111
村の外に出ると陣容を変更する事にした。
さすがに打撃力が不足している。
ナインテイルは帰還させてヘリックスを召喚する。
まあいつもの移動優先の布陣にフェアリーのヘザーが加わった形だな。
今日はどうするか?
これは決めてあった。
南へ行こう。
何故かって?
そこに見た事が無い風景があるからだ。
最初に遭遇したのがラプターであった。
それが2頭。
ヘザー抜きでもどうにかできる戦力が相手だ。
さて、ヘザーの真価は如何に?
そのヘザーですが。
オレの右肩に止まったり、残月の頭の上に止まってたりして遊んでいるように見えます。
だがそうではない。
ラプターの動き、相対的な位置に併せて移動しているようなのだ。
そして呪文らしきものを掛けて来ている。
残月に対して、である。
何をしたのか?
残月 ホワイトホースLv1
器用値 7
敏捷値 25(+4)
知力値 7
筋力値 24
生命力 24
精神力 7
スキル
踏み付け 疾駆 耐久走 奔馬 蹂躙 蹴り上げ
騎乗者回復[微] 魔法抵抗[微]
残月のステータスを確認してみたら敏捷値が底上げされてました。
なんとお任せしてたら呪文で支援とかやるじゃん。
それだけではなかった。
ラプターの脚にウィンド・カッターの呪文のような攻撃を撃ち込んでいたのだ。
転がった魔物を残月が踏みつけていって、ヘリックスが止めを刺した。
もう1頭のラプターは残月と併走し、オレもロッドで魔物の攻撃を捌きつつ、反撃を加えていったのだが。
その合間にもヘザーは魔物に攻撃を加えていた。
しかも至近距離で。
わざわざ接近するとか自殺行為に思えたのだが、魔物の噛み付き攻撃を楽々と避けていた。
ふう。
心臓に悪いじゃないか。
ヘザーを追い掛けて体勢を崩した魔物に残月が体当たりをした。
魔物は簡単に転がってしまう。
ヘリックス、黒曜が追撃を加えた所で片が付いた。
それにしても、だ。
色々とやってくれそうなのは分かった。
でも最初のうちは魔物に接近するのは止めさせよう。
心臓に悪い。
だが気分は良かった。
後衛となると、護鬼とナインテイルしかいない状況で、このヘザーの加入は有難い。
選択肢が多くなるのはいい事だ。
ラプターからは古代石も剥げたし、いい感じだ。
更にラプターを2頭狩っておく。
今度はヘザーも自重した。
それでもノーダメージなのだから十分です。
ここである事に気がつく。
ヘザーのMPバーである。
攻撃手段を特殊攻撃に頼っているヘザーは当然MPが減っている。
実際に最初の戦闘では5割近くまで減っていたのだ。
今、ヘザーは4割程度にまで減っている。
あっという間にMPバーが枯渇するんじゃね?
次の相手はフロートアイ1匹であった。
普段ならヘリックスと黒曜の連続攻撃で片がつく相手なのだが。
ヘリックスの攻撃が避けられた。
いや、失敗かな?
いずれにしても魔物は黒曜の攻撃でHPバーは減ってはいても、息絶えていない。
魔物が目を閉じ、開かれた。
オレの全身に雷撃が走っていた。
こいつめ。
だがオレの反撃はない。
ヘリックスが再度、攻撃を加えて仕留めてしまっていた。
そしてオレのダメージはどうなっていたかというと、全快近くにまで回復していた。
ヘザーによって、である。
なにこれ。
ナインテイルも色々と役に立ってくれているが、ヘザーも同様であるらしい。
つか立ち位置でいえば被っているけどな。
これは今後に期待が持てる。
で、オレなんですが。
召喚する以外、呪文を使わずにここまで来てしまっていた。
MPバーは余裕ありまくり。
残月に騎乗している影響でMPバーの回復も速いようだ。
それを言ったらヘザーはもっと速い。
MPバーが4割ほどだった筈が、もう6割近くまで戻っている。
そう言えばヘザーのスキルにもMP回復増加[小]があるんでした。
相乗効果なのだろうか?
