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「オッス!」
「おはようございます、キースさん!」
「お、おう」
召魔の森にテレポートで移動してみると、いつもの面々が来ているようです。
城館内の厨房ではアデルとイリーナ、それにミオと優香がいた。
全員、何やら真剣な表情で料理に取り組んでいるのが分かる。
普段と何かが違う。
それだけは、分かった。
「どうしたんだ、随分と気合いが入っているようだけど」
「効果付きの料理を作っているんです。多分、これからイベントになりそうなので」
「イベント?」
「闘争の聖地ですね。冒険者ギルドから指名で依頼があったので」
指名で依頼?
オレにはそんな物は無いんだが。
いや、闘争の聖地に来るようには言われているけどさ!
「キースさんに、お願い!」
「例の林檎、余ってませんか?」
「林檎、だって?」
「黄金の林檎です。反則技ですけど一定時間不死身というのは大きいですから」
ああ、アレか。
黄金の林檎はそれ自体でも一定時間不死身の効果がある。
それをスイーツにして何度か味わっているけど、どれも美味かったな。
いや、そうじゃなくて。
確かに黄金の林檎を加工する事でより多くのプレイヤーに恩恵が与えられる筈だ。
とは言ってもスイーツとしてでは具合が悪いだろう。
携帯食のように持ち運べて食べられる形にすべきだな。
黄金の林檎はイズンの化身やラドン・ゴールドガードから剥げる。
北欧神話とギリシャ神話の面々とは数え切れない程、戦っていた。
毎回、イズンの化身やラドン・ゴールドガードがいた訳じゃない。
だが黄金の林檎が剥げる確率はそう悪くないのだ。
特にラドン・ゴールドガードは毎回複数個、剥いでいる。
それだけに現在、結構な数を在庫にしてしまっていた。
腐ってないだろうな?
ゲーム内のアイテムなんだけど、そんな心配もしてしまう。
それだけ黄金の林檎には意識が向いていなかったな。
何しろ一定時間であるにしても、不死身の効果は酷い。
使う気になれない。
緊張感が皆無になってしまっては折角の戦闘が台無しだ!
「あるだけ出せばいいのかな?」
「えっと、余りに大量だと代金がちょっと」
「精算なら後でもいいんだけどな」
食堂にはフィーナさんもサキさんもいた。
どうやらここで食事を作っておいて、闘争の聖地に持ち込む算段かな?
テーブルの上には肉料理が大皿に山となっているのが分かる。
だが。
そのどれもが余計な効果が付与されている。
まあ不死身みたいなチート級の効果は無い。
呪文の強化と同じ程度ではある。
「味見してもいいけど」
「いえ。朝食がまだだったんで、貰ってもいいですかね?」
「勿論、いいわよね?」
「ええ!」
「黄金の林檎はあるだけ引き取るわ。精算はもうちょっと後でいい?」
「も、もげ」
返答が変になってしまった。
つまみ食いみたいになっていたのも仕方ない。
だってどれも美味そうだったんだ!
今の心境は?
カツサンド、美味しいです。
もう数個、貰っておこう。
食事を摂り終えたら闘技場で対戦だ!
運動をしたら腹が減る筈。
きっと途中でもっと食べたくなってしまうに違いない!
闘技場では春菜と此花が対戦中のようだ。
アンデッド軍団が相手か。
呪文で弱体化出来るけど、数が多い。
対戦を終えるのはもう少し先かな?
観客席にいるプレイヤーはオレだけか。
いつもの面々も純粋にここで料理を量産しに来ていたみたいだ。
転生煙晶竜との会話を気にする事もない訳だね!
さて、パーティの布陣は?
戦力の底上げを前提にしたらいい。
イソシアネート、タペタム、風花、ムレータ、パティオだ。
ポータルガードの面々は全員揃ってはいるものの、朝の定常業務がまだ続いている。
しかもゴーレム組は全員、海魔の島に出払っていた。
残っている面々を対戦に参加させたい所だが。
エジリオの所に蝶丸が来ている。
家畜の羊や牛を何頭か連れていた。
その家畜達はエジリオの毛皮に頭を突っ込んで何かをしているようなのだ。
もしかしてエジリオ、お乳を与えているのか?
