表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/81

僕とツバキと変化の時 その④

「それが真実だと言う証拠は?」


「無いね!!信じろなんて言わないよ、ただこれからアンタらは嫌と言うほどその身を持って知る事になるだろうさ」


「花鳥楼主様、なぜ貴方はそれ程迄に?」相良さんが訊ねる


「信じるかって?ふん!夕鞠が見えたならそうなる、目の前で現実になったらアンタらだって信じるだろ?それが続けばなおさらさ」


僕はその話しを聞いてチラリと夕鞠さんを見た視線を感じたのか彼女もこちらを見返し軽く微笑んだがすぐに真っ直ぐに正面に向き直る


「今は信じて貰えなくても構いません、だけど貴方がたはその『羽渡』と呼んでいる方について何を知っているのですか?ある日突然現れた。そんな認識ではありませんか?」


風月の2人は黙り込んだ


「彼には大きな秘密があります、そのせいでずっと苦しんできた。それを何とかする、いえ、出来るのはトシキだけです」


「僕?」


「そうよトシキにしか出来ない、でも気負わないで欲しいの。アナタはアナタのまま、心に従ってくれたら良い。私にはトシキの未来は見えなかったでもアナタと関わる事によって他の人の未来が変わる、それがハッキリしたの」


「心に従うってどうしたら良いか分からないよ」


「悲しいと思ったり楽しいと感じたり、誰かを好きになったり関わりたい関わりたくない、そんな色んな感情や選択肢を自由に感じて決めて欲しい。それだけよ?」


「花鳥の真実を知る占い人(うらないびと)とは貴女だったのですね夕鞠さん。私はてっきり客を喜ばせる為の出し物か何かと思っていましが・・・しかし(羽渡)の秘密とは?」


相良さんのその問いかけに


「彼は・・・」


言いかけて言葉を濁し夕鞠さんは僕を見た。そして(うつむ)くと


「異形の者です・・・」


絞り出すようにそう言った。

そこに居る全員が息を飲み押し黙る、当然だ『異形の者』僕やダイチ、花鳥の楼主さんはきっと同じ者を思い出していた、だけど相良さんと紫燕姐さんは思いつかないようだった。


「・・・やっぱりそうなのね」


そう言葉を発したのは意外な事に望月さんだった。


「楼主様・・貴方は何か知っているのですか?」そう聞いたのはまた相良さんだ


「・・・以前見てしまったの、羽渡が真っ黒な姿で銀杏の木の側に降り立つのを。見間違いかと思っていたわ、いいえ、見間違いだと思いたかったのよ。あの子それ以降どんどん弱って行って・・」


「何故教えてくれなかったのですか?!」


「教えたとして私達に何か出来た?!言ったところでアンタは信じなかったでしょ?!だから言わなかったの!!」


「だとしても教えていただきたかった!!」


「お止め!!まだ話は終わって無いんだよ!!」


楼主さんが2人を(いさ)め、夕鞠さんが続けて語る


「私が聞いた『魂の声』は彼、それは引き裂かれるような声でした。そしてもう一つ『光りの声』こちらは弱くとても(もろ)い、私達が手を尽くさないと消えてしまうでしょう」


「『光の声』・・・?」


「蛍のように淡くて(はかな)い吹けば飛ぶようなそんな声です」


夕鞠さんはそう言うと僕とダイチを見て話しを続けた


「貴方達が意識して避けてきた事があるはずです。それが何なのか残念ながら私には分かりませんでした、何か心当たりはありませんか?」


(僕とダイチが避けて来たこと?)


僕はダイチに目配せするがダイチにも分から無いようだった


「それさえ見つかれば道筋は開けるはずです」


「そう言われてもな?」「うん、何だろう?」


僕らは今までの事を思い返してみるがサッパリだった、そこへ助け船を出したのは紫燕姐さんだった。遠慮気味に手を挙げると


「私は思い当たらなくもないわ・・・本当にそうなのかは謎だけど・・・」


すごく自信が無さそうだ


「え?なに?僕全然わからないんだけど???」


「私も自信は無いけど・・・あのぅ・・スギの事・・かと・・・?」


「なんでスギ?なんかあったか??」ダイチが疑問を吐き出し

「????」


僕も同じく疑問符を頭に並べ2人で頭をひねるがやはり僕達には思い付かなかった。


「アンタ達、前から思ってたけど何だか似てるわよね・・」


そうしみじみと紫燕姉さんに言われ、それを聞いてた他の面子も頷いていた







************


その頃スギさんは(いきどお)っていた。


「何故だ?!何故なんだ!!こんな事有り得ない!!」

「・・・・・」


文さんは黙って聞いている


「栄養も与えているし・・・やはり愛情不足だと思うんだがどうかね?!」

「・・・・・」


文さんは静かに傍観している。


「そろそろ返事くらいしてくれないか?」

「・・・・・」


文さんはドン引いた目で静観している。


ずっとこの調子で話しかけているスギさん(縄付き)を見てるだけの仕事。そしてその話相手はツバキ(巨大繭)・・・


ヤバい感じになりつつある変態の見張りはかなりの精神的負担がある、しかし元々が真面目な文さん、その手綱(物理)はシッカリと握りしめ今もその精神的苦痛に耐えていた。


(早く戻って来て下さい!2人共!!)


そう心の中で祈るがその願いは残念ながら当の2人には届いていない。







************


「スギさん?・・・・・ダメだ分かんない!!」


「スギ?スギ?特に無いと思うが・・何かあったか?」


そんな調子の僕達に


「あるでしょ!一つだけ!あの繭になった子の事よ!」


「はあ?!」「だってそれって?!」


僕達はそこまで言われてやっと思い出した。しかし紫燕姐さんが言っている思い当たる事ってのがまさかの


『スギさんはツバキ(繭)にお触り禁止』の事だとは・・・


僕達にとって青天の霹靂だしスギさんの変態的な様子を思い出すと素直に『そうかも』とは言えない心境だった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