5.転生するということ
転生者ということがバレた。何故?どうして?
あの神様はバレた時の罰則というものは言っていなかったが、あの神様のことだ。忘れているとかかもしれない。
冷や汗が止まらない。毛穴という毛穴からヒンヤリとした汗が出てくるのがわかる。
私が戸惑っているのを見兼ねたのか、バザルグさんが口を開く。
「転生者を罰したい、というわけではないのじゃよ。ただ、この国には定期的に転生者が来ておっての。その転生者は神に与えられた力があるのじゃ。……もっとも、──ナチュ殿が転生者であるとすればじゃが──、ゴブリンとして転生してくるのはナチュ殿が初めてじゃが……」
「……バザルグさんの言う通りです」
「ほう、素直に認めるんじゃな」
「隠してもしょうがないですから。それに、これからお世話になる人に隠し事はしたくありません」
「義理堅いの」
「私の国ではこれが普通でしたから……ただ、一つだけお願いがあります」
私は、たった一つのお願いをした。聞いてくれるかは分からないが。
「言うてみぃ」
「他の人たちには、できればいわないでほしいんです」
「わかった、言わないでおこう」
即答だったので、呆気にとられてしまった。
バザルグの寛容さに、私は少しだけ肩の荷が降りたのを感じた。
「ありがとうございます。それじゃあ、魔法のこと、教えてもらえますか?私、この世界でやるべき事を見つけたいんです」
「……ふむ、良い心意気じゃな。ただ、今日はもう遅い。明日から教えよう」
ふと、時間が気になりスマホが入っているはずの後ろポケットに手を伸ばす。
……ない。
「──ない!」
……ない!!!
「どうかしたか?」
「いやぁ〜……あはは……」
叫んでしまったので、とりあえず誤魔化しておく。変なゴブリンだと思われてないかな。
ただ、当然と言えば当然だ。私は転生したんだ。でも、ないと困る。生活必需品だ。
時間が分からないし、連絡……は死んだからもう来ないか。
何より、暇つぶしができない。死活問題だ。
「と、とりあえず今日は休ませてもらいます!どこで寝れば良いですか?」
「……ふむ、もう家もできておるじゃろう。ニード、案内せい」
「承知いたしました。失礼します」
ニードさんが部屋の中に入ってくる。……もしかして、聞かれてた?
「ナチュ様、こちらへ」
そう言われ、数分歩いた先にあったのは。
「なんじゃこりゃぁぁぁあああ」
大豪邸と言うより、一つの街のようなものだった。
これを、数十分で?……いや、元からあったものか、さすがに。
「今日からナチュ様にはこちらで過ごしていただきます」
かくして、私伊藤菜都の、女子高生改めゴブリンとしての生活が始まったのだった。
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