仮想ウィンドウでエジリオのステータス画面を見る。
スキルに授乳とあった。
何だってこんなスキルがあるのか、不思議ではあったけどね。
こうしてお乳を与えている様子を見ていると納得する。
絵になっていた。
母性を感じます。
エジリオは牝であった訳だ。
これは確定と思っていいのだろう。
でも今は対戦に参加させたいけど、いいかな?
『美味いのかね?』
「どうでしょう。飲んでみますか?」
『この図体では無理じゃな』
そりゃそうだ。
オレだって直接飲むのは抵抗がある。
何か容器に入れて飲んでみたくもあるけど。
だが、今は対戦が優先だ。
闘技場では春菜と此花が激戦を展開している。
中々タフな展開だったみたいだがもう終わりそうです。
『迂闊に喋らん方がいいかの?』
「ええ。出来ればその方がいいでしょうね」
余計な事は抱えない方が面倒が無い。
そういう意味でオレも転生煙晶竜も一致していたのでした。
《只今の戦闘勝利で【小刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【杖】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【溶魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【耐暑】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【高速詠唱】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【無音詠唱】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『イソシアネート』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
「うわ、相変わらず何と言いますか」
「鬼畜?」
「いや、そこまで酷くないと思うが」
確かに以前の闘技場から更に危険度は増している。
でも基本は変わらない。
闘技場のオベリスクに捧げるアイテムが冥府の杖であってもスラー酒であってもだ。
そして今みたいに神鋼鳥の翼であってもです。
鬼畜、というのがイソシアネートの糸による梱包の事かな?
それともスライム組が密着してゆっくり溶かしていた事かな?
確かにマハラジャアシパトラの立場になって考えたら、酷い話だ。
でもね、汚い攻撃であったとしても結果を見ればどうか。
素晴らしい戦果ですよ?
イソシアネートのステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。
もう1点のステータスアップは敏捷値を指定しましょう。
イソシアネート 蜘蛛神Lv79→Lv80(↑1)
器用値 96
敏捷値 85(↑1)
知力値 33
筋力値 85(↑1)
生命力 78
精神力 33
スキル
噛付き 爪撃 跳躍 回避 登攀 掘削
奇襲 隠蔽 危険察知 振動感知 魔力察知
気配遮断 魔力遮断 監視 夜目 出糸
罠作成 繭作成 網糸結界 糸延伸
自己回復[大] 物理抵抗[大] 魔法抵抗[中]
MP回復増加[小] 闇属性 土属性 水属性
猛毒 麻痺 暗闇 混乱 魅了
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『タペタム』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
そういう春菜と此花は観客席でゴールドシープに囲まれて食事をしていた。
いや、食事を摂るのはついでで実態はゴールドシープ達モフモフを堪能しているだけだ。
そしてパティオとエジリオがそこに突っ込んで行く。
自分で自分の毛並みを愛でる事は難しい。
だが、他に愛でるべきモフモフがあれば可能だ。
まあいいんだけどな。
春菜も此花も転生煙晶竜を気にする様子は殆ど無い。
此花が次に何へとクラスチェンジする予定なのか、聞いてきた程度だ。
完全にオレ配下の召喚モンスターだと思っているらしいですよ?
でもそれは半分だけ、オレが提供したのはベースとなったドラゴンパピーになる。
その後は勝手に成長を続けているだけだ。
いや、この場合は昔の姿を取り戻していると言うべきか?
そして第二の人生を大いに楽しんでいる訳だが。
紫晶竜の話では転生前も後任に長の立場を譲って世界を巡ったと聞く。
自由気ままに生きる。
元々がそういう個体であったような気がするぞ?
タペタムのステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。
もう1ポイント分のステータスアップは敏捷値を指定しましょう。
タペタム 獅子神Lv79→Lv80(↑1)
器用値 37
敏捷値 78(↑1)
知力値 37
筋力値 107
生命力 126(↑1)
精神力 37
スキル
噛付き 引裂き 体当たり 疾駆 跳躍 回避
受け 念動 激高 追跡 裂帛 危険察知 夜目
耐久走 隠蔽 強襲 捕食吸収 自己回復[極大]
物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] MP回復増加[中]
耐即死 耐麻痺 耐魅了 耐混乱
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『風花』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
オレの傍で佇む転生煙晶竜を見上げる。
対戦になってからはオレとの会話は皆無だが、戦闘では全く問題は無い。
召喚モンスター達との連携も見事で文句の付けようが無かった。
やはり年の功か?
