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w-girl(うーガール)










私が生まれる前、母の中で思ったことは、


母は私のことをあまり好きじゃないのかな?ってこと。



母は、お腹の中の私を触る時、


心配そうに触っていた。


大きくならないようにって、触ってるようだった。



普通は、


優しく、いとおしく、


触ってくるものじゃないのかな、



分からないけど、



母のお腹を通して触る手は


少し、私への愛とは言えないモノだった。














母は、よく、大きな声でお酒を飲んでいた。


夜誰かと喋ってたし、


私がいても、


気にせず、体を揺らし、大きな声をあげて、


男と寝てた。



それが父という相手だったのかは、


私にはわからない。



少し、同じ人ではない日もあったように思う。








色んな、



色んな言語が周りから聞こえてた。


色んな声が周りから聞こえてた。



私も早く大きくなって、


みんなの顔が見たかった


母の友人に声をかけてもらいたかった


母の友人の顔を見たかった


母の顔を、



ゆっくり観たかった。











長い長い、振動するようなものに乗って、


私は、遠くまで来たようだった、


父、と呼ばれる、


男の人の声も、ずっとそばで聞こえてた、



父は私がもうすぐ生まれることを母以外で唯一知ってる人だ、



時折、



優しく触ってきてくれたように思う、



でも、


その手付きは、母と同じ、


大きくならないように、、と、


願っているようだった。









移動して、


鳥の声がよく聞こえる場所に来たようだった、




ここはどこだろう、


母と父は、常に移動してる、


移動しながら生きてるのかな?



凄いな、


私もこれから一緒に、


一緒に、どこかに出かけながら、


大きくなっていくのかな、














母は、その日、



静かに、家にいたようだった、




しかし、



ついに、私は母のお腹から出なければいけない日になった、




お昼。



父もいない、


父はどこ??


どうやって出ればいいの?



母は、うめき声をあげながら、



必死で、体を広げてる。




あ、



ああぁ



出れそうだ、







頭が、


ついに、



世界に出た、



あ、


すごい、



空気が、


全然違う、







おぎゃー、



と、



私は、泣いた、


嬉しくて、


なぜだろう、



母の顔を見たかったからかな?



ついつい、まだ触られてもいないのに、








母は、私を触って、



すぐ、床に置いた、



え?




なぜ?





私は泣き続け、


呼び続けたが、


母は何もしてくれなかった、




大丈夫かな、


相当、疲れて動けないのかな、、



父は、、こんな時に何を、、











眠った、






起きたとき、




私は、父に抱かれてた、




嬉しかった。





でも、父は私を布で隠し、



大きな腕で、抱えて、



運んでるようだった、





あぁ、


父に会えた、



母にも、



嬉しくて泣きそうになった、





母は、私のそばを歩いてるようだった、



母、


お母さん、



私を抱っこして、




そう思ったけど、



母は私を抱いてくれようとしない、



母は、無言で、父の横を


歩いてるようだった、














暗かった、



夕日の、、夕闇が、、



空に迫ってきてた。




父は、



私をふいに、


地面にゆっくりと、、丁寧に、置いた。



え?




何も、言ってこないまま、




顔に掛けられた、



薄い布がチラッと、取られた。





あ、、今、たぶん、すぐ近くに、



お父さんと、お母さんが



私をジッと見てる。



、、




あれれ、お母さん?



ふいに母の方から泣き声が聞こえた



え。


どうしたの?私は元気、


お母さん、


元気出して、


産んでくれてありがとう。


お母さん、







父の方も、、息を震わせていた、




え?



父は、、私に、


物凄く、悲しそうな声で、、



一言、



何かを言ってきた、



、、


私はわからない、



私には言葉はまだ分からない。





布がまた下げられて、




顔が覆われてしまった。











足音が聞こえた




え?




父と母は、



どこかに歩いて行ってしまった。











え?




ええ?、




何々?



なに?




え?




えええ?







急に、


怖くなって泣き出した、




おぎゃーではなく、


うぎゃー、うぎゃーうぎゃー、、



と、



死に物狂いで、



必死に叫んだ、





しかし、




何の反応もなく、



世界は、ただ、暗く、



風の音で、全てかき消されてしまっていた。







、、、






この時、思った、





私は、、



ずっと前から、



こうなることが決まっていたのだと、、































夜が更け、真っ暗になってしばらく、



私は、疲れて眠ってしまっていた。




何もできない、何一つ、動けない、



ここはどこだろう、



行くのをやめて、父は


戻ってきてはくれないかな?



そうであってほしい、


でなければ、私は、



このまま、死んでしまう。



まだ、


何もしてないのに、


まだ、



今日、、



生まれたばかりなのに、、、









ふぅふぅと、


気が付けば、



知らない、息遣いが私の周りを囲んでた、







なにこれ




え、



え、




ぶふん



と、荒い息がした、



今のは、


父でもない、母でもない、


いや、人間??ですらない、




え。





あ。



違う生き物だ。




その、ふぅふぅ、という息は、


私の周りの生き物がどんな気持ちなのか、教えてくれてるようだった。




お腹空いた。


これ、食べれる?


脅威であるか?



ないなら、食べれる。



と。






お腹が空いてる、見知らぬ生き物が息を荒く私を囲ってる、






え、


あ、



お、




終わりだ。




もう、




絶対に終わりだ、





今すぐ、ぎゃぁ、と、泣きそうになった。



でも、




なんでだろうか、



ふと


泣くのを堪えてしまった。




少し、、


あまりにも悲しくて、、、


つい、、







もう、、泣いても、



誰も戻ってきてくれないのだから







ああ、


お母さん、



ごめんね、


凄く、悲しそうだったよね、




たぶん、すこし、、


お母さん、私を見てくれたよね。



、、、


ありがとう、




お父さんも、


腕の中、


暖かったよ。




ありがとう、





うん、



、、




もう、いいかな、


、、














クンクン、と、



ずっと、私の目の前で、



その息の荒い生き物は、ずっと私を嗅いでいる。




まだかな、


もういいよ、


食べたいんだよね、


食べていいよ、

















フンプン、と、変わった泣き声を発した後、





今までよりも息の大きい生き物が、


私の臭いを嗅ぎに来た、



あぁ、


何もわかんないな、


さっきの生き物とは違うのだろうか、


いったいいつまで?



この生き物は、食べないでいるんだろう、、


私を、





私も、、お腹空いたな、


うん。








首をぐいって掴まれて、いきなり空中に持ち上げられた、


うわぁああ、



と、声を出しそうになったが、




それもやめた、



どこか、


父に抱きしめてもらった時と、


同じような、



同じような気持ちで、首をかまれてる、、



と、



そんな気がしたからだった、











運ばれてた、



ただただ、



何も言えず。






























あれ?なんだろう、おいしそうな匂いがする、




置かれた場所で眠ってしまってた。



起きたらおいしそうな匂いがした、


また首を掴まれた、



匂いのすぐ近くに移動させられた、



目の前に、匂いがする、



おいしそうな匂いだ、






ん、ん、、ん、、



気が付けば、汁を口に入れていた、



お乳だった。





ん、ん、、ん、、、





これはなに?




何が起こってるの?




わからない、



わからないけど、お腹に栄養が入る。


すごい、



すごくありがたい、




ん、ん、んん、、、、






暖かい、


暖かい、



毛がすごい、



でも、


凄く暖かい、




お腹いっぱいになって、また、





眠くなってきちゃった、





おやすみ、お父さん、



おやすみ、お母さん、




おやすみなさい、、








寝る前、私の父と母が



寝る前に、こう、言い合っていたのを思い出した


私はお腹の中から、それをいつも聞いていた、



それは、とても、



優しそうな声だった、、、
























それから、



私は食べられることもなく、




お腹いっぱいに、


汁を、お乳を、毎日毎日飲ませられた、



いや、


飲ませてくれてた、



寝るときは、



くっついて、暖かく



ぐっすり寝てた、



何に、


くっついて、



何を飲んでるのか、



お腹の中から、あれこれ考えた世界とは


全く違うように思う、



全然何もわからない、



誰も話し声もしない、





ぅぅうぅぅううぅうううううおおおおおおおおんん



と、



急に怖い声が聞こえることもある、



でも、



みんな、それを発してた。


怖くもなく、悲しくもなく、



ただ、



全身で体を伸ばしながら、、、、、



















暗い世界の中、


何もわからないまま、



そこで汁を飲み、体をよく舐められて、



私は生き続けた、



いや、



生きることを許され続けてた、




何が起こってるのだろうか、




考えても仕方がない、




お腹の中で、一緒だった、



母は?



父は?




もう、二度と会えないんだろう、





そう思うと悔しくて悲しかった、



でも、




違う何か、暖かい生き物が、


傍にいてくれる、



傍にいさせてくれる、




よくわからなかった。




でも、




ペロペロと、


たくさんなめてもらった、




嬉しかった。























何日だろう、



暗い中で私は同じことをただ繰り返してた。




ペロペロ舐められることが増える。



不思議だ、



何体の生物が、


私を舐めてきてるんだろう。



なんで、食べられないんだろう。



後で、



食べるつもりなんだろうか、





でも、



その舌の動きと私を舐めるそのベロは、



とても丁寧に丁寧に、


優しく優しく、、






私は泣き叫ばなかった、



泣き叫ぶ必要もなく、



泣くことでこの、今いてくれる生き物が嫌がることを本能的に恐れてた。



常に、



寝てた、



スヤスヤと、、、
























一緒に、お乳を飲んでた、子も、いたと思う、



何回か、取り合いになったから、




寝るときもくっついて一緒に寝てた。




目、、もっと、見えたらいいのに、




暗い中では、何もわからなかった、、



ただ、匂いと、



暖かさと、



優しさで、安心してて、、











今いる、この空間に、いろんな臭いがしてる時がある。



そう思って乳を吸い付いて飲んでいた。色んな匂いを嗅ぎながら。



ときどき、



私の口の中に、



ペロペロと


舐めまわされてることが次第に増えた。




これはなんだろうか、



お口、口の中、



中にベロが、むにゅむにゅって、



何かを探してるようなそんな感じで、




でも、それは何も怖くない、



丁寧に丁寧に、


口の中を触られてる気がする



ま、いいか、



お腹、いっぱいになると、気にするよりも眠くなる。



ぐっすりと寝てた。




















いつの間にか、




傍にいてくれた生き物がみんな、起きたらいない日があった。



びっくりして初めて泣き叫んだ。



また置いて行かないで。


と、


思ってしまったから。







いつもお乳をくれる生き物とは違う大きな生き物が、



スッと来てくれた。






フワフワの毛並みに体が触れた、



それだけで、


泣き止んだ、




泣いてしまってごめんなさい、



そう思いながら泣いて疲れてて寝てしまった。







おやすみなさい、



誰かわかりませんが、



ありがとう、



暖かくて、嬉しいです、、























少しして、



私は首を持ち上げられて、



明るい世界に連れ出された。




うあわああ、なんだ、めが、目がー、




と思ってびっくりしたけど、



泣いちゃだめだ、って泣くのを我慢した。





ふっ、ふっ



と息遣いが聞こえてきてた、



私は泣かなかったことを褒められた気がした。




今、この傍にいるのは、



こないだスッと来てくれた、あの大きな生き物だ、




なんだろうか、



いつもお乳をくれる生き物とは違う気がする。



どこか、行動に、厳しさがある、



それに応えようと私は自然にしてしまう、、




















この日以降、



生き物たちは私をなんども、暗い世界から明るい場所に何度も連れだしてくれた。



どういうつもりなんだろうか、



殺すのかな、


食べるのかな?



と、


毎回、思ってしまうのはダメなんだろうか、



でも、



毎回、お腹を空かしてそうなのに、



いつもみんな、私にも、栄養くれる。




私は、みんなと同じように、口で口に入れるものを挟んでみた、



でも、何もできない。



それを横から見ながら、大きな生き物のお腹に吸い付く。



いいところを取らないと、と、いつのまにか、競争してた。



私の横で、同じような


フサフサの兄弟は、


何体もいて、



みんなが、気が付いた時、一緒に飲んでる。



誰かのお腹に吸い付きながら。




その子たちはもう動けるのか、私をペロペロしてきてた。


たくさんペロペロされる。



だから私もペロペロしかえした。





不思議だ、



なんだか楽しい。



でも、


私だけが妙に多く、舐められてる、同時に何体も、、



いいのかな?



私は特別なのかな?



なんかちょっと、



照れくさい。



















手足が次第に動くようになってきた、



私はみんなと同じように、動きたいのに、、



でも、まだ動けない、



動けない、動けないってしてると、



首を掴んで、運んでくれる。



、、嬉しかった。




毎回、違う生き物が、、最近は、動かしてくれるようになった。



体は一番大きい二つの生物より少し小さいのかも、でも、


みんな私を運ぶ時、丁寧だ



凄い、



凄く、みんな優しい。



、、



でも、こんなのされてるの私だけ、



いいのかな、



どうにか、早く自分で動けるようになりたいな、




みんなは私と違うのかな、



うーん。






このころ、


私も私なりに何かがしたくて、


あれこれ、暗い中で臭いを嗅いだりしては


動く部分を懸命に動かしてた。



外に出してもらったときは、目を広げて懸命に、物を見ようと、



、、なにかしようと思ってた。




誰かに、よく、顔の辺りを舐められた時は、


もっと、やり返してた。



私も、みんなと同じようにみんなをぺろぺろとよく舐めた。




不思議だ。


すごく嬉しい、



なんだろう、、気持ちが伝わってきてる気がする




ぐっすりお腹いっぱいでよく寝れた。




暖かい、、

























あれ?



