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僕と白のツバキと黒のアイツ その⑨

そんな俺を気にかけ、わざわざ部屋まで足を運び他愛もない話をしたり時には外へと遊びに連れ出し僕の狭かった世界を広げてくれたのが次兄のシイ兄さんだった。


僕に良くしたって何の得にもならないのにそれがウザくて、でも不思議で


「ねぇ、何で僕にかまうのさ?」


その日、僕達は少し遠出しちょっとしたハイキングコースを散策中、肩を並べて歩いている道すがら思わず聞いてしまっていた


「ん?そうだな・・・・・・・・楽しいからかな?・・・僕が出来なかった事ややってみたかった事をヒラギにやって欲しいし体験して欲しいから?う~ん・・僕自身にも良く分からないかも?」


そう言っていつもする少し困ったような笑顔で答えた


「・・・シイ兄さんが変な人なのは分かった」


「変な人はひどくないか?」


そう言ってクスクスと笑うシイ


「楽しいのは本当だよ、ヒラギと一緒にやりたかった事をやれてるんだから。今もそうさ、だからまた一緒に出掛けてくれるかい?」


「・・・仕方ないから付き合ってあげるよ」


何でかニヤけてしまう口元を見られたくなくてプイっ顔をそらして言ってしまった僕に


「そっか、ありがとう」


そう言ってそっぽを向いている僕の頭を優しく撫でてくれたシイ兄さん、何だかムズムズとこそばゆい


「・・・やっぱ兄さんは変な人だ」


その後もウザいほど頭を撫でてくれた、そんなやり取りがあった後も僕達は二人で時間を作っては遊びに出かけ、僕が小学校に入学してからもそれは続いた。そんな楽しくもウザい僕らの日々はとても大切だったと思う




しかし僕が小学校の6年に上がり、シイ兄さんが大学卒業をひかえたある日それは起きた。一足先に大学を卒業した上の兄、()()()が問題を起こしたのだ。


僕とシイ兄さんが交流していることは父も長男様も知っていたようだが、僕達に興味が無いとばかりに二人ともさほど干渉はしてこなかった。


父は表面的な世間体さえ保っていれば特に家族にたいしては害は無いと言えた。


長男様は時折絡んでくることはあったが何の反応も見せない僕に興味が湧かなかったようだ。それよりも周囲の人間の弱みを握り、それをネタに脅していう事を聞かせたりする方が楽しいようだった。


時には教師や関りを持とうとする周囲の大人さえも・・・結局、教師に金を握らせ脅し成績さえも改ざんさせ、それは高校でも大学でも同じで学生時代は散々好き勝手に遊び倒して過ごし、大学を卒業した後は当然のように家業である大手建設業の本社へ入社。これまた当然のように役職を与えられ意外な事に父親に似たのか天性のリーダーシップを発揮し最初のうちは順調だったようだ。


しかし、まだまだ現役の社長である父親に内緒で下請けの会社に高額の接待をさせ、賄賂も受取ったあげく後は知らないとばかりに裏で約束していた仕事を回さずそのまま、当然それは父親に知られるところとなり流石に長男至上主義の父でさえ、これには激怒した。


「なんて事をしてくれたんだ!!」


怒りに顔を赤くし握り込んだ拳を震わせた父の前で、さも何でもない事のように立っている長男様


「別に良いだろ?昔は良く取引していた会社なのはわかるけど、最近はほとんど付き合いも無くなってたトコじゃねえか、今更、おやじの息子だからって尻尾振ってくるような会社だぜ?問題無いだろ、俺に金使ったとか?金渡したとか証拠だってねえんだし俺は一度だって催促してねえし?」


「程度ってものがあると言ってるんだ!!幾ら貰った?!百や二百じゃないだろう?!」


「あぁ~・・トータルすると?桁が違ってたかもなぁ?」


「お前が大口の案件をチラつかせ搾り取ったのは知ってるんだ!!!あれは別会社へ卸すとすでに決定してそれは覆らないとお前も知ってたはずだが?!」


「そりゃあ知ってたさ、大口案件が転がり込んできたのをどこからか聞いたアイツらがしつこく俺にまとわりついて勝手に貢いできたんだよ。まぁ?多少どうにかなるかもとは言ったかもだが?」


「・・・お前はまだ青い、そんなお前に金を渡すアイツらもどうかしてるがお前もお前だ!!やるなら上手くやれ!!あの会社は今は落ち目だがこの業界で長くやってるんだ!それだけ顔がきくって事がなぜ分からん!大口案件は無理だが別の案件だってあっただろう、そっちへ誘導したら良かったんだ、そっちで控えめに金のやり取りしていたなら問題無かったのに!」


どちらも大概のクズである


そんな二人のやり取りを聞かせられているシイは所在投げに部屋の隅で小さくなっていた、正直なところなぜ自分がここに呼ばれたのか分からないままだった


「んでよぉ?何でソイツが居るんだよ?」


おもむろにシイに向けてキツイ視線をむけた長男()


「あぁ、今度からお前に秘書をつける事にしたんだが・・・」


「え?秘書ってのは歓迎すっけどよ・・・まさかコイツ?」


「そうだ、どうせ卒業後はうちで働くことになるんだ、かまわないだろうが」


「・・・・・・(秘書って僕、初耳なんですが)」


「チェンジで!!こんな陰気な男とそれも弟・・・ありえねーマジありえねー」


「女の秘書なんぞつけられるか!だたでさえ後始末が大変なんだ!身内が秘書なら何かと都合が良い、とにかく暫く大人しくしていろ。シイ!!良いな!!カガシを良く見張っておけ!!」


「・・・はい」


「オヤジ!!俺は嫌だぞ!!こんなクソつまんねえヤツと・・・」


「五月蠅い!お前は今の手掛けている案件を弟に引き継いでスケジュールの詳細を共有しておけ!落ち着いたら別の仕事を振る!!」


そう言うと父親は僕達を社長室から追い出した


「・・・あーめんどくせー」


「兄さんどこに行くんだ?」


「付いてくんな!約束があんだよ!」


「父さんからスケジュールの共有するように言われただろう、教えてくれないと・・・」


「お前さぁマジありえねぇから!一々教えてられるかよ!」


「カガシ兄さん!!」


止めるのも聞かず椅子の背もたれに無造作にかけていたジャケットを羽織るとそのまま出て行こうとするカガシ、他の社員の視線が刺さるのを感じながらシイもその後を追った。




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