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僕とツバキと変化の時 その⑤

「『スギさんはツバキにお触り禁止』の事が夕鞠さんの言う『意識して避けてる事』なの?」


何だか納得が行かない、それはダイチも同じようだ。


「『それが分かれば道が開ける』だったか?疑うわけじゃ無いが、それはどうかと思うぞ?」


「私から見たらあんなに誰かに執着するスギなんてビックリな話よ?今まであんな風になる事なんて無かったし今のスギは異常と言うか私の知るスギとかけ離れてるというか・・・」


「そう言われるとな?」


「うん、でも僕が来る前のスギさんがどんなだったか知らないけど・・・・最近のスギさんはなんて言うか変態くさい・・」


「それな!!」ダイチは力強く同意する


「私もそれは否定出来ないけど・・・でもやっぱり以前と違うしあなた達もそうよ?気付いてないの?」


僕達は顔を見合わせた


「そうかな?」「こんなもんだろ?」


「私には他の誰かの意思があるように感じるの」


「あの、そのスギとやらは誰なのですか?」


相良さんが疑問を投げかける


「あれ?相良さんは知り合いじゃないの?」


「残念ながらお会いしたことはないですね」


そう言うと望月さんが補足する


「コイツは外が長いのよ、街のこの店にはごく最近になって移動してきたの。かく言う私もそうねいくらか相良より早く来た方だけど古株ババアとは違うわ」


望月さんが続ける


「ふん!!ババアは余計だよ!!あんたんトコの化物(楼主)が早くに逝っちまったせいでコッチはいい迷惑さ!」


「逝ってはいません先代は今、海外で悠々自適生活をしているようですが・・・」と相良さん


「先代の今なんて興味は無いよ!話を戻しな!」


脱線させたのも修正したのも花鳥の楼主だ、そのせいか『お前が言うな』とでも言いたげな望月さんがシブい顔をしているが今度は沈黙した。


今後どうするか、今の課題はそれだった。スギさんの事は取り敢えず保留となったが風月の2人も巻き込んでの協力体制を築くこととなり心強くもある。

とは言え今は『数日は猶予がある』との夕鞠の言葉で一時解散となった。

大きく変わった事と言えば相良さんだ、「本当なら私が残りたいけど・・・」とか言う望月さんの指示で相良さんが花鳥に残る事となった。表向きは


『お使いに出た羽渡さんがその帰りに倒れて花鳥にそのまま世話になっていた、重ねて世話になっている手前、動かせない羽渡の看病に相良さんを残した』


という事になった。

そうする事で行方不明の羽渡さんの件も先延ばしに出来る、時間稼ぎにしかならないが今はそれで良いとの風月組の判断だった。


「定期的に使いを送るからよろしくね、相良も頼んだわよ。コッチの事は私がやっておくわ」


そう言って望月さんは一人で帰って行ったが後に残された相良さんは少し困った顔をしてそれを見送っていた。


「相良さん、どうしたんですか?」


「何でもありませんよ、ただあの方が『やっておく』と仰っておいででしたので少し不安になっただけですよ」


「・・・あまり深くは聞かないほうが良い感じ?」


「ふふ・・・察しが良いですね彼とは長い付き合いですので、まあ過去に色々あったとだけ言っておきます。それより例のスギとか言う方を紹介して貰えませんか?暫くこちらでお世話になるのですから挨拶くらいはしておきたいのですが」


「スギさん?良いけど・・・ツバキの事が絡まなければ普通のお医者さんだよ?たぶん」


「たぶん?なのですか?」


「普通がどんななのか僕には分からないんだよね」


そう言って僕は苦笑する。

ダイチは夕鞠さんを送って行くそうで途中で分かれ僕と相良さん、紫燕姐さんはスギさん達の居る僕の部屋へと向かう


「思ったより複雑な作りなのですね、迷路のようです。」


花鳥の建物を通りがかりの所だけだが案内しつつ部屋へと向かうと相良さんが興味深そうにそう言った。


「僕も最初そう思った!」


僕達の部屋にしている場所は外から見ると建物の途中が段差になっている所、3階の路地に面している所になるが中からそこまで行くとなるとかなり遠回りしなければ行けない作りになっている。


「ここはわざと複雑な作りをしているのさ、女達を守るためにね」


同行している紫燕姐さんが補足してくれた話では一方的に言い寄って危ない事をする連中が時折いるそうで、そんな男達から逃げたり身を隠せる場所を作るために複雑にしているそうだ。上の階に上がればそれだけさらに複雑な作りになってるそうだ。


「そう言えば僕5階には行ったこと無いや」


「でしょうね5階は特に複雑だし見張りも常駐しているし花鳥の中で一番安全な場所なのよ、私も知らない隠し部屋とか出入り口、罠もあるなんて話もあるのよ?」


「その話って噂なの?ホントは無いの?」


「さあ?誰も見たことが無いからね、あるかもしれないし無いかもしれない・・楼主や夕鞠なら知ってるかもね?」


紫燕姐さんはそう言って楽しそうに笑っていたが途中で


「でも、探検しようなんて考えない方が良いわ。迷い込んだら出られずそのまま・・・なんて事になるかもね」


少し怖い事を言う


「冗談だよね?」


「さあ?どうかしら?ふふふ・・」


思わせぶりな事を言う紫燕さんが怪しげに笑う


「風月とは全く趣きもコンセプトも違っていて面白いですね、探検してみたい気持ちもありますが無理そうですね」


「僕も探検してみたい!でも止めとく絶対に迷子になると思うし行方不明の仲間入りしそう・・・」


「風月のダンナはダメだろうけどトシキならたぶん許可出るかもね、付き添いは必須だろうけど?」


「・・・その付き添いってダイチのこと?」


「正解!!」


そう言って楽しそうに笑う、そんな話しをしているうちに僕達の部屋に着いた。出入り口には2人の見張りが長い棒を持って立っている。その2人に軽く挨拶をすると部屋へと入り声を掛ける。


「ただいま〜スギさん!文さん!居る〜?」


「お邪魔するわよ!」


「失礼致します」


僕、紫燕姐さん、相良さんが続いて入室する





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