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3.ゴブリン

 近くにいた鳥たちが飛び立つ。すまない、鳥たちよ。しかし今はそれどころじゃない。

 足が震える。なんで?どうしてこうなった?


 ?

 ??

 ???

 ????????????


 気付いたら、私は歩いていた。元いた場所まで。

 とぼとぼ。とぼとぼ。とぼとぼ。

 ゆっくりと歩いていると、またゴブリンに話しかけられる。


「あっ、さっきのやつじゃねーか。どうしたんだ?」


 明らかに私と同じゴブリンだが、なぜ私と判別できるのだろうか、という疑問は置いといて。

 彼(彼女?)に、私の話はしても良いのだろうか。こういうのって本来ならご法度だよね。


「いやぁ〜……はは、迷子になっちゃいまして……」

「ははっ、なんだよそれ!どっちの方から来たんだ?」

「んーと……東の方から……」


 日本から来たのだからあながち間違ってはないだろう。


「東か……【ヒヅルコク】の方か?」

「あーうん、たしかそうそう」


 もちろん嘘である。が、話が進まなさそうなので適当に相槌を打つ。


「そうか、でもお前は今日から仲間だ。……と言いたいところなんだけどな、まずはうちの長に会っていかねぇか?」

「え、うん」


 浮浪者になるより数億倍マシだろう、という理由でその提案を飲む。野蛮な考えだ。

 ……いいだろ別に!


「着いてきてくれ」


 そう言い、ゴブリンが歩き出す。あ、私もゴブリンだった。分かりにくいな。

 さっきの湖とは逆の方向に歩く。こいつ、結構歩くの早いぞ。


「そういえば、お前名前はなんて言うんだ?」

「はぇ!?」


 考えてなかった。流石に本名は言えないな。うーん、うーん……。


「ナチュです」


 ってアホか!ほぼ本名じゃねーか!


「ナチュか!いい名前だな!俺はギギだ!よろしくな!」

「よろしく」


 馴れ馴れしいなぁと思いつつも返事をする。私には彼氏がいるんだよ。

 まぁ、もう死んじゃったから会えないんだけど……。あれ、涙が出そう。やっぱ未練タラタラだ、私。


 と、こんな他愛の無い話をしていたら、案外すぐ着いた。体感10分。実際に歩いた時間は分からない。


「えっと、長の名前ってなんなの?」

「バザルグ様だ。……くれぐれも、変なことはするなよ」

「分かってるよ」


 そう言い残し、ギギは扉の前へいく。


「バザルグ様!お客様です」

「…………はいれ」


 おぉ、野太い声。


「失礼いたします」


 ギギが先に入っていく。私も恐る恐る入る。


「しつれいします……」


 そこに待っていたのは、白髭を生やしたヨボヨボのゴブリンだった。この顔であの声の野太さ……?ギャップとはこのことだろう。

 いかにも長老、ではあるが。


「お主、名前は?」

「ナチュです。ヒヅルコクから来て、迷子になってしまって……」

「ふむ……ところでお主、まほうてきせいはあるのかな?」

「まほーてきせー?ですか?」


 聞き馴染みのない言葉だ。おそらく【魔法適性】のことだろう。

 この世界に生まれ落ちてまだ数時間ですよ。知りませんって……。


「なんじゃ、お主知らんのか」

「バザルグ様、ヒヅルコクのゴブリンは魔法適性のあるゴブリンは少数派です。知らないのもしょうがないかと……」


 ナイスアシスト、ギギ。

 そうだ。私はなんにも知らない。魔法適性があったからどうなるのだろうか。戦争にでも繰り出されるのか?なわけないか。


「ふむ……だが、計測したことぐらいはあるだろう?」

「な、ないです。うち、貧乏だったんで」

「ほう、つまりあるかもしれんのじゃな。ギギ、今から計測を行うぞ」

「今からですか!?承知いたしました!」


 ギギがどこかへ走り出す。置いていかないでくれ頼むから。


………………

…………

……


 なんか喋ってくれよ〜、と思いながらひたすら待つ。転生してから一番時間の進みが遅い気がする。

 まだか〜、まだか〜、まだか〜……。


「お待たせしました、バザルグ様、ナチュさん。どうぞこちらへ」


 どうやらギギとは違う、スラッとしたゴブリンが来たようだ。色々な人がいるらしい。

 そして、連れてこられたのは庭だ。そして、その庭には仰々しい機械が置かれている。


「これが魔法を計測する装置ですか……?でっかいですね」

「そうじゃろう、そうじゃろう。これはワシの村で開発した機械なんじゃ。本来の計測装置では炎・水・草・闇・光・土・風・回復の八つしか測定が出来ないのじゃよ。そこでワシたちはそこに200以上の属性を追加したこの機会を開発した。この機械はすごくてなぁ、どこが凄いかと言うと……」

「バザルグ様、日が落ちてしまいます」

「おぉ、すまないすまない。また追々話すとしよう」


 やめてくれ。私は話を聞くのがどうも苦手なんだ。高校を思い出す。今でさえ眠くなってきた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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