回復が速いような気がする。
ラプターとフロートアイを狩りながら南へ進む。
こっち側にはアンガークレインが少ないようだ。
たまに見かけるのだが、パッシブのまま逃げてしまっている。
ブラウンベアもいたが、距離があったので放置した。
今日は移動を優先なのだ。
そして想定していた以上に早く南の川沿いに出ていた。
対岸の岩壁には数多くの穴がある。
情報によればフロートアイの巣穴らしいが。
刺激しないように洞窟のある場所を目指し移動する事にした。
川の対岸に洞窟への入り口が見えていた。
残月に騎乗したまま、渡れそうである。
川面は綺麗で、川底の石も良く見えた。
そう言えばここ、石英質の石が採れるとか言ってなかったかな?
土魔法の呪文、ダウジングを使ってみた。
普段は黒曜石の採集にしか使ってない呪文だ。
やはり、あるな。
少し時間を食ったが、収穫はあった。
【素材アイテム】黄水晶 品質B- レア度3 重量0+
黄色の水晶。別名シトリン。
透明度が高く粒の大きなものは魔法封印によく使用されている。
【素材アイテム】サードニックス 品質C+ レア度2 重量0+
紅色と白色の縞模様がある瑪瑙。別名、紅縞瑪瑙。
ガラス光沢を持つ美しい石で、魔除けによく使用される。
【素材アイテム】プレーナイト 品質C+ レア度2 重量0+
マスカットグリーンの宝石。別名、葡萄石。
半透明で少しの光沢がある。真実を見抜く力があると言われている。
【素材アイテム】レッドジャスパー 品質C レア度2 重量0+
不純物を多く含む赤褐色の石英。別名、碧玉。
不透明で他にも多くの色や模様を持つ。安定をもたらす石とされる。
こんな感じであった。
レア度はそれほどではないが、色々と使えそうな気がする。
そうだな。
召喚モンスター達に使ってみるとか、いいかもしれないよね?
川を渡ると洞窟だ。
ここの入り口は川辺からかなり高い場所にあった。
その入り口は大きい。
中の様子はどうか?
なんと結構広いし、しっかりとした構造のように見える。
残月でも踏破できそうな感じだが。
しかし初見の場所を騎乗して行く訳にもいかないだろう。
ここは自重すべきだ。
残月とヘリックスは帰還させる。
少し迷うところだが、ジェリコと無明を召喚した。
ここは慎重に進むとしよう。
フラッシュ・ライトで照らされた洞窟の内部は見事なものだった。
簡素に見えて重厚。
単純にも見えるが洗練された美しさがある。
放置され、所々が荒れてはいるが、あまり気にならない。
人が誰か住んでいたとしてもおかしくないだろう。
幾つかの堰のような構造物に備わった扉を通過して奥へ進む。
扉は開けっ放しだ。
朽ちている訳でなく、扉は、ある。
閉めてないだけのようだが。
やはり違和感があるよね?
埃が積もっているような箇所もあれば、最近まで使っていたかのようにピカピカな箇所もある。
その理由がオレの目の前に現れた。
オークだ。
5匹、いるな。
だが所詮はオーク。
少しは強い個体がいるか、とも思ったが、期待は裏切られた。
オレが仕留めたのも1匹だけだ。
つまらん。
実に、つまらん。
腕1本を折って、首の骨をトンファーで砕かれて終わりとか脆すぎるだろ。
何より獲物が剥げないのではつまらなすぎてもうね。
ああ、そうか。
そう言えば、奥にはコボルトもいるんでしたっけ。
ただのオークやゴブリンには興味ありません。
上位種はどんと来い!