思うに戦い方にも個性が出る。
性格がより反映されるとも思うが何しろ相手はドラゴン種、断言は出来ない。
それでも分かる。
ドラゴンを召喚モンスターとして、これだけ配下に加えているのだ。
転生煙晶竜は基本的に前衛に出る事を好む。
でも他の召喚モンスター達と組む場合には何故か、一歩退いた立場で戦うようにしていた。
何故だろう?
これも偽装かな?
風花のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。
もう1ポイント分のステータスアップは器用値を指定しましょう。
風花 ゾンネティーガーLv79→Lv80(↑1)
器用値 53(↑1)
敏捷値 74(↑1)
知力値 81
筋力値 64
生命力 64
精神力 81
スキル
噛付き 引裂き 回避 登攀 裂帛 瞑想
危険察知 隠蔽 監視 夜目 匂い感知 連携
精密操作 気配遮断 気配察知 魔力察知
魔力遮断 自己回復[中] 物理抵抗[中]
魔法抵抗[中] MP回復増加[大] 時空属性
光属性 闇属性 風属性 水属性 氷属性
黄道変 白道変 耐混乱
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ムレータ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
その真意は分からない。
何か意味があるのかもしれない。
単に召喚モンスター達の戦い振りを観戦したかっただけなのかもしれない。
この辺りの様子を見るに、どうも師匠とも似ている気がする。
あの人も結構、問題児に思えるし。
おっと。
その師匠とも多分、今回は会う事になるだろう。
ジュナさん、ゲルタ婆様、ギルド長、それにシルビオさんもかな?
そしてサビーネ女王一行に女教皇シュザンヌ一行もいる。
面倒な事になりそうな一方で期待も大きい。
そう、魔神だ。
今度こそ襲って来て欲しいぞ!
ムレータのステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。
もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。
ムレータ ミノタウロスLv79→Lv80(↑1)
器用値 78
敏捷値 55
知力値 27
筋力値 119
生命力 114(↑1)
精神力 22(↑1)
スキル
手斧 両手斧 打撃 蹴り 噛付き 投擲
遠投 受け 回避 登攀 投げ技 関節技
頭突き 狂戦士 夜目 掴み 平衡 ダッシュ
体当たり 捕食吸収 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]
自己回復[極大] 火属性 土属性 溶属性
耐暗闇 ブレス
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『パティオ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
時刻はもう少しで午前7時30分だ。
対戦そのものは春菜と此花のユニオンも合間に挟んでいるから余裕はあった。
魔神の襲来があるのだとしても、肩慣らしには十分だろう。
合間に闘技大会の動画を視聴する程の余裕は無かったけどね。
まあ、たまにはゆっくりと過ごすのもいい。
今日は忙しい事態になる可能性が高いのだ。
きっといい事、ありますよね?
パティオのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。
もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。
パティオ ゴールドシープLv79→Lv80(↑1)
器用値 39(↑1)
敏捷値 88
知力値 88
筋力値 39(↑1)
生命力 70
精神力 70
スキル
頭突き 体当たり 受け 回避 疾駆 ダッシュ
夜目 飛翔 空中機動 危険察知 魔力察知
霊能 霊撃 騎乗者回復[小] 物理抵抗[小]
魔法抵抗[極大] 魔力相殺[中] MP回復増加[中]
弾性強化[大] 解体 祝福 時空属性 光属性
闇属性 黄道変 白道変 混乱 睡眠 耐混乱
耐睡眠
《これまでの行動経験で【鑑定】がレベルアップしました!》
《これまでの行動経験で【解体】がレベルアップしました!》
アイテムもそこそこ、確保出来ている。
闘技場の難易度が上がったからなのか、アイテムが剥ぎ取れる確率が微妙に上昇したかな?
