僕の知ったダイチの秘密
そこは僕が通っている畑だった。
違う路地を通って来たからか着いた時には少し違って見えちょっと混乱したが間違い無い。
ダイチは何かを確認しながら慣れた様に畝を避け畑の中にも入っていく。そして御神木の梅の木まで来るとまたしゃがみ込んだ。
隠れて離れた所から見ている僕の目にも分かる程の【ソレ】は真っ黒で所々が緑の斑になっている。
もっと良く見たいが近づくとバレそうだ。
「おい!ちょっと来い!」
唐突に誰かを呼ぶダイチ。
「・・・・・トシキ、お・ま・え・だよ!!」
「ぇ・・・えっと?・・」
「バレバレなんだよ、お前は・・良いから、そこのバケツに水汲んで持って来い!急げ!」
「は、はい!!」
いつも使ってるバケツに汲み置いてる水を入れダイチの元へと急ぐ。
離れた所から見た時は分からなかったが近くに寄ると黒に緑のそれは人型をしていた。
「コレ何?!」
「・・・さぁな?」
ダイチはバケツを受け取ると人型の頭にあたるだろう部分から順に上半身、下半身部分へと水を流しかける。
水で汚れ(?)が流された後には、青白い皮膚らしきものが現れそれが紛れもなく人型の何か。
では無く【人】だと分かる。
少なくとも僕には【人】に見える。2歳?か3歳?それくらいの女の子だ。
その子はドロと粘膜が合わさった様な汚れに包まれて倒れている。
「足りねぇな・・・トシキ、水もっと持って来い!」
「っはい!」
僕は反射的に返事し動いていた。
水を汲んで戻るとダイチは自分が汚れるのも構わず女の子に人工呼吸している。
「息してないの?」
「・・ふう・・大丈夫、助ける!」
ダイチはそう言うと、僕が持っていたバケツを受け取り女の子の口に無理やり水を流し込む。
そして自分の片足を立てるとそこに女の子をうつ伏せにしお腹が圧迫されるような体勢にした、片手は顎を持ち上げ反対の手で背中を叩く。
『ゴボっゴボボボ・・』
嫌な音がして女の子の口から緑と赤色の粘膜が大量に吐き出された。
ダイチは無理やり口を開けさせその粘膜を掻き出す。そしてまた背中を何度か叩いた。
『ゲぷ・・ゴぽ・・』
先程より水気の多い粘膜が吐き出される。
顎を上げ耳を近づけるダイチ、微かに呼吸の兆しを感じ地面に寝かせると人工呼吸を再開し。
心臓マッサージを始めると直ぐに呼吸が戻ったようだった。
しかし意識は無い。
ダイチはジャンパーを脱ぎ女の子を包むと抱き上げる。
「トシキ!急いで戻るぞ!!」
「はい!!」
僕達はエルデプラッツビルに急いで引き返した。
************
「・・・・・・で、またお前は子供を拾って来たと?」とスギさん。
「・・・成り行きで?」とダイチ。
「普通はそんな頻繁に拾う様なもんじゃねぇだろが!!!」とまたまたスギさん。
「スギさん、あれは仕方無いと思うよ?」と僕。
「拾われてきた当の本人は黙ってなさい!!」
「スギさんソレは言い過ぎ・・・」
「・・・ごめんなさい。」涙目の僕。
「トシキが悪いとは思っていない!ただダイチの悪影響が・・・・・・悪かった変な言い方した。」
スギさんはあやまってくれたがグスグスとしばらく僕は鼻をすすっていた。
あの後、僕達は寝ていたスギさんを叩き起こし女の子の治療をしてもらった。
一通り治療が終わり一息ついてこの騒ぎである。
実のところスギさんが1番怒っていたのは僕が夜に一人で抜け出しそれに気付いて居ながら止めなかったダイチ。そして厄介事を持ち込んだだけでなく止めなかったが為に今回のことに僕も巻き込んだ、それに対してって事らしい。
って事は心配して?そういう事?僕はスギさんを割とドライな人だと思っていた。
けど違ったみたいだ。
「ダイチ今回の事でお前も分かっただろ?変に隠すから知りたくなる。話せる事は話してやれ!」
「・・・分かったよ、でも何を話せば良いか分からないだからトシキが聞いてくれ。でも話してやれない事もある。ソレは理解してくれな?」
まず聞いた事はダイチの仕事のコトだった。簡単に言うと【なんでも屋】だそうだ。
掃除に修理、探偵、運び屋、人の仲介、仲人、畑仕事でも何でもやるらしい。
「悪い事でもやるの?」そう聞いたら戸惑ってたけど
「ギリギリのラインでセーフな?感じ?」とちょっとあやしい。
話してやれないって範疇なのかも?とそれ以上は聞かないことにした。
今夜の仕事は実はキヨお婆さんからの依頼だったらしく、その依頼は次のような内容だ。
最近おかしな泥が街なかに落ちている。そのままにしていると半日程で消えるが消えた後草も生えない様になる、最近その泥が畑の周辺で良く見られるようになったので調べて何とかしてくれ。
との事ヤバいじゃん。それってさっきの畑のヤツじゃん?
「畑!あれ回収しないと大変じゃない?!」
「大丈夫だ、ソレはスギさんが調べて対策出来てるから」
「へ?スギさん?」
「スギさんの専門は植物学なんだよ」
「どおりで・・・ャv・・・・ゴホン・・」
人間 ✕、植物 ○、そう云う理由かと凄く納得した。




