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「春菜ちゃん、此花ちゃん、お弁当だよ!」


「サンキュー!」


「助かるわー」


 聖霊城に来たのはいいんだが。

 探索に出ているパーティを除くと迎撃兵力の少なさが際立ってしまう。

 サモナー系はオレにアデル、イリーナ、春菜、此花。

 マーカー兼任のリックのパーティ、それにシェルヴィのパーティだけだ。



「追加の戦力は?」


「今はちょっと難しいみたいだ」


「パーティ数で7つ、ユニオンを組むにしてもここで迎撃は無理だな」


 聖霊城は大きい。

 それだけにこの人数で防御をというのは絶対的に無理がある。

 どこかに亀が侵入して来たら、終わりだ。

 そう、キムクイガーディアン・スレイブさえどうにか出来れば話は早い。

 誘引か発光を使えば時間だけは稼げるだろう。



「策ならある。この人数じゃ厳しいと思うけど」


「具体的には?」


「南に少し移動して魔物を誘い込む。空中戦力と地上戦力を分断して各個に撃破が基本だ」


「相手の戦力、その全容が分からないんじゃ無謀か」


 リックも思案顔だ。

 まあそうなるよね?



「少しでも都合出来ないか、相談してみる。キースの案でいいかな?」


 リックが皆に意思確認をしている。

 異存は無いみたいだ。

 春菜と此花は食事を摂りつつ頷いている。



「待って。空中戦だと私達じゃ厳しいかもよ?」


「いや、その心配は無いと思うよ」


 シェルヴィの懸念は分かる。

 彼女自身、重装備の壁役であり迎撃では絶大な戦力だ。

 一方で空中戦となると普段とはまるで異なる間合いでしか戦えない。

 魔法技能は取得しているのだとしても効果は限定的だし、効率的にも不利なのだ。


 では、先に移動してしまおう。

 アードバークを召喚する。

 その背中であればパーティ2つを搭載しても問題は無い。



「南に移動するぞ!」


「キースさん、もしかしてルミリンナを使うんですか?」


「いや、別の手を使うさ」


 イリーナはオレの答えで何をするつもりなのかを悟ったようだ。

 確かに氷の城を築いて迎撃をするならシェルヴィにも大いに活躍の場はある。

 だが、それはどこまでも受け身なのです。

 テイラーの発光をより積極的に利用する手段はあるのだ。



「了解です。役割分担は?」


「移動しながら話すよ」


 今は時間が惜しい。

 聖霊城から近からず遠からず、絶妙の場所で早めに仕掛けたいものです。





 アードバークを着陸させた地点は?

 広域マップではN2E28マップの南側、N1E28マップとの境界と聖霊城の中間地点って所だ。

 移動中にも魔人が騎乗しているであろうグリフォンロードやヒッポグリフが捕捉出来た。

 だが、連中はこっちを襲う素振りを見せていない。

 こっちもコール・モンスターを使わなかった。

 偵察目的で来ているのは承知している。

 こっちの存在を見せておくのも利用したかったのだ。


 本音はかなり違う。

 雑魚は相手にしたくなかった。

 それだけだったりします。

 空飛ぶトナカイさんがいたら話が違っていただろう。

 サンタ滅ぶべし。

 そこはオレにとっては譲れない所なのだ。



『増援はパーティが1つ分だけど来るよ。少なくて申し訳ないね』


「了解。気にしなくていいよ」


 リックも苦笑するだけだ。

 元々、例の港町だって距離があるし他の拠点もある。

 ここは更に遠いのだ。

 来たがるプレイヤーも少ないのも道理だろう。



「では召喚モンスターの布陣を変更してくれ!」


『『『『はい!』』』』


 オレもアードバークを帰還させる。

 そして召喚した布陣は?

 テイラー、ペプチド、バンドル、クォーク、アモルファスです。

 対空戦闘をまともにやる理由は無い。

 オレはフライの呪文も使う事になるが、本番は地上戦だ。

 策ならあるのだ。


 アデルの布陣は?

 フォレストアイ、白狐、グレータードラゴン2体、ゴールドシープ。

 春菜の布陣は?

 妖狐、オーロラウィング、グレータードラゴン2体、ゴールドシープ。

 アデルと春菜は空中戦を中心に対応、その目的は遊撃になる。

 攻撃参加は当然だが、孤立しないように注意を与えてはいる。

 大丈夫かな?