コボルトアサシンだってこの際ウェルカムだ。
本当は真っ直ぐ突っ切っても良かったのだが、時間はあった。
寄り道することにしよう。
支道に入ってその奥を見てやれ。
支道はさすがに狭い。
先刻の奴に比べたら、であるのだが。
それでも広いって。
ドワーフにこのサイズは要らないだろ?
そんな事を思いながら先に進んでいたら黒曜がオークを見つけていた。
3匹だけ。
来るならもっと多数で来てくれないと緊張感ががががが。
当然、楽勝で終わる。
アイテムが剥げたらストレスも溜まらないんだろうが。
それもない。
そんな展開が暫く続いた。
うう。
どうにかしてくれ。
思いっきり暴れたくてたまらん。
何気にMPバーも全快になっていた。
よし。
次に遭遇した魔物には呪文を使おう。
絶対に使おう。
MPが自然回復する分が勿体無い。
そこはちょっとした広間のような場所でした。
多分、オークの住処だ。
【識別】したらただのオークだけじゃなく、オークリーダーも混じっているようです。
ちょうどいい相手だよな?
でも平オーク多すぎなんだよ!
「ライト・エクスプロージョン!」
オークがこっちに殺到する前に呪文は悠々と間に合った。
光魔法の全体攻撃呪文。
ダメージだけでオークを屠りきれるものではない。
むしろ期待したのは状態異常の混乱が発生してくれる事の方なのだが。
結構、ダメージもあるようだ。
個体によってはHPバー半分まで削れている奴もいるし。
そしてオークの群れの半分以上も混乱状態に陥っていた。
ちょろいって。
「フィジカルエンチャント・アース!」
オレ自身は生命力を底上げする。
ジェリコ、黒曜、無明に雑魚どもは任せておこう。
狙いはオークリーダーだ。
そのオークリーダーですが。
混乱してました。
ダメじゃないか。
周囲にいるまともなオークに迷惑がかかっていた。
数匹のオークがリーダーの手で息の根を止められてしまっている。
今もその両手にオークの頭が握られていた。
そのまま振り回して、投げつける。
可哀想なオーク。
2匹ともそれで息絶えていた。
周囲に動くものがいなくなったせいか、オレに襲い掛かってきやがった。
だがこいつの相手にするのも初めてではない。
弱点は分かっている。
今も隙だらけだった。
掴もうとしてくる腕の下を潜って足元を狙う。
左膝に蹴りを入れておいてから魔物の右足に狙いを定めた。
足を絡め、頭は魔物の脇の下で押す。
絡めた足を跳ね上げた。
河津掛け。
柔道技ではあるが、超ド級の反則技になっている。
プロレスで使われている技としての方が有名かもしれない。
相撲の決まり手でもある。
反則技って事は非常に有効って事だ。
この技が反則になった理由は簡単で、受身が難しい事にある。
後頭部を直撃するからね。
注意しなきゃいけないのは、倒れる相手の下に腕が挟まれる事だ。
腕を痛めるし、相手に与えるダメージも減るからな。
だからオークリーダーが倒れる前に体を捻ってマウントを狙いに行った。
バグナグを手にして殴りつけようかと思っていたが。
気絶してやがる。
なんとまあ。
情けない。
トンファーに持ち替えて残りのオークを片付けに行く。
もうまともに戦えそうなオークが残ってないです。
仕方なく混乱状態のオークに止めを刺す作業に移りました。
《只今の戦闘勝利で【二刀流】がレベルアップしました!》
全滅させたら二刀流がレベルアップしてました。
結局、気絶していたオークリーダーは意識が戻らないうちに無明が止めを刺している。
あのパワーファイターも無防備ではどうしようもないようだ。
で、何が剥げたかと言えば、ツァボライトにアイオライトが1個ずつだ。
満足できる成果と言えるだろう。
ツァボライトも原石2個が溜まったか。
もう少しレア度の高い宝石を狙うのであれば、もっと強敵に勝たないとダメなんだろうな。
広間からは4つの支道が続いているようだ。
1つだけが大きく、下へとやや傾斜していた。
先に進む前にもう1度、広間を調べてみる。
何やら小部屋が並んでいるようだが、そこはオーク共の寝床になっていた場所だったらしい。
酷い匂いが篭っていた。
1つだけ開けた様子の無い小部屋がある。
普通の木の扉に見えるが、どうして開かない。
ジェリコのパワーでもダメである。
扉ごと壊しにかかったがそれもダメでした。
なんぞこれ。
センス・マジックを掛けて扉を見てみる。
魔法が掛かっている扉のようであった。
ああ、つまりあれを使えと?
