ロマンと戦略の小箱
「これは、≪ギアスライムの歯車≫か、ハコニワパーツの素材だな。」
「ハコニワってなんですか?」
「ああ、ハコニワはより自分だけのエクスマギアを実現する為に組み込まれている機構さ。まぁ詳しくは街に着いてから錬金術ギルドで聞くといい。」
そうしてしばらく、再びマギア・キャリッジに揺られているとリヴィエルの街が見えてきた。巨大な城壁と行き交う人々の多さからこの街の規模が窺える。キャリッジは徐々に速度を落とし、リヴィエルの街の入口へと向かっていった。
「もうすぐ到着だ。準備はいいかい?」
「はい、準備万端です!」
この巨大都市から、ヒバナの新たな冒険が今まさに始まろうとしていた。
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「着いたぁ!新しい街!新しい冒険!新しい……そうだ、まずは冒険者ギルドに行かないとだよね。でもハコニワも気になるし……寄り道しちゃおう!」
賑やかな音楽と活気づいた人々の声を横目に、ヒバナは小走りで錬金術ギルドへ向かった。
「あの、私この街に来たのが初めてで、エクスマギアのハコニワについて教えてほしいんですけど」
「ようこそ、錬金術ギルドへ。新しい冒険者のヒバナさんですね?まずは、ハコニワについて基本的なことを説明させていただきます。」
錬金術ギルドの受付で、リィザというNPCの女性が慣れた手つきでホログラムを表示させながら説明を始めた。
「≪ロマンと戦略の小箱≫はエクスマギアの胸部にしまわれた部品で、サポートパーツを自由に組み合わせて配置できる小さな箱庭のようなものになります。このハコニワを駆使することで、エクスマギアの性能や戦略を大きく変えることができます。記念にこれを差し上げますので試しに取り付けてみてください。」
ヒバナは≪壁掛けショートソード≫を手に入れた___▽
「ありがとうございます!えっと、端末のメニューからハコニワを選んで」
ヒバナがメニューを選択すると、目の前に一面真っ白の部屋のような小さな箱が現れた。画面の指示に従い壁掛けショートソードをハコニワに配置すると、エクスマギアのATK+10と表示された。
「それで完了です。今のパーツは付けている限り永続的に効果を受けられますが、他にも特定の条件下で効果を発揮するもの、戦闘中に使えるアイテムなど種類は様々です。戦い方や敵に合わせて自分だけのハコニワを創り上げてくださいね。」
「なるほど、組み合わせは無限大!ってやつですね!」
ヒバナはリィザの話を熱心に聞きながら新しいシステムに目を輝かせていた。
「そしてヒバナさんの所持しているギアスライムの歯車ですが、今のようなサポートパーツを作成する為の素材になります。こちらで提示している素材が揃っていればサポートパーツを作れますので、これからも錬金術ギルドをよろしくお願いしますね。」
「はい、色々ありがとうございました!素材が集まったらまた来ます!」
こうして錬金術ギルドでハコニワの説明を受けたヒバナは、冒険者ギルドへと急ぐのであった。