W15マップに来たのはこれで2度目ですけどね!

 嘘も方便。

 安堵してくれるなら嘘だって使いますよ?



(((((((メテオ・クラッシュ!)))))))

(((((((ミーティア・ストリーム!)))))))

(((((((クェーサー!)))))))

((((((ダークマター!))))))

((((((ソーラー・ウィンド!))))))

((((((マイクロ・ブラックホール!))))))

(ミラーリング!)


 上空から攻撃を重ねつつ、降下を開始だ!

 タイフーンの影響で空中戦力は一時的に動きが鈍っている。

 さあ、最初の突撃はどれにしよう?

 目移りするけど今はユニオン編成なのだ。

 ちょっと真面目に掃討すべきだろう。。






《只今の戦闘勝利で【馬上槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【召喚魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【封印術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【光魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【火魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【氷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【雷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【木魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【塵魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【溶魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【禁呪】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【識別】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【看破】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【保護】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【耐寒】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【掴み】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【馬術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【隠蔽】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【気配察知】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【気配遮断】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔力察知】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔力遮断】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【身体強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【精神強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【詠唱破棄】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【武技強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【耐気絶】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【限界突破】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で職業レベルがアップしました!》

《只今の戦闘勝利で種族レベルがアップしました!任意のステータス値2つに1ポイントを加算して下さい》



『これも普段通りなの?』


「いえ、ちょっと途中から予想外の相手も加わってました」


『アレ、何だったんですか?』


『名前すら見えない相手、しかも未見だったな』


『天使のスローンより格上は確実か。それにセラフィム、ケルビムよりも多分、上って事だろうな』


『キース、あれは何なのか、名前だけでも分かる?』


「赤いテスカトリポカ、ですね」


 雲海の中から襲われる事、数度。

 もう少しでS1W15マップに突入というタイミングで出現したのが赤いテスカトリポカだった。

 良かった。

 他の色のテスカトリポカもいたのでは、切り札の投入は不可避であっただろう。

 それに追従戦力もそう多くなかった事も運が良かった。

 何よりも赤いテスカトリポカはオレが仕留める事が出来てます!

 これはユニオン編成であったが有利に働いた結果でもあるだろう。

 戦況の把握をしなくて済むというだけで突撃に専念出来る。

 その効能は絶大であったと言えます。



 基礎ステータス

 器用値  89(-18)

 敏捷値  89(-18)

 知力値 130(-26)

 筋力値  89(↑1)(-18)

 生命力  89(↑1)(-18)

 精神力 130(-26)



《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で58ポイントになりました》


『テスカ、トリポカ?』


『アステカの神じゃないか!』


『キース、まさかアレと以前に戦ってる?』


「ええ。その時は他にもいましたけど。白、黒、青がいたかな?」


 会話の声が、消えた。

 何だろう、この感覚。

 やっぱり呆れているのかな?

 まあオレは先に戦後処理を進めるだけだ。


 リミッターカットの後遺症も軽度で済んでいる。

 パイリンに解消させて貰いましょう。



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『蒼月』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



「祝福を使わせる、いいな?」


『は、はい!』


 半ば茫然自失の体だったゼータくんだが。

 彼自身と騎乗馬のモノペガサスはステータス異常に陥っている。

 グレータードラゴンは両方共ステータス異常です。

 しかも片方は戦闘途中で重度のステータス異常に、死に戻り寸前になってました!

 ゼータくんはチェンジ・モンスターで凌いだけどね。

 交代した個体も結局はステータス異常に陥っています。

 それでも善戦したと言えるだろう。

 あれだけの追従戦力の中にいきなり放り出されて無事だった事の方が脅威だ。

 下手したら死に戻っているぞ?