まあこれは気分的な問題だ。
上がった、と思っておこう。
「キース、そろそろ移動するわよ!」
「了解、対戦はこれで切り上げます」
観客席にはフィーナさん達が来ていた。
もうそんな時間か。
そして失念していた事もあった。
どれも激戦、満足しべきであるんだけどね。
格闘戦成分の補充をしていなかったな!
これは迂闊であったのか?
多分、そうなんだろう。
でも他の得物を使って大いに暴れる事は出来ている。
何とか禁断症状は出ないで済むものと思いたい。
でもね、対戦を終える前に少し悪戯をしてみよう。
単に興味があるだけだけどね。
適当な鍋にエジリオのお乳を搾乳して、飲んでみようか。
きっと美味しいに違いない!
「どうだ?」
「甘っ!」
「これ、本当にお乳なんですか? 果実の甘味があるんですけど」
「むむっ、これは少し発酵しているような? 風味が凄い!」
「でもこれ、牛乳と違って使い方が難しいですね。お菓子にするには何度もテストしないと」
そうなのだ。
エジリオのお乳は美味しかった。
アデル達にも生産職の面々にも概ね好評ではあったのだが。
優香だけは難しい顔付きをしている。
お菓子、特にスイーツの場合は極めて細かな配合が求められると聞く。
彼女の言う通り、これだけ甘く風味も備わっていると使いこなすのも難しそうだ。
「当面、この子はポータルガードに配備ですか?」
「どうかな? 交代させる事もあるかもだが」
「機会を見て、お乳を下さい! お菓子にしてみたいんですが」
普段の優香はミオの影に隠れて控え目な印象がある。
戦闘では主に遊撃、刺突剣を用いたスピードファイターで派手なんだけどな。
今回は妙に押しが強い。
ついでにオレの左手を抱え込んでお願いまでしている。
だが甘いな。
左肘を極めるには程遠い。
革鎧があるからおっぱいに挟む事も不可能。
オレの思考はどこまでも格闘技が第一、次にエロの方向へと流れて行くようだな。
「あ、私はチーズにしてみたい!」
「搾乳は程々に頼むよ。家畜の分もないと困りそうだし」
「ハイ!」
「アマルテイアをもっと増やして、ここを牧場にしたらどうでしょう?」
「キースさんなら、やれちゃうと思います!」
いや、出来るかどうかで言えば出来ちゃう所が恐ろしい所だ。
そうするだけの魅力だってある。
但し、実行するには問題が大きいのだ。
1名のプレイヤーが1箇所の拠点に配備出来るポータルガードの枠には上限がある。
その枠は30までしかない。
既に召魔の森の枠は半分以上が固定の面々で占められていて枠に余裕は無いのです。
「アデルも春菜もアマルテイアを召喚出来るようになればいいんじゃないか?」
「むー」
「でも、厳しいですよー!」
まあアレだ。
自前で召喚出来るようになったら大変だろうな。
雑談情報によればアデルも春菜も配下にゴールドシープがまた増えたそうだが。
獣魔の森のポータルガード常備用、パーティ用、モフモフ布教用であるらしい。
だが新たな枠が今、生まれたそうな。
召魔の森のポータルガード常備用であるらしい。
アデルが配備したのは?
ホワイトファング、妖狐、インペリアルタイガー、フラッシュキメラ、ゴールドシープ。
では、春菜が配備したのは?
白狐、フェンリル、ゾンネティーガー、シュバルツレーヴェ、ゴールドシープ。
5枠をここ召魔の森に割り振るとはね。
かなり余裕が出来たものと見える。
「獣魔の森はいいのか?」
「もう十分過ぎる程、数がいます!」
「今、意図的に枠を減らしてます。周辺の森も地下にある洞窟も獲物は限られますし」
そういう事か。
確かに配備されているポータルガードの数で比較したら、圧倒的に獣魔の森の方が多い。
枠を削ってでもこっちの割り振るのも合理的ではあるな。
「睡蓮洞はどうなんだ?」
「あそこはちょっと、ね?」
「頻繁に訪れるには抵抗がありますねー」
成程ね。
では海魔の島ならどうか、と言いかけたけど止めておく。
アデル達も自前で海に拠点を設けてもいい頃合いだろう。
邪魔になるような真似はすべきではないな。
「まだ、あのままか」
「ええ、相変わらずですねー」
「一時期は控え目だったみたいですけど」
「現時点で配備されているポータルガードの数は最大規模じゃないでしょうか?」
そうか。
どうやら元の木阿弥ですか?