みんなは口の中に何かあるぞ。




不思議だ、ペロペロしてると、



口の中に何かある気がする。



私にはない。



変だな、



これペロペロしにくくないのかな、



そう思っても、わからないから


とりあえず、ペロペロといつも通り、




次第にこれが挨拶であり、


優しさであり、


相手を思いやる気持ちを、


相手に伝えるってことだと思った、




あぁ、



お母さん、


お腹の中の私を、


触ってきたとき、


ほんの少し、


こういう時あったかもな、





なんでもいいから、


役に立つものを


ってあれこれ思い出しながら、


なにか、


こう、


寝る、出す、食べる、


色んなことをお母さんの中で、お母さんと体を一緒にして、


学んだ気がする。



思い出さなきゃ、


でも、


すごく違う気がする。



お母さんとお父さんは、


寝る前はこうやってペロペロしてたけど、


いつもこんなにしてたのかな、





うーんうーん。







記憶は、


曖昧にどんどん薄れてく、


、、



















私はすぐに大きくなった。



少しずつだけど、少しずつあっという間に、



でも、



私の皮膚はみんなと違う、



その保ち方に、



私と一緒にいる生き物は、みんな苦労してるようだった。



なめる、毛で拭く、



皆は毛がある。



私にはない。



みんなはもう動ける。



私は動けない。








いつもより、長く、



明るい場所で、ペロペロと舐めてもらった後、



私は、元気でなくなった、



体が熱く、


妙にくらくらして、考えることができない、




あ、



不思議だ、


変な気分、



ずっと、、


ボーっとする、



はぁ、はぁ、、



息も苦しい、



次第に怖くなってくる、



お乳、、



お乳飲みたい。





一番お乳の出がいい場所が、


なぜか私の口の目の前にあった、




動けない体を、


少しだけズラして、吸い付く、




飲む、



飲む。





いつのまにか、



みんなが、私の周りにいた、




はぁはぁ、、


頭が痛い、


どうしちゃったんだろう、


お母さんいつもこういう感じだったように思う、



私はお腹の中にいて、


痛くなかったけど、



おかあさんは時々こうやって、


ツラそうにしてた、




私も、


がんばろう、






暖かい。



いつもより、みんな、くっついてくれる。




みんないてくれる、




嬉しいな、


暖かいな、


















数日、動けなかった、



一緒にいるみんなが、常に私を包むように、、


何体も体をくっつけてくれてた。




私は、よく寝れた、



寒くなく、


怖くなく、



落ち着いたまま、、














元気になった。




このころ、ようやく目が前よりもちゃんと見えてきて、


モノが掴めるようになってきた、次第に、




大きな生き物の足や手を掴んでは


持ってみようとしたり、



私なりに動く自分の体を使って何かしようと思ってた。




ペロペロしてくる一緒にお乳飲んでた子たちは、



口の中に固いものが生え揃ってる。



あ、


これは、、



そうか、


お母さんも、ものを口の中に入れては押しつぶしてお腹の中に押し込んでた気がする、



こういうモノがあるんだ、


いいな、



私にもほしい。




ペロペロとその硬いものを私も舐めてた、



でも、私にはまだ出てこない。



いつ


私もこれが口の中にできるんだろうか。





そう思ってお乳を飲んでた、














痛い!




少しずつ、足を動かしたり体を横に動かしてるうちに



痛いという感覚が、


増えてきた、



お尻が、かゆい、


どこか、痛い、




でも、



泣いちゃだめだ、



皆泣いてないんだから、





不思議だった。



私が泣かなくても、



私が痛いって思ったところを、



誰かがペロペロしにきてくれる、




それがあるから、


痛くても頑張れたんだろう、


我慢しようって思った。



痛いのは仕方がない、


痒いのも仕方がない、



でも、



お乳飲ませてもらえるんだから、



みんな近くに来て、ペロペロしてくれるんだから












次第に、



目の機能がよくなってきた、



手足にも力が入るようになってきた、




私は、より、



意欲的に我慢しようと思うようになった。





痛いこと、


痒いこと、


でも、


そのおかげで、みんな、


みんながペロペロってしてくれる、



そうなんだから、



って。























明るいところで見るみんなの顔は色々だった、



嬉しそうな顔、


怖そうな顔、


優しそうな顔、



匂いをクンクンって嗅いでくる時、


みんな顔を近くにしてくれる、



私もペロってわざと舌を動かした、




舌を出すとちゃんとペロってしてきてくれる。





そのうちわかってきた。



みんなこうやってみんなの健康を気にしてるんだ、


みんなでこうやって生きてるんだ、


みんな、


みんなのこと気にしてるんだ。



って。






それが嬉しかった。



皆の顔付きもよく見れば、見てくる向きや


目のほんのちょっとの開き方、


鼻の動かし方、



近くで見るとだいぶ違う、




一番丁寧に臭いを嗅いでくるのは


女の一番丁寧に私を運んでる人だ、




きっと家族思いなんだろう。


みんなをいつもクンクンってしてる気がする。






お乳をだす人は、


たぶん一番みんなを気にかけてる人。



だから、私を特別、特別気にしてたりはしない。


みんな、


皆と一緒。



だから、


私以外のお乳を飲んでた子と私は仲良くなれる。



なんだろう、



私は私だけを見てほしいとは思わないし、


そんなのは嫌だけど、



どこか、


寂しい気もする。







このころから、



お乳をくれる生き物を、



私は、なんとなく、



お母さん、って思うようになった。




同時に私を、


一番気にかけて、


ペロペロと長く丁寧に舐めてくれる女の人を、



おねーちゃん、と。







私には、



いつのまにか、



たくさんの家族がいたのだ、




ああ




なんだろう。





泣いちゃダメなんだけど、




そう思ったら泣いてしまいそうだ、





誤解されてしまうかな、


何も、求めてないのに、困らせてしまうかな、




でも、泣いてしまいそう。







ペロッと、



私がジッとしてると、


横で、いっつも一緒にお乳飲んでる子が舐めてくる。



なんだよ、



もう、



って、



少し照れくさかった。


















ああ、


じゃああれはお父さんだ、




お父さんは、



私のお乳を飲むのを気にしてる人。




大きな子は、お乳を飲まず、


お父さんのお中に入れた食事を、吐いて、


食べさせてるようにこないだ思った。





みんな、


大きくなった、




私も。








いつの間にか、



私はすごく大きくなった、




運ぶのも、




暗い穴から出るのも、




おねーさんはいつも大変そう。




私のおしっこと、うんちを、



いつも大変そうに気にしてる。




いいのかな、



私はこんなことで、嫌われてしまわないか、


どうしても気になってた。



クンクンと、






お母さんはいつの間にか、


他の子の面倒も熱心に見てる、


そのため、意外にも私は手のかからない子だった、


だから、おねーさんがよくみるように、



みんな、


みんなのために、何かして過ごしてる、







でも、



私は、もう、気が付いていた、


私、全然違うよなって、



だって、


お腹の中にいたとき、


私のお母さんは、


皆とまるで違うから、



横なってる時もあれば、



立ち上がってた、



でも、


皆は立ったりしない、


二本の足で


立つことはない、



言葉も喋ってない、




くぅーん、バう、ぅうおおーん、



とか、



今まで、お腹の中で一度も聞いたことのない音ばかりだす、





でも、




でもいいんだ、



暖かいし、


ペロペロしてくれるし、



それが一番うれしい。




私の体、



全然違うから、



迷惑かけないように、



みんな、


みんなで解決方法を探すんだ、



これから、









ある日。





私がお乳をまだ飲みたそうにすると、




お父さんがそれを少し嫌がるような声を出した、




それで、びっくりして、


私以外の子は、もう、



お乳を飲もうとするのを控えるように変わってしまった。




でも、


私にはなかなか歯が出てこない、


口の中に、固いものが出てこない、



お父さんは、いつもこのころ、


私の口の中にベロを入れては、


促すように触ってた。




お肉?というものだろうか、



すごく臭いの強いアレ、


あれを私、すぐ食べれるのかな?


口の中に入れれるのかな、




お父さんも


お母さんも、


皆、悩んでた。











このころ、




お父さんはよく見回りに出かけるようになった。




私がその理由に気が付いたの少ししてから、



私を明るい時間に外に出してくれた日は、


とても長く見回りする。




お父さんが帰りが遅い時間、いつもより長いなって思う時間、



次第に自分が関係してるって、


わかってきた。





いいのかな、



やっぱり、


私が、




ここにいるとダメなのかな、





そう考えるとき、



決まってお母さんが私のそばに来てくれる、



不思議だ、



考えてることが、わかってしまうんだろう。



お母さんは、そんな時だけ、私の体をぺろぺろと、



他の子が羨ましくておねだりするまで、ずっと、




舐めてくれる。






うふふ、



もう、




悲しんでないよ、



ありがとう、



ありがとう、お母さん。























他の子はお乳を吸う時もあるけど、



頑張って少しずつお肉を口に入れ始めてた。




でも、私にはまだ


難しい。



お肉の汁を、


こないだ口に入れてもらったけど、



気持ち悪い。



頭がボーっとしてしまった



お腹が変で、泣きそうになる、




慌ててお母さん、それを見てやめた、



私は、


なかなかお肉ってものが食べれない。




お父さんも、



すごく悩んでた。









いつも、



お肉があるとは限らない。



お肉は、お兄さんと、お父さんが持ってくる。



勿論おねーさんも取りに行くことあるけど、


でも、おねーさんやおかーさんは私や穴の中の兄弟の傍にいてくれる。




お兄さんはとてもすごいかもしれない。




血の臭いが、



すごくお兄さんはいつも付いてる。




お父さんもすごいけど、



お兄さんが取ってきたんだろうな、って、



匂いですごくわかる時があった。





一番、肉の血を



体中に浴びて、



たぶん、取ってきたんだ



、、





うーん。


食べれなくてごめんなさい、





























しばらくして、





私以外の子は、




少しずつだけどお肉を食べるようになった。




私も、




って思ったけど、


私はまだ自分で動くことすらできない、



手を動かして暗い中、みんなを探すぐらい。







私を見てて、お父さんは、お母さんのところに私を連れて行った。




え?



おっぱいの匂い。



いいの?




みんなより、だいぶ、、


食べるものが変わってしまうけど、、



いいのかな?





お父さんの判断で、それから私だけ、


お肉を無理に食べず、


お母さんのお乳で大きくなることになった。




いいのかな、



でも、



私の口の中、


全然固いもの出てこない、



いつできるんだろう。



できないままなのかな、、




手は動く、足も少しずつ動くようになった



ちょっと、



ちょっとずつ。遠くのものが掴める。







移動するときは


おねーさんが私を掴んで持ってくれるけど、



でも、


それもそのうち自分で、って思ってる、



、、


でも、



まだまだ動けない、



あぁー、



と声を出せば、



おねーさんは来て掴んでくれる。




いいのかな?



でも、それをありがたく思って。



今は甘えることにしよう。




とくに移動したいときはそんなにないんだけど、、





皆はもう、



四本の足で動けるようになってたから



どうしても置いて行かれるのがイヤで、


声が出てしまう





みんな、


ずるいな。



羨ましい。


私も動きたいのに、









明るいところで、みんなは


飛び跳ねたり口を当てあったりしてる。



一緒にいると、


私のところにも、のしかかってくる。



うわー、って、



でも、



私からは動けない、





動けないの?



遊ぼうよ、っていっつも言ってくる。



だ、から、


できないのーーー



って。



わかってーー、



って



私は、思って泣きそうになる。



ぅーん、




みんなはそんな私を見てペロペロしてくれる。



いつのまにか、



私の周りでみんな遊んでる。



遠くに行ったりしない。



いいのかな、



色んな所に、


動けるんだから、行きたいはずなのに、、








皆を見てると、



早く動けるようになりたいなー



って。



いっつも思ってる。




















おねーさんも、おかあさんも、お父さんも、



わたしのお尻と背中を舐めるときがとても大変そう、




鼻先を使ったりして、




ベロを出して舐めてくれるけど、



時々凄く痒くなる。




ツラくて寝れないときもできてきた。





お尻と背中は、、、



少し変な感触がある。



痛いのはコレかな、



ヒリヒリする、、







そのせいだろうか、


おねーさんと、おかーさんは、



いつも、しきりに穴の中の地面を、綺麗にって、


してくれてる気がした。




私、



なかなかみんなと同じように動けなくて、



ごめんなさい、







でも、



みんながそういうの、嫌そうじゃないのが嬉しい、



私のためにしてくれてるんだー



って少し思ってしまって、




喜んじゃダメなのかな、



そう思うと、ツラいことも我慢できる。





















外に出て





うぉぉぉおー、、ん。




と、


明るいところで、



皆は声を出す練習。




声を、大きく出すのだ、



思いっきり、うおうおーって、






私も少し、やってみる。




ぃういぃぃいぃぃ、



ひぃいぃい





えええ、


私の声は、


ひぐいぃい


としか、全然、出ない。



お父さんもおねーさんも、みんな、


びっくりして私を見てきてた。



うーん、これはホント、難しいよ、



どうやってやってるの?