 蒼月のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 蒼月 麒麟Lv86→Lv87(↑1)

 器用値  57(↑1)

 敏捷値 113(↑1)

 知力値  67

 筋力値  56

 生命力  56

 精神力  56


 スキル

 噛付き 頭突き 踏み付け 体当たり 疾駆

 耐久走 奔馬 蹂躙 飛翔 蹴り上げ 遠視

 広域探査 夜目 強襲 天啓 空中機動

 神威 霊能 霊撃 追跡 騎乗者回復[中]

 自己回復[微] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[中] 時空属性 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 雷属性 木属性

 聖獣変




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『スパッタ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



『情報交換はやるべき事を先に済ませてからにしましょう。また襲われたら困るわよ!』


『あ、そうだ! レベルアップしてたんだっけ!』


『回復、回復!』


『キース、マナポーションはいいの?』


「大丈夫です。自前ので対応出来ます」


 我に返ったのはフィーナさんが最初だった。

 やはりそうなるか。

 それに仮想ウィンドウを見ていると分かる。

 全員、これで何度目のレベルアップかな?

 これではまるで促成栽培です。


 連続でレベルアップしていないのはゼータくんとグレータードラゴンだけだ。

 それでも今の戦闘で得た経験値は膨大であるのだろう。

 多分、レベルアップは本人を含めてパーフェクトだ。

 間違いない、と思います。



 スパッタのステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。

 もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。



 スパッタ オーロラウィングLv85→Lv86(↑1)

 器用値  50

 敏捷値 132

 知力値  71

 筋力値  50(↑1)

 生命力  50(↑1)

 精神力  71


 スキル

 嘴撃 飛翔 回避 遠視 広域探査 看破

 追跡 強襲 危険察知 魔力察知 空中機動

 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[大] 光属性 風属性 土属性

 雷属性 電離 分解 分身 耐即死 耐混乱

 耐魅了 偏光




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『イグニス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 では、オレ配下の召喚モンスター達はレベルアップのパーフェクトになるかな?

 最大の難関はメジアンだろう。

 そこをクリア出来れば、きっとパーフェクトだ。


 もう少しでS1W15マップになる。

 天候は変わらず曇り空のようだが、出現する魔物は魔竜に天使、堕天使に悪魔になる。

 カオスな状況からは脱してくれるだろう。

 例の摩天楼も近い。

 移動しながら事態の推移を説明もしているが、まるで捗っていない。

 戦闘が邪魔している、と言うのは簡単だ。

 真実は?

 オレの説明が下手なだけです。


 報告を楽にする方法ならある。

 結論を先に述べ、捕捉する形で説明を加えるのだ。

 だが、その構成を脳内でアレンジする事が出来ない。

 どうしても、出来ない。

 だってオレにも分かっていない所が多いからだ。

 推測に推測を重ねてみた所で意味は無いのです。



 イグニスのステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 イグニス 朱雀Lv85→Lv86(↑1)

 器用値  53

 敏捷値 111

 知力値  76

 筋力値  65(↑1)

 生命力  65(↑1)

 精神力  52


 スキル

 嘴撃 蹴り 飛翔 回避 霊能 霊撃 遠視

 夜目 広域探査 強襲 天啓 空中機動

 自己回復[極大] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[中] 火属性 風属性 土属性

 溶属性 耐即死 毒無効 加護 獄炎変




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『メジアン』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に2ポイントを加算して下さい》



 メジアンのレベルアップがあった!

 これで確信する。

 オレを含めて、レベルアップはパーフェクトだ。

 いや、ユニオンの全員がパーフェクトだ!


 そして認識を改める。

 S2W15マップっていい狩り場だよな?

 いや、赤いテスカトリポカと一定以上の頻度で戦えるかどうかによるんだけどさ。

 それを差し引いても、いい狩り場だ。

 巨神級の相手がいる。

 但し空中戦、それに海中戦を純粋に楽しめるのはS1W15マップの方が上だろうな。

 経験値的には?