まあオレの責任の範疇じゃないだろうし、海の拠点は既に別途自前で確保した。
たまに顔を出す事はあるとは思うが、経験値稼ぎにはどうだろう?
促成栽培で使う機会はあるかもしれないな。
海専任に限ると思うけど。
「ところで、キースも呼ばれているんでしょ?」
「ええ」
「私達は闘争の聖地の外で警備になると思うけど。貴方は中?」
「多分、そうでしょう」
「了解。イベントが進行しそうな雰囲気があったら知らせて欲しいけど」
「分かりました」
襲って来るなら外からだ。
普通ならそうだろう。
だが、闘争の聖地の中にいるからと言ってそこが戦場にならない保証は無い。
むしろ可能性は高いとすら思える。
あの魔神候補の王女様達がいるのだから、警戒はしておくべきだろう。
テレポートで闘争の聖地に到着、だがこの喧噪は何だ?
今から戦争でも始まりそうだよ!
兵士の数も相応に多い。
ドラゴニュート、バードマン、ドワーフ、ミュルミドンの数もかなりの規模だ!
しかも闘争の聖地を囲んでいるのはドラゴンの長達だ。
オレの位置からは紫晶竜、蒼玉竜、白金竜、柘榴竜の姿が見えた。
目の前には水晶竜、闘争の聖地の出入り口を固めている形になる。
その傍にはブロンズドラゴン、多分だけどいつも一緒にいた個体だろう。
長く見ているから分かるようになっちゃったよ!
それにドラゴンの長達の周囲には各々の配下のドラゴン達もいる。
上空を旋回している幾つもの編隊もまたドラゴン達、そして恐るべきなのはこれだけじゃない。
巨大な人型のバオバブエントがいる。
そして並んでいるのはセンチネルゴーレム弐式か!
バオバブエントに比べたら小さく見える。
それでもアレが相当な巨躯なのは承知しているぞ!
「もしかして、ドラゴンの長は全てここに来てます?」
『然りだ。ここからでは見えぬであろうが、翠玉竜殿、翡翠竜殿、金紅竜殿も反対側におられる』
『上にも長老殿もおられる』
ブロンズドラゴンの視線の先は闘争の聖地の巨大なドームがある。
その上には巨躯のドラゴンが鎮座しているようだ。
こっちからだと尻尾が垂れ下がっているだけにしか見えないけどな!
エルダードラゴンの長老様まで駆り出しているのか。
それにもきっと何か意味がある違いない。
一応、布陣に工夫はしてある。
ヴォルフ、黒曜、アイソトープ、待宵、キレートになってます。
転生煙晶竜のお目付役は黒曜とアイソトープに任せる形だ。
ヴォルフ、待宵、キレートは周囲への配慮を考慮した形になる。
キレートはインビジブルストーカーで長時間姿を消しても平気だ。
待宵はレプリカント、そのキレートの姿を写し取ればやはり姿を消してくれる。
その存在を把握するのは召喚主のオレにすら不可能。
周囲に気付かれる可能性は低いだろう。
だが、この様相では配慮する必要も無かったかな?
それ程にオレも配下の召喚モンスター達も目立っていない。
そう、これならば転生煙晶竜の存在も単なるオレ配下の召喚モンスターに見えるだろう。
唯のグレータードラゴン、ビーコンとしてだ。
ポイントなのはやはりアイソトープの存在だろうか?
より上位のドラゴンの方がやはり目立つ。
偽装している転生煙晶竜に注目が集まる可能性はより低くなる筈だ。
しかも周囲はNPCのドラゴンだらけでしかも上位種、長達までいる。
目立たない。
目立ってないよね?
しかし何だってオレがここまで配慮せにゃならんのだ?
理由は単純ですけど。
面倒事になるのが嫌なのです。
そう、こんな理由では転生煙晶竜が紫晶竜達と会うのを面倒に思っているのを批難出来ない。
まさか、オレ達って似た者同士なのか?
