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その姿、修羅の如く

今日も長屋エリアを天誅しまわる。幕末を始めてから数ヶ月経ち、かなりステータスも上がった。

次の秋イベントも数週間後だ、そろそろ再戦を挑みに行くか。

そう決意し、俺は長屋エリアから目標がよく出没する無縁仏エリアへと足を進める。

・・・最強のランカー、「レイドボス」へ一騎討ちを挑むために。






辺りは墓が並ぶ薄暗い森。夜というのも相まって不気味な雰囲気だ。


「さて、そろそろ出会えるかな?」


無縁仏エリアに着き、プレイヤーを数十人天誅しながらレイドボスさんを探す。

多くのプレイヤーが「レイドボスさんに一騎討ちをするなんて、自殺行為だ」と言うが、俺はそうとは思わない。

レイドボスさんとて人間だ、天誅できる。偉業なんぞに興味はないが、レイドボスさんを一騎討ちで天誅した最初のプレイヤーになって、それを証明してやろう。


「おっ、やっと見つけれたぜ」


「あ、灰狼」


歩くレイドボスさんを見つけ、刀に手をかける。こちらを見て、レイドボスさんも刀を構える。

距離はさほどない、抜刀で斬れる距離だ。


「刀、斬星竿に変えな?本気でやろう」


「・・・いいよ」


錆びた刀をしまい、竿のような刀「星斬竿」が虚空から抜かれる。本気で一騎討ちをしてくれるようだ。

レイドボスさんは斬星竿の切っ先を地面につける。


「さて、一騎討ちと行こうか!」


「っ」


開始の発言と共に抜刀。胴体を狙った一閃は下から振り上げられる刀によって防がれる。

そのまま刀は、振り上げられ上から俺の体を両断しようと振り下げられる。

すぐさま空いている左手で脇差しを抜き、振り下げられる刀をいなす。


「・・・」


両者、言葉は発さず。ただ薄暗い墓地に、刀による金属の快音と風切り音が響く。

距離を取り、脇差しを鞘に戻し、両手で刀を握る。

・・・ただ相手を殺すことに集中しろ、ゾーンに入れ。

体は自然と腰を落とし、構えは下段となる。見た目は低い前傾姿勢での下段。

レイドボスさんは斬星竿を両手で握り、様子を見ている。


「っ!」


前へ疾走。

斬星竿は下から振るわれ、前方から体の中心へ剣先が迫る。それを最低限の動作でいなし、さらに前へ。

レイドボスさんを射程圏内に捉え、足元へ横に一閃。レイドボスさんは、すぐさま飛び退き、着地と同時にこちらへ追撃を許さないように刀を滑らかに振るう。

すぐさま、刀を構え振るわれた刀を防ぐ。

一進一退。両者共に一太刀が命取りとなる。


「・・・」


いまだに両者は言葉を発さない。さっきまでの激しい攻防が嘘のように静まり返る。暗闇の中で二人が刀を構えて相対する。




遠くからこの一騎討ちを観戦(袋叩きの準備)しているプレイヤーからすれば、一騎討ちの邪魔などできる雰囲気ではない異様な雰囲気が二人にはある。もし邪魔をすれば、一瞬で天誅されると感じる、そんな異様な雰囲気が。

次々と集まる二人の一騎討ちを観戦するプレイヤーによって、灰狼に二つ名がつけられた。

「修羅」灰狼。と

「修羅」灰狼。理由は常に強者を求めて人を斬り続け、ランカーとの一騎討ちを繰り返すことから。

他には「阿修羅」や「人斬り」が候補にあった。

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