檸檬色。
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教室の窓から差している西日が、君の顔をオレンジ色に照らしている。
黒板に向けられるはずの私の視線は、そこまで辿り着かなかった。
シャーペンも一時活動休止。同じ点に止まっている。
「xに2、yに3を代入して」
そんなん簡単だよって言えたのは、一ヶ月前までの話。
今はもう、成績は下降線。
今日だって補修だ。
「今日はここまで。明日テストするからな」
やばい、どうしようー、ざわざわと声が上がる。
君はすっと立ち上がって、教科書を持ち、教師のもとに向かっていく。
遠ざかるその背中が、影を伸ばす。
私は踏まないように、動く。
そんなこと知らない君は、振り向かず行く。
急に、胸がきゅっと、痛くなったから。
「先生」
「なんだ」
「これ何でこうなるんですか」
「ああ、これな、これはな」
「先生、あたしも教えてもらっていいですか」
「ああ、ちょっと待て」
「いえ、同じとこです」
教師の説明、ほとんど分かんなかったけど。
「ああ、なるほど」
君がそう言ったから。
「ありがとうございました」
頭を下げて。
「あそこ難しかったよね」
笑いかける。
「な」
短い言葉と、ぼんやりベールのかかった、檸檬色の君の笑顔。
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