召喚!魔装!戦闘開始ッ!!
ヒバナは初めての冒険に胸を高鳴らせながら、ふと自分が見慣れない乗り物に乗っている事に気がついた。車体は滑らかに揺れ、散りばめられたクリスタルが時折周囲のエネルギーを吸収しているようだった。
「初めての旅かい、嬢ちゃん?」
運転席に座る年配の運転手NPCが、後ろの座席をちらりと振り返り話しかけてきた。
「はい、エーテリア大陸には初めて来ました」
「このエーテリア大陸は、いくつもの地域に分かれていて、それぞれが独特の文化と風習を持っているんだ。君が今乗っているこのマギア・キャリッジも、その一部さ。見渡す限りの風景は全部、魔導技術で成り立っている。」
「このマギアキャリッジはどこに向かってるんですか?」
ヒバナは座席から身を乗り出し運転手に尋ねた。
「次に行くのはリヴィエルの街だ。ここはエーテリア大陸の中心地で、多くの冒険者や商人が集まる場所だよ。色々な店やギルドもあって、何でも揃うと評判さ。」
「リヴィエル……知らない街って聞いただけでワクワクする!」
「リヴィエルに着いたら、まずは『冒険者ギルド』に行ってみるといい。ここで登録すれば、様々なクエストやミッションを受けることができるんだ。それと、街には錬金術師や鍛冶屋もいる。君もエクスマギア使いだろう?ぜひ訪ねてみるといい。色々なサポートパーツや装備を作ってくれるよ。」
しばらく軽快に街道を走っていたマギア・キャリッジは、突然急停止した。ヒバナは驚いて座席から飛び上がり運転手の方を見た。
「なになに!?何が起こったんですか!?」
「ギアスライムの群れだ。この辺りは安全なはずなんだが……ちょうどいい、君のエクスマギアで追い払ってくれ!手元の端末に「召喚」と叫ぶんだ!」
「えっと……ッ召喚!!」
ヒバナが言われるがままに叫ぶと、目の前に15cm程の小さな機械の人形が現れた。
「そいつはエクスマギアの素体、シードゴレムだ。次は魔装でシードゴレムにフレームを装備させるんだ。」
「魔装!!」
シードゴレムに光の粒子が集まり、瞬く間に戦闘用のフレームが装着されていく。光のエネルギーが金属のように硬化し、ヒバナが初めに選んだエクスマギア『ソルジャー』が現れた。
「さぁ、見せてくれ嬢ちゃん! 君の物語の始まりだ!」
「分かりましたっ!いくよ、ソルジャー!!」
ヒバナの声に合わせてソルジャーの目が鋭く光り、勢いよくギアスライムへと向かっていく。同時にヒバナの手元の端末はゲームのコントローラーのように変形した。
「まずは遠距離から、当たって!」
ヒバナの指示に従って、ソルジャーは左手に構えた丸い盾からエネルギー弾を放った。モンスターの一体が直撃を受け、轟音とともに弾け飛んだ。ヒバナは次々とターゲットを切り替えながら、近距離用と遠距離用の武装を切り替えながら戦った。
「これでおしまい! ≪魔力集中≫ブレイズソードッ!!」
ソルジャーは、最後のモンスターに向かって突撃した。ヒバナの声と共にソルジャーの剣が輝き、纏った炎でモンスターを真っ二つに切り裂いた。
「見事な戦いだったよ、ヒバナ。おかげで無事に街にたどり着けそうだ。」
「ありがとうございます。上手くいったみたいで良かったです」
「ん、ギアスライムの奴何かを落としていったみたいだな。」