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受験嫌いで未知の世界へ  作者: 航作裕人
第二章 受験に対する思い
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3 オリエンテーションで友を発見

 次の日。俺はのこのこと広い高原を歩き回る。

 北海道だからこそ、空気がとてもいい。全然東京の方とは大違いだ。

 普通に考えてそうだと思う。それに貧乏びんぼうな俺はこんな素敵なマンションに入っていいのかと思えるくらいだ。

 部屋は2LDKで、トイレと洗面所、お風呂に洗濯機が揃っている。

 服だけは制服と体操着、あとちょっとした服。すべて俺のサイズで合わされている。これは驚きの連続。

 普通に考えておかしいと思える。


 なんて考えていると、俺は伊作いさく学園派遣員に呼ばれた。最初のオリエンテーションを行うみたいだ。


 この学校はすべてのことが普通の高校と同じだが、受験がやだという人や、貧乏だという人が揃っているということだ。それだけがちがうだけ。

 それで今回の新入生は1035人。相当な人数だ。こんな人たちがこの学園の敷地内で勉強をすると言うと、北海道みたいな大きい土地が必要になるのかと自分で納得してしまう。

 

 それにしても、大人数だ。生徒数は、今回のを足して、4000人はいるという。多すぎる。さすがにこんなにどうやって運営しているのかが不思議になる。

 今の時代は、お金がなければ何もできない。それにいろいろに金をかけさせる金取り主義の時代だということ。

 そんな時代に、よくできたもんだということ。さすがに驚く場所が多く、疲れる。

 普通に考えて、この学園は異常だ。

 

 そんなわけで、俺はオリエンテーションに参加する。

 これは、新入生同士で仲良くなろうというための企画の一つ。なわけで、ここではじめてほかの奴らと面会となるわけで、初めてのドキドキ感に襲われている自分。

 今までにこんなことがあったのかというくらいのドキドキ感。

 

 オリエンテーションは、学園内にあるホールだった。名前は、『美座絵みざえ学園文化ホール』。ここがすべてのイベントホールみたいだ。

 それよりも友達が出来るかという不安だ。俺は関東地方の集団でオリエンテーションの会場に向かっている。誘導員は、あの伊作学園派遣員だ。

 だからこそ、少しは不安が吹き飛ぶ。でも、この集団にも知らない人ばかりと思いきや、小学校の時に離れたやつはひとりいた。そいつは私立にいったはずだが……。

 そいつこそ、岩田明石いわだあかしだ。

 俺は明石のそばに行く。相手は気づいてないようだ。

 話しかけることにした。

「おひさ、明石」

「う~ん。ッあ。お前はとおるじゃないか。どうしてここに来たんだ?」

「おれは受験するのがヤダでさ、先生が教えてくれたんだよ」

「そうなんだ。俺は違うよ。ここは頭がよくなれるというから来たんだ」

「マジで、俺は馬鹿だからだよ」

「そうか。俺の集合場所は、羽田空港だった。お前は?」

「俺は自分の学校の校庭」

「マジで、そんな場所で待っていたのかよ。すごいな」

「すごくないよ。なんか孤独でかなしかったぜ」

「そうには見えないけど……」

「……それより、ほかの同じ中学の友はいるのか?」

「あぁ、いるぜ。4人はいるな」

「みんなこの学校のことを知っているの?」

「あぁ、ある程度は知っているよ。この学園は全国有数の難関進学校なんだ。それで北海道にあるというので、敷地面積は全国1位。勉強の他には生活に必要なものは全て揃っている最強の学園さぁ」

 俺は驚きが隠せなかった。少し動揺してしまった。

「ッま、マジかよ。この学園は馬鹿が来るんじゃないの?」

「うん。違うみたい。ただ、二つあるよ。貧乏でお金がなくって、頭が悪い人をとても良い頭にして、日本に生かすための人材にするというコースが……」

 俺は不思議に思った。普通に考えて、そこまで民間の企業がやるかと……。

「それで、俺はそこに行くということか」

「そうだ。それで、この学園は国からの援助が来ているんだよ。運営は私企業だけど、資金は、会社の利潤と援助で成り立っている学園」

「マジなのか。それで、私企業ってどう言う意味?」

「これは中学の公民で勉強したでしょ。私企業は、民間の企業のこと。簡単に言えば、利益を求めている会社のこと。それで、公企業というのは、地方公共団体。言えば国などが利益を求めないでやっている会社みたいなもの。これでわかるか」

「少しはわかるけど、公企業は例えばどういうの?」

「まぁ、東京電力とか、水道局とかかな」

「なるほど」

 俺と明石は無駄な話をしていると、会場のホールが見えてきた。

 

 俺たちが降り立ったヘリポートは寮の近くに存在する。それで、寮から文化ホールまで、5kmはある。

 普通ならバスで行くみたいだが、学園ないが見たほうがいいということで、徒歩だ。

 だがら、長話をしていたのかもしれない。


 文化ホールに着いて、俺は用意されている体育館履きに履き替え、中へと入る。

 中はとても広い。ありえないほど、広い。東京ドームの野球のグリーンのくらいの広さ。

 全校生徒が全員が入れる。素晴らしい会場だ。


 俺はオリエンテーションを行うのはわかるが、何をするのかは不明。

 でも、何をやるかわからないことがとてもウキウキするものかと思う。

 

 オリエンテーション終了後、俺の名前を呼ぶ奴がいることに気づいた。

「誰だ、俺の名前を呼ぶ奴は……」

「それは、僕だよ。僕!!」

「誰だね君は……」

「僕の名前は、遠藤雄介えんどうゆうすけ。君のことは知っているよ」

「なぜだ。俺の名を知っているんだ」

「それはね、幼稚園の時にいたからだよ」

「だって俺の幼稚園は、向井むかい学園大学附属幼稚園だ」

「僕もだよ。年長は君と同じかさ組だったよ」

 俺は誰だか思い出せなかったが、ふっと思い出した。

 こいつは小学校を私立の小学校へ行くとか言って引っ越した。仲がとても良かった友達だ。

 俺は久しぶりというとした時だった。

「明石くん、また同じ学校だね」

「そうだね」

「おい、なんで明石と仲がいいんだ?」

「それはね、同じ中学校だったからだよ」

 雄介はイキイキという。

「それにね、明石は中学校からだったけど、僕はその前から居たんだよ。小学校からね」

 雄介は自慢げそうに言う。

「もしかして、一緒の私立に言ってたのか」

「そうだよ。驚いたよね」

「言おうと思ったんだけどね、なかなかいえなくて……」

 明石は申し訳そうに言うので、許すしかないと思った。

「そうか。じゃあ、二人とも頭がいいのか」

「うん。だから、同じクラスになれるかわからないよ」

 と明石はいった。

「まぁ、しょうがないな」

 俺は、どのクラスになるかわからない。それに、頭がいい2人と同じクラスになれるかもわからない。不安だらけ。

「まぁ、そんなに気を落とさないで、もしかしたら同じクラスになるかもよ」

 明石は俺の不安をなくすために、張り切っている。

「そうだな」

 明石の気遣いには感謝しなくちゃいけないと心から思えた。


 俺は不安でもあるが、入学式のあと2日を楽しみにしながら、ベットへ入るのだった。


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