05.目覚めの日 3
今回は、主人公の名前判明 & 新キャラが登場!
途中で主人公視点から新キャラ視点へと切り替わります。
視点切り替えは初めて書いたので、お楽しみいただけたら嬉しいです。
「...坊ちゃまは......丈夫.....」
「あぁ..丈夫だ.......が、しばら.......」
んぅ...なんかちょっと寒いし、うるさい...。もうちょっと寝たいよぉ
「んぅ...」
「おや?」
なんか...人影が2つ....?
はっ!お医者さん!?
「「おはようございます、ルフェ(坊ちゃま)」」
「お、おはようございます」
「まずはお水を飲もうね」
わぁ、ありがとうございます。ちょうど喉が乾いていたところだったんだ〜。
というか、ベッド脇の椅子に座っているこの人がお医者さんなのかな?
想像してたより若い、というか超イケメン。
白い肌に長めのプラチナブロンドの髪を後ろで三つ編みにして束ね、緑の瞳の上には銀色の片眼鏡。白衣も似合っていて、目を奪われてしまう。
え。何歳なの?この人。ガチイケメン。
見惚れていたのがバレてしまったのか、医者は少し笑うと、とても安心したようにホッと息をついた。
「無事に目を覚まして安心したよ、ルフェ。加減はどうかな?」
おぉっと、ここで私の名前判明!
愛称っぽいけど、私はルフェって言うのか!!!
「ん....元気だよ。特にしんどくもだるくもないよ」
「それはよかった」
「ねぇ、先生?」
「ん?何かな?」
「お庭に出たいんだけど、お外に出ても大丈夫?それに、なんで僕は倒れたの?」
んん〜気のせいか、メアリーさんの顔色がよろしくない。
でもお医者さんはさすが、表情も変わらず、笑顔を崩さない。
ゆったりおっとりと話すハスキーボイスにとても落ち着く。
「そうだな......まず、ルフェは自分の瞳の力について覚えているかい?」
ん?瞳の力.....?
なに、その超わくわくするようなファンタジー要素!
「ううん。ないよ」
「わかった。ならその説明からだね。ルフェの瞳は 千里眼 という特別な力を持っているんだ。詳しくは割愛するけど、人の心の声が聞こえたり、色んなものが視えたりするんだよ」
「はぇ....」
「クスクス。だからルフェは普段、家族や使用人以外の前では両目を隠しているんだよ。でも今回は人が多いところに長居していた様だから色んな人の声が聞こえたんだろうね。ルフェの中で処理しきれずに倒れてしまったんだ。最初は高熱もあったからね。家族みんな心配していたんだよ。本当に目が覚めてよかった」
そう言って超イケメンなお医者さんは私の頬にキスしてくれた。
めっっちゃミント系のいい匂いした。やっぱりイケメンは中身もイケメンなんだな〜。
今気づいたけど、この人は偉い人なのか家族や私に身近な人なのかな...?めっちゃフレンドリーに接してくれる。
役得ですね、ありがとうございます。
「ルフェの質問は、外に出てもいいか、だったね。家の庭くらいなら大丈夫だよ。ただし、今日はもうすぐ暗くなるからダメ。行くなら明日にして、長時間いないこと。メアリーとセルジュを必ず連れて行くこと。これが条件だよ。わかったかい?」
「うん!わかった。ありがとう!」
「ふふっ、どういたしまして。それじゃあ夕飯の前に少し眠りな。疲れただろう?」
「うん、おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
こうして、私はまた眠りについた。
* * * * *
「セロ坊っちゃま、ルフェ坊っちゃまは....」
「メアリー、坊っちゃまはやめてくれ。もう私は坊っちゃまと呼ばれる年齢じゃないんだから」
「いいえ!このメアリーからしたらアルセロン様は坊っちゃまです!」
「.....頼むから、ルフェやレオ達の前ではやめてくれ」
「...善処します」
「はぁ...で、ルフェについて、だったね?....状況は芳しくないな。どうやら以前の記憶がないようだし、メアリーだけでなく、私のことも忘れているようだね。この様子だと他の家族のことも忘れているだろう。そこは私からみんなに説明しておくよ。とにかく目を覚ましてくれただけでもありがたいことだ。とても怖い思いをしただろうしね。誘拐されたことを思い出して怯えて生活するよりはましだろう。本当によかったよ」
「...そうでございますね。ルフェ坊っちゃまのサポートはわたくしめとセルジュにお任せくださいませ」
「あぁ、もとより私もヴァル兄上も義姉上もみんなそのつもりだ。よろしく頼むよ、メアリー」
「もちろんです。この命に変えましても」
「こらこら。命に変えてしまったらルフェもみんなも悲しんでしまうよ。もちろん私もね」
「ありがたき幸せ」
「はぁ......どうしてこう、我が家には癖の強い者しかいないんだろうね」
「わたくしめにはわかりかねます」
「......まぁいいや。しばらくは私もルフェに付き添うことにするよ」
「そうしていただけますとわたくし達も助かります」
「さぁ、ここで話してルフェを起こしてしまったら可哀想だ。メアリーも仕事があるだろう?行ってくるといい。私はもう少しこの可愛い甥っ子を見てから行くよ」
「かしこまりました。それでは失礼いたします」
さて、この可愛い可愛い私たちの大事なルフェンを誘拐した者達は今頃大変なことになっているだろうし、あっちは兄上達に任せてもいいな。
まだ生きていれば私も参戦させてもらおう。
「ルフェ、私たちが必ず守るから。今は安心してお眠り....」
寝息だけが響く静かな部屋。
自分とルフェン以外誰もいないことを確認しながら お医者さん---アルセロン---は、しばらく彼の寝顔を見守った。
そして満足げに頷くと、そっと部屋を後にした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
楽しかったでしょうか?
5話目は私にとっても初めての挑戦があったのでうまく伝わっていれば幸いです。
次回は新キャラが続々と登場する予定ですので、お楽しみに!
今後もよろしくお願いします。




