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第5章 銀色の機人

「おいっ、

もっとスピードは出ないのかよ。」


ルイスの焦った声。


「これが限界よ。」


歯を食い縛ってノエルがうめく。


彼等の目にはボロボロになって攻撃を辛うじてかわしているベーオウルフがいる。


「なぁ 赤い方はアンタ達の味方なのか?」


今まで自分からは話しかけなかったリンが尋ねるが焦ったいる二人はそれ所ではない。


「そうだよ。」


とルイスに怒鳴られて終わってしまう。


(なんだろう あの赤い方から懐かしい感じがする。)


しかしリンには答えを出す事が出来ない。


いつの間にかインヒィニティー・ラブが前に見えている。


しかし車は減速どころか加速していった。


そして衝撃。


車はインヒィニティー・ラブの格納庫に突っ込んでいた。


リンが車の外に目をやると中年の男が唖然とこちらを見ている。



「おやっさん 私達の機人は?」


車から飛び下りる早々にノエルが中年の男に聞く。


「まだ 駄目だ。

後 2時間は出せないぞ。」


車が突っ込んでくるという衝撃から立ち直ったるおやっさんは断言する。


「アトリがやられちまいそうなんだ。

いいから出させてくれよ。」


ルイスが言いつのる。


「この状態で出ても死ぬだけだ。

送り出す訳には行かないなぁ。」


しかしおやっさんも譲らない。


「何か手は無いのか?」


ルイスの質問におやっさんは首を振る。


「祈るしかないな。」


言い争っていたため誰もリンが格納庫から出て行く事に気が付かなかった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




(呼ばれている?)


リンはフラフラと格納庫から出ていった。


頭には声が響いている。


『貴方の剣を取りなさい。

もう一人の貴方をまもるために・・・

貴方達は二人で一人なのだから。


剣を取りなさいこちらです。早く。


こちらです。』


リン声に従って歩いて行った。


逆らう事はできなかった。


そして、一つの扉の前に辿り着く。


そこには厳重なロックがかかっていたが、リンはパスワードを知っていた。


【A T O R I】


気の抜けた音と共にドアが開く。


中には銀色の機人がいた。


「テンペスト・・・

俺の剣・・・」


リンには次にどうしたらいいのか分かっていた。


リフトでテンペストの胸本まで来るとコックピットに飛び乗った。


外へと続くハッチを開くとテンペストは外に物凄い速さで飛び出した。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「艦長、第13区画のハッチ開放されました。」


ミコトが艦内の異変に真っ先に気付いた。


「13区画だって?

あのパスワードを解読したって言うのかい?」


格納庫からうるさいという理由で追い出されたルイスが驚く。


「いや、おそらく知っていたんだろう。

あの中に眠っている機人はベーオウルフと同様にある人物にしか動かせないとシェリーから聞いた事がある。」


「天才シェリーですか。

確かこの艦も手掛けたんですよね。

なら シェリーさんは特定の人物に自分の造った機人に乗ってもらいたかったって事ですね。

それで、その人にだけパスワードを与えた。」


ミコトが要約したのを聞いてルイスは頷く。


「13区画の隔壁が開きます。」


ミコトは新たな情報を告げる。


「出るのか?

ミコト 通信を繋げ。」


「了解」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「俺は何でこんな事を出来るのだろう。」


飛んでいるテンペストの中にリンはいる。


『これは貴方の半身を護ための力。

そして貴方の願いを叶える力。

貴方の願いはなんですか?』


またしても頭の中から声がしてきた。


「願い?



俺の願いは世界の平和だっ。

二度とウラヌスの様な場所を作らないためにも。


この原因を潰す!」


リンの額にはアトリとは僅かに異なる紋章が銀色に光っていた。


その時、通信が入る。


『こちらはインヒィニティー・ラブです。


あなたの名前は?何をするつもりなんですか?』


ミコトの声が響く。


「名前はリン・アサヒナ。目的はウラヌスをこんなにした紫の奴をぶっ潰す事。」


『分かりました。

では、最後に貴方は私達の敵ですか味方ですか?』

「さぁ けど赤い奴は殺らせはしない。」


リンは赤い機人に乗っている人物が自分の半身、護べき人なのだと直感的に分かっていた。


そしてリンは通信を切ってしまった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「きゃあ」


ベーオウルフの装甲をヴェノムの銃弾が削る。


ベーオウルフの損傷率は既に30%を越えていて様々な所から煙が出ている。


反撃も撤退も出来ないままベーオウルフは辛うじて攻撃をかわしている。


しかし、かわしきれなかった銃弾が脚部に当たる。


「しまった」


アトリは倒れたベーオウルフを立て直そうとするが脚部の破損によりできない。


ヴェノムのライフルの銃口が向けられる。


アトリは目をつぶる。

・・・・・・

・・・・

・・?

しかし来ると思っていた衝撃が来ない。


うっすらと目を開くと銀色が目にはいった。


銀色の機人が楯でベーオウルフを守っている。


「これは?」


一瞬は疑問を浮かべたアトリだったが、すぐに理解する。


「やっと見つけた。

もう一人の私。」


またテンペストのリンも同様に理解する。


「もう一人の俺を護ためにこの力はある。

傷つけた奴は許さない!!」


テンペストはヴェノムに向かって矢の様に駆けて行く。


手にはブレードが握られている。


ヴェノムは辛うじてかわす。


しかしテンペストの投げた新たな刃にまでは反応できなかった。。


刃は回転してヴェノムの腰より下を切り落としていた。


凄まじい早業である。


リンはアトリがあれ程てこずっていたヴェノムを参戦して僅かに数秒で追い詰めた。


スラスターを噴かしてヴェノムは逃げようとするがリンが逃がすわけもない。


テンペストの背中から10発のミサイルが撃たれる。


ミサイルは真っ直ぐにヴェノムに向かって行く。


しかしヴェノムは慌てずに背後から十字架を取りだしテンペストに向けた。


十字架が光出す。


リンはそのとたんに鳥肌がたった。


近くにいたベーオウルフを抱きかかえるとその場を飛び去る。


十字架から光線が放たれる。


光線が通った後を見たアトリとリンは絶句する。


通った後にはビル等があった筈だが何もなくなっている。


ヴェノムはそんな二人を尻目に去って行った。

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