 こっちの方が上である可能性もあるだろう。



 メジアンのステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。

 もう2点のステータスアップは敏捷値と筋力値を指定しましょう。



 メジアン エルダードラゴンLv4→Lv5(↑1)

 器用値 50

 敏捷値 85(↑1)

 知力値 51

 筋力値 86(↑1)

 生命力 86(↑1)

 精神力 53


 スキル

 噛付き 引裂き 体当たり 飛翔 受け 回避

 跳躍 疾駆 夜目 水棲 空中機動 連携

 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[中] 捕食吸収 ブレス 光属性

 火属性 風属性 土属性 水属性 氷属性

 雷属性 木属性 溶属性 毒耐性 耐即死

 耐魅了 加護




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『パイリン』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 やはりパーフェクトだ。

 僅かに安堵する。

 そして気分を切り換えよう。


 広域マップではS1W15マップに突入した。

 編成が違うだけで襲われる可能性は十分過ぎる程にあるのだ。

 しかも今日は天候が悪い。

 眼下は雲海、その下で雨が降っている可能性は大きいだろう。


 赤いテスカトリポカは仕留めた直後に消えてしまっている。

 死体は残っていない。

 アイテムも残さなかった。

 そういう仕様であるらしい。

 まあ、いいけどね。

 戦いそのものは厳しく、そして緊張感のあるもので大いに楽しめた。

 ユニオン編成であった分、攻撃に傾倒出来たからより楽しめたと思う。

 それに赤いテスカトリポカの特性を把握出来たのは良かったな。

 このペースで各色のテスカトリポカにも襲って欲しいものだ。



 パイリンのステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 パイリン 白澤Lv75→Lv76(↑1)

 器用値  36(↑1)

 敏捷値  88

 知力値 116

 筋力値  36(↑1)

 生命力  68

 精神力  68


 スキル

 頭突き 体当たり 堅守 回避 疾駆 ダッシュ

 夜目 飛翔 空中機動 危険察知 魔力遮断

 魔力察知 魔力回収 霊能 念動 騎乗者回復[小]

 物理抵抗[中] 魔法抵抗[極大] 魔力相殺[中]

 MP回復増加[大] 弾性強化[小] 祝福 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 氷属性 雷属性 木属性 塵属性 溶属性 灼属性

 睡眠 耐睡眠 耐即死 耐熱 聖獣変



 赤いテスカトリポカ、その特性は?

 多層の皮を着込んだ巨大で赤いケンタウロスみたいな奴だが、空中戦を器用にこなす。

 絶対的なスピードは脅威ではないのだが、何しろ巨躯であるのだ!

 手にしている槍も巨大で、柄の太さは棍棒のように見えたものです。

 でもね、これは棍棒ではない。

 超高層ビルを振り回しているようなものなのだ!

 直撃こそ無かったが、何度か掠ってます。

 実際、攻撃が掠ったグレータードラゴンはそれだけで酷い目に遭っている。


 だが、これだけじゃない。

 HPバーの回復能力も高かった。

 そして全身を多層に覆う皮を乱舞させる事も出来るようだ。

 以前の戦闘では見なかった攻撃方法だと思う。

 記憶があやふやだけど、多分そうだ。

 これもまた厄介でした。

 空中を高速で移動するのに邪魔な事、この上無い!


 まあ実際に難儀したのはオレじゃなく蒼月だった訳だが。

 幸運であったのは相手が巨躯に過ぎる事だっただろう。

 そしてオレの獲物もオリハルコンランスであった事、かな?

 突撃が有効だった。

 無論、貫通など出来ない。

 それもまた、良かった。

 接触型攻撃呪文の詰め合わせを思う存分、使えたのです!


 そしてエナジードレインの恩恵も大きい。

 あれだけ呪文を大盤振る舞いしているのにマナポーション1つでMPバーは全快だ!



『キース、目的地に到着する前で申し訳ないけど、小休止にしない?』


『小休止、賛成!』


『ちょっと早いけど、昼食にしておきたいですね』


「了解です。雲の下に降下します」


『助かるわ』


 時刻は?

 午前11時ちょうどだ。

 出来ればもう少し北上してからの方が良かったんだけどな。

 悪くない。

 パーティの布陣を見直すいい機会にもなるだろう。




 インスタント・ポータルを展開、皆はテントを設営すると次々とログアウトして行く。

 最後に残っていたのが、デッカーだった。

 その眼光は怯えにも似た色になっている。

 おい。

 今更、オレを怖がってどうするんだ?