みんな、







むずかしいな、






皆は、首を上に上げて、



うぉおぉぉー、って言ってるけど、



私はそれを寝転がって見てるだけ、



うーん、全然だめだな、



足で立てないし、



ひぃいぃぃ、



としか声が出ない、



ぎぎぎぃー、



って無理に出ちゃいそうになる。





ふいに、またペロペロと、


された。




時間をかけて、根気よく、


ゆっくりでいいのよ、、



と。


お母さんに、そう、言われてた。




すごく、優しいペロペロで、



キチンと、


見てもらってる気がした。



皆、お母さんが大好きで、



お母さんはみんなを見てるのに、



ちゃんと私のことも気にかけてくれる。





おねーさんとは、どこか、ペロペロが違う。




不思議だなーって、



明るい日差しの下、



お母さんの顔をすごく近くでじっと見てた、



優しいまなざし、、、






















あ、あぁ、、



目が見えるように、



どんどん、明るいところが好きになってきた。






不思議だな、



暗い所より、



あれこれしたくなる。







私は最近ではペロペロと顔をされた時、



手を伸ばして、無意識で触ろうとしてしまう、



あまり、顔、を触ってはいけないのだろうか、



歯をコツンと、


固いとこを手にぶつけられたり、







私はついつい、手を伸ばしてしまう、癖がある、



体を支えるはずの手なのに、



私の手は、不思議と前に伸びてしまう。





どうしてなんだろうか、








外に出てた時、





ビュウって、私たちを狙って、




大きな生き物が空から迫ってきてた。





ゥゥオオウウゥウン、と、



誰かが傍ですごく吠えた、



うぉおぅうぅ



傍にいた皆が声を出す。



わ、わたしも、



と声を出そうとしたけど、声が出ない、



緊張感がみんなをつつんでた、


でも、



なかなか、


私にはその危険な感じが伝わってこない、




みんな、グゥゥウユゥウゥ、


って怖そうな声凄く出してた、




敵が、来たんだ、



怖い。









すぐに、私を誰か、



二番目のおねーさんだろうか、




サッと持って穴の中に戻ってくれた、





あぁ、




よくわからなかった。



でも、



みんな、一瞬でピクって反応してた。




私と子供たちは、



慌てて穴の中に戻ったけど、




みんなわかってない感じで、




同じように遊び始めた。













外に出れる時間は、



そのせいもあって、その日以降少し減ってしまった。






うーん、



明るいところで、



もっと、


色んなこと見て


学びたいのにー


って。









でもなんでだろう、



声の練習、ダメだったのかな、



私、変な声出しちゃったし、



うーん。




















もうみんな、ほとんど、お母さんのお乳を飲まなくなった、



一番小さい、子だけ、


私と一緒にまだ飲んでる。




でも、その子も、無理をすれば、



お肉の汁を飲むこともできる。



私以外は、


お乳がなくても、


栄養を取ることができるようになっていた。





うーん、



どうしよう。







そういえば、


最近なんだか暖かい、



前は、ぐっすり寝ても寒いときあって、



くっついていないと、死んじゃうよー、、


ってほど、寒かったはずなのに、



最近はそうじゃない、



穴の外が明るい時は


前ほど寝てても、くっついていない、



みんな同じなのかな、









ふいに、こういう時、


ちょっとだけ、


お腹の中で育ててくれたおかあさんをふいに思い出す、



あの時、おかあさんも、



私が、寒い、って思う時、


ちょっと、寒い、って思ってた気がする。




くっつくものがないのに、


あの時、おかあさんはどう、温めてたのかな、



わからない。






そう考えて、私は寝て、また、お乳を飲んでた、



でも、




いつまで、お乳飲ませてくれるんだろう、



ちょっとお乳の出が、



悪くなってきたのは、おかあさん意地悪なのかな、




















お父さんはイイって言ったけど、



私もお肉にチャレンジだ、




みんなが食べてる時、


お父さんお兄さんが食べたものを皆の前で吐いてる時、



私は、あーあーと声を出した。





それに気が付いたおにーさんが、



近くに来て、



私の口の中に、ペロペロっと汁を入れた、





ぅ、、、


うげぇ、


う、ぅぅう、




ぅぅぅ、






ぅぅ、、、









きびしい。



声をあげて泣き出してしまいそうになる。



すごく、


不安な気持ちに一気になった。





でも、


耐えなきゃ、



耐えなきゃ、



みんな見て、見ててくれるんだから、






こうやって、乗り越えなきゃいけないものが、



私は、たぶん、


みんなよりたくさんあるんだと思う、







でも、



この、



気持ち悪さは、




ダメだ、











すぐにお腹が変になって、




ぶりゅぶりゅと、


変な出し方をしてしまった。




たぶん、



とても、変な出し方だった、




出しても、体がおかしいのは全然おさまらなかった、




私の出したものをみんな、口に入れて、



確かめるようにしてた




私は横からそれを見てた、




すぐ、


意識を失った、、、

































気が付けば、




みんな、すごく、くっついてきてくれてる、


うわ、


びっくりした。



ど、どうしたの?


暖かくなってるのに?



と思ったけど、



すぐ、



私が起きたのに気が付いて、




ペロペロってみんな、急に、




う、うわああ、



うわああぁあ



と、おもわず、私ビックリした、




うわ、うわ、


も、もう、、、、



もう、やめてよ、



もう、



って、



兄弟や、おねーちゃんや、おにいさんまで、



みんなして舐めてくるんだもん、



ちょ、、ちょっとまって、



なんで急にそんなに?





と、


思ったけど、




みんな心配してくれたのかな、





びっくりしちゃった。



もう、



起きていきなりあんなに舐められたことなんてないんだから、



まったくー、





って、



気持ち悪くて、死んじゃうー、って思ったけど、



また、口に入れてみようって、思った。




なかなか、、


難しそうだけど、、、





うーん、



どうやって、



これから大きくなろう、



お母さんのお乳、


いつまで飲めるんだろう。



うーん、、、



























私は、お肉の匂いがイヤになった。





泣きそうになる。




どうしよう、



怖くなる




でも、



私はふいに気が付いた。



お乳をくれるおかあさんも、すごく、


不安そうだってことに。





え、


あ、



やっぱり、



みんなお乳やめてるし、


お乳、飲まないほうが良いよね、





、、





どうしようって、思っても、




我慢して、



あれを、飲んで、



あれを飲んで生きてくしかないんだし、




の、


飲まなきゃ、








ァー




と、


言ってみた。






お父さんが、



私の口の中にお肉の汁を垂らす、






ぅ、、



ゥげぇ








その瞬間に、




お父さんはペロペロと、




急にしてくる




え。


あ。



頑張れ、




と、



言ってきてくれた。








でも、



ぶりゅびゅる、



ってすぐに出てしまった、





私は疲れてまた寝た。







なにか、



どうにかできないかな、、




















子供たちは、



最近勝手に外に出て、



勝手に遊んでるように思う、




危なくないのかな、




って思うと、



違うおねーさんが、サッと咥えて穴に持ってくる。





みんな、気にしてるんだ、




でも、




子供だもん、



みんな明るい暖かいところに



遊びに行きたくなるよね、





私もー、




って、



思っても、まだ、




まだ、何もできない、




お腹も、、



いっつもぶりゅぶりゅと、酷い、




最近疲れるのか、また、



前みたいに、寝る時間が増えてきてしまった。




お外で、


みんなの、


顔見たいのにー



って、





でも、



私が一人で穴の中で寝てると、



おにーさんや、おとうさん、お母さん、おねーさん、



みんな、が順番にそばに来てくれる。





あぁ、



ごめんなさい。



ありがとう。



















お腹の中にいた頃、




私のおかあさんという人は、



お父さんという人や、



色んな人に、




ごめんなさい、っていつも言ってた気がする。





あぁ、



私を、



触ってる時も、



そういえば、そういう気持ちだったかも、




あの時は、わからなかった、



何を、不安そうに、


私を触ってきてるのか、



こんな感じなのかな、



って思ってただけだった。




あぁ



そっか、






私にも、ごめんなさい、



って思ってたんだ。















ペロペロされて起きた。




寝転がって、動けない、



お乳を飲んで、



元気になって、



お肉の汁を飲んで、



私は、


フラフラのまま、



みんなと同じ生き方ができるように



そうなろうと、



泣かずに堪えてた。





お父さんは、



待ってくれてた。





見捨てる、、ってこと、思わなかったのかな、




ずっと、



いつでも、



このころ、



お父さんは毎日、私を舐めてくれてた。



私に、



お肉の汁を渡すのも、



お兄さんでなく、



お父さんがしてくれてた。



























お外に出してもらった時、






黒い影が大きく近くを動いてた、





家族みんなで、うぉぉぅぉおおん、



と吠えてた。



わ、わたしも、



って思ったけど、



私には声が出せない、







前よりも、



黒い影は恐ろしく思った、






怖い。




でも、





ひょっとして、



ここじゃないところに移動した方がいいのかも、




でも、



私。




自分で動けない、、、














父は、




私を咥えて、



移動することにした。





もっと、



大きくなった子供が安全なところに、



そして、



食べ物をもっと取りやすいところに、




私たちが大きくなれば、



その分、取るものは増える。





いいのかな、










凄いことだった。





おとうさんが、もって、運び、




おかあさんが持って運び、




おねーさんも持って運び、




皆で、順番に私を浮かべて移動してた、





うわ、



うわ、




と、遠い、



安全な、いつもの、場所から、



もう、凄く離れてしまった、



こ、怖い。





うあわ、



と、泣きそうになる。



こんなところ来たことがない、



もう、戻れないの?



あそこに、あの暗い安全な大きな穴に、























私は途中で眠ってしまった。






気が付いたら暗い穴にいた。





あれ?



いつもより、



空気がちょっと違う。




光が出てる方向も違う、





違う場所に来たんだ、




でも、





いつもと同じ、


誰かが私をグルって温めてくれてる。




うん、




嬉しい。














私はお腹に栄養がきちんと届いていないのか、



最近、前よりも力が指に入らなくなってた。




前は、お乳で育ってた時は、



いたずらっぽく近くのおねーさんやおかあさんの足をギュって



して、ちょっと怒られた時もあったぐらいなのに、





どうしようかな、



でも、




どうしようもないよね、




栄養欲しいけど、



お母さんのお乳は次第にでなくなってきてる。




吸い付いても吸い付いても、



あれれ?



って、




そりゃそうだ、



私以外の子はもう、お肉ちゃんと食べれてるんだもん、



みんなには必要ない、



だから出ない。




でも、、




私は、




どうしたらいいんだろう、、、







寝る時間が増えた。




新しい穴に移動して、




子供たちは様子を見ては、



穴からでて、少し歩いてきたり、




もちろん、体のそんな大きくないお兄さんたちが、



近くを見張ってるのだろうか、



いつも、



ぅぅうおん、



と声がする、





あぁ、



出て行きたい、




出たい、



ゥゥゥ、、、








おねーさんが慌てて近くに来た、



大丈夫?と、



私は、大丈夫だよ、と、お手々を動かして、おねーさんの顔を触った、



おねーさんは指を丁寧に丁寧に舐めてくれた、



私をその指を自分の口に入れてしゃぶってた。



お母さんのお乳飲むみたいに、




ん?


なんか、



味がするぞ、



いつも、お父さんが吐いて出してくれるあの汁じゃない、



でも、何の味だろうか、


とても薄い、



、、











偶然だった、



おねーさんはたぶん、水を近くで飲んでたんだろう、


そのせいで口の中、びしょびしょだった、


それで、



口の中に少しあった肉の破片が、


ちょっとだけ、私に薄まって届いたのだ、










とはいえ、



それがわかるのはもう少したってから、





この日以降、





私に指で口に入れさせるように、



お父さんもおねーさんもおかあさんも、


わざと私の指を舐めてきてた。




でも、



お父さんの吐いた後はどうしても指で取ってもダメで、



おとうさんは悲しそうな感じで、私にすぐ背を向けた。




おねーさんのがいい、理由はみんな初めわからなかった、




指でおねーさんを選んだんじゃない、



吐き出してない、お口の中の、少しのお肉の欠片が、


ちょうどよかったんだ、

























お腹は相変わらず、



びちょびちょの時もあった、



出る、って感じでなく、



漏れてしまう、



お尻から、




みんなと暮らしだしたときと全然違う、





でも、





おねーさんのお口の中を指で触ってからー、



それを舐めるやり方で、



私は少しずつ、栄養を取れるようになった、




おかあさんは、無理に良く食べてたと思う、



おにいさんは、こっちに移動してきたからお肉を取ってきやすいのか、



母に、いつも渡してた、



母は、毎日誰よりも食べてた、



お乳は、まだ、少しずつ、



出てくれていた。


























迷惑って言葉はわからないけど、



私がみんなの重しになってるのはわかってる、



わかってるけど、




みんな、誰も、


嫌がってない、



なんだろうか、




え、嫌だ。



って素振りの一個もない、





それをしなきゃ、



って、



ずっと、してくれるし、



その方法を探してくれる。




私は、つらくても、


泣くことはない。



泣く意味もない、



だって、



こんなにも、常に、助けてくれるんだから、




、、






この穴の中は、少し湿ってて、




さらさらとした地面でなく、




いつも少し



穴の奥に行かないと、



ごつごつした感触の地面ばかり続く、





みんなは動けるから自分で、



自分の過ごしやすいところを変えるんだけど、



私は、まだ、



まだ、



転がれない、



左右に体を振ってるだけだ、






でも、



お母さん、そんな私の動きを見て、



すごく安心してくれてる、



いい感じね、



うん、



この調子よ、



頑張って、




と、





ペロペロしてくれる、




あはは、


くすぐったい、





お母さんは私のお顔をすごくべろべろにする、



もう、




すぐに、



大きくなって動けるようになるんだから、





待ってて、




って、




思ってはぐっすり寝てた。






お腹、


頑張れ、



私のお腹、、




















そして、ついに、




水をたくさん含んだお肉の汁ならー、



多少吐いたものでも、



私のお腹は、びゅるびゅるせずに、



出るまで、きちんと待つことができるようになった、





やったぁ、




みんな、わたしのでたものを食べるしなめるし、



どう?



どうかな?