 イリーナと此花は大丈夫だと言ってはいたが、やはり不安だ。


 イリーナの布陣は?

 マッドヒュドラ、キングバジリスク、玄武、パイロヒュドラ、ホーライ。

 此花の布陣は?

 クリアウーズ、青竜、紅竜、白竜、黒竜。


 狙いは一貫してます。

 水魔法の呪文、リィクアファクション。

 これに氷魔法の呪文、アイス・フィールドも組み合わせるのがオレの策だ。

 鉄の棺なり、氷の棺に封じ込めた敵は地面に叩き落として二度と空に飛ばせない。

 液状化させて沼に落とす事を基本にし、足場は氷上に築く。

 序盤はこれが基本だ。


 地上戦力は?

 キムクイガーディアン・スレイブなら問題無いだろう。

 海と陸の差はあるが、海賊戦法をやるのだ!

 クォークをぶつけて乗り移って殺戮の限りを尽くす。

 想像するだけで楽しそうだ!



『増援が来たよ!』


「応ッ!」


 確かにパーティは1つだけだった。

 問題は?

 全員が生産職であった事じゃない。

 その面々が問題だった。

 フィーナさん、サキさん、ミオ、優香、レイナ、マルグリッドさんかよ!



「後方で支援はいいんですか?」


『大抵は済ませて来たし、引き継ぎも済ませてあるから』


 そうは言いますけどね!

 男女比率が一気に崩れたような。

 まあ基本的に戦術は変えられないし、変える必要も無さそうだ。



「早速ですが始めます。序盤は空中戦力が相手ですが、地上戦のつもりで!」


『『『『『『了解!』』』』』』


 さて、これでパーティ数は8つか。

 迎撃戦力として見るならばかなり不足に思えるが、時間差を利用出来ればどうにかなる。

 そう思えます。

 そもそも相手戦力の全容が分からないのだから仕方ない。


 不安があるとしたら、オレの切り札だ。

 【英霊召喚】が使えるようになるまで、もう少し時間が要る。

 アデル達の切り札となる【英霊召喚】もだ。


 ま、そこは深く考えない事にしよう。

 きっとどうにかなる。

 いや、どうにかして見せましょう!






《只今の戦闘勝利で【重棍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【召喚魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【水魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【闇魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【氷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【雷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【禁呪】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【識別】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【耐寒】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【耐暑】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【登攀】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【追跡】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【身体強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【精神強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【限界突破】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で職業レベルがアップしました!》

《只今の戦闘勝利で種族レベルがアップしました!任意のステータス値2つに1ポイントを加算して下さい》


「空中戦力はまだいるか?確認してくれ!」


『了解!広域探査を継続するよ!』


『亀が姿を現してます!確認出来るだけで5体います!』


「距離は?」


『1体はかなり近いです!5分以内に接敵するかと』


 うむ、近いな!

 だがこっちにはクォークがいる。

 結界生成を使えば姿を消して移動する事も可能だ。

 ログアウトだって出来る。

 聖霊城から距離を置いているから余裕が持てる。

 ならば焦る事は無いだろう。



 基礎ステータス

 器用値  76(-30)

 敏捷値  76(-30)

 知力値 120(-48)

 筋力値  76(↑1)(-30)

 生命力  76(↑1)(-30)

 精神力 120(-48)



《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で73ポイントになりました》


「召喚モンスターは帰還、甲羅の上に合流!」


『『はいッ!』』


 アデルと春菜に遊撃を任せて不安だったのは確かだ。

 結果的にはイリーナと此花の言う通りでしたけどね。

 騎乗するゴールドシープを駆り、付かず離れずの距離を保ち続けていた。

 敵を翻弄し続けていた手際は見事だったと認めないといけない。

 正直、スマンかった。

 彼女達の評価は見直すべきだろう。



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『テイラー』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



『フライ、それにショート・ジャンプを使って移動を!急いで!』


『了解!』


『どうにかするわ、大丈夫!』


 フィーナさん、リック、シェルヴィのパーティは各々、氷上で戦い続けていた。

 但し、氷の下はリィクアファクションで泥地と化していたから酷く汚れている。

 それはオレも同様だ。


 皆さん、時間も時間であるしここで小休止にしたいだろう。

 オレは別の意味で小休止したい。

 泥だらけなのを洗い落としたいぞ!



 テイラーのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1ポイント分のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 テイラー ジュエルキャンサーLv69→Lv70(↑1)

 器用値  57(↑1)

 敏捷値  71(↑1)

 知力値  16

 筋力値 122

 生命力 110

 精神力  16


 スキル

 鋏撃 体当たり 堅守 回避 掘削 泡波

 泡撃 発光 隠蔽 擬態 夜目 気配遮断

 自己回復[中] 物理抵抗[極大] 魔法抵抗[大](New!)

 水棲 光属性 闇属性 水属性 火耐性

 風耐性 土耐性 耐混乱(New!)




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ペプチド』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 時刻は午前9時30分か。

 小休止無しでこのまま継続するのは厳しい。

 全員がクォークの甲羅の上を目指して撤収している。

 オレも召喚モンスター達のステータス操作を急がねば!

 状況が状況なのです。

 汚くなった格好を気にしている余裕は無いのでした!



 ペプチドのステータス値で既に上昇しているのは知力値でした。

 もう1ポイント分のステータスアップは精神力を指定しましょう。



 ペプチド ホーリースコルピオンLv69→Lv70(↑1)

 器用値 90

 敏捷値 90

 知力値 27(↑1)

 筋力値 76

 生命力 76

 精神力 27(↑1)


 スキル

 鋏撃 針撃 堅守 回避 掘削 振動感知

 気配遮断 魔力察知 隠蔽 登攀 奇襲

 監視 自己回復[中](New!)物理抵抗[極大]

 魔法抵抗[大](New!)致死毒 麻痺 暗闇

 時空属性 光属性 闇属性 火耐性 風耐性

 土耐性 水耐性 毒耐性 ブレス耐性 覚醒




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『バンドル』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 クォークのいる場所から一番遠くにいるのがオレになっているし。

 反省は後からでも出来る。

 今は急げ!



 バンドルのステータス値で既に上昇しているの知力値でした。

 もう1ポイント分のステータスアップは精神力を指定しましょう。



 バンドル パイロヒュドラLv69→Lv70(↑1)

 器用値  63

 敏捷値  70

 知力値  35(↑1)

 筋力値  70

 生命力 102

 精神力  35(↑1)


 スキル

 噛付き 巻付 堅守 回避 水棲 匂い感知

 熱感知 魔力察知 気配遮断 威嚇 奇襲

 自己回復[極大] 物理抵抗[大](New!)

 魔法抵抗[中](New!)ブレス 猛毒 強酸

 火属性 水属性 耐睡眠 耐即死 毒耐性




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『クォーク』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



(ショート・ジャンプ!)


 一気にクォークの頭上に跳ぶ。

 これでゆっくり出来るかと言えばそうでもない。

 迫るキムクイガーディアン・スレイブに捕捉されたらマズい。

 早々に結界生成を敷かないと危ないぞ!



 クォークのステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 クォーク 獣皇亀Lv69→Lv70(↑1)

 器用値  38

 敏捷値  38

 知力値  45

 筋力値  99(↑1)

 生命力 121(↑1)

 精神力  56


 スキル

 噛付き 踏み付け 体当たり 尾撃 堅守

 掘削 水棲 振動感知 激高 剛力 夜目

 自己回復[極大](New!)物理抵抗[大]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 土属性

 水属性 木属性 ブレス 耐即死 耐混乱

 耐暗闇(New!)地震波 結界生成




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『アモルファス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 これでインフォは最後だ。

 召喚モンスター以外は全員が甲羅の上に集合を終えている。

 アデル達も配下を全員、帰還済みのようだ。



『キースさん!』


「分かってる、結界生成を使わせる!」


 クォークの頭を軽く叩いて合図する。

 結界は?

 展開されている筈だ。

 ポータルとしてのメニューが仮想ウィンドウで展開されている。

 これで安心だろう。



 アモルファスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。

 空きスキルは属性、基本の光、闇、火、風の4択だ。

 ここは闇属性にしようか。

 邪悪な雰囲気があるから似合うだろう。



 アモルファス マッドヒュドラLv69→Lv70(↑1)

 器用値  52(↑1)

 敏捷値  68(↑1)

 知力値  34

 筋力値  84

 生命力 106

 精神力  34


 スキル

 噛付き 巻付 堅守 回避 水棲 匂い感知

 熱感知 魔力察知 気配遮断 威嚇 奇襲 隠蔽

 自己回復[大] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[中](New!)ブレス 猛毒 闇属性(New!)