まさか。
まさか、ね?
オレがエルダードラゴンの長老様を指差す。
黒曜が、そしてアイソトープが闘争の聖地のドームの上に飛んで行く。
そしてビーコンこと転生煙晶竜もです。
通路はドラゴン達には狭く、中に入れる訳には行かないからな。
では、中で戦闘になったらどうする?
ドームをぶっ壊してでも介入させるべきだろう。
「あ、そうだ。これ!」
「何だ?」
「全員に配ってるの! 危ないと思ったら使ってね!」
ミオから渡されたのはパンだ。
多分、パンだ。
なのに結構重たいんだけど、何じゃこれ?
【食料アイテム】黄金林檎のパネットーネ 満腹度+15%
品質A+ レア度10 重量0+ 一定時間不死身、状態異常無効
効果継続時間は約2時間
黄金の林檎を使った贅沢な菓子パン。
食した者は幸せになれるという。
いや、だからさ。
余計な効果が付いていると使うに使えないんですけど!
好意であるんだろうし、貰ってはおくけど。
ログアウト寸前に全部食う事にしようか。
匂いで分かる。
これ、絶対に美味いんだろ?
きっとそうに違いない!
ヴォルフだけを連れて闘争の聖地の中へと進む。
実際には待宵とキレートもいる筈だが、その位置は把握出来ない。
仮想ウィンドウでいる事が分かるだけだ。
天井を見上げる。
見えないけど黒曜とアイソトープ、それに転生煙晶竜もいる筈だ。
エルダードラゴンの長老様に失礼な事をしていないといいんだが。
さて、肝心の闘争の聖地の中はどうなっているのか?
闘技大会とは完全に様変わりしてます。
観客席はそのままだが、広い闘技場の地面には幾重にも魔法円と魔方陣が描かれている。
天井にもだ!
これらは対になっているようで上下に柱の帯のように魔力が連なっているようだ。
センス・マジックで見ている光景ではないけど、間違いなく結界なんだろうな。
一応、確認すべきだろう。
(センス・マジック!)
(ミラーリング!)
「クッ?」
感じ取れる魔力は確かに高い。
だが画面が真っ白になるような感じはしない。
凄まじく細かい紋様が描かれているかのようで、目がチカチカする感じだ!
一体、どうやって組んだのか。
それにこれが外部からの介入に対する結界ではないのだ。
闘技場の中央に例の王女様達がいる。
跪いて祈っているような姿勢だ。
彼女達の正面には女教皇シュザンヌ。
その両脇には法騎士、王女達の背後にもいるようだが。
全員が秩序法典らしき物を手にしている。
そうか、既に法儀式は始まっていたのか!
結界の中には師匠もいる。
その周囲にいるのは?
パイロキメラ、ダークキメラ、フラッシュキメラ、エルダーキメラ、ラーヴァキメラだ。
キメラ尽くしなのは何か意味があるのかな?
そのキメラ達の足下は個々に魔法円と魔方陣が描かれている。
但し、師匠の周囲にだけは何も無い。
そこだけ魔力が空虚に感じられる程だ!
「来たか。お主の召喚モンスターはこれだけか?」
「屋上にもいますよ」
観客席でゲルタ婆様に見付かった!
その後方に控えるのは何故かジュナさん、でもいつもと雰囲気が違う。
オレを見付けたら絡んでくるのが常である筈だが、違うのだ。
そもそも何でジュナさんが2人もいるのか?
答えは明らかだな。
両方がレプリカントであるのだろう。
よりによってジュナさんの姿を写し取らせる、その意味は明らかだ。
それだけの警戒が必要って事ですね?
それに左に視線を転じると観客席にサビーネ女王一行もいるようだ。
誰かが手を挙げてブンブンと振っているのが分かる。
多分、あれが本物のジュナさんだな。
「分かっていると思うが、いざともなればここを破壊し尽くしても構わぬぞ」
「ええ」
「そうならん事を祈っておるがいい」
「はい」
嘘だ。
オレはまたしても大嘘を吐いている。
是非、魔神の皆さんにはここを襲って来て欲しい!