足を広げて、



あまりに嬉しくてじたばたしちゃう、



えへへ、








でも、その配分がたぶん難しいらしい、



おねーさんとおかーさんは



私に渡す前に自分たちで、口の中を舐め合ったりして、



ちょうどいい、水の量を気にしてたりした、







私はそれをただ、待ってた。




穴の中にいるときも、



穴の外近くで、食べるときも、









ふいに動かした手が、




固い何かに当たって傷ができたりもした、





痛い、



痒い、


気持ち悪い、





そういうことばかりだった、





みんなフカフカの毛がある。




あー、



いいなー、




って、




思っては寝た。





食べれるようになって、




また私はよく寝るようになってしまった、





お母さんは、よく、


このころ近くでいつも寝てくれてた、






ありがとう。




















お肉の汁を口に入れるようになってから



少しして、




私は少し変わってきた。




物を掴もうとする指にまた力が入るようになって、



体も大きく揺すり、



横向きになったり、



下向きになったり、





初めて下向きになった時は、



世界が壁のように感じて、


思わず泣いてしまった、




ウギャァ


と、



さすがに、我慢できなかった、


というか驚いた、



こんなことが起こるのかって、



目の前にすべてが挟み込まれたような、


不思議な感じだった、




でも、慌てておねーさんが起こしてくれた、




なんだろう、



あれはたぶん、本能的に、



これは危険、


危険なとき、周りに伝えるべき、って、


私なりに思ったんだと思う、



おねーさんびっくりしてたけど、



私の体の違いに、なるほど、って思ってた感じだった、




不必要には泣かない、


でも、


伝える意味で泣くことは必要



って私なりに思った。








あー、


、、



でも、




お肉のせいなのかな、



動きたくなる気持ちが強くなるし、




変だ、




声をあげたくなる、



そして、




頭がどうもしっかり働かない、



お乳の栄養と違うのかな、



頭をもっと使いたい、


だから、


お乳が欲しい、





でも、


それをどう伝えればいいのかわからなかった、



泣いては、


みんなを困らせるだけ、



お乳を欲しがるわがままな子に思われたくはない、




あぁ、



もっと、みんなと一緒に生きてくために、


お乳が頭に、


今、



ホントは、もっと欲しい、、




でも、




言えなかった。























うぉぉぉおんん、、






ぅぉぉぉん、、ぅおううんおうん、







お肉の汁を体に入れると、



気持ち的に高ぶってくる。




あぁ、





なんだろう、



こうやって、うぉぉんん、って言う声を出したくなるんだ、




単純に真似るだけではなく、



なんだろう、


うまく言えないけど、



気持ちを外に出すだけなんだ、



声ってのは、音っていうのは、




そう思って家族の誰かだろうか、



遠くで言ってる声が聞こえた。





あぁ、あれは二番目のお兄さんだ、、












家族は私たち子供がみんな大きくなってしまって、


群れの数がとても増えた。




お父さんお母さん、


おねーさん、二番目のおねーさん、


一番のおにーさん、二番目のおにーさん、




おねーさんとおにーさんは、


それ以外にも、


三番目のおねーさん、三番目のおにーさん、


四番目の、五番目のおにーさんもいる。





最近は、


今までと、私の世話役も交代で、


色んなおねーさんおにーさんが私の傍にいてくれる、




どうやって扱っていいか、


ちょっとこわごわ?


慣れてないのかな、って思う五番目のおにーさんとか、



このおにーさんは、明るいとこで一緒にいてわかったけど、


足にけがをしてる。



もしかしたら、


一緒に暮らしてる長さは、他のおにーさんより長いのかも



でも、


このお兄さんは、すっごい濃い血の臭いが、そんなしない、



怪我してるからかな、




私も足を舐めてあげたい、



って思って足を触ってみようとしたら、




ゥゥウゥウ、



って言われてしまった、




えええええ、



なんで?なんで怒るの??



もう、


このおにーさん、


嫌いだ、


ぷん、








その後、丁寧に穴に運んでもらった、



大丈夫かな、



足痛くないかな、




ペロペロってしてきてくれた、



ありがとう、


ってペロペロし返した、



嫌いなんて思ってごめんなさい、


嘘、嘘だよ、



って、



私も伝えておいた、




















家族みんなと仲が良かった。




あー、



食べるもの口に入れるもの、


そういうのが不安だったけど、



新しい場所に移動して違う穴に来て、



よかった。




少しずつ食べれるようになってきた。



あとは、



動けるように早くなりたい、



なりたいー、



って。





ここは前の穴と違って、




外でウォゥゥンって誰かの声がよく響いてる。





何番目のおにーさんか、



何番目のおねーさんか、




穴の中で聞いて皆考えてる、




でもまだはっきりわからない、




耳も目も





すごく良くなった、




耳はそれは、


お腹の中でも多少聞こえてきてたけど、




でも、



今はもっと、遠くからの音も聞こえるようになった、




うん。









でも、もっと凄いのは目かな、




ぼんやりとしか、見えない世界が、




空気と肌で掴もうって思ったあれこれが、




なんだろう、




え、


あ、


こういうものなんだ、



って、





みんなの体のフワフワは、



こういうものなんだ、って、



見てすぐわかる、



自分にはないな、



それもわかる。




あれがあれば、



寒くないのかな、



フワフワしてる、掴もうとすると、



スルッてなる、




すごいー、




って思ったら、




すっごい私笑ってた、



ヒャヒャッヒャ、って





おねーさんが近くに来て、



お顔ペロペロ。



どうしたの?


楽しいことあったのー??



って聞いてきてくれてる。






お腹の中でまだ、小さかったころ、




声で、私のお母さんやお父さんはお互いを繋げてた。



でも、




私はもう、ペロペロの方がいいな、



こういう、


わかりやすいのが、好き。





ありがとう、



おねーさん、、、




























うぉぉぉ、うぉー



って言いたくなって、


動いてたら、あれれれれー、



うわー、また下向きになった、




う、おぅ、


お、驚かないぞ、



お、驚かないぞ、



ふーふー、


ふー、ふー、





あ、




おねーさんがクルッと私をひっくり返してくれた、




ふぅ。





でも、



すこしずつ動けるようになった、




手足が動かすと、当たる感じも増えた、




痒いことあると、



どうしてももっと動いてしまう。





痒い時、



誰かのフカフカが近くにあると、とても気持ちいい、



誰か、フカフカを当てててくれるのかな、



























頭が下を向く。




世界が急に目の前に来る。




うぉ、



ひるみそうになる、



でも、



少し、


最近少し、



頭をこう、、



うまく言えないけど、



壁と距離を、



少し息を、



ふあぁ






手を、


この、


ここを、



こっちに、






スッと、



おねーさんが鼻先で押してくれてる、




う、うん!



あってる、


そう、



こ、これで、





ぐいっと、






はじめて、



体を下にして、




目の前の地面という世界から世界を見れた気がした。





最近、



穴の手前の光が差すあたりで、こういう動きをよくしてた、




おねーさんは



光の方に首を出して、



他の子を見てる。




私も出してもらう時もあるけど、





そんなに頻度は多くない、




大きくなりすぎたのかもしれない、




あそこに、外に、出るためには、




もう、自分でたぶん、


もっと動けるようになる必要があるんだ、






そう思ってた。






でも、お父さんとおにーさんは



体が強いのか、



ぐわって持ち上げてくれる、





そんな時は外に出れた、




少しずつ少しずつ





















執念で、



顔をあげようと、



挑戦してた。





なんでだろう、



なんで私だけ?



私だけこんなに体がうまく動かないの?




兄弟はもう、みんな、はしゃぐように穴から出て、



遊んでるのに、




悔しい。



お腹だって、



皆痛くなってない、



臭いだって



酷くなってない、




私は、



もっと耐えなきゃいけないの?



なんで?






私の目に涙がたまり、



ついつい、



ぅぅ、となってしまいそうなとき、




おかーさんとおねーさんは



常にペロペロと、



してきてくれる、




少しずつでいいのよ、



皆と違っていいの、



少しずつ、


大きくなって行こうね、





と、



毎日言ってもらってた。






















すぐ、



私は、穴の中でズリズリと動けるようになった、



ほんの少しだけ、




でも、それでも、



穴の中で動けることは私にとって世界が広がった、




今まで横で寝たことのないおにーさんの横で寝たり、



私の兄弟も、


私がズリズリ動けることを知って、



穴の中でもよく遊んでくれた、



上に乗って



顔を舐めてきたり。











そんな時、




うぉぉぉん、うぉぉおん、



といつもと違う声が少し離れた場所から聞こえたりした、



びっくりして、みんなは外に出た、



私も、



聞こえたけど、私は穴の外には出れない、



この穴は、私の顔よりも高いところに光があるのだ、



あそこまでは、進めない。





しばらくして、



兄弟は戻ってきて、



おねーさんが周りを警戒してるようだった、




出て行った、お母さんやおにーさんたちは


まだ戻ってこない、




何があったんだろう。




怖いな、





いつも元気な兄弟たちが、



元気をなくして私の体にくっついてきてた。




私は手でフカフカの体を触った、



兄弟は私を舐めてくれてた。

























それ以来、時々、





明るい時、暗い時、



時間を気にせず、



ぅぉおぉおおおおぉおぅん、ぉぅううんん



と凄い声が、



同じ場所から聞こえることがあった、




そのたびに、



家族の誰かは勇んで走って行った。





幼い兄弟も行きたそうだったが、



穴に残るおねーさんがそれをさせなかった。






ここも、



危険はいっぱいなんだ。








私はどんどん大きくなっていた。



手足が、特に。




今まで届かなかった場所に、手が当たる、



それは嬉しかったが、




同時に、



痛い、ことが少し増えてきた、




ズリズリも、


穴の奥の少しの場所でしかできなかった。




手も足も、



お腹も、痛かった。



















動けるようになってきたのに、





痛いことが増えたことがすごく嫌だった。




怒れてきてしまう。


泣きそうになる。




なんで?




こんなに痛いの?





ペロペロとしてくれるけど、



余計痛い時もあった、





嬉しいはずのペロペロも、



ツラい時ができてしまった。






痛い時は動けない、




穴の中から光が来る場所を見ることも増えていた。







お父さんは、


えいって私の体を挟み、



ぐゎって、持ち上げてくれる、




それはびっくりするぐらい、



勢いがよく、体が宙に浮く、





私は嬉しかった、



なぜかわからないけど、




そうやって運んでもらうことが、



とても好きだった、





















ゥおぉオオォォォん、



ウぉぉウゥゥゥゥオゥんんん






す、すごい、


何があったのか、



物凄い声が響いた。



足の悪いおにーさん以外、みんな、



おねーさんおにーさん、


おかあさん、お父さんも、


たぶんそこに向かったんだと思う、





ゥゥゥウオオゥゥ、



ぅぅぅううおぅんオウンオウン



ゥおぅうん






止まない、


私と兄弟は穴の中にいた、




ギャァウウウん




、うぁああ、


今の声は誰か、誰の声?


何かあった、




ギャウギャウ、



ぎゃぁおううん、




お、恐ろしい、



こ、こわい、





ギュォゥウウン、




グルル、



ギャァオウウ、






もう、何が起こってるのか、





光の外はどんなことが起きてるのか、





足の悪いおにーさんは、




穴から顔をのぞかせては、



ビクビクしてるように見えた




兄弟は、丸まって、動かない



だれも、


ペロペロとしてない、


こんな時にペロペロは、


しちゃダメなんだろうか、



今こそ、ペロペロだ、



だーだー、


と兄弟を掴む、



兄弟は、


ん?


あ、ああ



とペロペロしてくれた、




大丈夫だよ、




ペロペロも兄弟は元気なかった、














静かになった、







どれくらいだろう、



凄い長い間、




恐ろしい声が響いてた、






うぉオォォん、、ウゥぅぉォォォオォォオぉぉん



と、



さっき、お父さんの声やみんなの声がしてた、




だからみんなは大丈夫なんだと思う、





でも、





私は、この穴から外に出たいと思ってるけど、



穴の外で、


皆みたいに、



生きていけるのかな、




怖い。










穴の中でさえ、もがくように生きてる。



穴の外に出たら、



私は生きて行けるのだろうか、


























白い毛に、とても血の臭いを付けて、



おにーさんたちは帰ってきた。




ああ、


一番のおにーさんから臭う、その臭いは、



私たちの匂いによく似てる、


でも嗅いだことのない匂い、




私たちではないけど、私たちの似てる生き物を仕留めたんだろうか、、







ん?