「アンロック!」
手をかざして呪文を放つ。
扉から魔力が消え失せていくのが見えていた。
さあ、中には何がいるのかね?
中は支道に比べたら天井が更に高い広間だ。
空気の匂いが違っているのが分かる。
長く空気が入れ替わっていなかったようだ。
見える範囲では何も居ない。
床には埃が薄く積もっているようである。
オレ達が中に入ると後方で扉が自動で閉まったようだ。
しかも2重で。
一枚岩のようなものが上から落ちてきて、大きな音を立てて地面と衝突した。
なるほど。
逃がさないぞ、ということか。
だが何も現れる様子はない。
広間の隅々を黒曜が調べてくれたが、出口は広間の対面にある扉だけのようだ。
何も、起きない、のかな?
そうは思えないのですが。
広間の中心を通り過ぎた所でオレの後ろで光が爆ぜた。
何だ?
振り返ると奴等がいた。
牛頭 Lv.1
妖怪 討伐対象 アクティブ
馬頭 Lv.1
妖怪 討伐対象 アクティブ
おい。
さっきまでいなかったと思ってたが妖怪が登場です。
センス・マジックがまだ有効だったのは幸運だったのだろう。
この2体の妖怪そのものは淡い魔力を纏っているのが見えていた。
そしてその得物にはそれ以上の魔力がある事が見て取れる。
あれはヤバいな。
防具を身につけていないのが救いだろう。
筋肉を誇らしげに見せ付けているように思える。
腰を布で隠してあるだけだ。
呪文を選択して実行しながら観察を続ける。
牛頭のサイズはジェリコをやや大きくしたサイズか。
闘牛に比べたらむしろスリムである。
和製ミノタウロスと言えなくも無い。
得物は刺又だ。
「エンチャンテッド・ウェポン!」
最初の呪文は黒曜に掛けた。
早速、2頭に向けて飛び立つ。
ん?
ヘザーが黒曜の背中に貼り付いているようだが。
まあ任せておこうか。
次の呪文を選択して実行しながら観察を続ける。
馬頭だ。
こいつは牛頭よりも身長がある。
その分、牛頭よりもスリムだが、筋肉の塊のような体である事に変わりは無い。
得物は錫杖かな?
何やらシャラシャラと音が聞こえていた。
「エンチャンテッド・ウェポン!」
今度は無明に呪文を掛ける。
次だ。
牛頭の歩みは遅いが、もうすぐ馬頭がこっちに到達する。
なんとか。
間に合うか?
「エンチャンテッド・ウェポン!」
ジェリコに呪文を掛ける。
ジェリコと無明が同時に前へと動き出す。
間に合ったか?
間に合ったようだ。
馬頭が振り回す錫杖をジェリコが受け止め、無明が馬頭の膝に槌を叩き込んでいた。
ジェリコのHPバーは減りはしているが、大したことはないようだ。
無明の攻撃で馬頭のHPバーは1割近く減ったようである。
微妙だが通用していない訳じゃない。
いけそうだ。
「エンチャンテッド・ウェポン!」
オレ自身にも呪文を掛けて前に出る。
さて。
鬱憤晴らしになるかな?
最初の感想は?