次点は王女様達の魔神化であるのだが、多分面白い展開にはならないだろう。
格闘戦向けではない事は確実だ。
剣の技量には期待していいのかもだが、それでも事故は怖い。
面倒だし攻撃呪文だけで済ませるか、梱包しておしおきかな?
「これ、キース」
「は、はい?」
「顔が笑うておるが、何か良い事でもあったかな?」
「い、いえ」
しまった。
顔の随意筋が勝手に反応している!
だがゲルタ婆様は大したものだ。
オレの笑みを見ても全然怖がる様子が無い。
「魔神共が襲って来るのを期待している。そんな感じであったの」
「い、いえ。そんな事はありませんが」
「実を言えばの、この婆もそうなのじゃ」
「え?」
笑っている。
ゲルタ婆様が、笑っていた。
まるで肉食獣のようにだ!
そう言えば以前、魔神の放った矢を喰らっていましたっけ。
あの狩人姿の魔神の仕業だ。
きっと、酷い報復を考えているに違いない。
「例の王女様達から指輪は分離出来そうですか?」
「シュザンヌ殿次第であろうがな。出来ればもう少し秩序法典の使い手が欲しかったがの」
「外にセンチネルゴーレムもいました。もしかしてアレって」
「結界を兼ねておる。そしてドラゴンの長達もであるな」
結界ですか。
そこまで厳重にしたら魔神が襲うのを躊躇しそうなものだが。
ゲルタ婆様はそれでも、魔神が来る可能性を捨てていないようだ。
それだけ新たな魔神候補となった王女様達に存在価値があるという事だろう。
「キースよ、お主はここで警戒を続けよ。この婆は女王陛下の対面の観客席におる」
「了解です」
「それにジュナ様がいるとはいえ女王陛下の安全にも配慮せよ」
「はい」
「召喚モンスター達を用いよ。頼るのではないぞ? その意味は分かっていよう」
何だか説教みたいになってますけど。
大丈夫です。
そう答える事も出来たが、敢えて答えませんでした。
不安要素はあったのだ。
そう、あの転生煙晶竜の存在です。
あれを用いる、というのはちょっと無理な気がするぞ?
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv233
職業 サモンメンターLv122(召喚魔法導師)
ボーナスポイント残 18
セットスキル
小剣Lv190 剣Lv191 両手剣Lv190 両手槍Lv192
馬上槍Lv190 棍棒Lv190 重棍Lv190 小刀Lv190(↑2)
刀Lv190(↑1)大刀Lv191 手斧Lv190 両手斧Lv190
刺突剣Lv191 捕縄術Lv190 投槍Lv191
ポールウェポンLv190
杖Lv205(↑1)打撃Lv216 蹴りLv217 関節技Lv216
投げ技Lv216 回避Lv229 受けLv229
召喚魔法Lv233 時空魔法Lv218 封印術Lv218
光魔法Lv217 風魔法Lv218 土魔法Lv218(↑1)
水魔法Lv218 火魔法Lv217 闇魔法Lv218
氷魔法Lv218 雷魔法Lv218 木魔法Lv217
塵魔法Lv217 溶魔法Lv218(↑1)灼魔法Lv217
英霊召喚Lv7 禁呪Lv218
錬金術Lv190 薬師Lv50 ガラス工Lv50
木工Lv84 連携Lv199 鑑定Lv154(↑1)識別Lv202
看破Lv199 保護Lv62 耐寒Lv201
掴みLv200 馬術Lv199 精密操作Lv200
ロープワークLv175 跳躍Lv202 軽業Lv204
耐暑Lv197(↑1)登攀Lv171 平衡Lv201
二刀流Lv200 解体Lv154(↑1)水泳Lv192
潜水Lv192 投擲Lv201
ダッシュLv201 耐久走Lv201 追跡Lv201
隠蔽Lv196 気配察知Lv198 気配遮断Lv197
魔力察知Lv198 魔力遮断Lv197 暗殺術Lv198
身体強化Lv198 精神強化Lv198 高速詠唱Lv70(↑5)
無音詠唱Lv199(↑1)詠唱破棄Lv204 武技強化Lv203
魔法効果拡大Lv199 魔法範囲拡大Lv199
呪文融合Lv199
耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e