変だな、





みんなの数が


あってない。








誰か、


帰ってきてない。




穴の中に


少しだけ


違和感が、、










戻ってきたみんなは、お互いを舐め合って、


それで、


疲れたのか、



少し、食べ物を口に入れて、


それで、


穴の中で寝てしまった。







でも、



戻ってきてくれたよかった、



ホッとした。























それから数日、




三番目のおにーさんがいないことに気が付くまで時間かかった、




やけに、


おにーさん、おねーさん、おかあさん、



勿論、お父さんも、



悲しそうだな、と、


私をぺろぺろする元気も少し少ないな、と。




そう思ってて、




そういえば、



三番目の、


私はそんなに舐めてもらったことのない、


おにーさんがもう、ずっといない、




どこに行ってしまったんだろうか、




いつまで、


いたんだろうか、






わかんないな、



でも、みんな少し、寂しそうに見える。







そんな時、





ゥゥウォオゥゥンン、




ウォゥゥゥゥウンン




と、




闇の世界に、誰かの声がする、、





悲しそうだ、




誰かを呼んでる。




応える声はない、





ゥおぉぅんん



とまた別の誰かも、




誰かを呼んでいた、、、






















お肉の影響が、



次第に色濃くなってきた。



私も、


泣くことは我慢できても、



少しずつ、怒りっぽくなってきた。




兄弟と遊んでる時とか、




絶対私の方が不利だ



動けないし、



だから、ガンガン上に乗られてしまうし、


そのまま踏まれる。



痛いし




オゥゥゥウゥ、



て怒ってもうまく伝わらない、




ブーブー



ってなる。




ウギィィィイュ




不思議な声を出したりする。





私たちは



いつも喧嘩する。




遊んでるとすぐ、誰かがごつんとやったり



体が大きくぶつかる、



それで、ウゥゥゥゥ、と


言い合う、





私は動けないし、ゆっくりとかしか、


皆についていけない、



みんなは私を無視して、ウガウガと、転んで喧嘩してる、




私には


それが羨ましかった、




ズリズリと、


懸命に進む、



手を踏まれて、痛い、って思う。






なんで、



こんなに、たくましさの欠片もない、



ふにゃふにゃした手なんだろう、





口の中にある固いものも



私はずっとない、





おかあさんも、おねーさんも、



みんな口の中のを私に渡してくれる、




皆はもう、




渡してもらわなくても、かじりついてた、





生きることは



ツラいことが多いんだと思う、





ひょいと、持ち上げられて、



穴の中に戻る、






ウゥゥゥゥ



何も、



何もできず、


穴の中に戻されるの、



ツラい、




泣きそうになってしまった、






うぎゃぁーと、


何を大声で言ったところでわかってもらえないかもしれない、



でも、



それだけは、


我慢した。




ただ、



ただ、



辛抱強く、



皆、そうして、


私のことわかってくれてるし、



皆も、



私のことで、



たーくさん我慢してるんだから、












私が、ひょいって、持ち上がると、



私は、うわーって、笑う、




お父さんはそれに気が付いてくれた、




だから時々、



おねーさんでなく、お父さんが、



ふわっと、私を浮かべて穴の外に出してくれた、





ペロペロと、





固いものが


痛くないように、



フワッと、挟まれて、




フワッと浮く、




ひょいって、



明るい場所に連れて行かれる、





なんだろうなー、




この、


ひょいってのと、



フワフワのおやすみと、



暖かいペロペロが、




お食事以外の一番好きなことだった。





みんなより、一個、



好きなことがある、




それは私にとって


とても嬉しいことだった。





















お兄さんの誰かがいなくなっても、



声は


ゥオォォォオん、と、



暗い中響いてた。




どこに行ってしまったのか、


あまり遊んでもらったりかまってもらったりした覚えはそんなにないのだけど、



でも、



誰かいないのは寂しい、




戻ってこないのか、


どうしたんだろう。









二番目と三番目のおねーさんが、その代わりにと、



肉を取る係になったのかもしれない、



少し、


足に傷がある。





でも、


私の方が傷多いんだ、



ほら、お腹、



動くと、こんなに、ヒリヒリする。








とはいえ、いつからだろうか、


私たちの暮らす暗い奥の深い穴の中、



下がさらさらしてて、


前よりも動きやすくなった。




私用に、


少ししてくれてるのかな、



















少しその後、




暖かい日々の中、




私は大きくなってきた!




なんと、私のこの大きさ、



もう、みんなと同じだぞ、



と、一緒にお母さんのおっぱいを吸ってた兄弟といつも遊ぶ、



最近は私の手が、


にゅってみんなの顔に出るのが、みんな嫌がる、




私はうまく顔をみんなみたいに当てれない、



だから、少し、みんなも私にゴンってしにくそう、



もっと遊んでほしい、



もっと、みんなとくっついていたい、







でも、




みんな、


私も、



食べる量が増えてきてしまったな。










この頃、



肉の味ばかりが多かったお父さんやお兄さん出してくれる食べ物は、



色んな味が混ざってることが増えた、



甘い、


苦い、


臭い、


ねちゃねちゃするけど、



全部少しずつ、口に入れた。





手に触って、


口に入れる動作を、



兄弟も、お姉さんも、


お母さんもお父さんも、



いつの間にか、興味深そうに見てくる。



わかんない、



こんな食べ方、


いいのかな、


手に付いた、味のする指をおっぱい吸うみたいに吸うと味が出る。




うん、



おいしいーー、


























こうやって私はどんどん大きくなっていった。



這いずり回りながらも懸命にみんなと遊ぶ。



まだ、穴の中からは自分では出れないけど、



でも、



穴の中でも良く動いてた。





お兄さんの誰かがいなくなってしまってから、




取ってくるお肉の量がいつもと少し減ったのかもしれない。



代わりに違う味のする汁が口に入った。



私はお乳が飲みたくて、しばしば、お母さんにくっついたけど、


でも、おっぱいはなかなか出てこない、



代わりにペロペロして違うものを口の中に入れてもらう、




時々は



ジュルジュルの汁がお尻から出てしまったりした、




でも、


お肉が、栄養になってくれてからは、


前ほどはジュルジュルびゅるびゅるではなくなった。






苦い味も多かった、






私は口の中に入れて、



元気になってた。



























熱い日が続くなか、







少しずつ動くようになった私は、一番小さい兄弟と一緒にいつも動いてた。




勿論、走り回ることはできないから、




一緒にいて、



転がってるだけなんだけど、





でも、




楽しかった。





大きくなれたこと、




暖かい兄弟と体をくっつけれること、






寒い日はペロペロしてくれたり、


余計くっついて寝たりした。










三番目のおにーさんがいなくなってから、




お父さんはいつも、前より役目が増えてて、



私たちの傍にいるのは代わりに五番目の足の悪いおにーさんが多かった。






お母さんも、お肉を取りに、いないことも多くあった。







でも、



兄弟と私たちは、



何も嫌だとは思わなかった。





兄弟の一番大きな子は、




もう、肉を取りに行きたいと、



そういうことをし始めるようになっていた。






まだ早いでしょ、




おねーさんから、いつもそう、



言われてるようだった。







私はそれを



少し、羨ましいと思ってた。





自分は、


みんなに役に立つ、ことができるように



って、いや、まだ、それ以前




迷惑をかけたくない、って



そういうことを頑張ってたぐらいだったから。

























暑い間、






怖いことはそんなに多くなかった。





水を飲みに行ったとき、転がってしまって、



ひぅぅぃ



って声を出してしまったり




傷だらけになった手と足が、



痛くて痛くて動けないこともあった





でも、





敵だ、っていう怖さは多くはなかったし、




お父さんは強かった、





おにいさんも強かった。







グルルルルル





お父さん、お兄さんが、唸ってた時を見たことがある。





相手はすぐに草むらに消えていった。





お父さんとおにーさんがいれば、



ここに怖い敵はいないんだ、







ずっとそう、、


思ってた。














私がみんなより、よく食べ、よく動けるようになってきたのは、




お父さんとおにーさんの、そんなすごさがあったんだと思う。




毛もフサフサで、綺麗で、




おにーさんとおとーさんの、




遠くからの、


ウォォォオォオ




っていう、声は、



どこにいても、すごくみんなを安心させていた。





私は一番怖がりだったわけじゃないけど、




眠ってても夜、



少ししたら、声が遠くで聞こえるたびに、



安心してぐっすり、、



おかーさんとおねーさんに掴まるように、


兄弟とぐっすり寝てたから。

























暑くなってきた、と思ってたのは、なんだったんだろう




しばらくして、また少しずつ、




寒くなってきてしまった。








それと同時に、お父さんは前の場所に戻ろうと考えてたのかもしれない。




戻れるのか、見に行ったのか、数日戻ってこない日もあったから。








その後、少しして、




みんなで、前にいた場所に戻ったんだけど、



それは私にとって、すごく大変な事だった




持ち上げることも難しくなった大きな体なのに、




手足はみんなと同じように、頑丈ではない。





だから、ズリズリ、




それしか私には動く方法が無かった








お父さんは、



けっきょく、大きな私をなんとか咥え上げ、




私は毛が無い、




歯が刺さってしまわないようにって、


お父さんはそう持ち上げてくれたけど、




お父さんの首もツラそうだった



私もお父さんの口が体に刺さってて、




すごく痛かった。






少し進んでは、休み、



少し進んでは休み、





おにいさんも手伝ってくれた。








違う穴で寝たりして、




新しいお肉をぜんぜん食べれないまま、



ようやく、元居た穴に、



帰ってこれた気がした。






だいぶもう、寒くなってきてた。























この頃からー




心配なことが少しできていた。




私はおにーさんに持ち上げてもらって戻ってきたから余計にそう感じてたんだろうか、




おにーさんは、私に嫌になったのか、



皆と少し、仲良くなさそうになってしまってた。






おねーさんも、別のおにーさんも、


みんな心配はしてる。




でも、



お父さんと、お母さんは、どこか、


おにーさんのそんな気持ちを理解してるような、、



そんな、堂々とした顔をしてた。







私は、そんな一番のおにいさんに、


ペロペロと寝る時、舐めてみた。






ペロペロ、


嫌じゃないけど、したくなさそうに、、


お兄さんはし返してくれた。




理由はわからなかった。



うーん、


皆のこと、嫌いになっちゃったの?



そんなわけないよね、



じゃあ、



私たちの中の、、、


もしかしたら私のせいで、



ここにいるの、、一緒にいるの、


嫌になっちゃったんじゃないのかな、、








ごめんなさいとも、言えなかった。








そうしてー






寒いあいだー







兄弟と巣穴の中で


また大きく大きく、



育っていった。














寒い




寒い、




何も動けない、



手が痛い



足が痛い。



傷が痛い。





赤い液体が手と足から出てくる。





肉を食べたときの汁が自分の手足から出てて、



それを家族は兄弟、みんな、舐めてくれるんだけど、





寒いのと、痛いので、



死んでしまいそうになってた。









私には、毛が無い




フワフワがない




掴めないだけじゃなく、



暖かくない。





おねーさんも、おにーさんも、兄弟も、、



みんな、、


一番大きくなかった兄弟まで、



いっつも私の体を暖めてくれてた。





寒い日、


手が痛い日、



足も痛い日、






動いたりもできず、



何も、家族のためにできることもなく



ただ、皆に挟まれて、



寒さを堪えてた。























本当につらい時、



ごめんなさいとも思えなかった。




ただ、


生き延びようと、



今まで、どうやって生きてきたのか、



わかるわけもないのに、



ただ、



暖かい白いモフモフした、、



この、、



周りのみんながどうしても好き。





背中に張り付いてくれる、順番に私の後ろに来てくれる兄弟が好き、




正面からかわりばんこに



私を挟み込んでくれるおねーさんが好き、


おかーさんが好き。







一番強いおにーさんは、



ずーっとずーっと、



私のせいで穴からでれない家族の分も動き回り、



お肉を持って来てくれた。






この時、



私たちの群れには、




お父さんという凄い人だけでなく、



お父さんよりも凄くなってきてた、おにーさんがいてくれた。







わたしがー




初めの冬を、生きて、春を、、迎えれたのも、、





二人がいてくれたからだろうと、





少しして、気が付いたくらいだった。






















白い粉が降る、世界。






シンシンと、、見える世界が見にくくなる。




ほんの少し、穴から出ようとしても、




冷たい空気で恐怖を感じる。





私はいつのまにか、





固い穴のどこかに掴まって、




体を持ち上げることができるようになっていた。







世界が少しだけ、広くなった気がした。





よく見える世界、、




みんなの体のフワフワと同じような、



白くてきれいな、、、


そんな世界だった。



















あれれ?






私の口の中、何かある。






いつもみたいに指で付いた肉の汁。



舐めてるとき口の中、固いものが、





おおぉぉお



ど、どう、


どうやってこれ、お母さんに言えば?





はぁはぁと、口を開けて、



おかあさんに、おねーさんに顔をくっつけて、





お母さんとおねーさんは、



どうしたの?って顔をして頬を舐めてくる。




違うの、見て、


触って、舐めてほしいのはーーー



そこじゃないのぉー



って思って、私は大きな口を開けてた。





ペロ、



おねーさんが舐めてくれて、



びっくりして、



フッフッ



とお母さんを呼んで、




おかあさんも、、




ペロペロペロペロペロ、



って私の口の中を舐める舐める舐める、




おおお




嬉しかった。




嬉しくて



泣きそうになっちゃった。




いつからあったんだろう。



最近口の中、そんなにちゃんと触ってなかったから、、







嬉しくて家族のみんなに舐めてもらってた。




おねーさん、びっくりしてた



ふっふっ


って


驚いてた、




うれしーーー







っていう日があった。










でも、寒くて、





手は真っ赤で、



あいかわらず、めげそうになっていた。




そんな時だったからかな、



生きていて嬉しいことあるんだって





余計思えた気がした。
















食べようとするときは、



どうしても、手足を地面につける




その時、、ヒリヒリとしてて、



痛みは、我慢できなくなった






涙が、出てしまった。




ぅぃひぃぅひぃ、




真っ赤に腫れあがった私の手。




地面に付けれず、巣穴の中で、上を向く。





悲しくてツラく、声が出る





ひぃ、、うひぃ、



と。





スッと、



みんな、フワフワの体で、



私に寄ってきてくれる。




体を擦り付けてるように、



自分の毛を、私の、


ってそんな感じに、ギュっと押し当てて





、、、




私はゴロゴロ、


転がりたかった日もたくさんあった。




けど、私の手と足は、強くなくて、



赤くなってて、とてもつらい。





嬉しいことも、



つらいことも




巣穴の中で



私は一生懸命、、生きていた。




















いつのまにか、




白い粉は降りてくるのをやめたのか、



静かな世界は、少しずつ、緑の世界に変わってきたようだった。





暖かく、



一緒にいてくれた兄弟も、




いつの間にか、外に長くいる時間が増えてきた





私も外行きたい、





そう思っても、手と足はまだ痛かった。




巣穴から出るとき、おねーさんが、そんな私を体を持ち上げてくれた。





それで、



穴の外、






外に出て、、



まだ寒かった。







私はブルブル、震えてた。





おねーさんは、すぐ、、



私を咥え、引きずるように、、



巣穴の奥に戻してくれた。








ペロペロ、




私は一生懸命舐めた。




お父さんもお母さんもおにーさんも好き、


兄弟も好き、



おねーさんも、、



大好き。























暖かくなって、少しして、






大きなお肉がおにーさんとお父さんの力によって、届いた後、


少ししてからだった、






夜に、







ウゥォォォオォォォォォォォ、、





ウゥウォォォォオォォォ






ゥォオォォォオォォ







え?



