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後編 博士による種明かし

前編に続き、お越しいただきありがとうございます。

謎解きです。博士、すごいです!

 博士は、残された二つの卵をしばらく見つめてから、

 ゆっくりとこちらに視線を戻した。

「次は、どれが割れるかの」


 その言い方が、あまりに穏やかだったので、俺は空恐ろしいと思った。

博士は警官に取り囲まれているのだ。もう少しじたばたするもんじゃない?


「博士」

 俺は言った。

「あなたは、最初から分かっていたんですね。この講義室で、卵が割れることを」


 博士は否定しなかった。

「分かっておったとも」

「なら、なぜここで発表した」

 博士は、ガラスケースに手を伸ばし、もう一つの卵に、指先で触れた。

「人前でなければ、意味がないからじゃ」


「……どういう意味です」

 博士は、ようやく俺を見た。

 その目は、研究者のそれではなかった。

 観察者の目だ。


「誕生はな、誰かに見られた瞬間に、現実になる」

 嫌な予感がした。

「諸君は、今ここで何を見た?」

 俺は答えられなかった。


 博士は、淡々と続ける。

「不可解な消失。説明不能な存在。警察の記録。証言者は百人以上」

 博士は、講義室を見渡した。


「これで十分じゃ。もう誰にも、なかったことにはできん」


 その時、

 俺はようやく、

 本当に割れた卵が何だったのかに気づいた。

「……待て」

 喉がひりつく。

「スパイの卵じゃない」


 博士が、静かにうなずいた。

「そうじゃ」


「割れたのは――」

 博士は、残る二つの卵の隣、

 空になっている台座を指さした。


「事件の卵じゃ」

 頭の中で、すべてが繋がった。


 内部通報。張り込み。異常を異常として記録する人間。

 事件にしなければ存在を確定できない仕組み。

これこそ、日本の警察の弱点。


「君たちが来なければ、スパイは生まれなかった」


 博士は、穏やかに言った。

「だが、来た。だから、割れた」


 山田が、かすれた声を出した。

「……じゃあ、俺たちは」

 博士は、微笑んだ。

「孵化装置じゃよ。警察は事件の孵化装置」

 非常ベルが、ようやく止んだ。


 講義室には、割れた殻と、記録と、そして――

 もう二度と見つからないスパイの存在だけが残った。


 博士は白衣を翻し、

 最後にこう言った。


「安心せい。

 次は、芸術家か作曲家じゃ」


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

いかがでしたか?

秋葉原博士、シリーズ化したいなあと思っています。

そして、左京刑事と相棒山田君も。

「短編は頭の体操じゃよ!」と博士も言っています。

また会いましょう。


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