「中の人は今、何人になった?」


「変わらず3人です。1人はログインせず調査に専念中です」


「で、現実での調査はどうなってる?」


「継続してます。今の所、進展無しです」


「最新の情報は何かあるかな?」


「あるようでしたらこれから交代する者が把握しているでしょう」


「ところで、何を怯えているんだ?」


「そりゃあ都合7名、このデッカーの関係者が消えているんです。怯えもしますよ」


 そうか。

 ここでログアウトして現実に戻ったら?

 自分に何かが起きるかも知れない。

 ログインしている間だって、知らないうちに何かが起きるかも知れない。

 気が休まらない訳か。



「すみません。急ぎますので」


「ああ、分かった」


 デッカーの方は進展無しか。

 フィーナさんには謎の伝手がありそうなんだけど、どうにか手助けして貰えないかね?

 他人事ながらそう思ってしまいます。


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv247(↑1)

職業 サモンメンターLv136(召喚魔法導師)(↑1)

ボーナスポイント残 58


セットスキル

小剣Lv200 剣Lv200 両手剣Lv198 両手槍Lv203

馬上槍Lv206(↑3)棍棒Lv199 重棍Lv198 小刀Lv199

刀Lv199 大刀Lv198 手斧Lv198 両手斧Lv199

刺突剣Lv199 捕縄術Lv201 投槍Lv202

ポールウェポンLv205

杖Lv219 打撃Lv229 蹴りLv229 関節技Lv229

投げ技Lv229 回避Lv241 受けLv241

召喚魔法Lv247(↑1)時空魔法Lv237 封印術Lv237(↑1)

光魔法Lv236(↑1)風魔法Lv236 土魔法Lv236(↑1)

水魔法Lv236 火魔法Lv236(↑1)闇魔法Lv236

氷魔法Lv236(↑1)雷魔法Lv237(↑1)木魔法Lv236(↑1)

塵魔法Lv236(↑1)溶魔法Lv236(↑1)灼魔法Lv236

英霊召喚Lv7 禁呪Lv237(↑1)

錬金術Lv201 薬師Lv53 ガラス工Lv50

木工Lv94 連携Lv211 鑑定Lv161 識別Lv221(↑1)

看破Lv210(↑1)保護Lv78(↑1)耐寒Lv215(↑1)

掴みLv213(↑1)馬術Lv214(↑1)精密操作Lv213

ロープワークLv199 跳躍Lv215 軽業Lv218

耐暑Lv211 登攀Lv199 平衡Lv213

二刀流Lv209 解体Lv160 水泳Lv208

潜水Lv208 投擲Lv213

ダッシュLv212 耐久走Lv211 追跡Lv211

隠蔽Lv208(↑1)気配察知Lv211(↑1)気配遮断Lv211(↑1)

魔力察知Lv211(↑1)魔力遮断Lv211(↑1)暗殺術Lv210

身体強化Lv211(↑1)精神強化Lv211(↑1)高速詠唱Lv222

無音詠唱Lv222 詠唱破棄Lv226(↑1)武技強化Lv220(↑1)

魔法効果拡大Lv213 魔法範囲拡大Lv213

呪文融合Lv213

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv220 耐気絶Lv177(↑2)耐魅了Lv80e

耐毒Lv80e 耐沈黙Lv202 耐即死Lv80e 全耐性Lv152

限界突破Lv107(↑1)獣魔化Lv120 


基礎ステータス

 器用値  89

 敏捷値  89

 知力値 130

 筋力値  89(↑1)

 生命力  89(↑1)

 精神力 130


召喚モンスター

蒼月 麒麟Lv86→Lv87(↑1)

 器用値  57(↑1)

 敏捷値 113(↑1)