敵??




敵かな、、





でも、巣穴のおねーさんはお母さんは、静かで、







お母さんは巣穴から出て、





ウォォォォオォォォオォォォォオォォ






精いっぱい、


一生懸命な、




返事を吠えていた。







それが何の意味だったのか、





私にわかるまで、数日かかった。











そう、


数日後、




一番強かったおにーさんが、




群れから居なくなってしまったのだった。






















その頃からー





私の兄弟は、巣穴から出て、




ウゥォゥゥゥゥ




ォゥゥウゥウ





と、




これからは自分たちが、と、




吠えることを毎日やってるようになった。





わ、、、わたしも、、、






そう思っては、治りかけてきた手を使い、



掴んで、這って、外に出て、







ゥいぃぅぅう




と、意味の分かんない声を出しては、






おねーさん、


ウォォオゥオォォォ



と教えてくれてたり、、




一番大きくなってた兄弟の声はもう、


おにーさんたちと同じような、かっこいい声がでてた。




わ、わたしも、、



あーゆー、こえ、


出せるようになりたい!





かっこよかった、



いなくなってしまったおにーさんの代わりに、


自分がって、


張り切る兄弟は、



かっこよかった。






羨ましくも感じてた。




















強いおにーさんの、置き土産じゃないけど、




おにーさんがいなく前る前に取ってきてくれた大きなお肉、


そのせいで、みんな、お腹いっぱいだった




私も少しは噛んでみた。



うまく噛めなかったけど。






おかあさん


おねーさん



結構、たぶん、たくさん食べてたと思う、



それだけで、何日も、食べなくても大丈夫なぐらいに。







私の、口の中には、まだ、少ししか固いものはできてなかった





お母さんは、心配した分、喜んで、


でも、本数がたぶんみんなと違うんだろう




まだずっと心配してるようだった。



これじゃ、取ってきてくれたお肉とか、


食べれないもんね








あれこれ、全然違う


ごめんね、お母さん、







ずっとそう思ってた。




















少しずつ、少しずつ、





手を動かすことが上手になってきた。



掴むこと、


体を持ち上げること、






どうやったら皆みたいに、走れるんだろう、



あんなに速く動けるのはどうしたらいいんだろう





難しい。








また、




巣穴を移動する日になっていた。





















私の手足が治ってから、



なるべく暖かい日が来た時に、





そうお父さんは考えていたのかも、





私にとって、一番、動きやすい日、





でも、





私の移動は、



すごくすごく遅かった。







正直言う。





肉を、、


肉を取ることがこいつにできるのか?


と、みんな思って私を見てた。




その、心配した気持ち、




群れとして、



ここまで、ゆっくりしか動けない仲間を





仲間として、どう扱っていけばいいのか、



仲間と、兄弟と、


家族と、



思い続けることは、できるのか、、




と、




みんな、不安に思ってたのが



わたしにはわかった。









涙が、




なんでだろう、



あまりに遅いから、



痛くはない、


そこまで、今日は痛くはない。



でも、




遅すぎて、ツラくて、



ツラくて、泣けてしまった。







んぅぅ、、



お母さんが、近くに来て、



私の涙を、



舐めてくれた。






泣いてたけど、



私は、進んでた。




足の悪いおにいさんの、何倍も遅い、



一番小さかった兄弟の、何倍も遅い、




でも、




進もうって、思って、




手を動かしてた。



















少し進んで、






痛い!




傷ができてしまった。




ィう、、いぅう




私は、ひーふーひーと、



声にならない、痛みに苦しんでた。






ふっふっ



顔を上げたら、お父さんがいて、




私をジッとみつめてた。






ごめんなさい、お父さん、



私は、家族、、



失格です






そう思った、


付いていけないから、



長く、心配させてばかりだったけど、




速く動けるようにもならないし、



遠くまで行くのも、




できない








んぁ





お父さんは私を咥え、



体を強引に引きずるようにして、





また、


今来た道をそのまま、



戻って進んで行った。






ああ



わたしには無理だと、



そう思われたんだ






ごめんなさい

















私はずっと、





移動できなかったことで、どれくらい家族に、



危ないことが増えるんだろう。



どれくらい家族に



お肉が取れない日ができてしまうんだろう






もう、



居なくなった方がいいのかも





全然体の違う私、




家族になれないかも、








手足が切れて、赤くなって、



体力を消耗したせいで、




はぁはぁはぁ、、


息が苦しい、寒い、



はぁはぁはぁ、、




戻った巣穴の中で、





苦しかった。



兄弟が、私を


挟み込むように、暖めてくれてた。






はぁはぁ



はぁはぁ








動かし過ぎた手は、



食べ物を口に入れることも、



できなかった























ペロペロ、






意識がなくなってて、






よく顔を舐められた。






誰だろう



元気だよ、



そう思って息を吸って、、



あぁこの臭いは



おとうさん?




おとうさんがずっと、



巣にいていいの?




そう思ったが、



おとうさんは、ずっと、




動けなくなった私の横で、



いつもおねーさんがしてくれてるように、


ずっと、



私を暖めてくれてた。






嬉しい。




お父さんにくっつけるのって、


あんまりないんだよな、






でも、



お父さんに触れようと手を伸ばしても、



私の手はまだ、


ちゃんとと動いてくれなかった。
























そのまま、その巣穴の中で、



動けるまで、しばらく過ごしてた。





みんな、ここで、同じように、



寒かった時と同じように過ごしてて、



嫌じゃないのかな?



私のせいだ



ずっとそう思ってた。





でも、


そう思うと、




ペロペロ



お母さんは私を舐めてくれてた。







行かなくてもいいの?



ここでいいの?









水が飲める場所まで少し遠いけど、




私たちはそこでまた、


同じように暮らしていた




















動けるようになって、



暖かくなってきて、




私は巣穴の外に出て、




ゥぉおぅぃう



と、


吠えてみたり、




少しでも動けるようにって、



体を少し持ち上げてみたり




あと、





口の中の、固いのが増えてきて、




私はそれを使って、




お肉以外のみんなが食べてる、、



違う味がするもの、、



手に掴んで口に入れて、



色んなものを、



食べようとしてた。









変なウンチが出る




でも、




食べれるモノは、、何でも食べなきゃ、





そして、




早くもっと、



動けるようにならなきゃ、、






私の手足は、、




少しずつ、




大きくなってきてた。





暑くなってきた日々は、




ずっとそうやって、



過ごして暮らしてた。


















兄弟は、お肉を取りにお父さんたちに連れてかれて、




私は、一番小さい兄弟と、




おねーさんと


足の悪いおにーさんと、



巣穴でずっと過ごしてた。







兄弟から信じれないような濃い血の匂い、、




それを帰って来たとき感じて、




すごいな、、って





しとめたのは、おとうさんか、おにーさんの誰かだろう




でも、



むしゃぶりついて


かじってきたその口の周りには



今まで嗅いだようなことがない、臭いが、そのままついていた。







おねーさんが気になってそれをペロペロと





兄弟は、嬉しそうに、舐めてもらってた。






わ、、、わたしも、、






舐めてあげた、




兄弟は、嬉しそうに、



舐め返してくれた





















少しずつ、また、




過ごしやすい涼しさが、いつの間にか、、







この頃、手足もよく動いた私は、



腰を上げるように、持ち上げて四本の足で体を地面から浮かすことができるようになった





どうも、皆と違う気がするけど、



でも、



こうやって、手を前について、足も両足で地面について、




これで、







プルプル腕がしてきてしまい、



すぐ、コテン、ってなる





うーん、




お父さんやお母さん、


皆と、、私って



ホント全然違うんだな、





でも、





頑張ろう。










次第に、



もっともっと寒くなってきた。






私は草むらで色んなものを取って口に入れてた。




兄弟の分の



うまく掴むことができた日もあったぐらい





でも私のそんな活躍の日はー





また寒さによって、巣穴で耐えるだけの日に、、






















寒い、


寒い、



手足が冷たい、





大きくなったせいもあって、



みんなのフワフワから手が、足が、



うまく触れてることがなかなかできない





夜がツラい。




寒い、、






ふぅ、、ふぅぅ




泣きそうになる、




兄弟が、私にめいっぱい体温をくれるようにくっついてきてくれる。




地面が冷たくても兄弟は暖かい





外は寒い






夜はもう、私は兄弟の体から離れることはできなかった。







ご飯も、




誰かの取ってきてくれたのを、



ずっと食べてるだけだった。






一番小さい兄弟も、この頃からはもう



お肉は自分で取って食べるんだ、と



勇んで巣穴から出ていくこともあった





私はー、、





この寒さがどうしてもつらかった




寒いだけでなく、



家族に、、




何もできてない気がしてた。






















でも、前より、手はヒリヒリすることもなく、




巣穴にいたせいもあって、





固いものを手で掴んで体を起こすことがすごく簡単になった。




速くはまだ走れないとしても、



動くのは、たぶん、前より動けるはず。





そう思って、外に行きたかった。



でも、この寒さ、



外に何秒いることができるんだろう、



わたしには、白い世界は無理だった。














みんな大きくなって、次第に、巣穴が狭く、、




そんなふうに感じてた。









そいや最近、





お母さんが巣穴の中に、よくいるんだよね、





うーん、どうしたんだろう。



私のせい??



でも不思議。



いつもおねーさんがいるはずなのに、




最近は、おねーさんはたぶん、外に行ってる。







まぁ、いいや、


お母さん、好き。


お母さん大好き。





お母さんは、ペロペロと、



私を舐めて、



顔を近づけてくれた。
















暖かくなってきた。




白い世界もようやく終わりが見え、



また、




穴の外は私の大好きな緑の世界に、


変わってきてた。






寒くても、



ちょっとぐらい寒くても、




そう思って、



外に出る、




うわああ、寒い、



肌が痛い、



ビルビル、する、、





ブルブル震えてきたけど、



でもって、そのまま、



巣穴の周りを、




テクテク


テクテク



ホッホ、




兄弟も横から歩いてくれて、



それを見ながら、




手を前に、



足を後ろに、



ホッホ、






おお、



いい感じ、



いい感じに、





速く動けてる?





兄弟は嬉しそうに舐めてきてくれた。




私も嬉しかった、



でも、


寒かった、想像以上に、




すぐにそのままぐるっと回って



巣穴の中に、





穴にいた兄弟にくっついていた。







でも、



動き回れた。



嬉しかった。





皆みたいに、すっごく速くはまだ動けない



でも、


自分で、巣穴の周りを


グルグル、動けた。





嬉しかったぁ



















水がポタポタ落ちてくる日は、



私は外に出れなかった。




すぐ体がブルブルしてきてしまうから、




でも、兄弟もおにーさんも、おねーさんも、



皆、お肉を探しに巣穴から出てる




私は足の悪いおにいさんと、おかあさんと、




巣穴の中にいた。










ぅぅぅぐぅ





急に、お母さんが苦しそう。




え。


うそ、




だ、大丈夫?



私はお母さんを舐める、



おにーさんも舐める、




で、、


でも、お母さん





うぐ、、ぅうぅ






ずっと苦しそう、



お父さん、おにーさん、おねーさん、




誰か、



誰かを、




呼ばなきゃ、




でも、





水の日で、



外には長く入れれない、






私は、




巣穴から顔を出し、





ゥギィ、ぃぃぅ




っと声を出して、



誰か来て、気が付いて、、って










声が水の音でかき消され、



誰も戻ってこなくて、、




おにーさんしかいない、


足の悪いおにーさん、おかあさんは大丈夫なの?




私はソワソワずっとしてた。







ウッゥグ








お、


お母さんのおなか、こんなにも、膨れてたっけ、





おにーさんが、慌ててお母さんの小股を舐めて、引っ張ってる




え???





うあああああ



出てきた、出てきた、





す、すごい、



すごい、まだ出る、



え、え、、え、




あ!!!!!!!




小さい兄弟だ!!!!!!!!!







私がずっと前ここにきてお母さんのおっぱいを吸ってた時、



兄弟は、、もっと出てきたのより、大きかったけど、



でも、これ、、




兄弟の小さい兄弟だ。





これ、、小さい兄弟??





おにーさんが、出てきた、小さい子を、ペロペロと、





おかあさんも、少しツラそうに、、



動いてなんとか、、一人、




あ、


私も





それで、


まだ出てきたばかりの子を、



ただただ



ペロペロ



舐めてあげてた。








かわいい





すごい、




小さい、



こんな小さい兄弟だ、





嬉しい





















それからー





巣穴での、毎日はー、出てきたばかりの兄弟、中心になってしまった。



食べるときも寝るときも、


みんな、一番、小さい兄弟を、ずっと見てた。








うわぁ


そっかぁ、


私もおねーちゃんになっちゃったんだ




なんかしてあげなきゃ!






と、


わたしは、


焦っては、



なにもできない





お乳、、


飲みたいなぁって、






そう思ったりしてた


小さい兄弟がずっと飲んでて、





お母さんはおにーさんやお父さんから大きなお肉をもらって、



食べて、おっぱいを皆に、、、






巣穴の中が、



ずっとずっと、甘い、臭いになっていた。




あぁ、


懐かしい、



私もこの臭い、大好きだった。




お母さんの、



大好きな臭いだ



















私は、外に出れそうなときは出て、





草の生えてる茂みを手でガサガサ、



そうすると、皆にはうまく掴まえれない動くもの、



それを手で、エイって、上から叩ける





叩いて、



口に入れる。





変な味



でも、



お肉が取れないわたしは、



たくさんそれを食べてた。




素早く逃げる、速いのは無理



でも、




見えにくい、ジッとしてる、この、、



苦いものは、掴まえて食べれる。







私の口はいつもその臭い、




巣穴に戻れば、皆が、今日は何食べたんだ?



