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ピピピピピ!

掲載日:2026/07/02

今から10年ほど前、2月初旬の話です。


ある夜、子どもが熱を出し、夜中に嘔吐してしまいました。


翌日は夫が朝から仕事で、わたしは子どもの看病のため休暇を取っていました。


そのため、汚れてしまった衣類を夜のうちに洗濯し、乾燥まで済ませてしまおうと思いました。


洗濯物を助手席に積み、午前1時頃にコインランドリーへ向かいました。


わたしの住んでいる地域は田舎で、近所のコインランドリーはどこも深夜0時から朝6時まで閉まっています。


そこでカーナビで検索し、少し離れた場所にあるコインランドリーへ向かうことにしました。


何軒か回ってみましたが、どこも営業時間外でした。


「次がダメだったら諦めて帰ろう」


そう思いながら向かった最後の一軒。


そこは薄明かりがついていて、中に人影が見えました。


わたしはホッとしました。


入口近くの駐車スペースに車を停め、中へ入ります。


すると、入口付近の椅子に若い女性が座っていました。


年齢はわたしと同じくらい。


20代前半に見えます。


女性はガラケーを見つめたまま動きません。


乾燥機を探してみましたが、稼働している機械は一台もありませんでした。


「この人は何をしているんだろう?」


そう思いましたが、深く考えず洗濯物を乾燥機へ入れ、お金を投入しました。


そして車へ戻ろうと入口へ向かった時です。


女性の顔が見えました。


目を大きく見開き、ガラケーを強く握りしめています。


その表情に妙な違和感を覚えました。


「なんだか少し怖いな……」


そう思いながら車へ戻り、夫へ電話をかけました。


子どもは落ち着いて眠っていると聞き、安心して電話を切ります。


ふとコインランドリーを見ると、女性は先ほどと全く同じ姿勢で座っていました。


やがて乾燥が終わり、わたしは洗濯物を回収しに再び店内へ入りました。


洗濯物を取り出し、帰ろうと振り返ったその瞬間。


女性がほんの一瞬だけ、ガラケーから目を離し、こちらを見たような気がしました。


わたしは気にせず店を出ました。


車へ戻り、ドアをロックします。


洗濯物を助手席へ置いた後、何となく店内を見ました。


しかし、先ほどまでいた女性の姿はありませんでした。


周囲を見回しても誰もいません。


その時に気づいたのでますが、そのコインランドリーも本来は深夜0時から朝6時まで営業時間外だったのです。


時刻は午前2時を回っていました。


「入口のすぐ前に停めていたのに、出て行ったなら気付くはずなのに……」


「そもそも、なんで営業していたんだろう……」


そう思いましたが、考えるのをやめて帰宅することにしました。


車を走らせて数分後。


突然、


ピピピピピ!


助手席のシートベルト警告音が鳴りました。


助手席には洗濯物しかありません。


しかも、乾燥前より乾燥後の方が明らかに軽くなっているはずです。


「置き方が悪かったのかな?」


そう思いながら、そのまま帰宅しました。


着替えを済ませ、寝る前になって急に気になりました。


そこで事故物件や心霊スポットを扱うサイトを調べてみたのです。


すると、そのコインランドリーが建っている場所では、数年前に亡くなった方がいたようでした。


あの女性が、その亡くなった方だったのか。


それとも、たまたま居合わせた近所の人だったのか。


今となっては分かりません。


ただ一つだけ気になることがあります。


あの夜、助手席に載せていたのは洗濯物だけだったはずなのに……


帰り道、シートベルト警告音はしばらく鳴り続けていました。

ご意見 ご感想 よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
子どもの看病と深夜の家事に追われる中、ようやく見つけたコインランドリーで静かに座る女性の姿が、現実味のある怖さを生んでいました。閉店時間のはずの店、突然消えた女性、洗濯物しかない助手席で鳴り続ける警告…
何をのせて帰ってきたんですか… コインランドリーは身近にあるのでなんだかドキドキしました。
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