表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

隣の男の子

作者: 知恵

「恭介!」

「おう!おはよ!」


翔は恭介の隣についた。


「昨日のト○ビア見た?」

「見た!面白かった。」


翔と恭介は同じサッカー部ですぐ仲良くなった。くだらない話で盛り上がったり、二人で馬鹿なことをして遊んだり。そこら辺にいる普通の高校生と何も変わらない友達・・・だと思っていた。あんなことが起きるまでは。


放課後。


「今日、家寄る?ゲームやろうぜい。」


翔がそういうと、


「えっ。翔の部屋、上がっていいの?」

「うん。当たり前じゃん。何で?」


恭介の耳は赤くなっていた。


「どうした?熱でもあんのか?」


翔が額に手を当てようとしたとき、恭介は手を払った。


「いや。熱ないと思う・・・今日は帰る!」

「えっ・・・」


そう言って恭介は走り去っていった。


翔はベッドに横たわって考えていた。


(なんだあいつ?耳なんか赤くして・・・まさかあいつホモなのか?俺のことが好きなのか?)


翔はそんなことを考えながら眠りについた。


翌朝。


「昨日のドラマ見た?」

「おう!」


いつも通り恭介。翔は思い切って聞いてみた。


「お前、今好きな人いる?」

「えっ・・・?」


恭介は目を大きくしながらこっちを見た。


「なっなんで?」

「いや。なんとなく。」

「いないよ!!」


少し焦っていた様子だった。


部活の時間になり、恭介と歩いているとき翔が何気なく聞いた。


「なぁ、昨日のアレ何?」

「アレって?」


恭介は何かを思い出すかのように考えた。するとどんどん恭介の耳が赤くなっていった。昨日と同じ。翔はさらに問いかけた。


「昨日、俺がお前に触ろうとしたとき、手払ったじゃん?何で?」

「えっと・・・それは・・・」

「お前・・・俺が嫌いなの?」

「いや!そうじゃないんだけど・・・実は俺っ」

「おーい!何してるんだ?速く来ーい!!」


先輩が俺たちのことを呼んでいた。


「実は・・・なに?」

「いや。なんでもない。あのときの俺はどうかしてました。すみません。」


そっけない恭介の態度に翔はムッとした。


それから、二人はギクシャクしていった。話さないし、目も合わせなくなった。でも、恭介が教室や廊下で誰かと話していると、なぜか嫉妬した。


(いつも俺としか話さないくせに。何ほかの奴と話してんだよ!)


いつも翔の隣には恭介がいた。翔にとっては、とても退屈だった。翔は気がつくと恭介のことを考えていた。


(恭介・・・今何してんだろう。部活にも来ないし。本当に俺が嫌いなのか?)


そんなのが一週間も続いたある日の部活後。翔は部室の鍵を返し、下駄箱へ向かうと恭介が立っていた。シカトしようと思い、恭介の前を通り過ぎようとしたときだった。翔の腕をギュッと掴んで、キスをした。誰もいない下駄箱。何をされているのか理解ができず混乱していた。


「何ッ・・・すんだよ!」


翔は恭介を押した。


「ごめん。俺さ・・・何か、翔のこと好きみたい。男だってわかってる。でも何か知んないけど、俺・・・」


恭介は耳を赤くしながらさらに言った。


「翔はどう思ってるかわかんないけど・・・えっと・・・だから・・・その・・・そんだけだから!」


翔から目を逸らした。


(なっ・・・何だその顔は!!何か・・・すっげぇ可愛いぞ!!!)


「何か・・・言ってくれませんか?」


そんな恭介を愛しく思った翔は、恭介を抱きしめた。


「ごめんな。俺もなんか知んないけど、恭介が好きだよ。男だけど。」


翔は微笑みながら言った。恭介は翔を見つめた。


「俺、翔のこと好きでいていいの?」

「おう!」


翔は恭介の頭を撫でた。


二人は、一緒に帰った。


「一緒に帰るの久しぶりだな。」

「うん。」


変にぎこちない二人だった。


「なぁ・・・もう一度聞くけど、お前の好きな人誰?」


恭介は耳を赤くした。少し咳払いをし、答えた。


「隣の男の子です。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