 土属性 水属性 木属性 耐沈黙(New!)

 耐即死 耐麻痺 毒耐性



「このまま移動させる。小休止を!」


『了解!ちょっとログアウトは急ぎます!』


『こっちも!』


『出来るだけ早く戻って来ます!』


 やはり皆さん、焦っていたようだ。

 テントを設営すると次々とログアウトして行く。

 オレはどうする?

 クォークは帰還出来ないのは当然だ。

 他の面々は一旦帰還させよう。


 出来れば対戦でもしたい所だが、甲羅の開けた場所ではテントが邪魔だ。

 仕方ない。

 対戦は甲羅の上に茂る森の中でやろう。

 それはそれでいい鍛錬になってくれると思う。


 問題は相手だな。

 森の中ではあるけど、鞍馬は外せない。

 これに森で地の利のある召喚モンスターを加えたら、どうなる?

 苦戦を通り越して大苦戦は必至だ。

 それは素敵な事でもある!


 対戦相手は?

 ヴォルフ、モジュラス、清姫、鞍馬だ。

 オレは当然、武技も呪文も使わない。

 得物も持たない。

 召喚モンスター達もまた制限があるけどね。

 どう考えても、オレに不利だ。


 それがいいのだ。

 それでいいのだ。

 オレが楽しめたらそれでいい。

 漫然と勝つだけの対戦など無意味だ。

 だが心配は無用だろう。

 勝敗がどうであれ、凡戦になる事だけは無い筈だ。






《只今の戦闘で【打撃】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【跳躍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【登攀】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『鞍馬』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 簡単に勝てるとは思ってなかったけどね。

 全然、勝てない!

 その理由の1つがモジュラスの新しいスキルだ。

 斬糸。

 それは普段から繰り出している糸の一部を刃と化すスキルであるらしい。


 モジュラスはオレに直接、使う事はしていません。

 使ったのは樹木に対してだ。

 次々と幹が切断されてしまい、オレの行動だけが大きな制約を受けてしまう!

 簡単にこれを克服しつつ、対戦で勝てるかって?

 普通に、無理!

 無理です!

 今後、オレ相手での対戦で斬糸は禁止にすべきだろう。



 鞍馬のステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 鞍馬 神将Lv69→Lv70(↑1)

 器用値 65

 敏捷値 65

 知力値 35

 筋力値 97(↑1)

 生命力 97(↑1)

 精神力 35


 スキル

 剣 両手剣 刀 大刀 両手槍 ポールウェポン

 棍棒 打撃 蹴り 投げ技 関節技 小盾 重盾

 重鎧 受け 回避 隠蔽 夜目 跳躍 憤怒相

 自己回復[大](New!)物理抵抗[大] 魔法抵抗[大](New!)

 MP回復増加[小] 時空属性 光属性 闇属性

 火属性 土属性



 モジュラスの斬糸、か。

 もう少し様子を見よう。

 オレに直接使うのでなければアリでもいいような気もしてきたぞ?

 森で対戦をするのであれば、同様の事態はこれまでもあった。

 ラージャアシパトラみたいに樹木をぶった斬りながら迫るような奴もいるしな。

 邪険にするのは止そう。

 より頼もしい対戦相手になったと思えばいいのだ。


 もう少し対戦を続けたくもあるけどね。

 どうもそうは行かないみたいです。



「キース、少し時間はある?」


「えっと、いいですが」


「もう少し詳しく話が聞きたいんだけど。N2E28マップで何が起きたのかしら?」


 むう。

 口下手なオレにそれはかなりの難問だ!

 でも相手はフィーナさんか。

 これは逃れられないものとして考えるべきだろう。

 それにオレの中だけに疑問を抱え込んでいても仕方ない。


 アナザースカイ・オンラインのプレイヤー達はどうなったのか。

 そこが一番、気になってます。






「あれ、フィーナ姉ってばもうログインしてたん?」


「ええ。ほぼ蜻蛉返りだったもの」


 ミオがオレに向ける視線には僅かに疑念が混じっていたようだが。

 きっと気のせいだ。

 オレが困り切った様子なのは彼女にも明白な筈だ。


 何しろオレがたどたどしいながらも説明をし、フィーナさんは聞き役に徹している。

 彼女の見解はほぼ聞けていない。

 それ故にオレにとっては負担が大きかった。

 繰り返し説明する場面もあったりしたのです。


 フィーナさんは常に表情を取り繕っているようで、意図は読めない。

 まあ改めて意見を聞くのは出来るとは思うのだが。

 オレから得た情報を元に色々と動いてくれる事に期待しよう。

 それに他にも気になっている事がある。

 あのお姫様達はどうなった?

