表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/1335

108

 黒曜に暫く上空で周回して貰った結果、かなり森が続いているようである。

 オレ、戦鬼、護鬼にフォレスト・ウォークを掛けて移動速度を上げる事にした。

 木々の合間を滑るように走っていく。

 いや、実に爽快な訳ですが。

 いきなりブラウンベア7頭に遭遇しちゃいました。

 待て待て待て。


「グルゥ!」


 一気に襲ってくるクマの目の前にファイア・ウォールを展開したが、突っ込んでくれたのは2頭だけ。

 他の5頭は迂回してました。

 頭いいんだな。

 おっと。

 ブラウンベア7頭を相手にするとか結構ピンチじゃね?

 だが打開策は戦鬼が提示してくれた。


 戦鬼がブラウンベアを捕まえると投げ飛ばした。

 ファイア・ウォールに向かって。

 火の壁を突っ切るうちに当然だがダメージを喰らっていた。

 おお。

 いいアイデアだな。

 いや、考えてやった事じゃないようですが。


「ギヒッ!」


「ゲヘッ!」


 戦鬼と護鬼が声を掛け合う。

 いいコンビだよな。

 戦鬼には火の壁に投げるように指示しておく。

 だがそれだけに留まらない。

 オレもやりますから。


 無論、オレにはブラウンベアを投げ飛ばすような腕力はない。

 一緒に火の壁に突っ込むのもご免だ。

 だから投げ飛ばせる技は自然と限られてくる。

 巴投げだ。

 魔物を呼び込んで火の壁に向けて巴投げ。

 明らかに与えている効果が高い。


 比較検証でファイア・シュートも使ってみた。

 与えていたダメージはHPバーの1割ちょっとで2割には程遠い。

 その一方で火の壁に投げ飛ばしたダメージはどうか。

 投げによるダメージも加わっているが、4割を超えているのだ。

 それに壁の効果時間中は投げさえすればダメージを与え続けていられるし。

 リスクもあるが、ダメージの加算を見たら断然こっちの方がいい。


 黒曜と護鬼には投げている間に他の魔物が寄らないように牽制を任せる。

 オレと戦鬼は投げまくりです。

 結構、戦闘時間の短縮にもなったと思う。

 戦鬼はリグのおかげでダメージはなし。

 オレも擦過傷程度のダメージが重なってはいたが、ポーション1個で賄える程度である。

 ふむ。

 壁呪文を利用するのはアリだな。

 投げ技がこんな風に利用できるとは思っても見なかった。



《只今の戦闘勝利で【投げ技】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『リグ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 おおう。

 【投げ技】もレベルアップだ。

 結構投げていたからな。

 それにリグがレベルアップしている。

 さっさと指定しておこう。

 ステータス値で既に上昇しているのは敏捷値だった。

 任意ステータスアップは筋力値を指定する。



 リグ スライムLv4→Lv5(↑1)

 器用値 13

 敏捷値  7(↑1)

 知力値  6

 筋力値  7(↑1)

 生命力  8

 精神力  6


 スキル

 溶解 形状変化 粘度変化 表面張力偏移 物理攻撃無効



 本日は防御面で地味に活躍しているからな。

 有り難いことだ。



 更に森を進む。

 そして2匹目の蝶に出会いました。

 今度は少しだけ余裕が出来ている。

 最初からサイコ・ポッドをかけておいて、マーカーに意識を向けて、状態異常の確認をするようにした。

 軽く小突くと睡眠は回復できる。

 問題なのはどのタイミングで状態異常が起きるのかだ。


 現在、魔物はヒラヒラと空中を漂うように飛び回っている。

 こっち側に状態異常の発生はない。

 魔物が木の枝に止まると翅を広げた。

 暫くするとオレの肩に止まっている黒曜に状態異常が発生していた。

 軽く小突いて起こしてやる。


 戦鬼は?

 状態異常はない。

 というか、蝶のいる樹木に向けて駆けていて、蝶そのものを見てないし。

 護鬼は?

 睡眠になっていた。

 近寄って軽く小突いて起こしておいた。


 ふむ。

 動きを止めて翅を広げていないと、状態異常を起こせないと見るべきか?