って口の周りをクンクンしてきては、




ペロペロってしてくる。




まだ、付いてたかなぁって




出てきたばかりの兄弟も、


私の口を舐めに来てた。



これ、口に入れちゃっても大丈夫なのかなー



って思ったけど、




小さい兄弟は可愛かった、




ニヤニヤしてしまった。






嬉しかった
























次第に暑くなってきた。







お父さんがしきりに空を巣穴の外で見てることが増えた。








こないだ、出てきた小さい兄弟は、



巣穴の外でもう元気に、動いてた。




私よりもう速く動けるんだもん、ずるい!




私はー、



変な臭いのするおねーちゃんだった、




皆と口に入れてるモノが、同じなんだけど、


私は自分で捕まえた苦いものが多いから、



そのせいで臭いが、、ちょっと






でも、小さい兄弟は、その臭い大好きだったのか、



しきりに私が口に入れてると、


臭いを嗅いできてた。




ペロペロごっこだ、









光がまぶしくて、、



ずっとこんな暖かい世界だといいのになぁ、って



ずっと思ってた。






















え?


あれれ?





皆が巣穴からでて、外で、みんなで遊ぶの??



って思ったら、




おねーさんやおにーさん、兄弟も、



どこかに行ってしまってるのかも、



お父さんと、お母さんがいて、




こっちに来なさいって、






私もそれについて、小さい兄弟と、テコテコ歩いて、、






以前は、この辺で、もう動けなくなったなって、



少し、前のことを思い出した。





あー




移動するんだ。





そっか、



小さい兄弟のため、





ずっと前に、咥えられて行ったあの場所に、



あっちに行くんだ。













慣れてない長い移動。




小さい兄弟も、



少しずつ、ゆっくりに、




遠くまで来て、



初めはみんなワクワクしてた。



でもー



ちょっと動き過ぎて、、、はぁはぁ、、



私も、もう、、






手が痛い。




でも、


おねーちゃんだもん、



皆より、一緒に歩いてる出てきたばかりの兄弟より、、



もうここでずっと一緒にいるんだもん、




頑張んなきゃ、








お母さんは、小さい兄弟を見てる



でも、


私の手が痛そうなのも、



気にしてるようだった。










あ、兄弟。




私の兄弟が戻ってきて、







クゥゥオォオォゥォ







遠くから、





クォォオィィウィォオォォオォォ





っと



安全だよー、こっちにー




ってあれは、一番大きなおねーちゃんだろうか、





声が向こうから聞こえてた。







お母さんが私を見てる。




頑張る、って



私は思ってた。






















着いたぁーー






って到着して、



懐かしいなぁって思い出して、





でも、水を兄弟に口に入れてもらって、






そのまま私は眠ってしまった。






手足はー







赤い汁は出てきてて、



少し、真っ赤に、



ヒリヒリになってしまってた。














お父さんの臭い、




ペロペロと、



私の手と、足を、



舐めてくれてるようだった。





嬉しかった。
























暑い間ー、





私は、色んなものを捕まえた。



そして、食べた。



歯も生えてきて、



グチュッてゲコゲコ言って、飛び跳ねてるのを



口に入れて食べるのが好きで、




似たようなシュタシュタ逃げるの早いのも、




バッて叩けば潰せたりもできて、




それで食べてた。







私のそれが好きな小さい兄弟もいて、



お肉待ちきれない時は、



私の顔をよく舐めてきてた。





おねーちゃん、おねーちゃんの、それーーー



わたしもほしいーーー



って、よくせがまれてた。





お母さんもおねーさんも、



皆、



私が困ってるのを、嬉しそうにしてくれてた。






お肉はー



どうやったら私は取りに行けるんだろうか、





もっと早くーー




動けないとだめだよな。









お父さんについて行ってしまっていいんだろうか、




ずっと迷ってた。



















声を出す、



岩に上る。



掴まえて食べる




飛ぶ。



跳ねる。





私は、この暖かい時間が誰より好きだった。




寒いと動けなくなっちゃうから



だから、



今のうちにできることできるようになりたいの





そう思って、




水のとこまで、巣のとこから、





ウネウネする変な生き物に、




ガブッ、ってされて




キャァウゥゥン




って声を出して、


おねーさんがびっくりして来てくれたり、





暖かい日でも、



ツラい日もあった





でも、



ずっと、私は嬉しかった。








クォォィゥウゥゥゥゥッゥウゥ、





声を出すことも、




次第にできるようになってきてた。





















こないだ生まれた兄弟たちはもうすっごく大きくなった。




私も大きくなったけどこの兄弟たちは凄いなぁ、って





追いかけっこして、



私はみんなから逃げたり、



私も加わって追いかけたり、




追いかけるのは苦手かな、



でも、


一緒に、行動できるようになってた。




前まで、こんなに動けるようになるって


思ってなかった。



だから、暖かい日は、水がポタポタしてる日も、



外に出て動いてた。








グルるるうぅうぅぅ




こないだ私を攻撃した、あのウネウネだ。



ウネウネした黒いの!


あいつだ!




水を飲みに行ったら、またいた!


同じ奴かはわからない、




グルるるぅぅ



と私は呻る




でも、私には牙はない、



勝てないのだ。




だけど、こいつは敵だ、



この水場は、私だって使うんだ、




グルるぅぅ






っぅふ、、ふぅぅ




ん?



兄弟の誰だろう?



近くに来てる。




フィ、、フゥ




私も応えた。






グルぅぅぅ



と私がウネウネを見てたら、





おあああ!!



きょ、兄弟??!!




そのウネウネに飛び乗って、、



一番大きくなった兄弟が、



ウネウネの頭をガジッって、




ウネウネはまだウネウネしてた。



でも、、、





兄弟はガジガジと、、食べ始めてた、、、



ぉおぉぉ、



わ、わたしも!!!!





ウネウネを一緒に食べてた。







食べきらず巣にもっていった。




大きなウネウネだった。






小さい兄弟も、おねーさんも、おかーさんも、



皆で食べてた。







そうか、私はーー、見つけたら、呼べばいいんだ、







それ以降、




暑い間、



ウネウネを探して私は草の中をよく、さまよっていた。



























暑い日。









ウォォォゥゥォォゥウォォオオゥウ







ゥオォォウゥゥォォッゥウ






ォオォゥッゥゥォォオォォォオ










ああ、



思い出した、いつもとは違う、


少しだけ違う、




誰かの声、




四番目のおにーさんだろうか、





今の声は、




一番すごかった一番目のおにーさんの最後の声に、少し似てた。









お母さんが、巣穴から出て、








ウォォオォォオォォォゥゥォォォォ



と、


長く、


長く、





私も巣穴から出た。







ゥほぉほぉぉおぉおぉぉぉぉ






うまく、吠えれたか、、


できたかはわからなかったけど、






ウォォォオゥォォォォオォォォオッンン





誰かが声を出していた。





ォオォゥォッゥオォゥウゥゥゥ







しばらく皆、声を出し合って、







四番目のおにーさんの声は、




聞こえなくなってしまった。
















群れからー



また、おにーさんがいなくなってた。






そっか、




巣穴が小さいし、



皆増えるのは、嬉しいことだって


思ってたけど、




居なくなる時が、



順番に来るんだ、、







お父さんの横で、



若いおにーさんとして、すでに、お肉を掴むため、


先陣を掛ける、一番大きかった私の兄弟。





私はー




羨ましかった。



かっこよかった。


















その後、おねーさんも誰かが出て行ってしまって、、





お肉を取るために、


私の兄弟も、みんな、すごく活躍してるようだった。




体の一番小さかった兄弟は、なかなか思うように活躍で来てなかったのかもしれないけど、




それでも、私とは違って、




皆と同じように、狩りに出かけ、



お肉を掴んで帰ってきてた。







わたしはーー



一緒に行きたかった。




でも、




こないだ生まれた小さい兄弟が、今、一緒に遊んでて、



たぶん、



この子たちと、私はお肉を取りに行くことになるのかな、、




上手くできるんだろうか、




牙の無い私に。











おねーさんが出てって、私は少し寂しかったのか、




よく、




クゥゥウゥン



ゥオオォーン、、




と声を出してた気がする。





ペロペロと、





お母さんが顔を舐めてくれてた。






寂しいけど、



お母さんにわかってもらって、



嬉しかった。











また寒くなってきた。






前の場所に、戻る、



そんな時期になってきてた。



















緑の世界が、あって、



黄色の眩しい光があって、





ポタポタ水は空から落ちてきてて、




美味しい、緑や赤の、不思議なモノが大地に落ちてる。



それを食べて、





寒くなって、






次第に世界は、私の大っ嫌いな、、




また白い世界に、、、、、




















前の場所に戻り、





白い世界を眺めて、






兄弟が狩りに行くのも、戻ってくるのも、




ただ待つだけの期間に、、






私はー




役立たずだ。




足の悪いおにーさんも、色んなことできる。



狩りは難しくても、



色んなこと気にして、水飲んで、水渡しに来てくれたり、




でも、




私は穴から出ることもできない。





でたら体中が痛い。



冷たい、ヒリヒリが全身に迫ってくる。







自分で、食べ物を口に入れることが、自分の力でできない、



お肉、取ってきてもらっても、





真っ先に齧り付く、こないだまで小さかった兄弟、、




わたしはー、





少し、動けなくなってしまってた。











寒い中、






群れの中で、





寂しかった。





















長い、長い、



白い世界、






ヒリヒリする世界、





もう、嫌だ。



もう嫌だ、






出たい、出て、自分も、、、


狩りに行くんだ!役に立つんだ!!!



と、



どれほど思っただろう。







ゥゥゥゥゥオォォゥゥゥゥウォオ




私の声は、次第に、



我慢できないような、そんな声に、





お父さん、一番のおにいさんになった兄弟、



心配して舐めてくれてた。




ペロペロ



私は、




くじけそうだった。



こんなにも愛してもらってるのに、






寒いこと、



皆の役に立てないこと、





、、、



















暖かくなって、






また、、お母さんのお腹が大きくなってる。





また、、



新しい兄弟が出てくるの????




すごく楽しみだった。




兄弟もみんな楽しみで、






お父さんやおねーさんは、どう思ってたんだろうか、











子供が生まれた。







凄くかわいい子が、四体も、






グルグルって呻ったり、



可愛かった。








その頃、、



一番になってた同い年の兄弟は、、




もう、お父さんに負けないような、そんな大きな体と、




お父さんにそっくりな、




かっこいい目になっていた。






遠くを見て、







ウッォオォォォオォォオォン、、






一番のおにーさんになった兄弟は、、



よく遠くに吠えていた。






























また



水場に移動して、、







私はもう、ほとんど疲れもせず、ここまでこれた。





そして、色んなものを掴み口に入れた。




噛めるモノは、噛む、




動くものは叩く、



それで潰れたモノを食べる






この時期だけはー



自分でも惚れ惚れするほど、私なりの狩りがうまく行ってた。












一緒に遊んだ、、年下の兄弟たち、






順番に、皆に混じって狩りに、行ってた。





私もようやく連れてってもらえたけど、






皆の場所が分からなくなってしまって、







ゥオォゥゥウォォウ




ォゥゥウォゥゥゥゥ




と、



情けない声を出して、





呆れられてしまったり、、






そんなこともあった。







難しい。





ウロウロして、声を出さず、




皆で動くのって、、



こんなに難しいんだ。






自分にはできないかもしれない。







巣穴でー




こないだ生まれた新しい兄弟と、


遊ぶことが増えていた。







キャッキャと、



それはそれで楽しかったのだが、、、
























ぅごぁう?いぎゃぁいう??うぐい??






え?



新しい兄弟と、遊んでた時だった、




何???




見慣れない、、声が聞こえ、






んぁうああ!!ぬああううあう!!!




私に何か、、声を発してる、、そんな大きな生き物が、、、、





ぬあうあうはうふあ!!!うすいしい!!!!








ガシャガシャと、聞き慣れない、音が聞こえ、




ピカッピカッと、私の方に、光ってて、




凄く恐かった




ゥグルルルルウルル



私が呻ると、





はううあはうう!!!!!ふあいあいうししぅいうえふす!!ふしあいういすう!





な、


なんなんだ?なに?聞いたことも、全く分からない、大きな獲物??



え、え、え、え、







グルルルルウゥゥゥゥう



びっくりして足の悪かったおにーさんが巣穴から出てきて、





ウォォォオォォォオゥォォゥッォゥ





と声を上げ、








その、、私に何か、、何か声を出してきてた、




怖い怪しい変な生き物は消えていった。








び、びっくりした。





ビックリ、、し過ぎて、、





ドキドキしてた、、






見たことない生き物、、






何だったんだろうあれは、、






















そんなことがあったけどー








大地に落ちてる食べ物を食べ、




ウネウネを見つけては誰かを呼んで、






水場の近くでの生活を、一段落付けて、







また、前の巣穴に戻ろうとした時だった。










ウォォォオォォンゥゥンォゥ





夜、


誰の声だろう。




ああ、一番になった同い年の兄弟だ、、






何の声か、



はっきりわかった。





もう、



行ってしまうんだ。




もう、




一緒にいられないんだ。






巣穴から私は出た。






寒かった。




ブルブルしてしまってた。



でも、





ウォォウゥォォゥォゥォォォイゥゥゥウッォォォォォオォォォォォォォォオオオオオオオオ





ありったけ、




声を出した。




ありがとう、ありがとう、ありがとう、



元気で、



元気で、



いい、いいお父さんになってね、




そう、


心から思った。





同い年の兄弟、みんな、




ウオォオォオゥォォィウッンンン




寂しそうに、そう、



声を出していた。



























三回目の寒い間



私はこの季節が一番嫌い。




皆が狩りで頑張ってる間、



何もできず、


巣穴の中で待ってなきゃいけない。




ただ待ってるだけでなく、




何をしてなくても寒い。



震えるのを止めるため、新しい兄弟にくっつく。





同い年の兄弟は、兄弟の方から暖めてくれた




でも、新しい子たちは、、




嫌な顔することはない。



でも、



私からくっつかないと、なかなか体温を分けてくれない、


フワフワなのに、そっちから来てくれない。







そういう、


少しツラさが少しあった、


そんな寒い間だった。






狩りはいつも順調で、




お母さんも今までと違い、すごく狩りに出かけてた。





新しい子をー



また出すのかな、




そう思ったりしてた。









でも、不思議なことに、





巣穴に持ち帰ってくる時に、



時々、寒い間、お父さんはいなかったときがあった。





遠くまで行ってるの?何のため?