 知力値  67

 筋力値  56

 生命力  56

 精神力  56

 スキル

 噛付き 頭突き 踏み付け 体当たり 疾駆

 耐久走 奔馬 蹂躙 飛翔 蹴り上げ 遠視

 広域探査 夜目 強襲 天啓 空中機動

 神威 霊能 霊撃 追跡 騎乗者回復[中]

 自己回復[微] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[中] 時空属性 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 雷属性 木属性

 聖獣変


スパッタ オーロラウィングLv85→Lv86(↑1)

 器用値  50

 敏捷値 132

 知力値  71

 筋力値  50(↑1)

 生命力  50(↑1)

 精神力  71

 スキル

 嘴撃 飛翔 回避 遠視 広域探査 看破

 追跡 強襲 危険察知 魔力察知 空中機動

 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[大] 光属性 風属性 土属性

 雷属性 電離 分解 分身 耐即死 耐混乱

 耐魅了 偏光


イグニス 朱雀Lv85→Lv86(↑1)

 器用値  53

 敏捷値 111

 知力値  76

 筋力値  65(↑1)

 生命力  65(↑1)

 精神力  52

 スキル

 嘴撃 蹴り 飛翔 回避 霊能 霊撃 遠視

 夜目 広域探査 強襲 天啓 空中機動

 自己回復[極大] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[中] 火属性 風属性 土属性

 溶属性 耐即死 毒無効 加護 獄炎変


メジアン エルダードラゴンLv4→Lv5(↑1)

 器用値 50

 敏捷値 85(↑1)

 知力値 51

 筋力値 86(↑1)

 生命力 86(↑1)

 精神力 53

 スキル

 噛付き 引裂き 体当たり 飛翔 受け 回避

 跳躍 疾駆 夜目 水棲 空中機動 連携

 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[中] 捕食吸収 ブレス 光属性

 火属性 風属性 土属性 水属性 氷属性

 雷属性 木属性 溶属性 毒耐性 耐即死

 耐魅了 加護


パイリン 白澤Lv75→Lv76(↑1)

 器用値  36(↑1)

 敏捷値  88

 知力値 116

 筋力値  36(↑1)

 生命力  68

 精神力  68

 スキル

 頭突き 体当たり 堅守 回避 疾駆 ダッシュ

 夜目 飛翔 空中機動 危険察知 魔力遮断

 魔力察知 魔力回収 霊能 念動 騎乗者回復[小]

 物理抵抗[中] 魔法抵抗[極大] 魔力相殺[中]

 MP回復増加[大] 弾性強化[小] 祝福 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 氷属性 雷属性 木属性 塵属性 溶属性 灼属性

 睡眠 耐睡眠 耐即死 耐熱 聖獣変


ビーコン エルダードラゴンLv5

 器用値 62

 敏捷値 63

 知力値 80

 筋力値 62

 生命力 62

 精神力 80

 スキル

 噛付き 引裂き 体当たり 飛翔 受け 回避

 跳躍 疾駆 夜目 水棲 水中機動 連携

 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[中] 捕食吸収 ブレス 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性

 水属性 氷属性 溶属性 毒耐性 耐即死

 耐魅了 加護


召魔の森 ポータルガード

黒曜、ジェリコ、リグ、クーチュリエ、逢魔

モジュラス、清姫、守屋、スーラジ、久重

テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代、スパーク

クラック、オーロ、プラータ、酒船、コールサック

シュカブラ、シルフラ、葛切、スコヴィル

デミタス、白磁、マラカイト、貴船、エジリオ


海魔の島 ポータルガード

テイラー、ストランド、ペプチド、バンドル、ロジット

船岡、出水、エルニド、ロッソ、雪白、濡羽、アチザリット

クォーク、アモルファス、オリアナ

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― 新着の感想 ―
説明下手だからって何も言わなさ過ぎるよね。 せめて起きたことを時系列順に箇条書きで言うだけでも違うのに。
テスカトリポカが1体でもサモナーさん抜きだったら余裕で全滅しそうなレベルの圧倒的差… 称号は例によって単独PTで撃破しないと得られないのかな
感想一覧
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