 オレがフォース・バレットを放つ。

 直撃した所に黒曜が襲い掛かかると終了であった。


 脆い。

 脆すぎる。


 だがこれに死に戻っている事実。

 知らないってのは本当に怖いな。


 蝶からはまた何も剥げなかった。

 もうそれはいいんですが。

 連続で更に2匹追加とかやめて!


 サイコ・ポッドの効力が続いている間に始末をつけよう。

 推測が成り立つのであれば、飛び続けている間は問題がない筈だ。

 フォース・バレットを連続で使って、木の枝や幹に止まろうとするのを牽制する。

 1匹は黒曜が、もう1匹は護鬼が仕留めた。

 アイテムは剥げない。

 でも状態異常は誰にも起きなかった。

 確定、なんだろうか?



 北へと向かう。

 どこかにエリアポータルがある筈だ。

 だがそんな特徴のありそうな地形は黒曜の目になかなか捉えられない。

 まあ残月を駆って移動するのと訳が違う。

 じっくりと行こう。



 その魔物は川べりで水を飲んでいるように見えるのだが。

 こっちから戦いを挑むべきなのか、いささか躊躇した。

 亀だ。

 亀なのだ。

 しかもデカい。

 水を飲んでいるのではなく、何やら小動物を喰ってるみたいです



 フォレストトータス Lv.2

 魔物 討伐対象 パッシブ



 肉食の亀はこちらに興味がないようだ。

 スルーしておこうかね。



 だがこいつに全く戦わずに済む訳じゃない事は承知している。

 いくつかの川を越えていくうちにアクティブな奴も現れた。



 フォレストトータス Lv.3

 魔物 討伐対象 アクティブ



 相手は1匹。

 いけるか?

 あの甲羅を見ていたら分かる。

 こいつの守りは相当に硬いだろう。

 ではどんな攻撃を仕掛けてくるのだろうか?


「ディフェンス・フォール!」


 先行して防御力を下げる呪文を掛けておく。

 レジストされた様子はない。


 真っ先に戦鬼が魔物に迫る。

 殴り付けることが。

 できない。

 戦鬼の胴体にいくつもの岩塊がヒットしていた。

 いつの間に?


 だが戦鬼にはダメージはない。

 リグが岩塊を全て受け止めていたからだ。


 魔物の後方から黒曜が滑るように襲い掛かる。

 だが魔物に到達する前に壁に阻まれていた。

 水の幕が幾層も出現して、黒曜の飛ぶ軌道を変えてしまっていた。


 護鬼の放った矢も水の幕の前に落とされてしまっている。

 こいつめ。

 特殊能力で戦うタイプか?


 オレにも岩塊が飛んできた。

 土魔法のストーン・バレットにも似ている。

 詠唱なしで飛んでくるから侮れない。

 但し、射程は短いようだが。


 戦鬼が接触できたら勝機は十分にある。

 なんとか隙を作りたいのだが。



 距離を置いて色々と試した。

 木魔法の呪文、ブランチ・バインド。

 枝で絡めとり動きを鈍らせるか、拘束できればと思ったのだが、力で枝を千切られてしまった。

 雷魔法の呪文、パラライズ。

 レジストされて涙目。

 時空魔法の呪文、グラビティ・バレット。

 吹っ飛びもしないし、ダメージも1割にも到達しなかった。

 氷魔法の呪文、ディレイ。

 これは効いたようだ。

 だが元々が動きそのものが鈍いようで、その効果も大きなものに感じられない。

 闇魔法の呪文、ダークネス・ステア。

 これも効いた。

 暗闇の状態異常に陥ったようだ。


 状態異常になったのと同時に、魔物の行動パターンは変化している。

 岩塊を撃つのを止め、自らの周囲に水の幕を幾重にも展開し始めた。

 守りに入ったか。

 水だけならば対策はある。


「レジスト・アクア!」


 水属性への対抗呪文を戦鬼に掛けておいて、次の呪文を選択して実行する。

 オレも前に出るつもりだ。


 水の幕をものともせずに戦鬼が魔物に迫る。

 リグは背中に移動していた。

 水の幕を通り抜けて魔物の甲羅に拳を叩き込む。

 ダメージは?

