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僕とスギさんと新しい妹? その③



「・・・えっと、コレはどうしたら?」


「知らないよ!好きにさせとけばぁ?害は無いみたいだしぃ?!」


「えぇ〜・・・」


スギさんは何だかずっと機嫌が悪い。

女の子が目覚めて直ぐに僕に向かって『おにいちゃ!』と言ってからずっとだ。


怒ると言うより拗ねてる感じがするのは気のせいであってほしい。


あの後、女の子は近付くスギさんを警戒し僕から離れない。と言うか僕の身体を器用に登ったり降りたり何と言うか無理やり例えるなら『虫が縦横無尽に走り回る』のに近い。まあ、その走り回っているのが僕の身体の表面なわけだが・・・


完全に人では無いね、分かってたけどね、重くは無いけどさっきから(せわ)しなく動いていて『こそばゆい』それとちょっと青臭いんだよね。


ぴょんと飛び付かれた時にはパニックになりかけたけど今は割と冷静だ。女の子は最初スギさんから逃げ回ってる感じだったけど今は楽しそうに僕の身体を這い回って時々僕の顔を覗き込んではニコニコ笑顔を振りまく。


可愛い女の子にそんな顔をされたら悪い気はしないが動きは【虫】である。

いい加減どうにかして欲しい。


僕は棒立ちのまま動けない。せめて座りたいが間違えて女の子を潰してしまうんじゃ・・とか不安になる。それくらい女の子は軽くて『(もろ)い』んじゃないかと思えた。


スギさんはムスッとデスクに肘を付いてこちらを静観する構えだし僕は相変わらず棒立ち、超元気な女の子は相変わらず這い回っていてカオスである。


と言うかスギさん栄養あげすぎたのでは?!と思えるくらい時間が経つほどに女の子の動きはキレを増してるきがする。


そんな女の子の動きが突然止まった。


エレベーターが開きダイチが休憩室に入って来た気配がする。


「お!焼き芋もーらい♪」呑気な声が聞こえる。


そしてヒョイとこちらを覗き込み「どしたん?」なんて焼き芋をくわえながら部屋に入って来た。


女の子は警戒しダイチから見えないように僕の右半身にしがみつく。


「おかえりなさ〜い」と首だけそちらに向けて僕が言い。スギさんは肘を付いてない方の手を少し上げ何やら合図。


僕はダイチに凝視され「えへへ〜」と愛想笑いを返し「何とかしてくれないかな?」と告げた。

困った時のダイチ(なんでも屋)頼みである。


ダイチは女の子の存在に気付いたのか少し顔を近づける、と女の子は顔を覗かせダイチを見た。

するとピョンと飛びダイチがくわえる焼き芋の先にパクリと食いついた。


僕はホッと息をつき身体の緊張をほどくとベッドに腰掛ける。流石なんでも屋(ダイチ)仕事が早い。

ふと足元を見るとスギさんは椅子から崩れ落ち床に手をついて


「なんで、俺だけ・・・・・」


分かりやすく落ち込んでいた。


ダイチは芋に食いつく女の子に面食らっていたけど普通に女の子を抱き上げ僕の隣に座らせた。女の子はダイチから奪い取った焼き芋に夢中なようだ。


「目ぇ冷めたんだな食欲もあるみてぇだし良かったな!」


ダイチは中腰のまま焼き芋に夢中な幼児に話しかけニカっと笑う。うんうんと首肯(うなづ)きモグモグしている女の子、言葉は理解してるようだ。


「で?スギは何してるんだ?」


そう問いかけるダイチに


「さあ?」


と僕は返し2人でまだ立ち上がらない(立ち上がれない)スギさんを見下ろす。つられたように女の子も見下ろし僕達3人(?)は視線を合わせた。





************


その後、休憩室に移動し一服することにした。

3人分のお茶を煎れ女の子にはホットミルクを出してみた。飲めなそうなら水か何か別の物を出そうかと思ったが大丈夫そうだ。


僕とダイチから離れたがらない女の子。今はダイチの膝の上に陣取り両手でカップのミルクを飲んでいる。こうして見てると色意外は普通の女の子に見える。


僕が口の周りに付いた食べカスやミルクを拭いてあげると嬉しそうに笑顔を返してくれるが何故だかスギさんには警戒心丸出しで全く触らせない。


さっきもダイチが抱き上げた時に入院着がめくれてしまったのを直そうと手を伸ばしたスギさん。

女の子はそれに気付き2メートル近く離れてた僕の後頭部に飛びついて逃げて来てた。

その時のスギさんは直そうと伸ばしていた手はそのまま固まってチョット泣いてた。


人見知りにしてもチョット過剰な気がする。


僕達は改めてこの子の処遇を考えなきゃならない訳だが兎にも角にも名前が必要だろうって結論に行き着く。


「日本古来からつづく伝統的な名前【ハナコ】で決まりだろ?!」とダイチ。


「却下!」僕は即座に反対する。


「・・・・・・」スギさんは沈黙している、ただの屍のようだ。


「トイレの花子さんじゃあるまいしもっと可愛い名前が良いよ!ねっ?!」


と僕は意見し女の子に同意を求めた。それに気づいてニコニコと笑い返してくれる。


「ほら!この子も可愛いのが良いってさ!」


「えぇ〜【仮】の名前なんだからハナコでも良いじゃないか?」ダイチは食い下がる。


「そんな事言ってそのまま定着したら可哀想でしょ?!」と僕。


「・・・・・・・」やはりスギさんはただの屍のようだ。


「ならトシキはどんなのが良いんだ?」


「ん〜動きは虫っぽいけど虫のは除外して〜日本っぽいのは良いかも?植物っぽくもあるから・・・そうだ!【ツバキ】は?!」


さっき無くした種の事を思い出した。


「!!!賛成!!!」スギさんは突如、息を吹き返した。


女の子はそんなスギさんを冷めた目で見てるようだが嫌では無さそう。


今日からこの子は【ツバキ】に決まりだ。




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