耐暗闇Lv198 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e
耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv137
限界突破Lv90 獣魔化Lv108
召喚モンスター
イソシアネート 蜘蛛神Lv79→Lv80(↑1)
器用値 96
敏捷値 85(↑1)
知力値 33
筋力値 85(↑1)
生命力 78
精神力 33
スキル
噛付き 爪撃 跳躍 回避 登攀 掘削
奇襲 隠蔽 危険察知 振動感知 魔力察知
気配遮断 魔力遮断 監視 夜目 出糸
罠作成 繭作成 網糸結界 糸延伸
自己回復[大] 物理抵抗[大] 魔法抵抗[中]
MP回復増加[小] 闇属性 土属性 水属性
猛毒 麻痺 暗闇 混乱 魅了
タペタム 獅子神Lv79→Lv80(↑1)
器用値 37
敏捷値 78(↑1)
知力値 37
筋力値 107
生命力 126(↑1)
精神力 37
スキル
噛付き 引裂き 体当たり 疾駆 跳躍 回避
受け 念動 激高 追跡 裂帛 危険察知 夜目
耐久走 隠蔽 強襲 捕食吸収 自己回復[極大]
物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] MP回復増加[中]
耐即死 耐麻痺 耐魅了 耐混乱
風花 ゾンネティーガーLv79→Lv80(↑1)
器用値 53(↑1)
敏捷値 74(↑1)
知力値 81
筋力値 64
生命力 64
精神力 81
スキル
噛付き 引裂き 回避 登攀 裂帛 瞑想
危険察知 隠蔽 監視 夜目 匂い感知 連携
精密操作 気配遮断 気配察知 魔力察知
魔力遮断 自己回復[中] 物理抵抗[中]
魔法抵抗[中] MP回復増加[大] 時空属性
光属性 闇属性 風属性 水属性 氷属性
黄道変 白道変 耐混乱
ムレータ ミノタウロスLv79→Lv80(↑1)
器用値 78
敏捷値 55
知力値 27
筋力値 119
生命力 114(↑1)
精神力 22(↑1)
スキル
手斧 両手斧 打撃 蹴り 噛付き 投擲
遠投 受け 回避 登攀 投げ技 関節技
頭突き 狂戦士 夜目 掴み 平衡 ダッシュ
体当たり 捕食吸収 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]
自己回復[極大] 火属性 土属性 溶属性
耐暗闇 ブレス
パティオ ゴールドシープLv79→Lv80(↑1)
器用値 39(↑1)
敏捷値 88
知力値 88
筋力値 39(↑1)
生命力 70
精神力 70
スキル
頭突き 体当たり 受け 回避 疾駆 ダッシュ
夜目 飛翔 空中機動 危険察知 魔力察知
霊能 霊撃 騎乗者回復[小] 物理抵抗[小]
魔法抵抗[極大] 魔力相殺[中] MP回復増加[中]
弾性強化[大] 解体 祝福 時空属性 光属性
闇属性 黄道変 白道変 混乱 睡眠 耐混乱
耐睡眠
ビーコン グレータードラゴンLv30
器用値 54
敏捷値 56
知力値 70
筋力値 54
生命力 54
精神力 70
スキル
噛付き 引裂き 体当たり 飛翔 回避 跳躍
疾駆 夜目 水棲 空中機動 自己回復[中]
物理抵抗[中] 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]
捕食吸収 ブレス 時空属性 光属性 闇属性
火属性 風属性 土属性 水属性 溶属性
毒耐性 耐即死 耐魅了
召魔の森 ポータルガード
ジェリコ、リグ、クーチュリエ、獅子吼、守屋
モジュラス、雷文、清姫、スーラジ、久重、テフラ
岩鉄、虎斑、蝶丸、網代、スパーク、クラック
オーロ、プラータ、酒船、コールサック、シュカブラ
シルフラ、葛切、スコヴィル、デミタス、白磁
マラカイト、貴船、エジリオ
海魔の島 ポータルガード
アプネア、アウターリーフ、バンドル、ロジット
プリプレグ、出水、エルニド、アチザリット
アモルファス、魂振、セノーテ、呼子、明石
同行者
ビーコン(転生煙晶竜)