 1割も減っていない。

 だが確実に減ってはいる。


「レジスト・アクア!」


 オレも水の幕に突入する。

 ダメージは当然ある。

 逃げる選択肢もあるだろう。

 だがこいつを仕留めないと気が済まない。

 今後も逃げ続けるって訳にもいかないだろう。


 戦鬼が甲羅の縁を掴んで持ち上げようとしていた。

 だが重たくて持ち上がらないようである。

 何それ。


 オレもカメの脚に蹴りを見舞い、首にもトンファーを叩き込んだ。

 ダメージは微々たるものに留まる。

 そして魔物は首も脚も甲羅の中に引っ込んでしまっていた。

 なんという引き篭り状態。


「グラビティ・バレット」


 試しに攻撃呪文を当ててみたが、ダメージは更に減っているようだ。

 こいつめ。

 方針を変えざるを得ない。



「フィジカルエンチャント・ファイア!」


 戦鬼に呪文を掛けて筋力値を底上げした。

 狙いは当然、持ち上げて地面に投げてダメージを与える作戦である。

 これが持ち上がらないのである。

 まさか。

 戦鬼のステータス画面を思わず開いて確かめてしまった。



 戦鬼 ビーストエイプLv6

 器用値 10

 敏捷値 20

 知力値  6

 筋力値 25(+5)

 生命力 25

 精神力  5


 スキル

 打撃 蹴り 投擲 受け 回避 登攀 投げ技



 ちゃんと筋力値は強化されてるよな?

 それなのに持ち上がらないとか。

 ならば別の手段と行こう。


 戦鬼と一緒に魔物の甲羅の縁に手をかけて持ち上げる。

 転がしてやれ。

 これならばどうにかなるみたいだ。

 腹を上に、甲羅を下にしたのだが、魔物は脚も頭も出さない。

 クソッ。

 頭を捕まえて捻ってやりたいんだが。


 だが悪い事ばかりではない。

 水の幕はなくなっていた。

 護鬼と黒曜も加わって腹側に攻撃を加えるのだが、こっちも甲羅ほどではないにせよ堅かったりする。

 どうする?


 オレは魔物の甲羅の縁に足をかけ、魔物の脚が収納されている穴に手をかけた。

 引き剥がそうとするのだが、当然オレの膂力では不足している。

 これはまあ手本ですよ。

 戦鬼がオレの真似をしている。

 思いっきり引き剥がす。

 魔物のHPバーがそれだけで半分以下に激減していた。

 甲羅の隙間にリグが潜り込んで行く。

 そこで何が行われているのだろうか?

 あまり考えたくはない。

 魔物のHPバーが急速に減っていくのを見つめるだけでした。



《只今の戦闘勝利で【氷魔法】がレベルアップしました!》



 まあ苦戦した甲斐はあったのかな?

 むしろ魔物に言いたい。

 守ってばかりでは勝てませんよ?

 いや、別に攻撃パターンを用意してあったのかもしれないのだが。

 甲羅を剥いで中から攻撃するとか、想定外だったのかもな。


 このカメからは期待通りのものが剥げました。

 だがこれは結構な大きさになる。

 さて、何に活用すべきか。



【素材アイテム】森林亀の甲羅 原料 品質C+ レア度4 重量4

 フォレストトータスの甲羅。非常に堅くて丈夫。

 観賞用には向かない。



 護鬼が持っている小盾と比べてもかなりの大きさだ。

 だがその割りに軽いとも言えるのだが。

 これも戻ってから相談かな。


 一息ついたらポーションで全員を回復させて先を急いだ。

 広域マップで見ても、まるで距離を稼いでいないように見える。

 戦闘もこなしながらだし、仕方がないのだが、焦りがあったかも知れない。



 地形がやや急峻になってきた。

 木魔法の呪文、フォレスト・ウォークは必須となってきている。

 方向を見失いそうになるので、マグネティック・コンパスも併用した。

 カメはあれから姿を見せないが、蝶とクマは襲ってきている。

 単体であればなんとかなる。

 群れで来ないだけマシだが、行軍速度が落ちるのは避けられない。

 困ったものである。


 結局、エリアポータルは見付からないまま、昼飯にする事にした。

 パンにラタトゥイユ、串焼きを急いで腹に収めていく。

 本当は味わって食いたいんだが、魔物を警戒しながらではそれも出来ない。


 MPバーはやや心配なレベルだ。

 現在、6割ほどだろう。

 蝶はまだしもカメに呪文をやや使いすぎたか?

