とある男女のラブホテル
ギシギシギシギシ
女:「ン……ン……ン」
男:「おい……ハァハァ」
ギシギシギシギシ
女:「ン……なに……」
男:「何か喋れよ……ハァハァ」
ギシギシギシギシ
女:「ン……あぅ……何で……」
男:「何か喋らないと読者が困るだろ……ハァハァ」
ギシ
女:「ハァハァ……なによそれ……」
男:「この作品はト書きも状況説明もなく、ただ効果音と俺たちの会話しか無いんだから。喋らないと伝わらないだろ」
女:「……ちょっと、あんた! ……この状況を実況する訳?」
男:「あぁ、そうだが」
女:「あんた、ばか?」
男:「何で?」
女:「何でって……状況を考えなさいよ!」
男:「状況ってSEXの事?」
女:「わっ、ばか! 何さらっと言ってるのよ」
男:「言わなくても、読者は十分気づいてると思うぞ」
女:「な、何でよ」
男:「そりゃ、タイトルで分かるだろ普通」
女:「う、確かに……」
男:「だろ」
女:「う……」
男:「それに、読者は期待してるぞ、それに答えてやらなきゃ」
女:「でも……」
男:「でも?」
女:「恥ずかしい……」
男:「それが良いんじゃないかぁ~ それがぁぁ~!」
女:「…………」
男:「取り敢えず、今の状況を説明してあげよう」
女:「…………」
男:「今、俺たちは繋がってます」
女:「キャ──! キャ──! キャ───!!」
男:「うわっ! ……何だよいきなり」
女:「あんたこそ、いきなり何言うのよ!」
男:「何って、今の状態の説明」
女:「そんなこと、ストレートに言わないでよ」
男:「じゃあ、どう言えば良いんだよ」
女:「もっとこう……遠回しに……」
男:「無理だよ……俺、応用出来ないもん」
女:「男でしょ、何とかしなさいよ」
男:「男でも無理だって……そんなに言うなら、お前が語ってくれよ」
女:「私が?」
男:「あぁ」
女:「うぅ……」
男:「ほら、出来ないだろ……だったらやっぱりストレートに」
女:「それはダメぇ~~」
男:「じゃあ、どうすんだよ……」
女:「わかった……」
男:「あん?」
女:「私が語る」
男:「おぉぅ」
女:「今、私達は……その、とても愛し合っていて……その、愛し合ってます……終わり」
男:「え! ……何だよそれぇ!?」
女:「いいじゃない、状況説明できてるじゃない」
男:「出来てねぇよ、かぁ~ 分かってないよな~ 読者が求めてるのはそんなんじゃねぇよ、もっとこう、生々しい実況だよ」
女:「生々しいって?」
男:「たとえばだな」
ムニュムニュ
女:「キャッ!」
男:「と、いうところの触感とか」
ギシギシ
女:「クンッ……」
男:「の具合がどうとか……そういう報告が聞きたい訳よ」
女:「バカ……変態!」
男:「変態ってのは違うくねぇか?」
女:「変態だもん、わたしを困らせてるもん」
男:「違うって、困らせてないって、お前の可愛いところを読者に教えてあげたいんだって!」
女:「……教えなくて、言いよう」
男:「じゃあ、どうすんだよ……状況説明しか、読者を楽しませるようなネタねぇぞ……」
女:「そ、そんなこと無いって……」
男:「じゃあ、何かネタあるのかよ?」
女:「え~と、え~と……あ、そうだ、あれを見せてあげたら!?」
男:「あれって?」
女:「ほら、このベットに、空中で服を脱いで飛び込んだじゃない! ……えぇと、何ダイブって言ったっけ?」
男:「ルパンダイブ」
女:「そう、そのルパンダイブをやったら良いんじゃない!」
男:「えぇ~ ……そうか? 実況の方が良くね?!」
女:「そんなこと無いって、か、格好いいもん……見ようによっては」
男:「え、そう? ……格好いい?」
女:「うん、格好いい!」
男:「良し分かった、見せてやるよ」
ヌポッ
女:「ンッ……!」
男:「んじゃ、一回服を着るから待ってて」
女:「う、うん……ゆっくりで良いからね」
男:「出来た! それじゃ行くよ!」
女:「う、うん」
男:「ふ~じこちゃ~ん」
ピヨ~ン
女:「パチパチ。凄い凄い、もっかい見せて欲しい!」
男:「え、凄い! もっかい! ……えへへ、どうしようかな、えへへ、良いよ、もっかいね!」
女:「うんうん」
男:「ふ~じこちゃ~ん」
ピヨ~ン
女:「凄いねえ、どうやって空中で服を脱いでるの」