 消えているんじゃないだろうね?





『全員、戻った?』


『まだなのはイリーナちゃんだけ!』


 そのイリーナもテントから出て来ているのが見えた。

 これで全員になる訳だ。

 周囲を見回すと恐ろしい程の近距離にキムクイガーディアン・スレイブの姿が見えていた。

 ああ、もうダメ!

 サンタの姿が確認出来る。

 か、体が自然に動きそうで怖い!


 まだだ。

 襲うにはまだ早い!

 ユニオンも全員組んでないし、布陣の見直しもまだなのだ!



『遅れて済みません!』


『気にしないで、焦ってもいい事じゃないわ』


「それにいい感じで奇襲に間に合ったようだしな」


 それはオレの素直な気持ちだった。

 なのに少々痛い視線が注がれるのは何故?

 フィーナさんは頭が痛そうだし、アデル達は呆れた表情を隠そうとしない。

 笑っているのはリックだけだ。



『普段からこんな感じなの?』


『大体、そうですねー』


 シェルヴィも少しだけ笑っているようではあるが、半分は呆れているんだろうな。

 此花に何を確認してますか!

 普段通りですよ?



「布陣変更しますんで、少しお待ちを」


『やっぱり、亀と亀でぶつかるんですよね?』


「そうだ。打撃力重視で組んでくれ。キングトロールは行けるか?」


『はい!』


 イリーナと此花はキングトロールを鍛えてある事は確認済みだ。

 クォークと組ませてやればかなりの効果を見込めるだろう。

 移動速度の面でも好ましい筈だ。



「アデル、春菜は変わらず遊撃だ。敵戦力の分断を意識してくれ」


『要するに、嫌がらせ?』


「支援攻撃と言ってもいいぞ?」


 嫌がらせなのか?

 支援であるのか?

 オレには大した差は無い。

 味方が有利に戦えるという意味では同じなのだ。

 出来れば人聞きの悪い表現は避けて欲しいな!


 おっと。

 布陣は確認しておきましょう。

 クォークは当然、継続です。

 これに加えたのはロジット、シリウス、ジンバル、エルニド。

 オレは相手の甲羅の上に乗り込むのだからこれでいい。


 アデルと春菜の布陣は?

 小休止前と全く同じに見えるが、妖狐と白狐は別の個体だな。

 イリーナの布陣は?

 ストーンコロッサス、ブループディング、フェアリークイーン、玄武、キングトロール。

 此花の布陣は?

 キングトロール、タロス、クリアウーズ、フェアリークイーン、オーガロード。

 スライム系を入れているのは生体アーマーとして防御させる為だけじゃない。

 場合によってはキムクイガーディアン・スレイブの体内に送り込む事も想定している。

 動きが鈍い相手だが、敵は複数いるのだ。

 集られそうになった場合は手段を選んでいられなくなる。

 あらゆる可能性は考えておかないといけません。


 それにしても何だか圧迫感があるな!

 クォークが敷く結界は相応の広さがある筈だが、キングトロールがいると狭く感じる。

 まあそれもすぐに解消されるだろう。



『呪文の強化終了!』


『キースさん、いつでもどうぞ!』


「カウントダウンを頼む!」


『了解!テン、ナイン、エイト・・・』


 既にクォークはキムクイガーディアン・スレイブの側面を衝く位置にいる。

 距離は至近、どんな攻撃を仕掛けても当たるだろう。

 こういうのもゼロ距離射撃って言うのかね?

 何かが違うと思うけど。



『ゼロ!』


 同時にクォークの頭部を軽く叩いて合図を送る。

 結界は解かれ、ゆっくりとだが徐々に加速しながらクォークは突っ込んで行く!

 巨躯同士の激突はもう経験済みだが、この迫力は堪らん!

 もうね、ワクワクしちゃってますよ!