 クマも群れでなければ呪文は使わずに済むのだが。

 微妙に負担が多いよな?


 リグを帰還させて他の召喚モンスターにしようかと悩みもする。

 だが悩んでみても同じだ。

 エリアポータルで何が待ち構えているのか、分かってなどいない。

 そしてエリアポータルの番人とは1度しか戦えていないのだ。

 少なくともこれまではそうだよな?



 そして黒曜が見つけました。

 明らかに怪しい場所です。

 周囲が森であるのに、円形の広場のような開けた場所があったのだ。

 さてどうする?

 無論、行くに決まっている。


 センス・マジックを掛けてから中へと進んだ。

 さあ、何が起きるのか?



《旅人よ》


《我らは稀人》


《我等は走狗》


《我等は狂気》


《この穢れし地の封印を解きたいのならば試練を受けよ》


《試練を勝ち抜くが良い》


《さすれば我らはこの地の呪いを解き放ち汝らを癒すであろう》



 当然《Yes》を選択してイベントを進める。

 さあ、何が出る?



 出現したのは蝶のような小さな奴だった。

 思わず身構える、

 おっと、その前に【識別】だ。



 翻弄する半妖精ローグ・ピクシー Lv.5

 イベントモンスター ???



 なんぞこれ。

 小さい。

 とにかく小さいのだ。

 容姿も可愛いの一言に尽きる。

 だが間違いなく戦わないといけない相手なのだ。

 赤いマーカーが間違いなくある。

 それにセンス・マジックの掛かっているオレの目に恐るべきものが見えていた。

 圧倒的とも思える魔力量が見えてしまう。


 人に似た姿の翅のある人形といった所だが。

 見た目に惑わされる訳にいかない。

 これまでのエリアポータルの番人を思い返す。

 どれも厄介な奴が多かったような。



 魔物の足元、地面の上に燐光のように何かが描かれる。

 魔方陣だな。

 何かが出現しようとしていた。



 マイナーエント・スレイブ Lv.2

 使役精霊 討伐対象 アクティブ



 こっちはデカい。

 木そのものの姿をした化け物だ。

 足は根そのもの、腕は枝になっている。

 幹に顔らしきものがあるのが不気味だ。

 戦鬼もデカいのだが、こいつは比べ物にならない。

 全身から魔力を噴出するかのように見える。

 それでも隣にいるローグ・ピクシーにまるで及ばないのだが。


 呪文を選択して実行してある。

 だが正解は何なのか。

 シビアな戦いになりそうだった。



 戦い始めてすぐに悟った。

 シビアどころじゃねえ。

 圧倒的に不利だ。

 ローグ・ピクシーとかいう翅妖精の空を駆けるスピードはそれほどでもない。

 黒曜ならば簡単に追いつくのだが、その攻撃はかなりの確率で回避されていた。

 1回当たったのだがHPバーは全く減らない。

 エンチャンテッド・ウェポンを黒曜に掛けてやると、どうにかHPバーが減るようになった。

 やっぱりか。

 加えてフィジカルエンチャント・アクアも掛けて、攻撃の命中率を上げておく。

 どうにかなりそうか?


