4.魔法適性
「ナチュ様、こちらからお入りください」
「は、はい」
案内された場所から機械の中へ入る。禍々しい見た目とは裏腹に、中身はかなりシンプルだ。
椅子のようなものが用意されているので、それに座る。
『スイショウニ テヲ ノセテクダサイ』
いきなりの合成音声にびっくりする。すごいな、こんなのまで作れるのか。
言われた通りに手を乗せる。
ピカ、というよりビカッッという擬音が正しい光が私を照らす。ここ、もう少し光を弱くできませんかね。あとで文句言ってやろう。
なにやら外が騒がしい。私、やっぱり魔法適性なかったのかな。しょうがないか、転生者だし。
ないよりはある方が良かったのにな〜、あとから覚えれるのかな。とかなんとか考えながら機械からでる。
「ナチュ、お主……」
「ナチュさん!?あなた……」
「ナチュ、お前……」
一度に話しかけられても聞き取れない。かろうじて聞き取れたのは私に話しかけられているのだろう、ということだけだ。
というより、みんな畏怖しているのは気のせいだろうか?
「こんなこと信じられん……。500年ぶりじゃぞ……」
「あの、えっと……どうかしました?」
とんでもないことが起きたのは理解できた。が、肝心の理由がわからない。500年ぶりに、なんだって?
「ナチュ、お前この機械が測定できる魔法全てに適性があるらしいぞ!」
「はい?」
全て、ということはさっき長老が言っていた、200種類以上ということだろう。
それが、500年ぶり。どうやら凄いことのようだ。
「あの〜……普通のゴブリンは、適性どれぐらいあるんですか?」
「……普通は1つじゃ。強いものじゃと平均5つじゃな。ワシは15。ギギは3つじゃ」
「なるほど……?」
どうやらヤバいことが起きたのは理解ができた。けど、皆さんのその目、辞めてくれませんかね。普通に傷つくんで。
「ナチュ……いや、ナチュ殿。どうか、ワシらのためにこの土地に住んではくれんか。住む場所も、食べるものもワシらが用意する。魔法が使えるように指導もする。頼む、どうか……」
「え、はぁ。いいですけど……」
元々そのつもりで来たんだし、とは言わなかった。きっと蛇足だろう。
「ナチュ殿の家を今すぐ準備せい!大至急じゃ!!」
こういうのを、きっと鶴の一声と言うのだろう。バザルグさんは長に向いている。
彼の一声で、ここにいたゴブリンだけでなく村中のゴブリンたちが一斉に動き出した。
「あの、バザルグさん。私、一回も魔法を使ったことがないんですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃよ、みんな赤子の頃は使えなかったからの」
つまり、私は今赤子同然ということだ。今日転生してきたばかりなので、言い得て妙だ。
こんなに私に対して良くしてくれるのは今の彼氏以外いなかったので、なんだかむず痒い。
「それで、ナチュ殿よ。聞きたいことがあるのじゃが、ワシの部屋まで来てくれんかの?」
「分かりました。向かいます」
「ご案内します」
このスラッとしたゴブリンの名前は一体なんなんだろう、という疑問は一旦置いておいて。
まずはバザルグさんの話だ。一体何の話だろう。明日から働いてくれないか、とかだろうか?そういえばさっき魔法を教えてくれるとか言っていたな。それについてだろうか?
物思いに耽りながら、歩く。
「いでっ」
「到着しました」
突然立ち止まったバザルグさんの秘書(?)の背中にぶつかり、変な声が出てしまう。女の子、ましてや女子高生が出してはいけない声が出てしまった。
3回ノック。この世界にも似たようなルールがあるんだな、と少し感心する。
「入れ」
「失礼いたします」
部屋に入ると、真っ先にバザルグさんが目に入る。彼は机に肘を置き、指を交差させて口元を覆っていた。例えるのが難しいな。あ、碇ゲ●ドウのポーズだ。ゲ●ドウポーズだ。
「ニードは出ておれ」
「承知いたしました」
思わぬ収穫だ。バザルグさんの秘書の名前が知れるとは。
ニードと呼ばれた男は素直に部屋から出る。
「それで、話というのは……」
「うむ、では率直に聞こう。お主、転生者ではないか?」
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