帰って来たお父さん、久しぶりの顔してる感じ、




ペロペロ、


舐めた。




ペロペロ、と



舐めてくれた。




心配しなくていいよ、



そういう舐め方だった。




お父さんまでー



どこかに行っちゃうの?





私はそう、、心配してた。





















長い長い、




白い世界は、、




なんとか終わりを見せ始めるような、



そんな暖かさがすこしずつ出てきてた。






















お母さんのお腹が大きくない。






そんなことを気が付いて、



新しい子、いないのかな?って、






私と走り回ってた一個下の兄弟は、



もうみんな、すごく大きくなった。




体つきも、



足の悪いずっと長くいるおにーさんよりも、


もう、すごくたくましい。




かっこいいなぁ皆。





私には無い、フサフサの毛、、



いつも、舐めてあげてた、


自慢の弟や妹だよって、





でも、



この子らも、



また、、




どこかに行っちゃうんだろうか、、






同い年の小さかった兄弟も、同じことを考えてたのかもしれない。





狩りでこないだ怪我をしたのか、足をひょこひょこと、


そんな酷く、足の悪いおにーさんほどでないけど、



少し歩きにくそうにしてた。






みんな、



危険を冒して、、



お肉を取ってきてるんだ、



いつも穴にいて、



待ってるだけ、



ごめんね、、







ペロペロと、舐める。





ペロペロと舐め返してくれる。






皆がどうなってしまうのか、私にはわからない



でも、




白い世界が終わったらーーー





また



元気にたくさん食べ物取ってくるんだ、




そう思ってた。






















緑の世界になって、





私の世界が戻ってきた!




そんな気持ちで昂る気持ちを抑え、


外に出ては凍えながら、




オウゥゥゥウゥゥゥゥウゥゥゥウゥ





と声をだす。








ゥォォイゥゥゥウォォォォオォオ




遠くで誰か応えてくれた。



お父さんかな




あんなに遠くにいるんだ。







最近お父さんは、



前より、帰ってこない日が増えていた。




どこで何を


してるんだろう。








お父さんは狩りの合間をぬって、


遠くで獲物を探してるのかな、






食べてるのかな、



心配だなぁ、







春になって、



大地に落ちてる食べ物が、見つけれて、たくさん食べて、



それを新しい兄弟に、


大きくなった兄弟に、




少し分け与えたりしてた。








足の悪いおにーさんも、



巣穴を狭く感じたのか、




私の取ってくる食べ物なら自分もーって、




よく一緒に出掛けては、




ずっと探し回ってたように感じる。




帰ってきて、座り込んで、



足が悪いのに、動き回ってきたのかも、




新しい兄弟に、



食べ物を分け与えてた。




























パー、、、ン










え。






遠くで、馴染みのない、変な音がした。







パー、、、、ン








変な音、



巣穴の外でみんな聞いてて、



慌てて巣穴の中に













しばらくして、




フッッッフッッ



と警戒する声を発して、、お父さんが帰って来た。





ホッとした。



お父さんの身に、



何か、



何かあったんじゃないかって、








でも、お父さんの口から血の匂いがして、ドキッとして、、






その血、、誰の血か、お父さんの首についた、まだ分かる、ハッキリした臭いで、、


誰かわかった。





ずっと、


一緒だった、、、足の悪かった、おにーさん、、の




臭いだった。




















ウォォオォォオォォォゥゥォォォォ




ウォォォウォォォォオィゥォォオォオォォォン





ォィウィィォオォオォゥッンンゥウンン








みんな声を出してた、





悲しい声、



何があったんだろう。






でも、



泣き叫ばずにおれなかった。














お父さんはまたすぐ、、森の中に、




おかあさんは心配そうに、


ただ、


じっと、、、




でも、



新しい兄弟が震えてて、



大きくなった年下の兄弟も緊張してる。





獲物を取ったりするのとは、違うのかもしれない。






寝れなかった。








明るくなって、






お父さんが戻ってきて、





フッッッフッ



と警戒音でみんなを外に出して、、






お母さんを、ペロペロ、




何倍も何倍もいつもよりも舐めてた。




私も舐めてくれた。





みんなを舐めて、





お父さんは森の中に、










お母さんは、、





私たちみんなを連れて、




反対のあまり行かない方に、



進んで行ってしまった。





ど、どこ行くの?まだ寒い









この日はー




うっすらと、




大地に、白い、




白い粉が、、降り注いでた、




そんな日だった。
























しばらく、




しばらく、




宛てがあるの?


どこに行くの?




群れは狩りでもなく、巣穴の移動でもなく、



ただ、




当てもなく森の奥に、、











パー、、、、、ン









嫌な、、嫌な音が、どこかから、、






パー、、ン、








パー、、、ン








怖くて皆、止まってしまってた。






森の、どこか、、




私たちの、、住んでたところの方、、






も、、


もしかして、、






お父さん???









お父さんは、、




どこにいるの??







お母さんは、




フッぅ、ふぅう




と、皆に急ぎなさい、



と、





止まらずに、手足は赤く痛むけど、、





私は進んだ、




お母さんの進む方に、、









パー、、、、ン











































行く宛てもなく、さまよって、







川そばに来て、、







岩場の影で、重なるように、、









静かに皆、休んでた。





小さい兄弟も、



大きくなった兄弟も、




長くいるおねーさんも、、




みんなジッと、、




静かにしてた。





お母さんは、




寝てないんだろうか、、





ずっと起きてた気がする。































フッッフッッ




という誰かの警戒音で、私は目が覚めた。




寒かったから、とにかくみんなの真ん中にいた。



そのせいで、ちょっとみんなよりぐっすり、、







岩の影から、





お母さんが、心配そうに、外を見つめてる、





動けるように、


今すぐ走れるように、


準備しなさい、





そういう、意味だった。



怖くなった。




怖くなって、、







ちょっと岩の影から、



顔を出してしまった。











ふあいあいうああううっぅっやいううぅ!!!!!!!!!






ふすしぅっいしいしううしょいいおいいいいいう!!!






な、なに、



なに、今の声、



気持ち悪い




私の方を見て、声を出した生き物が、あっちの草の奥にいる










フッフッフッフ



お母さんが、




、、走れる?止まらず、駆けて、




と、


確認して、








フッ!!!





と合図、




皆、


岩の影から出て、




お母さんの方に走る、










パー、、ン





怖い怖い怖い、怖い怖い、



近くで、パーンって音がした、




怖い怖い怖い




あ、足が、遅い私





あ、あ、ああ、、あ、、あ






は、、はっは、





んはうあふうあ!!!!ふさふあふあいすう!!!!




声が私の方に、




はっっはっ!



だめだ、



近く、




ああああああああああああああああああ






ぐいって抑えられて、



じそそしぅっいぇおえおえいえうう!!!!!!



っぃぃうすすすひづづうづう!!!!!!!







一番遅かった私は掴まって、、



動けなくて、



周りで気持ち悪い声が、、





、、ああ






駆けて行く、



家族を、



兄弟を




おねーさんを、、






お母さんを、、





見てた。









あ、ああ、



たった、一言、



一言だけ、



声が出てしまった、








っくぅん、、、、、







酷い弱い声で、





いなくなってしまう、、お母さんの、、姿が、、



見えなくなる、、その時に、





















痛い、痛い、





ふぃおうあうっがうずずい!!!!






声を私に出してきてて、



私は




グルるるう



と、呻りをあげたものの、、



もう、どうしようもないことを、理解してた。








もう、











パーーーン、







え?






近くで何か、酷い音、、



耳が痛い






ほびあうしいぃくう!!



ひしすふぃしゅひ!





前を見た





白い、人一倍綺麗な、白い大きな毛が、



こっちにむかって走ってきてたのだ







ぐぅぅうああうんぐうあああう





私は、離してと、そういった、



一生懸命、抑え込んでる生き物にそう言ったの










走ってくるのは、


他でもなく




お母さんだった、




おねーさんに、新しい兄弟を任せて、



こっちに戻ってきちゃって、、







ぐぅうぅあぅぐぅ




私は、離して、離してと、、



抑えてる生き物に、声を発してた。









お母さんは、



目の前まで来て、








ウォォォォオォォォォォオォォォォォォォォォオオオォォォォォン






私の子を離しなさい!!!!!!







パー、、ン、
















一瞬の出来事で、何も、、、




何も、、



どうすることもできず、








お母さん、



血を出して倒れてる







ウォォィゥォオゥゥォオゥゥゥウゥゥゥ




離して、離して、離して



私は必死にそう言ったの、



で、、でも、



その声を聴いた、






私の、、私の同い年の、小さかった兄弟まで、






ウォォオォォォォォン





そう言って、



こっちに向かってきてて。







ぅぅィぅウゥゥゥゥ!!!



って言った、こないでって、






パーー、、ン、






キャゥイ








弟のような、兄弟は、




動きもせず、





お母さんと一緒に、、






白い大地の上で、




赤い血を出して、、




動かなくなってしまった。








ぐぅううぅああぅうぅうあうあ








ぅげえ





首を絞めつけられる感覚がして、





意識がなくなった。


































その後、







私は、殺されて食べられるでもなく、






食べたことないようなものを口に入れさせられて、




ボーっとしては、






怒り狂ったように、





お母さんは?



小さい兄弟は?



お父さんは??



おにーさんは?




と、





















ゥォォオォォォォォォオォォッンゥォォォォオォォォォォォォンォンォォオォンォォォォォォォォォォオオォオオオオオオオオ








ずっと、



ずっと、






声を出し続けてた






枯れるまで、喉なんて、何も動かなくなるまで、、































暑くなってきて、



寒くなってきて、




暑くなってきて




寒くなってきて









どれくらいそれをー



繰り返したんだろう







すごく私は大きくなってしまった。






すごく、


あの巣穴での毎日が、



遠い日のように、、



そう感じることもあった。






頭が、ボーっとする。




あんまりずっと、



食べてないせいかな。









ゥくぅうん





そんな声しか、




出なくなってた。




















私は、、



お母さんやお父さんや、兄弟を、


殺した生き物に、



囲まれて生きてる。





でも、






この生き物に、




何度、お母さんを返せと、




そう言ったのだろう、




わかってくれるわけはなかった































ずっとね、





ずっとね、





ずっと、我慢してきたの、




寒かった、痛かった、




寂しかったかもしれない、



でも、






クゥゥン



ってあんな、あんな声、出して、



お母さんを呼んじゃうとは、、




思ってもみなかった。





いなくなってく、



お母さんの、姿、、




それを見て、抑えつけられて、




置いてかないでほしい



と、




思ってしまったの、




ずっとね





後悔してるの










お母さん、なんで




そんなの、気のせいかもしれないのに






全速力だった、




一生懸命だった。




戻ってきてくれたの





それが、




ツラいけど、


嬉しかったの



ごめん、



ごめん



ごめんなさいお母さん




でも、




嬉しかったの、




戻ってきてくれたことが、




本当に、



嬉しかった。




生きてきて、


一番、



幸せだった。





ありがとう、、お母さん、



ありがとう、、
















フッッフッ








死ぬ前にー、色んなこと考えてるときー








フッッフッツ



と、




呼ばれた気がした。



そんなわけないのに、





コトン





と、






この囲いの近くに、




何かが来て、何かを置いて行った気がした。



















翌朝、






窓という、枠を眺めてた私、




生き物が来て、私に何かを口にいれようとしてくる。






ぐぅふうぅ





動きたいと、言い、




窓という枠をあけてもらった、








下に、




黒い何かが落ちてる。







ぁいぅぅうぅう







その生き物が、それを拾って、



私の方に、渡してくれた。









クンクン、















これは、、、






懐かしい臭い。





あああああああ



思い出した。




おにーさんだ、



お父さんと同じくらい、かっこよくて、同じくらい、、


強かったあの、、お兄さんだ、





血がついてた、



その血は、たぶん、



懐かしい臭い、、



お母さんの、、




血の匂いだった。











うっすらと、




同い年の、一番に大きくなった兄弟の臭いも、、






生きてるのは、



おにーさんと、


一番の兄弟で、



お母さんの臭いは、ずいぶん前のモノ、、









そっか、






おにーさんと、一番になった兄弟は、、




あの場所の、、あの巣穴の周辺で




一緒にまだ、、暮らせてるんだ、





ここがどこだろう、





どこから来たんだろう、






フッフッ



と届けてくれたのは、






おにーさんだったんだ。














ゥオォォオォォオォォォオォォォォォォオォォォォォッォォオォォォオン





ォオォォォォゥゥンンッォッォオォォォォオオオオオ







私は寝転んだまま、起き上がれなくなったまま、





最後に、




精いっぱい叫んだ。


















そして、、




意識はもう、二度と、




蘇ることはないまま、




私は、、動かなくなった。







































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