 でも他にも驚愕の事態が起きている。

 黒曜の一撃でHPバーは2割近く減っていたのだが、この翅妖精のHPバーが自動的に回復していやがるのだ。

 そして黒曜の攻撃を回避しながら攻撃もしてくる。

 光の矢のような奴で、これがまた回避しきれないのだ、

 大したダメージではないのだが、積み重なると無視できない。


 何この無理ゲー。


 マイナーエント・スレイブこと動く樹木はどうか。

 強いとも言えるし弱いともいえる。

 リグがいるのも大きいが、戦鬼で十分に拮抗できる。

 動きが遅いからだ。

 但しパワーは戦鬼を上回るだろう。

 オレに攻撃が掠ったのだが、それだけで2割近くHPバーが削れている。

 油断ならねえ。


 だが相手が木製の魔物とはブランチゴーレムで経験済みである。

 火魔法の呪文、パイロキネシスで火を付けてやったんだが。

 確かに燃える。

 でも消火する奴がいる。

 翅妖精の奴だ。

 何か呪文らしきものを使っているようである。


 だが戦況はこっちに有利な方向に傾きつつある。

 戦鬼にはフィジカルエンチャント・ファイアを掛けて、力で押し切っている。

 黒曜には翅妖精を常に追かけさせ、余裕を与えさせない。


 これで上手く行くだろう。

 そう思ってました。



 マイナーエント・スレイブは確かに倒れた。

 弓矢から斧と盾に装備を持ち替えた護鬼も加わって、幹を削り切った所で決着が付く。

 だが同時に翅妖精が何かをしている。

 黒曜の攻撃を2度、直撃を受けながら、動きを止めていた。


 地面が光って何かが現れる。

 同時に翅妖精が飛び回っていく。

 こいつ。

 魔物を延々と召喚するのか?

 現れたのはさっきのマイナーエント・スレイブではない。

 女性だ。

 美人だ。

 好物だ。



 バンシー Lv.3

 使役精霊 討伐対象 アクティブ



 こんなオレでも知ってます。

 さすがにこれはヤバい。

 一気に距離を詰めて背後に回ると首に腕を回した。

 裸絞めに極める。

 叫ばせてはならない。


 極めている筈なのにバンシーのHPバーに変化はない。

 こいつもか。

 叫びかける直前に呪文は間に合った。


「エンチャンテッド・ウェポン!」


 オレ自身に魔力を付与する。

 魔物のHPバーが減り始めた。

 地面に顔を押し付けて慎重に絞めを厳しくしていく。

 HPバーが途切れるのにさほど時間はかからなかった。

 事切れたバンシーは徐々に消えていくようである。

 先刻倒した筈のマイナーエント・スレイブの死体はもうない。

 召喚されてきた連中は倒されると消えていく仕様のようだな。


 翅妖精は?

 黒曜が追い掛けてました。

 だがまたしても動きを緩めると、地面が光っています。

 今度はバンシーとマイナーエント・スレイブが同時に現れてきている。

 何だこれは?

 要するに翅妖精を先にどうにかしなきゃいけない訳か。



 マイナーエント・スレイブは戦鬼と護鬼に任せて、オレはバンシーに向かう。

 またしても壮絶な美人だ。

 心が痛む。


 腹に膝蹴りを当ててフロント・チョークに極める。

 そのまま斜め後方に投げて、落とす。

 一気に捻って止めを刺した。

 呪文を選択して実行。

 マイナーエント・スレイブの動きを確認する。

 オレが加わればすぐにでも倒せそうだが。


 別の呪文を選択して実行する。

 使い慣れてないから時間が掛かってしまっていた。

 もっと速く呪文詠唱が終わらないのか?

 気持ちが焦るばかりだ。


「チェンジ・モンスター!」


 リグの姿が消えてヘリックスが現れる。

 オレの肩に一旦止まらせて次の呪文に備えさせた。


「エンチャンテッド・ウェポン!」


 ヘリックスに魔力を付与。

 続けて次の呪文もヘリックスに掛けて行く。


「フィジカルエンチャント・アクア!」


 これでよし。

 ヘリックスは肩から飛び立ち、翅妖精を追いかけていく。

 先にあっちを倒しておかねば、この戦闘は終わりそうもない。



 それでも翅妖精はなかなか仕留めきれなかった。

 ヘリックスが戦闘に加わってから、マイナーエント・スレイブは更に2体、バンシーは4体を倒している。

 その合間にもヘリックスと黒曜で攻撃し続けているのだが、翅妖精のHPバーはまだ半分もある。

 その代わりに翅妖精のMPバーは4割を切っているようだ。

 やっと4割、と言えばいいのか。

 まだ4割もある、と言えばいいのか。

 

