まさかのクラスメイト?
「柚姫!おはよ!」
「夏羽〜おはよ!」
夏羽とは同じクラス。
席が近くて話しかけられたのがきっかけ。
まだ入学して間もなく、クラスメイトも把握できてない。
クラス席は男子の名前順、その次に女子の名前順と
男女で席が離れていた。
「佐久間〜。ちょっといいか?」
廊下から先生に呼び出された。
「柚姫?なんかしたの〜?」
にやっと夏羽が笑う。
「なんもしとらんわ!ちょっと行ってくる」
「はいよん〜」
「佐久間、部活はやる気ないか?」
「あー…ちょっと悩んでるところですね」
「中学校でバドミントンをやってたみたいだし、やらないか?」
「うーん…」
先生に誘いを受けるとは思わず、戸惑ってしまった。
「うちは部員も少ないから前向きに検討しておいてな」
先生はよろしくと言いながら階段を降りていった。
教室に戻ると夏羽が駆け寄ってきた。
「なんだったの?」
「部活の勧誘。バドミントンやらないかって」
「えぇー!まじで?やっぱやるしかないんじゃないの?」
「そう思う〜?」
別に私はバドミントンが強かったわけではなかった。
中学の頃は部員もかなり多くその中でも少し上手いくらいのレベル。
だからこそ絶対にやるとは決めていなかった。
廊下付近で夏羽と部活の話をしている時に
クラスメイトが次々と教室に入っていく。
「…え?」
私は小さな声で呟いた。
昨日見た彼が教室に入ってきたのだ。
「倉原!おはよ」
「おっす」
彼の友達が挨拶をしていた。
同じクラスだと知らなかった私は固まっていた。
「柚姫!チャイム鳴るし席につこ!」
「うん…」
ホームルームが始まっている中、私の頭の中では…
先輩じゃない。
同じクラス?
全く気づかなかった。
倉原くんって言うんだ。
彼の事で頭がいっぱいだった。
ホームルームが終わり、授業が始まる前。
授業の準備をしている最中に夏羽から声をかけられる。
「柚姫!私の友達紹介するね!」
夏羽は1人の女の子を連れてきた。
「初めまして!大森友梨って言います!」
「初めまして。佐久間柚姫です」
「友梨は入学当日にお話して仲良くなったの!」
夏羽が2人とも仲良くしよ!と笑顔を向ける。
「柚姫ちゃんよろしくね!」
「うん!よろしく!」
友梨は私ににこっと微笑む。
友達を紹介してくれる夏羽。
自分から声をかけるのが苦手な私は心の中で感謝した。
「そういえば、友梨は部活入んの?」
夏羽が話す。
「いや、私はバイトしてるから入らないよ!」
「え!もうやってんの?」
「うん。入学当日からやってる!」
「早いな〜」
友梨は行動力があるみたいだ。
「2人はどうするの?」
「部活に入ろうか悩み中〜」
「ふーん」
夏羽と友梨は淡々と会話を続ける。
「さっき柚姫が勧誘されてたけどね!」
「まじ!?柚姫ちゃんすごいじゃん!」
「えっ?いやっ!人居ないから検討してって言われただけだよ!」
急に話を振られたのであせって応答する。
「よし!私決めた!」
夏羽が大きい声を出す。
「バレー部はいる!」
「おぉー!いいね〜!」
友梨がパチパチと拍手をする。
「柚姫も入ろうよ!バドミントン!隣で部活楽しそうじゃん!」
「…確かに。それは楽しそう」
「んじゃあ、決まりじゃない?」
確かに、友達と隣で部活やれるのは楽しそうだし、
彼のことも気になる。
「よし、入るか!」
「やったー!決まりっ!」
夏羽は嬉しそうな顔で少し飛び跳ねる。
「じゃあ、今日放課後に入部届けだしにいこっか!」
「そうだね!」
勉強が苦手な私は授業中、何も考えずに
時間が過ぎていくのだった。
「では、気をつけて帰ってください。」
先生の一言で学校での1日が終わる。
「放課後だー!柚姫!届け出しに行くよ!」
「はいよ〜」
夏羽がルンルンと廊下を歩く。
コンコン
「失礼します。」
職員室をスタスタを歩き先生の前に行く。
「入部届けお願いします。」
「おぉ、佐久間。入部してくれるのか」
「はい。」
「これからよろしくな。今日から部活行くか?」
「あー。えっと…」
ちらっと夏羽の方を見る。
「柚姫!今日行くなら私も行くよ!」
「じゃあ、行こうか!」
「おっけー!」
「決まりみたいだな。そしたら体育館に行ってくれ。」
「分かりました。失礼します。」
職員室から出て夏羽と2人で体育館に向かう。
「夏羽、楽しみだね!」
「ほんとだよ〜!着替えて体育館行こうか!」
ここから私の部活時間が始まる。