「神降魔闘法!」「金剛法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」


((((((グラビティ・プリズン!)))))))

((((((ホーリー・プリズン!))))))

((((((レインボー・チェイン!))))))

((((((ブラックベルト・ラッピング!))))))

((((((キャタラクト!))))))

(((((ダウンバースト!)))))

(ミラーリング!)


 足止めで呪文の詰め合わせを使う。

 ついでに甲羅の上にいる敵にも効果があるだろう。

 激突で何が起きるのか、想像するのは容易です。

 甲羅の上から多くの敵戦力が転がり落ちる事になる筈だ!



『接触します!』


『行っちゃえ!』


((((((六芒封印!))))))

((((((七星封印!))))))

((((((十王封印!))))))

((((((フォース・フィールド!))))))

((((((プリズムライト!)))))))

(((((ミーティア・ストリーム!)))))

(ミラーリング!)


 追加で支援しつつ、衝撃に備える。

 乗り込むメンバーはクォークの背中にある樹木を掴んで耐えてくれるかな?



「ッ?」


 衝突した衝撃でオレの体が前へと吹き飛ぶ!

 いや、この場合はクォークが急停止した訳だが。

 自然の成り行きでオレの体は敵の亀の甲羅に乗り移っていた!

 狙ってた訳じゃありません。

 偶然だぞ!



「やあ」


 目の前にいたのはサンタでした。

 軽く挨拶をしておいて、と。

 側頭部に左肘撃ち、股間を蹴り上げて喉元に右拳を撃ち込んだ!

 多面結界で展開するオリハルコン球を掴む。

 次はこうだな!



(レールガン!)

(ミラーリング!)


 至近距離から放った、その結果は?

 サンタのマーカーは確認出来ない。

 手首と足首だけを残して消えてしまっている!

 うむ。

 サンタ滅ぶべし。

 でもまだ甲羅の上にサンタがいるってどういう事?

 多いよね?



((((((ソーラー・ウィンド!))))))

((((((プロミネンス!))))))

((((((ミーティア・ストリーム!))))))

((((((エンブリットルメント・エリア!))))))

((((((アシッドミスト!))))))

(((((デッドリー・ポイズンミスト!)))))

(ミラーリング!)


 雑魚は要らない。

 さっさと、死ね!

 いや、秩序偽典を使ってから死ね!

 もう手遅れかもだけどさ!

 今はユニオン編成、こっちの方が数は少ない。

 悪いが極悪仕様で攻め続けさせて貰いますよ?

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv211(↑1)

職業 サモンメンターLv100(召喚魔法導師)(↑1)

ボーナスポイント残 73


セットスキル

小剣Lv163 剣Lv166 両手剣Lv167 両手槍Lv165

馬上槍Lv175 棍棒Lv167 重棍Lv169(↑3)小刀Lv165

刀Lv167 大刀Lv166 手斧Lv165 両手斧Lv164

刺突剣Lv161 捕縄術Lv169 投槍Lv175

ポールウェポンLv176

杖Lv188 打撃Lv196(↑1)蹴りLv196 関節技Lv195

投げ技Lv195 回避Lv207 受けLv207

召喚魔法Lv211(↑1)時空魔法Lv195 封印術Lv195

光魔法Lv194 風魔法Lv194 土魔法Lv194

水魔法Lv195(↑1)火魔法Lv194 闇魔法Lv195(↑1)

氷魔法Lv195(↑1)雷魔法Lv195(↑1)木魔法Lv194

塵魔法Lv194 溶魔法Lv194 灼魔法Lv194

英霊召喚Lv6 禁呪Lv195(↑1)

錬金術Lv171 薬師Lv45 ガラス工Lv45

木工Lv81 連携Lv180 鑑定Lv143 識別Lv180(↑1)

看破Lv156 保護Lv32 耐寒Lv180(↑1)

掴みLv182 馬術Lv181 精密操作Lv182

ロープワークLv105 跳躍Lv184(↑1)軽業Lv185

耐暑Lv146(↑2)登攀Lv99(↑5)平衡Lv182

二刀流Lv177 解体Lv143 水泳Lv145

潜水Lv145 投擲Lv183

ダッシュLv182 耐久走Lv183 追跡Lv182(↑1)