強いじゃん。
そう思いながらも楽しんでいた事は否めない。
いや、程々に苦戦する相手で丁度いいのですよ。
牛頭は黒曜の攻撃を受けながらもこっちに突入してきた。
刺又で無明の胴体を抑えてそのまま放り投げたのにはビックリだよ!
それで大したダメージが無かった無明にもビックリですよ!
スケルトン相手に戦った経験があるから分かる。
投げ技はスケルトンにはあまり効かない。
体重が極端に軽いせいだろう。
牛頭はジェリコに任せてオレは馬頭に向かう。
ジェリコ相手に苦戦していたが、苦戦で済んでいるというだけで分かる。
パワーでは勝負にならない。
しかも妖怪だし。
首を捻ったり折ったりで息の根が止まるのか、分かったものではない。
「パラライズ!」
「ディフェンス・フォール!」
雷魔法の呪文で麻痺を。
溶魔法の呪文で防御力低下を。
狙いましたがどっちも不発だったようだ。
妖怪だからかね?
それでも更にオレは前に出る。
低空タックルだ。
頭上を錫杖が通過するのを感じながら馬頭の足元を見る。
まるで防御していない。
足の甲を踏んで股間を蹴り上げる。
右のトンファーを脇腹に撃ち込んで、左のトンファーで脇の下を突き上げた。
どれも人間ならば急所である。
なんともないぜ!
本当ならば悶絶ものなんだがな。
さすが妖怪。
まあHPバーはちゃんと減っているようなので良しとしよう。
馬頭が錫杖を大上段に振り上げて撃ち下ろしてきた。
僅かに体を捌いて避ける。
目の前にある手首を左のトンファーで押さえて右膝蹴りを馬頭の腕に叩き込んだ。
普通ならば骨が折れる。
上手く当てたら肘関節を壊せる攻撃だ。
効いたかどうかを確認する暇は無い。
蹴り上げた足を下ろすと同時に右のトンファーを持ったまま肘打ちを胴体に撃ち込んだ。
体重が十分に乗った攻撃。
手ごたえは十分。
だが馬頭の奴はオレに向けて噛み付き攻撃をしてくるのであった。
効いてるのに効いてない。
喉元を右のトンファーでかち上げて腰を落とす。
馬頭の懐に深く入り込むと同時に腰を跳ね上げた。
どう表現したらいいものか。
一般的な首投げとはまるで意味の違った首投げだ。
形としては片手一本背負いが近いかもしれない。
投げによるダメージはかなりあったようだ。
馬頭のHPバーは半分を割っていた。
まだ半分もあるのか!
呆れたらいいのか?
まだ半分もあるのか!
まだ戦えるのを喜べばいいのか?
ちょっと嬉しいオレがいます。
マウントポジションはとれなかった。
いや、首に跨ってはいますが。
時間を置かずに殴り続けた。
口をこっちに向けて噛み付こうとした瞬間、呪文を放った。
「スチーム・ショット!」
水蒸気の塊が口の中へと叩き込まれた。
ダメージは?
それだけで一気に2割にまでHPバーが減ってしまっていた。
いかん。
減らしすぎたか?
まあいいさ。
トンファーで連打。
仕留めに行こう。
次の呪文は必要としなかった。
牛頭はどうなってる?
