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僕とツバキの冒険? その④


1時間後に出掛ける事になった。


以前から僕と会わせると約束をしてた人が居るんだとか・・・いや誰だよ?とは思うし知らない所でどんな風に僕の事が伝わってるのかと思うとちょっと怖い。


「バイクの試運転がてら行ってちょっと合うだけで良いし今ちょうど催しの最中なんだぜ?見たくないか?」


そんな誘い文句に勝てなかったお祭りとか好きなんだよね僕。


知らない人に会う憂鬱と催しを見れる期待にソワソワワクワクしてしまう、でもまだ出掛けるまでに時間がある。


僕は掃除用具の片付けに集中することにしモップとそのバケツT字(ほうき)はガレージの隅で良いそうなのでそこにその他の用具は2階の物置に仕舞に行く。


ダイチは汚れを落としたいとシャワーを浴びに行ったので後は待機だが・・・ツバキはどうするんだろう?置いて行けないよね?


まあそこはダイチが考えて居るだろうと楽観的に考え財布くらいは持って出ようと自分の部屋に向かう。


ツバキはアトラクションではしゃぎ疲れたのか少し眠そうにしている。


部屋に戻った僕は一度ツバキをベッドに降ろしジャケットを着るとクローゼットの下に置いてあるリュックから自分の財布を取り出し右ポケットに入れ。


残しておいた数少ないオヤツから小袋タイプのグミを取り出すと左ポケットにそれを入れた。


(落とさないようにしなきゃ!)財布の中には僕の全財産が入っている。


金額は多くは無いけどポロッと落ちてしまわないか急に心配になった。ちょっと軽くジャンプしたり腕を激しく動かしたりしてみる大丈夫そうだ。


ポケットに両手をつっこんでその存在を確認する・・・・・?


右のポケットに違和感、財布の他に何か入ってる?それを恐る恐る取り出してみた。


(紅葉した葉とやけに小さな・・・松ぼっくり?)


何処かで見たような気がするが思い出せない葉は拾ったばかりのように瑞々しく塗ったかのように真っ赤で逆に松ぼっくりみたいなのはカサカサに乾いて黒く固くなっている。


しばらく観察してるとノックの音がした、多分ダイチだ。


「はーい!開いてるよー!」


と振り向くと同時にいつの間にか側に来ていたツバキが松ぼっくりに食いつき飲み込んでしまった。


「え?え?何?飲み込んじゃったの?!」焦る僕。


その様子を目撃したダイチは直ぐに駆け寄りツバキの口の中を確認したが無いようだ。


「何を飲み込んだか分かるか?」


「っっえっと!僕のポケットにあった小さい松ぼっくりみたいな種?!」


「・・・そうか、ツバキ大丈夫か?苦しいとか無いか?」


そんな問いかけにキョトンとしているツバキ。


「・・・どうしよう今日は出掛けるの止めよう?」僕泣きそう。


「う〜ん・・・・・・まあ大丈夫だ。一緒に連れて行くし何かあっても対処するよ」


「え?!」僕マジ驚愕。


「ツバキ人間じゃ無いし?生態が分からない以上、毒じゃ無ければ問題ないさ」


「え〜・・・」僕、当惑。


「トシキが行かないならツバキと2人で行くか!な?ツバキ〜」


そう言うとダイチはツバキを高い高いした。無邪気に笑うツバキ。


「ぼ、僕も行く!!」


つい言ってしまう。ダイチはニヤリと笑うと


「じゃあツバキの準備もしなきゃな!」


いつから準備していたのか懐から(かんざし)を取り出しベッドに2人で腰掛けるとツバキの髪を器用にまとめて上部でお団子にしその簪を差し込む。


濃い紫のガラスで出来てる簪の飾りには小鳥が彫られていてそのくぼみが金色で着色されている。とても綺麗だ。


ツバキにその姿を鏡に映して見せてやると目をキラキラさせて喜んでいた。

本当に大丈夫みたいだし・・・良いかと僕は溜め息をついた。



ツバキには着物の上から着れるピンクのコートと白いフワフワの襟巻き、ぼくには深紫に小鳥の刺繍入りのマフラーが巻かれている。ツバキの簪の飾りと同じ柄でお揃いになっていた。


ダイチは黒のスラックスに黒の長袖シャツ、それに濃いグレーのセーターに何時もの龍刺繍ジャンパーだ。

髪はいつもより格好良くまとめられ少しタレた目元が良く見えている。


皮手袋をはめるとツバキをバイクの前に乗せその口元を襟巻で覆うように着けさせると自分もバイクに跨り深紫色の布で出来た紐で自分のウエストとツバキのお腹部分をまとめて結わえ着け固定した。


そして新しく買ったらしい深緑のメットを着用する。

僕は前にも貸して貰ったメットを被りダイチの後ろにまたがると準備OKだ。


「あんまりスピードは出さないが紐から手、離すなよ!」


ダイチはそう言うとエンジンをかけ、少し吹かすとバイクを走らせる。


そのまま街の外周を周り少し行くと開けた場所に大きな門があった。その入口にあるカメラに向かって何か見せると門が自動で開きダイチはバイクのまま入っていく。


その先は大型のトラックでも余裕で走れる広さがある地下通路になっていた。

所々にオレンジ色した明りはあるもののその中は薄暗くちょっと怖い。しかしダイチは迷いなくバイクを走らせどんどんスピードを上げて行く。


バイクの爆音と共に僕の叫び声もトンネル内にこだました。




「嘘つき・・・」涙目の僕。


着いた途端にそう言った僕を大爆笑したダイチ【ゆ・る・さ・な・い】そう思われても仕方無いよね?


この街は道が複雑に入り組んでいる上にどこも道が狭い為、中心部への物資運搬用の直通道路なんだと後から説明されたけどあんなにスピード出した理由にはならないよね?


ツバキは凄く喜んでいたから復讐はほんの【少しだけ】にしておくよ?


そう僕は心に誓った。






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