隠蔽Lv170 気配察知Lv180 気配遮断Lv180

魔力察知Lv180 魔力遮断Lv180 暗殺術Lv179

身体強化Lv180(↑1)精神強化Lv180(↑1)高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv182

魔法効果拡大Lv178 魔法範囲拡大Lv178

呪文融合Lv179(↑1)

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv117

限界突破Lv67(↑1)獣魔化Lv92


基礎ステータス

 器用値  76

 敏捷値  76

 知力値 120

 筋力値  76(↑1)

 生命力  76(↑1)

 精神力 120


召喚モンスター

テイラー ジュエルキャンサーLv69→Lv70(↑1)

 器用値  57(↑1)

 敏捷値  71(↑1)

 知力値  16

 筋力値 122

 生命力 110

 精神力  16

 スキル

 鋏撃 体当たり 堅守 回避 掘削 泡波

 泡撃 発光 隠蔽 擬態 夜目 気配遮断

 自己回復[中] 物理抵抗[極大] 魔法抵抗[大](New!)

 水棲 光属性 闇属性 水属性 火耐性

 風耐性 土耐性 耐混乱(New!)


ペプチド ホーリースコルピオンLv69→Lv70(↑1)

 器用値 90

 敏捷値 90

 知力値 27(↑1)

 筋力値 76

 生命力 76

 精神力 27(↑1)

 スキル

 鋏撃 針撃 堅守 回避 掘削 振動感知

 気配遮断 魔力察知 隠蔽 登攀 奇襲

 監視 自己回復[中](New!)物理抵抗[極大]

 魔法抵抗[大](New!)致死毒 麻痺 暗闇

 時空属性 光属性 闇属性 火耐性 風耐性

 土耐性 水耐性 毒耐性 ブレス耐性 覚醒


鞍馬 神将Lv69→Lv70(↑1)

 器用値 65

 敏捷値 65

 知力値 35

 筋力値 97(↑1)

 生命力 97(↑1)

 精神力 35

 スキル

 剣 両手剣 刀 大刀 両手槍 ポールウェポン

 棍棒 打撃 蹴り 投げ技 関節技 小盾 重盾

 重鎧 受け 回避 隠蔽 夜目 跳躍 憤怒相

 自己回復[大](New!)物理抵抗[大] 魔法抵抗[大](New!)

 MP回復増加[小] 時空属性 光属性 闇属性

 火属性 土属性


バンドル パイロヒュドラLv69→Lv70(↑1)

 器用値  63

 敏捷値  70

 知力値  35(↑1)

 筋力値  70

 生命力 102

 精神力  35(↑1)

 スキル

 噛付き 巻付 堅守 回避 水棲 匂い感知

 熱感知 魔力察知 気配遮断 威嚇 奇襲

 自己回復[極大] 物理抵抗[大](New!)

 魔法抵抗[中](New!)ブレス 猛毒 強酸

 火属性 水属性 耐睡眠 耐即死 毒耐性


クォーク 獣皇亀Lv69→Lv70(↑1)

 器用値  38

 敏捷値  38

 知力値  45

 筋力値  99(↑1)

 生命力 121(↑1)

 精神力  56

 スキル

 噛付き 踏み付け 体当たり 尾撃 堅守

 掘削 水棲 振動感知 激高 剛力 夜目

 自己回復[極大](New!)物理抵抗[大]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 土属性

 水属性 木属性 ブレス 耐即死 耐混乱

 耐暗闇(New!)地震波 結界生成


アモルファス マッドヒュドラLv69→Lv70(↑1)

 器用値  52(↑1)

 敏捷値  68(↑1)

 知力値  34

 筋力値  84

 生命力 106

 精神力  34

 スキル

 噛付き 巻付 堅守 回避 水棲 匂い感知

 熱感知 魔力察知 気配遮断 威嚇 奇襲 隠蔽

 自己回復[大] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[中](New!)ブレス 猛毒 闇属性(New!)

 土属性 水属性 木属性 耐沈黙(New!)

 耐即死 耐麻痺 毒耐性


召魔の森 ポータルガード

ジェリコ、リグ、クーチュリエ、極夜、守屋、スーラジ

久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代、スパーク

クラック、オーロ、プラータ、イソシアネート、ムレータ

酒船、コールサック、シュカブラ、シルフラ、葛切

スコヴィル、デミタス、白磁、マラカイト、パティオ

十六夜、貴船

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