奇妙な構図になっていました。
まるで相撲です。
互いに上半身を密着させて、互いの胴体に腕を回しているのであった。
形としては右四つだな。
牛頭の得物の刺又は地面に転がってしまっている。
牛頭の頭に黒曜が攻撃を加え続けているのだが、まるで気にする様子が無い。
HPバーは減っているが、その減り方は遅い。
無明も腰の辺りを攻撃し続けている。
さっき受けたダメージは徐々に回復しているようだ。
圧倒的に優勢と言える。
だが牛頭のHPバーはまだ8割以上を余らせていた。
このペースでは息の根を止めるのに時間が掛かりすぎる。
「フィジカルエンチャント・ファイア!」
ジェリコの筋力値を底上げしてやる。
力で拮抗していた両者に明らかな差がついたようだ。
牛頭の胴体に回した腕が徐々に締め上がっていく。
均衡は破れたようであった。
ジェリコはある技を体現している。
鯖折りだ。
基本はベアハッグの体勢だが、上半身で体重を預けてダメージを更に加えている。
これは痛い。
だが妖怪は傷みを感じていないように思えるのだが。
急速に牛頭のHPバーが失われていく。
オレが手を下す余地はもうないようであった。
《只今の戦闘勝利で【杖】がレベルアップしました!》
《【杖】武技のスペル・バイブレイトを取得しました!》
《只今の戦闘勝利で【連携】がレベルアップしました!》
《技能リンクが確立しました!取得が可能な武器スキルに【多節棍】が追加されます》
《技能リンクが確立しました!取得が可能な武器スキルに【鞭】が追加されます》
《只今の戦闘勝利で【火魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【溶魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【灼魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ヘザー』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
だから何故一気にインフォが来るんだ?
おっと、さっさとヘザーのステータスを確認しておかないと。
ステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だった。
任意ステータスアップは生命力を指定する。
ヘザー フェアリーLv1→Lv2(↑1)
器用値 6
敏捷値 19(↑1)
知力値 20
筋力値 1
生命力 2(↑1)
精神力 22
スキル
飛翔 浮揚 魔法抵抗[中] MP回復増加[小] 風属性
それでも貧弱な生命力。
数字の感覚的には筋力値も上げておきたい所なのだが。
当面は生命力に振るべきなんだろうな。
なんとかならないものだろうかね?
牛頭と馬頭の死体は残らなかった。
得物も消えている。
特にインフォもない。
一種のトラップ?
確かにそこそこに強敵だったし、そうなのだろう。
少なくともオークリーダーよりも遥かに強かった。
暫く広間に留まってみる。
魔物は現れない。
妖怪も出現しない。
どうやらここは安全と考えていいのかな?
時刻は午前11時半を過ぎていた。
昼飯にしておこう。
文楽が朝作った料理の余り、余分に貰ったナン2枚、それに干し肉を少し削って腹に収めた。
うむ。
旨いです。
干し肉は味付けがやや濃いが、ナンと併せて食べると丁度いい塩梅である。
惜しむらくは熟成が足りない事か。
そうだ。
干し肉の熟成を進めてみよう。
呪文を選択して実行してみた。
《対象を35日分、これに魔法効果拡大で更に9.1日分を反応促進します》
《Yes》《No》
レベルアップしている効果か、前回よりも日数が増えているようだ。
ここは最大日数で行ってみよう。
「エイジング!」
さて、味見味見。
おお。
旨味が深まっているような気がする。
これはいいな。
先に気付いておくべきでした。
もっと食べたくなったが、ここは自重するとしよう。
夕食にしておこう。
ジェリコは待機状態のまま、HPバーの回復をしている。
全快には少し時間がかかりそうだ。
無明はもうすぐHPバーが全快になりそうである。
速いって。
おっと。
時間を潰すついでに先刻のインフォだ。
【杖】武技のスペル・バイブレイトって何だ?
どうやら呪文詠唱を阻害する武技のようだ。
効果の持続時間が短いようだが、範囲がそこそこ広いみたいだし有効だろう。
魔物でも魔力を使う特殊能力に対して有効のようだ。
但し武技には無効、と。
これはどこかで試すべきだろう。
で、【多節棍】と【鞭】なんですが。
何がトリガーになって取得可能になったんだ?