 翅妖精がバンシーを召喚すると同時に、黒曜とヘリックスの攻撃が同時に命中していた。

 大きくHPバーが減っていたし、クリティカルがあったのかもしれないな。

 残ったバンシーは消えるかと思ったが、まだいる。

 しかも今まで出現したバンシーの中でも一番好みの美形だ。

 勿体無い。


 だが心を鬼にするしかない。

 咽喉に右貫手で突き、蹴りで足を払った。

 倒れ伏した所で背後から裸絞めに極める。

 顔は地面に押し付けたままにした。

 せっかくの美人さんだが、死に顔は見たくなかった。



《旅人よ》


《我らは稀人》


《我等は走狗》


《我等は狂気》


《この穢れし地の呪いは解かれた》


《よくぞ試練を勝ち抜いた》


《汝らに祝福を》


《更なる試練は汝らと共にある》



 何もない円形の空き地だが、センス・マジックの掛かったオレの目には変化が見て取れた。

 全体に強力な魔力を感じる。

 それは徐々に薄れていくように見えるが、空き地の中心に魔力が収束しているのであった。

 そこには1本の若木が生えている。

 霊木と言いたくなるような力を感じるが、圧迫感はない。



《N1W2のエリアポータルを開放しました!》

《ボーナスポイント4点が加算されます。合計で4ポイントになりました》

《只今の戦闘勝利で【関節技】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【水魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【身体強化】がレベルアップしました!》



 苦戦しただけの事はあったかな?

 でもちょっと事態は厳しい事になっていた。

 オレのMPバーは3割をかろうじてキープしてはいる。

 召喚モンスター達はいずれもHPバーにダメージがあって、ポーションだけでは賄えなかった。

 クーリングタイムを経て再度ポーションを与えるにしても、時間をかけないといけない。

 まあ、いずれにしてもエリアポータルで暫く休憩するべきだろう。


 時刻は午後3時か。

 MPは消費するが、ポーション作成と古代石発掘でゆっくりと時間を潰そう。

 焦る事はないさ。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv12

職業 サモナー(召喚術師)Lv12

ボーナスポイント残 4


セットスキル

杖Lv10 打撃Lv7 蹴りLv7 関節技Lv7(↑1)投げ技Lv7(↑1)

回避Lv7 受けLv7 召喚魔法Lv12 時空魔法Lv5

光魔法Lv6 風魔法Lv7 土魔法Lv7 水魔法Lv7(↑1)

火魔法Lv6 闇魔法Lv6 氷魔法Lv5(↑1)雷魔法Lv5

木魔法Lv5 塵魔法Lv4 溶魔法Lv4 灼魔法Lv4

錬金術Lv6 薬師Lv5 ガラス工Lv3 木工Lv4

連携Lv9 鑑定Lv9 識別Lv9 看破Lv3 耐寒Lv5

掴みLv7 馬術Lv7 精密操作Lv9 跳躍Lv4

耐暑Lv4 登攀Lv4 二刀流Lv6 解体Lv5

身体強化Lv5(↑1)精神強化Lv5 高速詠唱Lv7

魔法効果拡大Lv2 魔法範囲拡大Lv2


装備 カヤのロッド×1 カヤのトンファー×2 怒りのツルハシ+×2

   白銀の首飾り+ 雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×2

   雪豹のバグナグ×1

   野生馬の革鎧+ 雪猿の腕カバー 野生馬のブーツ+

   雪猿の革兜 暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2


所持アイテム 剥ぎ取りナイフ 木工道具一式


称号 老召喚術師の弟子、森守の紋章 中庸を望む者

   呪文辞書


召喚モンスター

ヴォルフ グレイウルフLv2

残月 ホワイトホースLv1

ヘリックス ホークLv7

黒曜 フクロウLv7

ジーン バットLv7

ジェリコ ウッドゴーレムLv5

護鬼 鬼Lv6

戦鬼 ビーストエイプLv6

リグ スライムLv4→Lv5(↑1)

 器用値 13

 敏捷値  7(↑1)

 知力値  6

 筋力値  7(↑1)

 生命力  8

 精神力  6

 スキル

 溶解 形状変化 粘度変化 表面張力偏移 物理攻撃無効

文楽 ウッドパペットLv4

無明 スケルトンLv4

ナインテイル 赤狐Lv3

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