男:「フフ、それは教えられないなぁ~ パクられては困るからね。身に付けたいのなら、ひたすらルパンを見て研究するしかないねぇ……ふふふふふん」
女:「いや……身に付けたく無いけど」
男:「え? 何か言った!?」
女:「何でもないよう、凄すぎて惚れ直しちゃったぐらいだもの……エヘヘヘヘ」
男:「えっ! そうかい! それなら、スペシャルのとっておきを見せちゃおう~ かな~」
女:「え? スペシャル?!」
男:「そう、本邦初公開! その名も、ルパンダイブ・ツー」
女:「ルパンダイブ・ツー?」
男:「基本はルパンダイブだけどねぇ、俺が更に3年と4ヶ月費やして完成させたSpecialさ、どう、見たい?!」
女:「う、うん……見たい」
男:「ならお見せしよう、ルパンダイブ・ツー」
女:「うん」
男:「ふ~じこちゃ~ん」
ピヨ~ン
女:「え、何よ、変わらないじゃない?」
男:「ふ、ここから、もうパターンさ」
女:「え?」
男:「ちゃん~じこふぅ~」
ピヨ~ン
女:「わっ! 凄い! ……空中で服を着た!」
男:「ふふ、これが、ルパンダイブ・ツーさ」
女:「凄い凄い、もっかい見た~い!」
男:「もう一回だけだよ」
女:「うん!」
男:「ふ~じこちゃ~ん」
ピヨ~ン
男:「ちゃん~じこふぅ~」
ピヨ~ン
女:「ほんとに凄い、良くこんな事覚えたね」
男:「いや、みんなの前でやったら受けるかと思ってね……ひたすら練習したんだよ」
女:「じゃあ、凄い受けたでしょ」
男:「いや、全く」
女:「何で?」
男:「見せたの今日が初めてだから」
女:「えぇ~ 何で、凄いのに」
男:「いや、その、人前で裸になるなんて変態じゃないか……」
女:「…………」
男:「だろ!」
女:「じゃあ、何でこんな技覚えたの?」
男:「だから、覚えてた頃は、みんなの前でやったら受けるかと思ってたから……」
女:「あんたバカでしょ」
男:「…………」
女:「なに?」
男:「ふ~じこちゃ~ん」
ピヨ~ン
女:「きゃ!」
男:「合体!」
女:「ちょ、ちょっとぉ~ ……ンッ!」
ギシギシギシギシギシギシ
男:「ぬおぉぉぉぉぉぉ──────!!!」
女:「ンッ! ……バカ……アン……ン……ヤン!」
男:「はぁはぁはぁはぁ……」
女:「バカバカバカバカ……最低!」
男:「ひどいこと言うからだ」
女:「ひどいのはどっちよ~ バカ~」
男:「ぬ! まだ言うか~ こうなれば超必殺技だ!」
女:「な、何するのよ……」
男:「スクリュードライブアァァァ────!!!」
女:「ちょ! ばかぁ! へんた……アン! ……ンンンンンッン~ン」
男:「はぁはぁはぁ……参ったか! 俺の必殺技!」
女:「バカ! 変態! ただ……まま一回転しただけじゃない!」
男:「ばかもの、一回転が男にとってどれだけ重労働かしってるのか?」
女:「知る訳無いじゃない、バカぁ~」
男:「ぬぅぅ! まだ言うか……されば、もう一度。」
男:「スクリュードライバァァァ────!!!」
女:「んにゃ~~~!」
男:「まわる ま~わる メリ~ゴ~ランド♪」
女:「……ンンンンンンンンンンッアァ~ン」
男:「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ……さすがに2回転は洒落にならん」
女:「ばかぁ~ 久保田利伸に謝れ~」
プルルルルルルルルル
ガチャ
男:「はい……あ、そうですか……分かりました……」
女:「どいてよ……」
男:「なん?」
女:「時間なんでしょ……服着るからどいて……」
男:「う?! ……よく考えたら、俺、まだいってない……」
女:「ダメです……タイムアップです!」
男:「そこを何とか……」
女:「ほら!」
ドン!
男:「痛てっ!」
女:「ほら、あんたも服着て……」
バサッ!
男:「そんなに急がなくても、ね、あと少し……お願い!」
女:「ダメ」
男:「じゃあ、1分! ……1分! で逝くから」
女:「ほら、もう、先行っちゃうよ!」
男:「じゃあ、30秒! ……30秒だけ俺に時間を~ プリ~ズゥゥ!」
女:「早漏……」
男:「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~」
キィ~~バタン!