【連携】がレベルアップした直後だし、何か関係がありそうですが。
思い当たる条件なんて分かる筈も無い。
【連携】レベル10が条件なのは確定と考えていいだろうけどさ。
【多節棍】は双節棍、三節棍といった武器を操る為のスキルだ。
但し、多節棍は武器としての杖のバリエーションであるらしい。
【杖】技能を控えに回すとスキルの恩恵は無いようだ。
つまり経験値も分散するって事か。
トンファーみたいに【杖】と【打撃】に経験値が振り分けられるって事だろう。
オレが取得する場合、必要なボーナスポイントは9であった。
当然、スルーで。
武器そのものがないし、ボーナスポイントも足りません。
そして【鞭】だ。
これはちゃんと独立した武器技能のようだ。
オレが取得する場合、必要なボーナスポイントは9である。
無論、スルーで。
つか両方とも必要とするボーナスポイントが高すぎだろ!
いや、武器を変更するだけのメリットが感じられないのもあるが。
まあどっちも取得は考えない方向でいいだろう。
まあそれはそれとして。
腹を満たした。
ジェリコはまだHPバーが全快ではないが十分であろう。
先に進むとしようか。
フラッシュ・ライトの明かりの下、広間の出口を観察する。
まだセンス・マジックの効力は残っていた。
魔力は感じない。
普通に扉は開いた。
その先は支道と同じ風景である。
魔物の気配は今の所はない。
黒曜も異常を感じ取っていないようだ。
よし。
ではもっと先に進んでみようか。
暫くは魔物の姿を見掛けなかった。
いないのかな?
まあオレもヘザーもMPバーの回復が図れていいんですが。
魔物はいつでもウェルカムです。
そして、来た。
オークじゃない。
コボルトでもない。
こんな奴です。
フロートボム Lv.2
魔物 討伐対象 アクティブ
フロートアイに通じる姿形である。
目玉そのものに羽だ。
だがその色は真っ赤であった。
目も血走っているし。
さあ、こいつは一体どんな奴なのかね?
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv13
職業 サモナー(召喚術師)Lv12
ボーナスポイント残 6
セットスキル
杖Lv11(↑1)打撃Lv7 蹴りLv7 関節技Lv7 投げ技Lv7
回避Lv7 受けLv7 召喚魔法Lv13 時空魔法Lv6
光魔法Lv6 風魔法Lv7 土魔法Lv7 水魔法Lv7
火魔法Lv7(↑1)闇魔法Lv6 氷魔法Lv5 雷魔法Lv5
木魔法Lv5 塵魔法Lv5 溶魔法Lv5(↑1)灼魔法Lv5(↑1)
錬金術Lv6 薬師Lv5 ガラス工Lv3 木工Lv4
連携Lv10(↑1)鑑定Lv9 識別Lv9 看破Lv3 耐寒Lv5
掴みLv7 馬術Lv7 精密操作Lv9 跳躍Lv4
耐暑Lv4 登攀Lv4 二刀流Lv7(↑1)解体Lv5
身体強化Lv5 精神強化Lv6 高速詠唱Lv7
魔法効果拡大Lv3 魔法範囲拡大Lv3
装備 カヤのロッド×1 カヤのトンファー×2 怒りのツルハシ+×2
白銀の首飾り+ 雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×2
雪豹のバグナグ×1
野生馬の革鎧+ 雪猿の腕カバー 野生馬のブーツ+
雪猿の革兜 暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2
所持アイテム 剥ぎ取りナイフ 木工道具一式
称号 老召喚術師の弟子、森守の紋章 中庸を望む者
呪文辞書
召喚モンスター
ヴォルフ グレイウルフLv2
残月 ホワイトホースLv1
ヘリックス ホークLv7
黒曜 フクロウLv7
ジーン バットLv7
ジェリコ ウッドゴーレムLv5
護鬼 鬼Lv6
戦鬼 ビーストエイプLv6
リグ スライムLv5
文楽 ウッドパペットLv4
無明 スケルトンLv4
ナインテイル 赤狐Lv3
ヘザー フェアリーLv1→Lv2(↑1)
器用値 6
敏捷値 19(↑1)
知力値 20
筋力値 1
生命力 2(↑1)
精神力 22
スキル
飛翔 浮揚 魔法抵抗[中] MP回復増加[小] 風属性




